以下、本発明の一実施形態に係るテープ印刷装置について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、テープ印刷装置1の全体斜視図であり、図2は、テープ印刷装置1の装置ケースを省略して裏側から見た全体底面図であり、図3は、全体断面図であり、図4は、ブロック図である。このテープ印刷装置1は、テープTを収容したテープカートリッジCを着脱自在に装着し、テープカートリッジCからテープTを送り出しながら、ユーザによって入力された印刷データに基づいて、文字、記号、図形および装飾等の印刷を行い、その印刷済み部分を印刷データに基づいて算出したテープ長となるように切断して、ラベルを作成するものである。
図1ないし図3に示すように、テープ印刷装置1は、装置ケース2により全体として平面視卵形に外殻が形成され、その前部上面には各種入力キーから成るキーボード3を備え、後部上面にはLCD等から成るディスプレイ4が配設されている。装置ケース2は、上面を構成する上ケース2aと、上ケース2aに溶着した中間に位置する中ケース2bと、下面を構成する下ケース2cとで構成され、下ケース2cは、中ケース2bに対し取り外し可能に構成され、下面側からテープカートリッジCと電池Eが着脱自在に装着され、このテープカートリッジC内に印刷対象物となる剥離紙付きのテープTが繰り出し自在に収容されている。また、装置ケース2の後側部には、装置ケース2の外側に突出すると共に側面に沿って前方に湾曲して延在する手動操作レバー21が取り付けられている。さらに、下面内側には、手前に3本および奥側に3本の計6本の電池Eを段違いに収容する電池収容部23と、奥側にテープカートリッジCを着脱自在に収容するポケット6が形成されている。
また、図4に示すように、基本的な構成として、キーボード3やディスプレイ4を有してユーザとのインタフェースを行う操作部110、印刷ヘッド(サーマルヘッド)7やテープ送りモータ8を有してポケット6内に装着したテープカートリッジCのテープTに印刷を行う印刷部120、各種ドライバを有して各部回路を駆動する駆動部130、印刷後のテープTの切断を行う切断部140、および、各部を制御する制御部200を備えている。このため、装置ケース2の内部には、印刷部120、切断部140などの他、図外の回路基板が収納され、この回路基板には、電源ユニットの他、駆動部130や制御部200の各回路などが搭載されている。
印刷部120には、テープカートリッジCを装着するポケット6が設けられ、ポケット6には、テープカートリッジCの装着を案内するガイド突起27と、テープカートリッジCの被駆動部に回転動力を付与するプラテン駆動軸28およびリボン巻取軸29と、プラテン駆動軸28に対峙して印刷ヘッド7を備えたヘッドユニット9とが垂設されている。
一方、テープカートリッジCには、テープリール57に巻回されたテープTの他、テープTと同様にその幅方向を上下に位置させた縦姿勢で長手方向に沿って送られるインクリボンR、プラテン駆動軸28に係合するプラテン58などが搭載されている。また、プラテン58の近傍には、印刷ヘッド7が臨むヘッド開口55が形成されている。インクリボンRは、プラテン58(印刷ヘッド7)の位置(印刷位置7a)でテープTに重なって併走し、その後、リボン巻取軸29が係合するリボン巻取リール59に巻き取られる。また、テープTは、テープカートリッジCのケース側部に形成したスリット開口を通過して、テープ排出口25から送り出される。なお、テープカートリッジCには、収容するテープTの幅として、6〔mm〕、9〔mm〕、12〔mm〕および18〔mm〕の4種類のものが用意されている。
切断部140は、テープ排出口25に臨んで左右方向にスライド自在なカッタ26と、カッタ26の後側に重なってカッタ26と共にスライドするテープ押え部材41と、カッタ26を切断動作させる手動操作レバー21と、手動操作レバー21とカッタ26との間に介設した回動アーム42と、で構成されている。この場合、手動操作レバー21のレバー操作により回動アーム42が回動し、この回動アーム42によりカッタ26およびテープ押え部材41がスライドして、テープTを押えた状態で押切り式の切断が行われる。回動アーム42を介して手動操作レバー21から押込み力を伝達されると、カッタ26と共にテープ押え部材41が先方にスライド移動を開始する。
カッタ刃43の先端に対しテープ押え部材41のテープ押え面部45は、スライド方向(切断方向)にわずかに突出しており、この移動に伴って、カッタ刃43に先行するように、テープ押え部材41が、テープTを押し挟むようにして突き当たる。これにより、テープ押え部材41は移動を停止するが、カッタ26は、ばね46を押し縮めるようにして、テープTに切り込んでゆく。この場合、カッタ刃43は、テープTを幅方向上から下に向かって、押切り形式で徐々に切り込んでゆき、テープTを切断する。このとき、送り方向下流側で、テープ押え部材41が、押し縮められたばね46の付勢力によりテープTを強く挟み込んで押えているため、テープTを安定して切断することができる。カッタ刃43の刃先がスリット24の位置をオーバーランしてテープTが完全に切断されると、手動操作レバー21が度あたり状態となり、更なる切込み動作が阻止される。
ここでユーザが手動操作レバー21を戻すと、カッタ26がテープ押え部材41に先行して戻り動作に移行し、回動アーム42の基部に取り付けられたコイルバネ84の回転力により、こんどはテープ押え部材41を伴って、戻り方向にスライド移動する。そして、テープ押え部材41の上下に形成された一対のガイド片部が、カッタ支持フレーム44に形成された一対のガイド溝の終端に達して、戻り方向にスライド移動が停止する。また、テープ押え部材41がテープTから離れた瞬間に、テープT(ラベル)がその自重によりテープ排出口25から排出する。なお、テープ長tが短い場合(排出位置25aからの露出長さが短い場合)や作業上ラベルを下に落としたくない場合には、ユーザがテープTの先端部を指で抓んだ状態で、切断動作を行うことにより、確実にかつ落とすことなく、テープT(ラベル)を装置外に排出させることができる。
駆動部130は、ディスプレイドライバ131と、ヘッドドライバ132と、テープ送りモータドライバ133とを備えている。ディスプレイドライバ131は、制御部200から出力される制御信号に基づき、その指示にしたがって、操作部110のディスプレイ4を駆動する。同様に、ヘッドドライバ132は、制御部200の指示にしたがって、印刷部120の印刷ヘッド7を駆動する。また、テープ送りモータドライバ133は、同様に、制御部200の指示にしたがって、印刷部120のテープ送りモータ8を駆動する
操作部110は、キーボード3とディスプレイ4とを備えている。ディスプレイ4は、3キャラクタ(以下単に「文字」)分を表示可能な表示画面を有し(図5参照)、ユーザがキーボード3からデータを入力して、文字列画像データなどの印刷画像データを作成・編集したり、その結果等を視認したり、キーボード3から各種指令・選択指示等を入力したりする際などに用いられる。
キーボード3には、アルファベットキー群、数字キー群、および平仮名や片仮名等の仮名キー群等を含む文字キー群31の他、各種の動作モードなどを指定するための機能キー群32などが配列されている。機能キー群32には、機能キー群32には、図外の電源キー、印刷動作を指示するための印刷キー、並びに、テキスト入力時のデータ確定や改行および選択画面における各種モードの選択指示のための選択キー323が含まれる。
また、機能キー群32には、さらに、左(「←」)方向へのカーソル移動を行うためのカーソルキー330L(ただし、本実施形態では上(「↑」)の行も左側に並ぶので、上の行へ移動させる(カーソル「↑」キー330Uの)意味も含めて、適宜、カーソルキー330ULといい、左上向きの黒三角表示のキーで図示する:図6参照)、および、右(「→」)方向へのカーソル移動を行うためのカーソルキー330R(ただし、下(「↓」)の行も右側に並ぶので、下の行へ移動させる(カーソル「↓」キー330Dの)意味も含めて、適宜、カーソルキー330DRといい、右下向きの黒三角表示のキーで図示する:図6参照)が含まれる。また、これらを代表するときは「カーソルキー330」という。
また、機能キー群32には、さらに、仮名入力における「゛」(濁音符)の濁音記号キー32B、「゜」(半濁音符)の濁音記号キー32P、1文字削除あるいは全文消去を指示するための削除キー324、濁音文字または半濁音文字の確定状態を解除して、2文字分の未確定状態に戻す解除キー325、各種指示を取り消すための取消キー326、書体・スタイル・文字装飾等を設定するための設定モードに切り換えるためのモードキー329、ファイル操作のためのファイルキーなどが含まれる。なお、当然ながら、一般的なキーボードと同様に、これらのキー入力は、各キー入力毎に個別にキーを設けて入力しても良いし、シフトキー等と組み合わせてより少ない数のキーを用いて入力しても良い。ここでは、理解を容易にするために上記の分だけキーがあるものとして説明する。図1に示すように、キーボード3は、上述のような種々の指令およびデータを制御部200に入力する。
制御部200は、RAM240や周辺制御回路(P−CON)250を内蔵するCPU210と、ROM220とを備え、互いに内部接続されている。ROM220は、CPU210で処理する制御プログラムを記憶する制御プログラム領域221の他、色変換テーブルや文字修飾テーブルなどを含む制御データを記憶する制御データ領域222およびキャラクタジェネレータROM(CG−ROM)領域223を有している。CG−ROM領域223は、文字、記号、図形等のフォントデータを記憶していて、文字等を特定するコードデータが与えられたときに、対応するフォントデータを出力する。
RAM240は、電源オフ時にも図外のバックアップ回路によって電源の供給を受けており、各種レジスタ群241、キーボード10からの文字等のテキストデータを記憶する編集テキストデータ領域242、ディスプレイ4の表示画像データを記憶する表示画像データ領域243、印刷画像データを記憶する印刷画像データ領域244の他、印刷バッファなどの各種バッファ領域245などの領域を有して、作業領域として使用される。P−CON250には、周辺回路とのインタフェース信号を取り扱うための論理回路が組み込まれ、キーボード3と接続されて、各種指令や入力データなどをそのままあるいは加工して取り込むとともに、データや制御信号を、そのままあるいは加工して駆動部130に出力する。
そして、CPU210は、上記の構成により、ROM220内の制御プログラムに従って、P−CON250を介して各種指令、各種データ等を入力し、CG−ROM230からのフォントデータ、RAM240内の各種データ等を処理し、P−CON250を介して駆動部130に制御信号を出力することにより、テープ送りモータ8の駆動制御やディスプレイ4の表示制御等を行うとともに、印刷ヘッド7を制御して所定の印刷条件でテープTに印刷するなど、テープ印刷装置1全体を制御している。
上述のように、テープ印刷装置1は、全体として所定の厚みを有して形成されており、片手で簡単に把持して持ち運び可能となるように、小型に形成されている。また、使用に際しては、装置本体を両手で包み込むように把持した状態で、両手の親指等でキーボード3をキー操作することで所望の文字等を入力するようにする。さらに、印刷完了後において、テープTを切断する場合には、この把持した状態で、右手人差し指或いは中指等で手動操作レバー21を手前内側に回動操作する。
このテープ印刷装置1を使用する場合には、まず、装置本体を裏側に反転して下ケース2cを取り外し、ポケット6にテープカートリッジCを装着すると、テープTの繰り出し端部およびインクリボンRが、プラテン58と印刷ヘッド7の間に挿入され、且つプラテン58がプラテン駆動軸28に、リボン巻取リール59がリボン巻取軸19に係合する。そして、下ケース2cを中ケース2bに取り付けると、テープTおよびインクリボンRを挟むように、印刷ヘッド7が回動して、プラテン58に当接し印刷待機状態となる。
次に、装置本体を表裏反転させ、これを両手に把持した状態で入力の準備を行う。ここで、電源キーを押釦してONし、ディスプレイ4を参照しながらキーボード3を操作して、まずテープカートリッジCの種別情報を入力する。テープカートリッジCの種別認識後、キーボード3を操作して、所望の文字等を入力・編集し、印刷実行を指令する。
印刷実行が指令されると、テープTおよびインクリボンRが同時に送られ、印刷ヘッド7が適宜発熱駆動することにより、インクリボンRのインクが熱転写してテープTに印刷が行われる。印刷後のインクリボンRは、テープカートリッジ4内で巻き取られるが、印刷後のテープTは、テープ排出口25(排出位置25a)から送り出されてゆく。テープTの送り停止を待って、ユーザにより手動操作レバー21のレバー操作が為されると、スライド移動したテープ押え部材41がテープTを挟み込んで押えた後、スライド移動してきたカッタ26により、テープTの印刷済み部分が切り落とされる。
前述のように、本実施形態のテープ印刷装置1は、携帯型のテープ印刷装置であり、ディスプレイ4は、ごく小さな表示画面(具体的には3文字分のみを表示可能な表示画面)しか有しない。そこで、まず、表示および編集の対象となるテキストデータ(のフォーマット:いわゆるデータ構造)は、初期状態では、図5(a)に示すようになっていて、ディスプレイ4では、それに対応して、図5(b)に示すように表示される(画面T00:以下、ディスプレイ4の表示画面の表示状態を画面T××で表現し、参照番号としてはT××のみで示す。また、カーソル位置はカーソルKで図示する。ただし、本実施形態のカーソルKは表示画面内の2文字目の右側に固定表示され、編集対象の文字等が相対的に移動することにより、カーソルとしての役目を果たす)。図5(a)のIndex=0(以下、In[0]のように示す)の値は、暫定設定値であり(以下、In[0]=「暫定設定値」のように示す)、同様に、In[1]=「書式」、In[2]=「スタイル」、In[3]=「第1行頭」を示し、これらはいずれも2バイト(16ビット)の数値で表現されている。
これらのうち、In[1]=「書式」は、いわゆる「書式」を示し、通常(機能の高いテープ印刷装置等では)、定長印刷(各種ファイル、FD、CD、ビデオ/音響テープなどの定型の他、任意設定の定長印刷を含む)、地紋(背景に印刷する地模様)、余白(前余白、後余白、自動による多目、少な目、普通、その他任意設定)および鏡文字の適否などの設定値を示す。また、In[2]=「スタイル」は、いわゆる「スタイル」の設定値であり、外枠の有無、縦・横(縦書き/横書き)、サイズ(ここでは行数)、行サイズ等の設定値を示す。次に、In[0]=「暫定設定値」およびIn[3]=「第1行頭」の仕様では、最初の「データ識別」(4ビット)により、その部分(データ)が「暫定モード」なのか「行頭」なのか(すなわち、そのデータが文書全体に暫定的に(デフォルト値として)設定された「暫定設定値」を示すのか、あるいは個別の行に対する設定値を示すのか)を示す。続く5ビットは、いわゆる「書体」の選択肢の設定値を示し、次の3ビットはいわゆる「装飾」の設定値を示し、末尾のダミー4ビット(将来機能追加用)を付加して16ビットを形成している。
前述の図5(b)の状態(T00)において、黒地四角に白文字の「1」のマークは第1行の行頭マーク、すなわち上述した「第1行頭」の行頭マークであり、以下、「第n行頭」の行頭マークを第n行マークHn(n=1、2、・・・:本例ではn=1または2のみ)で示す。したがって、何も文字入力をしていない初期状態では、図示のように、カーソルKの左側に第1行マークH1が表示される(T00)。
テープ印刷装置1では、この状態(T10)からユーザにより例えば文字列「あいうえお」が順次入力されると、それらのテキストデータは、図5(c)の(データ構造の)ように格納され、図5(d)のように表示される(T08)。また、ユーザは、この状態(T08)からカーソル「←」キー330L(330UL)を操作することにより、「あいうえお」の「い」と「う」の間(すなわち「い」の右側)にカーソルKを(相対的に)移動させ、改行のために選択キー323を押すことにより、それ以降の文字列「うえお」を第2行とすることができる。この場合、データとしては、図5(e)のように、In[6]=「第2行頭」が挿入され、ディスプレイ4(の表示画面)には、図5(f)のように、第2行の行頭を示す第2行マークH2が挿入される(T09)。
この状態(T09)は、図6(a)の画面T92の状態と同じであり、図6に示すように、ユーザが、カーソルキー330ULを押す度に図示上方の状態へ状態遷移し、カーソル「→」キー330R(330DR)を押す度に図示下方の状態へ状態遷移する(T90〜T95)。また、これらの状態で、印刷キーが押されると、図6(b)のように、第1行が「あい」、第2行が「うえお」の2行構成の文書を印刷するので、ユーザは、印刷後に手動操作レバー21を操作して、図示の印刷画像G9のラベルを作成できる。
ここで、上述の説明では、例えば文字列「あいうえお」を順次入力としたが、テープ印刷装置1では、この入力方法として、いわゆるローマ字入力の他、平仮名または片仮名によるいわゆる「仮名入力」を使用することができ、この場合の濁音文字や半濁音文字の扱いを工夫しているので、以下、その点について、説明する。なお、上述の説明で平仮名を使用する例を示したので、以下では片仮名の例を示す(もちろん、双方とも同様に扱える)。また、濁音符または半濁音符を付すことにより濁音文字または半濁音文字となり得る文字(被濁音文字)として、濁音文字および半濁音文字の双方になり得る被濁音文字「ハ」を例に挙げる。
例えばユーザが「バ」を入力する場合、図7に示すように、初期状態から(T00)、一旦、(カナキー32haを利用して)被濁音文字「ハ」を入力し(T01)、続いて濁音符(゛)を表現しつつ1文字分を要する濁音記号「゛」を濁音記号キー32Bにより入力する(T10)。この状態では、濁音符(゛)の未確定状態として入力され、それを示すように反転文字(黒地に白文字)の濁音記号「゛」を表示する(T10)。
この場合、被濁音文字と濁音記号とを個別に2文字分として扱い、1文字分の濁音記号(ここでは「゛」の記号)が未確定状態で表示されているので、その濁音記号を削除する削除キー324の押下により、「バ」の未確定状態(すなわち「ハ」+「゛」の未確定状態)から被濁音文字「ハ」の単独の状態に容易に戻せる(T11:T01と同じ)。このことは、「バ」を削除し、改めて被濁音文字「ハ」を(仮名キー群から探して)再入力するのに比べて、遙かに楽な(編集)作業となる。そして、この状態から、半濁音符(゜)を表現しつつ同じく1文字分を要する濁音記号「゜」を濁音記号キー32Pにより入力することにより、「パ」の未確定状態(すなわち「ハ」+「゜」の未確定状態)に変えることができる(T12)。
一方、テープ印刷装置1では、直前の操作(による各種指示や各種処理)を取り消す(キャンセルする)ための取消キー326を有しているので、上記の状態(T11)から、取消キー326の押下により削除操作による作用(1文字削除の処理)をキャンセルして、元の状態、すなわち「バ」の未確定状態(「ハ」+「゛」の未確定状態)に戻すことができる(T13:T10と同じ)。以下、この例のように、直前の状態に戻す操作を、図7(b)(の取消キー326による図示上方向きの操作)のように図示する。
次に、テープ印刷装置1では、キー数節約のために、1文字削除の削除キー324を所定時間(例えば2秒間)以上押し続ける(長押しする)ことで、文書全体を消去する「全文消去」を指示する。この場合、1文字削除のつもりで押して、それが長くなって「全文消去」の指示になってしまった可能性があるので、例えば図8(a)に示すように、「バ」の未確定状態(「ハ」+「゛」の未確定状態)から(T20)、削除キーが2秒以上押下された時点で、全文消去か否かを確認するメッセージを表示し(T21)、ユーザにより選択キー323が押された時点で、全文消去を行って、初期状態に戻す(T22)。一方、誤操作のときには、ユーザは取消キー326(または2秒以内の削除キー324)を押すことにより、「全文消去」の指示(となってしまった操作)をキャンセルできる。
そして、この場合、キャンセルされると、元の状態、すなわち「バ」の未確定状態(「ハ」+「゛」の未確定状態)に戻る。言い換えると、図15の従来の処理とは異なり、元の状態に戻すことができ(T23:T20と同じ:図7のT10と同じ)、その状態から、やり直すことができる。例えば改めて削除キー324を(2秒未満)押して被濁音文字「ハ」の単独の状態に戻したり、さらには濁音記号「゜」を濁音記号キー32Pにより入力することにより、「パ」の未確定状態(すなわち「ハ」+「゜」の未確定状態)に変えることができる(図7のT10〜T12参照)。なお、選択キー323の操作による作用も取消キー326により取り消すことができるので、図7(b)と同様にして、図8(b)のように示すことができる。
図14で説明したように、あるいは図7で上述のように、被濁音文字と濁音記号とを個別に2文字分として扱う場合、濁音文字(例えば「バ」)と半濁音文字(例えば「パ」)との交換が容易になるという利点があり、図15の従来の例では、その利点を生かすことができないが、図8で上述のように、本実施形態の文字処理方法では、上記利点を生かすことができ、濁音記号を間違って入力した場合などの誤操作による誤処理を容易に修正できる。
次に、図16の従来の例に対応して、図9に示すように、図9(a)のように「パリ」と入力したかった場合に(T30〜T31)、図9(b)のように誤って「バリ」と入力してしまったときには(T40〜T41)、「リ」を入力した時点で「バ」が確定されている。ただし、本実施形態の文字処理方法では、この状態から(T41)、「リ」の入力を取り消す(キャンセルする)ことにより、元の状態(「バ」の未確定状態:「ハ」+「゛」の未確定状態)に戻すことができる(T42:T40と同じ)。
すなわち、図8で上述の誤操作による「全文消去」の例と同様に、被濁音文字「ハ」の単独の状態に戻したり(T43)、さらには濁音記号「゜」を入力して「パ」の未確定状態(すなわち「ハ」+「゜」の未確定状態)に変えることができ(T44)、濁音記号を間違って入力した場合などの誤操作による誤処理を容易に修正でき、あるいは濁音文字(例えば「バ」)と半濁音文字(例えば(パ))とを容易に交換できる。なお、各種の指示操作による作用を取消キー326により取り消すことができるので、上述の図9の例を、各操作のキャンセル操作をも含めて模式化して示すと、図10に示すようになる。
次に、図17の従来の例に対応して、図11に示すように、図11(b)のように「カバ」と入力するときには、一旦、図11(a)のように「カハ」の2文字分+「゛」の未確定状態の1文字分の合計3文字分となり(T50)、その後の選択キー323の押下により(あるいは印刷キー322の押下により印刷画像G0を例えばテープに印刷して)、「カバ」と確定される(T51)。ただし、本実施形態の文字処理方法では、この状態から(T51)、「バ」の確定を取り消す(キャンセルする)ことにより、元の状態(「バ」の未確定状態:「ハ」+「゛」の未確定状態)に戻すことができる(T52:T50と同じ)。
このため、図18の従来の例に対応して、図12に示すように、「コンパ」と入力したかったのに対して誤って「コンバ」と入力してしまったときには(T60)、選択キー323の押下により(あるいは印刷キー322の押下により印刷画像G1をテープに印刷して)、「コンバ」と確定される(T61)。ただし、本実施形態の文字処理方法では、この状態から(T61)、「バ」の確定を取り消す(キャンセルする)ことにより、元の状態(「バ」の未確定状態:「ハ」+「゛」の未確定状態)に戻すことができる(T60)。そして、改めて、濁音記号「゛」を削除し(T62)、濁音記号「゜」を入力して「パ」の未確定状態(「ハ」+「゜」の未確定状態)に変えてから(T63)、改めて選択キー323により(あるいは印刷キー322により印刷画像G2をテープに印刷して)確定できる(T64)。
上述のように、本実施形態のテープ印刷装置1における文字処理方法では、基本的には、1文字分の被濁音文字(例えば「ハ」)を仮名入力し、その直後に、濁音符(゛)または半濁音符(゜)を表現する1文字分の濁音記号(「゛」または「゜」)を(未確定)入力し、確定操作が行われたときに、未確定状態から確定状態に移行させる。すなわち、被濁音文字およびその直後の濁音記号の合計2文字分の代わりに、1文字分の濁音文字または半濁音文字として確定する。
この場合、濁音符または半濁音符の入力が未確定状態で第1操作(上述の図7の例の1文字削除指示操作、図8の例の全文消去指示操作、図9〜図10の後続文字入力による確定操作、図11〜図12の選択または印刷指示等による確定操作)が行われ、その直後に第2操作が行われ、かつ、第2操作が第1操作の作用をキャンセルする操作であるときに、すなわち、第2操作によって、第1操作により進めようとした文字処理をキャンセルして、元に戻したいときなどには、第1操作直後の状態が未確定状態か否かに拘わらず、第2操作後には未確定状態にする(未確定状態に戻す)。これにより、その時点の状態からやり直しやすくなり、誤操作した場合等のやり直し(処理修正)が煩雑になるのを防止でき、濁音文字や半濁音文字に対する誤操作による誤処理を容易に修正でき、編集効率を向上できる。
なお、上述の実施形態において、特に図9〜図12等の例においては、未確定状態からの最初の操作を第1操作としてそれをキャンセルする第2操作を直後に行った場合に、1文字として確定された濁音文字または半濁音文字を2文字分の未確定状態に戻したが、任意の時点で、1文字分の確定状態を解除し、2文字分の未確定状態に分解できるようにしても良い。
この場合、例えば図13に示すように、誤操作等により「バリ」と入力され確定された状態から(T70:図9、図10のT41と同じ)、カーソル操作により修正したい濁音文字「バ」をカーソル指定し(T71)、解除キー325により1文字分の確定された濁音文字「バ」を、2文字分の「バ」の未確定状態(「ハ」+「゛」の未確定状態)に戻し(T72)、濁音符(゛)の濁音記号(「゛」)を半濁音符(゜)の濁音記号(「゜」)に修正し(T73〜T74)、改めて確定することにより(T75)、「バリ」から「パリ」に容易に修正でき、その印刷画像G3を印刷したラベルを作成できる。
なお、誤操作等により「ハリ」と入力した場合も、上記の濁音符(゛)の濁音記号(「゛」)を削除した状態(T73)と同じになるので、容易に修正できる(T74〜T75と同じ)。また、変則的な方法としては、「ハ」「゛」「リ」のまま「゜」を挿入できるようにして、「バ」「リ」→「ハ」「゛」「リ」→「ハ」「゜」「゛」「リ」→「ハ」「゜」「リ」→「パ」「リ」のような順で修正できるようにしても良い。
すなわち、この例の文字処理方法では、一旦、1文字として確定された濁音文字や半濁音文字を2文字分から成る未確定状態に戻すことができるので、その未確定状態からのやり直しが容易にできる。この結果、被濁音文字(例えば「ハ」)、それに濁音符(゛)を付与した濁音文字(「バ」)および半濁音符(゜)を付与した半濁音文字(「バ」)の相互間での修正が容易になり、濁音文字や半濁音文字に対して、誤操作等による誤処理を容易に修正でき、編集効率を向上できる。また、この例の場合、カーソル指定により、任意の時点で被濁音文字(「ハ」)、濁音文字(「バ」)または半濁音文字(「パ」)を指定して修正できるので、操作性および編集の自由度が高くなっている。この場合、カーソル指定された文字が濁音文字でも半濁音文字でもないときに解除指示が為されたときには、エラー報知するなどの工夫もできる。
なお、上述の各例では、被濁音文字として、濁音文字および半濁音文字の双方になり得る「ハ」を例に挙げたが、この点では「ハ」行の他の文字「ヒ」「フ」「ヘ」「ホ」も同じであり、平仮名の「は」行の文字も同様であることは言うまでもない。また、半濁音文字に成らない被濁音文字、例えば「カ」行や「サ」行の場合も、未確定状態に戻すことができることによって、上述の「バ」から「ハ」に戻す関係と同様に、誤操作による誤処理を容易に修正でき、編集効率を向上できる。
また、上述の実施形態では、サーマル方式のテープ印刷装置について説明したが、インクジェット方式その他のテープ印刷装置にも適用できる。また、同様の条件、すなわち仮名入力において一旦濁音記号を1文字分として処理する文字処理装置であれば、他の形式の印刷装置その他の装置にも適用できる。これらの他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。