JP5200888B2 - パターン細胞培養用器具 - Google Patents
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Description
(1)細胞接着性領域のパターンが表面上に形成された基板を備えるパターン細胞培養用器具であって、前記パターンの方位及び/又は位置を目視により判別するための判別手段を備えていることを特徴とするパターン細胞培養用器具。
(2)前記判別手段が、前記基板の周縁に形成された切欠部であることを特徴とする(1)記載のパターン細胞培養用器具。
(3)前記基板が設置される部材を更に備える、(1)又は(2)記載のパターン細胞培養用器具。
(4)前記基板の表面上において、前記細胞接着性領域が、前記表面上の他の領域である細胞接着阻害性領域に対して窪んでおり、前記細胞接着性領域の表面と、前記細胞接着阻害性領域の表面との平均高低差が3オングストローム以上30オングストローム以下であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載のパターン細胞培養用器具。
(5)前記基板に透明電極が形成されていることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載のパターン細胞培養用器具。
(6)以下の第1工程からn工程(nは2以上の整数)を行うことを特徴とする、細胞接着性領域のパターンが表面上に形成された、前記パターンの方位及び/又は位置を目視により判別するための判別手段を備えたパターン細胞培養用器具の製造方法。
第一工程:判別手段を有する基板に細胞接着性領域のパターンを形成して第一次基板を得る工程。
第二工程:第一次基板が有する判別手段を参照して、第一次基板から、各々に同一の判別手段が設けられた同一形状の複数の第二次基板を切り出す工程。
第n工程:第n−1次基板が有する判別手段を参照して、第n−1次基板から、各々に同一の判別手段が設けられた同一形状の複数の第n次基板を切り出す工程。
本発明のパターン細胞培養用器具は、細胞接着性領域のパターンが表面上に形成された基板を少なくとも備える。基板を構成する材料としては、金属、ガラス、セラミック、プラスチック、エラストマー等やこれらの複合材を用いることができるがこれらには限定されない。特に透明な材料が望ましい。細胞の顕微鏡観察を容易にするからである。金等の蒸着層も厚さ50nm程度なら光透過性を有するので好適に用いることができる。
本発明のパターン細胞培養用器具は、微細パターンの方位及び/又は位置を目視により判別するための判別手段を備えていることを特徴とする。
上記の判別手段を備えた基板は以下の第1工程から第n工程(nは2以上の整数)を行うことにより製造することが好ましい。第一工程は、上記判別手段を有する基板に細胞接着性領域の微細パターンを形成して第一次基板を得る工程である。第二工程は、第一次基板が有する判別手段を参照して、第一次基板から、各々に同一の判別手段が設けられた同一形状の複数の第二次基板を切り出す工程である。第n工程(nは2以上の整数)は、第n−1次基板が有する判別手段を参照して、第n−1次基板から、各々に同一の判別手段が設けられた同一形状の複数の第n次基板を切り出す工程である。この方法により、従来大量生産が困難であった細胞接着性領域の微細パターンを有する基板を、効率的かつ均質に製造することが可能となる。
実施例
厚さが0.17mmで、大きさがひとつの角の部分を縦3mm、横5mmのサイズで切り落とした100mm角のオリエンテーションフラット(オリフラ)付きガラス基板を触媒量のトリエチルアミンを加えたエポキシシランのトルエン溶液に浸漬し、室温で20時間反応させた。反応後、乾燥しないように注意しながらトルエンとエタノールで基板を洗浄し、次いで数分間、基板を純水で超音波洗浄し、最後に基板を乾燥させた。接触角計を用いて測定した表面の水接触角の平均値は52.2°だった。
ガラススクライバーを用いて、上記の100mm角オリフラ付きマイクロパターニングガラスから16枚の20mm角オリフラ付きマイクロパターニングガラスを作製した。この際、100mm角オリフラ付きガラスは、そのオリフラ位置が右上になるようスクライバーのステージ上に配置した。次いで、20mm角オリフラ付きマイクロパターニングガラスのオリフラ位置が、100mm角の基板のオリフラの位置と同じく右上になるようスクライブした。オリフラは、ひとつの角の部分を縦3mm、横4mmのサイズで切断して形成した。別途、市販の35mm組織培養ディッシュ(コーニング)の底に直径14mmの貫通穴が形成された部材を用意した。上記20mm角オリフラ付きマイクロパターニングガラスと接着剤(信越シリコーンKE45T)を用いて、上記貫通穴に蓋をした。その際、マイクロパターニング面がディッシュの内面側になるようにした。
微細パターン培養用96穴マルチウェルプレートを作るために、厚さが0.1mmで大きさが110mm×75mmのオリフラ付きガラス基板に対して、実施例1と同じ手順で細胞接着阻害性コーティングを施した。オリフラは、コーティングされたガラス表面に相対して右上に形成されている。
市販の底無し96穴マルチウェルプレート用の部材(ヌンク)を用意した。この部材のA行12列の部分に上記110mm×75mmマイクロパターニングガラスのオリフラが位置するように配置し、接着剤(信越シリコーンKE45T)で貼り付けた。これにより、96穴マルチウェルの第1列が全面細胞接着阻害性、第2列が全面細胞接着性、第3列から第12列が微細パターン培養のウェルであるマルチウェルプレートが完成した。
厚さ0.7mmで大きさ50mm角のITO(インジウムスズ酸化物)ラインパターン形成済みオリフラ付きガラスを用意した。ITO面に相対してオリフラ位置を右上にしたときに、ITOラインパターンは左右に平行に形成されている。ITOラインパターンは線幅0.1mmでピッチ0.4mmである。このITO透明電極付き基板に実施例1と同様の手順で細胞接着阻害性コーティングを設けた。次いで実施例1で用いたフォトマスクを使って、実施例1と同様の配置でパターニングを行い、ITOラインパターンと細胞接着性ラインパターンが直交した微細パターン培養用基板を作製した。
市販の35mm組織培養ディッシュ(コーニング)の底に直径27mmの貫通穴が形成された部材を用意した。上記の50mm角微細パターン培養用基板を培養面が上になり且つオリフラ位置が右上にくるように配置し、その中央に上記27mm貫通穴つき部材を接着剤(信越シリコーンKE45T)で貼り付けた。これにより、透明電極付き微細パターン培養用ツールが完成した。
厚さ150μm、大きさ100mm角のポリエステルフィルムを用意し、CVDチャンバー内の真空度を4.0×10−3Paに減圧し、電極に90kHzの周波数を有する電力(投入電力300W)を印加した。その後、ヘキサメチルジシロキサン、酸素ガス、ヘリウムガスをそれぞれ所定量投入し、真空度が30MPaとなるように制御した。これにより、プラズマ気相成長法(CVD法)による酸化珪素系薄膜(中間層)が、厚さ約100nmで形成された。フルオロアルキルシランXC98−B2472(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)をイソプロピルアルコールで10倍希釈したコーティング剤をスピンコーティングにより塗布した。続いて、150℃で10分間乾燥させた。この時点での表面静止水接触角は101.8°であった。続いて、あらかじめ光触媒が塗布されたフォトマスクを用いて、フォトマスクの光触媒面とフルオロアルキルシランが塗布されたフィルムのシラン面とを対向させ、フォトマスク側から水銀ランプにより10J/cm2の照射量で紫外線照射を行った。これにより、細胞接着阻害領域と細胞接着領域がマイクロパターニングされた微細パターン培養用基板が完成した。光干渉式三次元プロファイラーを用いて計測した細胞接着阻害性領域と細胞接着性領域の間の平均段差は15オングストロームだった。
カム システム ハンドプレスFK−HP500を用いて、上記の100mm角マイクロパターニングフィルムから16枚の20mmφマイクロパターニングフィルムを作製した。次いで、切欠位置が右上になるようはさみで切断し、切欠部付きマイクロパターニングフィルムを作製した。別途、市販の35mmφ組織培養ディッシュ(コーニング)の底に直径14mmφの貫通穴が形成された部材を用意した。上記20mmφオリフラ付きマイクロパターニングフィルムと接着剤(信越シリコーンKE45T)を用いて、上記貫通穴に蓋をした。その際、マイクロパターニング面がディッシュの内面側になるようにした。
厚さ0.12mm、大きさ100mm角の切欠部付きガラス基板を用意し、実施例4と同様の方法により厚さ約100nmの珪素系酸化物を蒸着させたあと、デシルメトキシシランをスピンコートした。表面の静止水接触角は99.7°であった。その後、光触媒付きフォトマスクと紫外線照射装置を用いて、実施例4と同様の手法でマイクロパターニングを実施した。光干渉式三次元プロファイラーを用いて計測した細胞接着性阻害領域と細胞接着性領域の間の平均段差は10オングストロームであった。
ガラススクライバーを用いて、上記の切欠部付き100mm角マイクロパターニングガラスから16枚の20mm角オリフラ付きマイクロパターニングガラスを作製した。この際、100mm角オリフラ付きガラスは、そのオリフラ位置が右上になるようスクライバーのステージ上に配置した。次いで、20mm角オリフラ付きマイクロパターニングガラスのオリフラ位置が、100mm角の基板のオリフラの位置と同じく右上になるようスクライブした。別途、市販の35mm組織培養ディッシュ(コーニング)の底に直径14mmの貫通穴が形成された部材を用意した。上記20mm角オリフラ付きマイクロパターニングガラスと接着剤(信越シリコーンKE45T)を用いて、上記貫通穴に蓋をした。その際、マイクロパターニング面がディッシュの内面側になるようにした。
以上により、オリフラ付きマイクロパターニングガラスを有するガラスボトムディッシュが完成した。
厚み200μm、大きさ100mm角のセルロースフィルム(東レ)を調達し、熱湯で15分間煮沸した。室温で1時間乾燥させたあと、触媒量のトリエチルアミンを加えたエポキシシランのトルエン溶液に浸漬し、室温で18時間反応させた。反応後、乾燥しないように注意しながらトルエンとエタノールで基板を洗浄し、次いで数分間、基板を純水で超音波洗浄し、最後に基板を乾燥させた。接触角計を用いて測定した表面の水接触角の平均値は51.0°だった。
カム システム ハンドプレスFK−HP500を用いて、上記の100mm角マイクロパターニングセルロースフィルムから16枚の20mmφマイクロパターニングセルロースフィルムを作製した。次いで、切欠部の位置が右上になるようはさみで切断し、切欠部付きマイクロパターニングセルロースフィルムを作製した。別途、市販の35mmφ組織培養ディッシュ(コーニング)の底に直径14mmφの貫通穴が形成された部材を用意した。上記20mmφオリフラ付きマイクロパターニングセルロースフィルムと接着剤(信越シリコーンKE45T)を用いて、上記貫通穴に蓋をした。その際、マイクロパターニング面がディッシュの内面側になるようにした。
N−イソプロピルアクリルアミドを、最終濃度20重量%になるようにイソプロピルアルコール(IPA)に溶解させた。市販の易接着性ポリエチレンテレフタレートフィルム(三光産業社より入手、透明50−Fセパ1090)を調達し、これを10cm角に切断した。ここに前記溶液を、易接着PETの易接着面に展開し、ミヤバーでコーティングした。電子線照射装置(岩崎電気社製)を用いて該サンプル上に電子線照射を行い、該溶液をグラフト重合した。このときの電子線照射線量は300kGyであった。メタクリロキシシラン(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社より入手、TSL8370)を用意し、これをイソプロピルアルコール(IPA)で0.1重量%になるように希釈した。前記で得られたフィルムを、0.7mm厚ガラスにテープで固定し、スピンナー(ミカサ製)を用いて、メタクリロキシシランをコーティングし、シラン処理を行った。このときのスピンナー方の条件は700rpm×3秒であった。次いで、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量300、アルドリッチ社より入手)が最終濃度50重量%になるように、純水で希釈し、ここに、重合開始剤として、2−ヒドロキシ−4‘−(2−ヒドロオキシエトキシ)−2−メチルプロピオフェノン(アルドリッチ社より入手)を最終濃度1重量%になるように加えた。この溶液をスターラーで15分間攪拌した。これをシラン処理したフィルム上に1mL展開し、150μm厚PETフィルム(東レ株式会社製)を用いて所望のパターン形状が形成されるように、マスキングした。次いで、フォトマスクをマスキングフィルム上からギャップ200μm離してセットし、500mWマルチライト(ウシオ電機社製)を用いて、10秒間光照射した。光照射条件は、波長、365nmで、照度は75mW/cm2であった。その後、マスキングフィルムを剥離し、シラン処理基材上にポリエリレングリコールジアクリレートが固定化された。
カム システム ハンドプレスFK−HP500を用いて、上記の100mm角マイクロパターニングフィルムから16枚の20mmφマイクロパターニングフィルムを作製した。次いで、切欠位置が右上になるようはさみで切断し、切欠部付きマイクロパターニングフィルムを作製した。別途、市販の35mmφ組織培養ディッシュ(コーニング)の底に直径14mmφの貫通穴が形成された部材を用意した。上記20mmφ切欠部付きマイクロパターニングフィルムと接着剤(信越シリコーンKE45T)を用いて、上記貫通穴に蓋をした。その際、マイクロパターニング面がディッシュの内面側になるようにした。以上により、切欠部付きマイクロパターニングフィルムを有するディッシュが完成した。切欠部が付いているので、ラインパターンがどの方向に形成されているのか容易に判別することができる。
厚さ0.12mmで大きさひとつの角の部分を縦3mm、横5mmのサイズで切り落とした100mm角のオリフラ付きカバーガラス基板上に、フルオロアルキルシランXC98−B2472(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)をイソプロピルアルコールで10倍希釈したコーティング剤をスピンコーティングにより塗布した。続いて、150℃で10分間乾燥させた。この時点での表面静止水接触角は101.1°であった。続いて、あらかじめ光触媒が塗布されたフォトマスクを用いて、フォトマスクの光触媒面とフルオロアルキルシランが塗布されたカバーガラスのシラン面とを対向させ、フォトマスク側から水銀ランプにより3J/cm2の照射量で紫外線照射を行った。これにより、細胞接着阻害領域と細胞接着領域がマイクロパターニングされた微細パターン培養用基板が完成した。
ガラススクライバーを用いて、上記の100mm角オリフラ付きマイクロパターニングガラスから16枚の20mm角切欠部付きマイクロパターニングガラスを作製した。この際、100mm角オリフラ付きガラスは、そのオリフラ位置が右上になるようスクライバーのステージ上に配置した。次いで、20mm角切欠部付きマイクロパターニングガラスの切欠部位置が、100mm角の基板のオリフラの位置と同じく右上になるようスクライブした。切欠部は、ひとつの角の部分を縦3mm、横4mmのサイズで切断して形成した。別途、市販の35mm組織培養ディッシュ(コーニング)の底に直径14mmの貫通穴が形成された部材を用意した。上記20mm角切欠部付きマイクロパターニングガラスと接着剤(信越シリコーンKE45T)を用いて、上記貫通穴に蓋をした。その際、マイクロパターニング面がディッシュの内面側になるようにした。以上により、切欠部付きマイクロパターニングガラスを有するガラスボトムディッシュが完成した。切欠部が付いているので、ラインパターンがどの方向に形成されているのか容易に判別することができる。
大きさ110mm角の薄板ガラスD263T(ショット製)にクロム蒸着を全面に施し、次いでスピンコーティングによりネガ型フォトレジスト膜をクロム層の上に形成した。パターン方位判別マーク形成用5インチフォトマスクを別途用意した。このマスクは、線幅100μmで長さ1mmの矢印状の開口部とその矢印の先端近傍にサイズが1mmで線幅100μmの文字UとL(Upper Left、左上、の頭文字)のセットをピッチ19mmで25箇所有している。薄板ガラスの辺とマスク上の開口部(矢印)の向きを揃えて配置し、アライナーを用いてレジスト膜を露光し、レジストを現像、洗浄し、最後に乾燥した。次いで露出したクロム部を酸でエッチングし、洗浄した。最後に矢印部に残った光硬化したレジストを剥離し、矢印と文字付き薄板ガラスを作製した。クロム面を上にして見るとULは左右反転して見える。
ガラススクライバーを用いて微細文字ULと微細矢印を左上隅に有する一辺19mmの正方形のマイクロパターニングガラスを25枚作製した。このマイクロパターニングガラスと実施例1で用いた貫通孔つきディッシュと接着剤を用いて、ガラスボトムディッシュを作製した。
32、42・・・切欠部
500・・・原基板
510・・・第一次基板
511・・・切欠部(判別手段)
512・・・細胞接着性領域の微細パターン
520・・・第二次基板
521・・・切欠部(判別手段)
530・・・第三次基板
531・・・切欠部(判別手段)
Claims (5)
- 複数の細胞接着性領域のラインパターンが表面上に平行に配列して形成された基板を備えるパターン細胞培養用器具であって、
前記基板は、前記ラインパターンが配列する方位に平行な辺と、前記ラインパターンが配列する方位に直交する辺とを有する矩形状の外郭形状を有し、
前記基板の角部に、前記ラインパターンが配列する方位を目視により判別するための切欠部を備え、
前記切欠部は、前記矩形状の基板の直交する2辺が、目視により認識できる程度に異なる長さ分だけ切欠かれていることを特徴とするパターン細胞培養用器具。 - 少なくとも1つの貫通孔を有する、側壁を構成する部材をさらに備え、前記基板の前記ラインパターン側の面が前記部材の内底面となるように基板を部材に貼り合わせてなる、請求項1記載のパターン細胞培養用器具。
- 前記基板が、透明な材料で構成されることを特徴とする請求項1又は2記載のパターン細胞培養用器具。
- 前記基板の表面上において、前記細胞接着性領域が、前記表面上の他の領域である細胞接着阻害性領域に対して窪んでおり、前記細胞接着性領域の表面と、前記細胞接着阻害性領域の表面との平均高低差が3オングストローム以上30オングストローム以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載のパターン細胞培養用器具。
- 前記基板に透明電極が形成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載のパターン細胞培養用器具。
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