JP5200789B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、基材樹脂とセラミック繊維を含有する樹脂組成物に関する。
従来、自動車部品、電気・電子部品、精密機械部品等においては、熱伝導性が要求される部分に金属材料が広く用いられていた。しかし、金属材料は、熱伝導性に優れる反面、成形が困難であり、また製造コストが高くなるという問題があるため、金属材料に代わる優れた熱伝導性を有する材料の開発が要求されていた。
このような材料として、例えばポリフェニレンスルフィド樹脂とα−アルミナの粒子を含有する樹脂組成物が開発されている(特許文献1参照)。
特開平10−158512号公報
しかしながら、上記従来の樹脂組成物においては、熱伝導性を向上させるために、比較的多量のα−アルミナを添加する必要があった。そのため、成形性が損なわれるおそれがあった。
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、比較的少ないセラミック繊維の添加量でも優れた熱伝導性を発揮することができる樹脂組成物を提供しようとするものである。
本発明は、基材樹脂と、平均アスペクト比2〜100のセラミック繊維とを含有する樹脂組成物であって、
該樹脂組成物は、上記基材樹脂を10〜90重量%、上記セラミック繊維を90〜10重量%含有し、
上記セラミック繊維は、α化率80%以上のアルミナ70〜99重量%と、無機バインダ成分30〜1重量%とを含有することを特徴とする樹脂組成物にある(請求項1)。
上記樹脂組成物は、上記基材樹脂と、平均アスペクト比2〜100の上記セラミック繊維を上記特定の割合で含有している。そして、上記セラミック繊維は、上記α化率のアルミナと無機バインダとを上記特定の比率で含有する。そのため、上記樹脂組成物は、優れた熱伝導性を発揮することができる。また、上記樹脂組成物は、上記セラミック繊維の含有量が少ない場合でも、比較的優れた熱伝導性を示すことができる。そのため、上記樹脂組成物は、熱伝導性と成形性とを比較的高いレベルで兼ね備えることができる。
また、上記アルミナと上記無機バインダ成分とを含有する上記セラミック繊維は、その作製時に比較的低い温度の加熱で製造できる。そのため、上記セラミック繊維の製造コストを抑制することができ、その結果上記樹脂組成物は、低コストで製造することができる。
このように、本発明によれば、比較的少ないセラミック繊維の添加量でも優れた熱伝導性を発揮することができる樹脂組成物を提供することができる。
次に、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
上記樹脂組成物は、上記基材樹脂を10〜90重量%、上記セラミック繊維を90〜10重量%含有する。上記基材樹脂が10重量%未満の場合又は上記セラミック繊維が90重量%を超える場合には、樹脂組成物の流動性が著しく損なわれ、上記樹脂組成物の成形が非常に困難になるおそれがある。一方、上記基材樹脂が90重量%を超える場合又は上記セラミック繊維が10重量%未満の場合には、樹脂組成物の熱伝導性が著しく損なわれてしまうおそれがある。
好ましくは、上記樹脂組成物は、上記基材樹脂を20〜40重量%、及び上記セラミック繊維を80〜60重量%含有することがよい(請求項2)。
この場合には、セラミック繊維の添加量が少量でも優れた熱伝導性を示すという本発明の作用効果をより顕著に発揮することができる。より好ましくは、上記樹脂組成物は、基材樹脂25〜40重量%及びセラミック繊維75〜60重量%を含有することがよい。この場合には、上記樹脂組成物は、熱伝導性と流動性とをより高いレベルで兼ね備えることができる。
上記セラミック繊維の平均アスペクト比は2〜100である。
平均アスペクト比が2未満の場合には、少ないセラミック繊維の添加量で、優れた熱伝導性を発揮できなくなるおそれがある。平均アスペクト比が100を超える場合には、上記樹脂組成物の流動性が低下し、射出成型における成形性が著しく低下するおそれがある。好ましくは、上記セラミック繊維の平均アスペクト比は3〜30であることがよい(請求項4)。
上記セラミック繊維の平均アスペクト比は、例えば以下のようにして測定することができる。
即ち、粒度・形状分布測定装置(例えば(株)セイシン企業製のPITA−1)を用い、水を分散媒として、セラミック繊維の繊維形状(最大長、最大垂直長、アスペクト比(アスペクト比=最大長/最大垂直長))及びその個数を計測する。そして、計測個数の度数平均値におけるアスペクト比をもって平均アスペクト比とする。
上記セラミック繊維の長軸長さは平均で10〜1000μmであることが好ましい(請求項5)。
上記セラミック繊維の長軸長さが平均で10μm未満の場合には、熱伝導性能を発現するための熱伝導系路(パーコレーション)が効率的に構成されなくなるおそれがある。一方、10000μmを越える場合には、分散不良及び流動性低下により成形性が悪くなるおそれがある。より好ましくは長軸長さの平均は30μm〜300μmがよい。
上記セラミック繊維の短軸長さは平均で2〜15μmであることが好ましい(請求項6)。
上記セラミック繊維の短軸長さが平均で2m未満の場合には、上記セラミック繊維の凝集等が起こりやすくなり、上記基材樹脂中における上記セラミック繊維の分散性が悪くなるおそれがある。一方、15μmを越える場合には、上記樹脂組成物において、熱伝導性能を発揮するための熱伝導経路が構成され難くなるおそれがある。より好ましくは短軸長さの平均は10μm〜15μmがよい。
上記セラミック繊維の長軸長さの平均及び短軸長さの平均は、上述の平均アスペクト比と同様に、粒度・形状分布測定装置(例えば(株)セイシン企業製のPITA−1)を用いて測定することができる。即ち、該粒度・形状分布測定装置により、水を分散媒として用いて、セラミック繊維の繊維形状(最大長(長軸長さ)、最大垂直長(短軸長さ))及びその個数を計測する。そして、計測個数の度数平均値における最大長及び最大垂直長をそれぞれ長軸長さの平均値及び短軸長さの平均値とする。
なお、最大長とは、測定粒子の任意の2点間の距離の最大の長さであり、最大垂直長とは、最大長に対して平行な2直線で測定粒子を挟んだときの2直線間の距離の最短距離である。
また、上記セラミック繊維は、アルミナ70〜99重量%と、無機バインダ成分30〜1重量%とを含有する。
アルミナが70重量%未満の場合又は無機バインダ成分が30重量%を越える場合には、上記樹脂組成物の熱伝導性能が低下するおそれがある。一方、アルミナが99重量%を超える場合又は無機バインダ成分が1重量%未満の場合には、上記セラミック繊維を形成する際に、非常に高い温度で焼成を行うことが必要になり、製造コストが増大するおそれがある。
上記無機バインダ成分は金属酸化物であることが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記セラミック繊維を形成する際に、より低温での繊維形成が可能になる。また、金属酸化物の中でもシリカが好ましい。
また、上記セラミック繊維中のアルミナのα化率は10%以上にすることができる
α化率が10%未満の場合には、上記樹脂組成物の熱伝導性が小さくなるおそれがある。また、少量の上記セラミック繊維で上記樹脂組成物の熱伝導性を向上させることが困難になるおそれがある。より好ましくはα化率は50%以上がよく、さらに好ましくは80%以上がよい。また、セラミック繊維の製造コストが増大するおそれがあるという観点から、α化率は99%以下がよく、より好ましくは98%以下がよい。
なお、アルミナのα化は、加熱により進行させることができる。そのため、α化率が低いアルミナを含有するセラミック繊維は、これを加熱させることによりそのα化率を向上させることができる。
上記セラミック繊維としては、具体的には例えばアルミナ粒子をシリカ等からなる無機バインダで繊維状にしたものを用いることができる。
上記基材樹脂は、ポリフェニレンサルファイド樹脂、エポキシ樹脂、又は液晶ポリマーを主成分とすることが好ましい(請求項7)。
ポリフェニレンサルファイド樹脂を主成分とする場合には、上記樹脂組成物の耐熱性を向上させ、高温時における上記樹脂組成物の熱変形を抑制することができる。
また、エポキシ樹脂を主成分とする場合には、熱硬化性樹脂というエポキシ樹脂の特性を生かして、上記樹脂組成物を発熱対象物に対して塗布して施工することが可能になる。そのため、上記樹脂組成物を複雑な形状の発熱対象物に適用することが可能になる。
また、液晶ポリマーを主成分とする場合には、上記樹脂組成物の成形性及び曲げ強度を向上させることができる。
(実施例1)
次に、本発明の実施例につき、説明する。
本例においては、基材樹脂とセラミック繊維とを含有する樹脂組成物を作製し、これを用いて成型体を作製し、その熱伝導性を評価する。
図1に示すごとく、本例の樹脂組成物1は、基材樹脂2を10〜90重量%、及び平均アスペクト比2〜100のセラミック繊維3を90〜10重量%含有する。セラミック繊維3は、α化率10%以上のアルミナ70〜99重量%と、無機バインダ成分30〜1重量%とを含有する。
以下、本例の樹脂組成物1の作製方法につき、説明する。
まず、アルミナ繊維として、三菱化学産資株式会社製のマフテックALSを準備した。このアルミナ繊維は、δアルミナを主成分とし、無機バインダーとしてシリカを含有する。
次いで、アルミナ繊維を大気下で温度1400℃で5時間加熱し、アルミナ繊維中のδアルミナのα化を進行させた。加熱はマッフル焼成炉中で行った。
次に、アルミナ繊維をボールミルを用いて粉砕し、アスペクト比10、平均の長軸長さ100μm、平均の短軸長さ10μmのセラミック繊維を得た。このセラミック繊維中のアルミナのα化率は95%であった。1400℃で保持したときの保持時間とδアルミナのα化率との関係を表1に示す。
また、このセラミック繊維は、αアルミナを95重量%、及びシリカを5重量%含有する。
Figure 0005200789

次に、ポリフェニレンサルファイド樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、LR−2G)80体積%とセラミック繊維20体積%とを、シリンダ温度を300℃に設定したシリンダ直径30mmの二軸同方向混練押出機にて混練し、押出を行い、ペレット状の樹脂組成物を得た。なお、押出時の押出機のスクリュー回転数は100rpmに設定した。得られたペレット状の樹脂組成物を温度120℃で3時間乾燥させた。その後、シリンダ温度320℃に設定した75t射出成型機にて樹脂組成物を板状の成型体(幅68mm、長さ90mm、厚さ2mm)に成型した。この成型体を試料E1とする。
なお、試料E1における基材樹脂とセラミック繊維との重量割合(重量%)をそれぞれの密度から算出したところ、基材樹脂60重量%、及びセラミック繊維40重量%であった。
また、本例においては、基材樹脂とセラミック繊維との配合割合を変えて5種類の樹脂組成物を作製し、これらを用いて5種類の成型体(試料E2〜試料E6)を作製した。
試料E2は、基材樹脂(ポリフェニレンサルファイド樹脂)70体積%とセラミック繊維30体積%とを用いた点を除いては上記試料E1と同様にして作製した。試料E2における基材樹脂とセラミック繊維との重量割合は、基材樹脂47重量%、セラミック繊維53重量%であった。
試料E3は、基材樹脂(ポリフェニレンサルファイド樹脂)60体積%とセラミック繊維40体積%とを用いた点を除いては上記試料E1と同様にして作製した。試料E3における基材樹脂とセラミック繊維との重量割合は、基材樹脂36重量%、セラミック繊維64重量%であった。
試料E4は、基材樹脂(ポリフェニレンサルファイド樹脂)50体積%とセラミック繊維50体積%とを用いた点を除いては上記試料E1と同様にして作製した。試料E4における基材樹脂とセラミック繊維との重量割合は、基材樹脂27重量%、セラミック繊維73重量%であった。
試料E5は、基材樹脂(ポリフェニレンサルファイド樹脂)40体積%とセラミック繊維60体積%とを用いた点を除いては上記試料E1と同様にして作製した。試料E5における基材樹脂とセラミック繊維との重量割合は、基材樹脂20重量%、セラミック繊維80重量%であった。
試料E6は、基材樹脂(ポリフェニレンサルファイド樹脂)30体積%とセラミック繊維70体積%とを用いた点を除いては上記試料E1と同様にして作製した。試料E6における基材樹脂とセラミック繊維との重量割合は、基材樹脂14重量%、セラミック繊維86重量%であった。
試料E1〜試料E6の基材樹脂とセラミック繊維との配合割合を後述の表2に示す。
また、本例においては、試料E1〜試料E6の比較用として、セラミック繊維の代わりにセラミック粒子を用いて樹脂組成物を作製し、これを用いて成型体を作製した。
具体的には、まず、セラミック粒子として、α化率95%のアルミナ粒子(平均粒径約
5μm、アスペクト比約1)を準備した。
次いで、上記試料E1と同様に、ポリフェニレンサルファイド樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、LR−2G)80体積%とセラミック粒子20体積%とを、二軸同方向混練押出機にて混練し、押出を行い、ペレット状の樹脂組成物を得た。さらに、上記試料E1と同様に、得られたペレット状の樹脂組成物を乾燥させた後、板状の成型体(幅68mm、長さ90mm、厚さ2mm)に成型した。これを試料C1とする。試料C1における基材樹脂とセラミック粒子との重量割合は、基材樹脂60重量%、セラミック粒子40重量%であった。
また、基材樹脂とセラミック粒子との配合割合を変えてさらに3種類の成型体(試料C2〜試料C4)を作製した。
試料C2は、基材樹脂(ポリフェニレンサルファイド樹脂)60体積%とセラミック粒子40体積%とを用いた点を除いては上記試料C1と同様にして作製した。試料C2における基材樹脂とセラミック粒子との重量割合は、基材樹脂36重量%、セラミック粒子64重量%であった。
試料C3は、基材樹脂(ポリフェニレンサルファイド樹脂)50体積%とセラミック粒子50体積%とを用いた点を除いては上記試料C1と同様にして作製した。試料C3における基材樹脂とセラミック粒子との重量割合は、基材樹脂27重量%、セラミック粒子73重量%であった。
試料C4は、基材樹脂(ポリフェニレンサルファイド樹脂)40体積%とセラミック粒子60体積%とを用いた点を除いては上記試料C1と同様にして作製した。試料C4における基材樹脂とセラミック粒子との重量割合は、基材樹脂20重量%、セラミック粒子80重量%であった。
試料C1〜試料C4の基材樹脂とセラミック粒子との配合割合を後述の表2に示す。
次に、上記試料E1〜試料E6及び試料C1〜試料C4について、熱伝導率の測定を行った。熱伝導率の測定は以下のようにして行った。
即ち、各試料E1〜E6及びC1〜C4の成型体から直径φ10mm、厚さ2mmの円盤状のサンプルを切り出し、このサンプルについて(株)アルバック製のTC−7000H/SB−2を用いて、レーザーフラッシュ法にて熱伝導率を測定した。
その結果を表2に示す。
Figure 0005200789
表2より知られるごとく、試料E1〜試料E6は、試料C1〜試料C4に比べて少ないセラミック繊維の添加量でより優れた熱伝導性を発揮できることがわかる。
また、試料E1、試料E3、試料E5、及び試料C1〜試料C4の作製に用いた樹脂組成物については、メルトフローレート(MFR)を測定した。
具体的には、各試料(試料E1、試料E3、試料E5、及び試料C1〜試料C4)の成型前の樹脂組成物のMFRを、東洋精機(株)製のメルトフローインデクサーC−5059D2を用いて測定した。測定条件は、温度:290℃、荷重:2.16kg(シリンダ荷重を含む)とした。また、測定値は、10分間に押出される樹脂組成物の体積で示す。その結果を上述の表1に併記した。
表1より知られるごとく、セラミック繊維を用いて作製した(試料E1、試料E3、及び試料E5)は、セラミック粒子を用いて作製した(試料C1〜試料C4)に比べて、熱伝導性と流動性を高いレベルで兼ね備えていることがわかる。具体的には、試料E3と試料C4とを比較すると、これらは互いにほぼ同等レベルの熱伝導率を示すが、MFRは試料E3の方が高く、流動性に優れている。
このように本例によれば、比較的少ないセラミック繊維の添加量でも優れた熱伝導性を発揮することができる樹脂組成物を提供することができる。
(実施例2)
本例は、基材樹脂としてエポキシ樹脂を用いて樹脂組成物を作製する例である。
具体的には、まず、基材樹脂として、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製のJER 828)100重量部と、硬化剤(酸無水物系硬化剤、ジャパンエポキシレジン株式会社製のJER YH300)80重量部、硬化促進剤(2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール、ジャパンエポキシレジン株式会社製のJER EMI24)2重量部との混合物を準備した。
次に、基材樹脂60体積%(31重量%)と、実施例1と同様のセラミック繊維(α化率95%のアルミナ繊維)40体積%(69重量%)とを混合して樹脂組成物を作製した。これを金型に注型し、温度:120℃、圧力:10MPa、時間:1時間という条件で硬化させ、幅40mm、長さ40mm、厚み10mmの成型体を得た。この成型体を試料E7とする。
また、試料E7とは、基材樹脂とセラミック繊維との配合割合を変えて樹脂組成物を作製し、これを成形して成型体(試料E8)を作製した。
試料E8は、基材樹脂(エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤の混合物)45体積%(20重量%)とセラミック繊維55体積%(80重量%)とを用いた点を除いては上記試料E7と同様にして作製した。
次に、本例においては、試料E7及び試料E8の比較用として、α化率が0%のセラミック繊維、即ちδ−アルミナからなるセラミック繊維を用いて2種類の樹脂組成物を作製し、これを用いて成型体(試料C5及び試料C6)を作製した。
試料C5は、α化率0%のセラミック繊維(三菱化学産資株式会社製のマフテックMLS−2、アスペクト比10、平均の長軸長さ100μm、平均の短軸長さ10μm)を用いた点を除いては、上記試料E7と同様にして作製した。
また、試料C6は、上記試料C5と同様のセラミック繊維を用い、上記試料E8と同様の配合割合で基材樹脂とセラミック繊維とを配合した点を除いては、上記試料E7と同様にして作製した。
試料E7、試料E8、試料C5、及び試料C6における基材樹脂とセラミック繊維との配合割合を後述の表3に示す。
次に、上記試料E7、試料E8、試料C5、及び試料C6について、実施例1と同様にして熱伝導率の測定を行った。その結果を表3に示す。
Figure 0005200789
表3より知られるごとく、α化率の高いセラミック繊維を用いて作製した試料E7及び試料E8は、α化率0%のセラミック繊維を用いて作製した試料C5及び試料C6に比べて高い熱伝導率を示した。したがって、試料E7及び試料E8は優れた熱伝導性を発揮できることがわかる。
また、本例においては、実施例1のPPS樹脂の代わりにエポキシ樹脂を用いたが、この場合にも、熱伝導性に優れた樹脂組成物を作製できることがわかる。
(実施例3)
本例は、基材樹脂として液晶ポリマーを用いて樹脂組成物を作製する例である。
具体的には、まず、基材樹脂として、液晶ポリマー(三菱エンジニアプラスチックス株式会社製のノバキュレートE345)を準備した。この基材樹脂80体積%と、実施例1と同様のセラミック繊維(α化率95%、アスペクト比10、平均の長軸長さ100μm、平均の短軸長さ10μmのアルミナ繊維)20体積%とを、シリンダ温度を300℃に設定したシリンダ直径30mmの二軸同方向混練押出機にて混練し、押出を行い、ペレット状の樹脂組成物を得た。なお、押出機のスクリュウ回転数は100rpmに設定した。
得られたペレット状の樹脂組成物を温度120℃で3時間乾燥させた。その後、シリンダ温度300℃に設定した75t射出成型機にて樹脂組成物を板状の成型体(幅68mm、長さ90mm、厚さ2mm)に成型した。この成型体を試料E9とする。
なお、試料E9における基材樹脂とセラミック繊維との重量割合(重量%)をそれぞれの密度から算出したところ、基材樹脂61重量%、及びセラミック繊維39重量%であった。
また、本例においては、上記試料E9とは、基材樹脂とセラミック繊維との配合割合が異なる樹脂組成物を作製し、これを成型して成型体(試料E10)を作製した。
試料E10は、基材樹脂(液晶ポリマー)を60体積%(37重量%)、及びセラミック繊維を40体積%(63重量%)用いた点を除いては上記試料E9と同様にして作製した。
上記試料E9及び上記試料E10の基材樹脂とセラミック繊維との配合割合を後述の表4に示す。
また、本例においては、試料E9及び試料E10の比較用として、セラミック繊維の代わりにセラミック粒子を用いて樹脂組成物を作製し、これを用いて成型体を作製した。
具体的には、まず、セラミック粒子として、実施例1と同様に、α化率95%のアルミナ粒子(平均粒径約5μm、アスペクト比約1)を準備した。
次いで、液晶ポリマー(三菱エンジニアプラスチックス株式会社製のノバキュレートE345)80体積%(61重量%)とセラミック粒子20体積%(39重量%)とを、シリンダ温度を300℃に設定したシリンダ直径30mmの二軸同方向混練押出機にて混練し、押出を行い、ペレット状の樹脂組成物を得た。上記試料E9の場合と同様に、得られたペレット状の樹脂組成物を乾燥させた後、板状の成型体(幅68mm、長さ90mm、厚さ2mm)に成型した。これを試料C7とする。
また、本例においては、上記試料C7とは、基材樹脂とセラミック粒子との配合割合が異なる樹脂組成物を作製し、これを成型して成型体(試料C8)を作製した。
試料C8は、基材樹脂(液晶ポリマー)を60体積%(37重量%)、及びセラミック繊維を40体積%(63重量%)用いた点を除いては上記試料C7と同様にして作製した。
上記試料C7及び上記試料C8の基材樹脂とセラミック粒子との配合割合を後述の表4に示す。
次に、上記試料E9、試料E10、試料C7、及び試料C8について、実施例1と同様にして熱伝導率の測定を行った。その結果を表4に示す。
Figure 0005200789
表4より知られるごとく、セラミック繊維を用いて作製した(試料E9及び試料E10)は、セラミック粒子を用いて作製した(試料C7及び試料C8)に比べて、少ないセラミック繊維の添加量でより優れた熱伝導性を発揮できることがわかる。
また、本例においては、実施例1のPPS樹脂の代わりに液晶ポリマーを用いたが、この場合にも、熱伝導性に優れた樹脂組成物を作製できることがわかる。
実施例1にかかる、樹脂組成物の構成を示す説明図。
符号の説明
1 樹脂組成物
2 基材樹脂
3 セラミック繊維

Claims (7)

  1. 基材樹脂と、平均アスペクト比2〜100のセラミック繊維とを含有する樹脂組成物であって、
    該樹脂組成物は、上記基材樹脂を10〜90重量%、上記セラミック繊維を90〜10重量%含有し、
    上記セラミック繊維は、α化率80%以上のアルミナ70〜99重量%と、無機バインダ成分30〜1重量%とを含有することを特徴とする樹脂組成物。
  2. 請求項1において、上記樹脂組成物は、上記基材樹脂を20〜40重量%、及び上記セラミック繊維を80〜60重量%含有することを特徴とする樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2において、上記無機バインダ成分は、金属酸化物であることを特徴とする樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において、上記セラミック繊維の平均アスペクト比は3〜30であることを特徴とする樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項において、上記セラミック繊維の長軸長さは平均で10〜1000μmであることを特徴とする樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項にいおいて、上記セラミック繊維の短軸長さは平均で2〜15μmであることを特徴する樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項において、上記基材樹脂は、ポリフェニレンサルファイド樹脂、エポキシ樹脂、又は液晶ポリマーを主成分とすることを特徴とする樹脂組成物。
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