JP5199742B2 - ステアリング装置 - Google Patents

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本発明は、可変伝達比機構により転舵輪の転舵角に対する操舵ハンドルの操舵角の伝達比を変化させるとともに、電動パワーステアリングにより操舵時の補助力を発生させるステアリング装置に関する。
従来から、可変伝達比機構と電動パワーステアリングとを備えたステアリング装置が提案されている。可変伝達比機構によれば、駐車操作時などの低車速域で、伝達比(=ハンドル角/転舵角)を小さく(クイックレシオ化)設定することで、少ない操舵ハンドルの操舵で転舵輪を大きく転舵できるので、運転者の操作負担が軽減され、利便性を向上させることができる。
高車速域では、伝達比を大きく(スローレシオ化)設定することで、操舵ハンドルを大きく操舵しても転舵輪は少し転舵するだけなので、ヨーレート応答特性が改善され、車両の走行安定性を向上させることができる。また、電動パワーステアリングによれば、操舵補助力を発生するので操舵ハンドルを軽く操作するだけで転舵輪を転舵させることができる。
このような可変伝達比機構と電動パワーステアリングとを備えたステアリング装置において、低車速域でクイックレシオ化している場合に、運転者が速い操舵で操舵ハンドルを切ろうとすると、電動パワーステアリングでは、転舵輪を大きく速く転舵できるように補助力を発生させようとするが、電動パワーステアリングの動力源であるEPS(Electric Power Steering)モータ(アシストモータ)で逆起電圧の影響による補助力不足が生じ、操舵力が重くなってしまう場合がある。
そこで、このような場合に、伝達比がスローレシオ化する方向へ変更されるように、伝達比の目標値とする目標伝達比をリアルタイムで変更することで、操舵力が重くなるのを回避する手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−344120号公報
しかし、従来の手法では、例えば、速い−遅い−速いというような操舵ハンドルの操舵操作に対し、操舵反力がうねるように変動してしまう現象、又は、急激かつ大きな操舵速度で操舵ハンドルを回し始めると、操舵操作の最初に操舵反力が大きくなり、操舵ハンドルの操舵が引っかかり気味(詰まり気味)になるというような現象が発生しうると考えられた。
これらの現象が発生すると、運転者は、操舵ハンドルの操作感覚に違和感を抱いてしまうおそれがある。
また、大きな操舵速度で操舵ハンドルを回すと、可変伝達比機構に用いられる伝達比可変用モータの出力トルクによって、目標伝達比に対して実際の伝達比が迅速に追従できない場合に、運転者が操舵ハンドルの操舵操作を終えてからも、それ以前の操舵方向に転舵輪の転舵が継続されるというような、操舵ハンドルの操作感覚に違和感を抱いてしまうおそれがある。
そこで、本発明は、低車速域でクイックレシオ化している場合に、運転者が速い操舵速度で操舵ハンドルを切っても、快適な操舵が可能なステアリング装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、可変伝達比機構により転舵輪の転舵角に対する操舵ハンドルの操舵角の伝達比を変化させるとともに、電動パワーステアリングにより操舵時の補助力を発生させるステアリング装置において、前記伝達比が車速に応じた目標伝達比に設定されるように、前記可変伝達比機構に用いられる伝達比可変用モータの回転角度を設定する伝達比調整モードと、前記操舵ハンドルの操舵力が低減するように、前記伝達比可変用モータを駆動する電流を低減させる操舵トルク調整モードと、を切り替える切替手段と、前記操舵ハンドルの操作状態を示す操舵操作状態情報を取得する操舵操作状態情報取得手段と、を有し、前記切替手段は、前記操舵ハンドルの操舵トルク値にもとづいて算出されるモード切替判定値が所定の閾値以上の場合に、前記伝達比調整モードから前記操舵トルク調整モードへの切り替えを行い、この切り替えの際に、前記操舵操作状態情報取得手段で取得した操舵操作状態情報と、当該操舵操作状態情報を変数にした連続関数とにもとづき補正係数を設定し、前記操舵トルク調整モードの場合における第1の目標電流値に、前記設定された補正係数を乗算して得られる補正後の第2の目標電流値を前記伝達比可変用モータへの電流値とする一方、前記モード切替判定値が前記所定の閾値に満たないときであって、前記操舵トルク調整モードに切り替えられており、かつ、今回の前記第1の目標電流値と、前回の前記第2の目標電流値との差分の絶対値が、所定の電流閾値以下の場合に、前記操舵トルク調整モードから前記伝達比調整モードへ戻す切り替えを行い、前記伝達比調整モードから前記操舵トルク調整モードへ切り替える場合に、前記伝達比可変用モータへの電流値が連続的に変化するように制御することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、伝達比調整モードにより、伝達比を車速に応じた目標伝達比に設定することができるので、低車速域で、目標伝達比を小さく(クイックレシオ化)設定し、伝達比を目標伝達比に一致するように制御することで、伝達比をクイックレシオ化できる。高車速域では、目標伝達比を大きく(スローレシオ化)設定し、伝達比を目標伝達比に一致するように制御することで、伝達比をスローレシオ化できる。
また、低車速域でクイックレシオ化している場合に、運転者が速い操舵で操舵ハンドルを切ると、切替手段によって、伝達比調整モードから操舵トルク調整モードに切り替わり、伝達比可変用モータを駆動する電流を調整して操舵ハンドルの操舵反力を低減できる。
具体的には、切り替わった操舵トルク調整モードでは、操舵反力は伝達比可変用モータを駆動する電流によって影響されるが、この電流は操舵トルク値を低減するように調整されるので操舵反力は重くならず、例えば、速い−遅い−速いというようなハンドル操舵に対し、操舵反力がうねるように変動することはない。また、例えば、急激かつ大きな操舵速度で操舵ハンドルを回し始めると、最初だけ操舵反力が大きくなりハンドル操舵が引っかかり気味(詰まり気味)になるというような事象も、伝達比可変用モータを駆動するために流れる電流を調節することにより生じない。
さらに、伝達比調整モードから操舵トルク調整モードに切り替わるときに、伝達比可変用モータへの電流値を伝達比調整モード時の電流値から連続的に変化するように制御するので、切り替わり時に操舵反力の急変を生じず、運転者に違和感を与えない。
そして、モード切替判定値が所定の閾値に満たないときであって、操舵トルク調整モードに切り替えられており、かつ、今回の第1の目標電流値と、前回の第2の目標電流値との差分の絶対値が、所定の電流閾値以下の場合に、操舵トルク調整モードから伝達比調整モードへ戻す切り替えを切替手段が行うため、操舵反力のジャンプを運転者に感じさせずに、快適な操舵感を実現することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記モード切替判定値は、前記操舵トルク値に該操舵トルク値を時間微分した操舵トルク微分値を加算した合算値の絶対値であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、モード切替判定値は、操舵トルク値に該操舵トルク値を時間微分した操舵トルク微分値を加算した合算値の絶対値であるため、伝達比調整モードから操舵トルク調整モードへの切り替えタイミングを運転者のハンドル操舵操作に応じて微調整することができる。
前記請求項に記載の発明における操舵操作状態情報とは、操舵ハンドルの操舵速度(請求項3に対応)、操舵トルク値(請求項4に対応)、電動パワーステアリングに用いられ補助力の発生源となるアシストモータへの指示電流値(請求項5に対応)のいずれかであることが好ましい。
前記補正係数の設定において操舵操作状態情報を変数とした連続関数を用い、例えば、操舵速度が大きいほど操舵反力は増加するので補正係数を小さくするように連続的に設定したり、操舵トルク値が大きいほど補正係数を小さくするように連続的に設定したり、アシストモータへの指示電流値が大きいほど補正係数を小さくするように連続的に設定したりすることで、伝達比調整モードから操舵トルク調整モードへ切り替わる前後、及びそれ以降の伝達比可変用モータへの電流値をジャンプすることなく連続的に制御できるので、切り替わり時に操舵反力の急変を生じず、運転者に違和感を与えない。
請求項6に記載の発明は、可変伝達比機構により転舵輪の転舵角に対する操舵ハンドルの操舵角の伝達比を変化させるとともに、電動パワーステアリングにより操舵時の補助力を発生させるステアリング装置において、前記伝達比が車速に応じた目標伝達比に設定されるように、前記可変伝達比機構に用いられる伝達比可変用モータの回転角度を設定する伝達比調整モードと、前記操舵ハンドルの操舵力が低減するように、前記伝達比可変用モータを駆動する電流を低減させる操舵トルク調整モードと、を切り替える切替手段と、前記操舵ハンドルの操作状態を示す操舵操作状態情報を取得する操舵操作状態情報取得手段と、を有し、前記切替手段は、前記操舵ハンドルの操舵トルク値にもとづいて算出されるモード切替判定値が所定の閾値以上の場合に、前記伝達比調整モードから前記操舵トルク調整モードへの切り替えを行い、この切り替えの際に、前記操舵操作状態情報取得手段で取得した操舵操作状態情報と、当該操舵操作状態情報を変数にした連続関数とにもとづき補正係数を設定し、前記操舵トルク調整モードの場合における第1の目標電流値に、前記設定された補正係数を乗算して得られる補正後の第2の目標電流値を前記伝達比可変用モータへの電流値とする一方、前記モード切替判定値が前記所定の閾値に満たないときであって、前記操舵トルク調整モードに切り替えられており、かつ、今回の前記第1の目標電流値と、前回の前記第2の目標電流値との差分の絶対値が、所定の電流閾値以下の場合に、前記操舵トルク調整モードから前記伝達比調整モードへ戻す切り替えを行い、前記操舵ハンドルの操舵が停止した場合、又は操舵方向が切り替わった場合には、それ以前の操舵方向に前記転舵角が増加しないように、前記伝達比可変用モータの電流を制御することを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、大きな操舵速度で操舵ハンドルを回し、可変伝達比機構に用いられる伝達比可変用モータの出力トルクによって、目標伝達比に対して実際の伝達比が迅速に追従できないときでも、運転者が操舵ハンドルの操舵操作を終えた場合、又は操舵方向が切り替わった場合には、それ以前の操舵方向への転舵輪の転舵が継続されないので、運転者に違和感を与えない。
また、モード切替判定値が所定の閾値に満たないときであって、操舵トルク調整モードに切り替えられており、かつ、今回の第1の目標電流値と、前回の第2の目標電流値との差分の絶対値が、所定の電流閾値以下の場合に、操舵トルク調整モードから伝達比調整モードへ戻す切り替えを切替手段が行うため、操舵反力のジャンプを運転者に感じさせずに、快適な操舵感を実現することができる。
本発明によれば、低車速域でクイックレシオ化している場合に、運転者が速い操舵速度で操舵ハンドルを切っても、快適な操舵が可能であると共に、操舵トルク調整モードから伝達比調整モードへ戻す切り替えを行う際に、操舵反力のジャンプを運転者に感じさせずに、快適な操舵感を実現可能なステアリング装置を提供することができる。
《第1の実施形態》
次に、図1から図4を参照しながら本発明の第1の実施形態に係るステアリング装置について説明する。
(ステアリング装置)
先ず、図1を参照しながら適宜図3を参照して、ステアリング装置全体の構成を説明する。図2は可変伝達比機構制御ECUの機能構成ブロック図であり、図3は車速に応じて設定される目標伝達比の値を示す図である。
図1は第1の実施形態に係るステアリング装置の概略構成図である。
図1に示すように、ステアリング装置1は、操舵ハンドル2と、ラック&ピニオン機構3と、電動パワーステアリング装置(電動パワーステアリング)4と、可変伝達比機構5、とを備えている。
電動パワーステアリング装置4は、操舵ハンドル2の回転軸に掛かる操舵トルクを検出するトルクセンサ21と、転舵輪の転舵角を変えるラックを駆動して補助力の発生源となるEPSモータ23(アシストモータ)と、EPSモータ23を駆動制御するEPS ECU25とを有している。
可変伝達比機構5は、操舵ハンドル2の回転軸とラック&ピニオン機構3のそれぞれに連結する差動ギアとしての遊星歯車機構31と、転舵輪の転舵角に対する操舵ハンドル2の操舵角(以下、操舵ハンドル角と称する)の伝達比を変化させるために遊星歯車機構31のリングギアを回動させる伝達比可変用モータ33と、伝達比可変用モータ33を駆動制御する可変伝達比機構制御ECU9を有している。
なお、後記するように第1の実施形態では可変伝達比機構制御ECU9A(図2参照)、第2の実施形態では可変伝達比機構制御ECU9C(図10参照)と、符号を使い分けるが、ここでは代表的に可変伝達比機構制御ECU9と表示する。
トルクセンサ21は、操舵ハンドル2と遊星歯車機構31との間に設けられ、操舵ハンドル2にかかる操舵トルクを検出して、操舵トルク値ThをEPS ECU25に入力する。トルクセンサ21で計測された操舵トルク値Thは、可変伝達比機構制御ECU9Aにも入力されるが、具体的には、可変伝達比機構制御ECU9AとEPS ECU25との間を結ぶ通信回線10を介して可変伝達比機構制御ECU9Aに入力される。
操舵トルク値Thは、EPS ECU25では補助力の方向や大きさの決定、具体的には、EPS用指示電流を決定するのに利用され、EPS ECU25に含まれるEPSモータ23を駆動する図示しない駆動回路においてEPS用指示電流にもとづいてEPS用指示Dutyを生成し、EPSモータ23をPWM(Pulse Width Modulation)駆動する。
操舵トルク値Thは、可変伝達比機構制御ECU9Aでは、後記する伝達比調整モードから操舵トルク調整モードへの切り替えに利用される。
可変伝達比機構5の遊星歯車機構31のサンギアには操舵ハンドル2の回転軸が接続され、キャリアにはピニオン軸が接続し、リングギアの外側には伝達比可変用モータ33のロータ軸に固定されたギアと噛み合う外歯ギアが設けられている。
伝達比可変用モータ33にはそのロータ軸の回転角度(以下、「実モータ角」と称する)θvmを検出するためのモータ角センサ35が設けられ、その信号が可変伝達比機構制御ECU9Aに入力される。
また、可変伝達比機構制御ECU9Aが、操舵ハンドル2の操舵ハンドル角(操舵角)θhと転舵輪の転舵角の比(伝達比)Gを設定する場合、本実施形態では、転舵角と一意に対応するピニオン軸の回転角であるピニオン角θPを、転舵角の代わりに用いるものとする。そのため、ラック&ピニオン機構3を収容する図示しないギアボックスには、ピニオン角θPを検出するためのピニオン角センサ7が設けられ、その信号が可変伝達比機構制御ECU9Aに入力される。
更に、可変伝達比機構制御ECU9Aには、図示省略の車速センサが取得した車速VSが、例えば、通信回線10を介して入力される。
そして、可変伝達比機構制御ECU9Aは、図3に示すように車速VSが低車速域であれば、目標伝達比GTを小さく(クイックレシオ化)設定し、又、車速VSが高車速域であれば、目標伝達比GTを大きく(スローレシオ化)設定し、伝達比をその目標伝達比GTに一致するように伝達比可変用モータ33に流す電流を制御するための目標電流値を制御している。
操舵ハンドル2は、可変伝達比機構5に連結し、可変伝達比機構5から出力されるピニオン軸の回転は、電動パワーステアリング装置4によるピニオン軸の回転補助と連結しているので、操舵ハンドル角θhに対し、伝達比可変用モータ33の実モータ角θvmを重畳させ、ピニオン角θPを増減可能にすることができる。ピニオン角θP、操舵ハンドル角θh、実モータ角θvmの間には、機械的拘束関係によって、次式の関係が成り立っている。
θP=α・θh+β・θvm ・・・・・・・・・・・・・・(1)
ここで、α、βは定数である。
そして、伝達比Gは、次式で定義されるので、
G=θh/θP ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
目標伝達比GTとそのときの操舵ハンドル角θhから目標ピニオン角θTPは次式のように表される。
θTP=(1/GT)θh ・・・・・・・・・・・・・・(3)
そして、式(3)のθTPを式(1)のθPの代わりに代入すると、伝達比可変用モータ33の目標モータ角θTvmは次式のように求まる。
θTvm=(1/β)・{(1/GT)−α}θh ・・・・(4)
(可変伝達比機構制御ECU)
次に、図2から図4を参照しながら可変伝達比機構制御ECUの詳細な機能構成について説明する。図4は操舵ハンドル角速度の絶対値に応じて設定される補正係数の値を示す図である。
図2に示すように可変伝達比機構制御ECU9Aは、CPU9aと、図示しないROM,RAM等のメモリと、図示しない入出力回路と、CPU9aに制御されてバッテリ電源から伝達比可変用モータ33に給電するモータ駆動回路17を含んでいる。モータ駆動回路17には、伝達比可変用モータ33に給電される実電流値を検出する電流センサ18が設けられている。
前記したROMには可変伝達比制御用のプログラム及びデータが格納されており、CPU9aにおいてそのプログラムを実行することによって、図2に示した機能構成ブロックの各機能が実現される。
ちなみに、CPU9aに入力された操舵ハンドル角θhに対しては、図2に示す機能構成ブロック図では図示省略してあるが、操舵ハンドル角θhを時間微分して操舵ハンドル角速度(操舵速度)ωhを刻々算出し、後記する補正係数設定部20に入力する図示しない操舵ハンドル角速度算出部を有する。
可変伝達比機構制御ECU9Aでは、伝達比調整モードと、操舵トルク調整モードの2つのモードを切り替えて、伝達比可変用モータ33の制御が行われる。先ず、伝達比調整モードについて説明し、次に、操舵トルク調整モードについて説明する。
(伝達比調整モード)
伝達比調整モードについて説明する。先ず、目標伝達比設定部11では、車両の車速VSに応じた目標伝達比GTが設定され、目標モータ角設定部12Aへ出力される。車速VSが低車速域であれば、図3に示すように目標伝達比GTを小さく(クイックレシオ化)設定し、車速VSが高車速域であれば、目標伝達比GTを大きく(スローレシオ化)設定する。
次に、目標モータ角設定部12Aでは、入力した目標伝達比GTを達成するための、伝達比可変用モータ33の目標モータ角θTvmを前記した式(4)にもとづいて、現在の操舵ハンドル角θhから算出して設定する。
減算部13では、目標モータ角θTvmから、モータ角センサ35から出力された実モータ角θvmを減算し、減算結果を位置フィードバック制御部14(以下、位置F/B制御部14と称する)に入力する。位置F/B制御部14では、減算結果がゼロになるように、すなわち、目標モータ角θTvmに実モータ角θvmが一致するように、換言すれば目標伝達比GTに伝達比Gが一致するように、目標電流値(第1の目標電流値)IT1を調整し、乗算部19に出力する。
ここで、目標電流値IT1には、絶対値の上限を規定する制限値が設けられている。
乗算部19では、伝達比調整モードにおいては、補正係数設定部20から入力される補正係数K1=1.0を用い、伝達比可変用モータ33への電流値として目標電流値IT1の値をそのまま目標電流値(第2の目標電流値)IT2として減算部15へ出力する。
補正係数設定部20の詳細な機能については、後記するトルク調整モードの中で説明する。
減算部15では、目標電流値(第2の目標電流値)IT2から、電流センサ18で検出された伝達比可変用モータ33への実電流値Imを減算し、減算結果を電流フィードバック制御部16(以下、電流F/B制御部16と称する)に入力する。電流F/B制御部16では、減算結果がゼロになるように、すなわち、目標電流値IT2に実電流値Imが一致するように、モータ駆動回路17へ出力する伝達比可変用指示電流を調整しモータ駆動回路17に出力する。
モータ駆動回路17より駆動電流を伝達比可変用モータ33に供給することで、伝達比可変用モータ33は、回転して実モータ角θvmが変化する。モータ角センサ35で検出された実モータ角θvmは、減算部13へ出力される。
このように、伝達比調整モードにおいては、実モータ角θvmのフィードバックと実電流値Imのフィードバックとが行われるので、実モータ角θvmを目標モータ角θTvmに一致させることができる、換言すれば、伝達比Gを目標伝達比GTに一致させることができる。
(トルク調整モード)
次に、操舵トルク調整モードについて図5のフローチャート参照しながら適宜図1、図2、図4を参照して説明する。図5は補正係数設定部における伝達比調整モードとトルク調整モードとの間の切り替え制御及び、トルク調整モードにおける第2の目標電流値の設定制御の流れを示すフローチャートである。
操舵トルク調整モードでは、操舵ハンドル2(図1参照)の操舵力が低減するように、補正係数設定部20において補正係数K1を設定し、乗算部19に出力し、前記伝達比可変用指示電流を調整する点が前記した伝達比調整モードと異なるだけで、他は伝達比調整モードと同じである。伝達比調整モードと重複する部分は説明を省略する。
先ず、補正係数設定部20の機能を詳細に説明する。図2に示すように補正係数設定部20は、トルクセンサ21からの操舵トルク値Th、図示しない車速センサからの車速VS、操舵ハンドル角速度ωhが入力される。補正係数設定部20では、操舵トルク値Thにもとづいて、後記するモード切替判定値を算出し、算出されたモード切替判定値が所定の閾値以上の場合には、伝達比調整モードから操舵トルク調整モードに切り替え、操舵トルク調整モードにおいてROMに格納された車速VSに応じた連続関数(図4参照)のデータを参照して、操舵ハンドル角速度の絶対値|ωh|に対する補正係数K1を設定する。
図4に示す操舵ハンドル角速度(操舵操作状態情報)の絶対値|ωh|を変数とする補正係数K1を決める連続関数は、操舵ハンドル角速度の絶対値|ωh|が0から所定の閾値ωhthまでは、補正係数K1=+1.0を示し、所定の閾値ωhthを超えると補正係数K1が減少し、−1.0に達すると−1.0で飽和する特性を示している。
補正係数K1にマイナス値を許容することで、目標電流値IT1に補正係数K1が乗算部19で乗算された結果の目標電流値IT2が目標電流値IT1の方向と逆転することを許容する。つまり、クイックレシオ方向への伝達比可変用モータ33の目標モータ角θTvmをスローレシオ方向への伝達比可変用モータ33の目標モータ角θTvmへ変更することを許容し、操舵反力を低減させる。
ここで、閾値ωhthは、車速VSに応じて変化し、車速VSが小さいほど閾値ωhthの値は小さく設定され、車速VSが大きいほど閾値ωhthの値は大きく設定される。
これは、目標伝達比設定部11で設定される目標伝達比GTが、車速VSが小さいほど目標伝達比GTを小さく、つまり、クイックレシオ側に設定するので、クイックレシオの度合いが強いほど、操舵ハンドル角速度の絶対値|ωh|が小さくても電動パワーステアリング装置4のEPSモータ23が追従できない傾向があるためである。
なお、操舵ハンドル角速度の絶対値|ωh|が所定の閾値ωhthを超えた領域での補正係数K1の傾きも車速VSに応じて変化させても良い。
次に、図5を参照し、適宜図2を参照しながら補正係数設定部20における補正係数K1の設定、及び乗算部19における目標電流値IT2を出力する制御の流れを説明する。
以下に説明するフローチャートのステップS01からステップS13は補正係数設定部20において処理され、ステップS14,S15は乗算部19において処理される。ちなみに、ステップS16は、CPU9aにおける全体制御の中で行われる。
イグニッション・スイッチ(IG)がオンされると、可変伝達比機構制御ECU9Aは起動し、CPU9a(図2参照)において可変伝達比機構制御用のプラグラムがスタートすると、初期設定として伝達比調整モードの状態(IFLAG=0)であるかトルク調整モードの状態(IFLAG=1)であるかを示すフラグをリセットし、伝達比調整モードフラグとする(ステップS01、IFLAG=0)。そして、以後一定の周期でステップS02〜S16を繰り返し処理する。
ステップS02では、車速VS、操舵角速度ωh、操舵トルク値Th、位置F/B制御部14から出力された目標電流値IT1を読み込む。
ステップS03では、操舵トルク値Thにもとづいてモード切替判定値T*を算出する。例えば、モード切替判定値T*として操舵トルク値Thの絶対値をそのまま使用せず、これに操舵トルク値Thを時間微分した操舵トルク微分値を加算したものの絶対値を用いる。操舵トルク値Thに操舵トルク微分値を加算したものの絶対値をモード切替判定値T*とすることで、運転者のハンドル操舵操作に応じて、伝達比可変用指示電流の伝達比調整モードからトルク調整モードへの切り替えタイミングを微調整できる。
つまり、操舵ハンドル2の急速な操舵操作により、操舵トルク値Thの絶対値が急上昇してモード切替判定値T*の閾値XTに達するよりも早い時点で、急速な操舵操作を検出して、トルク調整モードに切り替えることができる。
これは、車速VSをある値の低速状態で、そして、同じ操舵角速度ωhを仮定しても、路面の状態、乾燥しているか、濡れているか、舗装された路面か、舗装されていない地面か等の条件により転舵輪が転舵する時に必要な力が異なり、EPSモータ23の補助力が迅速に追従できない状態に柔軟に対処できるように、早めに伝達比調整モードからトルク調整モードに切り替えさせるためである。
このようにすることで、ハンドル操舵反力が急激に重くなるのを早目に回避することができる。
ステップS04では、ステップS03で算出されたモード切替判定値T*が閾値XT以上か否かをチェックする。モード切替判定値T*が閾値XT以上の場合(Yes)はステップS06へ進み、モード切替判定値T*が閾値XT未満の場合(No)はステップS05へ進む。
最初は運転者が操舵ハンドル2の操舵操作をしていないか、操舵操作をしていても操舵角速度ωhの絶対値が小さいので、操舵トルク値Thと操舵トルク微分値の合算値の絶対値(モード切替判定値)T*は閾値XT未満であり、ステップS05へ進む。
ステップS05では、IFLAG=1か否かをチェックする。IFLAG=1の場合(Yes)はステップS11へ進み、IFLAG≠1の場合(No)はステップS13へ進む。ここではステップS01においてIFLAG=0なのでステップS13へ進み、補正係数K1=1.0とし、ステップS14へ進む。
ステップS14では、IT2=K1×IT1とし、IT2を目標電流値として減算部15(図2参照)に出力する(ステップS15)。そして、ステップS16へ進み、イグニッション・スイッチがオフされているか否か(IG OFF?)をチェックし、IG OFFの場合(Yes)は、一連の制御を終了し、IG OFFでない場合(No)はステップS02に戻り、ステップS02〜S16を繰り返す。
ステップS04においてYesで、ステップS06に進んだ場合、IFLAG=1とし、トルク調整モードの状態を示すフラグを立て、ステップS02で読み込んだ車速VSに応じた補正係数データを参照する(ステップS07)。具体的には、例えば、図4に示したような補正係数K1を決定する操舵角速度の絶対値|ωh|を変数とする連続関数が、所定の車速VSの異なる値に対して数種類用意され、ステップS02で読み込んだ車速VSの値に応じて内挿補間して、所望の連続関数が得られる。
ステップS08では、操舵ハンドル角速度の絶対値|ωh|が閾値ωhth以上か否かをチェックする。閾値ωhth以上の場合(Yes)はステップS10へ進み、閾値ωhth未満の場合(No)はステップS09へ進む。
この場合は、まだ、閾値ωhthに達していないと仮定してステップS09へ進み、補正係数K1=1.0とし、ステップS14へ進む。以後前記したようにステップS14〜S16へ進み、ステップS02に戻り、ステップS02〜S16を繰り返す。
ステップS08においてYesで、ステップS10に進んだ場合、ステップS08で参照した、具体的には車速VSの値に応じて内挿補間して得られた補正係数K1を決定する所望の連続関数にもとづいて、ステップS02で読み込んだ操舵ハンドル角速度の絶対値|ωh|に応じた補正係数K1を設定する。そしてステップS14〜S16へ進み、ステップS02に戻り、ステップS02〜S16を繰り返す。
一端、IFLAG=1の状態になってからの一連のステップS02〜S16の繰り返しの中で、ステップS04においてNoとなり、ステップS05へ進んだ場合は、ステップS05においてYesとなりステップS11へ進む。
ステップS11では、この一連の繰り返しにおける前回の目標電流値IT2と今回のステップS02で読み込んだ目標電流値IT1との差分の絶対値(|前回IT2−IT1|)が閾値ε以下か否かをチェックする。
閾値εを超える場合(No)は、トルク調整モードが継続していると判定されたことを意味し、ステップS07へ進んで、ステップS07〜S16を繰り返す。
閾値ε以下の場合(Yes)は、トルク調整モードが終了したと判定されたことを意味し、ステップS12へ進み、IFLAG=0(伝達比調整モード)として、ステップS13へ進み、更にステップS14〜S16へ進み、ステップS02に戻り、ステップS02〜S16を繰り返す。
ちなみに、閾値εは、操舵トルク反力のジャンプを運転者に感じさせないような値である。
以上で補正係数設定部20における補正係数K1の設定、及び乗算部19における目標電流値IT2を出力する一連の制御の流れの説明を終了する。
ここで、本実施形態のフローチャートのステップS02が請求項に記載の操舵操作状態情報取得手段に対応し、ステップS03〜S05,S011が請求項に記載の切替手段に対応する。
次に、本実施形態における可変伝達比機構制御ECU9Aによる制御の効果を、図6に示すような補正係数設定部20、乗算部19を持たない比較例の可変伝達比機構制御ECU9Bとの場合で比較して説明する。
図7の(a)は、操舵ハンドル角速度ωhの時間推移を示す図であり、(b)は、目標電流値IT1と目標電流値IT2の値の時間推移を示す図であり、(c)は、操舵トルク値Thの時間推移を示す図である。
図7の(a)において、操舵ハンドル角速度ωhが正の方向に増加して、時間t1Aにおいて、モード切替判定値T*が、閾値XTを超え、続いて時間t1Bにおいて、操舵ハンドル角速度の絶対値|ωh|が、閾値ωhthを超えた時間とすると、(b)に示すように本実施形態ではそれまで目標電流値IT2は目標電流値IT1と同じ値であったものが、その後、操舵ハンドル角速度ωhの絶対値が閾値ωhth以上になると、目標電流値IT2が目標電流値IT1から減少し始める。この例では、時間t1Aを経過して程ない時間t1Bで操舵ハンドル角速度ωhの絶対値が閾値ωhth以上となり、操舵ハンドル角速度の絶対値|ωh|に応じた値の補正係数K1が1.0未満になったことが分かる。その後、運転者が更に切り増しの操舵操作を続けて操舵ハンドル角速度ωhが増加し、それに応じて急激に目標電流値IT2が減少し、終には目標モータ角θTvmをこれまでとは逆方向(スローレシオ方向)とするマイナスの目標電流値IT2としている。
その後、操舵ハンドル角速度ωhが正の値で減少したのを受けて、補正係数K1が1.0に徐々に近づいていく。つまり、目標電流値IT1と目標電流値IT2とが接近してくる。その差分の絶対値が閾値ε以下になる時間t2において、トルク調整モードから伝達比調整モードに切り替わり、以後、目標電流値IT2の値は目標電流値IT1と同じ値に戻る。
その結果、比較例においては、図7の(b)の目標電流値IT1が減算部15に入力されて電流F/B制御部16において伝達比可変用指示電流が生成され、図7の(c)の破線に示すような操舵トルク値Th(操舵反力)の時間推移となるのに対し、本実施形態の場合は実線に示すような穏やかな変化の操舵トルク値Th(操舵反力)の時間推移となり、操舵ハンドル角速度の絶対値|ωh|が増加して、EPSモータ23(図1参照)の補助力が追従できない場合に生じる操舵反力の急増や、操舵ハンドル2の速い−遅い−速いというような操舵操作に対し、操舵反力がうねるように変動してしまう現象等の違和感を運転者に与えずに済む。また、トルク調整モードの状態から伝達比調整モードの状態に戻る場合でも、目標電流値IT1と目標電流値IT2との差分の絶対値が小さくなってからそれを行うので、操舵反力のジャンプを感じさせない。
まとめると、本実施形態によれば、クイックレシオが設定されているときに、運転者が操舵ハンドル2を速く操舵した場合、伝達比可変用モータ33に対して与えられる指示電流値が、クイックレシオを達成させるための指示電流値から、操舵反力が小さくなるように調整するための指示電流値に切り替えることができ、また、運転者の操舵操作がゆっくりしたものに戻った際は、クイックレシオを達成させるための指示電流値に戻すことができる。
また、一旦、トルク調整モードの指示電流値の制御に切り替えた後で、操舵ハンドル2の急操舵でない通常の操舵操作になると、クイックレシオを達成するための指示電流値の制御の状態へ戻るため、運転者が意図した転舵輪の動きに近い転舵角が実現される。
また、前記した特許文献1に記載の技術では、目標伝達比設定部11で車速VSに応じて設定された目標伝達比GTを、その後に、操舵ハンドル角速度の絶対値|ωh|又は操舵トルク値の絶対値|Th|に応じて補正係数を求め、得られた補正係数を乗じて目標伝達比GTを得る方法である。そして修正された目標伝達比GTから目標モータ角θTvmを算出し、実モータ角vmと目標モータ角θTvmとの偏差に対して制御信号を生成して伝達比可変用モータ33を制御するものである。
本来、操舵反力は、可変伝達比機構5の作用に限定すれば、実モータ角θvmと目標モータ角θTvmとの偏差に対して生成された制御信号(本実施形態では目標電流値IT1,IT2)に直接係って変化するのであって、目標伝達比GTとは間接的に係るものなので、本実施形態の方が直接的に操舵反力の制御に効果がある。したがって、クイックレシオ時の操舵反力の急増を直接的に抑制するには、本実施形態の方が特許文献1に記載の技術よりも応答特性は良好である。
《第1の実施形態の変形例》
次に、図8、図9を参照しながら第1の実施形態の変形例について説明する。
第1の実施形態では、モード切替判定値T*を用いて、モードの切り替え制御を行ったが、それに限定されるものではない。
本変形例では、例えば、操舵操作状態情報である操舵トルク値Thを伝達比調整モードとトルク調整モードとの切り替えパラメータに用いるとともに、補正係数K1を決定する連続関数の変数としても用いるものである。以下に、本変形例における補正係数設定部20における補正係数K1の設定、及び乗算部19における目標電流値IT2を出力する制御の流れを説明する。
なお、本実施形態では、補正係数K1を算出する連続関数として操舵ハンドル角速度ωhを変数とする関数を用いたが、それに限定されるものではない。後記する本実施形態の変形例において、図9に示すような操舵トルク値Thを変数とする連続関数でも良いし、EPSモータ23のEPS ECU25で生成されるところの指示電流、又は指示電流により生成されるDUTY信号を用いても良い。
図8は本変形例における補正係数設定部における伝達比調整モードとトルク調整モードとの間の切り替え制御及び、トルク調整モードにおける第2の目標電流値の設定制御の流れを示すフローチャートであり、図9は操舵トルク値の絶対値に応じて設定される補正係数の値を示す図である。
以下に説明するフローチャートのステップS111からステップS115は補正係数設定部20において処理され、ステップS116,S117は乗算部19において処理される。ちなみに、ステップS118は、CPU9aにおける全体制御の中でなされる。
イグニッション・スイッチ(IG)がオンされると、可変伝達比機構制御ECU9Aは起動し、CPU9a(図2参照)において可変伝達比機構制御用のプラグラムがスタートすると、一定の周期でステップS111〜S118を繰り返し処理する。
ステップS111では、車速VS、操舵トルク値Thを読み込む。
ステップS112では、ステップS111で読み込んだ車速VSに応じた補正係数データを参照する。具体的には、例えば、図9に示したような補正係数K1を決定する操舵トルク値の絶対値|Th|を変数とする連続関数が、所定の車速VSの異なる値に対して数種類用意され、ステップS111で読み込んだ車速VSの値に応じて内挿補間して、所望の連続関数が得られる。
図9に示す操舵トルク値(操舵操作状態情報)の絶対値|Th|を変数とする補正係数K1を決める連続関数は、操舵トルク値の絶対値|Th|が0から所定の閾値Ththまでは、補正係数K1=+1.0を示し、所定の閾値Ththを超えると補正係数K1が減少し、−1.0に達すると−1.0で飽和する特性を示す。
補正係数K1にマイナス値を許容することで、目標電流値IT1に補正係数K1が乗算部19で乗算された結果の目標電流値IT2が目標電流値IT1の方向と逆転することを許容する。つまり、クイックレシオ方向への伝達比可変用モータ33の目標モータ角θTvmをスローレシオ方向への伝達比可変用モータ33の目標モータ角θTvmへ変更することを許容し、操舵反力を低減させる。
ここで、閾値Ththは、車速VSに応じて変化し、車速VSが小さいほど閾値Ththの値は大きく設定され、車速VSが大きいほど閾値Ththの値は小さく設定される。
これは、目標伝達比設定部11で設定される目標伝達比GTが、車速VSが小さいほど目標伝達比GTを小さく、つまり、クイックレシオ側に設定するので、クイックレシオの度合いが強いほど、操舵トルク値の絶対値|Th|(操舵反力)が大きくなり、その傾向は運転者が体感的に直感し易いものであるからである。
なお、操舵トルク値の絶対値|ωh|が所定の閾値ωhthを超えた領域での補正係数K1の傾きも車速VSに応じて変化させても良い。
ステップS113では、操舵トルク値の絶対値|Th|が閾値Thth以上か否かをチェックする。閾値Thth以上の場合(Yes)はステップS115へ進み、閾値Thth未満の場合(No)はステップS114へ進む。
ステップS114では、補正係数K1=1.0とし、ステップS116へ進む。ステップS116では、IT2=K1×IT1とし、IT2を目標電流値として減算部15(図2参照)に出力する(ステップS117)。そして、ステップS118へ進み、イグニッション・スイッチがオフされているか否か(IG OFF?)をチェックし、IG OFFの場合(Yes)は、一連の制御を終了し、IG OFFでない場合(No)はステップS111に戻り、ステップS111〜S118を繰り返す。
ステップS113においてYesで、ステップS115に進んだ場合、具体的にはステップS112で参照した車速VSの値に応じて内挿補間して得られた補正係数K1を決定する所望の連続関数にもとづいて、ステップS111で読み込んだ操舵トルク値の絶対値|Th|に応じた補正係数K1を設定する。そしてステップS116〜S118へ進み、ステップS111に戻り、ステップS111〜S118を繰り返す。
ここで、本変形例のフローチャートにおけるステップS111が請求項に記載の操舵操作状態情報取得手段に対応し、ステップS113が請求項に記載の切替手段に対応する。
本変形例によれば、クイックレシオが設定されているときに、運転者が操舵ハンドル2を速く操舵した場合、操舵トルク値Thにもとづいてトルク調整モードにおける補正係数K1を設定し、目標電流値IT1に補正係数K1を乗じて目標電流値IT2を設定する。したがって、図7の(c)の実線に示すような穏やかな変化の操舵トルク値Th(操舵反力)の時間推移となり、操舵トルク値の絶対値|Th|が増加して、EPSモータ23(図1参照)の補助力が追従できない場合に生じる操舵反力の急増や、操舵ハンドル2の速い−遅い−速いというような操舵操作に対し、操舵反力がうねるように変動してしまう現象等の違和感を運転者に与えずに済む。
また、伝達比調整モードとトルク調整モードの切替、及び補正係数K1の1.0未満への値の設定の両方に操舵トルク値Thを用いているので、伝達比調整モードとトルク調整モードとの切り替えがスムーズに行える。伝達比調整モードからトルク調整モードに切り替わったときにも、補正係数K1が連続して変化するので、操舵反力の急変を生じずに、クイックレシオの状態での操舵ハンドル2の急激な操作による操舵反力の急増を抑制できる。
本変形例における操舵操作状態情報としては、操舵トルク値Thに限定されるものではなく、操舵トルク値Thと略同じ挙動変化をする、EPSモータ23のEPS ECU25で生成されるところの指示電流、又は指示電流により生成されるDUTY信号を用いても良い。
また、本変形例における伝達比調整モードとトルク調整モードとの切り替えに使用するパラメータや、前記した操舵操作状態情報として、操舵ハンドル角速度ωhを用いても良い。その場合に補正係数K1を決定するのに用いられる操舵ハンドル角速度の絶対値|ωh|を変数とする連続関数は、前記した第1の実施形態における図4で説明したものである。また、連続関数の補正係数K1を伝達比調整モードにおける1.0の値から、トルク調整モードにおける1.0未満の値とする閾値ωhthの設定方法も、前記した第1の実施形態と同じである。
《第2の実施形態》
次に、図10から図13を参照して、適宜図1を参照しながら本発明の第2の実施形態に係るステアリング装置について説明する。
図10は本実施形態に係るステアリング装置における可変伝達比機構制御ECUの機能構成ブロック図であり、図11は目標モータ角設定部の詳細な機能構成ブロック図であり、図12は目標モータ角設定部における目標ピニオン角を補正する制御の流れを示すフローチャートである。
図13の(a)は比較例における伝達比可変用モータの実モータ角θvmと目標モータ角θTvmの時間推移を示す図であり、(b)は第2の実施形態における伝達比可変用モータの実モータ角θvmと目標モータ角θTvmの時間推移を示す図である。
第2の実施形態におけるステアリング装置1が第1の実施形態またはその変形例と異なるところは、第1の実施形態における可変伝達比機構制御ECU9Aにおける目標モータ角設定部12Aが目標モータ角設定部12Bに変わる点である。その他は第1の実施形態又はその変形例と同じである。
第1の実施形態又は第2の実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図11に示すように目標モータ角設定部12Bは、目標ピニオン角算出部12a、目標モータ角算出部12b、目標ピニオン角補正量算出部12c、加算部12dを有している。目標ピニオン角算出部12aは、目標伝達比設定部11において車速VSに応じて設定された目標伝達比GTを用いて、前記した式(3)にもとづいて目標ピニオン角θTPを算出する。算出された目標ピニオン角θTPは、目標ピニオン角補正量算出部12cと加算部12dに入力される。
目標ピニオン角補正量算出部12cは、運転者による操舵ハンドル2の操舵操作が、「ハンドル切り増し」、「ハンドル切り戻し」、「ハンドル停止」のいずれの状態かを判定し、
(1)前回の操舵操作状態と同じ場合は、前回の目標ピニオン角補正量Δθc1を今回の目標ピニオン角補正量Δθc2とし、加算部12dに入力する。
(2)前回の操舵操作状態から変化があり、かつ、今回の操舵操作状態が「ハンドル切り増し」の場合は、今回の目標ピニオン角補正量Δθc2=0.0とし、加算部12dに入力する。
(3)前回の操舵操作状態から変化があり、かつ、今回の操舵操作状態が「ハンドル切り戻し」又は「ハンドル停止又はハンドル中立」の場合は、その時の実ピニオン角θPと目標ピニオン角θTPとの差分(θP−θTP)を今回の目標ピニオン角補正量Δθc2として算出し、加算部12dに入力する。
詳細は、図12のフローチャートの説明の中で後記する。
加算部12dは、目標ピニオン角算出部12aから入力された目標ピニオン角θTPと目標ピニオン角補正量算出部12cから入力された目標ピニオン角補正量Δθc2とを加算して、補正された目標ピニオン角θCTPとして目標モータ角算出部12bに入力する。
目標モータ角算出部12bは、補正された目標ピニオン角θCTPを入力されて、式(1)において、θPの代わりにθCTPを代入して、次式のように目標モータ角θTvmを算出する。
θTvm=(θP−α・θh)/β・ ・・・・・・・・・・・・(5)
目標モータ角算出部12bで算出された目標モータ角θTvmは、減算部13に入力される。
以降は第1の実施形態と同じである。
次に、図12を参照しながら目標モータ角設定部における目標ピニオン角を補正する制御の流れについて説明する。
この処理は、主に、目標ピニオン角補正量算出部12c、加算部12dで行われる。
目標モータ角設定部12Bは、IG ONすると、初期設定として前記した操舵操作状態を示す前回のフラグをIFLAGA=0(「ハンドル停止」の状態)とし、前回の目標ピニオン角の補正量ΔθC1を0.0とする。その後、一定の周期で、フローチャートの処理を行う。そして、IG OFFすると処理を停止する。
ステップS21では、目標ピニオン角補正量算出部12cは、操舵ハンドル角θh、実ピニオン角θP、目標ピニオン角θTP、操舵ハンドル角速度ωh、前回のフラグIFLAGA、前回の補正量ΔθC1を読み込む。
ステップS22では、目標ピニオン角補正量算出部12cは、操舵操作状態判定パラメータA*を算出する(A*=θh×ωh)。
ステップS23では、目標ピニオン角補正量算出部12cは、操舵操作状態判定パラメータA*が正値か否かをチェックする。正値の場合(Yes)はステップS24へ進み、目標ピニオン角補正量算出部12cは、IFLAG=+1(ハンドル切り増し)とし、ステップS28へ進む。
ステップS23で正値でない場合(No)は、ステップS25へ進み、目標ピニオン角補正量算出部12cは、操舵操作状態判定パラメータA*が負値か否かをチェックする。
ステップS25において、操舵操作状態判定パラメータA*が負値の場合(Yes)はステップS26へ進み、目標ピニオン角補正量算出部12cは、IFLAG=−1(ハンドル切り戻し)とし、ステップS28へ進む。
ステップS25において、操舵操作状態判定パラメータA*が負値でない場合(No)はステップS27へ進み、目標ピニオン角補正量算出部12cは、IFLAG=0(ハンドル停止又はハンドル中立)とし、ステップS28へ進む。
ステップS28では、目標ピニオン角補正量算出部12cは、操舵操作状態を示す前回のフラグとステップS24,S26,又はS27で設定された操舵操作状態を示す今回のフラグとが同じ値か否かをチェックする(IFLAGB=IFLAGA?)。
同じ場合(Yes)はステップS29へ進み、目標ピニオン角補正量算出部12cは、補正量ΔθC2を前回の補正量ΔθC1と同じとする(ΔθC2=ΔθC1)。
ステップS28において、操舵操作状態を示す前回のフラグとステップS24,S26,又はS27で設定された操舵操作状態を示す今回のフラグIFLAGBとが同じ値でない場合(No)は、ステップS32へ進み、目標ピニオン角補正量算出部12cは、今回の操舵操作状態を示すフラグが正値か否かをチェックする(IFLAGB>0?)。
ステップS32においてIFLAGBが正値の場合(Yes)は、ステップS33へ進み、目標ピニオン角補正量算出部12cは、補正量ΔθC2=0.0とし、ステップS30へ進む。
ステップS32においてIFLAGBが正値でない場合(No)は、ステップS34へ進み、目標ピニオン角補正量算出部12cは、補正量ΔθC2=θP−θTPとし、ステップS30へ進む。
ステップS30では、加算部12dは、目標ピニオン角算出部12aで算出された目標ピニオン角θTPにステップS29,S33,又はS34で設定された今回の補正量ΔθC2を加算し、補正された目標ピニオン角θCTPとする(θCTP=θTP+ΔθC2)。
ステップS31では、目標ピニオン角補正量算出部12cは、次の繰り返しに用いる前回の補正量ΔθC1を今回の補正量ΔθC2とし(ΔθC1=ΔθC2)、又、今回の操舵操作状態のフラグを次の繰り返しに用いる前回の操舵操作状態のフラグとする(IFLAGA=IFLAGB)。
以上で、一連の繰り返し処理を終わる。
ここで、最初、操舵ハンドル2の操作状態は「ハンドル停止」であり、IFLAGA=0、補正量ΔθC1=0.0であり、例えば、右に操舵ハンドル2を切り始めると、ステップS28において、前回のフラグ(IFLAGA=0)と今回のフラグ(IFLAGB=+1)が一致せず、ステップS32へ進み、更にステップS33へ進み、ステップS30では、θCTP=θTPとなり、ステップS31では、ΔθC1=0.0,IFLAGA=+1となる。
その後、「切り増し」の状態が続くと、ステップS28からステップS29,S30へと進み、ステップS30では、θCTP=θTPとなり、ステップS31では、ΔθC1=0.0,IFLAGA=+1となる。
運転者が操舵操作状態を「切り戻し」の状態に入れると、ステップS28からステップS32,S34へ進み、ステップS34では伝達比可変用モータ33の追従が遅れて、実ピニオン角θPが目標ピニオン角θTPより遅れている場合、ΔθC2≠0.0であり、伝達比可変用モータ33の補正された目標ピニオン角がθCTP=θTP+ΔθC2(補正量ΔθC2=θP−θTP)と設定されて、伝達比可変用モータ33の追従が遅れていた分の、以後の追従動作を停止する。
また、操舵ハンドル2の操舵操作状態が「ハンドル切り増し」から「ハンドル停止」の状態になっても、同様に、伝達比可変用モータ33の追従が遅れていた分の、以後の追従動作を停止する。
したがって、実ピニオン角θPが反映された補正された目標ピニオン角θCTPが目標モータ角算出部12bに出力され、それにもとづく目標モータ角θTvmは実モータ角θvmを反映したものとなる。
クイックレシオの状態で、運転者の急速な操舵ハンドル2(図1参照)の操舵操作により、伝達比可変用モータ33(図1参照)の出力トルクの不足によりモータ角θvmが迅速に目標モータ角θTvmに追従できなくなる。そのため、図13の(a)に示す比較例のように時刻t3で操舵ハンドル2の操作を停止したときに、従来の場合は目標モータ角θTvmに追従するように実モータ角θvmが制御され続けられるため、転舵輪の転舵が継続し、車両の挙動、及び操舵反力を通じて、運転者に違和感を与える。本実施形態によれば図13の(b)に示すように時刻t3で操舵ハンドル2の操作を停止すると、目標モータ角θTvmが実モータ角θvmに一致させられるので、転舵輪の動きが止まり、そのような違和感を与えることはない。
(第2の実施形態の変形例)
次に、図14から図16を参照しながら第2の実施形態の変形例について説明する。本変形例は、第2の実施形態における目標モータ角設定部12Bにおける目標ピニオン角を補正する図12の制御の流れを変更したものである。
図14、図15は、目標モータ角設定部における目標ピニオン角を補正する制御の流れを示すフローチャートである。図16の(a)は、操舵ハンドル角θhの時間推移を示すグラフであり、(b)は、操舵ハンドル角速度ωhの時間推移を示すグラフであり、(c)は、操舵操作状態を示すフラグの値の変化を示すグラフであり、(d)は、補正量ΔθC2の時間推移を示すグラフである。
本変形例は、図12のフローチャートにおいて、(a)操舵ハンドル角θhが0.0度の場合も、操舵操作状態が「ハンドル停止」と認識される点、(b)IG ON直後の「切り戻し」状態でも目標ピニオン角θTPと実ピニオン角θPの差分補正(ΔθC2)を行ってしまう点、(c)「ハンドル切り増し」→「ハンドル停止」及び「ハンドル切り戻し」の時には、常に目標ピニオン角θTPと実ピニオン角θPの差分補正(ΔθC2)を行ってしまい、「右ハンドル切り増し」→「ハンドル切り戻し」→「右又は左ハンドル切り増し」の連続操作が続く場合、「ハンドル切り戻し」の間一定値の差分補正(ΔθC2)を行っていたものが、「右又は左ハンドル切り増し」に移行した途端、差分補正(ΔθC2)がゼロになり、運転者に操舵トルク反力の違和感を与える可能性がある点を改善したものである。
この制御の処理は、主に、目標ピニオン角補正量算出部12c、加算部12dで行われる。
目標モータ角設定部12Bは、IG ONすると、初期設定として前記した操舵操作状態を示す前回のフラグを0(IFLAGA=0(「ハンドル停止」の操舵操作状態))とし、IG ON直後を示すフラグを0(IFLAGC=0)とし、前回の目標ピニオン角の補正量ΔθC1を0.0とする(ステップS41)。
ステップS42では、目標ピニオン角補正量算出部12cは、操舵ハンドル角θh、実ピニオン角θP、目標ピニオン角θTP、操舵ハンドル角速度ωh、前回の補正量ΔθC1、前回のフラグIFLAGAを読み込む。
ステップS43では、目標ピニオン角補正量算出部12cは、操舵操作状態判定パラメータA*を算出する(A*=θh×ωh)。
ステップS44では、目標ピニオン角補正量算出部12cは、操舵操作状態判定パラメータA*が正値で、かつ、操舵ハンドル角速度の絶対値|ωh|が所定の閾値ε0より大きいという条件を満たすか否かをチェックする。前記条件を満たす場合(Yes)はステップS45へ進み、目標ピニオン角補正量算出部12cは、IFLAG=+1(ハンドル切り増し)とし、ステップS50へ進む。
ステップS44で、前記条件を満たさない場合(No)は、ステップS46へ進み、目標ピニオン角補正量算出部12cは、操舵操作状態判定パラメータA*が負値で、かつ、操舵ハンドル角速度の絶対値|ωh|が所定の閾値ε0より大きいという条件を満たすか否かをチェックする。
ステップS46において、前記条件を満たす場合(Yes)はステップS47へ進み、目標ピニオン角補正量算出部12cは、IFLAG=−1(ハンドル切り戻し)とし、ステップS50へ進む。
ステップS46において、前記条件を満たさない場合(No)はステップS48へ進み、目標ピニオン角補正量算出部12cは、操舵ハンドル角速度の絶対値|ωh|が所定の閾値ε0以下か否かをチェックする。
ステップS48において、|ωh|が所定の閾値ε0以下の場合(Yes)は、ステップS49へ進み、目標ピニオン角補正量算出部12cは、IFLAG=0(ハンドル停止)とし、ステップS50へ進む。ステップS48において、|ωh|が所定の閾値ε0より大きい場合(No)は、ステップS45へ進む。
ステップS50では、目標ピニオン角補正量算出部12cは、IFLAGC=0か否かをチェックする。IFLAGC=0の場合(Yes)はステップS51へ進み、IFLAGC≠0の場合(No)は符号(C)に従いステップS36へ進む。ここでは、IG ON直後なのでステップS51へ進むこととする。
ステップS51では、目標ピニオン角補正量算出部12cは、補正量ΔθC2=0.0
とし、次いで、IFLAGBが正値か否かをチェックする(ステップS52)。ステップS52においてFLAGBが正値の場合(Yes)はステップS53へ進み、目標ピニオン角補正量算出部12cは、IG ON 直後を示すフラグを変更(IFLAGC=1)し、ステップS54へ進む。ステップS51においてFLAGBが正値でない場合(No)はステップS54へ進む。
ステップS54では、目標ピニオン角補正量算出部12cは、補正された目標ピニオン角θCTPをθTP+ΔθC2(θCTP=θTP+ΔθC2)とする。次いで、符号(A)に従ってステップS55へ進む。
ステップS55では、目標ピニオン角補正量算出部12cは、前回の補正量ΔθC1=ΔθC2,IFLAGA=IFLAGBとし、符号(B)に従ってステップS42に戻る。
ここで、ステップS42〜ステップS50、ステップS51〜S55の繰り返しは、IG ON後に初めて操舵操作状態が「切り増し」の状態になるまで繰り返され、この間の補正量ΔθC2は、強制的に0.0とされる。これは、IG ON直後に目標ピニオン角θTPに対して実ピニオン角θPの追従遅れ補正を行うのは、停車時の操舵ハンドル角θhの位置から変更しようとするときに、迅速な応答をさせるのに不都合なので、操舵操作状態に関係なく、追従遅れ補正を行わないことを意味する。
IG ON後に一度「ハンドル切り増し」の操舵操作状態になると(IFLAGC=1)、ステップS50において符号(C)に従ってステップS56へ進み、目標ピニオン角補正量算出部12cは、操舵操作状態を示す前回のフラグとステップS45,S47又はS49で設定された操舵操作状態を示す今回のフラグとが同じ値か否かをチェックする(IFLAGB=IFLAGA?)。
ステップS56において同じ場合(Yes)は、ステップS57へ進み、目標ピニオン角補正量算出部12cは、IFLAGBの値が+1,0,−1のいずれであるかをチェックする。ステップS57においてIFLAGBの値が+1,0の場合は、ステップS58へ進み、目標ピニオン角補正量算出部12cは、補正量を前回と同じとし(補正量ΔθC2=ΔθC1)、ステップS63へ進む。ステップS57においてIFLAGBの値が−1の場合は、ステップS59へ進み、目標ピニオン角補正量算出部12cは、補正量を前回の補正量ΔθC1にe-Δtを乗じ(補正量ΔθC2=ΔθC1×e-Δt)、ステップS63へ進む。
ちなみに、IFLAGB=+1の場合は、前回の補正量ΔθC1=0.0であり、IFLAGB=0又はIFLAGB=−1の場合は、後記するがステップS61で設定される値(θP−θTP)である。
ステップS56においてIFLAGB≠IFLAGAの場合(No)は、ステップS60へ進み、目標ピニオン角補正量算出部12cは、ステップS45,S47,S49で設定された操舵操作状態を示すフラグIFLAGBが正値か否かをチェックする。正値の場合(Yes)はステップS62へ進み、正値でない場合(No)はステップS61へ進む。ステップS61では、目標ピニオン角算出部12aは、補正量ΔθC2=θP−θTPとし、ステップS63へ進む。
ステップS60においてYesでステップS62に進むと、目標ピニオン角補正量算出部12cは、補正量ΔθC2=0.0とし、ステップS63へ進む。
ステップS63では、加算部12dは、目標ピニオン角算出部12aで算出された目標ピニオン角θTPにステップS58,S59,S61,S62のいずれかで設定された今回の補正量ΔθC2を加算し、補正された目標ピニオン角θCTPとする(θCTP=θTP+ΔθC2)。
ステップS64では、目標ピニオン角補正量算出部12cは、次の繰り返しに前回の補正量ΔθC1として用いる今回の補正量ΔθC2を登録し(ΔθC1=ΔθC2)、又、次の繰り返しに用いる前回の操舵操作状態のフラグとして用いる今回の操舵操作状態のフラグを登録する(IFLAGA=IFLAGB)。そして、ステップS65において目標ピニオン角補正量算出部12cは、IG OFFか否かをチェックし、IG OFFの場合(Yes)は、一連の処理を終了し、IG OFFでない場合(No)は、ステップS42に戻り、ステップS42〜S50,S56〜S65の一連の処理を繰り返す。
以下に、ステップS56以降の制御の流れにおいて、操舵操作状態を示す今回のフラグIFLAGBの値が前回のフラグIFLAGAの値から変わって、しばらくその新しい値の状態にとどまる場合の、繰り返し処理の中での補正量Δθc2の値の推移について分かり易く説明する。
(1)先ず、IG ON後に一度「ハンドル切り増し」の操舵操作状態(IFLAGB=+1)になり、その後しばらくIFLAGB=+1の状態が続く場合について説明する。
その場合、ステップS42〜S49でIFLAGB=+1となり、ステップS50からステップS56へ進み、IFLAGB=IFLAGA=+1で、ステップS57,S58へと進み、続いてステップS63へと進む。
ステップS63では、ステップS51(ΔθC2=0.0)及びステップS55を通じて、ステップS58で設定された今回の補正量ΔθC2(=ΔθC1=0.0)を目標ピニオン角θTPに加算し、補正された目標ピニオン角θCTPとする(θCTP=θTP+ΔθC2)。
ステップS64では、ΔθC1=ΔθC2とし、又、今回の操舵操作状態のフラグを次の繰り返しに用いる前回の操舵操作状態のフラグとする(IFLAGA=IFLAGB)。
次いでステップS65に進み、目標ピニオン角補正量算出部12cは、IG OFFか否かをチェックし、IG OFFの場合(Yes)は、一連の処理を終了し、IG OFFでない場合(No)は、符号(D)に従ってステップS42に戻り、繰り返す。
(2)次に、IG ON後に一度「ハンドル切り増し」の操舵操作状態(IFLAGB=+1)になり、その後しばらくIFLAGB=+1の状態が続いた後IFLAGB≠+1(0又は−1)となる場合について説明する。
この場合、ステップS42〜S49でIFLAGB=+1となり、ステップS50からステップS56へ進み、ステップS56においてIFLAGA≠IFLAGB(No)となり、ステップS60へと進み、今回の操舵操作状態を示すフラグが正値か否かをチェックする(IFLAGB>0?)。
ステップS60において正値の場合(Yes)は、ステップS62へ進み、正値でない場合(No)は、ステップS61へ進む。
ここでは、前記したようにIFLAGBは正値ではないので、ステップS60においてNoで、ステップS61へ進み、補正量ΔθC2=θP−θTPとなり、ステップS63へ進む。この補正量ΔθC2=θP−θTPは、ステップS63におけるθCTP=θTP+ΔθC2と相俟って、この時点で実ピニオン角θPが目標ピニオン角θTPに対して追従遅れしていた分を補正して、現時点の実ピニオン角θPそのものを現時点の補正された目標ピニオン角θCTPに置き換えることを意味する。
その後、前記したようにステップS63〜S65へと進み、ステップS42に戻って、一連の繰り返し処理を行う。
(3)次に、「ハンドル切り増し」の操舵操作状態(IFLAGB=+1)から「ハンドル切り戻し」の操舵操作状態(IFLAGB=−1)となり、しばらくその状態が継続している場合について説明する。
この場合、ステップS42〜S49でIFLAGB=−1となり、ステップS50からステップS56へ進み、IFLAGA=IFLAGB=−1で、ステップS57,S59へと進み、目標ピニオン角補正量算出部12cは、補正量ΔθC2=Δθc1×e-Δtとする。
ここで、e-ΔtのΔtは、ステップS61で設定したIFLAGB=−1の操舵状態(「ハンドル切り戻し」)に移行した最初のタイミングで設定した実ピニオン角θPの目標ピニオン角θTPに対する追従遅れ分の補正量ΔθC2に対して、繰り返し回数ごとに所定のタイムステップΔt分だけ、e-Δtのファクタで補正量ΔθC2を減衰させることを意味する。
「ハンドル切り戻し」の操舵操作状態が継続している間、新たな操舵ハンドル角θhに応じて、目標伝達比GTが設定され、それに応じた目標ピニオン角θTPも新たに更新されるが、その新たな目標ピニオン角θTPに加算される補正量ΔθC2は、ステップS59を繰り返すごとに絶対値が減少していくことになる。
ステップS59の後、前記したようにステップS63〜S65へと進み、ステップS42に戻って、一連の繰り返し処理を行う。
(4)次に、「ハンドル切り増し」の操舵操作状態(IFLAGB=+1)から「ハンドル停止」の操舵操作状態(IFLAGB=0)となり、しばらくその状態が継続している場合について説明する。
ステップS42〜S49でIFLAGB=0となり、ステップS50からステップS56へ進み、IFLAGA=IFLAGB=0で、ステップS57,S58へと進み、目標ピニオン角補正量算出部12cは、補正量ΔθC2=Δθc1とする。
ここで、「ハンドル停止」の操舵操作状態が継続している間、目標ピニオン角θTPも同一値で更新されるが、その目標ピニオン角θTPに加算される補正量ΔθC2は、ステップS59で一度設定された同じ値が、ステップS58が繰り返されるたびに用いられることを意味する。つまり、補正された目標ピニオン角θCTPは同一値のまま維持され、実ピニオン角θPが目標ピニオン角θTPに対して追従遅れしていた分がキャンセルされ続ける。
ステップS58の後、前記したようにステップS63〜S65へと進み、ステップS42に戻って、一連の繰り返し処理を行う。
(5)最後に、「ハンドル切り戻し」(IFLAGB=−1)の操舵操作状態、又は「ハンドル停止」(IFLAGB=0)の操舵操作状態から「ハンドル切り増し」(IFLAGB=+1)の操舵操作状態に変化した場合について説明する。
ステップS42〜S49でIFLAGB=+1となり、ステップS50からステップS56へ進み、IFLAGA=0、又は−1で、かつ、IFLAGB=+1で、ステップS60へと進み、更にステップS62へ進む。
ステップS62では、補正量ΔθC2=0.0となり、ステップS63へ進む。そして、前記したようにステップS63〜S65へと進み、ステップS42に戻って、一連の繰り返し処理を行う。
クイックレシオの状態で、運転者の急速な操舵ハンドル2(図1参照)の操舵操作により、伝達比可変用モータ33(図1参照)の出力トルクの不足によりモータ角θvmが迅速に目標モータ角θTvmに追従できなくなる。そのため、図13の(a)に示す比較例のように時刻t3で操舵ハンドル2の操作を停止したときに、従来の場合は目標モータ角θTvmに追従するように実モータ角θvmが制御され続けられるため、転舵輪の転舵が継続し、車両の挙動、及び操舵反力を通じて、運転者に違和感を与える。本実施形態の変形例によれば図13の(b)に示すように時刻t3で操舵ハンドル2の操作を停止すると、目標モータ角θTvmが実モータ角θvmに一致させられるので、転舵輪の動きが止まり、そのような違和感を与えることはない。
また、クイックレシオの状態で、運転者が狭い路地での切り返しや、車庫入れ時の切り返し時に、操舵ハンドル2を左右に「ハンドル切り増し」、「ハンドル切り戻し」を繰り返す操舵操作状態が連続するとき、図16の(a)に示すような操舵ハンドル角θhや、(b)に示すような操舵ハンドル角速度ωhに対して、そのときの操舵操作状態を示すフラグIFLGBは(c)のように変化する。ここでは、連続操作のため、車両停止時の最初の「ハンドル停止」操舵操作状態だけがIFLAGB=0であり、他の時点はIFLAGB=+1又はIFLAGB=−1に判定される。
そして、「ハンドル切り増し」の操舵操作状態が計測した後の「ハンドル切り戻し」の操舵操作状態において、実ピニオン角θPの目標ピニオン角θTPに対する追従遅れが生じたときに、補正量ΔθC2が設定されるが、図16の(d)に実線示すようにその補正量は繰り返し処理の中で徐々に減衰し、続く「ハンドル切り増し」の操舵操作状態に切り替わるタイミングで補正量ΔθC2=0.0に置き換えかえられるときの補正量ΔθC2のジャンプ量が小さくなる。したがって、運転者に与える違和感をなくすことができる。ちなみに、図12のフローチャートの制御の場合を図16の(d)に2点鎖線で示す。
その結果、運転者に違和感を与える量が低減される。
《第3の実施形態》
次に、図17から図19を参照しながら第3の実施形態について説明する。本実施形態は、第2の実施形態における目標モータ角設定部12Bを目標モータ角設定部12Cに変更したものであり、その他は第2の実施形態又はその変形例と同じである。
図17は、第3の実施形態における目標モータ角設定部のブロック機能構成図である。
図18、図19は、目標モータ角設定部における目標伝達比を変更する制御の流れを示すフローチャートである。
本実施形態における目標モータ角設定部12Cは、図17に示すように操舵状態判定部12e、目標伝達比変更部12f、目標モータ角算出部12gから構成されている。
操舵状態判定部12eは、運転者による操舵ハンドル2の操舵操作が、IG ON直後の状態か否かを判定しその状態を示すフラグ(IFLAGC)を目標伝達比変更部12fに入力(IG ON直後の状態でないときはIFLAGC=1)する。また、操舵状態判定部12eは、「ハンドル切り増し」、「ハンドル切り戻し」、「ハンドル停止」のいずれの状態かを判定した上で、「ハンドル切り増し」の状態の場合はそれを示すフラグ(IFLAGB=+1)を設定し、「ハンドル切り戻し」の状態の場合はそれを示すフラグ(IFLAGB=−1)を設定し、「ハンドル停止」の状態の場合はそれを示すフラグ(IFLAGB=0)を設定し、目標伝達比変更部12fに入力する。
目標伝達比変更部12fは、(1)IG ON直後の状態のとき(IFLGC=0のとき)、「ハンドル切り増し」、「ハンドル切り増し」、「ハンドル停止」のいずれの操舵操作状態でも、目標伝達比設定部11において車速VSに応じて設定される目標伝達比GTをそのまま目標伝達比GXとして目標モータ角算出部12gに出力する。
そして、目標伝達比変更部12fは、IG ON直後ではない状態のとき(IFLGC=1のとき)であって、
(2)「ハンドル切り増し」やハンドルが略直進を示す場合は、「ハンドル切り増し」の操舵操作後の「ハンドル切り戻し」や「ハンドル停止」を示すフラグをリセットし(IFLAGD=0)、目標伝達比設定部11において車速VSに応じて設定される目標伝達比GTをそのまま目標伝達比GXとして目標モータ角算出部12gに出力し、
(3)「ハンドル切り増し」後の「ハンドル切り戻し」又は「ハンドル停止」の状態の場合は、「ハンドル切り増し」の操舵操作後の「ハンドル切り戻し」や「ハンドル停止」を示すフラグを設定(IFLAGD=1)し、その最初の時点において、操舵ハンドル角θhと実ピニオン角θPの比で定まる目標伝達比GXを算出して目標モータ角算出部12gに目標伝達比GXを出力し、IFLAGD=1が継続する間、その同じ目標伝達比GXを目標モータ角算出部12gに出力し続ける。
目標モータ角算出部12gは、目標伝達比GXを用いて、式(4)に従い、目標モータ角θTvmを算出する。ただし、式(4)において目標伝達比GTを目標伝達比GXに読み替える。
図18、図19は、目標モータ角設定部における目標伝達比を補正する制御の流れを示すフローチャートである。
この処理は、主に、操舵状態判定部12e、で行われる。
目標モータ角設定部12Cは、IG ONすると、目標伝達比変更部12fにおいて、初期設定としてIG ON直後を示すフラグを0(IFLAGC=0)とし、「ハンドル切り増し」後の「ハンドル切り戻し」又は「ハンドル停止」の状態であることを示すフラグ(IFLAGD)を0(IFLAGD=0)とする(ステップS71)。
ステップS72では、操舵状態判定部12eは、操舵ハンドル角θh、実ピニオン角θP、操舵ハンドル角速度ωhを読み込む。
ステップS73では、操舵状態判定部12eは、操舵操作状態判定パラメータA*を算出する(A*=θh×ωh)。
ステップS74では、操舵状態判定部12eは、操舵操作状態判定パラメータA*が正値で、かつ、操舵ハンドル角速度の絶対値|ωh|が所定の閾値ε0より大きいという条件を満たすか否かをチェックする。前記条件を満たす場合(Yes)はステップS75へ進み、操舵状態判定部12eは、IFLAG=+1(ハンドル切り増し)とし、ステップS80へ進む。
ステップS74で、前記条件を満たさない場合(No)は、ステップS76へ進み、操舵状態判定部12eは、操舵操作状態判定パラメータA*が負値で、かつ、操舵ハンドル角速度の絶対値|ωh|が所定の閾値ε0より大きいという条件を満たすか否かをチェックする。
ステップS76において、前記条件を満たす場合(Yes)はステップS77へ進み、操舵状態判定部12eは、IFLAG=−1(ハンドル切り戻し)とし、ステップS80へ進む。
ステップS76において、前記条件を満たさない場合(No)はステップS78へ進み、操舵状態判定部12eは、操舵ハンドル角速度の絶対値|ωh|が所定の閾値ε0以下か否かをチェックする。
ステップS78において、|ωh|が所定の閾値ε0以下の場合(Yes)は、ステップS79へ進み、操舵状態判定部12eは、IFLAG=0(ハンドル停止)とし、ステップS80へ進む。ステップS78において、|ωh|が所定の閾値ε0より大きい場合(No)は、ステップS75へ進み、更にステップS80へ進む。
ステップS80では、目標伝達比変更部12fは、IFLAGC=0か否かをチェックする。IFLAGC=0の場合(Yes)はステップS81へ進み、IFLAGC≠0の場合(No)は符号(E)に従いステップS84へ進む。ここでは、IG ON直後なのでステップS81へ進むこととする。
ステップS81では、目標伝達比変更部12fは、IFLAGBが正か否かをチェックする。正の場合(Yes)は、ステップS82へ進み、正でない場合(No)はステップS83へ進む。
ステップS82では、目標伝達比変更部12fは、IG ON 直後を示すフラグを変更(IFLAGC=1)し、ステップS83へ進む。
ステップS83では、目標伝達比変更部12fは、ステップS72で読み込んだ目標伝達比設定部11からの目標伝達比GTをそのまま目標伝達比GXとして、目標モータ角算出部12gに出力する。そして、ステップS72に戻る。
ここで、ステップS72〜ステップS80、ステップS81,S83の繰り返しは、IG ON後に初めて操舵操作状態が「切り増し」の状態になるまで繰り返され、この間の目標伝達比変更部12fから目標モータ角算出部12gに出力される目標伝達比GXは、目標伝達比GTのままとされる。これは、IG ON直後に目標伝達比GTから求まる目標ピニオン角θTPに対して実ピニオン角θPの追従遅れ補正を行うことは、停車時の操舵ハンドル角θhの位置から変更しようとするときに、迅速な応答をさせるのに不都合なので、操舵操作状態に関係なく、目標伝達比GXは、目標伝達比GTのままとし追従遅れ補正を行わないようにすることを意味する。
IG ON後に一度「ハンドル切り増し」の操舵操作状態になると(IFLAGC=1)、ステップS80において符号(E)に従ってステップS84へ進み、目標伝達比変更部12fは、操舵ハンドル角θhの絶対値が閾値θhthより大きいか否かをチェックする。閾値θhthより大きい場合(Yes)は、ステップS86へ進み、閾値θhth以下の場合(No)はステップS85へ進む。
ステップS85では目標伝達比変更部12fは、ステップS72で読み込んだ目標伝達比設定部11からの目標伝達比GTをそのまま目標伝達比GXとして、目標モータ角算出部12gに出力し、ステップS88に進む。
ステップS84においてYesでステップS86へ進むと、目標伝達比変更部12fは、IFLAGBが正か否かをチェックする。正の場合(Yes)は、ステップS87へ進み、ステップS72で読み込んだ目標伝達比設定部11からの目標伝達比GTをそのまま目標伝達比GXとして、目標モータ角算出部12gに出力し、ステップS88へ進む。ステップS88では、目標伝達比変更部12fは、IFLAGD=0とし、その後ステップS94へ進む。
ステップS86においてNoでステップS89へ進むと、目標伝達比変更部12fは、IFLAGD=1か否かをチェックする。IFLAGD=1の場合(Yes)はステップS91へ進み、IFLAGD≠1の場合(No)はステップS90へ進む。最初は、ステップS71において初期値としてIFLAGD=0と設定されているので、ここではステップS90へ進む。
ステップS90では、目標伝達比変更部12fは、目標伝達比GXとして、GX=θh/θPとして、目標モータ角算出部12gに出力し、ステップS92へ進む。
ステップS89においてYesでステップS91へ進むと、目標伝達比変更部12fは、目標伝達比GXとして、GX=GXpとして、目標モータ角算出部12gに出力し、ステップS92へ進む。
ステップS92では、目標伝達比変更部12fは、IFLAGD=1とし、ステップS93へ進み、繰り返しにおける今回の目標伝達比GX をGXpとして記憶する。
ステップS94では、目標モータ角算出部12gは、目標伝達比変更部12fから入力された目標伝達比GX にもとづいて目標モータ角を算出して、減算部13に出力する(θTvm =(1/β)・{(1/GX )−α}θh )。
そして、ステップS95において目標モータ角設定部12Cは、IG OFFか否かをチェックし、IG OFFの場合(Yes)は、一連の処理を終了し、IG OFFでない場合(No)は、符号(F)に従いステップS72に戻り、ステップS72〜S80,S84〜S95の一連の処理を繰り返す。
以下に、ステップS86以降の制御の流れにおいて、操舵操作状態を示す今回のフラグIFLAGBの値が+1から−1又は0に変わって、しばらくIFLAGBの値が−1又は0の状態にとどまる場合の、繰り返し処理の中での目標伝達比GXの値の推移について分かり易く説明する。
ステップS73〜S79でIFLAGB=0,−1となり、ステップS80からステップS84へ進み、|θh|>θhthで、ステップS86,S89へとIFLAGB=+1の後に初めて進む場合は、IFLAGD=0なのでステップS90へ進み、GX=θh/θPとし、その後ステップS92でIFLAGD=1とし、ステップS93で繰り返しにおける前回の目標伝達比GXp=GXとする。
そして、ステップS94、S95を経て次の繰り返しで再びステップS73〜S79でIFLAGB=0,−1となり、ステップS80からステップS84へ進み、|θh|>θhthで、ステップS86,S89に進むと、前回の繰り返しでIFLAGD=1となっているので、ステップS89ではYesでステップS91へ進む。ステップS91では、前回の繰り返しのステップS93において記憶された前回の繰り返しにおける目標伝達比GXpを今回の繰り返しにおける目標伝達比GXとして設定して、目標モータ角算出部12gに出力する。
すなわち、「ハンドル切り増し」の操舵操作状態の後、「ハンドル停止」又は「ハンドル切り戻し」の操舵操作状態が継続している間、目標伝達比GXは更新されず、ステップS90で一度設定された同じ値が、ステップS91が繰り返されるたびに用いられることを意味する。つまり、変更された目標伝達比GXは同一値のまま維持される。
ちなみに、「ハンドル切り増し」の操舵操作状態の後、「ハンドル停止」又は「ハンドル切り戻し」の操舵操作状態に入った場合、ステップS90においてGX=θh/θPとするということは、「ハンドル切り増し」の操舵操作状態において操舵ハンドル角速度ωhの絶対値大きくて、そのときの目標伝達比GX(目標伝達比設定部11で設定された車速VSに応じた目標伝達比GTと同じ値)に対応して決まる目標ピニオン角θTPに対して、実ピニオン角θPが追従遅れしていたとしても、追従遅れした状態における実ピニオン角θPとそのときのハンドル角θhとから、新たな目標伝達比GXに変更して設定することで、目標ピニオン角θTPを現在の実ピニオン角θPに合わせ込むことになる。
そして、目標モータ角算出部12gが、式(4)において目標伝達比GTの代わりに、ステップS90において変更された目標伝達比GXを代入して、目標モータ角θTvmを算出して、減算部13に出力することで、図13の(b)に示すように、実モータ角θvmに目標モータ角θTvmを合わせ込むことを意味し、操舵ハンドル2の操舵操作を停止させれば、伝達比可変モータ33も停止、転舵輪の角度の変化も同時に止まり、「ハンドル切り増し」操舵状態から「ハンドル停止」又は「ハンドル切り戻し」の操舵操作状態に移ったにも拘わらず、実ピニオン角θPが「ハンドル切り増し」側に制御されることを防止できる。
そして、ステップS84において、Noとなるか、YesでステップS86へ進み、更にステップS86で「ハンドル切り増し」の操舵状態でステップS87に進むと、そのとき初めて目標伝達比GXは、ステップS72で読み込まれた目標伝達比設定部11で設定された車速VSに応じた目標伝達比GTに切り換わる。
したがって、ステップS84において、Noとなるような操舵ハンドル角θhの絶対値が閾値θhth以下の略直進とみなせる場合は、GX=GTとするので、操舵ハンドル2を中立に戻すと、転舵輪の転舵角も中立位置に戻され、いわゆる、操舵ハンドル2と転舵輪のセンターずれが発生してしまう不具合が生じない。
なお、操舵操作が「ハンドル切り戻し」→「ハンドル停止」になった状態の後、「ハンドル切り増し」の操舵操作状態に移行した場合に、前回の繰り返しにおける目標伝達比GXpを用いることを止め、ステップS72で読み込まれた目標伝達比設定部11で設定された車速VSに応じた目標伝達比GTに切り換わるので、可変伝達比機構5(図1参照)は本来の設定に復帰する。
クイックレシオの状態で、運転者の急速な操舵ハンドル2(図1参照)の操舵操作により、伝達比可変用モータ33(図1参照)の出力トルクの不足によりモータ角θvmが迅速に目標モータ角θTvmに追従できなくなる。そのため、図13の(a)に示す比較例のように時刻t3で操舵ハンドル2の操作を停止したときに、従来の場合は目標モータ角θTvmに追従するように実モータ角θvmが制御され続けられるため、転舵輪の転舵が継続し、車両の挙動、及び操舵反力を通じて、運転者に違和感を与える。本実施形態によれば図13の(b)に示すように時刻t3で操舵ハンドル2の操作を停止すると、目標モータ角θTvmが実モータ角θvmに一致させられるので、転舵輪の動きが止まり、そのような違和感を与えることはない。
《第4の実施形態》
次に、図20から図22を参照しながら適宜図1を参照して本発明の第4の実施形態について説明する。図20は、第4の実施形態における可変伝達比機構制御ECUの機能構成ブロック図である。可変伝達比機構制御ECU9Dは、機構ブロックとして目標伝達比設定部11、目標モータ角設定部12A、減算部13、位置F/B制御部14、減算部15、電流F/B制御部16、乗算部19、を含んでいる。
ここで、目標伝達比設定部11及び目標モータ角設定部12Aが請求項に記載の伝達比調整設定部に対応し、乗算部19及び補正係数設定部20Bが請求項に記載の操舵トルク調整設定部に対応する。
本実施形態は、第1の実施形態において伝達比調整モードと操舵トルク調整モードの定義は無く、補正係数設定部20Bにおいて連続的に伝達比可変用モータ33(図1参照)の電流を補正して、それを受けて下流側で制御することを特徴とする。本実施形態は、第1の実施形態と基本的に同じ構成であるが、第1の実施形態における可変伝達比機構制御ECU9Aに含まれる補正係数設定部20が補正係数設定部20Bに置き換わっているだけである。第1の実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態における補正係数設定部20Bには、第1の実施形態とは異なり図20に示すように図示しない車速センサからの車速VS、操舵ハンドル角速度ωhが入力されるが、操舵トルク値Thは入力されない。
補正係数設定部20Bでは、ROMに格納された車速VSに応じた連続関数(図21参照)のデータを参照して、操舵ハンドル角速度の絶対値|ωh|に対する補正係数K1を設定する。
図21に示す操舵ハンドル角速度の絶対値|ωh|を変数とする補正係数K1を決める連続関数は、絶対値|ωh|が増加すると補正係数K1が単調に直線的に1.0から減少し、−1.0に達すると−1.0で飽和する特性を示している。
補正係数K1にマイナス値を許容することで、目標電流値IT1に補正係数K1が乗算部19で乗算された結果の目標電流値IT2が目標電流値IT1の方向と逆転することを許容する。つまり、クイックレシオ方向への伝達比可変用モータ33の目標モータ角θTvmをスローレシオ方向への伝達比可変用モータ33の目標モータ角θTvmへ変更することを許容し、操舵反力を低減させる。
ここで、補正係数K1が単調に減少する直線の負の傾きの値は、車速VSに応じて変化し、車速VSが小さいほど絶対値が大きな値に設定され、車速VSが大きいほど絶対値が小さい値に設定される。
これは、目標伝達比設定部11で設定される目標伝達比GTが、車速VSが小さいほど目標伝達比GTを小さく、つまり、クイックレシオ側に設定するので、クイックレシオの度合いが強いほど、操舵ハンドル角速度の絶対値|ωh|が小さくても電動パワーステアリング装置4のEPSモータ23や伝達比可変用モータ33が追従できない傾向があるため、操舵ハンドル角速度|ωh|の増大に対して補正量を大きく変化させる。
次に、図22を参照し、適宜図20を参照しながら補正係数設定部20Bにおける補正係数K1の設定、及び乗算部19における目標電流値IT2を出力する制御の流れを説明する。
以下に説明するフローチャートのステップS101からステップS103は補正係数設定部20Bにおいて処理され、ステップS104,S105は乗算部19において処理される。ちなみに、ステップS106は、CPU9aにおける全体制御の中で行われる。
イグニッション・スイッチ(IG)がオンされると、可変伝達比機構制御ECU9Dは起動し、CPU9a(図20参照)において可変伝達比機構制御用のプラグラムがスタートする。そして、以後一定の周期でステップS101〜S106を繰り返し処理する。
ステップS101では、車速VS、操舵角速度ωh、位置F/B制御部14から出力された目標電流値IT1を読み込む。
ステップS102では、ステップS101で読み込んだ車速VSに応じた補正係数データを参照する。具体的には、例えば、図20に示したような補正係数K1を決定する操舵角速度の絶対値|ωh|を変数とする連続関数が、所定の車速VSの異なる値に対して数種類用意され、ステップS101で読み込んだ車速VSの値に応じて内挿補間して、所望の連続関数が得られる。
ステップS103では、操舵ハンドル角速度の絶対値|ωh|に応じた補正係数1 を設定する。
ステップS104では、IT2=K1 ×IT1とし、IT2を目標電流値として減算部15(図20参照)に出力する(ステップS105)。そして、ステップS106へ進み、イグニッション・スイッチがオフされているか否か(IG OFF?)をチェックし、IG OFFの場合(Yes)は、一連の制御を終了し、IG OFFでない場合(No)はステップS101に戻り、ステップS101〜S106を繰り返す。
以上で補正係数設定部20Bにおける補正係数K1の設定、及び乗算部19における目標電流値IT2を出力する一連の制御の流れの説明を終了する。
本実施形態によれば、第1の実施形態におけるような伝達比調整モードと操舵トルク調整モードとの切り替えもなく、車速VSが小さいときによりスムーズに、操舵ハンドル角速度の絶対値|ωh|に応じて、伝達比可変用モータ33の目標電流を補正して、運転者の急速な操舵ハンドル2(図1参照)の操舵操作時に運転者に与える操舵反力を低減することができる。
以上の第1の実施形態から第4の実施形態及びそれらの変形例においては、伝達比可変機構して遊星歯車を用いた差動ギア機構(遊星歯車機構31)を想定したが、本発明の適用はそれに限定されるものではなく、操舵ハンドル角とピニオン角を調整するアクチュエータを備えたもの一般に対しても適用可能である。
また、操舵力補助機構として電動パワーステアリング装置4を想定したが、本発明の適用はそれに限定されるものではなく、油圧式のパワーステアリング装置に対しても同様に適用できる。
本発明の第1の実施形態に係るステアリング装置の概略構成図である。 可変伝達比機構制御ECUの機能構成ブロック図である。 車速に応じて設定される目標伝達比の値を示す図である。 操舵ハンドル角速度の絶対値に応じて設定される補正係数の値を示す図である。 補正係数設定部における伝達比調整モードとトルク調整モードとの間の切り替え制御及び、トルク調整モードにおける第2の目標電流値の設定制御の流れを示すフローチャートである。 比較例の可変伝達比機構制御ECUの機能構成ブロック図である。 (a)は、操舵ハンドル角速度ωhの時間推移を示す図であり、(b)は、目標電流値IT1と目標電流値IT2の値の時間推移を示す図であり、(c)は、操舵トルク値Thの時間推移を示す図である。 第1の実施形態の変形例における補正係数設定部における伝達比調整モードとトルク調整モードとの間の切り替え制御及び、トルク調整モードにおける第2の目標電流値の設定制御の流れを示すフローチャートである。 操舵トルク値の絶対値に応じて設定される補正係数の値を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係るステアリング装置における可変伝達比機構制御ECUの機能構成ブロック図である。 目標モータ角設定部の詳細な機能構成ブロック図である。 目標モータ角設定部における目標ピニオン角を補正する制御の流れを示すフローチャートである。 (a)は比較例における伝達比可変用モータの実モータ角θvmと目標モータ角θTvmの時間推移を示す図であり、(b)は第2の実施形態における伝達比可変用モータの実モータ角θvmと目標モータ角θTvmの時間推移を示す図である。 目標モータ角設定部における目標ピニオン角を補正する制御の流れを示すフローチャートである。 目標モータ角設定部における目標ピニオン角を補正する制御の流れを示すフローチャートである。 (a)は操舵ハンドル角θhの時間推移を示すグラフであり、(b)は操舵ハンドル角速度ωhの時間推移を示すグラフであり、(c)は操舵操作状態を示すフラグの値の変化を示すグラフであり、(d)は補正量ΔθC2の時間推移を示すグラフである。 第3の実施形態における目標モータ角設定部のブロック機能構成図である。 目標モータ角設定部における目標伝達比を変更する制御の流れを示すフローチャートである。 目標モータ角設定部における目標伝達比を変更する制御の流れを示すフローチャートである。 第4の実施形態における可変伝達比機構制御ECUの機能構成ブロック図である。 操舵ハンドル角速度の絶対値に応じて設定される補正係数の値を示す図である。 第4の実施形態における補正係数設定部における伝達比調整モードとトルク調整モードとの間の切り替え制御及び、トルク調整モードにおける第2の目標電流値の設定制御の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
1 ステアリング装置
2 操舵ハンドル
3 ラック&ピニオン機構
4 電動パワーステアリング装置(電動パワーステアリング)
5 可変伝達比機構
7 ピニオン角センサ
9,9A,9B,9C,9D 可変伝達比機構制御ECU
9a CPU
11 目標伝達比設定部(伝達比調整設定部)
12A 目標モータ角設定部(伝達比調整設定部)
12B,12C 目標モータ角設定部
12a 目標ピニオン角算出部
12b,12g 目標モータ角算出部
12c 目標ピニオン角補正量算出部
12d 加算部
12e 操舵状態判定部
12f 目標伝達比変更部
13,15 減算部
14 位置F/B制御部
16 電流F/B制御部
17 モータ駆動回路
18 電流センサ
19 乗算部(操舵トルク調整設定部)
20 補正係数設定部
20B 補正係数設定部(操舵トルク調整設定部)
21 トルクセンサ
23 EPSモータ
25 ECU
31 遊星歯車機構
33 伝達比可変用モータ
35 モータ角センサ

Claims (6)

  1. 可変伝達比機構により転舵輪の転舵角に対する操舵ハンドルの操舵角の伝達比を変化させるとともに、電動パワーステアリングにより操舵時の補助力を発生させるステアリング装置において、
    前記伝達比が車速に応じた目標伝達比に設定されるように、前記可変伝達比機構に用いられる伝達比可変用モータの回転角度を設定する伝達比調整モードと、前記操舵ハンドルの操舵力が低減するように、前記伝達比可変用モータを駆動する電流を低減させる操舵トルク調整モードと、を切り替える切替手段と、
    前記操舵ハンドルの操作状態を示す操舵操作状態情報を取得する操舵操作状態情報取得手段と、を有し、
    前記切替手段は、
    前記操舵ハンドルの操舵トルク値にもとづいて算出されるモード切替判定値が所定の閾値以上の場合に、前記伝達比調整モードから前記操舵トルク調整モードへの切り替えを行い、この切り替えの際に、前記操舵操作状態情報取得手段で取得した操舵操作状態情報と、当該操舵操作状態情報を変数にした連続関数とにもとづき補正係数を設定し、前記操舵トルク調整モードの場合における第1の目標電流値に、前記設定された補正係数を乗算して得られる補正後の第2の目標電流値を前記伝達比可変用モータへの電流値とする一方、
    前記モード切替判定値が前記所定の閾値に満たないときであって、前記操舵トルク調整モードに切り替えられており、かつ、今回の前記第1の目標電流値と、前回の前記第2の目標電流値との差分の絶対値が、所定の電流閾値以下の場合に、前記操舵トルク調整モードから前記伝達比調整モードへ戻す切り替えを行い、
    前記伝達比調整モードから前記操舵トルク調整モードへ切り替える場合に、前記伝達比可変用モータへの電流値が連続的に変化するように制御する
    ことを特徴とするステアリング装置。
  2. 前記モード切替判定値は、前記操舵トルク値に該操舵トルク値を時間微分した操舵トルク微分値を加算した合算値の絶対値である
    ことを特徴とする請求項1に記載のステアリング装置。
  3. 前記操舵操作状態情報とは、前記操舵ハンドルの操舵速度である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のステアリング装置。
  4. 前記操舵操作状態情報とは、操舵トルク値である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のステアリング装置。
  5. 前記操舵操作状態情報とは、前記電動パワーステアリングに用いられ前記補助力の発生源となるアシストモータへの指示電流値である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のステアリング装置。
  6. 可変伝達比機構により転舵輪の転舵角に対する操舵ハンドルの操舵角の伝達比を変化させるとともに、電動パワーステアリングにより操舵時の補助力を発生させるステアリング装置において、
    前記伝達比が車速に応じた目標伝達比に設定されるように、前記可変伝達比機構に用いられる伝達比可変用モータの回転角度を設定する伝達比調整モードと、前記操舵ハンドルの操舵力が低減するように、前記伝達比可変用モータを駆動する電流を低減させる操舵トルク調整モードと、を切り替える切替手段と、
    前記操舵ハンドルの操作状態を示す操舵操作状態情報を取得する操舵操作状態情報取得手段と、を有し、
    前記切替手段は、
    前記操舵ハンドルの操舵トルク値にもとづいて算出されるモード切替判定値が所定の閾値以上の場合に、前記伝達比調整モードから前記操舵トルク調整モードへの切り替えを行い、この切り替えの際に、前記操舵操作状態情報取得手段で取得した操舵操作状態情報と、当該操舵操作状態情報を変数にした連続関数とにもとづき補正係数を設定し、前記操舵トルク調整モードの場合における第1の目標電流値に、前記設定された補正係数を乗算して得られる補正後の第2の目標電流値を前記伝達比可変用モータへの電流値とする一方、
    前記モード切替判定値が前記所定の閾値に満たないときであって、前記操舵トルク調整モードに切り替えられており、かつ、今回の前記第1の目標電流値と、前回の前記第2の目標電流値との差分の絶対値が、所定の電流閾値以下の場合に、前記操舵トルク調整モードから前記伝達比調整モードへ戻す切り替えを行い、
    前記操舵ハンドルの操舵が停止した場合、又は操舵方向が切り替わった場合には、それ以前の操舵方向に前記転舵角が増加しないように、前記伝達比可変用モータの電流を制御する
    ことを特徴とするステアリング装置。
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