JP5195370B2 - エピタキシャルウェーハの製造方法 - Google Patents
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Description
(1)気相成長後のウェーハの主裏面を観察すると、全体または局所的にクモリ(エッチング斑、裏面クモリともいう)が観察される。
(2)上記の通り、サセプタの座ぐり内には、半導体ウェーハをサセプタ上に搬送・載置する際に必要となるウェーハリフトピンとその挿入孔が設けられているが、これらリフトピン先端部と対向する半導体ウェーハの主裏面には、「ピンハロー」と呼ばれるドーナツ状のクモリが発生する。
このような裏面クモリやピンハローが目視でも確認できるようになると、外観不良となり製品ウェーハとしては好ましくない。更に、近年、デバイス工程ではデザインルールの微細化に伴い、エピタキシャルウェーハに対し、より高度な平坦度が要求されている。そのため、これまでデバイス特性に影響を及ぼさなかった裏面クモリやピンハローによる面荒れ(凹凸)が問題視されてきている。
したがって、高品質なエピタキシャルウェーハを得るためには、裏面クモリおよびピンハローを抑制することが求められる。
[1]反応チャンバと、半導体ウェーハを該ウェーハの主裏面で支持するための昇降可能なリフトピンと、該反応チャンバ内に配置された、該半導体ウェーハの載置領域に上記リフトピンを挿通可能なリフトピン挿通用貫通孔を有するサセプタと、を有する気相成長装置内で半導体ウェーハの主表面上にエピタキシャル層を気相成長させるエピタキシャルウェーハの製造方法であって、
前記サセプタは、上記リフトピン挿通用貫通孔の中心を基準として直径30mm以内の領域に貫通孔を有し、該領域以外の領域には貫通孔を有さず、
前記気相成長を、前記半導体ウェーハの主裏面を弗酸系溶液により洗浄した後、該半導体ウェーハを前記サセプタ上に載置して行うことを特徴とするエピタキシャルウェーハの製造方法。
[2]前記気相成長を、反応チャンバ内でサセプタ上面側に原料ガスおよびキャリアガスを供給し、かつサセプタ下面側にキャリアガスを供給することにより行う[1]に記載のエピタキシャルウェーハの製造方法。
[3]前記弗酸系溶液は、弗酸水溶液である[1]または[2]に記載のエピタキシャルウェーハの製造方法。
気相成長装置(以下、装置)1は、その内部にエピタキシャル膜の形成室(以下、反応チャンバ)2を有している。この反応チャンバ2は、上側ドーム3と下側ドーム4とドーム取り付け体5とを備えている。上側ドーム3および下側ドーム4は、石英などの透明な材料から構成され、装置1の上方および下方に複数配置されたハロゲンランプ6により、サセプタ10および半導体ウェーハWが加熱される。サセプタ10は、サセプタ回転軸7に連なる支持アーム8によって、該サセプタの下面の外周部が水平に保持されて回転する。サセプタ10は、通常、炭素母材の表面にSiC膜をコーティングしたものが採用されている。従来、このサセプタ10は、図2に示すような円板形状、または、図3に示すような凹部を有する円板形状で、半導体ウェーハWの主裏面全体を面支持していた。この凹部は、半導体ウェーハWが収納される略円形の底壁と、これを取り囲む側壁とにより形成されるポケット10aを構成する。また、サセプタ10の外周部には、その周方向に向かって、例えば120度毎に合計3本の貫通孔(リフトピン挿通用貫通孔)10bが形成されている。各リフトピン挿通用貫通孔10bには、半導体ウェーハWを昇降させるリフトピン9が遊挿されている。リフトピン9の昇降は、リフトアーム11により行われる。
ドーム取り付け体5のうち、サセプタ10と対峙する高さ位置には、ガス供給口12とガス排出口13とが対向配置されている。ガス供給口12からは、反応チャンバ2内にSiHCl3などのSiソースガス(原料ガス)を水素ガス(キャリアガス)で希釈し、それにドーパントを微量混合した反応ガスが、半導体ウェーハWの主表面に対して平行(水平方向)に供給される。この供給された反応ガスは、半導体ウェーハWの主表面を通過してエピタキシャル膜成長後、ガス排出口13より装置1の外に排出される。一方、サセプタ下面側には、通常、下側ドーム4を清浄に保つために、ガス供給口14からキャリアガスが供給される。
以上説明したように、本発明によれば、
(1)リフトピン挿通用貫通孔の周囲に貫通孔を設けることによりサセプタ上面側から下面側へのガス流れを優勢にすること、および、
(2)サセプタ上に載置する前の半導体ウェーハの主裏面を弗酸系溶液により洗浄すること、
により裏面クモリおよびピンハローを抑制することができる。このように裏面クモリおよびピンハローが抑制されたエピタキシャルウェーハは、外観良好である上に、高度な平坦度を有するため微細化されたデバイス作製に好適である。
以下、本発明のエピタキシャルウェーハの製造方法について更に詳細に説明する。
反応チャンバおよび半導体ウェーハを該半導体ウェーハの主裏面で支持するための昇降可能なリフトピンを有する気相成長装置としては、エピタキシャルウェーハ製造のために通常使用される気相成長装置を何ら制限なく使用することができる。そのような装置については、例えば特開2004−63865号公報、特表2005−515630号公報等に詳細に記載されている。
本発明では半導体ウェーハを、サセプタ上に載置する前にウェーハ主裏面を弗酸系溶液で洗浄する。ウェーハ主裏面を弗酸系溶液で洗浄することにより、裏面クモリを抑制することができる。これは前述のように、主裏面上の自然酸化膜を除去し撥水面とすることによって、水分の付着を抑制することができるからと考えられる。
洗浄方法は特に限定されず、ウェーハ全体を上記溶液に浸漬する方法、枚葉式の洗浄装置において弗酸水溶液をウェーハ主裏面の上方から注液することにより、ウェーハ主裏面を洗浄する方法、等を使用することができる。
上記洗浄処理後、半導体ウェーハ主表面がサセプタ上面側となるように半導体ウェーハをサセプタ上に載置する。例えば、外部の搬送装置から反応チャンバ内に半導体ウェーハを搬入した後、リフトピンを貫通孔より上方に上昇して半導体ウェーハを受け取り、続いて下方に下降することで、半導体ウェーハをサセプタ上に載置することができる。その後、反応チャンバ内でサセプタ上面側に原料ガスを供給することにより、半導体ウェーハ主表面と原料ガスとを接触させ気相成長反応(エピタキシャル成長)を進行させることができる。原料ガスとしては、例えばSiH4、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4 などを採用することができる。原料ガスは、通常キャリアガスと混合して供給される。キャリアガスとしては、例えば水素ガス、不活性ガスなどを採用することができる。原料ガスとキャリアガスとの混合比は適宜設定すればよい。
図1に示す枚葉式気相成長装置に、サセプタ表面に拡開したリフトピン挿通用貫通孔(直径約4mm)を3つ有し、各貫通孔を取り囲むように周辺貫通孔(直径1mm)を、リフトピン挿通用貫通孔中心を基準として直径30mmの円内に、等間隔に33個配置したサセプタ(座ぐり部の直径303mm)を設置した。リフトピン挿通用貫通孔中心から周辺貫通孔中心までの距離は、円周方向に最も近い孔で6mmであった。次いで、サセプタを取り囲むように予熱リングを配置した。
定法により表面を鏡面研磨したCZシリコンウェーハの主裏面を、枚葉式洗浄機にて、10秒間純水洗浄、20秒間弗酸水溶液(弗化水素濃度0.5vol%)洗浄、40秒純水洗浄、の順に洗浄処理(ウェーハ主裏面上方から洗浄液を注液)を施した後、乾燥させた。
主裏面洗浄後のシリコンウェーハを、リフトピンを昇降させて主表面を上に向けてサセプタ上に設置した。その後、サセプタ上面側へ、流速90リットル/分でH2:SiHCl3:B2H6=88.8:11.0:0.2(体積比)の混合ガス(反応ガス)を供給し、エピタキシャル成長温度1130℃で、厚さ8μm、比抵抗10ΩcmのP型エピタキシャル膜をウェーハ主表面に成長させた。図1に示す気相成長装置において、反応ガス供給口12から供給された反応ガスは、装置1の上方および下方に複数配置されたハロゲンランプ6によってサセプタ10およびシリコンウェーハWが加熱される反応チャンバ2内を通過しながら、シリコンウェーハWの表面にエピタキシャル膜を形成した後、ガス排出口13から装置1に排出された。これとは別にガス供給口14からは、水素ガスを、サセプタ10の下面側を通過するように20リットル/分の流量で反応チャンバ2内に供給し、その水素ガスはガス排出口15から排出した。
弗酸溶液による洗浄に代え、シリコンウェーハ主裏面をSC1洗浄した以外は実施例1と同様の方法でエピタキシャルウェーハを得た。
周辺貫通孔なしのサセプタを使用した以外は実施例1と同様の方法でエピタキシャルウェーハを得た。
比較例1と同様の方法でウェーハの主裏面を洗浄し、かつ周辺貫通孔なしのサセプタを使用した以外は実施例1と同様の方法でエピタキシャルウェーハを得た。
(1)主裏面外観観察
実施例1、比較例1〜3で得られたエピタキシャルウェーハの主裏面を、集光灯下、目視で観察した。実施例1で得たエピタキシャルウェーハでは、裏面クモリもピンハローも観察されず、外観が良好であった。
これに対し、比較例1〜3で得たエピタキシャルウェーハでは、いずれも主裏面にクモリが観察された。これは、比較例1では弗酸系溶液による洗浄を行わなかったため裏面クモリを抑制できなかったこと、比較例2では周辺貫通孔を設けなかったためピンハローを抑制できなかったこと、比較例3では、周辺貫通孔を設けず弗酸系溶液による洗浄も行わなかったため、ピンハローも裏面クモリも抑制できなかったこと、に起因すると考えられる。
実施例1で得たエピタキシャルウェーハおよび比較例3で得たエピタキシャルウェーハを、ADE製(KALテンコール社)フラットネス測定器にて静電容量方式で平坦度を測定した。図7に、平坦度としてウェーハ全面の厚みを表示した鳥瞰図を示し、図8にリフトピンと対向する位置における平坦度劣化量の比較結果を示す。図7および図8に示すように、比較例3ではリフトピンに対向する位置で平坦度が局所的に低下した。また、図7の結果から、ウェーハ全体としても、実施例1と比べて比較例3は平坦度が低いことがわかる。
以上の結果から、実施例1のエピタキシャルウェーハは、裏面ハローおよびピンハローが抑制されたため、外観も良好で、かつ平坦度に優れることが確認できた。
2 反応チャンバ
3 上側ドーム
4 下側ドーム
5 ドーム取り付け体
6 ハロゲンランプ
7 サセプタ回転軸
8 支持アーム
9 リフトピン
10 サセプタ
11 リフトアーム
12 ガス供給口
13 ガス排出口
14 ガス供給口
15 ガス排出口
Claims (3)
- 反応チャンバと、半導体ウェーハを該ウェーハの主裏面で支持するための昇降可能なリフトピンと、該反応チャンバ内に配置された、該半導体ウェーハの載置領域に上記リフトピンを挿通可能なリフトピン挿通用貫通孔を有するサセプタと、を有する気相成長装置内で半導体ウェーハの主表面上にエピタキシャル層を気相成長させるエピタキシャルウェーハの製造方法であって、
前記サセプタは、上記リフトピン挿通用貫通孔の中心を基準として直径30mm以内の領域に貫通孔を有し、該領域以外の領域には貫通孔を有さず、
前記気相成長を、前記半導体ウェーハの主裏面を弗酸系溶液により洗浄した後、該半導体ウェーハを前記サセプタ上に載置して行うことを特徴とするエピタキシャルウェーハの製造方法。 - 前記気相成長を、反応チャンバ内でサセプタ上面側に原料ガスおよびキャリアガスを供給し、かつサセプタ下面側にキャリアガスを供給することにより行う請求項1に記載のエピタキシャルウェーハの製造方法。
- 前記弗酸系溶液は、弗酸水溶液である請求項1または2に記載のエピタキシャルウェーハの製造方法。
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