JP5140990B2 - エピタキシャルシリコンウエーハの製造方法 - Google Patents
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Description
前記の水素処理の際に、第一主表面だけでなく、第一主表面とは反対側の面(以下、第二主表面と言うことがある)にも水素ガスがわずかに回り込み、第二主表面の自然酸化膜を不均一に除去してしまう。そして、次のエピタキシャル成長の際に、自然酸化膜が除去された部分に、局所的にシリコンが成長して凹凸を形成してしまう。なお、このような微小な凹凸は、「ハロー」と呼ばれる濃淡のある「くもり」として目視で観察できることもある。このような微小な凹凸はパーティクル測定を行う際に、パーティクルとしてカウントされてしまい、正確にパーティクル測定を行うことができないなどの問題があった。
また、第二主表面側から外方拡散したドーパントが第一主表面側に回り込んでエピタキシャルシリコン層に取り込まれるオートドーピングなどによって面内抵抗率分布が悪化するという問題があった。
しかし、このように多数の貫通孔を有するサセプタを用いた場合エピタキシャル成長の際に、ウエーハの第二主表面に、サセプタの貫通孔に相当する位置にシリコンが堆積し、ナノトポロジーと一般に称されるような、ウエーハの局部表面領域における厚さの微小な変化(ナノトポロジーの凹凸)が形成されてしまう等の問題があった。
前述のように、多数の貫通孔を有するサセプタを用いてエピタキシャル成長を行った場合、ウエーハの第二主表面に、サセプタの貫通孔に相当する位置にシリコンが堆積し、ナノトポロジーの凹凸が形成されてしまう等の問題があった。そして、近年、このようなナノトポロジーの凹凸であっても、その悪影響が無視できなくなってきており、ウエーハ品質のさらなる向上が望まれている。
本発明が適用されるエピタキシャルシリコンウエーハの製造方法の手順の概略を図5に示した。
まず、工程(a)では、エピタキシャルシリコン層を成長させるシリコンウエーハを準備する。仕様に応じて、所定の直径、導電型、抵抗率、面方位を有するシリコン鏡面ウエーハを用意すればよい。
エピタキシャル成長装置51は、チャンバー52と、チャンバー内部に配置されたサセプタ71、サセプタを下方から支持し、回転上下動自在なサセプタ支持手段53、チャンバー52内にウエーハを搬入したり、逆に外へと搬出したりするためのウエーハ搬送口54、チャンバー内に各種ガスを供給するガス導入管55、ガス導入管55に接続され、チャンバー内に水素ガスを供給する図示しない水素ガス供給手段及びシラン等の原料ガスを供給する図示しない原料ガス供給手段、チャンバー内から各種ガスを排出するガス排出管57、チャンバー52の外部に備えられた加熱手段58、チャンバー内にシリコンウエーハを移送し、また、チャンバー52内からシリコンウエーハを移送する図示しないウエーハ移送手段等から構成される。
また、チャンバー52の内部にはリフトピン75をサセプタに対して相対的に上下させることができるリフトピン昇降手段を設けてもよい。
サセプタ71には、載置するシリコンウエーハを位置決めする座ぐり72が形成され、座ぐり72の略全面に多数の貫通孔74が形成されている。貫通孔74はスムーズにガスが流通できるような大きさ、形状であればどのようなものであってもよいが、例えば、円筒状であり、その直径が1mmとすることができる。また、貫通孔の数も特に限定されるものではないが、例えば、開口密度が0.1開口/cm2以上となるように形成すれば、ガスがウエーハの第二主表面側により一様に供給されるようにすることができるので好ましい。
また、シリコンウエーハの第二主表面に接触するガスが、より入れ替わり易くするために、サセプタ71の形状を図4のように、載置されるシリコンウエーハWとの間に空間ができるように、シリコンウエーハの周縁部のみを下方から支持するようにしてもよい他、公知の形状を有するサセプタの座ぐり部に、多数の貫通孔74が形成されているものであれば本発明を適用することができる。
チャンバー内にシリコンウエーハを搬入した時点で、シリコンウエーハの表面には、自然酸化膜がわずかに成長している。
水素ガスはシリコンウエーハの第一主表面側に多く供給され、加熱によって第一主表面の酸化膜を除去する。一方、サセプタ71に形成されている多数の貫通孔74によって、シリコンウエーハの第二主表面側にも水素ガスは十分に供給され、自然酸化膜をほぼ均一に除去するが、前述のように局所的に不均一に除去される領域が残る。このとき、サセプタ71に形成されている多数の貫通孔74が座ぐり部72に均等に配置されていれば、より確実に水素ガスを第二主表面に均一に接触させることができ、第二主表面側の自然酸化膜をより均一に除去することができる。
この水素処理の際の加熱温度及び加熱時間は、シリコンウエーハ表面の自然酸化膜、特に第二主表面の自然酸化膜を効率よく除去できれば、どのように設定してもよいが、例えば、800℃以上、1分以上とすることができる。
図5に示した手順でエピタキシャルシリコンウエーハを製造した。
シリコンウエーハとして、直径300mm、面方位(100)のp型シリコン単結晶ウエーハを準備し(a)、オゾン水による洗浄を行った(b)。
本明細書中におけるナノトポロジーの測定方法は以下の通りである。
まず、光学干渉の原理を用いて、波長20mm以下の凹凸を抽出する。次に、これに対し、2mm×2mmの大きさの領域(これをウィンドーと呼ぶ)でウエーハ全面をスキャンし、高低差を求める。この高低差の値をウィンドーの中心に与える。次に、横軸に閾値(スレッシュホールド値)とする高低差の値を取り、縦軸に、ウィンドー内でその閾値を超える高低差を有する部分の面積割合を取り、閾値曲線を描く。この閾値曲線において、縦軸が0.05%となる閾値をナノトポロジーの数値とした。
なお、通常のエピタキシャル成長に用いられるチャンバーであれば、本発明の水素ガスの流量と原料ガス流量との比の規定をそのまま適用することができる。
(実施例1)
実験と同様に、図5に示した手順でエピタキシャルシリコンウエーハを製造した。
実施例1と同様に、ただし、エピタキシャル成長工程におけるキャリア水素ガスの流量を70slmとしてエピタキシャルシリコンウエーハの製造を行った。このとき、水素流量(slm)/原料ガス流量(slm)はおよそ4.38になる。
このようにして製造したエピタキシャルシリコンウエーハの第二主表面のナノトポロジーの画像から、第二主表面のどの領域においても、ナノトポロジーの凹凸として測定された領域はほとんどなかった。また、目視ではサセプタ貫通孔に対応する跡は全く観察されなかった。
実施例1と同様に、ただし、エピタキシャル成長工程におけるキャリア水素ガスの流量を60slmとしてエピタキシャルシリコンウエーハの製造を行った。このとき、水素流量(slm)/原料ガス流量(slm)はおよそ3.75になる。
このようにして製造したエピタキシャルシリコンウエーハの第二主表面のナノトポロジーの画像から、第二主表面の周縁部にナノトポロジーの凹凸として測定された領域が現れた。また、目視によって第二主表面の周縁部の、サセプタの貫通孔に対応する箇所の一部にわずかな凹凸が観察された。
実施例1と同様に、ただし、エピタキシャル成長工程におけるキャリア水素ガスの流量を40slmとしてエピタキシャルシリコンウエーハの製造を行った。このとき、水素流量(slm)/原料ガス流量(slm)はおよそ2.5になる。
このようにして製造したエピタキシャルシリコンウエーハの第二主表面のナノトポロジーの画像から、第二主表面の周縁部にナノトポロジーの凹凸として測定された領域が比較例1よりも広がった。また、目視によって第二主表面の周縁部の、サセプタの貫通孔に対応する箇所の多くにわずかな凹凸が観察された。
52…チャンバー、 53…サセプタ支持手段、 54…ウエーハ搬送口、
55…ガス導入管、 57…ガス排出管、 58…加熱手段、
71…サセプタ、 72…座ぐり、 73…リフトピン用貫通孔、
74…貫通孔、 75…リフトピン、
W…ウエーハ。
Claims (2)
- 少なくとも、チャンバー内に配置され、シリコンウエーハが載置される座ぐり部を有するサセプタの上面に、前記シリコンウエーハを、その第二主表面をサセプタに対向させて載置し、前記チャンバー内に水素ガスを流して加熱する水素処理を行って前記シリコンウエーハの自然酸化膜を除去する自然酸化膜除去工程と、前記チャンバー内に少なくとも原料ガスと水素ガスとを流すとともに加熱して前記シリコンウエーハの第一主表面上にエピタキシャルシリコン層を成長させるエピタキシャル成長工程とを含むエピタキシャルシリコンウエーハの製造方法において、
前記サセプタの座ぐり部に、多数の貫通孔が形成されているサセプタを用い、該サセプタ上に載置された前記シリコンウエーハの第二主表面側が、前記水素処理の際にその全面において前記水素ガスと接触するようにして水素処理を行い、前記エピタキシャル成長工程において流す水素ガスの流量と原料ガスの流量との比を、4≦水素流量(slm)/原料ガス流量(slm)≦9として前記エピタキシャルシリコン層の成長を行うことを特徴とするエピタキシャルシリコンウエーハの製造方法。 - 前記多数の貫通孔が、前記サセプタの座ぐり部に均等に配置されているサセプタを用いることを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャルシリコンウエーハの製造方法。
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