JP5195309B2 - 車両用制御装置、車両用制御装置の制御方法、駆動力配分制御装置及び駆動力配分制御装置の制御方法 - Google Patents

車両用制御装置、車両用制御装置の制御方法、駆動力配分制御装置及び駆動力配分制御装置の制御方法 Download PDF

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本発明は、車両用制御装置、車両用制御装置の制御方法、駆動力配分制御装置及び駆動力配分制御装置の制御方法に関するものである。
従来、駆動源のトルクが常時伝達される主駆動輪と車両の状態に応じて必要時に駆動源のトルクが伝達される補助駆動輪とを備えた4輪駆動車における駆動源と補助駆動輪との間に設けられ、補助駆動輪へ伝達可能なトルク(以下、トルク配分量)を変更可能なトルク配分装置を備えた駆動力配分制御装置がある。このようなトルク配分装置として、円筒状の第1回転部材と、該第1回転部材内に回転可能に同軸配置された軸状の第2回転部材とを備え、これら第1回転部材と第2回転部材との間に設けられたクラッチ機構により第1回転部材及び第2回転部材をトルク伝達可能に連結するトルク配分装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、このようなトルク配分装置を搭載した4輪駆動車両は、例えば前輪を常時エンジンのトルクが伝達される主駆動輪とし、後輪をトルク配分装置を介して必要時にエンジンのトルクが伝達される補助駆動輪として構成される。このような4輪駆動車では、前輪(主駆動輪)のみにエンジンのトルクが伝達されている状態で前輪にスリップが発生した場合には、トルク配分装置を作動させ、後輪(補助駆動輪)にもトルクを配分することで前輪に伝達されるトルクを低減し、スリップが抑制される。
しかしながら、この際にトルク配分装置の入出力部材間に差動が生じ、クラッチ機構等のトルク伝達部位に摩擦が発生するため、この摩擦熱によりトルク配分装置が過熱状態になり、摩擦材が損傷したり潤滑油が劣化してしまう等の虞がある。そこで、例えばトルク配分装置の温度を検出し、該検出した温度が所定温度以上の場合には、トルク配分量の制御目標値を、クラッチ機構での摩擦熱の発生を抑えることが可能な小さな値(例えば「0」)とすることで、トルク配分装置での発熱を抑えることが考えられる。
特開2005−3167号公報
ところが、上記従来の構成では、トルク配分装置の過熱を抑制するために、トルク配分量の制御目標値を小さな値にする。その結果、主駆動輪にスリップが発生しても、補助駆動輪側に十分なトルクを配分することができず、主駆動輪のスリップを適確に抑制することが出来なくなるという問題があった。
なお、このような問題は、駆動力配分制御装置を備えたものに限らず、前輪側駆動軸及び後輪側駆動軸にこれら両駆動軸の差動を許容してトルクを配分するとともに、前輪側駆動軸と後輪側駆動軸との差動を制限可能な差動制限手段(クラッチ機構等)を有するセンターディファレンシャル装置を備えた4輪駆動車両においても同様に発生する。また、車両の駆動伝達系における前輪側又は後輪側の左右輪間に配置され、エンジンのトルクを左側車軸及び右側車軸にこれら両車軸の差動を許容して配分するとともに、左側車軸と右側車軸との差動を制限する差動制限手段を有するディファレンシャル装置を備えた車両においても同様に発生する。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、トルク配分装置の過熱を防止しつつ、車輪のスリップを抑制できる車両用制御装置、車両用制御装置の制御方法、駆動力配分制御装置及び駆動力配分制御装置の制御方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、駆動源のトルクが常時伝達される主駆動輪と走行状態に応じて必要時に前記駆動源のトルクが伝達される補助駆動輪とを備えた4輪駆動車における前記駆動源と前記補助駆動輪との間に設けられトルク配分量を変更可能なトルク配分装置、及び走行状態に基づいて前記トルク配分装置のトルク配分量を制御し前記主駆動輪にスリップが発生した場合に前記トルク配分量を増大させるトルク配分量制御手段を有する駆動力配分制御装置と、前記主駆動輪及び前記補助駆動輪に制動力を付与するブレーキ装置、前記主駆動輪及び前記補助駆動輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段、及び前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する走行安定化制御を実行するブレーキ制御手段を有する走行安定化装置とを備えた車両の車両用制御装置であって、前記トルク配分装置の実負荷状態値を検出する負荷状態値検出手段を備え、前記ブレーキ制御手段は、前記トルク配分装置の実負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合には、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が前記第1の閾値よりも小さいスリップ量を示す第2の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制することを要旨とする。
上記構成によれば、ブレーキ制御手段は、トルク配分装置の負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合には、スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値よりも小さいスリップ量を示す第2の閾値を超えた際にブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する。即ち、トルク配分装置が過負荷状態でない場合に比べ、小さいスリップ量でも当該スリップが発生した車輪に制動力が付与されるため、車両の走行状況により走行安定化制御が実行される時期(タイミング)が早くなる。そのため、トルク配分装置のクラッチ機構にて発生する摩擦熱が速やかに低減され、トルク配分装置の過熱を防止できる。なお、所定負荷状態値とは、トルク配分装置が過熱し、焼き付きの発生に繋がる負荷状態よりも十分に小さい負荷状態を示す値である。また、第1の閾値は、例えば各車輪のスリップによりトルク配分装置が容易に過熱する走行状態よりも安定した走行状態を示す値である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用制御装置において、前記ブレーキ制御手段は、前記トルク配分装置の実負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合には、前記トルク配分装置の実負荷状態値が所定負荷状態値以下の負荷状態を示す場合よりも前記ブレーキ装置による制動力を大きくすることを要旨とする。
上記構成によれば、トルク配分装置の負荷が大きい場合に、ブレーキ装置による制動力が大きくなるため、各車輪のスリップを確実に抑制できる。このため、トルク配分装置のクラッチ機構にて発生する摩擦熱を確実に低減することができ、トルク配分装置の過熱を確実に防止できる。
請求項3に記載の発明は、駆動源のトルクが常時伝達される主駆動輪と走行状態に応じて必要時に前記駆動源のトルクが伝達される補助駆動輪とを備えた4輪駆動車における前記駆動源と前記補助駆動輪との間に設けられトルク配分量を変更可能なトルク配分装置、及び走行状態に基づいて前記トルク配分装置のトルク配分量を制御し前記主駆動輪にスリップが発生した場合に前記トルク配分量を増大させるトルク配分量制御手段を有する駆動力配分制御装置と、前記主駆動輪及び前記補助駆動輪に制動力を付与するブレーキ装置、前記主駆動輪及び前記補助駆動輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する走行安定化制御を実行するブレーキ制御手段、及び前記走行安定化制御を実行する走行安定制御モード又は前記走行安定化制御を実行しない禁止制御モードに前記ブレーキ制御手段の制御モードを運転者が切り替えるための選択手段を有する走行安定化装置とを備えた車両の車両用制御装置であって、前記トルク配分装置の実負荷状態値を検出する負荷状態値検出手段を備え、前記ブレーキ制御手段は、前記トルク配分装置の実負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合に前記禁止制御モードから前記走行安定制御モードに切り替えることを要旨とする。
上記構成によれば、ブレーキ制御手段は、トルク配分装置の負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合に、禁止制御モードから走行安定制御モードに切り替える。つまり、トルク配分装置の負荷が大きくなった場合に走行安定制御モードになるため、走行安定制御が実行されることでスリップが抑制され、クラッチ機構で発生する摩擦熱が低減されて、トルク配分装置の過熱を防止することができる。
また、ブレーキ制御手段には、切り替え手段(スイッチ等)により禁止制御モードが選択されている場合であっても、例えば車速が所定値以上になると自動的に走行安定制御モードに移行するものがあり、運転者の走行安定化制御を禁止する意思が反映されないという問題があった。この点、上記構成によれば、トルク配分装置の負荷が大きくなるまで禁止制御モードが維持されるため、例えば車速に基づいて自動的に走行安定制御モードに移行する場合に比べ、トルク配分装置の過熱を抑制しつつ、運転者の走行安定化制御を禁止する意思を長期に亘って反映させ、運転者の意図した通りの走行が可能になる。
請求項4に記載の発明は、駆動源のトルクが常時伝達される主駆動輪と走行状態に応じて必要時に前記駆動源のトルクが伝達される補助駆動輪とを備えた4輪駆動車における前記駆動源と前記補助駆動輪との間に設けられトルク配分量を変更可能なトルク配分装置、及び走行状態に基づいて前記トルク配分装置のトルク配分量を制御し前記主駆動輪にスリップが発生した場合に前記トルク配分量を増大させるトルク配分量制御手段を有する駆動力配分制御装置と、前記主駆動輪及び前記補助駆動輪に制動力を付与するブレーキ装置、前記主駆動輪及び前記補助駆動輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段、及び前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する走行安定化制御を実行するブレーキ制御手段を有する走行安定化装置とを備えた車両の車両用制御装置の制御方法であって、前記トルク配分装置の実負荷状態値を検出し、前記実負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合には、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が前記第1の閾値よりも小さいスリップ量を示す第2の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制することを要旨とする。
上記構成によれば、走行安定化制御が実行されるタイミングが早くなることで、クラッチ機構で発生する摩擦熱が速やか低減されて、トルク配分装置の過熱を防止することできる。
請求項5に記載の発明は、駆動源のトルクが常時伝達される主駆動輪と走行状態に応じて必要時に前記駆動源のトルクが伝達される補助駆動輪とを備えた4輪駆動車における前記駆動源と前記補助駆動輪との間に設けられトルク配分量を変更可能なトルク配分装置、及び走行状態に基づいて前記トルク配分装置のトルク配分量を制御し前記主駆動輪にスリップが発生した場合に前記トルク配分量を増大させるトルク配分量制御手段を有する駆動力配分制御装置と、前記主駆動輪及び前記補助駆動輪に制動力を付与するブレーキ装置、前記主駆動輪及び前記補助駆動輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する走行安定化制御を実行するブレーキ制御手段、及び前記走行安定化制御を実行する走行安定制御モード又は前記走行安定化制御を実行しない禁止制御モードに前記ブレーキ制御手段の制御モードを運転者が切り替えるための選択手段を有する走行安定化装置とを備えた車両の車両用制御装置の制御方法であって、前記トルク配分装置の実負荷状態値を検出し、前記実負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合に前記禁止制御モードから前記走行安定制御モードに切り替えることを要旨とする。
上記構成によれば、トルク配分装置の負荷が大きくなった場合に走行安定制御モードに移行させることが可能になるため、走行安定制御が実行されることで、クラッチ機構で発生する摩擦熱が低減されて、トルク配分装置の過熱を防止することができる。
請求項6に記載の発明は、駆動源のトルクが常時伝達される主駆動輪と走行状態に応じて必要時に前記駆動源のトルクが伝達される補助駆動輪とを備えた4輪駆動車における前記駆動源と前記補助駆動輪との間に設けられトルク配分量を変更可能なトルク配分装置と、走行状態に基づいて前記トルク配分装置のトルク配分量を制御し前記主駆動輪にスリップが発生した場合に前記トルク配分量を増大させるトルク配分量制御手段とを備え、前記主駆動輪及び前記補助駆動輪に制動力を付与するブレーキ装置と、前記主駆動輪及び前記補助駆動輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段と、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する走行安定化制御を実行するブレーキ制御手段とを有する走行安定化装置が搭載された車両の駆動力配分制御装置であって、前記トルク配分量制御手段は、前記トルク配分装置の実負荷状態値を検出する負荷状態値検出手段と、前記トルク配分装置の負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合には、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が前記第1の閾値よりも小さいスリップ量を示す第2の閾値を超えた際に前記ブレーキ制御手段が前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制するようにするための閾値用制御信号を該ブレーキ制御手段に出力する制御信号出力手段とを備えたことを要旨とする。
上記構成によれば、走行安定化制御が実行されるタイミングが早くなる制御信号をブレーキ制御手段に出力することで、クラッチ機構で発生する摩擦熱が速やかに低減されて、トルク配分装置の過熱を防止できる。
請求項7に記載の発明は、駆動源のトルクが常時伝達される主駆動輪と走行状態に応じて必要時に前記駆動源のトルクが伝達される補助駆動輪とを備えた4輪駆動車における前記駆動源と前記補助駆動輪との間に設けられトルク配分量を変更可能なトルク配分装置と、走行状態に基づいて前記トルク配分装置のトルク配分量を制御し前記主駆動輪にスリップが発生した場合に前記トルク配分量を増大させるトルク配分量制御手段とを備え、前記主駆動輪及び前記補助駆動輪に制動力を付与するブレーキ装置と、前記主駆動輪及び前記補助駆動輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段と、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する走行安定化制御を実行するブレーキ制御手段と、前記走行安定化制御を実行する走行安定制御モード又は前記走行安定化制御を実行しない禁止制御モードに前記ブレーキ制御手段の制御モードを運転者が切り替えるための選択手段とを有する走行安定化装置が搭載された車両の駆動力配分制御装置であって、前記トルク配分量制御手段は、前記トルク配分装置の実負荷状態値を検出する負荷状態値検出手段と、前記実負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合に、前記ブレーキ制御手段を前記走行安定制御モードに移行させるための移行用制御信号を前記ブレーキ制御手段に出力する制御信号出力手段とを備えたことを要旨とする。
上記構成によれば、トルク配分装置の負荷状態に応じて移行用制御信号が出力されて、ブレーキ制御手段の制御モードを禁止制御モードから走行安定制御モードに切り替えることが可能になる。つまり、トルク配分装置の負荷が大きくなった場合に走行安定制御モードに移行させることが可能になるため、走行安定制御が実行されることで、クラッチ機構で発生する摩擦熱が低減されて、トルク配分装置の過熱を防止できる。
請求項8に記載の発明は、駆動源のトルクが常時伝達される主駆動輪と走行状態に応じて必要時に前記駆動源のトルクが伝達される補助駆動輪とを備えた4輪駆動車における前記駆動源と前記補助駆動輪との間に設けられトルク配分量を変更可能なトルク配分装置と、走行状態に基づいて前記トルク配分装置のトルク配分量を制御し前記主駆動輪にスリップが発生した場合に前記トルク配分量を増大させるトルク配分量制御手段とを備え、前記主駆動輪及び前記補助駆動輪に制動力を付与するブレーキ装置と、前記主駆動輪及び前記補助駆動輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段と、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する走行安定化制御を実行するブレーキ制御手段とを有する走行安定化装置が搭載された車両の駆動力配分制御装置の制御方法であって、前記トルク配分装置の実負荷状態値を検出し、前記実負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合には、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が前記第1の閾値よりも小さいスリップ量を示す第2の閾値を超えた際に前記ブレーキ制御手段が前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制するようにするための閾値用制御信号を前記ブレーキ制御手段に出力することを要旨とする。
上記構成によれば、走行安定化制御が実行されるタイミングが早くなる制御信号が走行安定化装置に出力されることで、クラッチ機構で発生する摩擦熱が速やかに低減されて、トルク配分装置の過熱を防止することができる。
請求項9に記載の発明は、駆動源のトルクが常時伝達される主駆動輪と走行状態に応じて必要時に前記駆動源のトルクが伝達される補助駆動輪とを備えた4輪駆動車における前記駆動源と前記補助駆動輪との間に設けられトルク配分量を変更可能なトルク配分装置と、走行状態に基づいて前記トルク配分装置のトルク配分量を制御し前記主駆動輪にスリップが発生した場合に前記トルク配分量を増大させるトルク配分量制御手段とを備え、前記主駆動輪及び前記補助駆動輪に制動力を付与するブレーキ装置と、前記主駆動輪及び前記補助駆動輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段と、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する走行安定化制御を実行するブレーキ制御手段と、前記走行安定化制御を実行する走行安定制御モード又は前記走行安定化制御を実行しない禁止制御モードに前記ブレーキ制御手段の制御モードを運転者が切り替えるための選択手段とを有する走行安定化装置が搭載された車両の駆動力配分制御装置の制御方法であって、前記トルク配分装置の実負荷状態値を検出し、前記実負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合には、前記ブレーキ制御手段を前記走行安定制御モードに移行させるための移行用制御信号を前記ブレーキ制御手段に出力することを要旨とする。
上記構成によれば、トルク配分装置の負荷が大きくなった場合に走行安定制御モードに移行させることが可能になるため、走行安定制御が実行されることで、クラッチ機構で発生する摩擦熱が低減されて、トルク配分装置の過熱を防止できる。
請求項10に記載の発明は、4輪駆動車両の駆動源のトルクを前輪側駆動軸及び後輪側駆動軸にこれら両駆動軸の差動を許容して配分するとともに前記前輪側駆動軸と前記後輪側駆動軸との差動を制限する差動制限手段を有するセンターディファレンシャル装置、及び走行状態に基づいて前記差動制限手段の差動制限力を制御し前輪又は後輪にスリップが発生した場合に前記差動制限力を増大させる差動制限力制御手段を有する駆動力配分制御装置と、各車輪に制動力を付与するブレーキ装置、前記各車輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段、及び前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する走行安定化制御を実行するブレーキ制御手段を有する走行安定化装置とを備えた車両の車両用制御装置であって、前記センターディファレンシャル装置の差動制限手段の実負荷状態値を検出する負荷状態値検出手段を備え、前記ブレーキ制御手段は、前記負荷状態値検出手段で検出した実負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合には、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が前記第1の閾値よりも小さいスリップ量を示す第2の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制することを要旨とする。
上記構成によれば、センターディファレンシャル装置の差動制限手段が過負荷状態でない場合に比べ、小さいスリップ量でも当該スリップが発生した車輪に制動力が付与されるため、車両の走行状況により走行安定化制御が実行される時期(タイミング)が早くなる。そのため、センターディファレンシャル装置の差動制限手段にて発生する摩擦熱が速やかに低減され、センターディファレンシャル装置の過熱を防止できる。なお、所定負荷状態値とは、センターディファレンシャル装置が過熱し、焼き付きの発生に繋がる負荷状態よりも十分に小さい負荷状態を示す値である。また、第1の閾値は、例えば各車輪のスリップによりセンターディファレンシャル装置が容易に過熱する走行状態よりも安定した走行状態を示す値である。
請求項11に記載の発明は、4輪駆動車両の駆動源のトルクを前輪側駆動軸及び後輪側駆動軸にこれら両駆動軸の差動を許容して配分するとともに前記前輪側駆動軸と前記後輪側駆動軸との差動を制限する差動制限手段を有するセンターディファレンシャル装置、及び走行状態に基づいて前記差動制限手段の差動制限力を制御し前輪又は後輪にスリップが発生した場合に前記差動制限力を増大させる差動制限力制御手段を有する駆動力配分制御装置と、各車輪に制動力を付与するブレーキ装置、前記各車輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する走行安定化制御を実行するブレーキ制御手段、及び前記走行安定化制御を実行する走行安定制御モード又は前記走行安定化制御を実行しない禁止制御モードに前記ブレーキ制御手段の制御モードを運転者が切り替えるための選択手段を有する走行安定化装置とを備えた車両の車両用制御装置であって、前記センターディファレンシャル装置の差動制限手段の実負荷状態値を検出する負荷状態値検出手段を備え、前記ブレーキ制御手段は、前記負荷状態値検出手段で検出した実負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合に前記禁止制御モードから前記走行安定制御モードに切り替えることを要旨とする。
上記構成によれば、センターディファレンシャル装置の負荷が大きくなった場合に走行安定制御モードになるため、走行安定制御が実行されることで、差動制限手段で発生する摩擦熱が低減されて、センターディファレンシャル装置の過熱を防止することができる。
また、センターディファレンシャル装置の負荷が大きくなるまで禁止制御モードが維持されるため、例えば車速に基づいて自動的に走行安定制御モードに移行する場合に比べ、センターディファレンシャル装置の過熱を抑制しつつ、運転者の走行安定化制御を禁止する意思を長期に亘って反映させ、運転者の意図した通りの走行が可能になる。
請求項12に記載の発明は、車両の駆動伝達系における前輪側又は後輪側の左右輪間に配置され、駆動源のトルクを左側車輪に連結された左側車軸及び右側車輪に連結された右側車軸にこれら両車軸の差動を許容して配分するとともに前記左側車軸と前記右側車軸との差動を制限する差動制限手段を有するディファレンシャル装置、及び走行状態に基づいて前記差動制限手段の差動制限力を制御し左側車輪又は右側車輪にスリップが発生した場合に前記差動制限力を増大させる差動制限力制御手段を有する駆動力配分制御装置と、各車輪に制動力を付与するブレーキ装置、前記各車輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段、及び前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する走行安定化制御を実行するブレーキ制御手段を有する走行安定化装置とを備えた車両の車両用制御装置であって、前記ディファレンシャル装置の差動制限手段の実負荷状態値を検出する負荷状態値検出手段を備え、前記ブレーキ制御手段は、前記負荷状態値検出手段で検出した実負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合には、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が前記第1の閾値よりも小さいスリップ量を示す第2の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制することを要旨とする。
上記構成によれば、ディファレンシャル装置が過負荷状態でない場合に比べ、小さいスリップ量でも当該スリップが発生した車輪に制動力が付与されるため、車両の走行状況により走行安定化制御が実行される時期(タイミング)が早くなる。そのため、ディファレンシャル装置の差動制限手段にて発生する摩擦熱が速やかに低減され、ディファレンシャル装置の過熱を防止できる。なお、所定負荷状態値とは、ディファレンシャル装置が過熱し、焼き付きの発生に繋がる負荷状態よりも十分に小さい負荷状態を示す値である。また、第1の閾値は、例えば各車輪のスリップによりディファレンシャル装置が容易に過熱する走行状態よりも安定した走行状態を示す値である。
請求項13に記載の発明は、車両の駆動伝達系における前輪側又は後輪側の左右輪間に配置され、駆動源のトルクを左側車輪に連結された左側車軸及び右側車輪に連結された右側車軸にこれら両車軸の差動を許容して配分するとともに前記左側車軸と前記右側車軸との差動を制限する差動制限手段を有するディファレンシャル装置、及び走行状態に基づいて前記差動制限手段の差動制限力を制御し左側車輪又は右側車輪にスリップが発生した場合に前記差動制限力を増大させる差動制限力制御手段を有する駆動力配分制御装置と、各車輪に制動力を付与するブレーキ装置、前記各車輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する走行安定化制御を実行するブレーキ制御手段、及び前記走行安定化制御を実行する走行安定制御モード又は前記走行安定化制御を実行しない禁止制御モードに前記ブレーキ制御手段の制御モードを運転者が切り替えるための選択手段を有する走行安定化装置とを備えた車両の車両用制御装置であって、前記ディファレンシャル装置の差動制限手段の実負荷状態値を検出する負荷状態値検出手段を備え、前記ブレーキ制御手段は、前記負荷状態値検出手段で検出した実負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合に前記禁止制御モードから前記走行安定制御モードに切り替えることを要旨とする。
上記構成によれば、ディファレンシャル装置の負荷が大きくなった場合に走行安定制御モードになるため、走行安定制御が実行されることで、差動制限手段で発生する摩擦熱が低減されて、ディファレンシャル装置の過熱を防止することができる。
また、ディファレンシャル装置の負荷が大きくなるまで禁止制御モードが維持されるため、例えば車速に基づいて自動的に走行安定制御モードに移行する場合に比べ、ディファレンシャル装置の過熱を抑制しつつ、運転者の走行安定化制御を禁止する意思を長期に亘って反映させ、運転者の意図した通りの走行が可能になる。
本発明によれば、トルク配分装置の過熱を防止しつつ、車輪のスリップを抑制可能な車両用制御装置、車両用制御装置の制御方法、駆動力配分制御装置及び駆動力配分制御装置の制御方法を提供することができる。
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、車両1は、前輪駆動車をベースとする4輪駆動車である。車両1の前部(図1において左側)には駆動源としてのエンジン2が搭載されるとともに、そのエンジン2には、トランスアクスル3が組み付けられている。トランスアクスル3は、トランスミッション及びトランスファ等を有している。トランスアクスル3には、一対のフロントアクスル4R,4Lが連結されるとともに、プロペラシャフト5が連結されている。プロペラシャフト5は、トルク配分装置6を介してピニオンシャフト(ドライブピニオンシャフト)7と連結可能とされ、ピニオンシャフト7は、リヤディファレンシャル8を介して一対のリヤアクスル9R,9Lと連結されている。なお、トルク配分装置6は、リヤディファレンシャル8とともに、車両1のフレーム(図示略)に固定されたデフキャリヤ11内に収容されている。
エンジン2のトルクは、トランスアクスル3、フロントアクスル4R,4Lを介して前輪12R,12Lに常時伝達されるようになっている。また、プロペラシャフト5とピニオンシャフト7とがトルク配分装置6にてトルク伝達可能に連結された場合、エンジン2のトルクは、プロペラシャフト5、ピニオンシャフト7、リヤディファレンシャル8及びリヤアクスル9R,9Lを介して後輪13R,13Lに伝達されるようになっている。
従って、本実施形態では、前輪12R,12Lを主駆動輪として、後輪13R,13Lを補助駆動輪として構成している。また、トランスアクスル3、フロントアクスル4R,4L、プロペラシャフト5、トルク配分装置6、ピニオンシャフト7、リヤディファレンシャル8、リヤアクスル9R,9Lにより、エンジン2のトルクを各車輪12R,12L,13R,13Lに伝達する駆動伝達系を構成している。
トルク配分装置6は、電磁コイルに供給される電流量に応じて、プロペラシャフト5側及びピニオンシャフト7側のそれぞれに設けられた各クラッチプレート間の摩擦係合力が変化するクラッチ機構としての電磁クラッチ15を備えており、その摩擦係合力に基づくトルクを入力側のプロペラシャフト5から出力側のピニオンシャフト7へと伝達する。つまり、トルク配分装置6(電磁クラッチ15)は、後輪13R,13Lへ伝達可能なトルク、即ちトルク配分量を調整するようになっている。
また、本実施形態の車両1には、ブレーキ装置(図1において図示略)が設けられている。図2に示すように、ブレーキ装置21は、液圧発生装置22と、液圧制御装置23とを備えている。
液圧発生装置22は、運転者により操作されるブレーキペダル24と、運転者がブレーキペダル24に与えた踏力を液圧に変換するマスタシリンダ25と、運転者がブレーキペダル24に与える踏力を補助するブースタ26とを備えている。
液圧制御装置23は、複数の液圧回路(図示略)を有している。液圧制御装置23(各液圧回路)は、右前輪用回路28aを介して前輪12Rに設けられたホイールシリンダ29aに接続されるとともに、左前輪用回路28bを介して前輪12Lに設けられたホイールシリンダ29bに接続されている。また、液圧制御装置23(各液圧回路)は、右後輪用回路28cを介して後輪13Rに設けられたホイールシリンダ29cに接続されるとともに、左後輪用回路28dを介して後輪13Lに設けられたホイールシリンダ29dに接続されている。そして、ブレーキペダル24が運転者によって踏込み操作されると、液圧制御装置23からは、各回路28a〜28dを介して各ホイールシリンダ29a〜29d内にブレーキ液が供給されるようになっている。その結果、各ホイールシリンダ29a〜29d内のブレーキ液圧(圧力)がそれぞれ上昇し、該各ホイールシリンダ29a〜29dに対応した各車輪12R,12L,13R,13Lに制動力がそれぞれ付与されるようになっている。
また、液圧制御装置23には、各液圧回路に図示しない複数の電磁弁やポンプが設けられている。そして、液圧制御装置23は、各電磁弁及びポンプが駆動されることで、ブレーキペダル24が操作されない場合でも、各ホイールシリンダ29a〜29d内のブレーキ液圧を個別に上昇又は降下可能に構成されている。従って、液圧制御装置23は、各ホイールシリンダ29a〜29d内のブレーキ液圧を上昇させることにより、該ホイールシリンダ29a〜29dに対応した各車輪12R,12L,13R,13Lに対してそれぞれ個別に制動力を付与するようになっている。
なお、液圧制御装置23(各液圧回路、各電磁弁及びポンプ)の構成は、特に限定されるものでなく周知の構成であるため詳細な説明は省略するが、その構成の詳細は、例えば特開2007-69870号公報(段落[0021]〜[0034]、図1)を参照されたい。
次に、上記のように構成された車両1の電気的構成について説明する。
図1に示すように、トルク配分装置6には、トルク配分量制御手段、負荷状態値検出手段及び制御信号出力手段としての4WDECU(4WD電子制御装置)31が接続されている。4WDECU31は、ROM等のメモリ32を備えている。また4WDECU31は、液圧制御装置23(図2参照)に設けられた各電磁弁やポンプの駆動を個別に制御するブレーキ制御手段としてのESCECU(ESC電子制御装置)33と接続されている。そして、4WDECU31とESCECU33とは、互いに各種情報の送受信が可能となっている。
4WDECU31は、車両1の走行状態に応じてトルク配分装置6(電磁クラッチ15)に駆動電流を供給し、この電流供給を通じてトルク配分装置6の作動を制御することにより、トルク配分量を変更する駆動力配分制御を所定周期毎に実行する。つまり、トルク配分装置6及び4WDECU31により駆動力配分制御装置が構成されている。
詳述すると、4WDECU31には、アクセル開度センサ35及び車輪速センサ36a〜36dが接続されている。4WDECU31は、各車輪速センサ36a〜36dにより検出された各車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlに基づいて車速V及び前輪12R,12Lと後輪13R,13Lとの間の車輪速差ΔWを算出する。本実施形態では、4WDECU31は、右後車輪速Vrr及び左後車輪速Vrlの平均値を車速Vとし、右前車輪速Vfr及び左前車輪速Vflの平均値と右後車輪速Vrr及び左後車輪速Vrlの平均値との差分をΔWとする。そして、4WDECU31は、これら車速V,車輪速差ΔW及びアクセル開度Saに基づいてトルク配分量の制御目標値(目標トルクτ*)を演算する。
具体的には、4WDECU31は、メモリ32に記憶された所定のトルクマップを参照することにより、車速V及びアクセル開度Saに基づいた第1トルクと、車速V及び車輪速差ΔWに基づいた第2トルクとを演算する。続いて、4WDECU31は、これら第1トルクと第2トルクとを足し合わせることで、その時々の車速V及びアクセル開度Sa、並びに車輪速差ΔWに応じた目標トルクτ*を演算する。なお、トルクマップは、車速Vが低くアクセル開度Saが大きい程、第1トルクが大となるように設定されるとともに、車速Vが低く車輪速差ΔWが大きい程、第2トルクが大となるように設定されている。
そして、4WDECU31は、その決定された目標トルクτ*に応じた摩擦係合力を発生させるべく電磁クラッチ15に対して電流供給を行い、これによりトルク配分装置6の作動、即ち主駆動輪である前輪12R,12Lと補助駆動輪である後輪13R,13Lとの間の駆動力配分を制御する。
次に、4WDECU31の駆動力配分制御の処理手順を図3のフローチャートに従って説明する。4WDECU31は、上記各状態量(アクセル開度Sa及び各車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrl)を取得し(ステップ101)、各車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlから、車速V及び車輪速差ΔWを演算する(ステップ102)。続いて、4WDECU31は、車速V,車輪速差ΔW及びアクセル開度Saに基づいてトルク配分量の制御目標値である目標トルクτ*を演算すると(ステップ103)、目標トルクτ*に対応する駆動電流Iをトルク配分装置6(電磁クラッチ15)に通電する(ステップ104)。
図2に示すように、ブレーキ装置21には、ESCECU33が接続されている。ESCECU33は、ROM等のメモリ37を備えている。そして、ESCECU33は、車両1の走行状況に応じて各車輪12R,12L,13R,13Lに対して個別に制動力を付与し、スリップを抑制する走行安定化制御(以下、ESC(Electronic Stability Control)制御という)を実行する。従って、ブレーキ装置21とESCECU33とにより走行安定化装置が構成されている。そして、本実施形態の車両1において、車両制御装置は、上記駆動力配分制御装置と、この走行安定化装置とを備えて構成されている。
ESCECU33は、所定周期毎にESC制御を実行するか否かを判定するESC制御実行判定を行い、この判定結果に基づいてESC制御を実行する。
詳述すると、ESCECU33には、上記車輪速センサ36a〜36dが接続されており、ESCECU33は、各車輪速センサ36a〜36dにより検出された各車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlに基づいて車速Vを演算する。本実施形態では、ESCECU33は、4WDECU31と同様に、右後車輪速Vrr及び左後車輪速Vrlの平均値を車速Vとする。続いて、ESCECU33は、各車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlと車速Vに基づいて各車輪12R,12L,13R,13Lのスリップ状態を検出する。従って、本実施形態では、ESCECU33及び各車輪速センサ36a〜36dによりスリップ検出手段が構成される。
そして、ESCECU33は、各車輪12R,12L,13R,13Lのスリップ状態に基づいてESC制御を実行するか否かを判定する。この結果、ESCECU33は、必要な場合にESC制御を実行し、スリップを抑制して車両1の走行安定性を向上させる。
具体的には、ESCECU33は、各車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlと車速Vとの差分を演算することで、各車輪12R,12L,13R,13Lのスリップ量としてのスリップ値Sfr,Sfl,Srr,Srlをそれぞれ算出する。そして、ESCECU33は、各スリップ値Sfr,Sfl,Srr,Srlとスリップ閾値Kslpとの大小判定を行い、スリップ値Sfr,Sfl,Srr,Srlがスリップ閾値Kslp以上となった場合にESC制御を実行する。
なお、本実施形態では、スリップ閾値Kslpとして、ESC制御が実行され難い第1の閾値Kslp1が設定されており、例えば車輪のスリップを許容させつつ素早いコーナーリング(旋回)をすること等が可能となっている。この第1の閾値Kslp1は、予め実験などにより求められてメモリ37に記憶されている。また、ESCECU33は、スリップ値がスリップ閾値Kslp以上となった車輪に対して、第1のブレーキ液圧Bp1を発生させて制動力を付与する。
このように、ESC制御が実行されると、各車輪12R,12L,13R,13Lのスリップが抑制されるため、車輪速差ΔWが小さくなり、即ちプロペラシャフト5側及びピニオンシャフト7側のそれぞれに設けられた各クラッチプレート間の差回転が小さくなり、電磁クラッチ15での摩擦量が小さくなる。つまり、ESC制御の実行により、電磁クラッチ15での摩擦熱の発生が抑制されてトルク配分装置6の過熱が抑制されるようになっている。
次に、ESCECU33のESC制御実行判定の処理手順を図4のフローチャートに従って説明する。ESCECU33は、上記各状態量(各車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrl)を取得し(ステップ201)、この各車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlから、車速Vを演算する(ステップ202)。続いて、ESCECU33は、車速Vと各車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlに基づいて車輪12R,12L,13R,13L毎のスリップ値Sfr,Sfl,Srr,Srlをそれぞれ演算し(ステップ203)、各スリップ値Sfr,Sfl,Srr,Srlがスリップ閾値Kslp以上であるかをそれぞれ判定する(ステップ204)。そして、ESCECU33は、各スリップ値Sfr,Sfl,Srr,Srlのうちの少なくとも1つがスリップ閾値Kslp以上の場合(ステップ204:YES)には、ESC制御の必要があると判定し(ステップ205)、ESC制御を実行する。一方、ESCECU33は、各スリップ値Sfr,Sfl,Srr,Srlの全てがスリップ閾値Kslp未満の場合(ステップ204:NO)には、ESC制御の必要がないと判定し(ステップ206)、ESC制御を実行することなく処理を終了する。
次に、4WDECU31における過熱抑制制御について説明する。
4WDECU31は、所定周期毎に、トルク配分装置6の負荷状態を判定し、過負荷状態である場合には、過負荷状態でない場合に比べ、ESC制御を強化させる制御信号をESCECU33に出力する過熱抑制制御を実行する。
具体的には、4WDECU31は、実負荷状態値としてのトルク配分装置6の電磁クラッチ15の温度T_coupを、入出力軸間の差動回転数と駆動電流Iとの積を所定時間積分した値によって演算する。なお、入出力軸間の差動回転数は各車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlに基づいて求めることができる。
そして、4WDECU31は、演算された温度T_coupに基づいて、トルク配分装置6が過負荷状態であるか否かを判定する。そして、4WDECU31は、過負荷状態であると判定した場合には、スリップ閾値Kslpを小さくさせるための閾値用制御信号S1をESCECU33に出力する。つまり、本実施形態では、スリップ閾値Kslpを小さくさせることでESC制御が実行され易くし、過負荷状態でない場合に比べ、小さいスリップ量でも当該スリップが発生した車輪にブレーキ装置21による制動力が付与されるようにする。即ち、スリップ閾値Kslpを変更前の第1の閾値Kslp1から第2の閾値Kslp2(第1の閾値Kslp1>第2の閾値Kslp2)に変更することで、ESC制御の実行される時期(タイミング)が早くなるようにする。
また、本実施形態では、4WDECU31は、過負荷状態であると判定した場合には、スリップ値がスリップ閾値Kslp以上となった車輪に対して付与する制動力を大きくさせるための液圧用制御信号S2を出力する。即ち、スリップした車輪のピストンシリンダに発生させるブレーキ液圧を変更前の第1のブレーキ液圧Bp1から第2のブレーキ液圧Bp2(第1のブレーキ液圧Bp1<第2のブレーキ液圧Bp2)に変更する。
具体的には、4WDECU31は、演算された温度T_coupが所定負荷状態値としての閾値温度KT以下である否かを判定する。そして、4WDECU31は、温度T_coupが閾値温度KTよりも大きい場合に、スリップ閾値Kslpを第1の閾値Kslp1から第2の閾値Kslp2に変更するための閾値用制御信号S1、及び第1のブレーキ液圧Bp1から第2のブレーキ液圧Bp2に変更するための液圧用制御信号S2をESCECU33に出力する。なお、閾値温度KTは、トルク配分装置6が過熱し、焼き付き等の性能劣化の発生に繋がる温度よりも、十分に小さい温度であり、予め実験などにより求められてメモリ32に記憶されている。
次に、本実施形態の4WDECU31における過熱抑制制御の処理手順を図5のフローチャートに従って説明する。
先ず、4WDECU31は、トルク配分装置6の温度T_coupを演算する(ステップ301)。続いて、4WDECU31は、温度T_coupが閾値温度KTよりも大きいか否かを判定し(ステップ302)、温度T_coupが閾値温度KTよりも大きい場合(ステップ302:YES)には、スリップ閾値Kslpを小さくさせるための閾値用制御信号S1及び制動力を大きくさせるための液圧用制御信号S2をESCECU33に出力する(ステップ303)。一方、4WDECU31は、温度T_coupが閾値温度KT以下の場合(ステップ302:NO)には、ESCECU33に閾値用制御信号S1及び液圧用制御信号S2を出力することなく、処理を終了する。
そして、ESCECU33により、上記のように所定周期毎にESC制御実行判定がなされると、閾値用制御信号S1によりスリップ閾値Kslpが小さくなり、ESC制御が実行され易くなる。この結果、各車輪12R,12L,13R,13Lのスリップが抑制され、トルク配分装置6の過熱が防止される。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏する。
(1)車両1に、各車輪12R,12L,13R,13Lに制動力を付与するブレーキ装置21と、ブレーキ装置21の作動を制御して車両1の走行安定性を向上させるESC制御を実行するESCECU33とを搭載した。4WDECU31は、トルク配分装置6の温度T_coupを推定する。そして、4WDECU31は、推定された温度T_coupが閾値温度KTよりも大きい場合には、スリップ閾値Kslpを第1の閾値Kslp1から該第1の閾値Kslp1よりも小さい第2の閾値Kslp2に変更させるための閾値用制御信号S1をESCECU33に出力するようにした。従って、ESCECU33は、トルク配分装置6の温度T_coupが閾値温度KTよりも大きい場合には、各スリップ値Sfr,Sfl,Srr,Srlが第2の閾値Kslp2を超えた際にブレーキ装置21の作動を制御してスリップを抑制する。つまり、トルク配分装置6が過負荷状態でない場合に比べ、小さいスリップ量でも当該スリップが発生した車輪に制動力が付与されるため、車両1の走行状況によりESC制御が実行される時期(タイミング)が早くなる。そのため、トルク配分装置6の電磁クラッチ15にて発生する摩擦熱が速やかに低減されるため、トルク配分装置6の過熱を防止できる。
また、スリップした車輪に制動力を付与するため、エンジン2の出力を下げることで全ての車輪12R,12L,13R,13Lに伝達されるトルクを減少させて走行安定性を向上させる場合に比べ、トラクション性能の低下を抑制することができる。
さらに、各車輪12R,12L,13R,13Lに制動力を付与することでスリップを抑制させるため、電磁クラッチ15を直結状態(完全結合状態)にしてスリップを抑制させる場合に比べ、駆動伝達系を構成する各部材の強度が低くなってもよく、これらの小型・軽量化を図ることができる。
さらにまた、スリップ閾値Kslpを、ESC制御が実行され難く、例えば車輪のスリップを許容させつつ素早いコーナーリング(旋回)をすることが可能な値とした。そのため、温度T_coupが閾値温度KT以下の場合には、車輪のスリップを許容させつつ素早いコーナーリング(旋回)等が可能となり、運転者の意思を反映させた走行をすることできる。
(2)4WDECU31は、温度T_coupが閾値温度KTよりも大きい場合に、制動力を大きくさせるための液圧用制御信号S2をESCECU33に出力するようにした。そのため、温度T_coupが大きい場合、即ちトルク配分装置6の負荷が大きい場合には、ブレーキ装置21による制動力が大きくなるため、各車輪12R,12L,13R,13Lのスリップを確実に抑制できる。このため、トルク配分装置6の電磁クラッチ15にて発生する摩擦熱を確実に低減することができ、トルク配分装置6の過熱を確実に防止できる。
(第2実施形態)
以下、本発明を具体化した第2実施形態を図面に従って説明する。
なお、説明の便宜上、同一の構成については上記第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態では、ESCECU33は、ESC制御を実行する走行安定制御モードとしてのESC制御モードと、ESC制御を実行しない禁止制御モードとを有している。図6に示すように、ESCECU33には、ESC制御モード又はと禁止制御モードに切り替える選択手段としてのESCスイッチ41が電気的に接続されている。なお、ESCスイッチ41は、例えば車両1内のインスツルメントパネル(図示略)等に設けられ、運転者が運転中又は停車中に切替操作可能である。
ESCECU33は、ESC制御モード時に、上記第1実施形態と同様に、各スリップ値Sfr,Sfl,Srr,Srlがスリップ閾値Kslp以上であるか否かを判定し、スリップした車輪に対して制動力を付与する。なお、スリップ閾値Kslpは、上記第1実施形態に比べ小さく、各車輪12R,12L,13R,13Lのスリップ等によりトルク配分装置6が容易に過熱する走行状態よりも安定した走行状態を示す値である。一方、ESCECU33は、禁止制御モード時には、ESC制御実行判定(図4参照)を行わず、ESC制御を実行しない。
次に、本実施形態の4WDECU31における過熱抑制制御について説明する。
4WDECU31は、上記第1実施形態と同様に演算された温度T_coupが閾値温度KT以下である否かを判定する。そして、4WDECU31は、温度T_coupが閾値温度KTよりも大きい場合に、ESCECU33の制御モードをESC制御モードに移行させるための移行用制御信号S3を同ESCECU33に出力する。
次に、4WDECU31の過熱抑制制御の処理手順について図7に示すフローチャートに従って説明する。
先ず、4WDECU31は、トルク配分装置6の温度T_coupを演算する(ステップ401)。続いて、4WDECU31は、温度T_coupが閾値温度KTよりも大きいか否かを判定し(ステップ402)、温度T_coupが閾値温度KTよりも大きい場合(ステップ402:YES)には、ESCECU33の制御モードをESC制御モードに移行させるための移行用制御信号S3をESCECU33に出力する(ステップ403)。一方、4WDECU31は、温度T_coupが閾値温度KT以下の場合(ステップ402:NO)には、ESCECU33に移行用制御信号S3を出力することなく、処理を終了する。
次に、ESCECU33の制御モードの移行について説明する。
ESCECU33は、4WDECU31からの移行用制御信号S3及びESCスイッチ41からの出力信号Sswに基づいて制御モードを移行する。
詳述すると、ESCECU33は、ESCスイッチ41がオンされている場合、及びESCスイッチ41がオフされていても移行用制御信号S3が入力されている場合には、ESC制御モードへ移行する。一方、ESCECU33は、ESCスイッチ41がオフされており、且つ移行用制御信号S3が入力されていない場合には、禁止制御モードヘ移行する。
つまり、本実施形態では、温度T_coupが閾値温度KTより大きい場合には、4WDECU31から移行用制御信号S3が入力されて、ESCECU33がESC制御モードになる。そして、ESCECU33がESC制御モードになると、各車輪12R,12L,13R,13Lがスリップした場合、車両1の走行安定性を向上させるべく、ESC制御が実行される。そして、ESC制御の実行により、各車輪12R,12L,13R,13Lのスリップが抑制されてトルク配分装置6の過熱が防止される。
次に、ESCECU33の移行判定処理について図8に示すフローチャートに従って説明する。
ESCECU33は、ESCスイッチ41がオンされているか否かを判定し(ステップ501)、ESCスイッチ41がオンされている場合(ステップ501:YES)には、ESC制御モードへ移行する(ステップ502)。
一方、ESCECU33は、ESCスイッチ41がオンされていない場合(ステップ501:NO)には、4WDECU31から移行用制御信号S3が入力されているか否かを判定する(ステップ503)。そして、ESCECU33は、移行用制御信号S3が入力された場合(ステップ503:YES)には、ステップ502へ移行し、移行用制御信号S3が入力されてない場合(ステップ503:NO)には、禁止制御モードへ移行する(ステップ504)。
このように、ESCECU33の制御モードがESC制御モードに移行すると、上記のように、所定周期毎にESC制御実行判定(図4参照)がなされ、ESC制御が実行される。この結果、各車輪12R,12L,13R,13Lのスリップが抑制され、トルク配分装置6の過熱が防止される。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏する。
(3)車両1に、各車輪12R,12L,13R,13Lに制動力を付与するブレーキ装置21と、ブレーキ装置21の作動を制御してESC制御を実行するESCECU33とを搭載した。また、走行安定化装置の制御モードをESC制御モードと禁止制御モードとを切り替えるESCスイッチ41を設けた。4WDECU31は、温度T_coupが閾値温度KTよりも大きな場合に、ESCECU33の制御モードをESC制御モードに移行させるための移行用制御信号S3をESCECU33に出力するようにした。そして、ESCECU33は、移行用制御信号S3が入力される場合、即ちトルク配分装置6の温度T_coupが閾値温度KTよりも大きな場合に、禁止制御モードからESC制御モードに切り替えるようにした。従って、温度T_coupが閾値温度KTより大きい場合には、移行用制御信号S3が入力されることでESC制御モードとなるため、ESC制御が実行され、トルク配分装置6の過熱を防止できる。
また、ESCECU33には、ESCスイッチ41により禁止制御モードが選択されている場合であっても、例えば車速Vが所定値以上になると自動的にESC制御モードに移行するものがある。この点、本実施形態によれば、トルク配分装置6の負荷が大きくなるまで禁止制御モードが維持されるため、例えば車速Vに基づいて自動的にESC制御モードに移行する場合に比べ、トルク配分装置6の過熱を抑制しつつ、運転者の走行安定化制御を禁止する意思を長期に亘って反映させ、運転者の意図した通りの走行が可能になる。
(第3実施形態)
以下、本発明を具体化した第3実施形態を図面に従って説明する。
なお、説明の便宜上、同一の構成については上記第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
図9に示すように、本実施形態の車両1は、後輪駆動車をベースとする4輪駆動車である。エンジン2には、トランスミッション51が組み付けられるとともに、トランスミッション51には、入力軸52を介してセンターディファレンシャル装置53が連結されている。センターディファレンシャル装置53には、前輪側駆動軸としての第1プロペラシャフト54及び後輪側駆動軸としての第2プロペラシャフト55が連結されている。そして、第1プロペラシャフト54は、フロントディファレンシャル56を介して一対のフロントアクスル4R,4Lに連結されている。また、第2プロペラシャフト55は、リヤディファレンシャル8を介して一対のリヤアクスル9R,9Lと連結されている。
センターディファレンシャル装置53は、第1プロペラシャフト54と第2プロペラシャフト55との差動を許容するとともに、入力軸52を介して伝達されるトルクを該差動に応じて第1及び第2プロペラシャフト54,55に配分する差動機構57を備えている。この差動機構57には、電磁コイルに供給される電流量に応じてその摩擦係合力が変化する差動制限手段としての電磁クラッチ58が設けられており、該電磁クラッチ58の差動制限力に基づいて第1プロペラシャフト54と第2プロペラシャフト55との差動を制限するように構成されている。
従って、エンジン2のトルクは、先ずトランスミッション51から入力軸52を介してセンターディファレンシャル装置53に伝達される。そして、センターディファレンシャル装置53から第1プロペラシャフト54、フロントディファレンシャル56及びフロントアクスル4R,4Lを介して前輪12R,12Lに伝達されるとともに、第2プロペラシャフト55、リヤディファレンシャル8及び各リヤアクスル9R,9Lを介して後輪13R,13Lに伝達されるようになっている。
また、本実施形態の車両1には、上記第1実施形態と同様に、ブレーキ装置21(図2参照)が設けられている。
センターディファレンシャル装置53には、差動制限力制御手段、負荷状態値検出手段及び制御信号出力手段としての4WDECU61が接続されている。4WDECU61は、ROM等のメモリ62を備えている。また4WDECU61は、液圧制御装置23(図2参照)に設けられた各電磁弁やポンプの駆動を個別に制御するブレーキ制御手段としてのESCECU33と接続されている。そして、4WDECU61とESCECU33とは、互いに各種情報の送受信が可能となっている。
4WDECU61は、車両1の走行状態に応じてセンターディファレンシャル装置53(電磁クラッチ58)に駆動電流を供給し、この電流供給を通じて電磁クラッチ58の作動を制御することにより、その差動制限力を制御する。
詳述すると、4WDECU61には、車輪速センサ36a〜36dが接続されている。4WDECU61は、各車輪速センサ36a〜36dにより検出された各車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlに基づいて各車輪12R,12L,13R,13Lのスリップ状態を検出し、各車輪12R,12L,13R,13Lの何れかにスリップが発生した場合は電磁クラッチ58への通電量を増大させる。即ち、前輪12R,12L又は後輪13R,13Lにスリップが発生した場合に差動制限力を増大させる。なお、4WDECU61は、例えばESCECU33のESC判定制御(図4参照)と同様の処理を行うことで、各車輪12R,12L,13R,13Lのスリップ状態を検出し、電磁クラッチ15への通電量を増大させる。
また、ESCECU33は、上記第1実施形態と同様に、所定周期毎にESC制御実行判定(図4参照)を行い、この判定結果に基づいてESC制御を実行する。
次に、4WDECU61における過熱抑制制御について説明する。
4WDECU61は、所定周期毎に、センターディファレンシャル装置53の電磁クラッチ58の負荷状態を判定し、過負荷状態である場合には、過負荷状態でない場合に比べ、ESC制御を強化させる制御信号をESCECU33に出力する過熱抑制制御を実行する。具体的には、4WDECU61は、上記第1実施形態におけるトルク配分装置6の電磁クラッチ58の温度T_coupに代えて、実負荷状態値としてのセンターディファレンシャル装置53の電磁クラッチ58の温度T_diffを算出する。そして、4WDECU61は、この温度T_diffを用いて過熱抑制制御を、上記第1実施形態と同様の処理手順にて行う(図5参照)。なお、温度T_diffは、第1及び第2プロペラシャフト54,55の差動回転数と駆動電流Iとの積を所定時間積分した値によって演算する。第1及び第2プロペラシャフト54,55の差動回転数は各車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlに基づいて求めることができる。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏する。
(4)4WDECU61は、推定された温度T_diffが閾値温度KTよりも大きい場合には、スリップ閾値Kslpを第1の閾値Kslp1から該第1の閾値Kslp1よりも小さい第2の閾値Kslp2に変更させるための閾値用制御信号S1をESCECU33に出力するようにした。従って、センターディファレンシャル装置53が過負荷状態でない場合に比べ、小さいスリップ量でも当該スリップが発生した車輪に制動力が付与されるため、車両1の走行状況によりESC制御が実行されるタイミングが早くなる。そのため、センターディファレンシャル装置53の電磁クラッチ58にて発生する摩擦熱が速やかに低減されるため、センターディファレンシャル装置53の過熱を防止できる。
また、スリップした車輪に制動力を付与するため、エンジン2の出力を下げることで全ての車輪12R,12L,13R,13Lに伝達されるトルクを減少させて走行安定性を向上させる場合に比べ、トラクション性能の低下を抑制することができる。
さらに、各車輪12R,12L,13R,13Lに制動力を付与することでスリップを抑制させるため、電磁クラッチ58を直結状態にしてスリップを抑制させる場合に比べ、駆動伝達系を構成する各部材の強度が低くなってもよく、これらの小型・軽量化を図ることができる。
さらにまた、スリップ閾値Kslpを、ESC制御が実行され難く、例えば車輪のスリップを許容させつつ素早いコーナーリング(旋回)をすることが可能な値とした。そのため、温度T_diffが閾値温度KT以下の場合には、車輪のスリップを許容させつつ素早いコーナーリング(旋回)等が可能となり、センターディファレンシャル装置53の過熱を抑制するとともに、運転者の意思を反映させた走行をすることできる。
(5)4WDECU61は、温度T_diffが閾値温度KTよりも大きい場合に、制動力を大きくさせるための液圧用制御信号S2をESCECU33に出力するようにした。そのため、温度T_diffが大きい場合、即ち電磁クラッチ58の負荷が大きい場合には、ブレーキ装置21による制動力が大きくなるため、各車輪12R,12L,13R,13Lのスリップを確実に抑制できる。このため、センターディファレンシャル装置53の電磁クラッチ58にて発生する摩擦熱を確実に低減することができ、センターディファレンシャル装置53の過熱を確実に防止できる。
(第4実施形態)
以下、本発明を具体化した第4実施形態を図面に従って説明する。
なお、説明の便宜上、同一の構成については上記第3実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態では、ESCECU33は、上記第2実施形態と同様に、ESC制御を実行する走行安定制御モードとしてのESC制御モードと、ESC制御を実行しない禁止制御モードとを有している。図10に示すように、ESCECU33には、ESC制御モード又はと禁止制御モードに切り替える選択手段としてのESCスイッチ41が電気的に接続されている。
次に、4WDECU61における過熱抑制制御について説明する。
4WDECU61は、上記第2実施形態におけるトルク配分装置6の電磁クラッチ58の温度T_coupに代えて、実負荷状態値としてのセンターディファレンシャル装置53の電磁クラッチ58の温度T_diffを算出する。そして、4WDECU61は、この温度T_diffを用いて過熱抑制制御を、上記第2実施形態の過熱抑制制御と同様の処理手順にて行う(図7参照)。
そして、ESCECU33は、上記第2実施形態と同様の処理を行い、4WDECU61からの移行用制御信号S3及びESCスイッチ41からの出力信号Sswに基づいて制御モードを移行する。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏する。
(6)ESCECU33は、移行用制御信号S3が入力される場合、即ちセンターディファレンシャル装置53の温度T_diffが閾値温度KTよりも大きな場合に、禁止制御モードからESC制御モードに切り替えるようにした。従って、温度T_diffが閾値温度KTより大きい場合には、移行用制御信号S3が入力されることでESC制御モードとなるため、ESC制御が実行され、センターディファレンシャル装置53の過熱を防止できる。
また、ESCECU33には、ESCスイッチ41により禁止制御モードが選択されている場合であっても、例えば車速Vが所定値以上になると自動的にESC制御モードに移行するものがある。この点、本実施形態によれば、センターディファレンシャル装置53の負荷が大きくなるまで禁止制御モードが維持されるため、例えば車速Vに基づいて自動的にESC制御モードに移行する場合に比べ、センターディファレンシャル装置53の過熱を抑制しつつ、運転者の走行安定化制御を禁止する意思を長期に亘って反映させ、運転者の意図した通りの走行が可能になる。
(第5実施形態)
以下、本発明を具体化した第5実施形態を図面に従って説明する。
なお、説明の便宜上、同一の構成については上記第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
図11に示すように、ディファレンシャル装置としてのリヤディファレンシャル8は、上記第1実施形態と同様に、左側車軸としてのリヤアクスル9L及び右側車軸としてのリヤアクスル9Rに連結されている。そして、リヤディファレンシャル8は、リヤアクスル9Lとリヤアクスル9Rとの差動を許容しつつ、ピニオンシャフト7を介して伝達されるエンジン2のトルクを該差動に応じてリヤアクスル9R,9Lに配分するように構成されている。
このリヤディファレンシャル8には、電磁コイルに供給される電流量に応じてその摩擦係合力が変化する差動制限手段としての電磁クラッチ71が設けられている。電磁クラッチ71は、電磁コイルに供給される電流量に応じて、リヤアクスル9Lとリヤアクスル9Rとの間の差動を制限する差動制限力(摩擦係合力)を変化するように構成されている。従って、本実施形態では、リヤディファレンシャル8は、エンジン2のトルクをリヤアクスル9L及びリヤアクスル9Rにこれら両車軸の差動を許容して配分するとともに、リヤアクスル9Lとリヤアクスル9Rとの差動を制限するようになっている。
また、本実施形態の車両1には、上記第1実施形態と同様に、ブレーキ装置21(図2参照)が設けられている。
リヤディファレンシャル8(電磁クラッチ71)には、差動制限力制御手段、負荷状態値検出手段及び制御信号出力手段としての4WDECU72が接続されている。4WDECU72は、ROM等のメモリ73を備えている。また4WDECU72は、液圧制御装置23(図2参照)に設けられた各電磁弁やポンプの駆動を個別に制御するブレーキ制御手段としてのESCECU33と接続されている。そして、4WDECU72とESCECU33とは、互いに各種情報の送受信が可能となっている。
4WDECU72は、車両1の走行状態に応じてリヤディファレンシャル8に設けられた電磁クラッチ71の電磁コイルに駆動電流を供給し、この電流供給を通じて電磁クラッチ71の作動を制御することにより、その差動制限力を制御する。
詳述すると、4WDECU72には、車輪速センサ36a〜36dが接続されている。4WDECU72は、各車輪速センサ36a〜36dにより検出された各車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlに基づいて後輪13R,13Lのスリップ状態を検出し、後輪13R,13Lの何れかにスリップが発生した場合は電磁クラッチ71への通電量を増大させる。即ち、後輪13R,13Lにスリップが発生した場合に差動制限力を増大させる。なお、4WDECU72は、例えばESCECU33のESC判定制御(図4参照)と同様の処理を行うことで、後輪13R,13Lのスリップ状態を検出し、電磁クラッチ71への通電量を増大させる。
また、ESCECU33は、上記第1実施形態と同様に、所定周期毎にESC制御実行判定(図4参照)を行い、この判定結果に基づいてESC制御を実行する。
次に、4WDECU72における過熱抑制制御について説明する。
4WDECU72は、所定周期毎に、リヤディファレンシャル8の電磁クラッチ71の負荷状態を判定し、過負荷状態である場合には、過負荷状態でない場合に比べ、ESC制御を強化させる制御信号をESCECU33に出力する過熱抑制制御を実行する。具体的には、4WDECU72は、上記第1実施形態におけるトルク配分装置6の電磁クラッチ58の温度T_coupに代えて、実負荷状態値としてのリヤディファレンシャル8の電磁クラッチ71の温度T_diffを算出する。そして、4WDECU72は、この温度T_diffを用いて過熱抑制制御を、上記第1実施形態と同様の処理手順にて行う(図5参照)。なお、温度T_diffは、リヤアクスル9R,9Lの差動回転数と駆動電流Iとの積を所定時間積分した値によって演算する。リヤアクスル9R,9Lの差動回転数は各車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlに基づいて求めることができる。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏する。
(7)4WDECU72は、推定された温度T_diffが閾値温度KTよりも大きい場合には、スリップ閾値Kslpを第1の閾値Kslp1から該第1の閾値Kslp1よりも小さい第2の閾値Kslp2に変更させるための閾値用制御信号S1をESCECU33に出力するようにした。従って、リヤディファレンシャル8が過負荷状態でない場合に比べ、小さいスリップ量でも当該スリップが発生した車輪に制動力が付与されるため、車両1の走行状況によりESC制御が実行されるタイミングが早くなる。そのため、リヤディファレンシャル8の電磁クラッチ71にて発生する摩擦熱が速やかに低減されるため、リヤディファレンシャル8の過熱を防止できる。
また、スリップした車輪に制動力を付与するため、エンジン2の出力を下げることで全ての車輪12R,12L,13R,13Lに伝達されるトルクを減少させて走行安定性を向上させる場合に比べ、トラクション性能の低下を抑制することができる。
さらに、各車輪12R,12L,13R,13Lに制動力を付与することでスリップを抑制させるため、電磁クラッチ71を直結状態にしてスリップを抑制させる場合に比べ、駆動伝達系を構成する各部材の強度が低くなってもよく、これらの小型・軽量化を図ることができる。
さらにまた、スリップ閾値Kslpを、ESC制御が実行され難く、例えば車輪のスリップを許容させつつ素早いコーナーリング(旋回)をすることが可能な値とした。そのため、温度T_diffが閾値温度KT以下の場合には、車輪のスリップを許容させつつ素早いコーナーリング(旋回)等が可能となり、リヤディファレンシャル8の過熱を抑制するとともに、運転者の意思を反映させた走行をすることできる。
(8)4WDECU72は、温度T_diffが閾値温度KTよりも大きい場合に、制動力を大きくさせるための液圧用制御信号S2をESCECU33に出力するようにした。そのため、温度T_diffが大きい場合、即ち電磁クラッチ71の負荷が大きい場合には、ブレーキ装置21による制動力が大きくなるため、各車輪12R,12L,13R,13Lのスリップを確実に抑制できる。このため、リヤディファレンシャル8の電磁クラッチ71にて発生する摩擦熱を確実に低減することができ、リヤディファレンシャル8の過熱を確実に防止できる。
(第6実施形態)
以下、本発明を具体化した第6実施形態を図面に従って説明する。
なお、説明の便宜上、同一の構成については上記第5実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態では、ESCECU33は、上記第2実施形態と同様に、ESC制御を実行する走行安定制御モードとしてのESC制御モードと、ESC制御を実行しない禁止制御モードとを有している。図12に示すように、ESCECU33には、ESC制御モード又はと禁止制御モードに切り替える選択手段としてのESCスイッチ41が電気的に接続されている。
次に、4WDECU72における過熱抑制制御について説明する。
4WDECU72は、上記第2実施形態におけるトルク配分装置6の電磁クラッチ58の温度T_coupに代えて、実負荷状態値としてのリヤディファレンシャル8の電磁クラッチ71の温度T_diffを算出する。そして、4WDECU72は、この温度T_diffを用いて過熱抑制制御を、上記第2実施形態の過熱抑制制御と同様の処理手順にて行う(図7参照)。
そして、ESCECU33は、上記第2実施形態と同様の処理を行い、4WDECU72からの移行用制御信号S3及びESCスイッチ41からの出力信号Sswに基づいて制御モードを移行する。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏する。
(9)ESCECU33は、移行用制御信号S3が入力される場合、即ちリヤディファレンシャル8の温度T_diffが閾値温度KTよりも大きな場合に、禁止制御モードからESC制御モードに切り替えるようにした。従って、温度T_diffが閾値温度KTより大きい場合には、移行用制御信号S3が入力されることでESC制御モードとなるため、ESC制御が実行され、リヤディファレンシャル8の過熱を防止できる。
また、ESCECU33には、ESCスイッチ41により禁止制御モードが選択されている場合であっても、例えば車速Vが所定値以上になると自動的にESC制御モードに移行するものがある。この点、本実施形態によれば、リヤディファレンシャル8の負荷が大きくなるまで禁止制御モードが維持されるため、例えば車速Vに基づいて自動的にESC制御モードに移行する場合に比べ、リヤディファレンシャル8の過熱を抑制しつつ、運転者の走行安定化制御を禁止する意思を長期に亘って反映させ、運転者の意図した通りの走行が可能になる。
なお、上記各実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記第1、第3及び第5実施形態では、温度T_coup,T_diffが閾値温度KTよりも大きな場合に、4WDECU31,61,72が閾値用制御信号S1及び液圧用制御信号S2を出力し、上記第2、第4及び第6実施形態では、温度T_coup,T_diffが閾値温度KTよりも大きな場合に、4WDECU31,61,72が移行用制御信号S3を出力するようにした。しかし、これに限らず、温度T_coup,T_diffが閾値温度KTよりも大きな場合に、4WDECU31,61,72がESCECU33にESC制御を実行させる実行用制御信号を出力するようにしてもよい。また、ESCECU33がESC制御実行判定を行う周期を短くする等、その他の制御信号を出力するようにしてもよい。
・上記第2、第4及び第6実施形態では、温度T_coup,T_diffが閾値温度KTよりも大きな場合に、4WDECU31,61,72が移行用制御信号S3を出力したが、これに限らず、例えば移行用制御信号S3に加えて、閾値用制御信号S1及び液圧用制御信号S2を出力するようにしてもよい。
・上記第2、第4及び第6実施形態では、ESCECU33は、4WDECU31,61,72から移行用制御信号S3が入力されている場合にESC制御モードへ移行するようにしたが、これに限らず、ESCECU33が車両1の走行状況を判定し、この判定結果と4WDECU31,61,72からの移行用制御信号S3に基づいてESC制御モードヘ移行するようにしてもよい。例えば、4WDECU31,61,72から移行用制御信号S3が入力され、且つ車速Vが所定値以上であるとESCECU33が判定した場合にESC制御モードヘ移行するようにしてもよい。また、4WDECU31,61,72から移行用制御信号S3が入力された場合、又は車速Vが所定値以上のであるとESCECU33が判定した場合にESC制御モードヘ移行するようにしてもよい。なお、ESCECU33は、車速V以外のパラメータに基づいて車両1の走行状態を判定するようにしてもよい。
・上記第1及び第2実施形態では、トルク配分装置6の温度T_coupを、入出力軸間の差動回転数と駆動電流Iとの積を所定時間積分した値によって演算したが、これに限らず、トルク配分装置6の温度を温度センサで測定してもよい。同様に、上記第3〜第6実施形態において、センターディファレンシャル装置53又はリヤディファレンシャル8の温度T_diffを温度センサで測定してもよい。
・上記第1及び第2実施形態では、トルク配分装置6の負荷状態を示す負荷状態値として温度T_coupを用いたが、これに限らず、トルク配分装置6への入力エネルギー(例えば、差動回転ΔWと目標トルクτ*との積)の積算値、或いは単位時間当たりの入力エネルギー等を用いてもよい。同様に、上記第3〜第6実施形態において、センターディファレンシャル装置53又はリヤディファレンシャル8への入力エネルギー等を用いてもよい。
・上記第1実施形態では、トルク配分装置6の温度T_coupが閾値温度KTよりも大きい場合にESC制御が実行されるタイミングが早くなるように制御したが、トルク配分装置6の温度T_coupが閾値温度KTよりも大きく、かつ、後輪13R,13Lへのトルク配分量が所定値以上の場合にESC制御の実行が早くなるようにしてもよい。なお、このトルク配分量の所定値は、トルク配分装置6で伝達可能なトルクの最大値付近に設定することができる。同様に、上記第3又は第5実施形態において、センターディファレンシャル装置53又はリヤディファレンシャル8の温度T_diffが閾値温度KTよりも大きく、かつ、差動制限力が所定値以上の場合にESC制御の実行が早くなるようにしてもよい。
また、上記第2実施形態において、温度T_coupが閾値温度KTよりも大きく、かつ、後輪13R,13Lへのトルク配分量が所定値以上の場合にESC制御モードに移行するようにしてもよい。同様に、上記第4又は第5実施形態において、センターディファレンシャル装置53又はリヤディファレンシャル8の温度T_diffが閾値温度KTよりも大きく、かつ、差動制限力が所定値以上の場合にESC制御モードに移行するようにしてもよい。
・上記各実施形態では、車両1の各車輪12R,12L,13R,13Lのスリップ値Sfr,Sfl,Srr,Srlを用いてESC制御の実行判定を行ったが、これに限らず、各スリップ値Sfr,Sfl,Srr,Srlに加えて、各車輪12R,12L,13R,13Lの減速度(加速度)を用いてもよい。
・上記第1及び第2実施形態では、4WDECU31が温度T_coupを推定し、制御信号(閾値用制御信号S1、液圧用制御信号S2、移行用制御信号S3)を出力するようにしたが、これに限らず、例えばエンジンECU等、その他のECUが温度T_coupを推定し、制御信号を出力するようにしてもよい。同様に、上記第3〜第6実施形態において、例えばエンジンECUが温度T_diffを推定し、制御信号を出力するようにしてもよい。
・上記第1及び第2実施形態では、トルク配分装置6のクラッチ機構には、電磁式の摩擦クラッチである電磁クラッチ15を用いることとした。また、上記第3及び第4実施形態では、差動制限手段として電磁クラッチ58を用いた。さらに、上記第5及び第6実施形態では、差動制限手段として電磁クラッチ71を用いた。しかし、これに限らず、油圧式のクラッチ機構を用いるもの、或いは摩擦クラッチ以外のクラッチ機構を用いるものに適用してもよい。
・上記第1及び第2実施形態では、トルク配分装置6は、プロペラシャフト5とリヤディファレンシャル8との間に介在されることとしたが、駆動伝達系を構成するその他の箇所、例えばリヤディファレンシャル8として後輪13R,13Lとの間等に配置してもよい。
・上記第5及び第6実施形態では、車両1を4輪駆動車両として構成したが、これに限らず、例えば車両1にトルク配分装置6を設けず、車両1を前輪駆動の2輪駆動車両として構成してもよい。
・上記第5及び第6実施形態では、リヤディファレンシャル8に差動制限手段としての電磁クラッチ71を設けたが、これに限らず、フロントディファレンシャルに電磁クラッチを設け、前輪12R,12L(フロントアクスル4R,4L)間の差動を制限するようにしてもよい。また、リヤディファレンシャル8及びフロンディファレンシャルにそれぞれ電磁クラッチを設けるようにしてもよい。
・上記各実施形態では、前輪12R,12Lを主駆動輪とする車両1に本発明を適用したが、これに限らず、後輪13R,13Lを主駆動輪とする車両に適用してもよい。
次に、上記各実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(イ)4輪駆動車両の駆動源のトルクを前輪側駆動軸及び後輪側駆動軸にこれら両駆動軸の差動を許容して配分するとともに前記前輪側駆動軸と前記後輪側駆動軸との差動を制限する差動制限手段を有するセンターディファレンシャル装置、及び走行状態に基づいて前記差動制限手段の差動制限力を制御し前輪又は後輪にスリップが発生した場合に前記差動制限力を増大させる差動制限力制御手段を有する駆動力配分制御装置と、各車輪に制動力を付与するブレーキ装置、前記各車輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段、及び前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する走行安定化制御を実行するブレーキ制御手段を有する走行安定化装置とを備えた車両の車両用制御装置の制御方法であって、前記センターディファレンシャル装置の差動制限手段の実負荷状態値を検出し、前記実負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合には、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が前記第1の閾値よりも小さいスリップ量を示す第2の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制することを特徴とする車両用制御装置の制御方法。上記構成によれば、請求項10と同様の効果を奏することができる。
(ロ)4輪駆動車両の駆動源のトルクを前輪側駆動軸及び後輪側駆動軸にこれら両駆動軸の差動を許容して配分するとともに前記前輪側駆動軸と前記後輪側駆動軸との差動を制限する差動制限手段を有するセンターディファレンシャル装置、及び走行状態に基づいて前記差動制限手段の差動制限力を制御し前輪又は後輪にスリップが発生した場合に前記差動制限力を増大させる差動制限力制御手段を有する駆動力配分制御装置と、各車輪に制動力を付与するブレーキ装置、前記各車輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する走行安定化制御を実行するブレーキ制御手段、及び前記走行安定化制御を実行する走行安定制御モード又は前記走行安定化制御を実行しない禁止制御モードに前記ブレーキ制御手段の制御モードを運転者が切り替えるための選択手段を有する走行安定化装置とを備えた車両の車両用制御装置の制御方法であって、前記センターディファレンシャル装置の差動制限手段の実負荷状態値を検出し、前記センターディファレンシャル装置の実負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合に前記禁止制御モードから前記走行安定制御モードに切り替えることを特徴とする車両用制御装置の制御方法。上記構成によれば、請求項11と同様の効果を奏することができる。
(ハ)車両の駆動伝達系における前輪側又は後輪側の左右輪間に配置され、駆動源のトルクを左側車輪に連結された左側車軸及び右側車輪に連結された右側車軸にこれら両車軸の差動を許容して配分するとともに前記左側車軸と前記右側車軸との差動を制限する差動制限手段を有するディファレンシャル装置、及び走行状態に基づいて前記差動制限手段の差動制限力を制御し左側車輪又は右側車輪にスリップが発生した場合に前記差動制限力を増大させる差動制限力制御手段を有する駆動力配分制御装置と、各車輪に制動力を付与するブレーキ装置、前記各車輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段、及び前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する走行安定化制御を実行するブレーキ制御手段を有する走行安定化装置とを備えた車両の車両用制御装置の制御方法であって、前記ディファレンシャル装置の差動制限手段の実負荷状態値を検出し、前記実負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合には、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が前記第1の閾値よりも小さいスリップ量を示す第2の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制することを特徴とする車両用制御装置の制御方法。上記構成によれば、請求項12と同様の効果を奏することができる。
(ニ)車両の駆動伝達系における前輪側又は後輪側の左右輪間に配置され、駆動源のトルクを左側車輪に連結された左側車軸及び右側車輪に連結された右側車軸にこれら両車軸の差動を許容して配分するとともに前記左側車軸と前記右側車軸との差動を制限する差動制限手段を有するディファレンシャル装置、及び走行状態に基づいて前記差動制限手段の差動制限力を制御し左側車輪又は右側車輪にスリップが発生した場合に前記差動制限力を増大させる差動制限力制御手段を有する駆動力配分制御装置と、各車輪に制動力を付与するブレーキ装置、前記各車輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する走行安定化制御を実行するブレーキ制御手段、及び前記走行安定化制御を実行する走行安定制御モード又は前記走行安定化制御を実行しない禁止制御モードに前記ブレーキ制御手段の制御モードを運転者が切り替えるための選択手段を有する走行安定化装置とを備えた車両の車両用制御装置の制御方法であって、前記ディファレンシャル装置の差動制限手段の実負荷状態値を検出し、前記実負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合に前記禁止制御モードから前記走行安定制御モードに切り替えることを特徴とする車両用制御装置の制御方法。上記構成によれば、請求項13と同様の効果を奏することができる。
第1実施形態の駆動力配分制御装置及び走行安定化装置を備えた車両の概略構成図。 走行安定化装置の概略構成図。 駆動力配分制御の処理手順を示すフローチャート。 ESC制御実行判定の処理手順を示すフローチャート。 第1実施形態の過熱抑制制御の処理手順を示すフローチャート。 第2実施形態の駆動力配分制御装置及び走行安定化装置を備えた車両の概略構成図。 第2実施形態の過熱抑制制御の処理手順を示すフローチャート。 ESCECUの制御モード移行判定の処理手順を示すフローチャート。 第3実施形態のセンターディファレンシャル装置及び走行安定化装置を備えた車両の概略構成図。 第4実施形態のセンターディファレンシャル装置及び走行安定化装置を備えた車両の概略構成図。 第5実施形態のリヤディファレンシャル及び走行安定化装置を備えた車両の概略構成図。 第6実施形態のリヤディファレンシャル及び走行安定化装置を備えた車両の概略構成図。
符号の説明
1…車両、6…トルク配分装置、8…リヤディファレンシャル、12R,12L…前輪、13R,13L…後輪、15,58,71…電磁クラッチ、21…ブレーキ装置、31,61,72…4WDECU、33…ESCECU、41…ESCスイッチ、53…センターディファレンシャル装置、54…第1プロペラシャフト、55…第2プロペラシャフト、Bp1…第1のブレーキ液圧、Bp2…第2のブレーキ液圧、Kslp…スリップ閾値、Kslp1…第1の閾値、Kslp2…第2の閾値、KT…閾値温度、S1…閾値用制御信号、S2…液圧用制御信号、S3…移行用制御信号、T_coup,T_diff…温度。

Claims (13)

  1. 駆動源のトルクが常時伝達される主駆動輪と走行状態に応じて必要時に前記駆動源のトルクが伝達される補助駆動輪とを備えた4輪駆動車における前記駆動源と前記補助駆動輪との間に設けられトルク配分量を変更可能なトルク配分装置、及び走行状態に基づいて前記トルク配分装置のトルク配分量を制御し前記主駆動輪にスリップが発生した場合に前記トルク配分量を増大させるトルク配分量制御手段を有する駆動力配分制御装置と、
    前記主駆動輪及び前記補助駆動輪に制動力を付与するブレーキ装置、前記主駆動輪及び前記補助駆動輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段、及び前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する走行安定化制御を実行するブレーキ制御手段を有する走行安定化装置とを備えた車両の車両用制御装置であって、
    前記トルク配分装置の実負荷状態値を検出する負荷状態値検出手段を備え、
    前記ブレーキ制御手段は、前記トルク配分装置の実負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合には、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が前記第1の閾値よりも小さいスリップ量を示す第2の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制することを特徴とする車両用制御装置。
  2. 前記ブレーキ制御手段は、前記トルク配分装置の実負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合には、前記トルク配分装置の実負荷状態値が所定負荷状態値以下の負荷状態を示す場合よりも前記ブレーキ装置による制動力を大きくすることを特徴とする請求項1に記載の車両用制御装置。
  3. 駆動源のトルクが常時伝達される主駆動輪と走行状態に応じて必要時に前記駆動源のトルクが伝達される補助駆動輪とを備えた4輪駆動車における前記駆動源と前記補助駆動輪との間に設けられトルク配分量を変更可能なトルク配分装置、及び走行状態に基づいて前記トルク配分装置のトルク配分量を制御し前記主駆動輪にスリップが発生した場合に前記トルク配分量を増大させるトルク配分量制御手段を有する駆動力配分制御装置と、
    前記主駆動輪及び前記補助駆動輪に制動力を付与するブレーキ装置、前記主駆動輪及び前記補助駆動輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する走行安定化制御を実行するブレーキ制御手段、及び前記走行安定化制御を実行する走行安定制御モード又は前記走行安定化制御を実行しない禁止制御モードに前記ブレーキ制御手段の制御モードを運転者が切り替えるための選択手段を有する走行安定化装置とを備えた車両の車両用制御装置であって、
    前記トルク配分装置の実負荷状態値を検出する負荷状態値検出手段を備え、
    前記ブレーキ制御手段は、前記トルク配分装置の実負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合に前記禁止制御モードから前記走行安定制御モードに切り替えることを特徴とする車両用制御装置。
  4. 駆動源のトルクが常時伝達される主駆動輪と走行状態に応じて必要時に前記駆動源のトルクが伝達される補助駆動輪とを備えた4輪駆動車における前記駆動源と前記補助駆動輪との間に設けられトルク配分量を変更可能なトルク配分装置、及び走行状態に基づいて前記トルク配分装置のトルク配分量を制御し前記主駆動輪にスリップが発生した場合に前記トルク配分量を増大させるトルク配分量制御手段を有する駆動力配分制御装置と、
    前記主駆動輪及び前記補助駆動輪に制動力を付与するブレーキ装置、前記主駆動輪及び前記補助駆動輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段、及び前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する走行安定化制御を実行するブレーキ制御手段を有する走行安定化装置とを備えた車両の車両用制御装置の制御方法であって、
    前記トルク配分装置の実負荷状態値を検出し、前記実負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合には、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が前記第1の閾値よりも小さいスリップ量を示す第2の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制することを特徴とする車両用制御装置の制御方法。
  5. 駆動源のトルクが常時伝達される主駆動輪と走行状態に応じて必要時に前記駆動源のトルクが伝達される補助駆動輪とを備えた4輪駆動車における前記駆動源と前記補助駆動輪との間に設けられトルク配分量を変更可能なトルク配分装置、及び走行状態に基づいて前記トルク配分装置のトルク配分量を制御し前記主駆動輪にスリップが発生した場合に前記トルク配分量を増大させるトルク配分量制御手段を有する駆動力配分制御装置と、
    前記主駆動輪及び前記補助駆動輪に制動力を付与するブレーキ装置、前記主駆動輪及び前記補助駆動輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する走行安定化制御を実行するブレーキ制御手段、及び前記走行安定化制御を実行する走行安定制御モード又は前記走行安定化制御を実行しない禁止制御モードに前記ブレーキ制御手段の制御モードを運転者が切り替えるための選択手段を有する走行安定化装置とを備えた車両の車両用制御装置の制御方法であって、
    前記トルク配分装置の実負荷状態値を検出し、前記実負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合に前記禁止制御モードから前記走行安定制御モードに切り替えることを特徴とする車両用制御装置の制御方法。
  6. 駆動源のトルクが常時伝達される主駆動輪と走行状態に応じて必要時に前記駆動源のトルクが伝達される補助駆動輪とを備えた4輪駆動車における前記駆動源と前記補助駆動輪との間に設けられトルク配分量を変更可能なトルク配分装置と、走行状態に基づいて前記トルク配分装置のトルク配分量を制御し前記主駆動輪にスリップが発生した場合に前記トルク配分量を増大させるトルク配分量制御手段とを備え、
    前記主駆動輪及び前記補助駆動輪に制動力を付与するブレーキ装置と、前記主駆動輪及び前記補助駆動輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段と、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する走行安定化制御を実行するブレーキ制御手段とを有する走行安定化装置が搭載された車両の駆動力配分制御装置であって、
    前記トルク配分量制御手段は、
    前記トルク配分装置の実負荷状態値を検出する負荷状態値検出手段と、
    前記トルク配分装置の負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合には、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が前記第1の閾値よりも小さいスリップ量を示す第2の閾値を超えた際に前記ブレーキ制御手段が前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制するようにするための閾値用制御信号を該ブレーキ制御手段に出力する制御信号出力手段と
    を備えたことを特徴とする駆動力配分制御装置。
  7. 駆動源のトルクが常時伝達される主駆動輪と走行状態に応じて必要時に前記駆動源のトルクが伝達される補助駆動輪とを備えた4輪駆動車における前記駆動源と前記補助駆動輪との間に設けられトルク配分量を変更可能なトルク配分装置と、走行状態に基づいて前記トルク配分装置のトルク配分量を制御し前記主駆動輪にスリップが発生した場合に前記トルク配分量を増大させるトルク配分量制御手段とを備え、
    前記主駆動輪及び前記補助駆動輪に制動力を付与するブレーキ装置と、前記主駆動輪及び前記補助駆動輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段と、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する走行安定化制御を実行するブレーキ制御手段と、前記走行安定化制御を実行する走行安定制御モード又は前記走行安定化制御を実行しない禁止制御モードに前記ブレーキ制御手段の制御モードを運転者が切り替えるための選択手段とを有する走行安定化装置が搭載された車両の駆動力配分制御装置であって、
    前記トルク配分量制御手段は、
    前記トルク配分装置の実負荷状態値を検出する負荷状態値検出手段と、
    前記実負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合に、前記ブレーキ制御手段を前記走行安定制御モードに移行させるための移行用制御信号を前記ブレーキ制御手段に出力する制御信号出力手段とを備えたことを特徴とする駆動力配分制御装置。
  8. 駆動源のトルクが常時伝達される主駆動輪と走行状態に応じて必要時に前記駆動源のトルクが伝達される補助駆動輪とを備えた4輪駆動車における前記駆動源と前記補助駆動輪との間に設けられトルク配分量を変更可能なトルク配分装置と、走行状態に基づいて前記トルク配分装置のトルク配分量を制御し前記主駆動輪にスリップが発生した場合に前記トルク配分量を増大させるトルク配分量制御手段とを備え、
    前記主駆動輪及び前記補助駆動輪に制動力を付与するブレーキ装置と、前記主駆動輪及び前記補助駆動輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段と、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する走行安定化制御を実行するブレーキ制御手段とを有する走行安定化装置が搭載された車両の駆動力配分制御装置の制御方法であって、
    前記トルク配分装置の実負荷状態値を検出し、前記実負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合には、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が前記第1の閾値よりも小さいスリップ量を示す第2の閾値を超えた際に前記ブレーキ制御手段が前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制するようにするための閾値用制御信号を前記ブレーキ制御手段に出力することを特徴とする駆動力配分制御装置の制御方法。
  9. 駆動源のトルクが常時伝達される主駆動輪と走行状態に応じて必要時に前記駆動源のトルクが伝達される補助駆動輪とを備えた4輪駆動車における前記駆動源と前記補助駆動輪との間に設けられトルク配分量を変更可能なトルク配分装置と、走行状態に基づいて前記トルク配分装置のトルク配分量を制御し前記主駆動輪にスリップが発生した場合に前記トルク配分量を増大させるトルク配分量制御手段とを備え、
    前記主駆動輪及び前記補助駆動輪に制動力を付与するブレーキ装置と、前記主駆動輪及び前記補助駆動輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段と、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する走行安定化制御を実行するブレーキ制御手段と、前記走行安定化制御を実行する走行安定制御モード又は前記走行安定化制御を実行しない禁止制御モードに前記ブレーキ制御手段の制御モードを運転者が切り替えるための選択手段とを有する走行安定化装置が搭載された車両の駆動力配分制御装置の制御方法であって、
    前記トルク配分装置の実負荷状態値を検出し、前記実負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合には、前記ブレーキ制御手段を前記走行安定制御モードに移行させるための移行用制御信号を前記ブレーキ制御手段に出力することを特徴とする駆動力配分制御装置の制御方法。
  10. 4輪駆動車両の駆動源のトルクを前輪側駆動軸及び後輪側駆動軸にこれら両駆動軸の差動を許容して配分するとともに前記前輪側駆動軸と前記後輪側駆動軸との差動を制限する差動制限手段を有するセンターディファレンシャル装置、及び走行状態に基づいて前記差動制限手段の差動制限力を制御し前輪又は後輪にスリップが発生した場合に前記差動制限力を増大させる差動制限力制御手段を有する駆動力配分制御装置と、
    各車輪に制動力を付与するブレーキ装置、前記各車輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段、及び前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する走行安定化制御を実行するブレーキ制御手段を有する走行安定化装置とを備えた車両の車両用制御装置であって、
    前記センターディファレンシャル装置の差動制限手段の実負荷状態値を検出する負荷状態値検出手段を備え、
    前記ブレーキ制御手段は、前記負荷状態値検出手段で検出した実負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合には、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が前記第1の閾値よりも小さいスリップ量を示す第2の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制することを特徴とする車両用制御装置。
  11. 4輪駆動車両の駆動源のトルクを前輪側駆動軸及び後輪側駆動軸にこれら両駆動軸の差動を許容して配分するとともに前記前輪側駆動軸と前記後輪側駆動軸との差動を制限する差動制限手段を有するセンターディファレンシャル装置、及び走行状態に基づいて前記差動制限手段の差動制限力を制御し前輪又は後輪にスリップが発生した場合に前記差動制限力を増大させる差動制限力制御手段を有する駆動力配分制御装置と、
    各車輪に制動力を付与するブレーキ装置、前記各車輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する走行安定化制御を実行するブレーキ制御手段、及び前記走行安定化制御を実行する走行安定制御モード又は前記走行安定化制御を実行しない禁止制御モードに前記ブレーキ制御手段の制御モードを運転者が切り替えるための選択手段を有する走行安定化装置とを備えた車両の車両用制御装置であって、
    前記センターディファレンシャル装置の差動制限手段の実負荷状態値を検出する負荷状態値検出手段を備え、
    前記ブレーキ制御手段は、前記負荷状態値検出手段で検出した実負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合に前記禁止制御モードから前記走行安定制御モードに切り替えることを特徴とする車両用制御装置。
  12. 車両の駆動伝達系における前輪側又は後輪側の左右輪間に配置され、駆動源のトルクを左側車輪に連結された左側車軸及び右側車輪に連結された右側車軸にこれら両車軸の差動を許容して配分するとともに前記左側車軸と前記右側車軸との差動を制限する差動制限手段を有するディファレンシャル装置、及び走行状態に基づいて前記差動制限手段の差動制限力を制御し左側車輪又は右側車輪にスリップが発生した場合に前記差動制限力を増大させる差動制限力制御手段を有する駆動力配分制御装置と、
    各車輪に制動力を付与するブレーキ装置、前記各車輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段、及び前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する走行安定化制御を実行するブレーキ制御手段を有する走行安定化装置とを備えた車両の車両用制御装置であって、
    前記ディファレンシャル装置の差動制限手段の実負荷状態値を検出する負荷状態値検出手段を備え、
    前記ブレーキ制御手段は、前記負荷状態値検出手段で検出した実負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合には、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が前記第1の閾値よりも小さいスリップ量を示す第2の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制することを特徴とする車両用制御装置。
  13. 車両の駆動伝達系における前輪側又は後輪側の左右輪間に配置され、駆動源のトルクを左側車輪に連結された左側車軸及び右側車輪に連結された右側車軸にこれら両車軸の差動を許容して配分するとともに前記左側車軸と前記右側車軸との差動を制限する差動制限手段を有するディファレンシャル装置、及び走行状態に基づいて前記差動制限手段の差動制限力を制御し左側車輪又は右側車輪にスリップが発生した場合に前記差動制限力を増大させる差動制限力制御手段を有する駆動力配分制御装置と、
    各車輪に制動力を付与するブレーキ装置、前記各車輪のスリップ量を検出するスリップ検出手段、前記スリップ検出手段で検出したスリップ量が第1の閾値を超えた際に前記ブレーキ装置の作動を制御してスリップを抑制する走行安定化制御を実行するブレーキ制御手段、及び前記走行安定化制御を実行する走行安定制御モード又は前記走行安定化制御を実行しない禁止制御モードに前記ブレーキ制御手段の制御モードを運転者が切り替えるための選択手段を有する走行安定化装置とを備えた車両の車両用制御装置であって、
    前記ディファレンシャル装置の差動制限手段の実負荷状態値を検出する負荷状態値検出手段を備え、
    前記ブレーキ制御手段は、前記負荷状態値検出手段で検出した実負荷状態値が所定負荷状態値よりも大きな負荷状態を示す場合に前記禁止制御モードから前記走行安定制御モードに切り替えることを特徴とする車両用制御装置。
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