JP5195101B2 - Dc/dcコンバータの制御装置及び制御方法 - Google Patents

Dc/dcコンバータの制御装置及び制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、双方向に電圧を変換するDC/DCコンバータの制御装置及び制御方法に関する。
車両や動力機械の省エネルギーのために、力行と回生の双方向に電圧を変換するDC/DCコンバータが利用されている。このようなDC/DCコンバータにおいて、無負荷、力行、または回生等の急激な変動に対して、安定且つ高速に対応するために、1サイクル中のリアクトル電流の状態を3モードに分け、各モード毎にスイッチング素子のデューティ比を補正する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
この技術によれば、DC/DCコンバータの出力電力に基づいて、1サイクル中のリアクトル電流の変化を推定し、推定したリアクトル電流の変化が、常に正のモードI(力行時)と、0を跨いで正負となるモードII(無負荷時)と、常に負のモードIII (回生時)とに分類し、モードに応じてデューティ比を補正していた。
特開2004−120844号公報
しかしながら、上記従来技術においては、平滑コンデンサで平滑された後の出力電力に基づいたモード判定によりデューティ比を補正していたため、例えば、1サイクル中の大半の期間でリアクトル電流が負の値であるが、デッドタイム中にリアクトル電流が0となる場合や、1サイクル中の大半の期間でリアクトル電流が負の値であるが、デッドタイム付近でリアクトル電流が0を超えて正の値となり、デッドタイム中に再び0となるような場合に対して、正確なデッドタイム補正ができずに、電圧変動が発生するという問題点があった。
上記問題点を解決するために、本発明は、第一充放電手段と第二充放電手段との間で双方向に電圧変換を行うDC/DCコンバータの制御装置であって、第一スイッチング素子及び第二スイッチング素子をオン/オフさせる降圧制御信号及び昇圧制御信号を生成する電圧制御手段と、デッドタイムのない場合に前記リアクトルに流れるべきリアクトル電流の一周期の平均電流値ILMN を演算するリアクトル電流演算手段と、前記降圧制御信号及び昇圧制御信号を前記リアクトル電流演算手段が演算した電流値に基づいてデッドタイム補償演算を行うデッドタイム補償演算手段と、を備える。
そして、前記デッドタイム補償演算手段は、前記デッドタイムのない場合に流れるべきリアクトル電流値を5通りに分類して、それぞれデッドタイム補償値を決定し、第1分類は、一周期中で、リアクトル電流値がすべて0以下である分類とし、第2分類は、一周期中で、リアクトル電流値が負から正に変化後、電流が最大値になり、再び正から負に戻るまでの時間が、デッドタイム時間以下である分類とし、第3分類は、一周期中で、リアクトル電流値が正と負に変化している範囲で、第2分類第4分類の範囲を除いた分類とし、第4分類は、一周期中で、リアクトル電流値が正から負に変化後、電流が最小値になり、再び負から正に戻るまでの時間が、デッドタイム時間以下である分類とし、第5分類は、一周期中で、リアクトル電流値がすべて0以上である分類とする。
上記構成の本発明によれば、実際に計測不可能なデッドタイムのないリアクトル電流値を推定し、推定したリアクトル電流を5分類して、分類毎にデッドタイムを補償するので、正確なデッドタイム補償を行って、電圧変動を抑制することができるという効果がある。
次に図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。尚、以下に説明する各実施例は、左右両アームの中央にリアクトルを配置したHブリッジ型のDC/DCコンバータ例を説明するが、特許文献1に記載されたような片アームのDC/DCコンバータにも本発明を適用することができるのは明らかである。
図1は、本発明に係るDC/DCコンバータの制御装置の実施例1の構成を示す概略ブロック図である。
図1において、第一充放電手段としてバッテリ51,第二充放電手段として回生機能付きのインバータ63を備えている。そして、DC/DCコンバータは、バッテリ51からの入力電圧Vinに対して出力電圧Vout を自由に可変でき、更に充電と放電を可能とする4象限のDC/DCコンバータである。
バッテリ51には、平滑コンデンサ52が並列接続されている。バッテリ51の正極には、第一スイッチング素子であるトランジスタ54のコレクタが接続されている。トランジスタ54のエミッタには、第二スイッチング素子であるトランジスタ55のコレクタが接続されている。トランジスタ55のエミッタは、バッテリ51の負極に接続されている。即ち、トランジスタ54と、トランジスタ55とは、直列接続されている。そして、トランジスタ54とトランジスタ55との接続点に、リアクトル53の一方の端子が接続されている。
インバータ63は、図示しないモータジェネレータに駆動電力を供給するとともに、モータジェネレータの回生電力を整流する機能を備えている。インバータ63には平滑コンデンサ62が並列接続されている。インバータ63の一方の端子には、第三スイッチング素子であるトランジスタ56のコレクタが接続されている。トランジスタ56のエミッタには、トランジスタ57のコレクタが接続されている。トランジスタ57のエミッタは、インバータ63の他方の端子に接続されている。即ち、トランジスタ56と、トランジスタ57とは、直列接続されている。そして、トランジスタ56とトランジスタ57との接続点に、リアクトル53の他方の端子が接続されている。
また、トランジスタ54,55,56及び57には、それぞれコレクタ側にカソード、エミッタ側にアノードとしたダイオード58,59,60及び61が並列接続されている。以上の接続により、リアクトル53、トランジスタ54,55,56,57,ダイオード58,59,60,61から成るHブリッジが構成されている。
また、トランジスタ54とダイオード58、及びトランジスタ55とダイオード59は、左側アームを構成し、トランジスタ56とダイオード60、及びトランジスタ57とダイオード61は、右側アームを構成している。
このDC/DCコンバータを制御する制御装置1は、降圧制御信号D1c及び昇圧制御信号D2cを生成する電圧制御部2と、デッドタイムのない場合にリアクトル53に流れるべきリアクトル電流の一周期の平均電流値ILMN を演算するリアクトル電流演算部3と、降圧制御信号D1c及び昇圧制御信号D2cをリアクトル電流演算部3が演算した電流値に基づいてデッドタイム補償した降圧制御信号D1及び昇圧制御信号D2を演算するデッドタイム補償演算部4と、降圧制御信号D1及び昇圧制御信号D2に基づいてデッドタイムを生成するデッドタイム生成部5と、デッドタイム生成部5が生成したデッドタイムに基づいて、各トランジスタ54,55,56,57の駆動信号を生成するPWM信号発生部6とを備える。
電圧制御部2は、出力電圧指令値Vt を入力し、図示しないセンサによって検出された出力電圧Vout 、入力電圧Vin、リアクトル電流IL を取り込み、出力電圧Vout を出力電圧指令値Vt に一致させるのに必要な、降圧制御信号D1cと、昇圧制御信号D2cを出力する。
リアクトル電流演算部3は、デッドタイムのない場合に流れるべきリアクトル電流の一周期の平均電流値ILMN を演算して出力する。
デッドタイム補償演算部4は、降圧制御信号D1cと、昇圧制御信号D2cと、デッドタイムのない場合に流れるべきリアクトル電流の一周期の平均値ILMN とを入力として、デッドタイム補償を演算して降圧制御信号D1及び昇圧制御信号D2を出力する。
デッドタイム生成部5は、基本的には制御マイコンに内蔵されており、降圧制御信号D1と昇圧制御信号D2から、それぞれのトランジスタ54,55,56,57のスイッチング用のD2−Dd、1−D2−Dd、D1−Dd、1−D1−Ddに別けて出力する。
PWM信号発生部6は、基本的には制御マイコンに内蔵されており、内部で発生したキャリア周波数の三角波と、デッドタイム生成部5が出力したレベル信号とを比較してPWMスイッチング信号を生成し、トランジスタ54,55,56,57を駆動するためのドライバ回路を経由して、それぞれ駆動信号G1,G2,G3,G4を出力する。
それぞれ直列に接続されたトランジスタ54と55、及びトランジスタ56と57は、上アームと下アームが同時にオン状態にならないように、それぞれのターンオン、ターンオフ時間を考慮して、駆動信号G1とG2、G3とG4にデッドタイムを設けている。
次に図2を参照して、電圧制御部2、リアクトル電流演算部3、及びデッドタイム補償演算部4の詳細を説明する。電圧制御部2は、減算器21と、電圧エラー算出部22と、降圧制御部23と、昇圧制御部24と、セレクタ25と、切換判定部26とを備えている。
減算器21は、出力電圧指令値Vt と出力電圧検出値Vout との偏差を演算する。電圧エラー算出部22は、減算器21が演算した出力電圧指令値Vt と出力電圧検出値Vout との偏差を、リアクトル電流検出値IL を使用して、周知のフィードバック制御、またはフィードフォワード制御によって補正制御し、電圧エラーVerr を出力する。
降圧制御部23は、DC/DCコンバータの動作が降圧時に作用し、電圧エラーVerr 、出力電圧検出値Vout 、及び入力電圧検出値Vinに基づいて、降圧制御信号D1相当と、昇圧制御信号D2相当を出力する。
昇圧圧制御部24は、DC/DCコンバータの動作が昇圧時に作用し、電圧エラーVerr 、出力電圧検出値Vout 、及び入力電圧検出値Vinに基づいて、降圧制御信号D1相当と、昇圧制御信号D2相当を出力する。
尚、本実施例は、フィードフォワード演算の昇降圧を切り換える方式を例としているが、完全なフィードバック制御でも良い。その場合は、降圧制御部23,昇圧制御部24の制御は不要となり、電圧エラ算出部22から直接、降圧制御信号D1相当と、昇圧制御信号D2相当を出力する。
切換判定部26は、出力電圧指令値Vt と、入力電圧検出値Vinとを比較して、昇圧または降圧であることを示すフラグを出力する。
セレクタ25は、切換判定部26からのフラグによって、降圧制御部23からの出力か、昇圧制御部24からの出力どちらを利用するかの選択をする。尚、本実施例では、選択は最後に示すが、あらかじめ選択し、その後、降圧制御部23か昇圧制御部24のどちらかの制御を行ってもよい。
リアクトル電流演算部3は、リアクトル電流検出値IL と、入力電圧検出値Vinと、出力電圧検出値Vout を利用して、デッドタイムのない場合に流れるべきリアクトル電流の一周期の平均値ILMN を推定する。
デッドタイム補償演算部4は、リアクトル電流演算部3が演算したデッドタイムのない場合に流れるべきリアクトル電流の一周期の平均値ILMN に基づいてデッドタイム補正値Derr を算出する補正値算出部41と、降圧制御信号D1cにデッドタイム補正値Derr を加算して補正する加算器42と、昇圧制御信号D2cからデッドタイム補正値Derr を減算して補正する減算器43とを備える。
次に、リアクトル電流演算部3における演算の詳細を説明する。まず最初に、出力電流Iout を検出または推定する。出力電流Iout については、出力負荷が直流であったり、単独の負荷で電流値が検出できる場合は、検出値を利用してもよい。
出力負荷が交流成分であったり、複数の負荷、または平滑コンデンサ62が出力負荷と共通な場合は、出力電流Iout の検出値はDC/DCコンバータから出た値と異なるため、式(1)の推定出力電流値Iout-e を利用する。
Iout-e =(Vin/Vout)・IL +C・(dVout/dt) …(1)
ここで、右辺第一項のうち(Vin/Vout )は、演算結果の上限値を1とする。また、出力電圧検出値Vout に代えて、出力電圧指令値Vt を用いてもよい。
右辺第二項のCは、平滑コンデンサ62の静電容量である。微分要素は制御周期での電圧差分演算である。
出力電流値Iout-e が求まると、次いで、DC/DCコンバータの状態方程式により、
ILMN =(VHI/VLO)・Iout-e …(2)
式(2)として、リアクトル電流推定値ILMN (一周期の平均値)が求まる。
ここで、VLOは、入力電圧検出値Vinと出力電圧検出値Vout を比較し、小さい方の電圧値であり、VHIは、入力電圧検出値Vinと出力電圧検出値Vout を比較し、大きい方の電圧値を代入する。
但し、(VHI/VLO)は、演算結果の下限値を1とする。
また、VLO、もしくはVHIに代入する出力電圧検出値Vout は、出力電圧指令値Vt を用いてもよい。
こうして求まったデッドタイムのない場合に流れるべきリアクトル電流の一周期の平均値ILMN を利用して、リアクトル電流の5分類に沿った補正値をデッドタイム補償演算部4の補正値演算部41で算出する。
この5分類は、図4に示すように、
分類1は、一周期中で、リアクトル電流値がすべて0以下である分類とし、
分類2は、一周期中で、リアクトル電流値が負から正に変化後、電流が最大値になり、再び正から負に戻るまでの時間が、デッドタイム時間以下である分類とし、
分類3は、一周期中で、リアクトル電流値が正と負に変化している範囲で、分類2と分類4の範囲を除いた分類とし、
分類4は、一周期中で、リアクトル電流値が正から負に変化後、電流が最小値になり、再び負から正に戻るまでの時間が、デッドタイム時間以下である分類とし、
分類5は、一周期中で、リアクトル電流値がすべて0以上である分類とする。
次に、5分類するリアクトル電流IL の閾値の求め方を図4を用いて説明する。
分類1と分類2との境界点71は、デッドタイムのない場合に流れるべきリアクトル電流値が、一周期の中で、リアクトル電流値がすべて0以下である状態と、リアクトル電流値が負から正に変化後、電流が最大値になり、再び正から負に戻るまでの時間が、デッドタイム時間以下である状態との閾値である。リアクトル電流のピーク・ツ・ピークをILpp とすると、その2分の1の値である。
ILpp は、入出力電圧値、及び昇降圧比によって変化するため、常に式(3)の演算をして求める。
ILpp =VLO・Tc・(VHI−VLO)/(L・VHI) …(3)
ここで、TcはPWMのキャリア周期を代入する。よって、
境界点71の閾値=−ILpp/2 …(4)
式(4)となる。
分類2と分類3との境界点72は、デッドタイムのない場合に流れるべきリアクトル電流値が、リアクトル電流値が負から正に変化後、電流が最大値になり、再び正から負に戻るまでの時間が、デッドタイム時間以下である状態と、デッドタイム時間以上になったときの閾値である。この境界点72の閾値は、式(5)となる。
境界点72の閾値=(VHI−VLO)・Tc・Dd/L−ILpp/2 …(5)
分類3と分類4との境界点73は、デッドタイムのない場合に流れるべきリアクトル電流値が、リアクトル電流値が正から負に変化後、電流が最小値になり、再び負から正に戻るまでの時間が、デッドタイム時間以上である状態と、デッドタイム時間以下になったときの閾値である。この境界点73の閾値は、式(6)となる。
境界点73の閾値=ILpp/2−VLO・Tc・Dd/L …(6)
分類4と分類5の間の点74は、デッドタイムのない場合に流れるべきリアクトル電流値が、一周期の中で正から負に変化後、電流が最小値になり、再び負から正に戻るまでの時間が、デッドタイム時間以下である状態と、リアクトル電流値がすべて0以上である状態となる時の閾値である。この境界点74の閾値は、式(7)となる。
境界点74の閾値=ILpp/2 …(7)
デッドタイム補償演算部4の補正値演算部41は、上記で求めた境界点71,72,73,74のそれぞれの閾値と、リアクトル電流演算部3で求めたデッドタイムのない場合に流れるべきリアクトル電流の一周期の平均値ILMN とを比較して、補正値演算部41は、補正値Derr を以下のように出力する。
分類1となった場合は、デッドタイム比をDdとすると、Derr =−Ddを出力する。 分類2となった場合は、ILMN に比例して、Derr を−Ddから0に向かって変化させて出力する。
分類3となった場合は、Derr =0を出力する。
分類4となった場合は、ILMN に比例して、Derr を0からDdに向かって変化させて出力する。
分類5となった場合は、Derr =Ddを出力する。
ここで出力されたDerr は、セレクタ25によって選択された降圧制御信号D1cに加算して制御信号D1を出力し、同様に昇圧制御信号D2cから減算して制御信号D2を出力することにより、デッドタイム補償を行う。
以上のようにデッドタイム補償された制御信号D1,D2を利用して、DC/DCコンバータを動作させることによって、デッドタイムのないDC/DCコンバータと同等の電圧変動特性を得ることが可能となり、電圧変動を大幅に抑制することが可能となる。
DC/DCコンバータの出力負荷に燃料電池やインバータを単独、または並列に接続した場合は、それらの制御安定性が向上する他、燃料電池の電圧変動マージン量を低減することができるため、燃費性能を向上することができる。
次に、本発明に係るDC/DCコンバータの制御装置の実施例2を説明する。図3は、実施例2におけるリアクトル電流演算部の詳細を説明するブロック部である。
実施例1では、リアクトル電流を演算するための出力電流を推定する際に、式(1)の右辺第二項を微分要素として演算したが、微分項はノイズやAD変換時の量子化誤差に敏感であり、分解能の高いマイコンを利用する必要がある。そこで、本実施例では、DC/DCコンバータの推定出力電流値を求める際の出力電圧の現在値と前回値の差分を求めるハードウェアである出力電圧差分検出部31を備える。
出力電圧差分検出部31は、出力電圧検出値Vout を入力して、Vout からVout の前回値であるVoutzを減算した結果であるVout −Voutzをリアクトル電流演算部3Aへ出力するものである。このため、出力電圧差分検出部31は、一演算周期前の出力電圧検出値であるVoutzを保持するためのサンプルホールド部32と、差動増幅器を用いてVout からVoutzを減算する減算器33とを備える。この出力電圧差分検出部31の回路を組むことによって微分項を高分解能で実現可能である。
このようにリアクトル電流演算部3Aの入力として、出力電圧差分(Vout −Voutz)を追加すると、サンプルホールド部32のサンプリング周期をtcとして、式(1)の右辺第二項を次に示す式(8)で演算することができる。
C・(dVout/dt)=C・(Vout−Voutz)/tc …(8)
本実施例によれば、出力電圧の現在値と前回値の差分を求めるハードウェアである出力電圧差分検出部を備えたことにより、微分項の高分解能化による制御安定性が向上し、高分解能なAD変換器が不要になるという効果がある。
次に、本発明に係るDC/DCコンバータの制御装置の実施例3を説明する。実施例3の全体構成は、実施例1と同様であるが、リアクトル電流演算部3の演算内容が異なる。
実施例1では演算に微分項があり、高分解能を必要とするが、本実施例の演算法では微分を利用しなくてもデッドタイムのないリアクトル電流を推定することが可能である。
DC/DCコンバータの状態方程式より、以下を求めると、
dIL/dt=(1/L)・(D1・Vin−D2・Vout) …(9)
より、両辺にTc時間分の積分を行うと、Tc時間のリアクトル電流変化分をΔIL とすると、
Figure 0005195101
D1・Vin−D2・Vout =VL とすると、
ΔIL =(Tc/L)・{VL(T)+VL(T+Tc)}/2 …(11)
これに実際のリアクトル電流値と加算して、デッドタイムのない場合のリアクトル電流値ILMN を推定することが可能となる。
ILMN =IL +(Tc/L)・{VL(T)+VL(T+Tc)}/2 …(12)
こうして求まったデッドタイムのないリアクトル電流推定値ILMN を利用して、5分類に沿った補正値Derr を補正値演算部41で算出する。
尚、制御出力D1については、1を上限値とした出力電圧検出値、または出力電圧指令値を入力電圧検出値で除算した値でもよく、制御出力D2に関しても、1を上限値とした入力電圧検出値と出力電圧指令値で除算した値でもよい。以降実施例1と同様の計算を行う。
以上説明した本実施例によれば、演算で微分項が不要となり、外乱やノイズに対して安定性したデッドタイム補償制御が可能となるという効果がある。
次に、本発明に係るDC/DCコンバータの制御装置の実施例4を説明する。実施例4の全体構成は、実施例1と同様であるが、リアクトル電流演算部3の演算内容が異なる。実施例4は、実施例1の図4で示した、リアクトル電流IL の閾値によるデッドタイム補償値の分類2と分類4とを省略して、3分類に簡略化したものである。
図5は、実施例4における分類1’、分類3’、分類5’を図示したものである。次に、本実施例における閾値の求め方を説明する。
分類1’と分類3’との境界点81は、デッドタイムのない場合に流れるべきリアクトル電流値が、リアクトル電流値が負から正に変化後、再び正から負に戻るまでの時間が、デッドタイム時間以下である状態と、デッドタイム時間以上になったときの閾値である。 境界点81の閾値=−VLO・(VHI−VLO)・(Tc/2−Tc・Dd)/(L・VHI)
…(13)
となる。
分類3’と分類5’との境界点82は、デッドタイムのない場合に流れるべきリアクトル電流値が、リアクトル電流値が正から負に変化後、再び負から正に戻るまでの時間が、デッドタイム時間以上である状態と、デッドタイム時間以下になったときの閾値である。
境界点82の閾値=(VHI−VLO)・(Tc/2−Tc・Dd)/(L・VHI) …(14)
となる。
尚、境界点81,82の閾値は、固定的に示したが、リアクトル電流が増加して境界点を超える場合と、リアクトル電流が減少して境界点を超える場合とで、ヒステリシスを持たせてもよい。
また、入出力の電圧値や昇圧率によって流動的な点となるが、簡易的には実施例1で示した境界点71と境界点72との中間値を境界点81としてもよく、境界点73と境界点74との中間値を境界点82としてもよい。
図2の補正値演算部41では、上記で求まった境界点81,82の閾値と、リアクトル電流演算部3で求まったデッドタイムのない場合に流れるべきリアクトル電流の一周期の平均値ILMN とを比較して、補正値演算部41の出力であるDerr は、以下のように分類を行う。
尚、ILMN の値は実施例2、3の求め方で求めてもよい。
分類1’となった場合は、デッドタイム比をDdとすると、Derr =−Ddを出力する。
分類3’となった場合は、Derr =0を出力する。
分類5’となった場合は、Derr =Ddを出力する。
ここで出力されたDerr は、切換判定部26で昇圧か降圧かの判定を行った後、セレクタ25によって選択された降圧制御信号D1cに加算して制御出力D1を出力し、同様に昇圧制御信号D2cに減算して制御出力D2を出力する。
以上説明した本実施例によれば、実施例1と比較して、制御周期毎に演算される最適演算を省いたため、制御装置1の演算負荷は大幅に低減され、実施例1に比べて演算性能が低いCPUを用いてもDC/DCコンバータの出力電圧変動を抑制することができるという効果がある。
また本実施例によれば、実施例1の分類2と分類4とを省いたデッドタイム補償であるため、実施例1に比べればDC/DCコンバータの出力電圧変動は若干増加するが、従来方式に比べれば大幅に出力電圧変動を抑制することができるという効果がある。
本発明に係るDC/DCコンバータの制御装置の実施例1を説明する概略ブロック図である。 実施例1の制御装置の詳細ブロック図である。 実施例2の制御装置の要部を示す詳細ブロック図である。 実施例1におけるデットタイム補償方法を説明する図である。 実施例4におけるデットタイム補償方法を説明する図である。
符号の説明
1 DC/DCコンバータの制御装置
2 電圧制御部
3 リアクトル電流演算部
4 デッドタイム補償演算部
5 デッドタイム生成部
6 PWM信号発生部

Claims (3)

  1. 直列に接続された第一スイッチング素子及び第二スイッチング素子と、
    第一スイッチング素子に逆並列に接続された第一ダイオードと、
    第二スイッチング素子に逆並列に接続された第二ダイオードと、
    第一スイッチング素子と第二スイッチング素子との接続点に接続されたリアクトルと、
    を備え、第一充放電手段と第二充放電手段との間で双方向に電圧変換を行うDC/DCコンバータの制御装置であって、
    第一スイッチング素子及び第二スイッチング素子をオン/オフさせる降圧制御信号及び昇圧制御信号を生成する電圧制御手段と、
    デッドタイムのない場合に前記リアクトルに流れるべきリアクトル電流の一周期の平均電流値を演算するリアクトル電流演算手段と、
    前記降圧制御信号及び昇圧制御信号を前記リアクトル電流演算手段が演算した平均電流値に基づいてデッドタイム補償演算を行うデッドタイム補償演算手段と、
    を備え、
    前記デッドタイム補償演算手段は、
    前記デッドタイムのない場合に流れるべきリアクトル電流値を5通りに分類して、それぞれデッドタイム補償値を決定し、
    第1分類は、一周期中で、リアクトル電流値がすべて0以下である分類とし、
    第2分類は、一周期中で、リアクトル電流値が負から正に変化後、電流が最大値になり、再び正から負に戻るまでの時間が、デッドタイム時間以下である分類とし、
    第3分類は、一周期中で、リアクトル電流値が正と負に変化している範囲で、第2分類第4分類の範囲を除いた分類とし、
    第4分類は、一周期中で、リアクトル電流値が正から負に変化後、電流が最小値になり、再び負から正に戻るまでの時間が、デッドタイム時間以下である分類とし、
    第5分類は、一周期中で、リアクトル電流値がすべて0以上である分類とし、
    前記電圧制御手段の出力である降圧制御信号をD1c、昇圧制御信号をD2cとし、デッドタイム補償デューティをDerr、デッドタイムデューティをDd、デッドタイムのない場合に流れるべきリアクトル電流の一周期の平均値をILMN とし、デッドタイム補償後の降圧制御信号をD1、昇圧制御信号をD2としたときに、
    D1 = D1c + Derr
    D2 = D2c − Derr
    の式によりデッドタイムを補償し、
    Derrは、前記分類毎に、
    第1分類において、Derr=−Ddとし、
    第2分類において、Derrは、平均電流値ILMN に比例した値とし、
    第3分類において、Derr=0とし、
    第4分類において、Derrは、平均電流値ILMN に比例した値とし、
    第5分類において、Derr=Ddとした、
    ことを特徴とするDC/DCコンバータの制御装置。
  2. 直列に接続された第一スイッチング素子及び第二スイッチング素子と、
    第一スイッチング素子に逆並列に接続された第一ダイオードと、
    第二スイッチング素子に逆並列に接続された第二ダイオードと、
    第一スイッチング素子と第二スイッチング素子との接続点に接続されたリアクトルと、
    を備え、第一充放電手段と第二充放電手段との間で電圧変換を行うDC/DCコンバータの制御装置であって、
    第一スイッチング素子及び第二スイッチング素子をオン/オフさせる降圧制御信号及び昇圧制御信号を生成する電圧制御手段と、
    デッドタイムのない場合に前記リアクトルに流れるべきリアクトル電流の一周期の平均電流値を演算するリアクトル電流演算手段と、
    前記降圧制御信号及び昇圧制御信号を前記リアクトル電流演算手段が演算した平均電流値に基づいてデッドタイム補償演算を行うデッドタイム補償演算手段と、
    を備え、
    前記デッドタイム補償演算手段は、
    前記デッドタイムのない場合に流れるべきリアクトル電流値を3通りに分類して、それぞれデッドタイム補償値を決定し、
    第1’分類は、一周期中で、リアクトル電流値がすべて0以下である分類とし、
    第3’分類は、一周期中で、リアクトル電流値が正と負に変化している範囲の分類とし、
    第5’分類は、一周期中で、リアクトル電流値がすべて0以上である分類とし、
    前記電圧制御手段の出力である降圧制御信号をD1c、昇圧制御信号をD2cとし、デッドタイム補償デューティをDerr、デッドタイムデューティをDd、デッドタイム補償後の降圧制御信号をD1、昇圧制御信号をD2としたときに、
    D1 = D1c + Derr
    D2 = D2c − Derr
    の式によりデッドタイムを補償し、
    Derrは、前記分類毎に、
    第1’分類において、Derr=−Ddとし、
    第3’分類において、Derr=0とし、
    第5’分類において、Derr=Ddとした、
    ことを特徴とするDC/DCコンバータの制御装置。
  3. 直列に接続された第一スイッチング素子及び第二スイッチング素子と、
    第一スイッチング素子に逆並列に接続された第一ダイオードと、
    第二スイッチング素子に逆並列に接続された第二ダイオードと、
    第一スイッチング素子と第二スイッチング素子との接続点に接続されたリアクトルと、
    を備え、第一充放電手段と第二充放電手段との間で電圧変換を行うDC/DCコンバータの制御方法であって、
    デッドタイムのない場合に前記リアクトルに流れるべきリアクトル電流の一周期の平均電流値を演算するリアクトル電流演算過程と、
    前記スイッチング素子のオン/オフを制御する降圧制御信号及び昇圧制御信号を前記リアクトル電流演算過程が演算した電流値に基づいてデッドタイム補償演算を行うデッドタイム補償演算過程と、
    を備え、
    前記デッドタイム補償演算過程は、
    前記デッドタイムのない場合に流れるべきリアクトル電流値を5通りに分類して、それぞれデッドタイム補償値を決定し、
    第1分類は、一周期中で、リアクトル電流値がすべて0以下である分類とし、
    第2分類は、一周期中で、リアクトル電流値が負から正に変化後、電流が最大値になり、再び正から負に戻るまでの時間が、デッドタイム時間以下である分類とし、
    第3分類は、一周期中で、リアクトル電流値が正と負に変化している範囲で、第2分類第4分類の範囲を除いた分類とし、
    第4分類は、一周期中で、リアクトル電流値が正から負に変化後、電流が最小値になり、再び負から正に戻るまでの時間が、デッドタイム時間以下である分類とし、
    第5分類は、一周期中で、リアクトル電流値がすべて0以上である分類とすることを特徴とするDC/DCコンバータの制御方法。
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