以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について説明する。
(全体構成)
図1は、第1実施形態に係る画像表示装置100の概略構成を示すブロック図である。画像表示装置100は、主に、画像処理部10と、データ線駆動回路21と、走査線駆動回路22と、表示部23と、を有する。画像表示装置100は、多色を用いて画像を表示可能に構成されている。具体的には、画像表示装置100は、Red、Green、Blue、及びCyanの4色(以下、単に「R」、「G」、「B」、「C」とも表記する。)を表示可能に構成されている。
画像処理部10は、I/F制御回路11と、色変換回路12と、VRAM13と、アドレス制御回路14と、テーブル格納メモリ15と、γ補正回路16と、を備える。I/F制御回路11は、外部(例えばカメラなど)から画像データと制御コマンドを取得し、画像データd1を色変換回路12に供給する。なお、外部から供給される画像データは、R、G、Bの3色で構成されている。
色変換回路12は、取得した画像データd1に対して、3色から4色に変換する処理を行う。この場合、色変換回路12は、テーブル格納メモリ15に記憶されたデータなどを参照して色変換などの画像処理を行う。色変換回路12で画像処理された画像データd2は、VRAM13に書き込まれる。VRAM13に書き込まれた画像データd2は、アドレス制御回路からの制御信号d21に基づいて、γ補正回路16によって画像データd3として読み出されると共に、走査線駆動回路22によってアドレスデータ(走査線駆動回路22はアドレスデータを元に同期をとるため)d4として読み出される。γ補正回路16は、テーブル格納メモリ15に記憶されたデータなどを参照して、取得した画像データd3に対してγ補正を行う。そして、γ補正回路16は、γ補正後の画像データd5をデータ線駆動回路21に供給する。
データ線駆動回路21は、2560本のデータ線に対してデータ線駆動信号X1〜X2560を供給する。走査線駆動回路22は、480本の走査線に対して走査線駆動信号Y1〜Y480を供給する。この場合、データ線駆動回路21と走査線駆動回路22は、同期して表示パネル23を駆動する。表示部23は、液晶(LCD)によって構成され、RGBCの4色を用いて画像を表示する。また、表示部23は、RGBCに対応する4つの画素(以下、「サブ画素」と呼ぶ。)を一組として有する単位画素(以下、「表示画素」と呼ぶ。)が、「縦480個×横640個」有するVGAサイズによって構成されている。そのため、データ線の数が「640×4=2560本」となっている。表示部23は、走査線及びデータ線に電圧を印加されることによって、表示すべき文字や映像などの画像を表示する。
図2は、表示部23の各画素を拡大して示した概略図である。白丸153は、表示画素151の位置を示しており、ハッチングの違いは、サブ画素152を構成する「R」、「G」、「B」、「C」の違いを示している。この場合、表示画素151は、縦方向に同一色が連なるように直線上に複数配置されている、即ちストライプ配置されている。また、表示画素151の縦横の長さ比が「1:1」であることから、サブ画素152に関しては、縦方向の長さを「1」とすれば、横方向の長さは「0.25」となる。なお、本明細書では、「縦方向」とは走査方向に直交する方向を意味し、「横方向」とは走査方向に水平な方向を意味する。サブ画素152の具体的な配置、及びサブ画素152の配置を決定する方法については、詳細は後述する。
図3は、表示部23の具体的な構成を示す斜視図である。図3に示すように、TFTアレイ基板23gの内側には画素電極23fが形成され、対向基板23bの内側には共通電極23dが形成されている。更に、対向基板23bと共通電極23dの間には、カラーフィルタ23cが形成されている。また、TFTアレイ基板23gと対向基板23bの外側には、バックライトユニット23iと、上下偏光板23a、23hとが形成されている。
具体的には、TFTアレイ基板23g及び対向基板23bは、ガラス・プラスチック等の透明基板によって構成されている。また、画素電極23f及び共通電極23dは、ITO(インジウムスズ酸化物)等の透明導電体によって形成されている。更に、画素電極23fは、TFTアレイ基板23gに設けられたTFT(Thin Film Transistor)に接続されており、当該TFTのスイッチング駆動に応じて、共通電極23dと画素電極23fの間の液晶層23eに電圧を付与するようになっている。液晶層23eは、共通電極23dと画素電極23fによって付与された電圧値に応じて配列が変化する液晶分子を有している。
このような液晶層23e及び上下偏光板23a、23hにおいては、液晶層23eに付与される電圧値に応じて液晶分子の配列が変化することで、液晶層23e及び上下偏光板23a、23hを透過する光量が変わる。そのため、液晶層23eは、バックライトユニット23i側から入射する光の光量を制御して、観察者側に所定の透光量で透過させる。バックライトユニット23iは、光源と導光板によって構成されている。このような構成においては、光源から発光した光を導光板内部に均一に広げて、図3中の矢印で示す方向に光源光を出射するようになっている。光源は、蛍光管や白色LED等から構成され、導光板は、アクリル等の樹脂から構成される。このような構成を有する表示部23は、バックライトユニット23iの発光を矢印で示す方向に向けて出射し、対向基板23b側から取り出す透過型液晶表示装置である。即ち、バックライトユニット23iの光源光を利用して液晶表示を行うようになっている。
図4は、表示部23の表示特性の一例を示した図である。図4(a)は表示部23で用いられるカラーフィルタ23cの分光特性を示した図であり、横軸が波長(nm)を示し、縦軸が透過率(%)を示している。図4(b)は、光源であるバックライトユニット23iの発光特性を示した図であり、横軸が波長(nm)を示し、縦軸が相対輝度を示している。図4(c)は、バックライトユニット23iの発光特性に対してカラーフィルタ23cの透過特性を反映させた図、即ち4色の発光特性を示した図である。図4(c)も、横軸が波長(nm)を示し、縦軸が相対輝度を示している。なお、液晶層23eによって透過光の制御を行っているが透過特性がほぼ平坦であるため、これを図示していない。図4(d)は、4色の発光特性について色を表す三刺激値を計算し、xy色度図上にプロットした図を示す。図4(d)における四角形の内部が表示部23において再現できる色を示し、この四角形が表示部23における色再現領域に対応する。また、四角形の頂点が、色を構成するRGBCに対応する。
(サブ画素誤差確認方法)
第1実施形態では、視覚への影響を十分に考慮した形で、4色RGBCのサブ画素を配置する。ここでは、サブ画素の配置するに当たって考慮すべき視覚特性などについて説明する。具体的には、サブ画素の配置が異なる場合に、視覚特性上にどのような影響があるかを説明する。
図5は、サブ画素誤差確認処理を示すフローチャートである。このサブ画素誤差確認処理とは、RGBC各画素の並び順候補に対して、各々の候補によって発生する誤差を確認するために行う処理である。サブ画素を用いた画像表示装置では、各画素を平面上に並べて配置し、微細な発光の混色によって色を再現するが、視覚特性の関係上、各画素の配置によってエッジボケや色割れ(偽色)が発生する場合がある。図5に示すサブ画素誤差確認処理において確認する「誤差」は、このようなエッジボケや色割れに対応する。なお、サブ画素誤差確認処理は、コンピュータなどによって実行される。
まず、ステップS101では、RGBC各色のXYZを入力する。各色のXYZは、カラーフィルタ23cやバックライトユニット23iの分光特性から決定できる値であり、シミュレーションや実測によって求められる。そして、処理はステップS102に進む。ステップS102では、XYZを輝度−反対色空間へ変換し、Lum、R/G、B/Yの各成分として表す。そして、処理はステップS103に進む。
ステップS103では、輝度−反対色空間において視覚特性に応じたフィルタ処理を行う。このフィルタ処理は、詳細は後述する。そして、処理はステップS104に進み、フィルタ処理結果に対してエッジボケや色割れなどの誤差確認を行う。
図6は、輝度−反対色成分に対するフィルタ特性を表した図である。図6は、左にLum成分のグラフを示し、中央にR/G成分のグラフを示し、右にY/B成分のグラフを示しており、それぞれ横軸に画像における位置を示し、縦軸に重み(詳しくは、視距離が近い場合におけるLum成分を「1」としたときの相対的な値)を示している。また、上段に視距離が近い場合のグラフを示し、下段に視距離が遠い場合のグラフを示している。図6に示すように、フィルタ特性は、輝度−反対色それぞれの成分に関して別々の振幅特性と広がり幅を持つ。また、フィルタ特性は視覚特性に対応しているため、視距離によっても特性が変化する。更に、R/G成分の方がB/Y成分よりもフィルタの振幅が大きいことがわかる。
図7は、図5に示したサブ画素誤差確認処理によって得られた結果の一例を示している。図7(a)は、サブ画素誤差確認処理に用いた空間的パターンを示している。具体的には、RGBCの順で配置された表示画素を用い、中央の符号160で示す表示画素を非点灯(全遮断)状態にし、その両側に位置する符号161、162で示す表示画素群を全点灯(全透過)状態にする。即ち、中央部分を黒で表示し、その両側を白で表示させる空間的パターン(以下、「黒白パターン」とも呼ぶ。)を用いている。なお、本明細書では、サブ画素の配置順を「RGBC」と表記した場合には、左または右から順に「R」、「G」、「B」、「C」が配置していることを示すものとする。
図7(b)、(c)、(d)は、横軸に黒白パターンに対応する画像位置を示し、縦軸にそれぞれLum成分、R/G成分、B/Y成分を示している。図7(b)では、サブ画素平面配置を用いずに空間的に完全混色させた理想的場合におけるグラフを重ねて表示している。図7(b)より、サブ画素を用いる場合には、白の部分でも微細に観察すると色を有しているため、グラフの凹凸が発生していることがわかる。また、黒の部分では、周囲のサブ画素の影響を受けてエッジボケの原因となる輝度上昇が発生していることがわかる。R/G成分及びB/Y成分に関しては、誤差が発生しない場合(理想的場合)には、一定周期で繰り返すグラフとなる。しかし、図7(c)、図7(d)より、R/G成分及びB/Y成分の両方とも、黒周辺では周囲のサブ画素の影響を受けて色成分が増加し、色割れを引き起こしていることがわかる。例えば、図7(c)のR/G成分では、中央右側のピーク部分において正(赤)の方向に増加していると共に、黒白のパターンを観察すればRed画素が位置していることがわかる。このように大きく正の方向に増加するのは、視覚特性を反映させたフィルタ処理の結果であり、フィルタ処理を行わなければこのような変化は起こらない。つまり、このような大きな色成分は本来存在していないが、視覚で観察することによって、色成分が発生して見えることになる。
ここで、上記の図5〜図7で示した事実を考慮に入れて、4色RGBCの各画素の配置候補に対してサブ画素誤差確認処理を行い、その結果を考察する。
図8(a)〜(l)は、4色RGBCの配置候補を示している。この場合、RGBCにおける組み合わせの数は「4×3×2×1=24個」であるが、左右の対称性を考慮すれば、配置候補の数はこの半分の12個となる。即ち、例えば「RGBC」を「CBGR」と同一として扱う。
図9は、図8(a)〜(l)の12個の配置候補に対して、サブ画素誤差確認処理を行ったときの結果を示している。これより、図9(a)に示す「RGBC」の配置順にした場合、及び図9(l)に示す「BGRC」の配置順にした場合に、誤差が比較的少ないことがわかる。特に、後者の「BGRC」の配置順にした場合に、他と比較して最も誤差が少ない。
以下で、このような結果が生じる原因について説明する。詳しくは、彩度Chと色成分差に着目して説明する。これらの彩度Ch及び色成分差は、輝度−反対色空間において定義され、輝度−反対色空間における視覚空間特性に基づいて定義される。ここで、彩度Chに着目する理由は、表示画素の端に位置する画素の色の大きさ(即ち、彩度)が、そのままフィルタ処理結果における色成分発生の要因となると考えられるからである。即ち、図7(a)に示した黒白のパターンに対して視覚特性のフィルタ処理を行う場合には、表示画素の端に、彩度Chの小さい画素を配置すると誤差が少なくなると考えられる。
また、色成分差に着目する理由は、白を表示する4画素を観察すると、同系の色(即ち、色成分差が小さい色)が隣接した場合には、視覚特性のフィルタ処理によって同系の色成分がそのまま残ると考えられるのに対して、色成分差が小さい色を離して配置した場合には、離して配置した間に別系の色が配置されるため、視覚特性のフィルタ処理によって各画素の色成分が相殺されると考えられるからである。即ち、色成分差が最も小さい2つのサブ画素が隣接しないように配置すると、誤差が少なくなると考えられる。
図10は、RGBCの彩度Chと色成分差を具体的に示した表である。図10(a)は、左から順に、RGBC各色に関して、XYZから求めたLum成分、R/G成分、B/Y成分と、R/G−B/Y平面での原点からの距離を計算した彩度Chを示す。なお、本明細書では、輝度はYに相当する値として用い、彩度は色の強さを表す値として用いる。
また、図10(b)は、RGBCから選んだ2色に関して、それぞれのR/G成分及びB/Y成分と、R/G成分及びB/Y成分の各々の差と、このR/G成分及びB/Y成分の差を視覚フィルタ特性を反映させた形で調整した値に基づいて得られた色成分差と、を示す。色成分差を求める際の調整は、R/G成分の差に対して「0.3」を乗算し、B/Y成分の差に対して「0.1」を乗算することによって行う。こうするのは、図6に示したように、R/G成分の方がB/Y成分よりもフィルタの振幅が大きいからである。より詳しくは、色成分差は、調整後のR/G成分及びB/Y成分を2乗した値を加算し、これの平方根をとることによって得られる。
図10(a)より、Cyanの彩度が他と比べて小さいことがわかる。これより、Cyanを表示画素の端に配置すると、誤差が少なくなると考えられる。ここで、図9を参照すると、Cyanを端に配置した場合(例えば、図9(l))には、Cyanを端に配置しなかった場合(例えば、図9(h))と比較すると、誤差が少ないことがわかる。
また、図10(b)より、2色間の色成分差が最も小さいのは、GreenとCyanの組み合わせであることがわかる。これより、GreenとCyanを離して配置する(言い換えると隣接しないように配置する)と、誤差が小さくなることが考えられる。ここで、図9を参照すると、GreenとCyanを離して配置した場合(例えば、図9(l))には、GreenとCyanを隣接して配置した場合(例えば、図9(f))と比較すると、誤差が少ないことがわかる。
以上より、「RGBC」の配置順(図9(a)参照)と「BGRC」の配置順(図9(l)参照)における誤差が少ないという結果が得られたのは、Cyanを表示画素の端に配置すると共に、GreenとCyanを離して配置しているためと考えられる。なお、「BGRC」の配置順の方が、「RGBC」の配置順よりも若干誤差が少ないのは、輝度の小さいBlue(図10(a)参照)を端に配置しているためと考えられる。
なお、「CBGR」は「RGBC」の逆の配置であり、「CRGB」は「BGRC」の逆の配置である。即ち、「CBGR」の配置は「RGBC」の配置と同一であり、「CRGB」の配置は「BGRC」の配置と同一である。よって、「CBGR」の配置では図9(a)と同一の結果が得られ、「CRGB」の配置では図9(l)と同一の結果が得られる。
(サブ画素配置方法)
次に、上記の結果及び考察を考慮に入れて行う、サブ画素配置方法について説明する。第1実施形態では、彩度Chが最も小さいサブ画素を表示画素の端に配置すると共に、色成分差が最も小さいサブ画素の組み合わせが隣接しないようにサブ画素を配置するサブ画素配置方法を行う。具体的には、前述した図10に示す結果に基づいて、彩度Chが最も小さいCyanを表示画素の端に配置すると共に、色成分差が最も小さい組み合わせであるCyanとGreenとが隣接しないように、RGBCの配置を行う。
図11は、サブ画素配置処理を示すフローチャートである。なお、この処理はコンピュータがプログラムを読み出すことによって、又は記録媒体に記録されたプログラムを読み出すことによって実行される。また、この処理は、画像表示装置100を設計する段階などに実行される。
まず、ステップS201では、RGBC各色のXYZを入力する。各色のXYZは、カラーフィルタ23cやバックライトユニット23iの分光特性から決定できる値であり、シミュレーションや実測によって求められる。そして、処理はステップS202に進む。ステップS202では、XYZを輝度−反対色空間へ変換し、Lum、R/G、B/Yの各成分として表す。そして、処理はステップS203に進む。
ステップS203では、各色の彩度Chを計算すると共に、2色間の色成分差を計算する。これにより、例えば図10で示すような表を得る。そして、処理はステップS204に進む。
ステップS204では、ステップS203で計算された結果に基づいて、RGBCの配置を決定する。まず、計算された彩度Chに基づいて、彩度Chが最も小さいサブ画素を表示画素の端に配置する。図10で示すような結果が得られた場合には、彩度Chが最も小さい「C」を端に配置する。
次に、計算された色成分差に基づいて、色成分差が最も少ない組み合わせが隣接しないようにサブ画素を配置する。なお、上記のようにして「C」を端に配置した場合にも、「C」を含めたRGBCについて色成分差を計算する(即ち、図10(b)において、第1色と第2色に「C」を含む)。この場合、図10で示すような結果が得られた場合には、色成分差が最も小さい「G」と「C」とが隣接しないように配置する。この場合、端が「C」に決定されているため、「C」の2個隣りに「G」を配置することが決定される。これにより、「CBGR」の配置と「CRGB」の配置の2つの候補が決定される。なお、「CBGR」は「RGBC」と同一であり、「CRGB」は「BGRC」と同一である。このように2つの候補が決定された場合には、任意に一方の候補を決定してもよいし、輝度が小さいサブ画素が端に配置されている候補を決定してもよい。後者の場合には、最も輝度が小さい「B」が端に配置された「CRGB」が決定される。以上の処理が終了すると、処理は当該フローを抜ける。
このように、第1実施形態に係るサブ画素配置処理によれば、視覚特性を十分に考慮した形で、RGBCのサブ画素の配置を決定することができる。このようにして決定されたサブ画素の配置を画像表示装置100に対して適用することにより、表示画像における色成分誤差を少なくすることができると共に、視覚で観察した際の色割れ現象を軽減することができる。これにより、画像表示装置100は、高品質の画像を表示することが可能となる。
なお、上記では、サブ画素配置処理によって「CRGB」(又は「CBGR」)のサブ画素の配置が決定される例を示したが、サブ画素配置処理によって常にこの配置順が決定されるとは限らない。これらは、図10に示した結果に基づいて決定された配置順であるため、RGBCの各画素として図10に示した以外の結果が得られた場合には、この配置順と異なる配置順が決定される。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、多色の構成が第1実施形態と異なる。具体的には、第2実施形態は、Cyanの代わりにWhite(以下、単に「W」又は「Wh」とも表記する。)を用いる点で、第1実施形態と異なる。即ち、RGBWによって色を構成する。なお、第2実施形態においても、前述した画像表示装置100と同様の構成を有する画像表示装置を用いるため、その説明を省略する。また、「White」のサブ画素には、着色層ではなく透明樹脂層が配置されている。
図12は、第2実施形態における表示部23の表示特性の一例を示した図である。図12(a)はカラーフィルタ23cの分光特性を示した図であり、横軸が波長(nm)を示し、縦軸が透過率(%)を示している。なお、Whiteに対応するカラーフィルタ23cを用いていない。図12(b)は、バックライトユニット23iの発光特性を示した図であり、横軸が波長(nm)を示し、縦軸が相対輝度を示している。図12(c)は、RGBWの4色の発光特性を示した図であり、横軸が波長(nm)を示し、縦軸が相対輝度を示している。この場合、Whiteに対応する画素部にはカラーフィルタ23cを設けていないため、Whiteの分光特性はバックライトユニット23iの分光特性とほぼ同じ形状となる。図12(d)は、4色の発光特性について色を表す三刺激値を計算し、xy色度図上にプロットした図を示す。図12(d)に示すように、色再現領域は四角形ではなく、三角形で構成される。この三角形の頂点がRGBに対応し、Wは三角形の内部に位置する。このような色再現領域は、3色における色再現領域と同様であるが、Whiteを追加して4色にすることによって、透過率が上昇する。そのため、表示部23の表面輝度を向上させる効果を得ることできる。
次に、第2実施形態に係るサブ画素配置方法について説明する。第2実施形態でも、彩度Chが最も小さいサブ画素を表示画素の端に配置すると共に、色成分差が最も小さいサブ画素の組み合わせが隣接しないようにサブ画素を配置する。
図13は、RGBWのサブ画素に対するサブ画素配置処理を示すフローチャートである。なお、この処理はコンピュータがプログラムを読み出すことによって、又は記録媒体に記録されたプログラムを読み出すことによって実行される。また、この処理は、画像表示装置100を設計する段階などに実行される。
まず、ステップS301では、RGBW各色のXYZを入力する。各色のXYZは、カラーフィルタ23cやバックライトユニット23iの分光特性から決定できる値であり、シミュレーションや実測によって求められる。そして、処理はステップS302に進む。ステップS302では、XYZを輝度−反対色空間へ変換し、Lum、R/G、B/Yの各成分として表す。そして、処理はステップS303に進む。
ステップS303では、各色の彩度Chを計算すると共に、2色間の色成分差を計算する。これにより、例えば図14で示すような表が得られる。ステップS303の処理が終了すると、処理はステップS304に進む。
図14は、RGBWの彩度Chと色成分差を具体的に示した表である。図14(a)は、左から順に、RGBW各色に関して、XYZから求めたLum成分、R/G成分、B/Y成分と、R/G−B/Y平面での原点からの距離を計算した彩度Chを示す。また、図14(b)は、RGBWから選んだ2色に関して、それぞれのR/G成分及びB/Y成分と、R/G成分及びB/Y成分の各々の差と、このR/G成分及びB/Y成分の差を視覚フィルタ特性を反映させた形で調整した値に基づいて得られた色成分差と、を示す。色成分差を求める際の調整は、R/G成分の差に対して「0.3」を乗算し、B/Y成分の差に対して「0.1」を乗算することによって行う。こうするのは、図6に示したように、R/G成分の方がB/Y成分よりもフィルタの振幅が大きいからである。また、色成分差は、調整後のR/G成分及びB/Y成分を2乗した値を加算し、これの平方根をとることによって得られる。
図14(a)より、Whiteの彩度が他と比べて小さいことがわかる。また、図14(b)より、2色間の色成分差が最も小さいのは、RedとWhiteの組み合わせであることがわかる。
図13に戻って、ステップS304の処理を説明する。ステップS304では、ステップS303で計算された結果に基づいて、RGBWの配置を決定する。まず、計算された彩度Chに基づいて、彩度Chが最も小さいサブ画素を表示画素の端に配置する。図14で示すような結果が得られた場合には、彩度Chが最も小さい「W」を端に配置する。なお、上記のようにして「W」を端に配置した場合にも、「W」を含めたRGBWについて色成分差を計算する(即ち、図14(b)において、第1色と第2色に「W」を含む)。
次に、計算された色成分差に基づいて、色成分差が最も少ない組み合わせが隣接しないようにサブ画素を配置する。図14で示すような結果が得られた場合には、色成分差が最も小さい「R」と「W」とが隣接しないように配置する。この場合、端が「W」に決定されているため、「W」の2個隣りに「R」を配置することが決定される。これにより、左から順に、「WGRB」の配置と「WBRG」の配置の2つの候補が決定される。なお、「WGRB」は「BRGW」と同一であり、「WBRG」は「GRBW」と同一である。このように2つの候補が決定された場合には、任意に一方の候補を決定してもよいし、輝度が小さいサブ画素が端に配置されている候補を決定してもよい。後者の場合には、最も輝度が小さい「B」が端に配置された「WGRB」が決定される。以上の処理が終了すると、処理は当該フローを抜ける。
ここで、上記のサブ画素配置処理の結果と、4色RGBWの各画素の配置候補に対してサブ画素誤差確認処理を行ったときの結果とを比較する。
図15(a)〜(l)は、4色RGBWの配置候補を示している。この場合、RGBWにおける組み合わせの数は「4×3×2×1=24個」であるが、左右の対称性を考慮すれば、配置候補の数はこの半分の12個となる。
図16は、図15(a)〜(l)の12個の配置候補に対して、サブ画素誤差確認処理を行ったときの結果を示している。これより、図16(k)に示す「BRGW」の配置順にした場合に、誤差が比較的少ないことがわかる。なお、図16(a)、(l)に示す配置順の誤差が少なく見えるが、両方とも黒の表示画素の中心位置から左右非対称にR/G成分及びB/Y成分がずれているため、実際には図16(k)に示す配置順よりも誤差は大きい。以上より、サブ画素誤差確認処理の結果は、サブ画素配置処理と同様の結果を示していることがわかる。即ち、彩度Chが最も小さいサブ画素を表示画素の端に配置すると共に、色成分差が最も小さいサブ画素の組み合わせが隣接しないようにサブ画素を配置することによって、誤差が小さくなるといえる。
このように、第2実施形態に係るサブ画素配置処理によれば、視覚特性を十分に考慮した形で、RGBWのサブ画素の配置を決定することができる。このようにして決定されたサブ画素の配置を画像表示装置100に対して適用することにより、表示画像における色成分誤差を少なくすることができると共に、視覚で観察した際の色割れ現象を軽減することができる。これにより、画像表示装置100は、高品質の画像を表示することが可能となる。
なお、上記では、サブ画素配置処理によって「WGRB」(又は「WBRG」)のサブ画素の配置が決定される例を示したが、サブ画素配置処理によって常にこの配置順が決定されるとは限らない。これらは、図14に示した結果に基づいて決定された配置順であるため、RGBWの各画素として図14に示した以外の結果が得られた場合には、この配置順と異なる配置順が決定される。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。前述した第1実施形態及び第2実施形態では、表示部23における表示画素の配置がストライプ配置であったのに対して、第3実施形態では、表示部における表示画素の配置(以下、「表示画素配置」とも呼ぶ。)をストライプ配置から変更する。
図17は、第3実施形態に係る画像表示装置101の概略構成を示すブロック図である。この画像表示装置101は、第1実施形態に係る画像表示装置100(図1参照)とは、入力信号に対するリサンプル回路11aが追加されていること、データ線駆動回路21の出力数が異なることが相違点となる。よって、同一の構成要素及び信号に対しては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
リサンプル回路11aは、表示部23zの表示画素の配置に一致させるため、横方向の個数を変更する。例えば、リサンプル回路11aは、入力されるデジタル信号に対してD/A変換器で一旦アナログ信号に変換後、時間軸上で再サンプルを行うことによって、上記の変更を行う。他の例では、リサンプル回路11aは、デジタル信号のままリサイズを行うことによって、上記の変更を行う。
データ線駆動回路21は、1280本のデータ線に対してデータ線駆動信号X1〜X1280を供給する。なお、データ線駆動回路21の出力数に関しては、図19において説明する。
ここで、第3実施形態における画素配置について説明する前に、3色を用いた場合において表示画素配置をストライプ配置から変更する場合を例に挙げて説明する。
図18は、3色RGBにおいて表示画素配置を変更する例を説明するための図である。図18(a)において、黒小丸の格子状の点180が、入力データの存在する点に対応する。例えば、VGAサイズの場合には、この点180は「縦480個×横640個」存在する。また、図18(a)中の矢印はデータ線駆動信号及び走査線駆動信号の入力を示しており、白丸の点181は変更後のデータの存在する点(以下、「サンプル点」とも呼ぶ)を示している。
上記したリサンプル回路11aは、表示部23zの表示画素配置に一致させるため、横方向の個数を変更する。この場合、点181の間隔A11(言い換えると、表示画素の横の長さ)を2倍にし、表示画素の個数を半分に変更している。詳しくは、表示画素の縦の長さA12を「1.0」とすると、表示画素の横の長さA11は「A11=A12×2=2.0」となる。また、横1ラインが縦方向に下がるごとに、サンプル点を半ピッチ(A11/2)ずらしている。このようにサンプル点を半ピッチずらすことによって、横方向の個数を少なくしても、比較的劣化が少なく画像表示を行うことが可能となる。
次に、図18(b)を用いて、3色における表示画素配置について具体的に説明する。この場合、表示画素は3つのサブ画素を一組として構成し、横方向の間隔A11が「2.0」であるので、サブ画素の横の長さは「B11=A11/3=0.667」となる(図18(b)の右図参照)。また、図18(b)の左図より、縦方向でみると表示画素として半ピッチ(A11/2)ずれているため、同一のサブ画素は「A11/2」ずれて配置されている。更に、サブ画素単位としてみれば「B11/2」ずれている。3色を用いた表示部23zにおいては、2ラインにまたがって3色の一組をみると、逆三角形の頂点位置に3色が配置されているため、符号185で示すようにデルタ配置が形成されている。なお、リサンプル回路11aの出力をデータ制御回路(不図示)が受け、データ線と走査線のタイミング調整を行ってデータ線駆動回路21と走査線駆動回路22を適宜制御することにより、画像表示装置101は、このような表示画素配置に対して適切に表示を行うことが可能となる。
ここで、第3実施形態に係る表示画素配置について、図19乃至図21を用いて具体的に説明する。
図19は、第3実施形態の第1の例に係る表示画素配置を説明するための図である。図19(a)に示すように、リサンプルの条件は図18と同様である。即ち、表示画素の縦の長さA12を「1.0」とすると、表示画素の横の長さA21は「A21=A12×2=2.0」である。この場合、リサンプル回路11aの入力および出力は3色信号であり、表示部23zが4色であるため、色変換回路12において3色から4色への色変換が行われる。図19(b)は、表示画素配置を示している。図19(b)の右図より、サブ画素の横の長さB21は「B21=A21/4=0.5」となる。また、図19(b)の左図より、縦方向でみると、表示画素として半ピッチ(A21/2)ずれているため、同一のサブ画素は「A21/2」ずれて配置されている。一方、サブ画素単位としてみれば、3色の場合(図18参照)とは異なり、1ライン下がっても同じ位置となる。言い換えると、1つのラインにおけるサブ画素の間に、他のラインにおける2つのサブ画素の境界が位置することはない。
図19に示す表示画素配置を有する表示部23zにおいて、入力データがVGAの場合には、リサンプル後の表示画素の数は「縦480個×横320個」となる。この場合、横方向のサブ画素の個数としては、「320×4=1280個」となる。上記の図17には、図19に示す表示画素配置を有する表示部23zを適用した画像表示装置101を示している。そのため、データ線駆動回路21は、1280本のデータ線に対してデータ線駆動信号X1〜X1280を供給している。一方、ストライプ配置を有する画像表示装置100(図1参照)では、データ線駆動回路21から表示部23zへの出力は「640×4=2560個」である。以上より、第1の例に係る表示画素配置を適用することによって、同じ入力においてもデータ線駆動回路21からの出力を減らすことが可能であるため、画像表示装置101を低コスト化することが可能となる。
図20は、第3実施形態の第2の例に係る表示画素配置を説明するための図である。図20(a)に示すように、表示画素の縦の長さA12を「1.0」とすると、表示画素の横の長さA31は「A31=A12×1.5=1.5」である。図20(b)は、表示画素配置を示している。この場合、サブ画素の横の長さB31は「B31=A31/4=0.375」となる。また、縦方向でみると、表示画素として半ピッチ(A31/2)ずれているため、同一のサブ画素は「A31/2」ずれて配置されている。一方、サブ画素単位としてみれば、1ライン下がっても同じ位置となる。第2の例に係る表示画素配置を適用した場合にも、同じ入力においてもデータ線駆動回路21からの出力を減らすことが可能であるため、画像表示装置101を低コスト化することが可能となる。
図21は、第3実施形態の第3の例に係る表示画素配置を説明するための図である。図21(a)に示すように、表示画素の縦の長さA12を「1.0」とすると、表示画素の横の長さA41は「A41=A12×1=1.0」である。図20(b)は、表示画素配置を示している。この場合、サブ画素の横の長さB41は「B41=A41/4=0.25」となる。また、縦方向でみると、表示画素として半ピッチ(A41/2)ずれているため、同一のサブ画素は「A41/2」ずれて配置されている。一方、サブ画素単位としてみれば、1ライン下がっても同じ位置となる。第3の例に係る表示画素配置を適用した場合には、データ線駆動回路21からの出力の数はストライプ配置を採用する場合(図2参照)と比較して減少しないが、表示画素が半ピッチずれることによって、見かけ上、横方向の解像度が向上する。
なお、上記の第1の例〜第3の例に係る表示画素配置を行った場合において、表示画素を構成するサブ画素の配置は、前述した第1実施形態に係るサブ画素配置処理及び第2実施形態に係るサブ画素配置処理のうちのいずれかによって決定されたサブ画素の配置順を適用することができる。即ち、表示画素を半ピッチずらして配置する場合においても、視覚特性を十分に考慮した形で、RGBCおよびRGBWのサブ画素の並び順を決定することができる。具体的には、RGBCの4色を用いる場合には、第1実施形態に係るサブ画素配置処理によって決定された配置順を適用し、RGBWの4色を用いる場合には、第2実施形態に係るサブ画素配置処理によって決定された配置を適用する。
上記のように、第1実施形態に係るサブ画素配置処理及び第2実施形態に係るサブ画素配置処理を適用することができる理由は以下の通りである。第3実施形態に係る画像表示装置101は、リサンプル回路11aを有しているが、リサンプル回路11aの入出力は3色であるため、4色への直接的な影響は少ない。そのため、画像表示装置101は、例えば4色として黒白パターンを表示する場合には、第1実施形態及び第2実施形態に係る画像表示装置100の動作と全く同じ状態となる。一方、第3実施形態においては、サブ画素単位での横の長さが異なるため、視覚特性を反映したフィルタ特性が若干異なるが、誤差の大小関係はほぼそのまま保存されると考えられる。以上より、第1実施形態及び第2実施形態に係るサブ画素配置処理によって決定されたサブ画素の配置順を、第3実施形態に係る表示画素配置を行った場合にも適用することができる。
このように、第3実施形態によれば、表示画素を半ピッチずらして配置しても、表示画像における色成分誤差を少なくすることができると共に、視覚で観察した際の色割れ現象を軽減することができる。また、低コスト化した画像表示装置や、見かけ上解像度を向上させた画像表示装置に対しても、このような色割れ現象などを軽減することができる。
なお、上記では、表示画素の横の長さ(表示画素の間隔)を「A21=2.0」、「A31=1.5」、「A41=1.0」にして表示画素配置を変更する例を示したが、本発明は、これら以外の長さに表示画素を設定して表示画素配置を変更した場合にも適用することができる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態は、多色の構成を第1実施形態と異なるものとした実施形態である。具体的には、第4実施形態は、Greenの代わりに黄緑、Cyanの代わりにエメラルドグリーンを用いる点で、第1実施形態と異なる。すなわち、赤(Red)、黄緑(Yellowish Green)、青(Blue)、エメラルドグリーン(Emerald Green)によって色を構成する。以下では、赤、黄緑、青、エメラルドグリーンをそれぞれ単にR、YG、B、EGとも表記する。なお、第4実施形態においても、前述した画像表示装置100と同様の構成を有する画像表示装置を用いるため、その説明を省略する。
図24は、第4実施形態における表示部23の表示特性の一例を示した図である。図24(a)はカラーフィルタ23cの分光特性を示した図であり、横軸が波長(nm)を示し、縦軸が透過率(%)を示している。ここで、YG、EGの分光特性は、それぞれ第1実施形態におけるGreen、Cyanの分光特性よりもスペクトル幅が狭い点で異なる。図24(b)は、バックライトユニット23iの発光特性を示した図であり、横軸が波長(nm)を示し、縦軸が相対輝度を示している。図24(c)は、R、YG、B、EGの4色の発光特性を示した図であり、横軸が波長(nm)を示し、縦軸が相対輝度を示している。図24(d)は、4色の発光特性について色を表す三刺激値を計算し、xy色度図上にプロットした図を示す。
次に、第4実施形態に係るサブ画素配置方法について説明する。第4実施形態でも、彩度Chが最も小さいサブ画素を表示画素の端に配置すると共に、色成分差が最も小さいサブ画素の組み合わせが隣接しないようにサブ画素を配置する。
図26は、R、YG、B、EGのサブ画素に対するサブ画素配置処理を示すフローチャートである。なお、この処理はコンピュータがプログラムを読み出すことによって、又は記録媒体に記録されたプログラムを読み出すことによって実行される。また、この処理は、画像表示装置100を設計する段階などに実行される。
まず、ステップS401では、R、YG、B、EG各色のXYZを入力する。各色のXYZは、カラーフィルタ23cやバックライトユニット23iの分光特性から決定できる値であり、シミュレーションや実測によって求められる。そして、処理はステップS402に進む。ステップS402では、XYZを輝度−反対色空間へ変換し、Lum、R/G、B/Yの各成分として表す。そして、処理はステップS403に進む。
ステップS403では、各色の彩度Chを計算すると共に、2色間の色成分差を計算する。これにより、例えば図25で示すような表が得られる。ステップS403の処理が終了すると、処理はステップS404に進む。
図25は、R、YG、B、EGの彩度Chと色成分差を具体的に示した表である。図25(a)は、R、YG、B、EG各色に関して、左から順に、XYZから求めたLum成分、R/G成分、B/Y成分と、R/G−B/Y平面での原点からの距離を計算した彩度Chを示す。また、図25(b)は、R、YG、B、EGから選んだ2色に関して、それぞれのR/G成分及びB/Y成分と、R/G成分及びB/Y成分の各々の差と、このR/G成分及びB/Y成分の差を視覚フィルタ特性を反映させた形で調整した値に基づいて得られた色成分差と、を示す。色成分差を求める際の調整は、R/G成分の差に対して「0.3」を乗算し、B/Y成分の差に対して「0.1」を乗算することによって行う。こうするのは、図6に示したように、R/G成分の方がB/Y成分よりもフィルタの振幅が大きいからである。また、色成分差は、調整後のR/G成分及びB/Y成分を2乗した値を加算し、これの平方根をとることによって得られる。
図25(a)より、EGの彩度が他と比べて小さいことがわかる。また、図25(b)より、2色間の色成分差が最も小さいのは、YGとEGの組み合わせであることがわかる。
図26に戻って、ステップS404の処理を説明する。ステップS404では、ステップS403で計算された結果に基づいて、R、YG、B、EGの配置を決定する。まず、計算された彩度Chに基づいて、彩度Chが最も小さいサブ画素を表示画素の端に配置する。図25で示すような結果が得られた場合には、彩度Chが最も小さい「EG」を端に配置する。なお、上記のようにして「EG」を端に配置した場合にも、「EG」を含めたR、YG、B、EGについて色成分差を計算する(即ち、図25(b)において、第1色と第2色に「EG」を含む)。
次に、計算された色成分差に基づいて、色成分差が最も少ない組み合わせが隣接しないようにサブ画素を配置する。図25で示すような結果が得られた場合には、色成分差が最も小さい「YG」と「EG」とが隣接しないように配置する。この場合、端が「EG」に決定されているため、「EG」の2個隣りに「YG」を配置することが決定される。これにより、左から順に、「EG−R−YG−B」の配置と「EG−B−YG−R」の配置の2つの候補が決定される。なお、「EG−R−YG−B」は「B−YG−R−EG」と同一であり、「EG−B−YG−R」は「R−YG−B−EG」と同一である。このように2つの候補が決定された場合には、任意に一方の候補を決定してもよいし、輝度が小さいサブ画素が端に配置されている候補を決定してもよい。後者の場合には、最も輝度が小さい「B」が端に配置された「EG−R−YG−B」が決定される。以上の処理が終了すると、処理は当該フローを抜ける。
こうして決定された「EG−R−YG−B」という画素配置によれば、第1実施形態と同様、サブ画素誤差を最も小さくすることができる。すなわち、第4実施形態に係るサブ画素配置処理によれば、視覚特性を十分に考慮した形で、R、YG、B、EGのサブ画素の配置を決定することができる。このようにして決定されたサブ画素の配置を画像表示装置100に対して適用することにより、表示画像における色成分誤差を少なくすることができると共に、視覚で観察した際の色割れ現象を軽減することができる。これにより、画像表示装置100は、高品質の画像を表示することが可能となる。
なお、上記では、サブ画素配置処理によって「EG−R−YG−B」のサブ画素の配置が決定される例を示したが、サブ画素配置処理によって常にこの配置順が決定されるとは限らない。これらは、図25に示した結果に基づいて決定された配置順であるため、R、YG、B、EGの各画素として図25に示した以外の結果が得られた場合には、この配置順と異なる配置順が決定される。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について説明する。第5実施形態は、第4実施形態と同様に赤、黄緑、青、エメラルドグリーン(R、YG、B、EG)を4色とする構成であり、カラーフィルタ23cの分光特性及びR、YG、B、EGの4色の発光特性のみが異なる。このため、第4実施形態と重複する部分については説明を省略し、相違点を中心に述べる。
図27は、第5実施形態における表示部23の表示特性の一例を示した図である。図27(a)はカラーフィルタ23cの分光特性を示した図であり、横軸が波長(nm)を示し、縦軸が透過率(%)を示している。ここで、EGの分光特性は、第1実施形態におけるCyanの分光特性よりもスペクトル幅が狭い点で異なる。図27(b)は、バックライトユニット23iの発光特性を示した図であり、横軸が波長(nm)を示し、縦軸が相対輝度を示している。図27(c)は、R、YG、B、EGの4色の発光特性を示した図であり、横軸が波長(nm)を示し、縦軸が相対輝度を示している。図27(d)は、4色の発光特性について色を表す三刺激値を計算し、xy色度図上にプロットした図を示す。
次に、第5実施形態に係るサブ画素配置方法について説明する。第5実施形態でも、彩度Chが最も小さいサブ画素を表示画素の端に配置すると共に、色成分差が最も小さいサブ画素の組み合わせが隣接しないようにサブ画素を配置する。サブ画素配置処理を示すフローチャートは、第4実施形態と同一であり、図26に示されている。
まず、ステップS401では、R、YG、B、EG各色のXYZを入力する。続くステップS402では、XYZを輝度−反対色空間へ変換し、Lum、R/G、B/Yの各成分として表す。
ステップS403では、各色の彩度Chを計算すると共に、2色間の色成分差を計算する。これにより、例えば図28で示すような表が得られる。図28(a)より、EGの彩度が他と比べて小さいことがわかる。また、図28(b)より、2色間の色成分差が最も小さいのは、YGとEGの組み合わせであることがわかる。ステップS403の処理が終了すると、処理はステップS404に進む。
ステップS404では、ステップS403で計算された結果に基づいて、R、YG、B、EGの配置を決定する。まず、計算された彩度Chに基づいて、彩度Chが最も小さいサブ画素を表示画素の端に配置する。図28で示すような結果が得られた場合には、彩度Chが最も小さい「EG」を端に配置する。
次に、計算された色成分差に基づいて、色成分差が最も少ない組み合わせが隣接しないようにサブ画素を配置する。図28で示すような結果が得られた場合には、色成分差が最も小さい「YG」と「EG」とが隣接しないように配置する。この場合、端が「EG」に決定されているため、「EG」の2個隣りに「YG」を配置することが決定される。これにより、左から順に、「EG−R−YG−B」の配置と「EG−B−YG−R」の配置の2つの候補が決定される。なお、「EG−R−YG−B」は「B−YG−R−EG」と同一であり、「EG−B−YG−R」は「R−YG−B−EG」と同一である。このように2つの候補が決定された場合には、任意に一方の候補を決定してもよいし、輝度が小さいサブ画素が端に配置されている候補を決定してもよい。後者の場合には、最も輝度が小さい「B」が端に配置された「EG−R−YG−B」が決定される。以上の処理が終了すると、処理は当該フローを抜ける。
このようにして、第4実施形態と同様に「EG−R−YG−B」という画素配置が決定される。この画素配置によれば、サブ画素誤差を最も小さくすることができる。このようにして決定されたサブ画素の配置を画像表示装置100に対して適用することにより、表示画像における色成分誤差を少なくすることができると共に、視覚で観察した際の色割れ現象を軽減することができる。これにより、画像表示装置100は、高品質の画像を表示することが可能となる。
[変形例]
本発明は、4色としてRGBCやRGBW、あるいはR、YG、B、EG以外の他の構成を用いる場合にも適用することができる。例えば、Cyan及びWhiteの代わりにYellowを用いた場合にも、本発明を適用することができる。また、上記ではBlueLEDに蛍光体を組み合わせた白色LEDバックライトを示したが、本発明は、バックライトが他の構成を有する場合にも適用することができる。例えば、RGB3色LEDバックライトなどに対しても適用することができる。
更に、本発明は、液晶(LCD)を用いた画像表示装置に対する適用に限定はされず、有機EL表示装置(OLED)、プラズマ表示装置(PDP)、ブラウン管表示装置(CRT)、電界放出表示装置(FED)などの平面表示を行う画像表示装置に対して適用することができる。また、本発明は、透過型液晶表示装置だけでなく、反射型や半透過反射型の画像表示装置に対しても適用可能である。
また、上記では、彩度が最も小さいサブ画素を表示画素の端に配置した後に、色成分差が最も小さい2つのサブ画素が隣接しないようにサブ画素を配置する例を示したが、色成分差が最も小さい2つのサブ画素が隣接しないようにサブ画素を配置した後に、彩度が最も小さいサブ画素が表示画素の端に位置するように配置を行ってもよい。
更に、上記では、画像を表示する画像表示装置が用いる複数の色としてR、G、B、C等を具体例として説明したが、複数の色には、R、G、Bや、それぞれの補色であるY(イエロー)、C(シアン)、M(マゼンタ)の他に、R、G、BとY、C、Mとの間の色、例えば黄緑や深緑などの色も含まれる。
上記各実施形態は、4色を用いる構成であるが、これに代えて、5以上の色を用いる構成としてもよい。この場合でも、彩度が最も小さいサブ画素が表示画素の端に配置されると共に、色成分差が最も小さい2つのサブ画素が隣接しないように配置することによって、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
[電子機器]
次に、本発明の画像表示装置100、101を適用した電子機器の例について説明する。図22は、本発明を適用した電子機器の全体構成を示す概略構成図である。ここに示す電子機器は、画像表示部としての液晶表示装置700と、これを制御する制御手段410とを有する。本発明の画像表示装置100、101は液晶表示装置700内に設けることができる。ここでは、液晶表示装置700を、パネル構造体403と、半導体ICなどで構成される駆動回路402とに概念的に分けて描いてある。制御手段410は、表示情報出力源411と、表示情報処理回路412と、電源回路(電源装置)413と、タイミングジェネレータ414と、を有する。
表示情報出力源411は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などからなるメモリと、磁気記録ディスクや光記録ディスクなどからなるストレージユニットと、デジタル画像信号を同調出力する同調回路とを備え、タイミングジェネレータ414によって生成された各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号などの形で表示情報を表示情報処理回路412に供給するように構成されている。
表示情報処理回路412は、シリアル−パラレル変換回路、増幅・反転回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、クランプ回路などの周知の各種回路を備え、入力した表示情報の処理を実行して、その画像情報をクロック信号CLKとともに駆動回路402へ供給する。駆動回路402は、走査線駆動回路、データ線駆動回路及び検査回路を含む。また、電源回路413は、上述の各構成要素にそれぞれ所定の電圧を供給する。
次に、本発明を適用した電子機器の具体例について図23を参照して説明する。
まず、本発明に係る画像表示装置100、101を、可搬型のパーソナルコンピュータ(いわゆるノート型パソコン)に適用した例について説明する。図23(a)は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。同図に示すように、パーソナルコンピュータ710は、キーボード711を備えた本体部712と、本発明に係る画像表示装置100、101を適用した表示部713とを備えている。
続いて、本発明に係る画像表示装置100、101を携帯電話機に適用した例について説明する。図23(b)は、この携帯電話機の構成を示す斜視図である。同図に示すように、携帯電話機720は、複数の操作ボタン721のほか、受話口722、送話口723と、液晶表示装置を使用した表示部724を備える。
なお、本発明に係る画像表示装置100、101を適用可能な電子機器としては他にも、液晶テレビ、テレビ電話などが挙げられる。
[他の実施例]
上記の説明では、複数の色(着色領域)としてRGBC及びR、YG、B、EGを挙げて説明したが、本発明の適用はこれには限定されず、他の4色の着色領域により1つの表示画素を構成することもできる。
この場合、4色の着色領域は、波長に応じて色相が変化する可視光領域(380〜780nm)のうち、青系の色相の着色領域(「第1着色領域」とも呼ぶ。)、赤系の色相の着色領域(「第2着色領域」とも呼ぶ。)と、青から黄までの色相の中で選択された2種の色相の着色領域(「第3着色領域」、「第4着色領域」とも呼ぶ。)からなる。ここで「系」との語を用いているが、例えば青系であれば純粋の青の色相に限定されるものでなく、青紫や青緑等を含むものである。赤系の色相であれば、赤に限定されるものでなく橙を含む。また、これら着色領域は単一の着色層で構成されても良いし、複数の異なる色相の着色層を重ねて構成されても良い。また、これら着色領域は色相で述べているが、当該色相は、彩度、明度を適宜変更し、色を設定し得るものである。
具体的な色相の範囲は、
・青系の色相の着色領域は、青紫から青緑であり、より好ましくは藍から青である。
・赤系の色相の着色領域は、橙から赤である。
・青から黄までの色相で選択される一方の着色領域は、青から緑であり、より好ましくは青緑から緑である。
・青から黄までの色相で選択される他方の着色領域は、緑から橙であり、より好ましくは緑から黄である。もしくは緑から黄緑である。
ここで、各着色領域は、同じ色相を用いることはない。例えば、青から黄までの色相で選択される2つの着色領域で緑系の色相を用いる場合は、他方は一方の緑に対して青系もしくは黄緑系の色相を用いる。
これにより、従来のRGBの着色領域よりも広範囲の色再現性を実現することができる。
また、上記では4色の着色領域による広範囲の色再現性を色相で述べたが、他の具体的な例として、着色領域を透過した光の波長で表現すると以下のようになる。
・青系の着色領域は、該領域を透過した光の波長のピークが415〜500nmにある着色領域、好ましくは、435〜485nmにある着色領域である。
・赤系の着色領域は、該領域を透過した光の波長のピークが600nm以上にある着色領域で、好ましくは、605nm以上にある着色領域である。
・青から黄までの色相で選択される一方の着色領域は、該領域を透過した光の波長のピークが485〜535nmにある着色領域で、好ましくは、495〜520nmにある着色領域である。
・青から黄までの色相で選択される他方の着色領域は、該領域を透過した光の波長のピークが500〜590nmにある着色領域、好ましくは510〜585nmにある着色領域、もしくは530〜565nmにある着色領域である。
上記の波長は、透過表示の場合は、照明装置からの照明光がカラーフィルタを通して得られた数値である。反射表示の場合は、外光を反射して得られた数値である。
さらに、他の具体的な例として、4色の着色領域をx、y色度図で表現すると以下のようになる。
・青系の着色領域は、x≦0.151、y≦0.200にある着色領域であり、好ましくは、0.134≦x≦0.151、0.034≦y≦0.200にある着色領域である。
・赤系の着色領域は、0.520≦x、y≦0.360にある着色領域であり、好ましくは、0.550≦x≦0.690、0.210≦y≦0.360にある着色領域である。
・青から黄までの色相で選択される一方の着色領域は、x≦0.200、0.210≦yにある着色領域であり、好ましくは、0.080≦x≦0.200、0.210≦y≦0.759にある着色領域である。
・青から黄までの色相で選択される他方の着色領域は、0.257≦x、0.450≦yにある着色領域であり、好ましくは、0.257≦x≦0.520、0.450≦y≦0.720にある着色領域である。
上記のx、y色度図は、透過表示の場合は、照明装置からの照明光がカラーフィルタを通して得られた数値である。反射表示の場合は、外光を反射して得られた数値である。
これら4色の着色領域は、サブ画素に透過領域と反射領域を備えた場合、透過領域及び反射領域も上述した範囲で適用することができるものである。
なお、本例における4色の着色領域を用いた場合、バックライトにはRGBの光源としてLED、蛍光管、有機ELなどを用いても良い。または白色光源を用いても良い。なお、白色光源は青の発光体とYAG蛍光体により生成される白色光源でもよい。
但し、RGB光源としては、以下のものが好ましい。
・Bは波長のピークが435nm〜485nmにあるもの。
・Gは波長のピークが520nm〜545nmにあるもの。
・Rは波長のピークが610nm〜650nmにあるもの。
そして、RGB光源の波長によって、上記カラーフィルタを適切に選定すればより広範囲の色再現性を得ることができる。また、波長が例えば、450nmと565nmにピークがくるような、複数のピークを持つ光源を用いても良い。
上記の4色の着色領域の構成の例としては、具体的には以下のものがあげられる。
・色相が、赤、青、緑、シアン(青緑)の着色領域。
・色相が、赤、青、緑、黄の着色領域。
・色相が、赤、青、深緑、黄の着色領域。
・色相が、赤、青、エメラルドグリーン、黄の着色領域。
・色相が、赤、青、深緑、黄緑の着色領域。
・色相が、赤、青緑、深緑、黄緑の着色領域。
10…画像処理部、12…色変換回路、15…テーブル格納メモリ、16…γ補正回路、21…データ線駆動回路、22…走査線駆動回路、23…表示部、100、101…画像表示装置。