JP5190953B2 - 多孔性アルミノリン酸トリエチルアミン結晶及びその製造方法 - Google Patents

多孔性アルミノリン酸トリエチルアミン結晶及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、分子ふるい材・ガス吸着材、ヒートポンプ材、基板被覆材等として有用な、新規な多孔性アルミノリン酸トリエチルアミン結晶及びその製造方法に関する。
10nm前後の細孔を有するゼオライトに代表される多孔性結晶は、ガス吸着剤、分子ふるい等に利用・応用されている。新規な構造を有する多孔性物質は、その細孔形状や内径、更には細孔の配列やそのつながり方が既知の多孔性物質と異なるため、分子ふるいやガス吸着等の応用において、既存の多孔性物質では不可能であった異種分子のふるい分けや吸着特性を提供できる可能性ができる。そのため、世界中で新規構造を有するゼオライトやその類縁物質の合成が試みられている。
アルミノリン酸塩化合物の多孔性物質では、狭義の意味でのゼオライトに代表されるアルミノケイ酸塩型多孔性物質とは吸着分子との相互作用の発生メカニズムやその強さが異なると考えられている。その結果、ガスの吸・脱着がアルミノケイ酸塩型と比べてマイルドである。この特徴を踏まえ、100℃以下の廃熱の利用(ヒートポンプ)に有効であると期待され、そのガス吸着特性の評価や吸着特性の制御が試みられている。[非特許文献1、2参照]
新規な構造を有する多孔性アルミノリン酸塩化合物の開発は上記のガス吸着をはじめとする種々の応用において、新たな選択肢を付与するものであり、産業上重要である。
「AlPOゼオライトの水蒸気吸着特性とその利用」、武脇隆彦、山崎正典、渡邊展、寺田秀、須崎美紀、垣内博行、第20回ゼオライト研究発表会講演概要集P.79(2004) 「新規水蒸気吸着材FAM−Z01の基礎特性評価および吸着ヒートポンプへの適応性検討」垣内博行、下岡里美、岩出美紀、大島一典、山崎正典、寺田秀、渡辺展、武脇隆彦、化学工学31(2005) 361.
本発明者等は、先に新規な結晶構造を有するアルミノリン酸塩化合物のへき開性層状結晶とその製造方法を見出し、特許出願を行った。(特許文献1)
特開2009−102265号公報
その後、得られたアルミノリン酸塩化合物のへき開性層状結晶についてさらに研究を行ったところ、このへき開性層状結晶を原料として、全く新しいアルミノリン酸塩ミクロ多孔体が得られることが判明した。
すなわち、本発明は従来のアルミノリン酸塩には見られない新規な組成と結晶構造を有する多孔性アルミノリン酸塩結晶と、その製造方法を提供することを目的とする。
本発明ではつぎの1〜7の構成を採用する。
1.下記の一般式(1
(Alxyz)・[(C253N]n・(H2O)w (1)
(式中、1≦x≦1.2、0.5≦y≦1.5、4≦z≦8、0≦n≦1.5、0.02≦w≦1.5である。)
で表され、六角形の板状結晶もしくはそれらが積層した結晶形態を有することを特徴とする多孔性アルミノリン酸トリエチルアミン結晶。
2.下記の一般式(2)
AlP k l (OH) m ・[(C 2 5 3 N] u ・(H 2 O) v (2)
(式中、k=1±0.1、l=4〜5、m=0.5〜2、u=0.1〜0.3、v=0〜0.01である。)
で表される、Al又はP原子に結合した水酸基に由来する赤外吸収ピークが3755±2cm -1 に出現するアルミノリン酸トリエチルアミン化合物を前駆体とし、320〜410℃に加熱することにより製造された、下記の一般式(1)
(Al x y z )・[(C 2 5 3 N] n ・(H 2 O) w (1)
(式中、1≦x≦1.2、0.5≦y≦1.5、4≦z≦8、0≦n≦1.5、0.02≦w≦1.5である。)
で表される多孔性アルミノリン酸トリエチルアミン結晶。
3.前記多孔性アルミノリン酸トリエチルアミン結晶が200〜400m2/gの比表面積を有し、内径0.5〜0.6nmのミクロ孔を含有することを特徴とする1又は2に記載の多孔性アルミノリン酸トリエチルアミン結晶。
4.前記多孔性アルミノリン酸トリエチルアミン結晶のミクロ孔容積が0.1〜0.15cc/gで、全細孔容積が0.2〜0.4cc/gであることを特徴とする1〜3のいずれかに記載の多孔性アルミノリン酸トリエチルアミン結晶。
5.前記多孔性アルミノリン酸トリエチルアミン結晶が粉末X線回折パターンにおいて、下記のピークを有するものであることを特徴とする1〜4のいずれかに記載の多孔性アルミノリン酸トリエチルアミン結晶:
面間隔 d(Å)
12.407±0.2
8.260±0.15
4.114±0.05
3.994±0.05
3.014±0.05
本発明によれば、従来のアルミノリン酸塩結晶とは全く異なる、へき開性と多孔性を有する層状結晶を得ることができる。このへき開性層状結晶は、非常に薄い板状の絶縁体物質であることから、各種の基板や電極の表面に薄く塗布することが可能となる。そして、従来既知のアルミノケイ酸塩化合物であるゼオライトとは、その化学組成及び結晶構造が異なり巨大な比表面積を有することから、種々のガスに対する吸着特性等が大きく異なり、分子ふるい材、ガス吸着剤、ヒートポンプ材等として、従来の多孔質物質に代わる材料としての展開が期待できる。また、低誘電率被膜を形成する材料等として、電子デバイス関連分野へ広く利用することも可能である。
本発明の新規な多孔性アルミノリン酸トリエチルアミン結晶は、下記の一般式(1)で表される組成を有する。
(Al)・[(CN]・(HO) (1)
(式中、1≦x≦1.2、0.5≦y≦1.5、4≦z≦8、0≦n≦1.5、0.02≦w≦1.5である。)
この化合物は、先に本発明者等が特許文献1で提案した、下記の一般式(2)で表される、Al又はP原子に結合した水酸基を有するアルミノリン酸トリエチルアミン化合物のへき開性層状結晶を前駆体として、320〜410℃に加熱することによって製造することができる。
AlP(OH)・[(CN]・(HO) (2)
(式中、k=1±0.1、l=4〜5、m=0.5〜2、u=0.1〜0.3、v=0〜0.01である。)
[前駆体の製造]
本発明の前駆体となるアルミノリン酸塩化合物のへき開性層状結晶は、Al源、P源、水及びトリエチルアミンを混合して、酸化物のモル比基準でつぎに示す組成の混合物を調製し、
/Al=0.5〜1.5
O/Al=100〜400
N(C/Al=1〜5
該混合物を150〜230℃に加熱することによって、製造することができる。
前記混合物を加熱すると、はじめに構造既知のアルミノリン酸塩結晶が得られるが、さらに長時間加熱を続けることによって結晶構造が変化し、従来のアミノリン酸塩結晶とは全く異なる、FT−IRで3755±2cm−1に吸収ピークを示すへき開性の層状結晶が得られる。この吸収ピークは、Al又はP原子に結合した水酸基によるものと考えられるが、このような吸収ピークを示すへき開性の層状結晶はこれまで全く知られておらず、本発明者等が提案した特許文献1に記載の方法によって初めて得られたものである。
また、このへき開性層状結晶前駆体は、層状結晶の単位胞がa = b = 9.415±0.010 Å、c = 52.29±0.05 Å、α = β = 90°、γ = 120°の六方格子を組んでいることによっても、特徴づけられる。
さらに、このへき開性層状結晶前駆体は、粉末X線回折パターンにおいて、下記のピークを有することによっても、特徴づけられる。
面間隔 d(Å)
26.4±0.2
13.10±0.04
8.17±0.01
8.07±0.01
4.739±0.005
4.079±0.004
3.501±0.003
3.002±0.002
つぎに、本発明の前駆体となるアルミノリン酸トリエチルアミン化合物のへき開性層状結晶を製造する方法について説明する。
原料に用いられるAl源、P源に特に制限はない。Al源としてはアルミニウムの水和物、水酸化物、メタル、アルコキシド、酸化物等を用いることができる。P源としてはリン酸、酸化リン、リン酸エステル等を用いることができる。Al源とP源の両者を混合した際に反応し易いものが好適に用いられ、Al源としては、アルミナゾル、ベーマイトや擬ベーマイト、アルミニウムイソプロポキシド等が好ましく、P源としては、オルトリン酸やポリリン酸等が好ましい。
その際に、P/Al比が1.5より大きくても0.5より小さくても、目的とするアルミノリン酸塩が得られなかったり、目的以外のリン酸塩結晶相の量が増加するといった問題を生じる。また、例えば、アルミナ由来の不純物が増加したり、固体成分の回収率が低下するといった問題も生じる。また、HO/Al比が100より小さいと粘性が高く、取り扱いに支障を来し、400より大きいと生産性が低下することから好ましくない。そして、N(C/Al比は、5より大きくても1より小さくても目的とするアルミノリン酸塩が得られなかったり、目的以外のリン酸塩結晶相の量が増加する。
これらの原料から本発明の前駆体となるアルミノリン酸トリエチルアミン化合物のへき開性層状結晶を合成する手順に特に制限はないが、基本的な合成手順の1例としては、下記のような手順が挙げられる。
(1)水溶液Aの調製
水(以下に記載する水溶液Bとモル比で2:1となるように、水の量を分ける)に、Al源の試薬を分散させて、撹拌する。
(2)水溶液Bの調製
水にP源の試薬を溶解し、撹拌する。つぎに、撹拌・氷冷下にてトリエチルアミンを滴下して混合する。
(3)水溶液Aに水溶液Bを撹拌しながらゆっくり滴下して、水溶液Cを得る。
(4)水溶液CのpHを50重量%の硫酸水溶液を用いて調整する。
(5)水溶液Cをフッ素樹脂内筒付オートクレーブに封入する。
(6)オートクレーブを電気炉に入れて、加熱・保持する。
(7)加熱終了後、オートクレーブを電気炉から取り出し、冷水で冷却する。
(8)冷却後、オートクレーブを開封し、合成された物質をろ過して取り出し、イオン交換水で洗浄する。
(9)最後に、例えば40℃にて12時間以上乾燥させる。
このようにして得られた上記の一般式(2)で表される、Al又はP原子に結合した水酸基を有するアルミノリン酸トリエチルアミン化合物のへき開性層状結晶を前駆体として、300〜450 ℃、好ましくは320〜410℃に加熱することによって、本発明の上記一般式(1)で表される新規な多孔性アルミノリン酸トリエチルアミン結晶を製造することができる。
つぎに、実施例により本発明を詳細に説明するが、以下の具体例は本発明を限定するものではない。
以下の例において、得られた多孔性アルミノリン酸トリエチルアミン結晶の構造及び性状は、次のようにして測定した。
(X線回折データ)
粉末X線回折(XRD)パターンは、ブルカーエイエックスエス社D8 ADVANCE with Vario1を使用し、波長にCuKα線を用いて、擬似デバイシェラ光学系を用いた透過法により2θ=1.6−40゜の範囲を0.02616°間隔の連続スキャン法で測定した。また高温X線回折実験では専用の高温チャンバーを取り付け、昇温速度を毎秒0.15℃、測定温度ステップを7℃とし、30〜667℃まで測定を行った。
(SEM観察)
SEM像観察にはHITACHI S−4800電界放出型走査型電子顕微鏡を用い、加速電圧1kVで観察した。試料調製では、帯電防止のためにイオン液体を試料に塗布してある。
(ガス吸着測定)
Arガス吸着測定および窒素ガス吸着測定にはカンタクローム社製のAutosorb 1−MPを用い液体アルゴン温度87K下で測定を行った。
(熱分析)
熱分析にはブルカーエイエックスエス社製のTG−DTA2100SAを用いた。昇温速度を10℃/minとし、600℃まで加熱した。
(FT-IRスペクトル)
FT-IRスペクトルデータはニコレー Magna750 FT-IR分光器により測定分解能4cm-1にて400-4000cm-1の範囲を測定した。
[製造例1]
(前駆体:へき開性アルミノリン酸トリエチルアミン化合物AlPO-NSの合成)
Al源としてアルミナゾル水溶液(川研ファインケミカル社製、10wt%)14gを、水28gに分散させる。これを溶液Aとここでは呼ぶ。一方、P源としてオルトリン酸水溶液(和光純薬製、85wt%)3.3gを水20gに分散させ、更にトリエチルアミン[TEA:(C2H5)3N](東京化成製、99w%+)4.3gを氷冷、撹拌下で加える。これを溶液Bとここでは呼ぶ。溶液Bを溶液Aに撹拌下で加え、更に十分に撹拌することにより、以下のモル組成を有する混合水溶液Cを調製した。
P2O5/Al2O3=1.0
H2O/ Al2O3=250
TEA/ Al2O3=3.0
更にこの混合水溶液Cに約50wt%に希釈した硫酸水溶液(和光純薬製、99wt%+)を撹拌下で滴下することにより、pHを4に調整した。
この混合水溶液をテフロン(登録商標)内筒付オートクレーブに密封の上、170℃にて10日間以上加熱した。加熱終了後、オートクレーブは冷水により冷却し、反応生成物(目的サンプル)を含む水溶液を取り出し、純水の追加とデカンテーションを数回繰り返す。この洗浄操作に続き、ろ過及び40℃での乾燥を1日行うことにより、サンプルを分離回収した。乾燥後のサンプルの粉末X線回折パターンを測定したところ図1(A)に示される回折パターンを示し、これによりへき開性アルミノリン酸トリエチルアミン化合物AlPO-NSが合成できたことを確認した。
なお、AlPO-NSは
P2O5/Al2O3=0.8〜1.2
H2O/ Al2O3=100〜400
TEA/ Al2O3=1〜6.0
pH=3.6〜7.0
温度=170〜210℃
加熱時間=7日以上
の条件下にて少なくとも合成が可能であり、この範囲内で図1下のXRDパターンと同一の白色粉末試料を得ることができた。このAlPO-NSはその合成条件に依らず、XRDパターンからそれと同定されたものであれば、次に示す多孔性アルミノリン酸塩化合物の生成に関する実施例を再現することができた。
[実施例1]
上記製造例1で得られたへき開性アルミノリン酸トリエチルアミン化合物を真空、大気希ガス化で320℃以上に加熱すると、その粉末X線回折パターンに変化が生じ、図1(B)で示される新しい回折パターンが得られた。
得られた回折パターンのピークを、表1に示す。
(表1)

d 相対強度
12.407±0.2 vs
8.260±0.15 s
6.775±0.1 w
6.206±0.1 vw
5.307±0.1 vw
4.967±0.1 vw
4.450±0.1 vw
4.114±0.05 s
3.994±0.05 w
3.632±0.1 vw
3.547±0.1 vw
3.431±0.1 vw
3.014±0.05 w
2.777±0.1 vw
2.745±0.05 w
2.676±0.1 vw
2.490±0.1 vw
2.376±0.05 w
(表中、dは格子面間隔を表わす。また、vw=非常に弱い相対強度、w=弱い相対強度、s=強い相対強度、vs=極めて強い相対強度を意味する。)
この構造変化について高温粉末X線回折により、(図2)が得られ、320〜400℃にかけて出発物質のAlPO-NSと異なる結晶構造に変化していることを見いだした。これについて、出発物質のTG-DTAを測定したところ図3の結果が得られ、出発物質に含まれるトリエチルアミンの熱分解温度と構造変化の領域が一致することが分かった。また出発物質に含まれるトリエチルアミンは加熱により、図4のFT-IRスペクトルに明瞭に示されるように、トリエチルアミンに特徴的な多数の光吸収線が消失し、代わって幅の広い光吸収が3000〜3500cm-1に現れる。これはトリエチルアミンが熱分解されたために新規構造内には存在せず、代わりに多量の水分子が吸着していることを意味する。図5に示すこの新規構造アルミノリン酸塩結晶の走査電子顕微鏡(SEM)像からは、加熱前のアルミノリン酸トリエチルアミン化合物と同様にへき開性の外形を保っていることを特徴とする。
この新たな構造を有するアルミノリン酸塩結晶及び前記へき開性アルミノリン酸トリエチルアミン化合物のアルゴン吸着等温線を87Kにて評価した。新たな構造を有するアルミノリン酸塩結晶の吸着脱離等温線には多孔性物質に特徴的な高容量の細孔が存在する。
へき開性アルミノリン酸トリエチルアミン化合物の加熱温度と吸着脱離等温線の相関を図示すると、図6のようになる。即ち、へき開性アルミノリン酸トリエチルアミン化合物を320℃よりも高温にすることで多孔化できる。図7は大気中にて385℃でAlPO-NSを焼成した試料のArガス吸着・脱離等温線を示す。また図8は10-3 torr程度の真空下で350℃にてAlPO-NSを焼成した場合のArガス吸着・脱離等温線を示す。支燃性ガス(大気)の有無によらず、ミクロ細孔構造は形成される。
へき開性アルミノリン酸トリエチルアミン化合物の加熱温度(雰囲気は10-3 torr程度の真空下)と吸着脱離等温線の相関図を元に加熱温度と比表面積の相関を図示すると、図9(A)のようになり、390℃近傍の加熱が比表面積の増大の観点からは最も好ましい。図9(B)・(C)は図6の吸着等温曲線から求められた全細孔容積・ミクロ孔容積の焼成温度依存性である。ここで全細孔容積は、各吸着等温曲線に於いてP/P0 = 1付近の極大値から求めた。またミクロ孔容積は密度汎関数法[NLDFT]による解析を行い、細孔径2nmまでの累積細孔容積の値を近似値として求めた。へき開性アルミノリン酸トリエチルアミン化合物を320℃よりも高温にすることで多孔化できるが、図8を考慮すれば390℃近傍の加熱が最も好ましい。また320℃以下ではミクロ孔容積はほとんど零であり、結晶の粒子間空隙もしくは外表面吸着に起因した吸着能しか無いことが分かった。
さらに、より詳細な細孔構造を知るために、前出の図7に示した新規多孔性アルミノリン酸塩化合物のArガス吸着等温曲線を用い、密度汎関数法[NLDFT]による解析を行ったところ、図10に示す内径約0.5 nmの一次元細孔を有していることが分かった。またミクロ孔容積は0.12 cc/g、全細孔容積は約0.3 cc/gであり、ゼオライトと多孔性層状化合物の両方の吸着特性を兼ね備えていると見なすことができる。この結果は、窒素吸着から得られた値と矛盾しないことが確認され、図9の加熱温度に対する依存性の結果を含めて考慮すると、本多孔性アルミノリン酸塩結晶は比表面積200〜300m2/g、ミクロ孔容積0.08〜0.12 cc/g、全細孔容積0.15〜0.3cc/gを有することが確認された。
新規な多孔性物質であることから、種々のガスに関してその吸着特性は、既知の多孔性物質と異なることが容易に推察できる。アルミノリン酸塩結晶であることから、水分子などの永久双極子を持つ分子に対する吸着特性は多孔性アルミノケイ酸塩化合物とは大きく異なるはずである。これらのことを背景に、ガス吸着材・分離材、分子ふるい材としての応用がまず挙げられる。
更に、本物質の物質外形の特徴(即ち板状構造が積層したような外形、または板状構造にはく離した外形。)から、厚さ50〜100nm程度の板状構造を基板等に非常に薄く被覆させることが簡単な手順で実現できる。このことは、本物質が多孔性を有していることから低誘電率 (low-k) 材料としても有望であることと併せると、半導体集積回路に薄く低誘電率材料を被覆させる場合に有効であると予測できる。
(A):へき開性アルミノリン酸トリエチルアミン化合物、および(B):それを385℃にて加熱して作製した多孔性アルミノリン酸塩化合物のXRDパターンを示す図。 多孔質アルミノリン酸塩化合物の加熱によるXRDパターンの変化を示す図。測定温度領域は30〜667℃。 示差熱・熱重量同時測定による、多孔質アルミノリン酸塩化合物の加熱による熱特性を示す図。 へき開性アルミノリン酸トリエチルアミン化合物及びこれを加熱することにより得られる多孔性アルミノリン酸塩化合物の拡散反射スペクトル。 日立S-4800走査型電子顕微鏡による、多孔性アルミノリン酸塩化合物の形態観察。 各焼成温度におけるN2吸着等温曲線を示す図。 へき開性アルミノリン酸トリエチルアミン化合物を385℃にて大気中で加熱して作製した多孔性アルミノリン酸塩化合物のArガス吸着・脱離等温線。内装図は横軸をlog表示に変換したもの。 へき開性アルミノリン酸トリエチルアミン化合物を350℃にて真空(減圧)下で加熱して作製した多孔性アルミノリン酸塩化合物のArガス吸着・脱離等温線。内装図は横軸をlog表示に変換したもの。 N2吸着における焼成温度と比表面積(A)、全細孔容積(B)及びミクロ孔容積(C)の相関を示す図。 Arガス吸着データをもとにNLDFT法により解析された細孔のサイズ分布を示す図。

Claims (5)

  1. 般式(1
    (Alxyz)・[(C253N]n・(H2O)w (1)
    (式中、1≦x≦1.2、0.5≦y≦1.5、4≦z≦8、0≦n≦1.5、0.02≦w≦1.5である。)
    で表され、六角形の板状結晶もしくはそれらが積層した結晶形態を有することを特徴とする多孔性アルミノリン酸トリエチルアミン結晶
  2. 一般式(2)
    AlP k l (OH) m ・[(C 2 5 3 N] u ・(H 2 O) v (2)
    (式中、k=1±0.1、l=4〜5、m=0.5〜2、u=0.1〜0.3、v=0〜0.01である。)
    で表される、Al又はP原子に結合した水酸基に由来する赤外吸収ピークが3755±2cm -1 に出現するアルミノリン酸トリエチルアミン化合物を前駆体とし、320〜410℃に加熱することにより製造された、一般式(1)
    (Al x y z )・[(C 2 5 3 N] n ・(H 2 O) w (1)
    (式中、1≦x≦1.2、0.5≦y≦1.5、4≦z≦8、0≦n≦1.5、0.02≦w≦1.5である。)
    で表される多孔性アルミノリン酸トリエチルアミン結晶。
  3. 前記多孔性アルミノリン酸トリエチルアミン結晶が200〜400m2/gの比表面積を有し、内径0.5〜0.6nmのミクロ孔を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔性アルミノリン酸トリエチルアミン結晶。
  4. 前記多孔性アルミノリン酸トリエチルアミン結晶のミクロ孔容積が0.05〜0.15cc/gで、全細孔容積が0.1〜0.4cc/gであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多孔性アルミノリン酸トリエチルアミン結晶。
  5. 前記多孔性アルミノリン酸トリエチルアミン結晶が粉末X線回折パターンにおいて、下記のピークを有するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の多孔性アルミノリン酸トリエチルアミン結晶:
    面間隔 d(Å)
    12.407±0.2
    8.260±0.15
    4.114±0.05
    3.994±0.05
    3.014±0.05
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