JP5189895B2 - 生体圧迫装置及び血圧測定装置 - Google Patents
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Description
自動血圧計は、様々な測定方式や構成のものが開発されているが、その一つに、オシロメトリック式電子血圧計がある。このオシロメトリック式電子血圧計は、空気袋の内圧に重畳した脈波を検出し、この脈波の振幅変化にもとづいて血圧を算出する。このオシロメトリック式電子血圧計は、上腕に巻き付けられ空気袋を有する生体圧迫装置(一般的に、カフとも呼称される。)と、配管を介して空気袋と連通した、圧力センサ、ポンプ及び排気弁と、圧力センサ、ポンプ及び排気弁と接続された情報処理装置と、情報処理装置と接続された操作スイッチ及び表示器などとからなっている。
次に、従来の生体圧迫装置について図面を参照して説明する。
図8は、従来例に係る生体圧迫装置の概略図であり、(a)は表面側展開図を示しており、(b)は裏面側展開図を示している。
また、図9は、従来例に係る生体圧迫装置の構成及び動作を説明するための概略図であり、(a)は平らな状態で空気を送入する前の要部の断面図を示しており、(b)は腕に巻き付けた状態で空気を送入したときの要部の断面図を示している。
図8、9において、生体圧迫装置100は、空気袋120を外面カバー11と内面カバー12とで挟んで形成される帯状体110と、この帯状体110の長手方向の一端部に取り付けられた環状の留め金具13と、この留め金具13に挿入され、該留め金具13を介して折り返された帯状体110の他端部を固定する面ファスナー3とを備えている。
また、特許文献2には、空気袋を巻き付け方向に沿って、湾曲する円柱面形状に成形した血圧測定用カフの技術が開示されている。この技術は、空気袋の圧力が正確に被測定部位に伝達され、精度よく血圧を測定することを目的としている。
また、特許文献4には、流体袋(空気袋)と、可撓性部材と、袋状カバー体とを備え、流体袋が収縮した状態において、可撓性部材の曲率の大きい部位に対応する部分の内側壁部が、幅方向において引っ張られた状態とされている血圧計用カフの技術が開示されている。この技術は、袋状カバー体にしわが発生し難い血圧計用カフを実現することにより、高精度に血圧値を測定することを目的としている。
さらに、上記特許文献3、4の技術は、腕の太さによる影響やカバーへのしわの発生を抑えることで、高精度に血圧測定を行うことを目的としているもので、上記問題を解決することはできない。
このようにすると、生体圧迫装置が生体に巻き付けられたとき、空気袋の内面側シートにおけるしわの発生を効果的に抑制することができる。すなわち、しわの発生がほぼ抑制されることにより、しわが屈曲部に成長する可能性も大幅に低減されるので、皮膚がつねられるように挟まれるといった不具合を効果的に抑制することができる。
また、空気袋はカバーに固定されており、空気袋に空気が送入される際、空気袋が巻き付けられたときの形状とほぼ同じ形状に維持され、移動が制限される。したがって、空気袋の移動に起因するしわの発生が抑制される。さらに、空気袋が移動することによって、しわが容易に大きな屈曲部に成長するといった不具合を防止することができる。したがって、皮膚がつねられるように挟まれるといった不具合を抑制することができる。
このようにすると、内面側シートに、生体に巻き付けられる方向への所定の張力を、容易に付与することができる。
このようにすると、空気袋に空気が送入される際、空気袋の内面側シートと外面側シートとの曲率半径の違いによって、空気袋に屈曲部が発生することを効果的に抑制することができる。
このようにすると、空気袋を固定する際の自由度(たとえば、固定位置や固定方法などの自由度)を高めることができる。また、部品点数を削減でき、かつ、容易に製造することができるので、製造原価のコストダウンを図ることができる。
このように、本発明は血圧測定装置としても有効であり、生体を圧迫する際、空気袋の屈曲部によって、皮膚がつねられるように挟まれるといった不具合を防止することの可能な血圧測定装置を提供することができる。
以下、本発明の生体圧迫装置の第一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る生体圧迫装置の概略図であり、(a)は表面側展開図を示しており、(b)は裏面側展開図を示している。
図1において、生体圧迫装置1は、自動血圧計用腕帯(カフ)として用いられており、使用者の上腕に巻き付けられる。
この生体圧迫装置1は、空気袋2を内蔵した帯状体10と、留め金具13と、面ファスナー3とを備えている。
図2は、本発明の第一実施形態に係る生体圧迫装置の、空気袋を説明するための概略図であり、(a)は平らな状態で空気を送入したときの断面図を示しており、(b)は腕に巻き付けた状態で空気を送入したときの断面図を示している。
なお、図2(a)は、空気袋2の構造を理解しやすいように、平らな状態で空気を送入したときの断面図を示している。
図2において、空気袋2は、ほぼ矩形状に形成された、樹脂製の平らな一対の外面側シート21及び内面側シート22を、平らな状態のまま重ね合わせ、これらの縁部(溶着部250)を溶着した構成としてある。ここで、外面側シート21及び内面側シート22は、通常、フィルム状のシート部材から打ち抜き加工によって容易に形成される。また、このシート部材は、弾性あるいは伸縮性を有している。
なお、本実施形態では、一対の外面側シート21及び内面側シート22を使用する構成としてあるが、これに限定されるものではない。たとえば、図示してないが、平らな一枚のほぼ矩形状のシートを折り重ね、折り重ねられた三辺の縁部を溶着する構成としてもよい。
ここで、上記の内面側シート22の長手方向は、内面側シート22が生体に巻き付けられる方向とほぼ同じである。
また、上記の内面側シート22の長手方向の両端部の中央側とは、外面側シート21と内面側シート22との溶着部250より内側とほぼ同じであり、内面側シート22における、流体が出入する領域(溶着部250より内側の領域)を意味している。
なお、空気を送入したときの空気袋2の両端部の形状は、図2(b)に示す形状に限定されるものではなく、曲率半径R、rなどによって様々な形状となる。
帯状体10は、図1に示すように、空気袋2を外面カバー11と内面カバー12で挟んだ構成としてある。
外面カバー11と内面カバー12は、通常、樹脂製のほぼ矩形状の布が用いられる。内面カバー12は、皮膚に触れた際、触り心地が良いように、薄く、軟らかく、かつ、伸縮性を有する布からなっており、外面カバー11は、内面カバー12と比べて、厚く、丈夫で、かつ、伸縮性を有しない布からなっている。
外面カバー11と内面カバー12は、空気袋2を挟んだ状態で、周縁部が、縁部カバーを介して糸によって縫合されている。また、長手方向のほぼ中央部では、腕方向に沿って、糸103によって縫合されている。
また、外面カバー11及び内面カバー12は、腕形状に対応しやすいように、糸103の他端部側の幅寸法が、一端部側より短くなっている。
このように、空気袋2の両端部(端部は、先端部及び端部付近を含む。)は、連結部材23及び連結部材24を介して、外面カバー11に固定されているので、空気袋2に空気が送入される際、空気袋2が巻き付けられたときの形状とほぼ同じ形状に維持され、移動が制限される。これにより、両端が固定されていない場合と比べると、空気袋2の移動に起因するしわの発生が抑制される。また、空気袋2が移動することによって、しわが容易に大きな屈曲部に成長するといった不具合を防止することができる。
さらに好ましくは、空気袋2の長手方向の両端部(本実施形態では、連結部材23、24の他端)を、空気袋2の内面側シート22が所定のテンションのかけられた状態で腕に巻き付けられる位置に、固定するとよい。
次に、これらの内容について、図面を参照して説明する。
図3(a)において、空気袋2における糸101と糸102との間の直線距離はLである。また、外面カバー11における糸101と糸102との間の曲線距離はL1である。曲線距離L1は、弛んだ外面カバー11を直線状としたときの距離であり、L1>Lである。すなわち、外面カバー11の長手方向の長さが、空気袋2の長手方向の長さに対して余裕(弛み)を持つように、空気袋2は外面カバー11に固定されている。
なお、この生体圧迫装置は、生体圧迫装置が腕に巻き付けられた際、空気袋2の長手方向の両端部が、空気袋2の曲率半径(L/(2π))が外面カバー11の曲率半径(L1/(2π))より小さくなる位置に固定されており、内面側シート22が弛まない状態である。
なお、空気袋2の固定手段は、縫合に限定されるものではなく、たとえば、両面テープなどを用いてもよい。
留め金具13は、丸鋼からなる環状体であり、帯状体10の他端部が挿入される。この留め金具13は、帯状体10の長手方向の一端部に取り付けられている。
この留め金具13は、帯状体10の下辺(肩側の辺)から約80°の角度で斜めに取り付けられている。これにより、筋肉質の上腕に対してもほぼ密着した状態で巻き付けることができる。
本実施形態では、留め金具13に挿入され、この留め金具13を介して折り返された帯状体10の他端部を固定する固定手段として、面ファスナー3を設けてある。
面ファスナー3は、フック面31とループ面32とからなっている。フック面31は、ほぼ正方形状としてあり、外面カバー11の他端部側の表面に、糸によって縫合されている。また、ループ面32は、ほぼ矩形状としてあり、フック面31から一端部付近までにわたって、外面カバー11の表面に、糸によって縫合されている。
このようにすると、容易に着脱することができ、例えば、左上腕に装着する場合、他端部を右手で撮んで、容易に着脱することができる。
なお、本実施形態では、固定手段として面ファスナー3を用いているが、これに限定されるものではない。
まず、血圧を測定しようとする使用者は、帯状体10の他端部が留め金具13に通され、広がった状態の生体圧迫装置1に腕を挿入し、生体圧迫装置1が上腕に達したところで、他端部を引っ張る。これにより、帯状体10が上腕に巻き付き、さらに、留め金具13を介して折り返され、フック面21がループ面22に接合される。この際、生体圧迫装置1は、外面カバー11が弛みすぎることなく、かつ、空気袋2が腕を圧迫しすぎない状態で、腕に巻き付けられる。
また、空気袋2が膨れる際、上述したように、接合部231より一端部側の内面側シート22、及び、接合部241より他端部側の内面側シート22が、外面側シート21として機能し、外面側シート21と内面側シート22の曲率半径の違いを吸収するので、空気袋2の内面側シート22に屈曲部が発生することを効果的に抑制することができる。
さらに、空気袋2は、平らな二枚のシート材を溶着することにより製造することができるので、製造原価のコストダウンを図ることができる。
図4は、本発明の第二実施形態に係る生体圧迫装置の構成及び動作を説明するための概略図であり、(a)は平らな状態で空気を送入する前の要部の断面図を示しており、(b)は腕に巻き付けた状態で空気を送入したときの要部の断面図を示している。
図4において、本実施形態の生体圧迫装置1aは、第一実施形態の生体圧迫装置1と比べると、連結部材24を設けず、空気袋2aの長手方向の一方の端部を直接的に外面カバー11に固定している点が相違する。生体圧迫装置1aの他の構成は、生体圧迫装置1とほぼ同様としてある。
したがって、図4において、図3と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
また、空気袋2aは、連結部材23、及び、連結部材24が設けられていない、長手方向の一方の端部が、糸101、102によって外面カバー11に縫合されている。
このように、空気袋2aの連結部材23、及び、連結部材24が設けられていない、長手方向の一方の端部は、外面カバー11に固定されているので、空気袋2aに空気が送入される際、空気袋2aが巻き付けられたときの形状とほぼ同じ形状に維持され、移動が制限される。これにより、両端が固定されていないことによる空気袋2aの移動に起因するしわの発生が抑制され、また、空気袋2aが移動することによって、しわが容易に大きな屈曲部に成長するといった不具合を防止することができる。
また、空気袋2aに空気が送入され、内面側シート22が腕を圧迫する方向(腕の中心方向)に移動しても、巻き付けられた段階で、あらかじめ所定のテンションがかけられているので、しわが発生するのを有効に抑制することができる。すなわち、しわが確実に発生しない状態で腕に巻き付けられることにより、しわが屈曲部に成長する可能性も大幅に低減される。
さらに、空気袋2aは、空気袋2と比べると、部品点数が少ないので、さらに製造原価のコストダウンを図ることができる。
図5は、本発明の第三実施形態に係る生体圧迫装置の、空気袋を説明するための概略図であり、(a)は平らな状態で空気を送入したときの断面図を示しており、(b)は腕に巻き付けた状態で空気を送入したときの断面図を示している。
図5において、本実施形態の生体圧迫装置1bの空気袋2bは、第一実施形態の空気袋2と比べると、外面側シート21の代わりに、長手方向に長くした外面側シート21bを用いている点、及び、連結部材23、24を設ける代わりに、長手方向に延長された内面側シート22bを用いている点が相違する。空気袋2bの他の構成は、空気袋2とほぼ同様としてある。
したがって、図5において、図2と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
したがって、図5(b)に示すように、腕(図示せず)に巻き付けた状態で空気を送入したとき、外面側シート21bの曲率半径はRとなり、内面側シート22bの曲率半径はrとなる。このようにすると、空気袋2bに空気が送入される際、空気袋2bの内面側シート22bと外面側シート21bとの曲率半径の違い(R>r)によって、空気袋2bに屈曲部が発生することを効果的に抑制することができる。
内面側シート22bの溶着部250より外側の部分は、弾性(伸縮性をも含む。)を有するシート状の樹脂製の部材からなっている。このようにすると、溶着部250より外側の部分の弾性を利用して、腕の太さが異なる場合であっても、腕を圧迫しすぎない状態で、生体圧迫装置1bを巻き付けることができる。
また、本実施形態では、連結部材23、24を用いていないので、部品点数や作業工数が削減でき、製造原価のコストダウンを図ることができる。なお、この構成に限定されるものではない。たとえば、図示してないが、溶着部250より外側の部分の代わりに、連結部材23、24を溶着した形状の内面側シートを用いてもよい。
図6において、本実施形態の生体圧迫装置1bは、第一実施形態の生体圧迫装置1と比べると、外面側シート21の代わりに、上記外面側シート21bを用いている点、及び、連結部材23、24を設ける代わりに、長手方向に延長された内面側シート22bを用いている点が相違する。生体圧迫装置1bの他の構成は、生体圧迫装置1とほぼ同様としてある。
したがって、図6において、図3と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
また、空気袋2bが膨れる際、上述したように、外面側シート21bの曲率半径はRとなり、内面側シート22bの曲率半径はrとなる。すなわち、空気袋2bの内面側シート22bと外面側シート21bとの曲率半径の違い(R>r)によって、空気袋2bに屈曲部が発生することを効果的に抑制することができる。
本発明は、血圧測定装置(適宜、血圧計と略称する。)の発明としても有効である。
図7は、本発明の一実施形態に係るオシロメトリック式電子血圧計の要部の概略ブロック図を示している。
図7において、オシロメトリック式電子血圧計4は、空気袋2を内蔵した生体圧迫装置1と、配管41を介して空気袋2と連通した、圧力センサ42、ポンプ43及び排気弁44と、圧力センサ42、ポンプ43及び排気弁44と接続された情報処理装置45と、情報処理装置45と接続された操作スイッチ46及び表示器47とからなっている。
ここで、本実施形態のオシロメトリック式電子血圧計4は、上述した実施形態の生体圧迫装置1を備えた構成としてある。
なお、本実施形態では、生体圧迫装置1を用いる構成としてあるが、これに限定されるものではなく、たとえば、第二、第三実施形態生体の圧迫装置1a、1bを用い構成としてもよい。
例えば、生体圧迫装置1、1a、1bは、芯材や可撓性部材を備えない構成としてあるが、この構成に限定されるものではなく、たとえば、空気袋と外面カバーとの間に、芯材や可撓性部材を備えてもよい。
また、生体圧迫装置1、1a、1bは、オシロメトリック式電子血圧計に用いられる場合に限定されるものではなく、たとえば、コロトコフ音にもとづいて血圧を測定する自動血圧計にも適用することができる。
さらに、空気袋2、2a、2bは、外面カバー11に固定される構成に限定されるものではなく、たとえば、内面カバー12に固定される構成、あるいは、外面カバー11及び内面カバー12に固定される構成としてもよい。
2、2a、2b 空気袋
3 面ファスナー
4 オシロメトリック式電子血圧計
10 帯状体
11 外面カバー
12 内面カバー
13 留め金具
21、21b 外面側シート
22、22b 内面側シート
23 連結部材
24 連結部材
25 ジョイント
31 フック面
32 ループ面
41 配管
42 圧力センサ
43 ポンプ
44 排気弁
45 情報処理装置
46 操作スイッチ
47 表示器
100 生体圧迫装置
101、102、103 糸
110 帯状体
120 空気袋
121 外面側シート
122 内面側シート
130 屈曲部
231 接合部
241 接合部
250 溶着部
Claims (3)
- 流体が出入することにより膨縮する空気袋と、前記空気袋を内包するカバーとを有し、生体に巻き付けられる生体圧迫装置において、
前記カバーは、外面カバーと内面カバーで構成され、
前記空気袋の長手方向の両端部を、それぞれ連結部材を介して外面カバーに連結する際、前記連結部材の一端を前記空気袋の内面側シートに固定し、他端を前記外面カバーに固定していることを特徴とする生体圧迫装置。 - 前記連結部材と前記外面カバーとを固定する固定位置どうしの間における、前記外面カバーの曲線距離L1が、前記連結部材と前記外面カバーとを固定する固定位置どうしの間における、前記空気袋の直線距離Lより、長いことを特徴とする請求項1に記載の生体圧迫装置。
- 前記生体圧迫装置が前記生体に巻き付けられた際、前記外面カバーの曲率半径が、前記空気袋の曲率半径より長いことを特徴とする請求項1又は2に記載の生体圧迫装置。
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