JP5189259B2 - ポリエーテルの製造方法 - Google Patents

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本発明は、水溶性化合物を含有するポリエーテル(以下、粗製ポリエーテルという)から該水溶性化合物を水により抽出し除去する工程を含む精製されたポリエーテルの製造方法に関する。
従来から多種の高分子物質(例えば、ポリエーテル等)が工業的に製造されているが、これらの高分子物質は不純物を含む高分子物質(粗製高分子物質)を精製し不純物を除去しているのが通常である。
このような粗製高分子物質に含有される不純物の一つにアルカリ金属化合物や複合金属シアン化物錯体に起因する金属化合物があり、例えば次のようなものが例示される。
(1)イニシエーターにアルキレンオキシドを反応させて水酸基含有ポリエーテルを製造する場合、触媒として複合金属シアン化物錯体触媒が用いられ、これがそのままあるいは変性した分解物として、生成する高分子物質中に残存する。
(2)アルキレンオキシドを付加重合させてポリプロピレンオキシドなどのオキシアルキレン系重合体を製造する場合、触媒として水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリ金属化合物が用いられ、これがそのままあるいは塩として生成する高分子物質中に残存する。
(3)水酸基やカルボキシル基を有するオキシアルキレン系重合体やジエン系重合体のような官能基を有する重合体とエピクロルヒドリンや塩化アリルなどのハロゲン含有化合物とを反応させて他の官能基を有する重合体を製造する場合、触媒として水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリ金属化合物が用いられ、これがそのままあるいは塩として生成する高分子物質中に残存する。
このような金属化合物が高分子物質中に残存すると種々の問題が生じるので、出来る限り除去することが望ましい。例えば、高分子物質をさらに反応させて用いる場合、金属化合物が反応速度や反応収率に影響を及ぼすことがあるので、金属化合物を十分除去する必要がある。さらに例示すると、白金系触媒存在下にメチルジメトキシシラン等をアリル基末端のポリエーテルと反応させる場合、不十分な除去による金属化合物の残存は反応速度を著しく低下させる。
通常は、吸着剤で処理する方法や中和後ろ過する方法さらに水を用いて抽出する等の方法で不純物を除去することが多い。これらの内、吸着剤で処理する方法では、大量の金属化合物を処理するのには適していない、金属化合物が塩であるとき使用可能な吸着剤の種類が少ない、といった問題がある。また、ろ過による方法では、中和塩類の結晶肥大化が必要である、水が存在する場合には塩が溶解する、といった問題がある。このような問題や他の理由から、抽出分離する方法が適している場合も多い。
抽出分離法は、粗製高分子物質と水とを良く接触させて金属化合物を水溶性塩として水中に移行させ、その後高分子物質と水とを分離する方法である。これまで、粗製高分子物質と水とを十分接触させるため激しい撹拌を行うと、高分子物質が存在するため系が乳化状態になりやすいと言われていた(特許文献1、2)。特に、特許文献2では、「複合金属シアン化物錯体触媒を用いて製造したポリエーテルは水と非常に乳化しやすいため、抽出法での除去は極めて困難である」、と記載されている。そのため、後の高分子物質と水との分離に長時間を要したり、巨大な設備が必要になる場合がある。また、乳化状態になるのを防ぐために撹拌を穏やかに行うと、金属化合物の抽出が不十分になる。そこで抽出効率を高め、かつ分離性を高めるという相矛盾する技術の確立が必要となっている。また、このような水を用いる抽出方法は親水性の高い高分子物質では利用できず、さらに疎水性の高分子物質であってもその原料中に親水性の不純物が微量に含有されていると極めて乳化しやすいため、工業的には制約が大きい。不飽和基含有ポリエーテルに限らず、上記のような性質を有する高分子量のポリエーテルに対し、汎用性の高い精製方法を用いた製造方法を確立することが望まれている。
その一例として、積極的に油水分離を促進させるため遠心分離による方法が開示されている(特許文献3)。また、一般的な抽出分離法に用いる装置としては、スプレー塔、撹拌型、往復運動式などの連続向流抽出塔や遠心分離器が開示されている(特許文献1、3)。これらの公開特許公報では、高分子としてポリエーテルと水とを撹拌翼を有する高速撹拌型撹拌槽中で撹拌した後、遠心分離器、向流接触式攪拌塔内あるいはフィルターを用いてポリエーテル相と水相とを分離する方法を提供している。しかし、これらの方法では、抽出効率を高めるために高速攪拌を伴う撹拌槽および高価な遠心分離器あるいはフィルターを用いる必要がある点が改善を必要とする課題と考えられる。
また、プロピレンオキシドのような炭素原子数が3以上のアルキレンオキシドを開環重合してポリアルキレンオキシドを製造する際に、開始剤がエチレンオキシドの重合分を含んでいたり、モノマーが不純物としてエチレンオキシドを含んでいると、これらのものが得られる重合体の親水性を増大させ水を用いた抽出分離を著しく困難にする場合がある。そのような事態を避けるためには、開始剤中のエチレンオキシドの重合分含有量や、モノマー中のエチレンオキシド含有量を厳しく管理する必要があるという課題もある。
特開2002−249580号公報 特開平8−231707号公報 特開平1−294733号公報
本発明の目的は、水溶性化合物を含有する粗製ポリエーテルから該水溶性化合物を水により抽出し除去する際のポリエーテル相と水相の分離性を安定的かつ効果的に良くすることにより、精製されたポリエーテルを製造する方法を提供することにある。特に、エチレンオキシドの重合体等の親水性成分を含有する粗製ポリエーテルを対象とする場合に課題となり易い。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究した結果、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明は、水溶性化合物を含有する粗製ポリエーテルから該水溶性化合物を水により抽出し除去する工程を含むポリエーテルの製造方法であって、粗製ポリエーテルは、有機溶剤が添加されていないか、添加量が粗製ポリエーテル100重量部に対して50重量部以下であることを特徴とし、撹拌している水中に粗製ポリエーテルを仕込んで混合した後、ポリエーテル相と水相とを分離する操作を少なくとも1回含むポリエーテルの製造方法に関する。
好ましくは、粗製ポリエーテルの仕込み方法が、2回以上に分けた間欠仕込みである。
好ましくは、粗製ポリエーテルの仕込み方法が、仕込みに間をおかない連続的仕込み方法である。
好ましくは、粗製ポリエーテルが、金属系触媒の存在下イニシエーターにアルキレンオキシドを反応させて得られる水酸基含有ポリエーテルまたはその変物である。
好ましくは、前記アルキレンオキシドの90重量%以上が炭素数3以上のアルキレンオキシドである。
好ましくは、アルキレンオキシドが、プロピレンオキシドである。
好ましくは、金属系触媒が、複合金属シアン化物錯体化合物触媒である。
好ましくは、粗製ポリエーテルが、不飽和基含有ポリエーテルである。
より好ましくは、不飽和基含有ポリエーテルが、複合金属シアン化物錯体化合物触媒の存在下イニシエーターにアルキレンオキシドを反応させて水酸基含有ポリエーテルを得た後、該水酸基含有ポリエーテルをアルカリ金属アルコキシドとし、次いで不飽和基含有ハロゲン化炭化水素を反応させて得られる不飽和基含有ポリエーテルである。
さらに好ましくは、不飽和基として、アリル基が例示される。
好ましくは、水溶性化合物が、ポリエーテルの重合で用いられる触媒に由来する、亜鉛塩、コバルト塩およびアルカリ金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
好ましくは、ポリエーテルの数平均分子量が、1000〜100000である。
本発明によれば、塩基性アルカリ金属化合物と酸との無機塩含量、あるいは複合金属シアン化物錯体触媒に起因する金属塩等の水溶性化合物含量の極めて少ないポリエーテルを、簡単な装置で安定的かつ短時間で得ることが出来る。また、このようにして得たポリエーテルを原料に用いると安定して高品質な、さらに変性したポリエーテルを作ることが出来る。
本発明における水溶性化合物を含有する粗製ポリエーテルにはとくに限定はなく、どのような粗製ポリエーテルでも用いることが出来る。粗製ポリエーテル、すなわち、水溶性化合物を含有するオキシアルキレン系重合体は1種の反復単位からなる単独重合体であってもよく、共重合体であっても良い。また、重合体を反応させ、他の重合体に変換したものであっても良い。
オキシアルキレン系重合体とは、−R−O−で表される反復単位を主として有する(好ましくは全重合体中の50%(重量%、以下同様)以上、さらに好ましくは80%以上)重合体であり、−R−としては、例えば−CHCH−、−CH(CH)CH−、−CH(C)CH−、−C(CHCH−、−(CH−などが例示できる。ただし、特にポリエーテルが、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)におけるポリスチレン換算での数平均分子量が1000から100000であることが好ましい。数平均分子量が1000未満あるいは100000を超えた場合には、ポリエーテル相と水相との十分な分離性が得られない場合がある。
オキシアルキレン系重合体は、末端が水酸基のままのものであっても良いが、水酸基含有ポリエーテルをアルカリ金属化合物と反応させて末端を変換した後、次いで不飽和基含有ハロゲン化炭化水素を反応させて得られる不飽和基含有ポリエーテルであっても良い。
不飽和基含有ハロゲン化炭化水素としては、炭素数4以下のポリハロゲン化不飽和炭化水素、あるいは炭素数10以下のモノハロゲン化不飽和炭化水素が例示される。
ハロゲンとしては、塩素或いは臭素が好ましい。不飽和基含有ハロゲン化炭化水素としては、特に塩化アルケニル、臭化アルケニルなどのハロゲン化アルケニルが好ましい。ハロゲン化アルケニルとしては、特に塩化アリル、塩化メタリルまたは臭化アリルが好ましい。
ポリエーテル中の除去対象となる水溶性化合物としては、亜鉛塩、コバルト塩および/またはアルカリ金属塩等の、アルカリ金属化合物または複合金属シアン化物錯体触媒由来の化合物等が例示できる。
アルカリ金属化合物は、重合やポリエーテルを変性するための反応の触媒等として用いられたものがそのままあるいは他の化合物になったものとして粗製ポリエーテル中に残存しているものである。
アルカリ金属化合物等の金属化合物の具体例としては、例えばNa、Kのごときアルカリ金属;NaHのごときアルカリ金属水素化物;NaOCH、NaOCのごときアルカリ金属アルコキシド;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのごとき水酸化アルカリ;HCOONa、CHCOONa、CCOONa、HCOOK、CHCOOK、CCOOKなどのカルボン酸で代表される有機酸のアルカリ金属有機酸塩;NaCl、NaSO、NaCO、NaHCO、NaPO、NaHPO、NaNO、KCl、KSO、KCO、KHCO、KPO、KHPO、KNOなどのハロゲン化水素や硫酸などで示される無機酸のアルカリ金属無機酸塩などがあげられる。
なお、Na、Kなどはアルカリ金属であるが、本明細書においてはアルカリ金属化合物の一種として考えるものとする。また、NaH、NaOCHなどはこの状態のままで水中に抽出されることはないが、他のアルカリ金属化合物として水中に抽出される。
粗製ポリエーテルを複合金属シアン化物錯体触媒を用いて得る場合には、この触媒に起因する金属塩が粗製ポリエーテル中に残存する。ここで、複合金属シアン化物錯体触媒とは、亜鉛ヘキサシアノコバルテートを主成分とする錯体化合物が代表例として挙げられ、そのエーテル錯体化合物などが良く知られている。その組成は、例えば、米国特許3427256号公報に記載されているものが使用できる。エーテルとしては、エチレングリコールジメチルエーテル(グライム)等がある。
本発明によると、非常に驚いたことに、油相として粗製ポリエーテルと水相として添加の水を攪拌、混合させる際、撹拌している水中に粗製ポリエーテルを仕込みながら撹拌混合を継続させることで、安定した短時間での油水分離を確保できた。
詳述すると、粗製ポリエーテルと水とを仕込んだ後で撹拌を開始する場合、あるいは、粗製ポリエーテルを撹拌しながら水を仕込む場合、使用する水が少ないか、あるいは、撹拌初期に水を取り込みやすくてポリエーテル相が液滴として分散し難いような種類の粗製ポリエーテルでは、撹拌停止後の静置状態で油相と水相とが全く分離しないか、分離に非常に長時間を必要とする場合がある。このような少ない水量あるいは撹拌初期に水を取り込みやすくてポリエーテル相が液滴として分散し難いような種類の粗製ポリエーテルの場合でも、撹拌している水中に粗製ポリエーテルを仕込みながら撹拌を継続して混合させることで、ポリエーテル滴(以下、油滴)分散状態を安定的に保つことができ、撹拌停止後の油相と水相の分離を良好に確保できる。この際、油滴分散状態にできることが、本発明における系での油水分離性確保に非常に重要であり、実用上の大きな指標/目安になる。さらに、本発明の方法により、油滴分散状態が油相仕込み初期より確保できるため、水溶性化合物の抽出進行も促進され、処理時間を短くできる。
上記よりもさらに悪く撹拌初期以外にも水を取り込みやすくポリエーテル相が液滴として分散し難いような粗製ポリエーテルの一例として、エチレンオキシドの重合体を含む粗製ポリエーテルを使用する場合が挙げられる。その際、セルロース誘導体を添加して混合する方法が良好な精製を得るために効果的であるが、そのような場合でも、本発明は有効である。すなわち、セルロース誘導体を溶解あるいは添加した水相中に、攪拌下、粗製ポリエーテルを仕込む方法である。
前記のごときセルロース誘導体としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース等が挙げられる。最も好ましい例としては、メチルセルロースが挙げられる。
セルロース誘導体の添加量は、粗製ポリエーテル100重量部に対して0.0001〜0.1重量部が好ましく、0.001〜0.01重量部がより好ましい。
粗製ポリエーテルを仕込む際の撹拌としては、添加した粗製ポリエーテルが油滴として存在できるような撹拌条件であればよく、撹拌翼を用いた一般的な撹拌条件であれば特に制約はない。この際、強い撹拌を行うと1mm程度以下の油滴径が得られ良好な抽出速度が得られる。一方、弱い撹拌では5mm程度以上の油滴径になるが、特に大きな問題ではない。ただし、油滴径が大きいとそれに応じて抽出時間がより長く必要になるので、5mm以上の大きい油滴径はなるべく避けた方が良い。
粗製ポリエーテルの仕込み方法としては、特に限定しないが、2回以上に分けた間欠仕込み、あるいは、仕込みに間をおかない連続的仕込み方法が好ましい。2回以上に分けた間欠仕込みとは、総仕込みポリエーテル量の内、一部のみを仕込んだ後一旦ポリエーテルの仕込みを停止した上で撹拌を継続し、しかるべき時間を空けた後、さらに残りの一部または全部を仕込む方法である。仕込みに間をおかない連続的仕込み方法とは、定量ポンプあるいは加圧移送等により、間をおかずに連続的に仕込む方法であり、仕込み速度は一定であっても変化しても良い。
この方法の利点として、さらに、以下の点も挙げられる。本発明における系での抽出操作においては、油滴が分散状態であることが非常に重要であり、水を撹拌しながら油相を仕込むことで初期には油滴分散状態が必ず確保できる。このまま油相を仕込み続けた場合、水量が少ないか、または粗製ポリエーテルの種類によっては、油滴分散状態が継続しないことがあるが、その際は、適当なモニタリング装置を用いて油滴分散か否かを監視し、油相仕込みを一旦中止する、等の対応をとることができる。この状態で所定時間撹拌を継続すると、通常、再び油滴分散状態に戻るので、油相仕込み再開の判断ができ、工業的な安定運転の視点で非常に意義が大きい。油滴分散状態をモニタリングする装置の例としては、静電容量式レベルセンサーあるいは導電率センサーが挙げられる。
粗製ポリエーテルと水の混合物を5分以上、好ましくは10分以上攪拌混合し、水溶性化合物の抽出を行なった後に、攪拌混合を停止すると油水分離が起こる。この抽出と水相の分離の一連の操作を行う回数は、1回だけ行ってもよく、複数回行っても良い。好ましくは1〜10回、より好ましくは2〜5回である。水相を分離した後のポリエーテル相中の残存金属塩量が多い場合は、この抽出と水相の分離の一連の操作を繰り返すことで残存金属塩量の極めて少ない高度な精製レベルを達成することが出来る。このとき、1回目の油相仕込みは水中へ攪拌下に行うが、油相中の水溶性化合物の大部分が抽出除去されていると思われる場合、2回目以降は、油水分離操作により水相を分けた油相に水相を添加して、その後に撹拌を開始しても問題ない。
粗製ポリエーテルから水により水溶性化合物を除去する場合、静置分離等によりポリエーテル相と水相を分離する必要がある。この際、分離されたポリエーテル相には溶解あるいは微分散した水滴が残存水として存在する。この残存水には、除去すべき水溶性化合物が分離された水相と同濃度で含有されている。精製したポリエーテルを得る際には蒸発操作等によりポリエーテル中の残存水を除去する必要があるが、この際、残存水中の水溶性化合物は精製ポリエーテル中に残留することになる。従って、不純物である水溶性化合物量の少ない高度に精製されたポリエーテルを得るためには、ポリエーテル相中の残存水量を少なくすることが重要である。ポリエーテル相中の残存水量が少ないことの利点として、大きく以下の2点が挙げられる。まず一つ目は、ポリエーテル相中に不純物を含む水量が少ないため、高度な精製レベルを得るための抽出と水相分離の一連の操作を繰り返す際の、水量および繰り返し回数を少なくできる。二つ目は、ポリエーテル相から水分を除去する際、例えば脱揮による場合、必要時間を大幅に低減できる。水の脱水に際しては、その蒸発潜熱の大きさから、残存水量の低減は、工業操作上、時間短縮やエネルギー節減などの点で非常に大きな意味を持つ。
なお、上記した撹拌混合の時間とは、バッチ式の攪拌槽であれば理解し易く説明するまでもないが、連続式の攪拌槽の場合は平均滞留時間のことを意味する。この場合の平均滞留時間とは、(連続式装置内容積)/(平均処理流量)と定義される。
ポリエーテル相と水相とを分離する際の温度としては、50℃以上が好ましい。さらに好ましくは、分離性の観点から60℃以上であり、高い方が好ましい。ただし、140℃を超えると、ポリマーの劣化が懸念される。
分離に先立つ抽出時の温度は、ポリエーテル相と水相との分離温度に合わせることが実用上好ましく60〜140℃が好ましい。また、抽出速度が速く出来る点から、より高い温度が好ましい。
基本的に、油水分離性を向上させるために有機溶剤を添加する必要は無い。このことは、後工程で有機溶剤を留去する必要が無いことを意味し、本発明の大きな特徴の一つである。ただし、ポリマーが非常に高粘度である場合や水相分離後の油相中の残存水分量を低減させたい場合には有機溶剤を添加することもできる。その添加量は、上記効果を得るためには粗製ポリエーテル100重量部に対して1重量部以上が好ましい。一方、抽出温度における有機溶剤の蒸気圧を上げすぎないためには有機溶剤の添加量は50重量部以下に止めることが好ましい。必要以上の有機溶剤の添加は、抽出装置の高額化を招き、実用上好ましくない。
基本的には必要ないが、上述の理由等で有機溶剤を添加する場合には、粗製ポリエーテルを溶解させかつ水とは実質的に溶解しない、つまり水と相分離するものを使用するのが好ましい。
前記のごとき有機溶剤としては、例えば脂肪族、脂環式または芳香族系の炭化水素系溶剤、エーテル系溶剤、これらのハロゲン化物などがあげられる。これらの具体例としては、例えばブタン類、ペンタン類、ヘキサン類、ヘプタン類、オクタン類、ノナン類、デカン類、ドデカン類、シクロヘキサン、シクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン類、ブタノール、ペンタノール、メチルエーテル、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、塩化メチレン、メチルクロロホルム、四塩化炭素、ジクロロジフルオロメタン、パークロロエチレン、塩素原子、臭素原子および(または)ヨウ素原子で1個以上置換されたベンゼン系溶剤やトルエン系溶剤などがあげられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。最も好ましい例としては、n−ヘキサンが挙げられる。
粗製ポリエーテルと水との使用割合は、特に限定する必要は無いが、以下の理由により、粗製ポリエーテル100部に対して水20〜1000重量部が好ましい。水量が少ないと必要な精製レベルを満足させるため抽出および水相分離の回数を重ねる必要があるが、バッチ式抽出の場合は槽容量の観点から使用する水量を少なくして抽出と水相分離を繰り返すこの方法が好ましい。また、水の使用量が20重量部より少ないと、水のほぼ全量が油相中に溶解あるいは微分散して取りこまれ、分離しなくなる傾向にある。一方、水量が多いと先述の抽出および水相分離の回数を少なくすることができるが、バッチ式では容器が大きくなるため工業的には不向きであり、水量を多くする条件は、むしろ連続式に適した方法である。どちらを選定するかは現実に即したその他の制約で決めることが出来る。
油水分離方式としては、攪拌槽において攪拌停止後に静置分離する方法、あるいは攪拌槽から出た処理液を静置槽にて分離するミキサー/セトラー型方式、あるいは遠心分離機を用いた方法等、一般的な油水分離方式から選定できる。
このような油水分離方法により得られた精製ポリマーに対して、ポリマー中に溶解あるいはわずかに分散している水相は、80〜130℃程度に加熱しながら真空ポンプ等を用いて減圧脱揮することで除去することが出来、次の反応にも使用出来得る高度に精製されたポリエーテルを容易に得ることが出来る。
以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。
(製造例1)
数平均分子量3000のポリプロピレングリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、水酸基末端ポリエーテルオリゴマーを得た。続いてこの水酸基末端ポリエーテルオリゴマーの水酸基に対して1.2倍当量のナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加してメタノールを留去した上で元の水酸基に対して1.5倍当量の3−クロロ−1−プロペンを添加することで、末端の水酸基をアリル基に変換した。その後、残存する3−クロロ−1−プロペンを留去することで粗製ポリエーテルAを得た。ポリエーテルAのGPCにおけるポリスチレン換算での数平均分子量は15000であった。
(製造例2)
製造例1と同様の方法において、開始剤とプロピレンオキシドの仕込み量の調整により、GPCにおけるポリスチレン換算での数平均分子量が26000であるポリエーテルBを得た。
(実施例1)
内容積0.003mのステンレス製攪拌槽内にイオン交換水0.4kgを仕込み、その水を90℃で攪拌下、ポリエーテルA0.8kgの内、まず0.4kgを仕込み1時間撹拌した。撹拌槽に設置のサイトグラスから10分時点でポリエーテルの液滴(以下、油滴)分散状態が観察できた。その後0.2kgのポリエーテルAを同様に仕込み2時間撹拌を継続した。仕込み後30分で同様に油滴分散状態が観察できた。さらに残りの0.2kgのポリエーテルAを同様に仕込み1時間撹拌を継続した。仕込み後10分で油滴分散状態が観察できた。10分間静置した後の最終的な分離水量は0.3kgであり、良好な油水分離性を有していた。この分離した水相の電気伝導度を測定したところ33mS/cmであった。水相の電気伝導度は京都電子工業製CM−117を用いて測定した。水との撹拌混合前のポリエーテルA中の含有NaCl量は、仕込み量から計算して約1.2%である。結果を表1にまとめる。
Figure 0005189259
(実施例2)
実施例1と同様の装置内にイオン交換水0.4kgを仕込み、その水を90℃で攪拌下、ポリエーテルBを別容器から窒素による圧力によりほぼ一定速度で連続的に仕込んだ。30分かけてポリエーテルBを0.8kg仕込み、仕込み完了後さらに1時間撹拌を継続した。ポリエーテルBの仕込み中からずっと油滴分散状態が観察された。10分間静置した後の最終的な分離水量は0.3kgであり、良好な油水分離性を有していた。
水との撹拌混合前のポリエーテルB中の含有NaCl量は、仕込み量から計算して0.8%である。ポリエーテルBと水の撹拌混合後には、ポリエーテル中のNaClは水相に抽出される。静置した後の分離水は除去できるが、静置後にポリエーテル中に微分散している水滴は除去できず、ポリエーテル中に残存する。従って、分離水量が多いこと、すなわちポリエーテル相中の残存水が少ないことが、ポリエーテル相中の残存金属量が少ない良好な精製を意味する。この実施例2では、0.4kgの水を仕込んで0.3kgの水相が分離された。この水相の電気伝導度を測定したところ23mS/cmであり、時間の経過と共にそれ以上の数値を示さなかったので、ポリエーテルからのNaClの抽出は完了したと解釈できる。その結果、ポリエーテルB中の75%のNaClが除去できた計算になる。この実施例では、水溶性化合物としてNaClを代表として扱った。また、水相の電気伝導度の指示値ではNaCl以外の水溶性化合物の影響を区別できないが、NaCl量に比べて微量と考えられるので、無視してNaClの検量線からNaCl量として換算して求めた。結果を表2にまとめる。
Figure 0005189259
(比較例1)
実施例1において、ポリエーテルA0.8kgを全て仕込んだ後に撹拌を開始して水との混合を行った以外は同様に行った。4時間撹拌を継続したが、撹拌中に油滴は観察されず、10分間静置後に水は全く分離されなかった。
(比較例2)
実施例2において、ポリエーテルB0.8kgを全て仕込んだ後に撹拌を開始して水との混合を行った以外は同様に行った。1.5時間撹拌を継続した。撹拌開始直後に油滴は観察されなかったが、後半にようやく油滴分散状態が観察された。10分間静置した後の最終的な分離水量は0.2kgであり、非常に少なかった。この水相の電気伝導度を測定したところ23mS/cmであった。

Claims (12)

  1. 粗製ポリエーテルから水溶性化合物を水により抽出し除去する工程を含むポリエーテルの製造方法であって、
    粗製ポリエーテルは、有機溶剤が添加されていないか、添加量が粗製ポリエーテル100重量部に対して50重量部以下の粗製ポリエーテルであり、
    撹拌している水中に粗製ポリエーテルを仕込んで混合した後、ポリエーテル相と水相とを分離する操作を少なくとも1回含むポリエーテルの製造方法。
  2. 粗製ポリエーテルの仕込み方法が、2回以上に分けた間欠仕込みである請求項1に記載のポリエーテルの製造方法。
  3. 粗製ポリエーテルの仕込み方法が、仕込みに間を空けない連続的仕込み方法である請求項1に記載のポリエーテルの製造方法。
  4. 粗製ポリエーテルが、金属系触媒の存在下イニシエーターにアルキレンオキシドを反応させて得られる水酸基含有ポリエーテルまたはその変性物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエーテルの製造方法。
  5. アルキレンオキシドの90重量%以上が炭素数3以上のアルキレンオキシドである、請求項4に記載のポリエーテルの製造方法。
  6. アルキレンオキシドが、プロピレンオキシドである、請求項4に記載のポリエーテルの製造方法。
  7. 金属系触媒が、複合金属シアン化物錯体化合物触媒である、請求項4〜6のいずれかに記載のポリエーテルの製造方法。
  8. 粗製ポリエーテルが、不飽和基含有ポリエーテルである、請求項4〜7のいずれかに記載のポリエーテルの製造方法。
  9. 不飽和基含有ポリエーテルが、複合金属シアン化物錯体化合物触媒の存在下イニシエーターにアルキレンオキシドを反応させて水酸基含有ポリエーテルを得た後、該水酸基含有ポリエーテルをアルカリ金属アルコキシドとし、次いで不飽和基含有ハロゲン化炭化水素を反応させて得られる不飽和基含有ポリエーテルである、請求項8に記載のポリエーテルの製造方法。
  10. 不飽和基が、アリル基である、請求項8〜9のいずれか1項に記載のポリエーテルの製造方法。
  11. 水溶性化合物が、亜鉛塩、コバルト塩およびアルカリ金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリエーテルの製造方法。
  12. ポリエーテルの数平均分子量が1000〜100000である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリエーテルの製造方法。
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