JP2008019324A - ポリエーテルの製造方法 - Google Patents

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直孝 金川
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Abstract

【課題】 水溶性化合物を含有するポリエーテルから該水溶性化合物を水により抽出し除去する際のポリエーテル相中の不純物含量を低減し、透明性に優れたポリエーテルを製造する方法を提供することにある。また、該水溶性化合物が抽出され、残存している水溶性化合物が減少した際、ポリエーテルと水を強攪拌した後の油水分離時に水相が白濁するのを抑制する方法を提供する。
【解決手段】 水溶性化合物を含有するポリエーテルから該水溶性化合物を水により抽出し除去する工程を含むポリエーテルの製造方法であって、硫酸ナトリウムを添加して混合した上で、ポリエーテル相と水相とを分離する操作を少なくとも含むポリエーテルの製造方法により上記課題を解決する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、水溶性化合物を含有するポリエーテル(以下、粗製ポリエーテルという)から該水溶性化合物を水により抽出し除去する工程を含む精製されたポリエーテルの製造方法に関する。
従来から多種の高分子物質(例えば、ポリエーテル等)が工業的に製造されているが、これらの高分子物質は不純物を含む高分子物質(粗製高分子物質)を精製し不純物を除去しているのが通常である。
このような粗製高分子物質に含有される不純物の一つにアルカリ金属化合物や複合金属シアン化物錯体に起因する金属化合物があり、例えば次のようなものが例示される。
(1)イニシエーターにアルキレンオキシドを反応させて製造した水酸基含有ポリエーテルでは、触媒として複合金属シアン化物錯体触媒が用いられ、これがそのままあるいは変性した分解物として、生成する高分子物質中に残存する。
(2)アルキレンオキシドを付加重合させてポリプロピレンオキシドなどのオキシアルキレン系重合体を製造する場合、触媒として水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリ金属化合物が用いられ、これがそのままあるいは塩として生成する高分子物質中に残存する。
(3)水酸基やカルボキシル基を有するオキシアルキレン系重合体やジエン系重合体のような官能基を有する重合体とエピクロルヒドリンや塩化アリルなどのハロゲン含有化合物とを反応させて他の官能基を有する重合体を製造する場合、触媒として水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリ金属化合物が用いられ、これがこのままあるいは塩として生成する高分子物質中に残存する。
この他にも、アルカリ土類金属化合物や遷移金属化合物のような金属化合物が混入している高分子物質は数多く存在する。
このような金属化合物が高分子物質中に残存すると種々の問題が生じるので、出来る限り除去することが望ましい。例えば、高分子物質をさらに反応させて用いる場合、金属化合物が反応速度や反応収率に影響を及ぼすことがあるので、金属化合物を十分除去する必要がある。さらに例示すると、白金系触媒存在下にメチルジメトキシシラン等をアリル基末端のポリエーテルと反応させる場合、不十分な除去による金属化合物の残存は反応速度を著しく低下させる。
通常は、吸着剤で処理する方法や中和後ろ過する方法さらに水を用いて抽出する等の方法で不純物を除去することが多い。これらの内、吸着剤で処理する方法では、大量の金属化合物を処理するのには適していない、金属化合物が塩であるとき使用可能な吸着剤の種類が少ない、といった問題がある。また、ろ過による方法では、中和塩類の結晶肥大化が必要である、水が存在する場合には塩が溶解する、といった問題がある。このような問題や他の理由から、抽出分離する方法が適している場合も多い。
抽出分離法は、粗製高分子物質と水とを良く接触させて金属化合物を水溶性塩として水中に移行させ、その後高分子物質と水とを分離する方法である。このような水を用いる抽出方法は親水性の高い高分子物質では利用できず、さらに疎水性の高分子物質であってもその原料中に親水性の不純物が微量に含有されている場合は、極めて乳化しやすいため工業的には制約が大きい。抽出効率を高めるため激しい攪拌を行うと、乳化が起こって後の高分子物質と水との分離に長時間を要したり、巨大な設備が必要になる場合がある。また、乳化状態になるのを防ぐために撹拌を穏やかに行うと、金属化合物の抽出が不十分になる。そこで抽出効率を高め、かつ分離性を高めるという相矛盾する技術の確立が必要となっている。不飽和基含有ポリエーテルに限らず、上記のような性質を有する高分子量のポリエーテルに対し、汎用性の高い精製方法を用いた製造方法を確立することが望まれている。
その一例として、積極的に油水分離を促進させるため遠心分離による方法が開示されている(特許文献3)。また、一般的な抽出分離法に用いる装置としては、スプレー塔、撹拌型、往復運動式などの連続向流抽出塔や遠心分離器が用いられ、開示もされている(特許文献1、3)。これらの公開特許公報では、高分子としてポリエーテルと水とを撹拌翼を有する高速撹拌型撹拌槽中で撹拌した後、遠心分離器、向流接触式攪拌塔内あるいはフィルターを用いてポリエーテル相と水相とを分離する方法を提供している。また、ピロリン酸二水素ナトリウムなどの化合物を添加してポリエーテル中の塩を不溶性の塩にし、水相分離後にろ過除去する方法が開示されている(特許文献2)。しかし、これらの方法では、抽出効率を高めるために高速攪拌を伴う撹拌槽および高価な遠心分離器あるいはフィルターを用いる必要がある点が改善を必要とする課題と考えられる。
一方、乳化した水と油を分離する一般的な方法として、解乳化剤を添加する方法が知られている。非特許文献1には、エマルションブレーカーと呼ばれる一種の界面活性剤が原油からの水の分離に有用であることが記載されている。さらに「界面活性剤以外で,エマルションの乳化を破壊し,油と水に分離する目的に食塩などの無機塩が有効なこともある。」とも記載されているが、食塩以外で有効な無機塩については具体的な記載が無い。非特許文献2には、エマルションを破壊する方法として無機塩の添加、温度変化、酸の添加などが説明されており、無機塩としては「CaCl2,MgCl2などの多価カチオン」が例示されている。ただし、これらの文献に記載の方法は、水中にポリエーテルなどのポリマー滴が微分散したエマルションに対しては、有効でない場合がある。
特開2002−249580号公報 特開平8−231707号公報 特開平1−294733号公報 高分子薬剤入門 三洋化成工業(株)発行 藤本武彦監修 1992年 分散・乳化系の化学 工学図書(株)発行 北原文雄、古澤邦夫著 1979年
本発明の目的は、水溶性化合物を含有するポリエーテルから該水溶性化合物を水により抽出し除去する際のポリエーテル相中の不純物含量を低減し、透明性に優れたポリエーテルを製造する方法を提供することにある。また、該水溶性化合物が抽出され、残存している水溶性化合物が減少した際、ポリエーテルと水を強攪拌した後の油水分離時に水相が白濁するのを抑制する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究した結果、硫酸ナトリウムの添加が予想外に優れた効果を奏することを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明は、水溶性化合物を含有するポリエーテル(粗製ポリエーテル)から該水溶性化合物を水により抽出し除去する工程を含むポリエーテルの製造方法であって、硫酸ナトリウムを添加して混合した後、ポリエーテル相と水相とを分離する操作を少なくとも1回含むポリエーテルの製造方法に関する。
好ましくは、粗製ポリエーテルと水とを攪拌混合しながら硫酸ナトリウムを添加し、その後ポリエーテル相と水相とを分離することを特徴とする前記ポリエーテルの製造方法である。
好ましくは、粗製ポリエーテルと水とを攪拌混合した後に静置し、水相に硫酸ナトリウムを添加して弱攪拌し、その後ポリエーテル相と水相とを分離することを特徴とする
前記ポリエーテルの製造方法である。
好ましくは、硫酸ナトリウムの添加量が、粗製ポリエーテル100重量部に対して0.01〜1重量部である。
好ましくは、粗製ポリエーテルが、金属系触媒の存在下イニシエーターにアルキレンオキシドを反応させて得られる水酸基含有ポリエーテルまたはその変成物である。
好ましくは、前記アルキレンオキシドの90重量%以上が炭素数3以上のアルキレンオキシドである。
好ましくは、アルキレンオキシドが、プロピレンオキシドである。
好ましくは、金属系触媒が、複合金属シアン化物錯体化合物触媒である。
好ましくは、粗製ポリエーテルが、不飽和基含有ポリエーテルである。
より好ましくは、不飽和基含有ポリエーテルが、複合金属シアン化物錯体化合物触媒の存在下イニシエーターにアルキレンオキシドを反応させて水酸基含有ポリエーテルを得た後、該水酸基含有ポリエーテルをアルカリ金属アルコキシドとし、次いで不飽和基含有ハロゲン化炭化水素を反応させて得られる不飽和基含有ポリエーテルである。
さらに好ましくは、不飽和基として、アリル基が例示される。
好ましくは、水溶性化合物が、ポリエーテルの重合で用いられる触媒に由来する、亜鉛塩、コバルト塩およびアルカリ金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
好ましくは、ポリエーテルの数平均分子量が、1000〜100000である。
本発明によれば、塩基性アルカリ金属化合物と酸との無機塩含量あるいは複合金属シアン化物錯体触媒に起因する金属塩等の水溶性化合物含量の極めて少なく透明性に優れたポリエーテルを、簡単な装置および短時間で得ることが出来る。また、このようにして得たポリエーテルを原料に用いると安定して高品質なポリエーテルを作ることが出来る。
また、本発明によれば、ポリエーテルと水を強攪拌した後の油水分離時に、白濁した水相中に微分散しているポリエーテル量を大幅に低減出来るため、水相中へのポリエーテルのロスを抑えることが出来る。
本発明における水溶性化合物を含有する粗製ポリエーテルにはとくに限定はなく、どのような粗製ポリエーテルでも用いることが出来る。粗製ポリエーテル、すなわち、水溶性化合物を含有するオキシアルキレン系重合体は1種の反復単位からなる単独重合体であってもよく、共重合体であっても良い。また、重合体を反応させ、他の重合体に変換したものであっても良い。
オキシアルキレン系重合体とは、−R−O−で表される反復単位を主として有する(好ましくは全重合体中の50%(重量%、以下同様)以上、さらに好ましくは80%以上)重合体であり、−R−としては、例えば−CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、−CH(C25)CH2−、−C(CH32CH2−、−(CH24−などが例示されうる。ただし、特にポリエーテルが、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)におけるポリスチレン換算での数平均分子量が1000から100000であることが好ましい。数平均分子量が1000未満でも100000を超えても、ポリエーテル相と水相との十分な分離性が得られない場合がある。
オキシアルキレン系重合体は、末端が水酸基のままのものであっても良いが、水酸基含有ポリエーテルをアルカリ金属化合物と反応させて末端を変換した後、次いで不飽和基含有ハロゲン化炭化水素を反応させて得られる不飽和基含有ポリエーテルであっても良い。
不飽和基含有ハロゲン化炭化水素としては、炭素数4以下のポリハロゲン化不飽和炭化水素、あるいは炭素数10以下のモノハロゲン化不飽和炭化水素が例示される。
ハロゲンとしては、塩素或いは臭素が好ましい。不飽和基含有ハロゲン化炭化水素としては、特に塩化アルケニル、臭化アルケニルなどのハロゲン化アルケニルが好ましい。ハロゲン化アルケニルとしては、特に塩化アリル、塩化メタリルまたは臭化アリルが好ましい。
ポリエーテル中の除去対象となる水溶性化合物としては、亜鉛塩、コバルト塩および/またはアルカリ金属塩等の、アルカリ金属化合物または複合金属シアン化物錯体触媒由来の化合物等が例示できる。
アルカリ金属化合物は、重合やポリエーテルを変性するための反応の触媒等として用いられたものがそのままあるいは他の化合物になったものとして粗製ポリエーテル中に残存しているものである。
アルカリ金属化合物等の金属化合物の具体例としては、例えばNa、Kのごときアルカリ金属;NaHのごときアルカリ金属水素化物;NaOCH3、NaOC25のごときアルカリ金属アルコキシド;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのごとき水酸化アルカリ;HCOONa、CH3COONa、C25COONa、HCOOK、CH3COOK、C25COOKなどのカルボン酸などの有機酸のアルカリ金属有機酸塩;NaCl、Na2SO4、Na2CO3、NaHCO3、Na3PO4、Na2HPO3、NaNO3、KCl、K2SO4、K2CO3、KHCO3、K3PO4、K2HPO3、KNO3などのハロゲン化水素、硫酸などの酸のアルカリ金属無機塩などがあげられる。
なお、Na、Kなどはアルカリ金属であるが、本明細書においてはアルカリ金属化合物の一種として考えるものとする。また、NaH、NaOCH3などはこの状態のままで水中に抽出されることはないが、他のアルカリ金属化合物として水中に抽出される。
粗製ポリエーテルを複合金属シアン化物錯体触媒を用いて得る場合には、この触媒に起因する金属塩が粗製ポリエーテル中に残存する。ここで、複合金属シアン化物錯体触媒とは、亜鉛ヘキサシアノコバルテートを主成分とする錯体化合物が代表例として挙げられ、そのエーテル錯体化合物などが良く知られている。その組成は、例えば、米国特許3427256号公報に記載されているものが使用できる。エーテルとしては、エチレングリコールジメチルエーテル(グライム)等がある。
本発明は、非常に驚いたことに、油相として粗製ポリエーテルと水相として添加の水を攪拌、混合させた後に静置分離させた際、水相が白濁する場合において、硫酸ナトリウムを添加して混合するだけで、水相が白濁することを抑制し、微分散しているポリエーテル量を大幅に低減出来ることを明らかにした。また、水相の白濁が抑制されると、ポリエーテル中の残存金属塩量が極めて少なくなるまで精製することが可能になるので、静置分離後のポリエーテル中の含有水を脱揮して除去することにより透明性の優れたポリエーテルを得ることが出来る。
詳述すると、粗製ポリエーテルと水の混合物を5分以上、好ましくは10分以上攪拌混合し、水溶性化合物の抽出を行った後に、攪拌混合を停止すると油水分離が起こる。この抽出と水相の分離の一連の操作を行う回数は、1回だけ行ってもよく、複数回行っても良い。好ましくは1〜10回、より好ましくは2〜5回である。水相を分離した後のポリエーテル相中の残存金属塩量が多い場合は、この抽出と水相の分離の一連の操作を繰り返すことで残存金属塩量の極めて少ない高度な精製レベルを達成することが出来る。1回目の抽出分離操作時においては、硫酸ナトリウムを添加せずに強攪拌しても、良好な油水分離性を確保出来ることがある。しかし、2回目以降の抽出攪拌操作時において、強攪拌することによって、水相が白濁することがある。これは油水分離後の水相の電気伝導度が1.5mS/cm以下となっている場合に発生しやすい。その際に硫酸ナトリウムを添加すると、水相中の微分散しているポリエーテル量を大幅に低減させることが出来る。また、静置分離後のポリエーテル中の含有水を脱揮して除去した場合に透明性の優れたポリエーテルを得ることが出来る。
抽出と水相の分離の一連の操作を行う回数が2回以上である場合、硫酸ナトリウムの添加は全ての回において添加しても良く、任意の回だけ添加しても良い。少ない工程数と少量の硫酸ナトリウムで効率良く精製できるという点からは、抽出と水相の分離の一連の操作を硫酸ナトリウムを添加せずに1回以上行った後、硫酸ナトリウムを添加して1回以上行うことが好ましい。
硫酸ナトリウムの添加量は、粗製ポリエーテル100重量部に対して0.01〜1重量部が好ましく、0.02〜0.5重量部がより好ましい。硫酸ナトリウムを添加する方法には特に限定が無く、例えばあらかじめ水に溶解した硫酸ナトリウムを粗製ポリエーテルに添加することもできる。あるいは、水に溶解させず固体として添加することもできる。
硫酸ナトリウムを添加する順序には特に限定が無い。例えば、粗製ポリエーテルと水を混合攪拌する前にあらかじめ硫酸ナトリウムを添加しても良く、粗製ポリエーテルと水とを攪拌混合しながら硫酸ナトリウムを添加した後に油水分離を行っても良い。あるいは油水分離したあとの白濁した水相に、水に溶解した硫酸ナトリウムを添加して弱攪拌することでも同様の効果を得ることができる。操作が簡便になるという点からは、粗製ポリエーテルと水とを攪拌混合しながら硫酸ナトリウムを添加した後に油水分離することが好ましい。油相中に硫酸ナトリウムが混入するのを防ぐという点からは、油水分離したあとの白濁した水相に、水に溶解した硫酸ナトリウムを添加して弱攪拌することが好ましい。
なお、硫酸ナトリウムを添加する際には、静置分離後の水相の電気伝導度が1.5mS/cm以下であり、添加することによって水相の電気伝導度が1.5mS/cm以上となることが好ましい。さらに好ましくは、硫酸ナトリウム添加後の水相の電気伝導度が3mS/cm以上となることである。
なお、上記した撹拌混合の時間とは、バッチ式の攪拌槽であれば理解し易く説明するまでもないが、連続式の攪拌槽の場合は平均滞留時間のことを意味する。この場合の平均滞留時間とは、(連続式装置内容積)/(平均処理流量)と定義される。
ポリエーテル相と水相とを分離する際の温度としては、50℃以上が好ましい。さらに好ましくは、分離性の観点から60℃以上であり、高い方が好ましい。ただし、140℃を超えると、ポリマーの劣化が懸念される。
分離に先立つ抽出時の温度は、ポリエーテル相と水相との分離温度に合わせることが実用上好ましく60〜140℃が好ましい。また、抽出速度が速く出来る点から、より高い温度が好ましい。
基本的に、油水分離性を向上させるために有機溶剤を添加する必要は無い。このことは、後工程で有機溶剤を留去する必要が無いことを意味し、本特許の大きな特徴の一つである。ただし、ポリマーが非常に高粘度である場合や水相分離後の油相中の残存水分量を低減させたい場合には有機溶剤を添加することもできる。その添加量は、上記効果を得るためには粗製ポリエーテル100重量部に対して1重量部以上が好ましい。一方、抽出温度における蒸気圧を上げすぎないためには50重量部以下に止めることが好ましい。必要以上の有機溶剤の添加は、抽出装置の高額化を招き、実用上好ましくない。
基本的には必要ないが、上述の理由等で有機溶剤を添加する場合には、粗製ポリエーテルを溶解させかつ水とは実質的に溶解しない(水と相分離する)ものを使用するのが好ましい。
前記のごとき有機溶剤としては、例えば脂肪族、脂環式または芳香族系の炭化水素系溶剤、エーテル系溶剤、これらのハロゲン化物などがあげられる。これらの具体例としては、例えばブタン類、ペンタン類、ヘキサン類、ヘプタン類、オクタン類、ノナン類、デカン類、ドデカン類、シクロヘキサン、シクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン類、ブタノール、ペンタノール、メチルエーテル、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、塩化メチレン、メチルクロロホルム、四塩化炭素、ジクロロジフルオロメタン、パークロロエチレン、塩素原子、臭素原子および(または)ヨウ素原子で1個以上置換されたベンゼン系溶剤やトルエン系溶剤などがあげられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。最も好ましい例としては、n−ヘキサンが挙げられる。
粗製ポリエーテルと水との使用割合は、特に限定する必要は無いが、以下の理由により、粗製ポリエーテル100部に対して水20〜1000重量部が好ましい。水量が少ないと必要な精製レベルを満足させるため抽出および水相分離の回数を重ねる必要があるが、バッチ式抽出の場合は槽容量の観点でこの方法が好ましい。また、水の使用量が20重量部より少ないと、水のほぼ全量が油相中に溶解あるいは微分散して取りこまれ、分離しなくなる傾向に有る。一方、水量が多いと先述の抽出および水相分離の回数を少なくすることができるが、バッチ式では容器が大きくなるため工業的には不向きであり、むしろ連続式に適した方法である。どちらを選定するかは現実に即したその他の制約で決めることが出来る。
油水分離方式としては、攪拌槽において攪拌停止後に静置分離する方法、あるいは攪拌槽から出た処理液を静置槽にて分離するミキサー/セトラー型方式、あるいは遠心分離機を用いた方法等、一般的な油水分離方式から選定できる。
このような油水分離方法により得られた精製ポリマーに対して、ポリマー中に溶解あるいはわずかに分散している水相は、80〜130℃程度に加熱しながら真空ポンプ等を用いて減圧脱揮することで除去することが出来、次の反応にも使用出来得る高度に精製されたポリエーテルを容易に得ることが出来る。
以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。
(製造例1)
分子量3000のポリプロピレングリコールと分子量3000のポリプロピレントリオールを同重量ずつ混合したものを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体触媒にてプロピレンオキサイドの重合を行い、水酸基末端ポリエーテルオリゴマーを得た。続いてこの水酸基末端ポリエーテルオリゴマーに対してナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、さらに3−クロロ−1−プロペンを添加して末端の水酸基をアリル基に変換して粗製ポリエーテルAを得た。ポリエーテルAのGPCにおけるポリスチレン換算での数平均分子量は19000であった。
内径0.3m,内容積0.05m3のステンレス製攪拌槽内に粗製ポリエーテルA17kg(100重量部)とイオン交換水8.5kg(50重量部)を仕込み、90℃下、攪拌翼を用いて60分間攪拌した。攪拌翼としては、翼径0.21mの大型格子翼を用い、230rpmで攪拌した。攪拌停止後、下層の水相を抜出した。その後、さらに1回目と同様にイオン交換水6.8kg(40重量部)を仕込み、攪拌時間を30分にしたこと以外は同条件で2回目および3回目の攪拌を行った。攪拌停止後、下層の水相を抜出した。静置分離後のポリエーテル層を加熱・混合して液温を約115℃に保持しながら真空ポンプを用いてポリエーテル中の含有水を脱揮して除去してポリエーテルBを得た。
(実施例1)
製造例1にて得られたポリエーテルBを用いて、内容積0.003m3のステンレス製攪拌槽内にポリエーテルB0.8kg(100重量部)と硫酸ナトリウム0.0012kg(0.15重量部)(試薬特級、関東化学工業)を溶解したイオン交換水0.4kg(50重量部)を仕込み、90℃下、攪拌翼を用いて60分間、強攪拌した。攪拌停止後、下層の水相を抜出した。その後、加熱・混合して液温を約115℃に保持しながら真空ポンプを用いてポリエーテル中の含有水を脱揮して除去し、精製ポリエーテルを得た。精製ポリエーテルの透過度の測定を行った。測定には分光光度計(HITACHI製、ダブルビーム分光光度計、型式U−2000形)を用いて、波長660nmを吸光度として濁りの指標とした。数値が小さいことは透明性が高いことを意味する。結果を表1に示す。
(実施例2)
製造例1において、最終の真空ポンプを用いた脱揮前の時点で、硫酸ナトリウムをイオン交換水8.5kg(50重量部)に対して0.00425kg(0.025重量部)添加して強攪拌を行った。攪拌停止し静置分離後、下層の水相を一部抜き出したところ、水相の白濁はごくわずかであった。抜き出した水相について、濾紙を用いて微分散したポリマー滴を除去した後、溶液導電率計(京都電子工業(株)製、型式CM−117)を用いて電気伝導度を測定した。また、水相中のポリエーテルの存在量を調べるために、水相とn−ヘキサンを混合し、ポリエーテルをn−ヘキサンに溶解させ静置分離後のn−ヘキサン層を取り出して、加熱して液温を約60℃に保持しながら真空ポンプを用いてn−ヘキサンを脱揮、除去してポリマー分の重量を算出し、水相100部に対するポリエーテル量を求めた。結果を表2に示す。
(実施例3)
製造例1において、最終の真空ポンプを用いた脱揮前の時点で、硫酸ナトリウムをイオン交換水8.5kg(50重量部)に対して0.00425kg(0.025重量部)添加して強攪拌を行った。攪拌停止し静置分離後、硫酸ナトリウムをイオン交換水50重量部に対して0.125重量部を水相にのみ添加した。添加後、油水界面が混合しない程度の弱攪拌を行った。攪拌停止後、下層の水相を抜き出したところ、水相の白濁は解消されポリエーテルの存在量は大幅に減少していた。抜き出した水相について、実施例2と同様の方法で電気伝導度を測定し、また、水相中のポリエーテルの存在量を調べた。結果を表2に示す。
(実施例4)
製造例1において得られたポリエーテルAを用いて、内容積0.003m3のステンレス製攪拌槽内にポリエーテルB0.8kg(100重量部)とイオン交換水0.4kg(50重量部)を仕込み、90℃下、攪拌翼を用いて60分間、強攪拌した。攪拌停止後、下層の水相を抜出した。その後、イオン交換水0.32kg(40重量部)を仕込み、1回目と同様に攪拌を行った。攪拌停止後、下層の水相を抜出した。その後、さらに硫酸ナトリウム0.00032kg(0.05重量部)を溶解したイオン交換水0.32kg(40重量部)を仕込み、攪拌時間を30分にしたこと以外は同条件で3回目および4回目の攪拌を行った。攪拌停止後、下層の水相を抜出した。4回目の抜き出した水相について、実施例2と同様の方法で電気伝導度を測定し、また、水相中のポリエーテルの存在量を調べた。結果を表2に示す。
(実施例5)
実施例4において,3回目および4回目での硫酸ナトリウムの添加量を0.00016kg(0.025重量部)としたこと以外は同様にして、攪拌および油水分離操作を4回行った。4回目の抜き出した水相について、実施例2と同様の方法で電気伝導度を測定し、また、水相中のポリエーテルの存在量を調べた。結果を表2に示す。
(比較例1)
実施例1において、添加した試薬を塩化ナトリウム(試薬特級、和光純薬)としたこと以外は同様に行い、精製ポリエーテルを得た。実施例1と同様に精製ポリエーテルの透過度の測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1において、添加した試薬を硫酸マグネシウム(試薬特級、ナカライテクス)としたこと以外は同様に行い、精製ポリエーテルを得た。実施例1と同様に精製ポリエーテルの透過度の測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例2において、硫酸ナトリウムをまったく添加しないこと以外は同様に行い、静置分離後の水相について電気伝導度を測定した。また、水相中のポリエーテルの存在量を調べた。結果を表2に示す。
(比較例4)
実施例4において,3回目および4回目に硫酸ナトリウムを添加しないこと以外は同様にして、攪拌および油水分離操作を4回行った。4回目の抜き出した水相について、実施例2と同様の方法で電気伝導度を測定し、また、水相中のポリエーテルの存在量を調べた。結果を表2に示す。
表1に示すように、硫酸ナトリウムを用いた実施例1では、塩化ナトリウムを用いた比較例1や硫酸マグネシウムを用いた比較例2に比べて、得られるポリエーテルが透明性の高いものとなった。また、表2に示すように、硫酸ナトリウムを用いた実施例2、3あるいは実施例4,5では、硫酸ナトリウムを用いない比較例3あるいは比較例4に比べて、水相中に残留してロスするポリエーテル量が大幅に少ないものとなった。

Claims (13)

  1. 粗製ポリエーテルから水溶性化合物を水により抽出し除去する工程を含むポリエーテルの製造方法であって、硫酸ナトリウムを添加して混合した後、ポリエーテル相と水相とを分離する操作を少なくとも1回含むポリエーテルの製造方法。
  2. 粗製ポリエーテルと水とを攪拌混合しながら硫酸ナトリウムを添加し、その後ポリエーテル相と水相とを分離することを特徴とする請求項1に記載のポリエーテルの製造方法。
  3. 粗製ポリエーテルと水とを攪拌混合した後に静置し、水相に硫酸ナトリウムを添加して弱攪拌し、その後ポリエーテル相と水相とを分離することを特徴とする請求項1に記載のポリエーテルの製造方法。
  4. 硫酸ナトリウムの添加量が、粗製ポリエーテル100重量部に対して0.01〜1重量部である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエーテルの製造方法。
  5. 粗製ポリエーテルが、金属系触媒の存在下イニシエーターにアルキレンオキシドを反応させて得られる水酸基含有ポリエーテルまたはその変成物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエーテルの製造方法。
  6. アルキレンオキシドの90重量%以上が炭素数3以上のアルキレンオキシドである、請求項5に記載のポリエーテルの製造方法。
  7. アルキレンオキシドが、プロピレンオキシドである、請求項5に記載のポリエーテルの製造方法。
  8. 金属系触媒が、複合金属シアン化物錯体化合物触媒である、請求項5〜7のいずれかに記載のポリエーテルの製造方法。
  9. 粗製ポリエーテルが、不飽和基含有ポリエーテルである、請求項5〜8のいずれかに記載のポリエーテルの製造方法。
  10. 不飽和基含有ポリエーテルが、複合金属シアン化物錯体化合物触媒の存在下イニシエーターにアルキレンオキシドを反応させて水酸基含有ポリエーテルを得た後、該水酸基含有ポリエーテルをアルカリ金属アルコキシドとし、次いで不飽和基含有ハロゲン化炭化水素を反応させて得られる不飽和基含有ポリエーテルである、請求項9に記載のポリエーテルの製造方法。
  11. 不飽和基が、アリル基である、請求項9〜10のいずれか1項に記載のポリエーテルの製造方法。
  12. 水溶性化合物が、亜鉛塩、コバルト塩およびアルカリ金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリエーテルの製造方法。
  13. ポリエーテルの数平均分子量が1000〜100000である、請求項1〜12のいずれか1項に記載のポリエーテルの製造方法。
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