JP5189243B2 - 薬物複合体および薬物送達用担体 - Google Patents

薬物複合体および薬物送達用担体 Download PDF

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Description

本発明は、医薬化合物を標的部位に効率よく到達させることのできる薬物複合体および薬物送達用担体に関する。
例えば抗腫瘍剤等の薬物(医薬化合物)は、静脈内投与や経口投与などの投与経路により全身的に投与された後、特定の腫瘍部位に移行して癌細胞の増殖を阻害ないし抑制することにより治療効果を発揮する。しかしながら、全身投与された抗腫瘍剤は、血中から肝臓、脾臓、骨髄といった網内系臓器に速やかに取り込まれたり、あるいは腎臓から速やかに尿中に排泄されるために、血中濃度が低下し、腫瘍部位への移行が十分に行われない場合がある。
また、通常の抗腫瘍剤単独では、腫瘍部位への移行選択性(腫瘍選択性)が低いために、抗腫瘍剤が全身の様々な細胞や組織に満遍なく分布してしまい、正常な細胞や組織に対しても細胞毒として作用し、嘔吐、発熱、あるいは脱毛などの副作用を極めて高率に発生させるという問題が指摘されている。そこで、これまで抗腫瘍剤を効率的かつ選択的に腫瘍部位に移行させる技術の開発が求められてきた。
このような技術の一つとして、例えば、多糖の様な水溶性高分子に抗腫瘍剤を結合させて、抗腫瘍剤の血中からの消失を遅延させ、かつ、癌組織への指向性を高める方法が提案されている。例えば、種々の多糖に対してアドリアマイシンを結合させた複合体が開示されている例がある(特許文献1)。また、カルボキシメチルデキストランを含む種々の多糖誘導体にアンスラサイクリン系抗腫瘍剤を結合させた錯体が開示されている例もある(非特許文献1)。さらに、カルボキシアルキルデキストランポリアルコールに対してペプチドを介して薬物を結合させた複合体が開示されている例がある(特許文献2)。これらの天然由来の多糖は水酸基等の官能基を有し薬物担持能力に優れるものの、天然物であることから均一な品質のものを容易に得られないといった問題点がある。
一方、合成高分子を薬物送達用担体として用いた例としては、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)にリンカーを介し血管新生阻害剤(TNP−470)を結合させた例が報告されている(非特許文献2)。また、ポリエチレングリコール(PEG)にパクリタキセルを結合させた複合体が開示されている例がある(非特許文献3)。しかし、このような合成高分子は生体内において分解されることなく蓄積されるという問題点がある。
米国5,688,931号公報 特開第2002-30002号公報 Biol. Pharm. Bull.,24, 535-543(2001) Nature Medicine, 10, 255-261(2004) J.Med.Chem.,39, 424-431(1996)
上記従来の水溶性高分子と薬物との複合体は、一定品質の安定供給、高分子部分の生体内安全性および薬物の担持能力などの面で十分満足できるものではなかった。従って、薬物をより効率的に標的部位に移行させることのできる薬物送達用担体及びこれを用いた薬物複合体の開発が望まれている。
本発明は上記課題に鑑み鋭意研究した結果、特定の構造単位からなるポリエーテルを薬物送達用の担体として用いることで本課題を解決することに成功した。すなわち、本発明は以下の構成からなる。
(1)式(I)、(II)および(III)で表される構造単位を含みポリエチレングリコール(PEG)換算重量平均分子量が1,000〜200,000であることを特徴とするポリエーテル。
Figure 0005189243
Figure 0005189243
Figure 0005189243
(式中、R1は水素、ナトリウムまたは薬理作用を有する基を示し、同一の共重合体内でRは同一であっても異なっていても良い。各構造単位のモル比は、(I)/((I)+(II)+(III))=0.001〜0.5であり、構造単位(I)、(II)、(III)のモル%はそれぞれ(I)=0.01〜99.98、(II)=0.01〜99.98、(III)=0.01〜99.98モル%である。)
(2)さらに、PEG換算重量平均分子量/PEG換算数平均分子量(Mw/Mn)が1.2〜2.5である上記(1)に記載のポリエーテル。
(3)薬理作用を有する基がリンカーと結合した基である上記(1)又は(2)に記載のポリエーテル。
(4)リンカーがアミノ酸もしくはペプチドである上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリエーテル。
(5)リンカーがGly,Ala,Leu,Ile,Phe,Gly−Gly,Ala−GLy,Gly−Ala,Leu−Gly,Gly−Leu,Ile−Gly,Gly−Ile,Phe−Gly,Gly−Phe,Gly−Gly−Gly,Gly−Phe−Gly,Phe−Gly−Gly,Gly−Gly−Phe,Gly−Gly−Phe−Glyから選択される上記(4)に記載のポリエーテル。
(6)薬理作用を有する基が分子中にアミノ基、カルボキシル基、または水酸基を有する上記(1)〜(5)のいずれかに記載のポリエーテル。
(7)薬理作用を有する基が抗腫瘍剤、抗炎症剤、酵素阻害剤、免疫抑制剤、免疫賦活剤、核酸または抗リウマチ剤である上記(1)〜(6)のいずれかに記載のポリエーテル。
(8)抗腫瘍剤がタキサン系抗腫瘍剤、アンスラサイクリン系抗腫瘍剤、白金系抗腫瘍剤、カンプトテシン、フッ化ピリミジン系代謝拮抗剤、ビンカアルカロイド系抗腫瘍剤、葉酸拮抗剤およびその誘導体から選択される上記(1)〜(7)のいずれかに記載のポリエーテル。
(9)上記(1)〜(8)のいずれかに記載のポリエーテルを含む薬物送達製剤。
(10)上記(1)におけるR1が水素又はナトリウムである生体内組織への薬物送達用担体。
(11)上記(1)におけるR1が水素あるいはナトリウムである薬剤、ペプチド、核酸および/又は蛋白を固定化するための担体。
(12)上記(1)〜(8)のいずれかに記載のポリエーテルを静脈内より生体内に投与することによる治療方法。
(13)上記(1)〜(8)のいずれかに記載のポリエーテルを疾患部位に投与することによる治療方法。
(14)上記(1)〜(8)のいずれかに記載のポリエーテルを架橋してなる構造体を疾患部位に投与することによる治療方法。
(15)薬物送達製剤の製造における上記(1)〜(8)のいずれかに記載のポリエーテルの使用。
(1)一級水酸基を有するポリエーテルの水酸基に対し炭素数2〜5よりなるカルボキシアルキル基を導入して得られる該カルボキシアルキルポリエーテルを担体として用い、これに薬理作用を有する基を直接又は特定のリンカーを介して結合させることにより得られる。従って、本発明の薬物送達用担体は、ポリエチレングリコール(以下、PEGということがある)の場合のように両端にのみ薬物が担持されるのでなく、側鎖にも薬物の担持が可能となり、PEGに比べて薬物担持能力が高く、これを用いることにより製剤として少ない投与量で薬物を標的部位に到達させることができる。
(2)また、薬物担持能力が高く、標的部位への薬物到達性に優れるだけでなく、水に対する溶解性が高く、特に注射剤として有用である。
(3)さらに、本発明の薬物送達用担体は、特に医療行為のために用いられる生体に対する安全性の高い、ポリエーテルを用いている。従って、生体との相互作用が極めて少なく、生体組織に認識されにくいために肝臓、脾臓、骨髄といった代謝臓器、副作用発現臓器に分布することが少なく、臓器障害や細胞毒性を引き起こす可能性が低減され、標的とする臓器に集積することが可能となる。
本発明の薬物送達用担体は、一級水酸基を有する該ランダム共重合ポリエーテルからなり、下記式(I)、(II)および(III)で表される構造単位を含む。また、PEG換算重量平均分子量は1,000〜200,000である。前記の重量平均分子量が1,000未満になるとポリエーテルは極めて水に溶けやすく、200,000を越えるとポリエーテルは水に溶けるものの粘度が上昇するからである。水に対する溶解性についてはポリエーテル分子量に大きく依存しない。薬物送達用担体としての安全性を考慮するとポリエーテルの重量平均分子量は20,000〜120,000が好ましく、20,000〜100,000がより好ましい。特に、腎排泄の容易さから判断すれば血漿アルブミンの分子量と同程度の分子量であれば体外への排泄が抑制されることから70,000程度の分子量であることがより好ましい。これは、生体内にポリエーテルが投与された場合、生体中の血漿アルブミンの分子量(約67,000)よりも低い分子量である場合、体外への排泄が迅速に進行するためである。
Figure 0005189243
Figure 0005189243
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また、式中、R1は水素、ナトリウムを示し、同一の共重合体内でR1は同一であっても異なっていても良い。各構造単位のモル比は、(I)/((I)+(II)+(III))=0.001〜0.5であり、構造単位(I)、(II)、(III)のモル%はそれぞれ(I)=0.01〜99.98、(II)=0.01〜99.98、(III)=0.01〜99.98モル%である。なお、後述する実施例では、(I)/((I)+(II)+(III))はカルボキシル基の導入量(モル比)として求めている。
PEG換算重量平均分子量とは、GPCにより分子量の測定を実施した場合において、PEGを標準試料(TSKstandard POLY(ETHYLENE OXIDE)、TOSOH(株)製)とし、その重量平均分子量に換算して得られた分子量をいう。PEGは水溶性溶媒および有機溶媒にも可溶なため、親水性重合体および疎水性重合体の分子量測定の際に分子量標準物質として用いる。
本発明の薬物複合体ならびに薬物送達用担体における重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)で表示する分子量分布としては、目的とする薬理効果を十分に発揮するために薬物複合体ならびに薬物送達用担体の品質の均一性が重要であることから、上記の分子量分布が1.2〜2.5であることが望ましい。該薬物複合体ならびに該薬物送達用担体に関し品質確保のためには1.2〜2.2であることが好ましく、1.2〜1.8であることがより好ましく、さらに1.0〜1.5であることがなお一層好ましい。
本発明の構造単位を表す一般式(I)で表されるR1が水素であるポリエーテルを製造するためのモノマー原料の例としては、エチレンオキサイドに加えてグリシドールの水酸基を有機置換基で保護した化合物である保護グリシジルエーテル等が挙げられる。例えば、保護グリシジルエーテルとしては、t−ブチルグリシジルエーテル、グリシジルテトラヒドロピラニルエーテル、(1−エトキシ)エチルグリシジルエーテル、グリシジルトリメチルシリルエーテル、グリシジルメトキシメチルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、アセチルグリシジルエーテル等を挙げることができる。これらの保護基に関してはエポキシの開環重合が終了した後、酸処理、塩基処理、水素添加などの通常の有機合成で用いる脱保護の条件により除去することが可能である。
更に、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン等もモノマー原料として用いることができる。例えば、モノマー原料としてエピクロルヒドリンを用いた場合、重合が終了した後、クロロメチル基を、例えば、ジエチレングリコールメチルエーテル溶媒中で酢酸カリウムと100〜150℃で加熱下に反応させ,アセトキシメチル基に変換し、その後、室温下で水酸化ナトリウム水溶液等によりアセチルオキシ基を加水分解することで水酸基を有する本発明のポリエーテルを製造することができる。
本発明のポリエーテルは、PEGに比べて、側鎖に高い反応性を有する一級水酸基が導入されていることから構造および物性がPEGとは異なる。特に側鎖一級水酸基への官能基導入が可能であること、また官能基導入量が制御可能であること、更に本発明のポリエーテルは、水溶解性、水和能力、保水能力および官能基導入能力がPEGに比べて向上している。更に、本発明のポリエーテルにおいては,多数存在する側鎖一級水酸基を有効に使い、アルゴン雰囲気下、THF、トルエン等の溶媒中、カリウムt−ブトキシドなどのアルカリ条件下でブロモ酢酸エチル等により容易にエーテル結合を生成する事が出来,その後エステルの加水分解等によりカルボキシル基を容易に導入できる。このようにして得られるカルボキシアルキルポリエーテルは薬物送達のための薬物送達用担体など医療行為のために用いられる医療用材料として優れている。
従来技術として、例えば、PEGは、医薬用途として広く用いられているが、両末端だけにしか官能基導入に使える水酸基が存在しないために薬物担持能力が極めて低く、薬物送達のための担体としては適切でない。また、薬物の血中滞留性を向上させて標的臓器への薬物送達を試みた場合、PEGの分子量を増加させて腎排泄を妨げなければならない問題が生じる。例えば、PEG分子量が6万であるとき薬剤が500とすればPEGの一分子にたった2分子の薬物しか導入されないため薬剤の導入量は重量%では1.6%となる。この場合、患者にPEGを担体として用い製剤化した薬物を投与しようとすると、必要薬剤量の60倍以上のPEG薬物複合体を投与する必要があり、患者にとって負荷が極めて大きい。
これに対し、本発明のポリエーテルは、側鎖にも一級水酸基が多数導入されているために薬物の導入量を自由に増加させることができ、例えば薬剤導入量は10%以上とすることも可能である。従って、本発明の薬物複合体の投与量は従来のPEG複合体投与量に比べて遙かに減らすことができ患者に対する負荷も軽減することになる。
本発明のポリエーテルの組成については、反応に用いる原料の種類、原料の量、重合開始剤の種類、重合開始剤の添加量、反応溶媒の有無、反応溶媒の選択、反応温度、反応時間、原料濃度、重合開始剤濃度、反応雰囲気、反応圧力、撹拌状態、撹拌速度等の調整により、種々の組成比を有する樹脂が製造される。例えばトルエン、ヘキサン、ヘプタン、2−メトキシエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等の反応溶媒中または無溶媒で、エチレンオキサイドと共に種々の水酸基保護グリシジルエーテル類を、例えば三フッ化ホウ素エーテル錯体、トリアルキルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウムやトリブチルアルミニウムなどのルイス酸等の金属重合開始剤あるいは水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウムやナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリムプロポキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムプロポキシド、カリウムt−ブトキシド、カリウムt−2−メチル−2−ブトシキド等などの重合開始剤を単独あるいは混合して使用し、氷冷、室温下または必要に応じて加熱下にて、常圧もしくは加圧下で開環重合させることにより得られる。
次の工程として、保護グリシジルエーテルが例えばt−ブチルグリシジルエーテルの場合、得られた共重合体を例えばペプチド合成用の脱保護試薬として市販されている4N塩化水素−ジオキサン溶液などを用いることにより室温下1〜40時間処理してt−ブチル基を容易に除去することが出来、除去の結果はH−NMRにより確認することができる。また、加熱下に塩酸水溶液で処理することでもt−ブチル基を容易に除去することが出来る。この脱保護の結果として側鎖に一級水酸基の導入されたポリエーテルが得られる。
本発明におけるポリエーテルの重量平均分子量は、安全性の面から生体内からの体外への排泄が容易な分子量の大きさであることが重要であるが、例えば、GPC分析におけるPEG換算重量平均分子量が1,000〜200,000を達成するには、必要に応じて例えば、出発原料の精製、反応後に高分子量分画または低分子量分画の分別除去を行ってもよい。例えば、分子量分画の具体的方法は、サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー(SEC)、GPC等のクロマトグラフィー、UFモジュール等を含む限外ろ過、超遠心分離法、エーテルなどの有機溶媒等を用いた沈殿分画等の種々の手法により行うことができる。
以上の事実を元に、本発明のポリエーテルを、例えば医薬化合物送達複合体および医薬化合物送達用担体として用いる場合には、最適な分子量を選択し、かつ側鎖水酸基を使用目的に応じて最適な量だけ導入することが可能である。
本発明の薬物複合体は、薬物送達用担体に直接又はリンカーを介して薬物(医薬化合物)が結合している。すなわち、本発明のポリエーテルの構造単位を表す一般式(I)においてR1が薬理作用を有する基(リンカーに結合した薬理作用を有する基も含む)である場合がこれに相当する。医薬化合物としては、カルボキシル基又は当該リンカーに反応し得る官能基を有する医薬化合物であれば特に制限されないが、例えば金属原子、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキサミド基、ウレタン基等を有する医薬化合物が好ましい。このうちでもアミノ基を有する医薬化合物は、リンカーを介さずに薬物送達用担体に結合させることができる。また、このようなアミノ基を有さない医薬化合物については、リンカーによって官能基を導入することにより担体と結合可能にする必要がある。例えば、パクリタキセル、デキサメタゾン、カンプトテシンは水酸基をリンカーによってアミノ基に変換することにより、担体に結合することが可能となる。
該医薬化合物としては、抗腫瘍剤、抗炎症剤、酵素阻害剤、免疫抑制剤、免疫賦活剤、核酸または抗リウマチ剤等が挙げられる。
抗腫瘍剤としては、タキサン系抗腫瘍剤、アンスラサイクリン系抗腫瘍剤、白金系抗腫瘍剤、カンプトテシン、フッ化ピリミジン系代謝拮抗剤、ビンカアルカロイド系抗腫瘍剤、葉酸拮抗剤等の抗腫瘍剤およびその誘導体が挙げられる。
ここで、白金系抗腫瘍剤としては、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチンが好ましい。カンプトテシン誘導体としては、イリノテカンなどが挙げられる。タキサン誘導体としてはタキソール、タキソテールなどが挙げられる。フッ化ピリミジン系代謝拮抗剤としては、5−フルオロウラシルなどが挙げられる。ビンカアルカロイド系抗腫瘍剤としては、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ナベルビン等が挙げられる。葉酸拮抗剤としては、メトトレキセート等が挙げられる。これらのうち、白金系抗腫瘍剤、特にシスプラチン、カルボプラチン又はオキサリプラチンが好ましい。また抗炎症剤としては、コハク酸ヒドロコルチゾン、コハク酸プレドニゾロンなどのステロイド系抗炎症剤;メフェナム酸、フルフェナム酸、ジクロフェナク、イブプロフェン、チノリジンなどの非ステロイド系抗炎症剤が挙げられる。
該薬物送達用担体と薬物とを結合させて本発明の薬物複合体を製造するには、例えばこれらを錯体形成配位結合、エステル結合、チオエステル結合、酸アミド結合、酸無水物形成などの手段で結合させることにより製造される。例えば、錯体形成反応の場合には、通常、水溶液中で反応させればよい。エステル結合形成反応の場合には、種々のカルボジイミド類などの脱水縮合剤存在下に行い、その際必要に応じてジメチルアミノピリジンなどの活性剤を加えるとよい。また、酸アミド結合形成反応の場合には、種々カルボジイミド類等、脱水縮合剤の存在下に行えばよい。
本発明では、該薬物送達用担体と薬物とを結合させるためにリンカーを介して結合させる場合がある。本発明のリンカーとしては、担体との距離を調整する、いわゆるスペーサも含まれる。リンカーとしては、例えば、1個のアミノ酸、ペプチド結合した2〜4個のアミノ酸等が挙げられる。より具体的には、1個のアミノ酸の残基(アミノ酸のアミノ基及びカルボキシル基からそれぞれ1個の水素原子及び1個の水酸基を除いた残基を意味する)、又はペプチド結合した2ないし4個のアミノ酸からなるオリゴペプチドの残基(N末端のアミノ基及びC末端のカルボキシル基からそれぞれ1個の水素原子及び1個の水酸基を除いた残基を意味する)の形態を有している。好ましいリンカーは1アミノ酸残基または、2〜4個のアミノ酸からなるオリゴペプチドの残基である。このようなアミノ酸の立体障害の違いにより担体に結合した薬物の遊離速度を調整することが可能となる。
リンカーを構成するアミノ酸の種類は特に限定されないが、例えば、L−又はD−アミノ酸、好ましくはL−アミノ酸を用いることができ、α−アミノ酸のほか、β−アラニン、ε−アミノカプロン酸、γ−アミノ酪酸などを用いてもよい。このようなα−アミノ酸以外のアミノ酸は、薬物送達用担体に近接した位置に配置されることが好ましい。介在基の結合方向は特に限定されないが、一般的には、カルボキシアルキルポリエーテルのカルボキシル基に介在基のN末端を酸アミド結合によって結合し、医薬化合物のアミノ基もしくは水酸基に介在基のC末端を結合することができる。また、例えば、ペプチドリンカーの構成単位としてリジン残基を含めておき、リジン残基のα−アミノ基及びε−アミノ基をそれぞれ他のアミノ酸のカルボキシル基と酸アミド結合させると、ペプチドリンカーの両末端がN末端になるので、医薬化合物のカルボキシル基を結合することが可能になる。さらに、リンカー中に1個又は2個以上のジアミン化合物又はジカルボン酸化合物の残基(例えばエチレンジアミンなどのジアミンの残基やコハク酸などのジカルボン酸の残基)を構成単位として含めておき、それぞれ両末端がN末端の介在基及び両末端がC末端のリンカーを利用してもよい。
リンカーのアミノ酸配列は特に限定されないが、ジペプチド構造を含むリンカーを用いると、ペプチダーゼが豊富であると考えられる腫瘍部位や炎症部位で加水分解が促進され、当該部位において医薬化合物が高濃度に遊離する。上記ジペプチドを含むリンカーと医薬化合物とが結合して形成される部分構造は本発明の薬物複合体の部分構造である。医薬化合物の残基として、例えば、濃度依存型の抗腫瘍剤(例えば、ドキソルビシン)などを用いる場合には、ジペプチド残基を部分ペプチド配列として含むリンカーを用いることが特に好ましい。また、医薬化合物の残基として、一定の濃度以上で作用時間の持続を必要とする時間依存型の抗腫瘍剤(例えば、パクリタキセル)を用いる場合にも、上記のリンカーを用いることによって高い抗腫瘍効果を達成できる場合がある。一般的には、上記のリンカーに限定されることなく、抗腫瘍剤の作用機作、体内動態や毒性発現の特徴、体内での抗腫瘍剤の遊離性などの観点から好ましいリンカーを選択する必要がある。
リンカーのアミノ酸配列としては、具体的には、Gly,Ala,Leu,Ile,Phe,Gly−Gly,Ala−GLy,Gly−Ala,Leu−Gly,Gly−Leu,Ile−Gly,Gly−Ile,Phe−Gly,Gly−Phe,Gly−Gly−Gly,Gly−Phe−Gly,Phe−Gly−Gly,Gly−Gly−Phe,Gly−Gly−Phe−Glyから選択される配列が望ましい。
リンカーを介して結合する薬物複合体に関しては、カルボキシアルキルポリエーテルのカルボキシル基に対して、医薬化合物の残基と結合させたリンカーを結合することにより本発明の薬物複合体を製造することができる。介在基とカルボキシアルキルポリエーテルのカルボキシル基との結合は、一般的には、リンカーのN末端アミノ基とカルボキシアルキルポリエーテルのカルボキシル基とを酸アミド結合により結合させることにより形成できる。もっとも、リンカーとカルボキシアルキルポリエーテルのカルボキシル基との結合は上記のものに限定されることはなく、他の化学結合や1又は2以上のリンカーを利用した結合であってもよい。例えば、リンカーのC末端カルボキシル基とカルボキシアルキルポリエーテルのカルボキシル基とにより酸無水物を形成させてもよく、また、エチレンジアミン等のジアミン化合物をリンカーとして用いてそれぞれのカルボキシル基をジアミンの各アミノ基に酸アミド結合させてもよい。介在基のN末端アミノ基とカルボキシアルキルポリエーテルのカルボキシル基とを酸アミド結合により結合させる場合には、ペプチド類の合成に用いる通常の脱水縮合剤、例えば、N,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)のようなN,N′−ジシクロアルキルカルボジイミド類、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAPC)等のカルボジイミド誘導体のほか、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキシキノリン(EEDQ)などを用いることができる。また、活性エステル法や酸ハライド法などにより反応を行ってもよい。
カルボキシアルキルポリエーテルに導入する医薬化合物残基の量は、特に限定されないが、医薬化合物残基の物理化学的性質、並びに本発明の薬物複合体の体内動態、薬効、及び毒性などの観点から適宜選択すべきである。一般的には、0.1〜30重量%、好ましくは1〜15重量%、さらに好ましくは2〜10重量%、特に好ましくは5〜10重量%程度の範囲を選択することができる。カルボキシアルキルポリエーテルに導入された医薬化合物残基の割合は、例えば、紫外吸光分析、蛍光光度分析、吸光度分析などにより容易に決定することが可能である。
本発明の薬物複合体は、医薬化合物の残基の種類(例えば、抗腫瘍剤又は抗炎症剤などの医薬化合物の残基)に応じて、所望の医薬活性を腫瘍部位や炎症部位などの局所において特異的に発現させることができ、かつ、医薬化合物自体の有する毒性を低減できるという特徴を有する。本発明の薬物複合体のポリエーテル部分は極めて優れた血中滞留性及び腫瘍・炎症部位への集積性を有するので薬物送達用の薬物担体として有用である。また、薬物担体がPEGとは構造的に異なり側鎖にも多数のカルボキシアルキル基を有するため、医薬化合物の担持能力が向上している。さらに、本発明の薬物複合体は、水に対する溶解性が特に向上していることから、難水溶性薬物等における注射剤として用いる場合に特に有用である。特に本発明の薬物複合体は、PEGをキャリヤーとして用いた場合に比べて、モル当たりの医薬化合物の担持能力が特に優れている。
本発明の薬物複合体を含む医薬は、通常、凍結乾燥品などの形態でバイアル等に充填することができ、用時溶解型の注射用又は点滴用製剤等の非経口投与用製剤として臨床に提供されるが、本発明の医薬の製剤形態は上記態様に限定されることはない。上記製剤の製造には、例えば、溶解補助剤、pH調整剤、安定化剤など当業界で利用可能な製剤用添加物を用いることができる。本発明の医薬の投与量は特に限定されないが、通常は、医薬化合物残基を構成する医薬化合物の投与量、本発明の薬物複合体中に導入された医薬化合物の残基の量、患者の状態や疾患の種類などを勘案して決定すべきである。例えば、カンプトテシンが約5重量%程度の割合で導入された本発明の薬物複合体を非経口投与する場合には、一般に一日あたり体表面積1mにつき約0.1〜100mg程度、好ましくは約1〜30mgの範囲で一回投与し、3〜4週毎に繰り返すことが好ましい。
本発明は、前記薬物複合体を静脈内より生体内に、また疾患部位に投与することにより治療する方法に関する。さらに、該薬物複合体であるポリエーテルを架橋してなる構造体を疾患部位に投与することにより治療する方法にも関する。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
また本実施例におけるGPCの条件は、以下のとおりである。
カラム:G4000PWXL(東ソー社製)
移動相:20%アセトニトリルin 50mM塩化リチウム
流速:0.8ml/min
カラム温度:40℃
ポンプ:L−6200(日立製作所製)
検出器:L−3300(RI:示差屈折計、日立製作所製)
化合物の分子量および分子量分布を算出するための検量線は、スタンダードポリエチレンオキサイド(TOSOH製、重量平均分子量が2.4×10,5.00×10,10.7×10,14.0×10)を用いて作成した。
[実施例1]
アルゴン雰囲気下、耐圧反応容器にt−ブチルグリシジルエーテル33ml、エチレンオキサイド85ml、カリウムt−ブトキシド1Mテトラヒドロフラン溶液1mlおよびトリイソブチルアルミニウム1Mヘキサン溶液10ml、および溶媒としてヘキサン300mlを加え、25℃で24時間反応を行った。反応終了後、反応生成物を回収し、減圧下で溶媒を除去することによって目的とする共重合体(1)62gを白色固体として得た。
得られた共重合体のPEG換算分子量をGPCにより測定した結果は、53,000であった。GPCの結果を図1に示す。更に 1H−NMR分析によると、テトラメチルシランを標準とする重水素化メタノール溶媒中での測定により、δ1.20にt−ブチル基に由来する単線ピークが観測され、さらにδ3.40〜3.82に主にポリエチレングリコールに由来するピークが見られた。 1H−NMR分析によるt−ブチル基の導入率は、モル比で3.9%(y=0.039)であった。
室温下、上記共重合体20gに、4N−塩化水素1,4−ジオキサン溶液200mlを加えて室温下で24時間反応させた。反応終了後、反応溶媒を減圧下で留去し、米国スペクトラポア社製透析膜(Spectra/Por2、分子量分画12,000−14,000)を用い、精製水を外液とした2日間の透析を行った。次いで、ミリポア社製メンブランフィルター(DURAPORE、0.22μm)を用いたろ過後、凍結乾燥の工程を経て、白色非晶質の目的とする共重合体(2)16.6gを得た。
1H−NMR分析によると、テトラメチルシランを標準とする重水素化メタノール溶媒中での測定により、δ1.20に存在したt−ブチル基に由来する単線ピークが消失し、t−ブチル基が除去されたことが確認された。得られた共重合体のPEG換算分子量をGPCにより測定した結果は、61,000であり、Mw/Mn=1.54であった。GPCの結果を図2に示す。
[実施例2]
アルゴン雰囲気下、耐圧反応容器にt−ブチルグリシジルエーテル42ml、エチレンオキサイド85ml、カリウム2−メチル−2−ブトキシド1Mテトラヒドロフラン溶液1.1mlおよびトリイソブチルアルミニウム1Mヘキサン溶液11.1ml、および溶媒としてヘキサン300mlを加え、25℃で24時間反応を行った。反応終了後、反応生成物を回収し、減圧下で溶媒を除去することにより、目的とする共重合体(3)55gを白色固体として得た。
得られた共重合体のPEG換算分子量をGPCにより測定した結果は、40,000であった。GPCの結果を図3に示す。更に 1H−NMR分析によると、テトラメチルシランを標準とする重水素化メタノール溶媒中での測定により、δ1.22にt−ブチル基に由来する単線ピークが観測され、さらにδ3.42〜3.82に主にポリエチレングリコールに由来するピークが見られた。 1H−NMR分析によるt−ブチル基の導入率は、モル比で5.7%(y=0.057)であった。
室温下、上記共重合体20.8gに、4N−塩化水素1,4−ジオキサン溶液200mlを加えて室温下で24時間反応させた。反応終了後、反応溶媒を減圧下で留去し、米国スペクトラポア社製透析膜(Spectra/Por2、分子量分画12,000−14,000)を用い精製水を外液とした2日間の透析を行い、次いで、ミリポア社製メンブランフィルター(DURAPORE, 0.22μm)を用いたろ過後、凍結乾燥の工程を経て、白色非晶質の目的とする共重合体(4)15.1gを得た。
1H−NMR分析によると、テトラメチルシランを標準とする重水素化メタノール溶媒中での測定により、δ1.22に存在したt−ブチル基に由来する単線ピークが消失し、t−ブチル基が除去されたことが確認された。得られた共重合体のPEG換算分子量をGPCにより測定した結果は、44,000であり、Mw/Mn=1.70であった。GPCの結果を図4に示す。
[実施例3]
毒性評価
上記実施例1中の化合物(2)に関し生理食塩水を投与溶媒として、更に生理食塩水を比較対照として、化合物(2)投与量1000mg/kg、300mg/kgについて、投与液量25ml/kgの条件で6週齢BALB/c雌性マウス(各群n=5、日本エスエルシー(株)から購入)の尾静脈より実験開始日から0日目、3日目、6日目の3回にわたり間歇投与を行った。
体重減少を指標として評価を実施した。実験開始日におけるマウスの体重を100%とした場合の体重変化を評価し、10%の体重減少が起きた場合に毒性有りと判断した。
評価結果を図5に示す。生理食塩水にて溶解した化合物(2)の各濃度投与群および比較対照の生理食塩水を25ml/kgの投与液量で、3日に1回、計3回に渡り静脈内間歇投与した。投与後の10%以上の体重減少は見られず、体重に関しいずれの投与群においても同一日測定日における優位差は見られず、毒性無しと判断された。図中の各ポイントは平均体重±標準偏差(SD)を示す。図中の上向き矢印は投与日であることを示す。
以下の実施例では次の略号を使用する。
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド、Trt:トリフェニルメチル基(トリチル基)、Z:ベンジルオキシカルボニル基、Fmoc:9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、DMAP:N,N−ジメチルアミノピリジン、WSCD・HCl:水溶性カルボジイミド塩酸塩、DIPC:N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、tBuOK: Potassium t-butoxide,DMSO−d6:重水素化ジメチルスルホキシド
〔実施例4〕
カルボキシメチル化ポリエーテル(5)の製造
トルエン(50ml)に実施例1で得られた共重合体(化合物番号(2);3g)を溶解し、t−ブチルアルコール(10ml)に溶解したカリウムt−ブトキシド(1.8g)、次いで18−クラウン−6エーテル(50mg)および臭素化酢酸エチル(1.8ml)を加え70℃で7時間反応させた。反応溶媒を減圧下で留去し、反応液に1N水酸化ナトリウム水溶液を20ml加え室温下5時間反応させた。この反応液を透析膜(分子量カットオフ12,000−14,000、米国、スペクトラム社製)を用い、精製水に対して4℃で2日間透析した。この内液をメンブランフィルター(0.22μm)にて濾過した後、凍結乾燥し、表記化合物(5)(3.0g)を得た。TSP (3-(Trimethylsilyl)propanoic-2,2,3,3-d4 acid, sodium salt)を標準とする重水溶媒における1H−NMR分析によるカルボキシル基の導入率は、モル比で3.5%であった。得られた共重合体の重量平均分子量をGPCにより測定した結果は、65,000であった。
〔実施例5〕
(工程1)
米国、ハウザー社製のパクリタキセルを原料として、パクリタキセルの2’位水酸基にアミノ酸リンカーを導入し2’−Gly−paclitaxel塩酸塩(6)を調製した。
H−NMRおよびHRMS(high-resolution mass spectrometry)により構造確認した。すなわち、Fmoc−Gly(178mg、0.6mmol)および、ジメチルアミノピリジン(73mg、0.6mmol)およびパクリタキセル(米国、HAUSER社製、427mg、0.5mmol)を塩化メチレン(20ml)に溶解した。次いで、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(76mg、0.6mmol)を加え、室温で終夜撹拌した。反応溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:独国Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/アセトニトリル=70/30)で精製し、2’−Fmoc−Gly−パクリタキセル(489mg)を得た。
この化合物(420mg)をN,N−ジメチルホルムアミド(10ml)に溶解し、室温下ピペリジン(2ml)を加え、5分間撹拌し、溶媒を留去して、脱Fmoc化し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:独国Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×50cm、溶離液:アセトニトリル/塩化メチレン=80/20)で精製し、標記化合物(6)(145mg)を得た。テトラメチルシランを標準とするDMSO-d6溶媒におけるNMRデータを下記に示す。
1H−NMR(DMSO−d6):δ1.01(s,3H,Me−17)1.05(s,3H,Me−16)1.52(dd,1H,J=14.6,9.2Hz,H−14b)1.51(s,3H,Me−19)1.65(t,1H,J=11.6Hz,H−6b)1.81(dd,1H,J=15.5,9.6Hz,H−14a)1.86(s,3H,Me−18)2.11(s,3H,Ac−10)2.23(s,3H,Ac−4)2.32(m,1H,H−6a)3.58(d,1H,J=7.0Hz,H−3)3.96〜4.07(m,3H,GlyCH2,H−20)4.10(dd,1H,J=6.7,10.7,H−7)4.63(s,1H,OH−1)4.90(brs,1H,OH−7)4.91(dd,1H,J=4.9Hz,H−5)5.43(d,1H,J=7.0,H−2)5.46(d,1H,J=8.2Hz,H−2’)5.58(t,1H,J=8.4Hz,H−3’)5.87(t,1H,J=8.6Hz,H−13)6.30(s,1H,H−10)7.19〜8.00(aromatic,15H)8.40(brs,2H,GlyNH2)9.25(d,1H,J=8.6Hz,CONH−3’)
HRMS:m/z 911.3604(M+H)+:C4955152としての計算値 911.3602
(工程2)
カルボキシメチル化ポリエーテル−2’−Gly−パクリタキセル(7)の製造
実施例4で得た、カルボキシメチル化ポリエーテル(5)(100mg)を水2mlに溶解し、氷冷下、この溶液にDMF2mlを加えた。この溶液に本実施例(工程1)で得た、2’−Gly−パクリタキセル(6)(30mg)を溶解した水:DMF(1:1)混合液(0.5ml)およびWSC・HCl(100mg)を溶解したDMF(0.5ml)を加え、室温で2時間撹拌した。この反応液を透析膜(分子量カットオフ12,000−14,000、米国、スペクトラム社製)を用い、精製水に対して4℃で2日間透析した。この内液をメンブランフィルター(0.22μm)にて濾過した後、凍結乾燥し、表記化合物(7)(87mg)を得た。本複合体の薬物の導入量は、254nmにおける紫外吸光度および複合体の総重量から算出したところ、4.1%(重量%)であった。
〔実施例6〕
(工程1)
2’−Ala−パクリタキセル(8)の製造
Z−Ala(145mg、0.65mmol)および、DMAP(79mg,0.65mmol)およびパクリタキセル(427mg、0.5mmol)を塩化メチレン(20ml)に溶解した。次いで、DIPC(82mg、0.65mmol)を加え室温で終夜撹拌した。反応溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/アセトニトリル=70/30)で精製し、2’−Z−Ala−パクリタキセル(435mg)を得た。この化合物(400mg)をジオキサン(20ml)に溶解しパラジウム−炭素触媒(200mg)を加え、水素雰囲気下、4時間撹拌し、触媒を濾去した後、減圧下で溶媒を留去し、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400mesh,カラム:2.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/メタノール/アセトニトリル=95/5/5)で精製し、標記化合物(8)(221mg)を得た。テトラメチルシランを標準とするDMSO-d6溶媒におけるNMRデータを下記に示す。
1H−NMR(DMSO−d6):δ1.01(s,3H,Me−17)1.03(s,3H,Me−16)1.14(s,3H,Me−Ala)1.51(s,3H,Me−19)1.61(dd,1H,J=15.6,9.2Hz,H−14b)1.64(t,1H,J=12.8Hz,H−6b)1.81(s,3H,Me−18)1.88(dd,1H,J=15.3, 9.5Hz,H−14a)2.11(s,3H,Ac−10)2.27(s,3H,Ac−4)2.33(m,1H,H−6a)3.52(q,1H,J=7.0Hz,H−Ala)3.60(d,1H,J=7.3Hz,H−3)4.02(d,1H,J=15.0Hz,H−20)4.03(d,1H,J=15.0Hz,H−20)4.12(ddd,1H,J=6.6,6.6,17.4Hz,H−7)4.66(s,1H,OH−1)4.91(d,1H,J=6.6,OH−7)4.92(dd,1H,J=9.8Hz,H−5)5.35(d,1H,J=8.6,H−2’)5.43(d,1H,J=7.0Hz,H−2)5.64(t,1H,J=8.6Hz,H−3’)5.87(t,1H,J=9.2Hz,H−13)6.30(s,1H,H−10)7.20〜8.00(aromatic,15H)9.17(d,1H,J=8.9Hz,CONH−3’)
HRMS:m/z 925.3797(M+H)+:C5057152としての計算値 925.3759
(工程2)
カルボキシメチル化ポリエーテル−2’−Ala−パクリタキセル(9)の製造
実施例4で得た、カルボキシメチル化ポリエーテル(5)(100mg)に対し、本実施例6(工程1)で得た、2’−Ala−パクリタキセル(8)(30mg)を用いた以外は実施例5(工程2)と同様に行い、標記化合物(9)(93mg)を得た。本複合体の薬物の導入量は、254nmにおける紫外吸光度および複合体の総重量から算出したところ、2.2%(重量%)であった。
〔実施例7〕
(工程1)2’−Leu−パクリタキセル(10)の製造
Z−Leu(172mg、0.65mmol)を用いた以外は実施例6(工程1)と同様に行い2’−Z−Leu−パクリタキセル(450mg)を得た。この化合物(400mg)をジオキサン(20ml)に溶解しパラジウム−炭素触媒(200mg)を加え、水素雰囲気下、4時間撹拌し、触媒を濾去した後、減圧下溶媒を留去し、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:独国Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/メタノール/アセトニトリル=95/5/5)で精製し、標記化合物(10)(282mg)を得た。テトラメチルシランを標準とするDMSO-d6溶媒におけるNMRデータを下記に示す。
1H−NMR(DMSO−d6):δ0.66(d,3H,Me−Leu)0.70(d,3H,Me−Leu)1.01(s,3H,Me−17)1.03(s,3H,Me−16)1.26(ddd,1H,J=6.4,8.5,13.4Hz,H−Leu)1.36(ddd,1H,J=5.8,7.6,13.4Hz,H−Leu)1.51(s,3H,Me−19)1.56(dd,1H,J=15.3,9.0Hz,H−14b)1.64(m,1H,H−6b)1.67(m,1H,H−Leu)1.79(s,3H,Me−18)1.84(dd,1H,J=15.3,9.5Hz,H−14a)2.10(s,3H,Ac−10)2.25(s,3H,Ac−4)2.33(ddd,1H,J=14.7,9.5,6.4Hz,H−6a)3.38(dd,1H,J=8.6,5.8Hz,H−Leu)3.59(d,1H,J=7.0Hz,H−3)4.01(d,1H,J=16.8Hz,H−20)4.03(d,1H,J=16.8Hz,H−20)4.12(ddd,1H,J=6.9,6.9,11.0Hz,H−7)4.64(s,1H,OH−1)4.90(d,1H,J=7.0,OH−7)4.92(d,1H,J=10.1Hz,H−5)5.34(d,1H,J=9.2,H−2’)5.42(d,1H,J=7.0Hz,H−2)5.62(t,1H,J=9.0Hz,H−3’)5.86(t,1H,J=9.2Hz,H−13)6.30(s,1H,H−10)7.20〜8.00(aromatic,15H)9.16(d,1H,J=8.9Hz,CONH−3’)
HRMS:m/z 967.4321(M+H)+:C5363152としての計算値 967.4228
(工程2)
カルボキシメチル化ポリエーテル−2’−Leu−パクリタキセル(11)の製造
実施例4で得た、カルボキシメチル化ポリエーテル(5)(100mg)に対し、本実施例7(工程1)で得た、2’−Leu−パクリタキセル(10)(30mg)を用いた以外は実施例6(工程1)と同様に行い、標記化合物(11)(92mg)を得た。本複合体の薬物の導入量は、254nmにおける紫外吸光度および複合体の総重量から算出したところ、4.1%(重量%)であった。
〔実施例8〕
(工程1)
2’−Ile−パクリタキセル(12)の製造
Fmoc−Ile(212mg,0.6mmol)および、DMAP(73mg、0.6mmol)およびパクリタキセル(427mg、0.5mmol)を塩化メチレン(20ml)に溶解した。次いで、DIPC(76mg、0.6mmol)を加え室温で終夜撹拌した。反応溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマト・グラフィー(シリカゲル:Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:2.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/アセトニトリル=70/30)で精製し、2’−Fmoc−Ile−パクリタキセル(553mg)を得た。この化合物(470mg)をDMF(10ml)に溶解し、室温下ピペリジン(2ml)を加え、5分間撹拌した後、減圧下溶媒を留去し、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:独国Merck社製Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/メタノール/アセトニトリル=95/5/5)で精製し、標記化合物(12)(355mg)を得た。テトラメチルシランを標準とするDMSO-d6溶媒におけるNMRデータを下記に示す。
1H−NMR(DMSO−d6):δ0.62(t,3H,J=7.5Hz,Me−Ile)0.81 (d,3H,J=6.7Hz,Me−Ile)1.01(s,3H,Me−17)1.03 (s,3H,Me−16)1.07(ddd,1H,J=14.4,7.3,4.9Hz,H−Ile)1.32(ddd,1H,J=13.4,7.6,4.6Hz,H−Ile)1.51(s,3H,Me−19)1.56(dd,1H,J=15.3,9.2Hz,H−14b)1.56−1.61(m,1H,H−Ile)1.64(dd,1H,J=13.7,3.1Hz,H−6b)1.79(s,3H,Me−18)1.87(dd,1H,J=15.3,9.8Hz,H−14a)2.10(s,3H,Ac−10)2.29(s,3H,Ac−4)2.33(ddd,1H,J=14.4,9.6,6.4Hz,H−6a)3.60(d,1H,J=7.3Hz,H−3)3.60−3.67(m,1H,H−Ile)4.02(d,1H,J=16.6Hz,H−20)4.03(d,1H,J=16.6Hz,H−20)4.12(ddd,1H,J=10.8,6.7,6.7Hz,H−7)4.64(s,1H,OH−1)4.90(d,1H,J=7.0,OH−7)4.92(d,1H,J=9.8Hz,H−5)5.37(d,1H,J=8.9Hz,H−2’)5.43(d,1H,J=7.3Hz,H−2)5.64(t,1H,J=8.7Hz,H−3’)5.85(dt,1H,J=0.9,9.2Hz,H−13)6.30(s,1H,H−10)7.20〜8.00(aromatic,15H)9.15(d,1H,J=9.2Hz,CONH−3’)
HRMS:m/z 967.4234(M+H)+:C5363152としての計算値 967.4228
(工程2)
カルボキシメチル化ポリエーテル−2’−Ile−パクリタキセル(13)の製造
実施例4で得た、カルボキシメチル化ポリエーテル(5)(100mg)に対し、本実施例8(工程1)で得た、2’−Ile−パクリタキセル(12)(30mg)を用いた以外は実施例5(工程2)と同様に行い、標記化合物(13)(92mg)を得た。本複合体の薬物の導入量は、254nmにおける紫外吸光度および複合体の総重量から算出したところ、1.8%(重量%)であった。
〔実施例9〕
(工程1)
2’−Phe−Gly−パクリタキセル塩酸塩(14)の製造
Phe−Gly(日本国、ペプチド研究所製、1.1g、5mmol)を水(2ml)、2−プロパノール(2ml)およびジエチルアミン(1.5ml)の混合溶液に溶かし、この反応液にトリチルクロライド(1.8g、6.5mmol)を徐々に加え、1時間撹拌した。反応液に水を加え、生じた沈殿を水で洗浄した。次に、沈殿に酢酸5mlを加えて酸性にした後、溶媒を減圧下留去することによりTrt−Phe−Gly1.4gを得た。得られたTrt−Phe−Gly(604mg、1.3mmol)および、DMAP(158mg、1.3mmol)およびパクリタキセル(853mg、1.0mmol)を塩化メチレン(20ml)に溶解した。次いで、DIPC(164mg、1.3mmol)を加え室温下終夜撹拌した。反応溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:独国Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/アセトニトリル=80/20)で精製し、2’−Trt−Phe−Gly−パクリタキセル(990mg)を得た。この化合物(800mg)を90%酢酸(10ml)で処理して脱N−トリチル化し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:独国Merck社製Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/メタノール/アセトニトリル=95/5/5)で精製し、次に酢酸塩をイオン交換樹脂により塩酸塩へ変換して標記化合物(14)(455mg)を得た。テトラメチルシランを標準とするDMSO-d6溶媒におけるNMRデータを下記に示す。
1H−NMR(DMSO−d6);δ1.01(s,3H,Me−17)1.03(s,3H,Me−16)1.42(dd,1H,J=15.5,9.1Hz,H−14b)1.50(s,3H,Me−19)1.63(t,1H,J=12.2Hz,H−6b)1.75(dd,1H,J=12.3,9.5Hz,H−14a)1.81(s,3H,Me−18)2.12(s,3H,Ac−10)2.23(s,3H,Ac−4)2.29(ddd,1H,J=14.4,9.2,7.0Hz,H−6a)2.90(dd,1H,14.2,7.8Hz,PheCH2)3.08(dd,1H,14.4,5.2Hz,PheCH2)3.56(d,1H,J=7.0Hz,H−3)4.05−4.10(m,2H,H−7,PheCH)4.15(dd,1H,J=18.0,5.8Hz,Gly)4.61(brs,1H,OH−1)4.90(brs,1H,OH−7)4.90(d,1H,J=5.3Hz,H−5)5.38(d,1H,J=8.9Hz,H−2’) 5.41(d,1H,J=7.0Hz,H−2)5.53(t,1H,J=8.6Hz,H−3’)5.83(t,1H,J=8.8Hz,H−13)6.29(s,1H,H−10)7.16〜8.00(m,20H,aromatic)8.15(brs,2H,NH2)9.02(t,1H,J=5.8Hz,Gly−NH)9.29(d,1H,J=8.9Hz,CONH−3’)
HRMS:m/z 1058.4241(M+H)+:C5864163としての計算値 1058.4287
(工程2)
カルボキシメチル化ポリエーテル−2’−Phe−Gly−パクリタキセル(15)の製造
実施例4で得た、カルボキシメチル化ポリエーテル(5)(100mg)を水2mlに溶解し、氷冷下、この溶液にDMF2mlを加えた。この溶液に本実施例137(工程1)で得た、2’−Phe−Gly−パクリタキセル(14)(22mg)を溶解した水:DMF(1:1)混合液(0.5ml)およびWSC・HCl(100mg)を溶解したDMF(0.5ml)を加え、室温で2時間撹拌した。この反応液を透析膜(分子量カットオフ12,000−14,000、米国、スペクトラム社製)を用い、精製水に対して4℃で2日間透析した。この内液をメンブランフィルター(0.22μm)にて濾過した後、凍結乾燥し、表記化合物(15)(82mg)を得た。本複合体の薬物の導入量は、254nmにおける紫外吸光度および複合体の総重量から算出したところ、3.1%(重量%)であった。
〔実施例10〕
Trt−Gly−Gly−Phe−Gly(16)の製造
(1)Phe−Gly−OBn(17)の合成
Phe−Gly・H2O(日本国、国産化学社製、25g、104mmol)をパラトルニンスルホン酸1水和物(19.8g、104mmol)、ベンジルアルコール(25ml)およびトルエン(200ml)混合液に溶かし、Dean-Stark装置により5時間加熱環流する。反応後、溶媒を留去し、ジエチルエーテルを加えると標記化合物であるPhe−Gly−OBn(17)のパラトルエンスルホン酸塩(34g)が得られた。
(2)Trt−Gly−Gly(18)の合成
Gly−Gly(日本国、ペプチド研究所製、6.6g、50mmol)をH2O(20ml)、2−プロパノール(40ml)およびジエチルアミン(15ml)の混合溶液に溶かし、この反応液にトリチルクロライド(18.1g、65mmol)を徐々に加え、1時間撹拌する。反応液にH2Oを加え、生じた沈殿を水で洗浄した。次に、沈澱に酢酸5mlを加えて酸性にした後、溶媒を減圧下で留去することにより標記化合物(18)13.3gを得た。
(3)Trt−Gly−Gly−Phe−Gly−OBn(19)の合成
乾燥DMF(10ml)に、Trt−Gly−Gly(18)(1.54g)、N−ヒドロキシコハク酸イミド(0.52g)およびDCC(0.93g)を加え、4℃で3時間反応する。反応溶液にPhe−Gly−OBn(17)のパラトルエンスルホン酸塩(2.0g)およびN−メチルモルホリン(0.41g)を溶かしたDMF溶液(DMF10ml)を加え、4℃で15時間反応する。沈殿物を除き、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:独国Merck社製 Art No.9365,Silica gel 60,200-400mesh,溶離液:クロロホルム/メタノール=20/1)で精製することにより、標記生成物(19)(1.6g)を得た。
(4)Trt−Gly−Gly−Phe−Gly(16)の合成
化合物(19)Trt−Gly−Gly−Phe−Gly−OBn(1.3g)をDMF(20ml)に溶かし、10%パラジウム−炭素(0.5g)および1,4−シクロヘキサジエン(0.4g)を加え、室温下30分反応する。反応液をろ過し、触媒を除き、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:独国Merck社製 Art No.9365,Silica gel60,200-400 mesh,溶離液:クロロホルム/メタノール=7/1)で精製することにより、標記化合物(16)(1.1g)を得た。
Anal.Calcd for: C343445:C,70.57;H,5.92;N,9.68 Found: C,70.03;H,6.07;N,9.67
アミノ酸分析:Phe(1)1.00,Gly(3)2.91
加水分解条件:6NHCl、110℃、22hrs
〔実施例11〕
2’−Gly−Gly−Phe−Gly−パクリタキセル塩酸塩(20)の製造
実施例10で得た(16)Trt−Gly−Gly−Phe−Gly(739mg、1.3mmol)および、DMAP(158mg、1.3mmol)およびパクリタキセル(853mg、1.0mmol)を塩化メチレン(20ml)に溶解した。次いで、DIPC(164mg、1.3mmol)を加え室温下4時間撹拌した。反応溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:独国Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×50cm、溶離液:塩化メチレン/メタノール/アセトニトリル=95/5/30)で精製し、2’−Nα−Trt−Gly−Gly−Phe−Gly−パクリタキセル(21)(1250mg)を得た。
HRMS:m/z 1414.5763(M+H)+:C8184185としての計算値 1414.5811
この化合物(21)(1100mg)を75%酢酸(10ml)で処理して脱N−トリチル化し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:独国Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×50cm、溶離液:塩化メチレン/メタノール/アセトニトリル=85/15/5)で精製し、次に陰イオン交換樹脂により塩酸塩へ変換して表記化合物(20)(533mg)を得た。テトラメチルシランを標準とするDMSO-d6溶媒におけるNMRデータを下記に示す。
1H−NMR(DMSO−d6):δ1.00(s,3H,Me−17)1.03(s,3H,Me−16)1.42(dd,1H,J=15.4,9.2Hz,H−14b)1.49(s,3H,Me−19)1.63(brt,1H,J=12.1Hz,H−6b)1.74(dd,1H,J=15.4, 9.2Hz,H−14a)1.80(s,3H,Me−18)2.11(s,3H,Ac−10)2.23(s,3H,Ac−4)2.30(m,1H,H6a)2.72(dd,1H,J=13.9,10.2Hz,PheCH2Hb)3.02(dd,1H,J=13.9,3.8Hz,PheCH2CHa)3.52(brs,2H,GlyCH2)3.56(d,1H,J=7.2Hz,H−3)3.66(dd,1H,16.9,5.4Hz,GlyCH2b)3.84(dd,1H,16.9,5.4Hz,GlyCH2a)4.01(dd,2H,J=14.5,8.4Hz,H−20a,H−20b)4.01(2H,GlyCH2)4.09(m,1H,H−7)4.55(ddd,1H,J=10.2,8.5,3.8Hz,PheCH2CH)4.61(s,1H,OH−1)4.89(dd,1H,J=8.9,1.3Hz,H−5)4.92(brs,1H,OH−7)5.41(d,1H,J=7.2,H−2)5.43(d,1H,J=6.3Hz,H−2’)5.51(t,1H,J=8.5Hz,H−3’)5.83(t,1H,J=9.2Hz,H−13)6.29(s,1H,H−10)7.10〜8.00(aromatic,20H)8.33(d,1H,PheCONH)8.51(t,1H,J=5.5Hz,GlyCONH)8.69(t,1H,J=6.0Hz,GlyCONH)9.34(d,1H,J=8.5Hz,CONH−3’)
HRMS:m/z 1172.4711(M+H)+:C6270185としての計算値 1172.4716
Anal.Calcd for: C6269185・HCl・2.5H2O:C,59.40;H,6.03;N,5.59.
Found: C,59.55;H,6.04;N,5.60
〔実施例12〕
カルボキシメチル化ポリエーテル−2’−Gly−Gly−Phe−Gly−パクリタキセル(22)の製造
実施例4で得た、カルボキシメチル化ポリエーテル(5)(1.0g)を水20mlに溶解し、氷冷下、この溶液にDMF20mlを加えた。この溶液に実施例11で得た、2’−Gly−Gly−Phe−Gly−パクリタキセル(20)(200mg)を溶解した水:DMF(1:1)混合液(8ml)およびWSC・HCl(1.0g)を溶解したDMF5mlを加え、室温で6時間撹拌した。この反応液を透析膜(分子量カットオフ12,000−14,000、米国、スペクトラム社製)を用い、精製水に対して4℃で2日間透析した。この内液をメンブランフィルター(0.22μm)にて濾過した後、凍結乾燥し、表記化合物(22)(953mg)を得た。本複合体の薬物の導入量は、254nmにおける紫外吸光度および複合体の総重量から算出したところ、4.4%(重量%)であった。
〔実施例13〕
20−Gly−カンプトテシン塩酸塩(23)の製造
(工程1)
BOC−Gly(263mg、1.5mmol)および、ジメチルアミノピリジン(122mg、1.0mmol)および(S)−(+)−Camptothesin(日本国、東京化成、174mg、0.5mmol)を塩化メチレン(20ml)に溶解した。次いで、DIPC(189mg、1.5mmol)を加え室温で3.5時間撹拌した。反応溶液を0.1N塩酸および飽和食塩水で洗浄しその後、溶媒を減圧下で留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:独国Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/アセトニトリル=70/30)で精製し、20−BOCGly−カンプトテシン(24)(315mg)を得た。
(工程2)
化合物(24)(300mg)を塩化メチレン(5ml)に溶解し、室温下トリフルオロ酢酸(TFA;2ml)を加え、5分間撹拌し、ついで溶媒を留去した。脱BOC化した化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:独国Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×50cm、溶離液:アセトニトリル/メタノール/塩化メチレン=10/10/90)で精製し、その後陰イオン交換樹脂で処理することで、標記化合物(23)(214mg)を得た。テトラメチルシランを標準とするDMSO-d6溶媒におけるNMRデータを下記に示す。
1H−NMR(DMSO−d6):δ0.97(s,3H)2.20(m,2H)4.08,4.34(dd,2H)5.32(s,2H)5.56(s,2H)7.32(s,1H)7.73(t,1H)7.88(t,1H)8.15(d,1H)8.17(d,1H)8.56(brs,2H)8.72(s,1H)
13C−NMR(DMSO−d6):7.53,30.18,38.6−40.2,50.10,66.29,77.42,95.51,118.78,127.63,127.82,128.45,128.66,129.49,130.43,131.58,144.72,145.97,147.77,152.13,156.39,166.77
〔実施例14〕
カルボキシメチル化ポリエーテル−20−Gly−カンプトテシン(25)の製造
実施例4で得た、カルボキシメチル化ポリエーテル(5)(1.0g)を水20mlに溶解し、氷冷下、この溶液にDMF20mlを加えた。この溶液に実施例13で得た、20−Gly−カンプトテシン塩酸塩(23)(200mg)を溶解した水:DMF(1:1)混合液(8ml)およびWSC・HCl(1.0g)を溶解したDMF5mlを加え、室温で6時間撹拌した。この反応液を透析膜(分子量カットオフ12,000−14,000、米国、スペクトラム社製)を用い、精製水に対して4℃で2日間透析した。この内液をメンブランフィルター(0.22μm)にて濾過した後、凍結乾燥し、表記化合物(25)(953mg)を得た。本複合体の薬物の導入量は、254nmにおける紫外吸光度および複合体の総重量から算出したところ、3.6%(重量%)であった。
〔実施例15〕
20−GlyGlyPheGly−カンプトテシン塩酸塩(26)の製造
(工程1)
実施例10で得られた(16)Trt−GlyGlyPheGly(1736mg、3mmol)および、ジメチルアミノピリジン(244mg、2mmol)および(S)−(+)−Camptothesin(348mg、1mmol)を塩化メチレン(100ml)に溶解した。次いで、DIPC(378mg、3mmol)を加え室温で終夜撹拌した。反応溶液を0.1N塩酸および飽和食塩水で洗浄しその後、溶媒を減圧下で留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:独国Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/アセトニトリル=70/30)で精製し、20−20−TrtGlyGlyPheGly−カンプトテシン(27)(754mg)を得た。
(工程2)
化合物(27)(700mg)を75%酢酸(8ml)に溶解し、20分間撹拌し、ついで溶媒を留去した。脱Trt化した化合物を陰イオン交換樹脂(バイオラッド社AG1−X8)により酢酸塩を塩酸塩に変換し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:独国Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×50cm、溶離液:メタノール/塩化メチレン=15/85)で精製し、標記化合物(26)(535mg)を得た。テトラメチルシランを標準とするDMSO-d6溶媒におけるNMRデータを下記に示す。
1H−NMR(DMSO−d6):δ0.93(t,3H)2.32(m,2H)2.77,3.06(dd,dd,2H)3.27(s,2H)3.61,3.76(d,d,2H)4.11,4.21(dd,dd,2H)4.55(m,1H)5.27(s,2H)5.51(s,2H)7.15(m,1H)7.19(s,1H)7.22(m,4H)7.71(t,1H)7.87(t,1H)8.12(d,1H)8.17(d,1H)8.23(brs,1H)8.31(d,1H)8.68(s,1H)8.68(brs,2H)
13C−NMR(DMSO−d6):7.52,30.42,37.43,40.41,41.64,42.21,50.08,53.96,66.28,76.27,95.20,118.87,126.20,127.59,127.80,128.01,128.39,128.79,129.06,129.50,130.37,131.49,137.82,145.11,145.87,147.72,152.12,156.41,167.00,168.35,168.84,171.68
〔実施例16〕
カルボキシメチル化ポリエーテル−20−GlyGlyPheGly−カンプトテシン(28)の製造
実施例4で得た、カルボキシメチル化ポリエーテル(5)(1.0g)を水20mlに溶解し、氷冷下、この溶液にDMF20mlを加えた。この溶液に実施例15で得た、20−GlyGlyPheGly−カンプトテシン塩酸塩(26)(200mg)を溶解した水:DMF(1:1)混合液(8ml)およびWSC・HCl(1.0g)を溶解したDMF5mlを加え、室温で6時間撹拌した。この反応液を透析膜(分子量カットオフ12,000−14,000、米国、スペクトラム社製)を用い、精製水に対して4℃で2日間透析した。この内液をメンブランフィルター(0.22μm)にて濾過した後、凍結乾燥し、表記化合物(28)(1.1g)を得た。本複合体の薬物の導入量は、254nmにおける紫外吸光度および複合体の総重量から算出したところ、4.6%(重量%)であった。
〔実施例17〕
21−Ala−デキサメタゾン塩酸塩(29)の製造
(工程1)
BOC−Ala(568mg、3mmol)および、ジメチルアミノピリジン(244mg、2mmol)およびデキサメタゾン(392mg、1mmol)を塩化メチレン(30ml)に溶解した。次いで、DIPC(252mg、2mmol)を加え室温で0.5時間撹拌した。反応溶液を0.1N塩酸および飽和食塩水で洗浄しその後、溶媒を減圧下留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:独国Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/アセトニトリル=80/20)で精製し、21−BOC−Ala−デキサメタゾン(30)(553mg)を得た。
(工程2)
化合物(30)(500mg)を塩化メチレン(10ml)に溶解し、室温下トリフルオロ酢酸(TFA;1ml)を加え、2時間撹拌し、ついで溶媒を留去した。脱BOC化した化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:独国Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×50cm、溶離液:アセトニトリル/メタノール/塩化メチレン=5/15/85)で精製し、その後陰イオン交換樹脂で処理することで、標記化合物(29)(412mg)を得た。テトラメチルシランを標準とするDMSO-d6溶媒におけるNMRデータを下記に示す。
1H−NMR(DMSO−d6):δ0.80(d,3H)0.90(s,3H)1.09(s,1H)1.33−1.79(m,4H)1.49(s,3H)1.50(d,3H)2.08−2.91(m,6H)3.35(brs,1H)4.17(m,1H)4.24(q,1H)4.95(d,1H)5.20(d,1H)5.27(s,1H)5.53(d,1H)6.01(s,1H)6.23(dd,1H)7.33(d,1H)8.46(brs,1H)
13C−NMR(DMSO−d6):15.20,16.09,16.29,23.08,27.41,30.41,32.05,33.70,35.61,35.83,43.42,47.80,48.05,48.25,69.38,70.41,90.61,101.42,124.19,129.03,152.94,167.17,169.98,185.41,204.30
〔実施例18〕
カルボキシメチル化ポリエーテル−21−Ala−デキサメタゾン(31)の製造
実施例4で得た、カルボキシメチル化ポリエーテル(5)(1g)を水20mlに溶解し、氷冷下、この溶液にDMF20mlを加えた。この溶液に実施例16で得た、21−Ala−デキサメタゾン塩酸塩(29)(200mg)を溶解した水:DMF(1:1)混合液(8ml)およびWSC・HCl(1.0g)を溶解したDMF5mlを加え、室温で6時間撹拌した。この反応液を透析膜(分子量カットオフ12,000−14,000、米国、スペクトラム社製)を用い、精製水に対して4℃で2日間透析した。この内液をメンブランフィルター(0.22μm)にて濾過した後、凍結乾燥し、表記化合物(31)(0.97g)を得た。本複合体の薬物の導入量は、240nmにおける紫外吸光度および複合体の総重量から算出したところ、3.6%(重量%)であった。
〔実施例19〕
21−Leu−デキサメタゾン塩酸塩(32)の製造
(工程1)
BOC−Leu・HO(747mg、3mmol)および、ジメチルアミノピリジン(244mg、2mmol)およびデキサメタゾン(392mg、1mmol)を塩化メチレン(30ml)に溶解した。次いで、DIPC(252mg、2mmol)を加え室温で13時間撹拌した。反応溶液を0.1N塩酸および飽和食塩水で洗浄しその後、溶媒を減圧下留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:独国Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/アセトニトリル=80/20)で精製し、20−BOC−Leu−デキサメタゾン(33)(606mg)を得た。
(工程2)
化合物(33)(500mg)を塩化メチレン(5ml)に溶解し、室温下トリフルオロ酢酸(TFA;1ml)を加え、2時間撹拌し、ついで溶媒を留去した。脱BOC化した化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:独国Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×50cm、溶離液:アセトニトリル/メタノール/塩化メチレン=5/15/85)で精製し、その後陰イオン交換樹脂で処理することで、標記化合物(32)(515mg)を得た。テトラメチルシランを標準とするDMSO-d6溶媒におけるNMRデータを下記に示す。
1H−NMR(DMSO−d6):δ0.79(d,3H)0.88(d,3H)0.89(s、3H)0.92(d,3H)1.08(m,1H)1.34−1.81(m,6H)1.49(s,3H)1.86(m,1H)2.12−2.88(m,6H)3.35(s,2H)3.44(q,1H)4.16(m,1H)4.85(d,1H)5.02(d,1H)5.17(s,1H)5.47(d,1H)6.01(s,1H)6.23(dd,1H)7.31(d,1H)
13C−NMR(DMSO−d6):15.27,16.30,21.87,23.11,23.15,24.15,27.46,30.50,32.13,33.79,35.52,35.79,43.46,43.56,48.15,48.16,52.16,68.21,70.62,90.67,101.47,124.24,129.06,153.04,167.27,175.47,185.48,204.90
〔実施例20〕
カルボキシメチル化ポリエーテル−21−Leu−デキサメタゾン(34)の製造
実施例4で得た、カルボキシメチル化ポリエーテル(5)(1g)を水20mlに溶解し、氷冷下、この溶液にDMF20mlを加えた。この溶液に実施例18で得た、21−Leu−デキサメタゾン塩酸塩(32)(200mg)を溶解した水:DMF(1:1)混合液(8ml)およびWSC・HCl(1.0g)を溶解したDMF5mlを加え、室温で6時間撹拌した。この反応液を透析膜(分子量カットオフ12,000−14,000、米国、スペクトラム社製)を用い、精製水に対して4℃で2日間透析した。この内液をメンブランフィルター(0.22μm)にて濾過した後、凍結乾燥し、表記化合物(34)(1.1g)を得た。本複合体の薬物の導入量は、240nmにおける紫外吸光度および複合体の総重量から算出したところ、4.1%(重量%)であった。
〔実施例21〕
21−Ile−デキサメタゾン塩酸塩(35)の製造
(工程1)
BOC−Ile(1040mg、4.5mmol)および、ジメチルアミノピリジン(366mg、3mmol)およびデキサメタゾン(588mg、1.5mmol)を塩化メチレン(30ml)に溶解した。次いで、DIPC(378mg、3mmol)を加え室温で14時間撹拌した。反応溶液を0.1N塩酸および飽和食塩水で洗浄しその後、溶媒を減圧下留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:独国Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×30cm、溶離液:塩化メチレン/アセトニトリル=80/20)で精製し、20−BOC−Ile−デキサメタゾン(36)(622mg)を得た。
(工程2)
化合物(36)(600mg)を塩化メチレン(5ml)に溶解し、室温下トリフルオロ酢酸(TFA;1ml)を加え、2時間撹拌し、ついで溶媒を留去した。脱BOC化した化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:独国Merck社製 Art No.9385,Silica gel 60,200-400 mesh,カラム:4.0×50cm、溶離液:アセトニトリル/メタノール/塩化メチレン=5/15/85)で精製し、その後陰イオン交換樹脂で処理することで、標記化合物(35)(584mg)を得た。テトラメチルシランを標準とするDMSO-d6溶媒におけるNMRデータを下記に示す。
1H−NMR(DMSO−d6):δ0.80(d,3H)0.90(s,3H)0.93(t,3H)1.03(d,3H)1.08(m,1H)1.33−1.86(m,6H)1.49(s,3H)1.50(d,1H)2.13−2.91(m,6H)4.11(d,1H)4.16(m,1H)4.99(d,1H)5.17(d,1H)5.26(s,1H)5.55(d,1H)6.01(s,1H)6.23(dd,1H)7.34(d,1H)8.44(s,1H)
13C−NMR(DMSO−d6):11.69,13.69,15.21,16.21,23.09,25.02,27.44,30.45,32.08,33.72,35.81,35.61,36.34,43.44,48.08,48.22,56.15,69.54,70.41,90.72,101.46,124.19,129.00,152.96,167.18,168.66,185.41,204.40
〔実施例22〕
カルボキシメチル化ポリエーテル−21−Ile−デキサメタゾン(37)の製造
実施例4で得た、カルボキシメチル化ポリエーテル(5)(1g)を水20mlに溶解し、氷冷下、この溶液にDMF20mlを加えた。この溶液に実施例20で得た、21−Ile−デキサメタゾン塩酸塩(35)(200mg)を溶解した水:DMF(1:1)混合液(8ml)およびWSC・HCl(1.0g)を溶解したDMF5mlを加え、室温で6時間撹拌した。この反応液を透析膜(分子量カットオフ12,000−14,000、米国、スペクトラム社製)を用い、精製水に対して4℃で2日間透析した。この内液をメンブランフィルター(0.22μm)にて濾過した後、凍結乾燥し、表記化合物(37)(0.97g)を得た。本複合体の薬物の導入量は、240nmにおける紫外吸光度および複合体の総重量から算出したところ、3.1%(重量%)であった。
〔実施例23〕
化合物(7)、(9)、(11)、(13)、(15)および(22)の生理食塩水に対する溶解度
化合物(7)、(9)、(11)、(13)、(15)および(22)をそれぞれ10mg量り取り、0.1mlの生理食塩水に加えたところ、加えた化合物はそれぞれ完全に溶解した。パクリタキセル換算では、化合物(7)は4.1mg/ml(生理食塩水)の溶解度であった。同様に(9)は2.2mg/ml(生理食塩水)の溶解度、(11)は4.1mg/ml(生理食塩水)の溶解度、(13)は1.8mg/ml(生理食塩水)の溶解度、(15)は3.1mg/ml(生理食塩水)の溶解度、(22)は4.4mg/ml(生理食塩水)の溶解度であった。
更に、パクリタキセル(米国、HAUSER社製)1mgは、10mlの生理食塩水に溶解しなかった。
〔実施例24〕
マウスおよびヒト血漿中における、化合物(7)、(9)、(11)および(13)からのパクリタキセル遊離評価実験
実施例5で得た化合物(7)、実施例6で得た化合物(9)、実施例7で得た化合物(11)および実施例8で得た化合物(13)をそれぞれ生理食塩水に溶解し、パクリタキセルに換算した濃度が125μg/mlとなるよう調製した。これらの溶液20μlをマウスおよびヒト血漿200μlにそれぞれ添加し、37℃における薬物複合体からのパクリタキセル遊離量を測定した。薬学雑誌,114,351−355(1994)記載の方法に従い、血漿中からのパクリタキセル回収を行い、HPLCにより、化合物(7)、(9)、(11)および(13)から血漿中に遊離したパクリタキセル量を評価した。図6および図7には、パクリタキセル遊離の経時変化を示した。その結果、薬物複合体からのパクリタキセルの遊離速度はマウスおよびヒト血漿で同じ傾向が見られた。その順序は、遊離速度の大きい順に化合物(7)>(9)>(11)>(13)であり、これはリンカーであるアミノ酸の立体障害の大きさと相関が見られた。
〔実施例25〕
抗腫瘍効果の評価実験(1)
B16マウス黒色腫細胞5×10個を、C57BL/6系の雌性マウス(6週齢)の鼠径部皮下に移植し、8日後に、被検化合物として実施例12で得た化合物(22)を生理食塩水に溶解した被検液、およびパクリタキセルをエタノール−クレモホールEL(米国、シグマ社製)−生理食塩水に溶解した被検液を、一群7匹として尾静脈内に投与した。投与量はパクリタキセル換算で20および50mg/kgとした。無処置群は、生理食塩水を一群13匹として投与した。被検液投与後6日目に、マウスの腫瘍体積を測定することにより、抗腫瘍効果を判定した。
無処置群の腫瘍体積を100としたときの、被検化合物投与群の平均腫瘍体積を表わした。腫瘍体積Vは、腫瘍を外部から計測し、長径a(mm)および短径b(mm)とするとき、下式(1)により求めた。
Figure 0005189243
被検液投与後6日目の、投与量と腫瘍体積との関係は、図8に示される通りであった。本発明による薬物複合体(22)の50mg/kg投与群の抗腫瘍効果は、パクリタキセルの50mg/kg投与群の抗腫瘍効果と比較して、有意に優れていた。
〔実施例26〕
抗腫瘍効果の評価実験(2)
Colon26腫瘍細胞4%懸濁液を、Balb/C系の雌性マウス(6週齢)の側腹部皮下に移植し、被検化合物として実施例12で得た化合物(22)を生理食塩水に溶解した被検液、およびパクリタキセルをエタノール−クレモホールEL(米国、シグマ社製)−生理食塩水に溶解した被検液を、一群3匹として尾静脈内に投与した。投与量はパクリタキセル換算で50mg/kgとした。無処置群は、一群5匹とした。細胞移植後2日目に、第1回被検液を投与し、その後4日毎に計7回、被検液を尾静脈内に投与した。マウスの腫瘍体積を測定することにより、抗腫瘍効果を判定した。無処置群および被検液投与群の平均腫瘍体積の経時変化を示した。腫瘍体積Vは、腫瘍を外部から計測し、長径a(mm)および短径b(mm)とするとき、前記式(1)により求めた。
被検液投与後の、腫瘍体積の経時変化は、図9に示される通りであった。本発明による薬物複合体(22)の50mg/kg投与群の抗腫瘍効果は、パクリタキセルの50mg/kg投与群の抗腫瘍効果と比較して、有意に優れていた。
〔実施例27〕
抗腫瘍効果の評価実験(3)
Colon26腫瘍細胞4%懸濁液を、Balb/C系の雌性マウス(6週齢)の側腹部皮下に移植し、被検化合物として実施例5で得た化合物(7)、実施例6で得た化合物(9)、実施例7で得た化合物(11)、実施例8で得た化合物(13)を生理食塩水に溶解した被検液、およびパクリタキセルをエタノール−クレモホールEL(米国、シグマ社製)−生理食塩水に溶解した被検液を、一群5匹として尾静脈内に投与した。投与量はパクリタキセル換算で50mg/kgとした。無処置群は、一群9匹とした。細胞移植後2日目に、第1回被検液を投与し、その後7日毎に、被検液を尾静脈内に合計4回投与した。マウスの腫瘍体積を測定することにより、抗腫瘍効果を判定した。無処置群および被検液投与群の平均腫瘍体積の経時変化を示した。腫瘍体積Vは、腫瘍を外部から計測し、長径a(mm)および短径b(mm)とするとき、前記式(1)により求めた。
被検液投与後の、腫瘍体積の経時変化は、図10に示される通りであった。本発明による薬物複合体(7)および(9)の50mg/kg投与群の抗腫瘍効果は、パクリタキセルの50mg/kg投与群の抗腫瘍効果と比較して、有意に優れていた。抗腫瘍効果の強さは[化合物(7)および(9)>(11)>(13)およびパクリタキセル]の順序であった。
〔実施例28〕
化合物(25)、(28)、(31)、(34)および(37)の生理食塩水に対する溶解度
化合物(25)、(28)、(31)、(34)および(37)をそれぞれ10mg量り取り、0.1mlの生理食塩水に加えた、加えた化合物はそれぞれ完全に溶解した。カンプトテシン換算で化合物(25)は3.6mg/ml(生理食塩水)の溶解度であった。同様に(28)はカンプトテシン換算で4.6mg/ml(生理食塩水)の溶解度、(31)はデキサメタゾン換算で3.6mg/ml(生理食塩水)の溶解度、(34)は同様にデキサメタゾン換算で4.1mg/ml(生理食塩水)の溶解度、(37)は同様にデキサメタゾン換算で3.1mg/ml(生理食塩水)の溶解度であった。
〔実施例29〕
マウス血漿中における、化合物(31)、(34)および(37)からのデキサメタゾン遊離評価実験
実施例18で得た化合物(31)、実施例20で得た化合物(34)および実施例22で得た化合物(37)をそれぞれ生理食塩水に溶解し、デキサメタゾン換算で80μg/mlとなるよう調製した。これらの溶液50μlをマウス血漿250μlにそれぞれ添加し、37℃におけるそれぞれの薬物複合体からのデキサメタゾン遊離量を測定した。血漿中のデキサメタゾン回収並びに定量は次のようにして行った。すなわち、血漿サンプル250μlに対し、250μlリン酸緩衝液(pH7.4)を加え、さらに内部標準として酢酸ヒドロコルチゾンを含むアセトニトリル−メタノール溶液(CH3CN/MeOH=4/1、酢酸ヒドロコルチゾン濃度=10ng/ml)を3ml加えた後遠心し、(3000rpm、10分、4℃)得られた上清700μlに、蒸留水700μlを加え、メンブランフィルター(0.4μm)にてろ過した後、HPLCにて定量した。
HPLCの条件
カラム:Asahipak HIKARISIL C18(4.6×150mm) 流速:1.0ml/min
カラム温度:25℃
検出波長:240nm
移動相:Linear gradient
0min:20%アセトニトリル水溶液(20%CH3CN/H2O)
20min:50%アセトニトリル水溶液(50%CH3CN/H2O)
図11にマウス血漿中からのデキサメタゾン遊離の経時変化を示した。薬物複合体からのデキサメタゾンの遊離速度の順序は、遊離速度の大きい順に化合物(31)>(34)>(37)であり、これはリンカーであるアミノ酸の立体障害の大きさと相関が見られた。
本発明のポリエーテルは、生体組織適合性および体液適合性に優れ、更に、それらを用いた医療用材料を構成する材料全体の高い安全性が期待される。特に、本発明のポリエーテルは、生体との相互作用が極めて少なく、生体組織に認識されにくいために肝臓、脾臓、骨髄といった代謝臓器、副作用発現臓器に分布することが少なく、臓器障害や細胞毒性を引き起こす可能性が低減され、標的とする臓器に集積することが可能となる。
また、該ポリエーテルにアミノやペプチドなどのリンカーを介して薬理活性を有する化合物を結合させて薬物複合体として用いた場合、これを生体内に投与した際に、生体組織に認識されずに薬物を標的組織に送達することが可能になる。薬物複合体は、優れた薬物遊離速度の制御が可能であり、しかも結合前の薬物に比べ生理食塩水に対する溶解性が極めて向上し、溶解補助剤無しでの静脈内投与を可能とする効果を発揮する。
実施例1の本発明の化合物(1)のGPCによる溶出曲線。 実施例1の本発明の化合物(2)のGPCによる溶出曲線。 実施例2の本発明の化合物(3)のGPCによる溶出曲線。 実施例2の本発明の化合物(4)のGPCによる溶出曲線。 実施例1の本発明の化合物(2)における毒性評価のグラフ。 実施例12の本発明の化合物(22)のマウス血漿中薬物遊離のグラフ。 実施例12の本発明の化合物(22)のヒト血漿中薬物遊離のグラフ。 実施例12の本発明の化合物(22)のB16に対する抗腫瘍効果を表すグラフ。 実施例12の本発明の化合物(22)のColon26に対する抗腫瘍効果を表すグラフ。 実施例5の本発明の化合物(7)、実施例6の本発明の化合物(9)、実施例7の本発明の化合物(11)、実施例8の本発明の化合物(13)のColon26に対する抗腫瘍効果を表すグラフ。 実施例18の本発明の化合物(31)、実施例20の本発明の化合物(34)、実施例22の本発明の化合物(37)のマウス血漿中薬物遊離のグラフ。

Claims (10)

  1. 式(I)、(II)および(III)で表される構造単位からなりポリエチレングリコール(PEG)換算重量平均分子量が1,000〜200,000であることを特徴とするポリエーテル。
    Figure 0005189243
    Figure 0005189243
    Figure 0005189243
    (式中、Raは−COOH、−COONa、または−CONH−Rbを示し、Rbは抗腫瘍剤、抗炎症剤、酵素阻害剤、免疫抑制剤、免疫賦活剤、および抗リウマチ剤からなる群から選択される薬理作用を有する分子、または該薬理作用を有する分子にアミノ酸またはペプチドであるリンカーを結合させた化合物、からアミノ基を除いた残基を示し、同一の共重合体内でRaは同一であっても異なっていても良い。各構造単位のモル比は、(I)/((I)+(II)+(III))=0.001〜0.5であり、(II)/((I)+(II)+(III))=0.0001〜0.9989であり、(III)/((I)+(II)+(III))=0.0001〜0.9989である。)
  2. さらに、PEG換算重量平均分子量/PEG換算数平均分子量(Mw/Mn)が1.2〜2.5である請求項1に記載のポリエーテル。
  3. 前記薬理作用を有する分子が、アミノ基、カルボキシル基、または水酸基を有するものであり、これらの各基が前記アミノ酸またはペプチドであるリンカーと結合した基である請求項1又は2に記載のポリエーテル。
  4. リンカーがGly,Ala,Leu,Ile,Phe,Gly−Gly,Ala−GLy,Gly−Ala,Leu−Gly,Gly−Leu,Ile−Gly,Gly−Ile,Phe−Gly,Gly−Phe,Gly−Gly−Gly,Gly−Phe−Gly,Phe−Gly−Gly,Gly−Gly−Phe,Gly−Gly−Phe−Glyから選択される請求項3に記載のポリエーテル。
  5. リンカーがGly,Ala,Leuから選択される請求項3記載のポリエーテル。
  6. 抗腫瘍剤がタキサン系抗腫瘍剤、アンスラサイクリン系抗腫瘍剤、白金系抗腫瘍剤、カンプトテシン、フッ化ピリミジン系代謝拮抗剤、ビンカアルカロイド系抗腫瘍剤、および葉酸拮抗剤から選択される請求項1〜5のいずれかに記載のポリエーテル。
  7. (I)におけるRa は−CONH−R b であり、該R b 抗腫瘍剤、抗炎症剤、酵素阻害剤、免疫抑制剤、免疫賦活剤、および抗リウマチ剤からなる群から選択される薬理作用を有する分子、または該薬理作用を有する分子にアミノ酸またはペプチドであるリンカーを結合させた化合物からアミノ基を除いた残基である請求項1〜6のいずれかに記載のポリエーテルを含む薬物送達製剤。
  8. (I)におけるRaが−COOH又は−COONaである請求項1〜6のいずれかに記載のポリエーテルからなる生体内組織への薬物送達用担体。
  9. (I)におけるRaが−COOHあるいは−COONaである請求項1〜6のいずれかに記載のポリエーテルからなる薬剤、ペプチド、核酸、又は蛋白を固定化するための担体。
  10. 薬物送達製剤の製造における請求項1〜6のいずれかに記載のポリエーテルの使用。

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