以下、本発明の第一の実施形態である自動加振健康器具1について、図1乃至5を参照して説明する。図1は、第一の実施形態の自動加振健康器具1の斜視図であり、図2は、カバー3を外した状態の自動加振健康器具1の斜視図である。また、図3は、主枠4及びシート7へのエアシリンダ22の接続構造を示す斜視図であり、図4は、振動検出器40の斜視図である。また、図5は、エアチューブ37の配管及び制御系統を示すブロック図である。尚、図1及び図2の左下側を「自動加振健康器具1の正面側」、右上側を「自動加振健康器具1の背面側」とし、右下側を「右側」、左上側を「左側」とする。
まず、自動加振健康器具1の構成について概略的に説明する。図1に示すように、自動加振健康器具1は、主に本体2と、エアコンプレッサ50と、制御部60とから構成されており、使用時の本体2の上面はカバー3によって覆われている。このカバー3は、部品の損傷や怪我の発生を防止するために、ウレタンフォーム、ポリエチレンフォームなどの弾性を有するスポンジ材を用いて形成される。尚、本体2は使用者に振動を与えるための加振装置21を備えており、加振装置21はエアコンプレッサ50から供給される圧縮空気により動作する。そして、制御部60は加振装置21の動作を制御する。また、制御部60には、圧力計56及び圧力調整ハンドル57を備えたフィルタレギュレータ58が固定されており、エアコンプレッサ50から加振装置21へ供給される圧縮空気の圧力を調整可能となっている。
次に、本体2について説明する。図2に示すように、本体2は、平面視長方形状の主枠4と、この主枠4を床面から所定の高さに支持する支持枠5とを有しており、主枠4の内側には複数のリング6が固定されている。そして、主枠4に取り囲まれた空間を覆うように、主枠4よりも小さい長方形状のシート7が配設されており、このシート7の外周縁部には複数の孔8が形成されている。そして、牽引ばね9の一端部がリング6に、他端部がシート7の孔8に固定されることで、シート7は上下方向に振動自在に張設されている。
また、主枠4の右側後方には、シート7への使用者の乗降を補助する段部11と、乗降を行う際に使用者が把持する手すり12とが設けられている。これにより、使用者はより容易且つ安全にシート7への乗降を行うことができる。
また、主枠4の左側前方には、加振動作の始動及び停止を操作するための操作部14が配設されており、使用者は、シート7に乗り込んでから操作部14を操作して加振動作を開始させることができる。よって、使用者は振動中のシート7に乗り込む必要はなく、シート7に乗り込む途中で加振動作が開始されることもないため、シート7から離れた位置に操作部14を配設する場合よりも安全性が高い。
そして、主枠4の左右には、シート7の外周縁部を引き込むことでシート7の中央部を上下に振動させる加振装置21が設けられており、さらに、主枠4の正面側には、シート7の上下方向の振動の振幅を検出する振動検出器40が設けられている。以下、これらの構造の詳細について説明する。
次に、加振装置21について、図2及び図3を参照して説明する。図2に示すように、加振装置21は、左右対称となる位置に3つずつ配設されたエアシリンダ22と、主枠4の左右に1つずつ設けられ、エアコンプレッサ50からエアシリンダ22への空気の流入を制御する2つの電磁弁35とから構成されている。そして、図3に示すように、主枠4にはエアシリンダ22の配設位置にブラケット31が固定されており、このブラケット31に形成された軸部32によって、エアシリンダ22のヘッド側端部23が上下方向に揺動可能に軸支されている。また、エアシリンダ22のロッド24の先端部にはフランジ25が形成されており、このフランジには2つのばね取付孔26が穿設されている。そして、シート7の孔8には、2つのばね取付孔34が穿設された取付金具33がボルト28及びナット29によって固定されており、取付金具33のばね取付孔34と、フランジ25のばね取付孔26とがばね30によって接続される。このように接続されたエアシリンダ22へ、エアコンプレッサ50からの圧縮空気がエアチューブ37を介して供給されることにより、ロッド24が往復直線運動を行う。すると、使用者に加えられる衝撃がばね30によって吸収されつつ、エアシリンダ22による往復直線運動がシート7へ伝達されることとなる。
次に、振動検出器40について、図4を参照して説明する。図4に示すように、振動検出器40はブラケット41と、ロータリエンコーダ43と、検知バー45と、牽引ばね47とからなり、ブラケット41を介してロータリエンコーダ43が主枠4に固定されている。ロータリエンコーダ43の回転軸44には検知バー45が螺子46によって固定されており、ブラケット41の中央からシート7側へ延びる棒状のばね接続部42には、検知バー45を上方へ付勢するための牽引ばね47が接続されている。そして、検知バー45の先端部48はシート7と略平行となるように屈曲形成されているため、検知バー45がシート7の下面に滑らかに接触しながら、シート7の振動に合わせて回転軸44を中心として上下方向(図4に示すA方向)に回動する。これにより、シート7の振動の振幅を検知バー45の揺動角度として検出することができる。尚、検知バー45が本発明の「揺動部」に相当し、検知バー45が下方に揺動しているか否かにより、使用者がシート7に乗っているか否かを検出する振動検出器40が「使用者検出手段」に相当する。
次に、エアチューブ37の配管及び制御系統について、図5を参照して説明する。図5に示すように、エアコンプレッサ50とフィルタレギュレータ58、フィルタレギュレータ58と2つの電磁弁35、電磁弁35と6つのエアシリンダ22は、全てエアチューブ37によって接続されている。そして、圧力計56(図1参照)を確認しながら圧力調整ハンドル57(図1参照)を操作することで、エアコンプレッサ50からエアシリンダ22へ供給される圧縮空気の圧力を任意に調整することができる。これにより、エアシリンダ22によるシート7の牽引力を調整し、使用者に与えられる振動の強さを適宜設定することができる。
また、1つの電磁弁35に対して3つのエアシリンダ22が接続されており、さらに、制御部60によって制御される2つの電磁弁35の開閉タイミングが同期するように設定されている。よって、6つのエアシリンダ22は全て同じ動作を行い、シート7の左右の縁部が同時に牽引されるため、シート7を左右方向でなく上下方向に振動させることができる。
また、操作部14には始動ボタン15及び停止ボタン16が配設されており、使用者による操作が行われる毎に制御部60へ操作信号が出力される。ロータリエンコーダ43は、振動するシート7の振幅、すなわち、シート7の下方への沈み具合を揺動角度として検出し、角度信号を制御部60へ出力する。
また、制御部60には、制御装置であるシーケンサ61と、加振スタートタイマ62と、加振幅タイマ63とが配設されている。シーケンサ61は、入力される種々の信号に基づいて、あらかじめ定められた順序に従った段階的なシーケンス制御を行う。加振スタートタイマ62は、ロータリエンコーダ43によって所定の振幅が検出されてから、エアシリンダ22による牽引を開始させるまでの時間を計測するためのタイマであり、この加振スタートタイマ62によって牽引のタイミングが決定される。自動加振健康器具1では、使用者の体重が重いほどシート7の振幅は大きくなり、所定の振幅が検出されてから牽引を開始させるまでの適切な時間は長くなる。そこで、加振スタートタイマ62の計測時間の変更を可能とすることで、体重に応じてスムーズな振動を発生させることを実現している。加振幅タイマ63は、1回の牽引動作中に、エアシリンダ22に牽引力を発生させる時間を計測するためのタイマであり、この加振幅タイマ63の計測時間を変更することで、振動の周期及び振幅を適宜設定することができる。
そして、シーケンサ61では、操作部14から始動を示す操作信号が出力されており、且つロータリエンコーダ43から所定値以上の振幅を示す角度信号が出力されている場合に加振動作を開始させる。さらに、加振スタートタイマ62及び加振幅タイマ63により計測される時間に応じて2つの電磁弁35を制御し、エアシリンダ22に繰り返し牽引動作を行わせることで、使用者に振動を与える。ここで、シート7に使用者が乗っていない場合には所定値以上の振幅を示す角度信号は入力されず、加振動作は行われないため、振動中のシートに使用者が乗り込むことで生じる危険を回避することができる。尚、制御部60が本発明の「加振制御手段」に相当する。
以上説明した自動加振健康器具1について、本発明の効果の1つを確認するために、以下に示す試験を行った。
[実施例]
本実施例では、自動加振健康器具1を使用する前後での使用者の血糖値を比較する試験を行った。この試験では、A〜Iの9人の使用者に自動加振健康器具1を使用してもらい、使用前の血糖値と、使用後の血糖値とを測定した。さらに、自動加振健康器具1を使用していない場合の血糖値の推移と比較するために、B,C,Iの3人の使用者については、自動加振健康器具1を使用せずに10分間安静にした前後での血糖値をそれぞれ測定した。尚、血糖値の推移は食事をした後の経過時間によって大きく変化するため、この影響を排除するために、測定時間を17時前後に統一してこの試験を行った。自動加振健康器具1の使用中、使用者はシート7上に横になっているだけであり、他の運動は行っていない。
表1に示すように、この試験の結果、10分間安静後の血糖値は大幅に減少することはなく、逆に「B」及び「I」の使用者に関しては血糖値が増加していた。これに対し、自動加振健康器具1を10分間使用した場合、減少値には個人差(「−2」〜「−20」)があるものの、全ての使用者の血糖値が減少した。この結果により、自動加振健康器具1の使用によって血糖値が減少することが分かった。
以上説明したように、第一の実施形態の自動加振健康器具1によると、加振装置21によってシート7を自動で上下に振動させることで、自由に体を動かすことができない臥床者であっても、補助者の補助なくトランポリンの振動を得ることができる。これにより、補助者に多大な負担を強いることなく、トランポリンによる気分の高揚、全身の血行の促進、血糖値の減少、平衡感覚の改善等の効用を使用者にもたらすことができる。また、シート7の振動の振幅をロータリエンコーダ43によって検出し、検出した振幅に応じて加振装置21の動作を制御することができるため、使用者の体重に応じてシート7を振動させることができる。さらに、使用者がシート7に乗っている場合のみ、シート7を振動させることができるため、振動中のシートに乗り込むことで生じる危険を回避することができる。
また、エアコンプレッサ50、エアシリンダ22、及び電磁弁35を用いて空気圧によりシート7を振動させることができるため、衝撃を空気によって吸収することができ、より高い安全性を担保することができる。また、シート7への乗降を補助する段部11及び手すり12を備えることで、転落の危険性を低下させることができる。
次に、本発明の第二の実施形態の自動加振健康器具101について説明する。先述した自動加振健康器具1は、エアシリンダ22によってシート7を振動させている。一方、第二の実施形態に係る自動加振健康器具101は、電気によって駆動するソレノイド122に、所定のタイミングでシート107の端部を引き込ませることで、シート107の中央部を上下に振動させている。
まず、自動加振健康器具101の機械的構成について、図6乃至図8を参照して説明する。図6は、第二の実施形態の自動加振健康器具101の、カバーを外した状態の斜視図である。また、図7は、主枠104及びシート107へのソレノイド122の接続構造を示す斜視図であり、図8は、振動検出器141の斜視図である。尚、図6の左下側を「自動加振健康器具101の正面側」、右上側を「自動加振健康器具101の背面側」とし、右下側を「右側」、左上側を「左側」とする。
図6に示すように、自動加振健康器具101は、主に本体102と、制御部160とから構成されている。使用時の本体2の上面は、弾性を有するスポンジ材等によって形成されたカバー(図示外)で覆われている。本体2は、床面に接する平面視長方形状の支持枠105と、支持枠105と略同一の形状である主枠104と、主枠104を支持枠105から所定の高さに支持する複数の柱部110とを備えており、主枠104の内側には複数のリング106が固定されている。そして、主枠104に取り囲まれた空間を覆うように、主枠104よりも小さい長方形状のシート107が配設されており、このシート107の外周縁部には複数の孔108が形成されている。牽引ばね109の一端部がリング106に、他端部がシート107の孔108に固定されることで、シート107は上下方向に振動自在に張設されている。
また、主枠104の左側前方には、加振動作の始動及び停止を操作するための操作部114が配設されている。使用者は、シート107に乗り込んでから操作部114を操作して加振動作を開始させることができる。そして、主枠104の左右には、シート107の外周縁部を所定のタイミングで引き込むことでシート107の中央部を上下方向に振動させる加振装置121が設けられている。さらに、主枠104の正面側には、シート107の外周縁部の移動距離によってシート107の上下方向の振動を検出する振動検出器141が設けられている。以下、これらの構造の詳細について説明する。
次に、加振装置121について、図6及び図7を参照して説明する。図6に示すように、加振装置121は、左右対称となる位置に5つずつ配設されたソレノイド122によって構成されている。図7に示すように、主枠104の内側の面(図7の左下側の面)には、左側面視L字型の取付金具123が複数箇所に固定されている。取付金具123の内側へ突出する部分には、主枠104と平行な方向に貫通孔124が穿設されており、円柱状のシャフト125が、取付金具123の貫通孔124に回動可能に保持されている。また、ソレノイド122は、矩形板状の取り付け板126にネジ127によって固定されており、取り付け板126の下面には、主枠104と平行な方向に貫通孔が穿設されたブロック129が固定されている。そして、シャフト125は、ブロック129の貫通孔に挿通されている。これにより、ソレノイド122は、シート107のシート面の角度に合わせて、シャフト125を回転中心として回動可能に主枠104に取り付けられている。
また、主枠104の内側の面には、取り付け板126の配設位置、且つ取り付け板126の外側の端部よりも上方の位置に、棒状の位置決め部材130が内側へ向けて突設されている。ソレノイド122のプランジャ132の先端部が下方へ回動すると、取り付け板126の上面に配設されたゴム板131が位置決め部材130に当接する。従って、ゴム板131によって騒音及び部品の破損が防止されつつ、シャフト125を回転中心としたソレノイド122の回動範囲が適切に制限される。
また、ソレノイド122のプランジャ132とシート107とは、取り付けばね133によって接続されている。取り付けばね133は、ばね136及び2つの取付部134,135によって構成されている。第一取付部134は、ばね136を固定しつつシート107に接続され、第二取付部135は、ばね136を固定しつつプランジャ132に接続される。これにより、ソレノイド122の牽引力は、ばね136を介してシート107に伝わることとなる。よって、ソレノイド122を駆動させた際の衝撃が使用者に伝わることを防止し、スムーズにシート107を振動させることができる。さらに、ばね136は、ソレノイド122のプランジャ132に伝わる衝撃も吸収することができるため、衝撃に起因したソレノイド122の機能低下や故障を防止することができる。
また、取り付け板126の内側の半面は、プランジャ132の移動をガイドするためのガイド部材137として機能する。ガイド部材137には、プランジャ132の移動方向と平行な方向を長手方向とするガイド孔138が形成されており、プランジャ132に固定されたネジ139が、ガイド孔138に移動可能に挿通されている。これにより、プランジャ132の往復移動がガイドされるとともに、自動加振健康器具101の内側(図7の左下側)へのプランジャ132の移動が適切に制限される。よって、ソレノイド122の消耗速度を低下させることができる。
また、各ソレノイド122にはサーモスイッチ(図示外)が設けられている。ソレノイド122の温度が所定温度以上に上昇すると、サーモスイッチが各ソレノイド122の動作を停止させる。さらに、加振装置121を構成する10個のソレノイド122のうちの1つには温度センサ140(図9参照)が配設されている。後述する駆動処理(図10参照)では、温度センサ140によって検出された温度に応じてソレノイド122の駆動を制限している。これにより、過度の温度上昇による破損の発生を防止することを実現している。
次に、振動検出器141について、図8を参照して説明する。図8に示すように、振動検出器141は、ブラケット142と、ロータリエンコーダ143と、牽引ばね144と、ロープ145と、滑車146とから構成されている。ブラケット142は、柱部110の下部に固定されている。ロータリエンコーダ143は、回転軸148の軸心が主枠104と平行となるように、ブラケット142に固定されている。
柱部110と主枠104との接続部分には、主枠104と平行な方向を軸心とする滑車146が配設されている。また、柱部110の長手方向略中心には、棒状のばね接続部147がシート107側へ突設されており、ばね接続部147に牽引ばね144の一端が接続されている。そして、牽引ばね144の他端に接続されたロープ145は、ロータリエンコーダ143の回転軸148に巻張され、さらに滑車146に巻張されて、シート107の外周縁部に固定されている。本実施形態では、ロープ145にはワイヤロープを用いているが、強度を担保できれば他のロープを用いてもよい。
シート107の中央が下方へ沈み込むと、シート107の外周縁部はシート107の中心へ移動し、ロープ145は牽引ばね144の牽引力に抗して引っ張られる。すると、シート107の外周縁部の移動距離に比例して、ロータリエンコーダ143の回転軸148が回転する。また、沈み込んだシート107の中央が上方への移動を開始すると、シート107の外周縁部は外側へ向けて移動する。すると、ロープ145は、牽引ばね144によって引っ張られ、ロータリエンコーダ143の回転軸148が回転する。このように、ロータリエンコーダ143は、回転軸148の回転角度を検出することで、シート107の振動を検出することができる。また、滑車146を介してロープ145をシート107に接続しているため、ロータリエンコーダ143でのロープ145の移動方向を規制することができる。よって、より正確に振動を検出することができる。さらに、シート107の外周縁部と主枠104との間にロータリエンコーダ143を配設する場合に比べ、シート107と主枠104との間の隙間を狭くすることができる。よって、隙間に手足が挟まる虞を低下させることができ、且つ、自動加振健康器具101を小型化することができる。
次に、図9を参照して、自動加振健康器具101の電気的構成について説明する。図9は、自動加振健康器具101の電気的構成を示すブロック図である。図9に示すように、マイクロコンピュータを備えた制御部160には、操作部114、ロータリエンコーダ143、温度センサ140、及び駆動部171が接続されている。操作部114は、始動ボタン115及び停止ボタン116が操作された場合に、操作信号を制御部160に出力する。ロータリエンコーダ143は、検出した回転角度を制御部160に出力する。温度センサ140は、ソレノイド122の温度を検出して制御部160に出力する。
制御部160には、使用者に振動の強さ(本実施形態では、「弱」、「中」、「強」)を決定させるためのパワー切替スイッチ165が設けられている。また、制御部160は、各種時間を計測するための計時手段である連続運転タイマ166、駆動開始タイマ167、駆動時間タイマ168、及び下降時間タイマ169として機能する。連続運転タイマ166は、加振装置121による加振動作が連続して行われている時間を計測する。駆動開始タイマ167は、シート107が上昇を開始してからソレノイド122の駆動を開始するまでの時間を計測する。駆動時間タイマ168は、ソレノイド122の1回の駆動が開始してからの時間を計測する。下降時間タイマ169は、シート107が下降している時間、すなわち、シート107が下降を開始してから上昇を開始するまでの時間を計測する。計測された各種時間は、後述する駆動処理(図10参照)でソレノイド122の駆動を制御するために用いられるが、この詳細は図10を参照して後述する。
そして、制御部160は、入力された情報、算出した各種時間等に応じて、ソレノイド122を駆動させるための駆動信号を駆動部171に出力する。駆動部171は、右側の5つのソレノイド122を駆動する右ソレノイド駆動スイッチ172と、左側の5つのソレノイド122を駆動する左ソレノイド駆動スイッチ173とを備えている。そして、制御部160から入力された駆動信号に応じて、10個のソレノイド122を同じタイミングで駆動させる。
次に、図10を参照して、自動加振健康器具101の制御部160で行われる駆動処理について説明する。図10は、制御部160で行われる駆動処理のフローチャートである。自動加振健康器具101の電源がオンとされると、制御部160のマイクロコンピュータ(図示外)のCPUが、ROMに記憶されたプログラムに従って駆動処理を実行する。
図10に示す駆動処理が開始されると、まず、温度センサ140によって検出されるソレノイド122の温度が正常範囲内であるか否かが判断される(S1)。ソレノイド122は、所定温度以上に達すると動作不良や故障を生じる虞がある。従って、温度センサ140によって検出された温度が、あらかじめ定められた所定温度以上であれば、正常範囲内でないと判断される(S1:NO)。そして、制御部160に設けられた表示部(図示外)にエラーを表示させる処理が行われて(S2)、S1の判断へ戻る。
温度センサ140によって検出されたソレノイド122の温度が正常範囲内であれば(S1:YES)、操作部114の始動ボタン115が操作されたか否かが判断される(S3)。操作されていなければ(S3:NO)、この判断が繰り返し行われる。使用者が始動ボタン115を操作した場合には(S3:YES)、ソレノイド122の駆動が行われる。
まず、シート107が上昇中であるか否かが、ロータリエンコーダ143から出力される信号によって判断される(S4)。シート107が上昇中でなければ(S4:NO)、シート107の1回の振動における下降時間が計測される(S5)。そして、ソレノイド122による加振動作が連続して行われている連続運転時間が計測され、計測されている連続運転時間が表示部(図示外)に表示される(S10)。
一方で、シート107が上昇中であると判断された場合には(S4:YES)、上昇が開始されてからソレノイド122の駆動を開始させるための駆動開始時間が計測される(S6)。この駆動開始時間は、使用者によってあらかじめ設定され、制御部160のEEPROM(図示外)に記憶されている。ここで、自動加振健康器具101では、使用者の体重が重いほどシート107の振幅は大きくなり、シート107が上昇を開始してからソレノイド122を駆動させるまでの適切な時間は長くなる。そこで、使用者は、体重に適した駆動開始時間を適宜設定することで、スムーズな振動を発生させることができる。尚、第二の実施形態では、制御部160に設けられたボタン(図示外)を使用者が操作することで駆動開始時間が設定されるが、設定方法はこれに限られない。
次いで、設定されている駆動開始時間が到来したか否かが判断される(S7)。到来していなければ(S7:NO)、S10の処理へ移行する。駆動開始時間が到来した場合には(S7:YES)、パワー切替スイッチ165(図9参照)によって設定されている振動の強さに応じて、ソレノイド122の駆動時間が算出される(S8)。駆動時間とは、ソレノイド122を1回駆動させる際の最大の時間であり、ソレノイド122の駆動の終了タイミングを判断するために用いられる。自動加振健康器具101では、振動の強さに応じて、「弱」、「中」、「強」の順で大きくなる3つの定数が定められている。そして、直前に計測されたシート107の下降時間に、設定されている振動の強さに応じた定数を掛けることで、駆動時間が算出される。このように、使用者の体重に応じて変化する下降時間から駆動時間を算出することで、シート107を適切に振動させることができる。また、設定された振動の強さに応じた定数を下降時間に掛けて駆動時間を算出することで、使用者の体重と、使用者による設定とに応じて適切にシート107を振動させることができる。
次いで、ソレノイド122の動作を制御する処理が行われる(S9)。まず、駆動開始時間が到来すると、全てのソレノイド122を同時に駆動させる処理が行われる。これにより、シート107の外周縁部が引き込まれるため、使用者を上方に引き上げるための力がシート107に加えられる。そして、算出された駆動時間が経過するか、又はシート107の上昇が終了して下降が開始されるまで、ソレノイド122の駆動が継続される。駆動時間が経過した場合、若しくは、シート107の下降が開始されたことがロータリエンコーダ143によって検出された場合に、全てのソレノイド122の駆動が停止される。そして、S10の処理へ移行する。
そして、連続運転時間の計測及び表示が行われて(S10)、連続運転の終了条件が成立したか否かが判断される(S11)。自動加振健康器具101では、停止ボタン116が操作された場合、及び、連続運転時間があらかじめ設定された時間に達した場合のいずれかの条件が成立していなければ(S11:NO)、連続運転を継続させるため、S4の判断へ戻る。停止ボタン116が操作された場合、又は連続運転時間が所定時間に達した場合には(S11:YES)、連続運転を終了し、S1の判断へ戻る。
以上説明したように、第二の実施形態の自動加振健康器具101によると、ソレノイド122によってシート107を上下に振動させることで、自由に体を動かすことができない臥床者であっても、補助者の補助なくトランポリンの振動を得ることができる。これにより、補助者に多大な負担を強いることなく、トランポリンによる様々な効用を使用者にもたらすことができる。さらに、電動機であるソレノイド122によってシート107を引き込むことで、動作中に発生する音をより小さくすることができる。また、エアコンプレッサ等の動力機器が不用であるため、自動加振健康器具101の軽量化及び省スペース化を図ることができる。
また、振動検出器141が、シート107の振動、具体的にはシート107が上昇中であるか、下降中であるかを検出し、制御部160は、シート107が上昇を開始してから駆動開始時間が経過した後にソレノイド122による引き込み動作を実行させる。そして、駆動時間が経過するか、若しくはシート107の下降開始が検知されると、ソレノイド122の引き込み動作を停止させる。従って、シート107の振動に併せて、シート107が上昇している間の適切な時間帯にのみソレノイド122を駆動させることで、効率よくスムーズにシート107を振動させることができる。また、振動検出器141は、シート107の外周縁部の移動距離をロータリエンコーダ143で検出することで、シート107の振動を検出することができる。従って、シート107のシート面に検知バー45(図4参照)を当接させることなく、シート107の振動を検出することができる。よって、シート107や検知バー45の劣化や破損を生じさせることなく、適切且つ容易にシート107の振動を検出することができる。また、使用者がシート107に乗っていなければ、振動検出器141の検出値が変化せず、ソレノイド122は動作しない。よって、無駄な動作をソレノイド122に実行させることはなく、使用者は振動中のシート107に乗り込む必要もない。
尚、第二の実施形態における制御部160が本発明の「加振制御手段」に相当する。駆動開始時間が「第一時間」に相当し、図10のS6で駆動開始時間を計測する制御部160のCPUが「第一計測手段」として機能する。図10のS9でソレノイド122の駆動を開始させる制御部160のCPUが「開始制御手段」として機能する。駆動時間が「第二時間」に相当し、図10のS9で駆動時間を計測する制御部160のCPUが「第二計測手段」として機能する。図10のS11でソレノイド122の駆動を終了させる制御部160のCPUが「終了制御手段」として機能する。検出した回転角度が所定の範囲内から変化しない場合に、使用者がシート107に乗っていないことを検出するロータリエンコーダ143が「使用者検出手段」に相当する。
尚、本発明は上記実施形態に限定されることなく、各種の変形が可能である。まず、図11を参照して、第二の実施形態の自動加振健康器具101のソレノイド122における接続構造の変形例について説明する。図11は、ソレノイド122の接続構造の変形例を示す図である。図11に示す変形例では、プランジャ132の移動方向が鉛直方向となるように、ソレノイド122が主枠104に接続されている。そして、ガイド部材137及びネジ139によって移動をガイドされたプランジャ132には、ロープ151が接続されている。また、主枠104の上端部には滑車152が配設されており、プランジャ132に接続されたロープ151は、滑車152に巻張され、ばね153を介してシート107の外周縁部に固定されている。これにより、シート107の外周縁部と主枠104との間の隙間をより狭くすることができるため、隙間に手足が挟まる虞を低下させることができ、且つ、自動加振健康器具101を小型化することができる。また、ロープ151の移動を滑車152で案内しているため、移動方向と異なる方向への負荷がプランジャ132にかかることがない。よって、プランジャ132をスムーズに動作させることができ、ソレノイド122に劣化や破損が生じる虞を低下させることができる。
また、本発明はその他の変更も可能である。第二の実施形態では、加振装置121に電動機であるソレノイド122を用いたが、この構成は変更することができる。例えば、ソレノイド122に換えてモータ及びカムを使用し、モータの回転運動を直線運動に変換してシート107に力を伝達させることで、シート107を上下に振動させることもできる。つまり、電気によって駆動する電動機を用いれば、動作中に発生する音をより小さくすることができる。また、第一の実施形態のエアシリンダ22には、押し出し及び引き込みの両動作を共に空気圧で駆動する複動型のエアシリンダを用いているが、引き込みの動作のみを空気圧で駆動する単動型のエアシリンダを用いてもよい。
また、第一、第二の実施形態ではシート7,107の外周縁部を引き込むことでシート7,107の中央部を上下に振動させているが、シート7,107を振動させる方法はこれに限られない。例えば、シート7,107を張設している主枠4,104自体を上下に往復移動させてもよい。同様に、シート7,107の振動の振幅を検出する手段も変更が可能である。また、第一、第二の実施形態の振動検出器40,141は、シート7,107の振動の振幅を検出する機能と、シート7,107に使用者が乗っているか否かを検知する機能とを兼ねているが、これらの機能を別々の手段を用いて実現させてもよい。
また、第一の実施形態のカバー3は、本体2の上面のみを覆う形状となっているが、上面だけでなく側面も覆う形状としてもよい。また、主枠4,104の形状も矩形に限られず、円形等の他の形状でもよい。また、第一の実施形態の段部11や手すり12は、使用者がシート7へ乗り込むのを容易とすることができればよく、形状や配設位置等は適宜変更が可能である。また、第一の実施形態の一部と第二の実施形態の一部とを組み合わせてもよいことは言うまでもない。例えば、第二の実施形態の自動加振健康器具101に段部11や手すり12(図1及び図2参照)を配設してもよい。また、第一の実施形態の振動検出器40に替えて、第二の実施形態の振動検出器141を用いてもよい。