JP5188042B2 - 重合プロセス - Google Patents
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- C08F14/18—Monomers containing fluorine
Description
このような反応媒体の利用に関連した考えられる利点は、次の通り簡単に纏めることができる。
- 溶媒のポリマーからの分離がより簡単である;
- 拡散制御された重合工程の速度論がより高速である;
- この圧縮性溶媒が連鎖移動反応に不活性であると考えられうるので生成物品質の制御がより良好である。
当該技術の現状では、合成が密度の高いCO2ベースの反応媒体の利用から有意な生成物、プロセス及び安全性の利点を享受することができる巨大分子物質の種類は、フッ素化重合体によって構成される。
界面活性剤の役割は、ポリマー粒子の沈殿後の凝結を防止して、高界面積高分子ラテックスの形成を生じることでなければならない。
しかし、いままで、フッ素化モノマーの重合のために提唱された界面活性剤はこのような凝結を防止することに成功しなかった。
ポリマー粒子内部でフリーラジカルのより良好な分散の結果、上述の改良により、ポリマーの形態のより良好な制御、反応器の劣化の減少、より高い生産性がもたらさなければならない。
驚くべきことに、有利には、反応器壁が劣化せず又は付着物を形成させずに重合が生じ、生成物が改善された形態(組織化構造、即ち、規則的な形状の粒子の割合)を有する乾燥粉末として得られることが見出された。
有利には、重合媒体において前記フッ素化モノマーを重合すると、重合媒体においてポリマー生成物を含む不均一な反応混合物が得られる。
本明細書に用いられる用語“不均一な反応混合物”とは、少なくとも2相を有する反応混合物を意味する。一方の相は、液体を含む“連続相”と呼ばれ、もう一方の相は、ポリマー生成物を含む“分散相”と呼ばれる。
用語“不均一な反応混合物”とは、重合が均一重合を開始する分散重合と重合が不均一な重合を開始する乳化重合双方の生成物を包含するものであり、重合開始剤は、連続相において優先して可溶化される。本明細書に用いられる化合物は、その相により可溶性である場合、1つの相が他の相より“優先して、可溶化”される。
従って、本発明は、好ましくは分散重合によって行われる。分散重合は、1つの相、モノマーと開始剤双方が重合媒体に可溶性であるが得られたポリマーは可溶性でない均一系として開始する。分散重合は、一般的には、Barrett, K.E.J. Dispersion Polymerization in Organic Media; Wiley: London, 1975; and Napper, D.H. Polymer Stabilization of Colloidal Dispersions; Academic Press: London, 1983に記載されている。
結果として、本発明の重合プロセスは、好ましくは均一に開始し、得られた重合体相は、好ましくは一次粒子に分離する。これらの一次粒子は、有利には、粒子のフロキュレーションと凝集を防止することが有利である系に存在する官能性(ペル)フルオロポリエーテルによって安定化される。分散重合によって得られるポリマーコロイドは、通常、水性環境におけるコロイド安定化に共通である静電メカニズムと比較して“立体の”メカニズムによって安定化される。コロイド分散液の立体の安定化は、通常、分散相の表面に吸収される1つ又は複数の界面活性剤によって与えられる。
本発明の文脈の中で用いられる用語“フッ素化モノマー”は、少なくとも1つのフッ素原子を含むエチレン系不飽和モノマーであることが理解される。
フッ素化モノマーは、1以上の他のハロゲン原子(Cl、Br、I)を更に含むことができる。フッ素化モノマーが水素原子を含まなければ、ペル(ハロ)フルオロモノマーとして示される。フッ素化モノマーが少なくとも1つの水素原子を含むと、水素含有フッ素化モノマーとして示される。
- C2-C8ペルフルオロオレフィン、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP);
- C2-C8水素添加フルオロオレフィン、例えば、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、1,2-ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン;
- C2-C8ペルハロフルオロモノマー、例えば、クロロトリフルオロエチレン;
- 式CH2=CH-Rf0(Rf0はC1-C6ペルフルオロアルキルである)に対応するペルフルオロアルキルエチレン;
- クロロ-及び/又はブロモ-及び/又はヨード-C2-C6フルオロオレフィン、例えば、クロロトリフルオロエチレン;
- 式CF2=CFORf1 (Rf1はC1-C6フルオロ-又はペルフルオロアルキル、例えば、CF3、C2F5、C3F7である。)に対応する(ペル)フルオロアルキルビニルエーテル;
- CF2=CFOX0(ペル)フルオロオキシアルキルビニルエーテル(X0はC1-C12アルキル、又はC1-C12オキシアルキル、又は1以上のエーテル基を有するC1-C12(ペル)フルオロオキシアルキル、例えば、ペルフルオロ-2-プロポキシプロピル);
- 式CF2=CFOCF2ORf2 (Rf2はC1-C6フルオロ又はペルフルオロアルキル、例えば、CF3、C2F5、C3F7、又は1以上のエーテル基を有するC1-C6(ペル)フルオロオキシアルキル、例えば、-C2F5-O-CF3)に対応する(ペル)フルオロアルキルビニルエーテル;
- 式CF2=CFOY0に対応する官能性(ペル)フルオロオキシアルキルビニルエーテル(Y0は、C1-C12アルキル又は(ペル)フルオロアルキル、又はC1-C12オキシアルキル、又は1以上のエーテル基を有するC1-C12(ペル)フルオロオキシアルキルであって、Y0はカルボン酸基又はスルホン酸基をその酸、酸ハイライド又は塩の形態で含む);
- フルオロジオキソール、特にペルフルオロジオキソール;
- 及びその混合物。
フッ素化モノマーは、フッ素化モノマーと共重合することができる1以上のコモノマーと組合わせて本発明のプロセスに用いることができる。
コモノマーは、水素添加(即ち、フッ素原子を含まない)又はフッ素化(即ち、少なくとも1つのフッ素原子を含有する)されうる。
適切な水素添加されたコモノマーの限定されない例は、特に、エチレン、プロピレン、ビニルモノマー、例えば、酢酸ビニル、アクリルモノマー、例えば、メチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、スチレンモノマー、例えば、スチレン、p-メチルスチレンである。
適切なフッ素化コモノマーは、特に、上で記載されたフッ素化モノマーより選ばれる。
更に、架橋及び分枝するコモノマー、例えば、ジビニルベンゼン、ジアクリレート、トリアクリレート、アクリル酸も含めることができる。
フッ素化モノマーは、典型的には、重合媒体の全質量に基づいて1〜70質量パーセントの量で存在する。
- TFEホモポリマー及びそのコポリマー;
- TFEと、PFA(ペルフルオロプロピルビニルエーテル)、PMVE(ペルフルオロメチルビニルエーテル)、HFP及びエチレンより選ばれた少なくとも1つの他のコモノマーから得られる反復単位を含む溶融処理可能なフルオロポリマー;
- VDFホモポリマー及びそのコポリマー;
- CTFEホモポリマー及びそのコポリマー;
- VDF/HFP、VDF/TFE/HFP、VDF/TFE/PMVE、VDF/TFE/HFP/PMVE、TFE/PMVEに基づくフルオロエラストマー;
- 環状過フッ素化単位を含むアモルファス過フッ素化コポリマー(例えば、米国特許第2002/0177667号に記載されるもの);
-スルホニル基-SO2Fを含むフッ素化単量体単位から得られる反復単位を含む官能基化フルオロポリマー、例えば、米国特許第6,576,100号、米国特許第6,025,092号に記載されるもの。
官能性(ペル)フルオロポリエーテルの質量平均分子量は、一般的には少なくとも400、好ましくは少なくとも600である。
官能性(ペル)フルオロポリエーテルの質量平均分子量は、一般的には多くても100 000、好ましくは多くても20 000である。
質量平均分子量は、標準GPC技術に従って測定される。
平均分子量が400〜100 000の官能性(ペル)フルオロポリエーテルによって良好な結果が得られた。
平均分子量が500〜2500の官能性(ペル)フルオロポリエーテルによって優れた結果が得られた。
好ましくは、官能性(ペル)フルオロポリエーテルの反復単位R1は、
(I) -CFX-O-、ここで、Xは-F又は-CF3である;
(II) -CF2-CFX-O-、ここで、Xは-F又は-CF3である;
(III) -CF2-CF2-CF2-O-;
(IV) -CF2-CF2-CF2-CF2-O-;
(V) -(CF2)j-CFZ-O-、ここで、jは0〜3の整数であり、Zは上記の種類(I)〜(IV)より選ばれた1〜20の反復単位を含むフルオロポリオキシアルケン鎖である; 及び
それらの混合物からなる群より選ばれる。
官能性(ペル)フルオロポリエーテルが異なるタイプの反復単位R1を含むならば、有利には、前記反復単位はフルオロポリオキシアルケン鎖に沿ってランダムに分配される。
T1(CFX)p-O-Rf-(CFX)p'-T2 (I)
(式中、Xは、各々独立してF又はCF3であり;
p、p'は、同じでも異なってもよく、0〜3の整数であり;
Rfは、反復単位R°を含むフルオロポリオキシアルケン鎖であり、
前記反復単位は、
(i) -CFXO-、ここでXはF又はCF3である、
(ii) -CF2CFXO-、ここで、XはF又はCF3である、
(iii) -CF2CF2CF2O-、
(iv) -CF2CF2CF2CF2O-、
(v) -(CF2)j-CFZ-O-、ここで、jは0〜3の整数であり、Zは一般式-ORf'T3を有する基であり、
ここで、Rf'は0〜10の反復単位の数を含むフルオロポリオキシアルケン鎖であり、前記反復単位は以下: -CFXO-、-CF2CFXO-、-CF2CF2CF2O-、-CF2CF2CF2CF2O-、Xは各々独立してF又はCF3である、より選ばれる; 及び、T3はC1-C3ペルフルオロアルキル基である、及び
それらの混合物からなる群より選ばれ;
同じでも異なってもよいT1、T2の少なくとも1つは、O、S、N、P及びそれらの混合物より選ばれるヘテロ原子を含む官能基であり; 残りのT1又はT2は、もしあれば、H、ハロゲン原子、C1-C30末端基より選ばれる。)
O、S、N、Pヘテロ原子より選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含むT1、T2基の適切な例は下記式(II)に対応する基である。
-Aq-E (II)
(式中、AはC1-C20結合基であり; qは0又は1であり; Eは、O、S、N、P及びそれらの混合物より選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含むイオン性基である。)
1) アルキレン鎖にヘテロ原子を任意に含有していてもよい、置換又は非置換の直鎖C1-C20アルキレン鎖; 好ましくは式-(CH2)m- (mは1〜20の整数である)の直鎖脂肪族基;
2) アルキレン鎖又は環にヘテロ原子を任意に含有していてもよい、(アルキレン)シクロ脂肪族C1-C20基又は(アルキレン)芳香族C1-C20基;
3) 特に-CH2CH2O-、-CH2CH(CH3)O-、-(CH2)3O-、-(CH2)4O-より選ばれる反復単位を含む、直鎖又は分枝鎖ポリアルキレンオキシ鎖;
4) カルボニル基-C(O)-; 及び
それらの混合物。
O、S、N、Pヘテロ原子を含まない、T1又はT2非官能基の適切な例は、特に-H、-F、-Cl、-CF3、-C2F5、-CF2Cl、-CF2CF2Clである。
より好ましくは、本発明に適している官能性(ペル)フルオロポリエーテルは下記からなる群より選ばれる。
(a) [X(CF2CF(CF3)O)nCF2COO-]M、Xはハロゲン、好ましくはCl又はFであり、Mは一価のカチオン、例えば、H+、Na+、Li+、K+、NH4 +であり、nは2〜10、好ましくは2〜6の範囲にある整数である;
(b) [X-(CF2CF(CF3)O)nCF2COO-]2M"、Xはハロゲン、好ましくはCl又はFであり、M"は二価のカチオン、例えば、Ca++、Mg++、Zn++であり、nは2〜10、好ましくは2〜6の範囲にある整数である;
(c) (HO)2OPO-CH2CF2O-(CF2CF2O)m'(CF2O)n'-CF2CH2OPO(OH)2、m'、n'は整数であり、m'/n'比は、一般的には0.1〜10、好ましくは0.2〜5の範囲にあり、及び合計m'+n'は2〜10、好ましくは2〜6の範囲にある。
本発明の官能性(ペル)フルオロポリエーテルは、特に、米国特許第3,665,041号に記載されているように、ペル(ハロ)フルオロモノマーの光開始酸化重合(光酸化反応)によって製造することができる。典型的には、(ペル)フルオロポリエーテル構造は、ヘキサフルオロプロピレン及び/又はテトラフルオロエチレンと酸素とを低温、一般的には40℃未満でU.V.照射下3 000オングストローム未満の波長(λ)で合わせることによって得ることができる。米国特許第3,847,978号、同第3,810,874号に記載されているように、続いての末端基の変換は、特に、光酸化反応からの粗生成物に行われる。
上記のように種類(a)、(b)、(c)の官能性(ペル)フルオロポリエーテルは、特にFLUOROLINK(登録商標)としてSolvay Solexis S.p.A.から利用できる。
更に、1つ又は複数のフッ素化モノマーを含むCO2を含んでいる媒体において得られた1つ又は複数のフッ素化モノマーのポリマー生成物は、有利には、改善された形態を有する。規則的な形状粒子の部分がかなり増加し、その取り扱いがより簡単になることを可能にする。従って、球形のポリマー粒子が得られたが、海綿状ポリマー部分はかなり減少し、抑制さえもした。
本発明によるプロセスに適しているラジカル開始剤は、重合を開始及び/又は加速することができる化合物である。
開始剤は、有利には、重合媒体の0.001〜20質量パーセントの範囲にある濃度で含まれる。
レドックス対を形成する少なくとも2つの成分を含むレドックス系、例えば、ジメチルアニリン-ベンゾイルペルオキシド、ジエチルアニリン-ベンゾイルペルオキシド、ジフェニルアミン-ベンゾイルペルオキシドもまた、重合を開始するために用いることができる。
上述したハロゲン酸塩は、一般式YXO3 (式中、Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、Yは水素原子、アンモニウム基、アルカリ金属又はアルカリ土類金属である。)で表される。上述した亜硫酸塩は、一般式Z'2SO3 (式中、Zはアンモニウム基、アルカリ金属である。)又はZ"SO3(式中、Z"はアルカリ土類金属である。)で表される。TFEのためのこのようなレドックスラジカル開始剤の中で、臭素酸塩と亜硫酸塩の組合せを含むレドックス重合開始剤が好ましく、臭素酸カリウムと亜硫酸アンモニウムの組合せを含むレドックス重合開始剤が最も好ましい。
フッ素化モノマーがフッ化ビニリデンを含むならば、好ましい開始剤は、上記のジアルキルペルオキシジカーボネートである。ジエチルペルオキシジカーボネートによって優れた結果が得られた。
重合は、また、鎖レギュレータ又は他の重合添加剤、例えば、懸濁剤、防汚剤等の存在下に行うことができる。
鎖レギュレータが用いられる場合、これは通常の量で使われる。更に具体的には、鎖レギュレータは、使われる1つ又は複数のフッ素化モノマーに対して、一般的には約0.5〜5質量%の量で用いられる。鎖レギュレータは、重合の開始時に全て、そうでなければ、重合の間に少しづつ又は連続して使うことができる。
本発明の重合媒体は、二酸化炭素を含んでいる。二酸化炭素は、液体、蒸気又は超臨界相で使うことができる。
反応温度は、有利には、重合を開始し成長させるのに充分な熱エネルギーを与えるように選ばれなければならない。重合温度は、一般的には-50℃、好ましくは-20℃、特に好ましくは0℃を超える。温度は、通常200℃未満、好ましくは175℃未満、特に好ましくは150℃未満、最も好ましくは100℃未満である。
超臨界二酸化炭素によって重合を行う利点は、特に、液体の圧力を変えることによって簡単に操作される超臨界相の溶媒強度の傾向から生じる。
重合圧は、一般的には5バール、好ましくは35バール、特に好ましくは40バールを超える。重合圧は、通常は3000バール未満、好ましくは1000バール未満、特に好ましくは700バール未満、最も好ましくは500バール未満である。
超臨界二酸化炭素の使用は、特に、溶媒温度又は組成(即ち、共溶媒を含む)を変えずに、単に圧力を変化させることによって、最終生成物の粒径、分布、他の態様にかなり影響するように重合を行うことを可能にする。
一般に、本発明の重合プロセスは、ブレード又は軸スターラ又はインペラを備えた撹拌槽反応容器において又は循環手段(遠心ポンプ、アキシャルポンプ、インペラ等)を備えたループ反応器において行われる。
重合プロセスは、あらゆる適切な高圧容器においてバッチ式で又は連続して反応物(即ち、1つのモノマー又は複数のモノマー、官能性(ペル)フルオロポリエーテル、開始剤)を完全に混合して行うことができる。
特に、連続又は半バッチ式反応器を使うと、ポリマー組成物や組成物分布を制御するのに有用であることができ、また、異なる反応性をもつ2つのモノマーの共重合に有用であることができることが見いだされた。
1つ又は複数のフッ素化モノマー、開始剤、官能性(ペル)フルオロポリエーテルが使われる方法は、重要ではない。
1つ又は複数のフッ素化モノマーは、重合の開始時に全て使うことができ、そうでなければ、1つ又は複数のフッ素化モノマーの一部を重合の開始時に、残りを重合の間に添加することができる。同様に、官能性(ペル)フルオロポリエーテルを、重合の開始時に全て使うことができ、そうでなければ、官能性(ペル)フルオロポリエーテルの一部を重合の開始時に、残りを重合の間に添加することができる。
好ましくは、本発明によるプロセスにおいて、1つ又は複数のフッ素化モノマー及び官能性(ペル)フルオロポリエーテルの少なくとも一部は、重合の開始時に導入される。
重合の開始時に、また、重合の間に、導入される官能性(ペル)フルオロポリエーテルと1つ又は複数のフッ素化モノマーとの質量比は、有利には0.25〜25%、好ましくは0.5〜20%、特に好ましくは1〜15%の範囲にある。
重合開始時に、また、重合の間に導入される官能性(ペル)フルオロポリエーテルと1つ又は複数のフッ素化モノマーとの重量比2.5〜10%によって優れた結果が得られた。
本発明の実施態様によれば、本発明のプロセスは、ポリマー生成物を精製するための精製工程を更に含んでいる。この精製工程は、有利には、ポリマー生成物から官能性(ペル)フルオロポリエーテルを回収することを可能にする。
有利には、精製工程は、抽出媒体として二酸化炭素を用いた超臨界流体抽出法によって行うことができる。
抽出は、特に、バッチ、連続又は半連続条件で行うことができる。
好ましくは、抽出は、半連続条件で、適切な抽出デバイスに保持されたポリマー生成物と二酸化炭素の連続流とを接触させることによって行われる。
抽出は、有利には少なくとも20バール、好ましくは少なくとも30バール、より好ましくは少なくとも50バールの圧力で行われる。抽出は、有利には多くても350バール、好ましくは多くても300バール、より好ましくは多くても250バールの圧力で行われる。
抽出は、有利には少なくとも20℃、好ましくは少なくとも-15℃、より好ましくは少なくとも0℃の温度で行われる。抽出は、有利には最高でも100℃、好ましくは最高でも85℃、より好ましくは最高では75℃の温度で行われる。
抽出時間は、有利には少なくとも5分間、好ましくは少なくとも10分間、また、有利には多くても300分間、好ましくは多くても240分間、より好ましくは多くても120分間である。
本発明から得られたポリマーは、パイプ、可撓性ケーブル被覆、バルブ、接合部、びん、フィルム、コーティング、繊維、複合材料のためのマトリックスのような成形品を形成するために使用しうる。
更に、本発明の目的は、上記のプロセスから得られたポリマーを含むパイプ、可撓性ケーブル被覆、バルブ、接合部、びん、フィルム、コーティング、繊維、複合材料のためのマトリックスのような成形品である。
本発明のいくつかの実施例を以下に示す。それは、単に例示するためであり、本発明の範囲を制限するものではない。
フッ化ビニリデンモノマー(VDF)は、Solvay Solexis S.p.Aから市販されている。
二酸化炭素は、Air Liquidから販売され、少なくとも99.998%の純度を有する。
ジエチルペルオキシジカーボネート(DEPDC)開始剤は、溶媒として水を用い、ペルオキシジカーボネートをFREON(登録商標)113に抽出する、F. Strain et al., J. Am. Chem. Soc., 1950, 72, 1254に記載される手順に従って合成した。溶液における活性ペルオキシドの濃度は、ASTM方法E 298-91によるヨウ素滴定法によって求めた。開始剤溶液の全ての操作は、0℃で行い、最終保存液は、-22℃の暗所で保存した。
官能性(ペル)フルオロポリエーテルは、Solvay Solexisから入手した。それらの構造と基本的な化学的性質を、以下の表1に纏める。
重合は、AISI 316所定容積(完全に組み立てられたセットアップでの27ml)のバッチ反応容器で行い、磁気棒によって撹拌し、自動温度制御システムに挿入した。
界面活性剤と開始剤の適当な量を、後者はフレオン113の液溶体の形で、反応容器に充填し、次に、前記容器を、空気と揮発性フレオン113を除去する少なくとも20分間維持されるCO2の制御された流速でパージした。反応器を密封した後に、液体VDFとCO2を、2台の異なるISCOシリンジポンプを用いて室温で添加した。導入された溶媒とモノマーの合計量を測定し、電子式上皿天秤(Sartorius、最大8kg、精度: 0.01g)で重合混合物の名目密度の目標値に達するまで(反応器の自由容積に対するCO2とVDFの全質量の比として簡単に計算される)容器の重さを計った。次に、容器を温度制御システムに挿入し、反応温度(50℃)まで加熱した。セットアップ温度に達する時間間隔は、各実験においておよそ30分であった。反応媒体のプレポリマー化処理に具体的な注意は払わなかった。
重合の終わりに、反応器を室温に冷却した。テトラヒドロフラン充填バルブにガスを吹き込むことによって未反応VDFとCO2を徐々に排出して流体ストリームによって伴出される固体重合体をトラップした。
集めたポリマーを、エタノールにより室温で2回洗浄し、更に処理せずに乾燥雰囲気で保存した。
ポリマー収量を、質量測定的に求めた。
粒子形態を分析し、フィリップス走査型電子顕微鏡(SEM)によって撮像した。試料を、200オングストロームの厚みに金でスパッタ被覆した。
ポリマー試料における組織化構造(ウォーム状粒子や球状粒子)の割合を、SEM顕微鏡観察と画像認識によって分析される少なくとも5つの検査材料の試料の総面積に関してこのような組織化構造の表面積を測定することによって求めた。可能な場合、顕微鏡写真の像解析のためのソフトウェアによって少なくとも100個の粒子の直径(Di)を測定することによって粒度分布を評価し、次に、数平均粒子サイズ(Dn)と粒度分布(Dw/Dn)を、A. Galia et al., J. Polym. Sci., Part A: Polym. Chem., 2004, 42, 173に記載される方法に従って求めた。
重合実験からの結果を、以下の表2に纏める。
界面活性剤の抽出
抽出装置、制御装置、ポンプ、圧力デシケータ、トラップ、流速計からなる抽出システムを用いて上記のように実験2と5で得られたポリマー試料(官能性(ペル)フルオロポリエーテルの5%wtを含む)を超臨界流体抽出にかけた。試料(約1g)を、抽出装置内のステンレス鋼カートリッジ(内容積= 2.5ml)に入れ、超臨界二酸化炭素を、約50Ncm3/minの流速で20〜50℃の範囲にある温度で90〜250バールの圧力で少なくとも50分の抽出時間、前記抽出装置に通過させた。
抽出プロセスの効率を、有利には、以下の式に従って質量測定的に算出されうる。
効率(%)=(回収した界面活性剤/全界面活性剤含量)×100
結果を以下の表に纏める。
官能性(ペル)フルオロポリエーテルFLK 7004 Aを含有する試料からの抽出(超臨界二酸化炭素、流速= 50 Ncm3/min、抽出時間= 95分)
官能性(ペル)フルオロポリエーテルFLK 7850 Aを含有する試料から抽出
(超臨界二酸化炭素、流速= 50 Ncm3/min、抽出時間= 120分)
Claims (13)
- 少なくとも1つのフッ素化モノマーをラジカル開始剤と界面活性剤の存在下に二酸化炭素を含む重合媒体において重合して、ポリマー生成物を得ることを含む重合プロセスであって、
界面活性剤が官能性(ペル)フルオロポリエーテルであり、
前記官能性(ペル)フルオロポリエーテルが反復単位(R1)とフッ素以外のヘテロ原子を含む少なくとも1つの官能基を含むポリマーであり、
前記反復単位が主鎖に少なくとも1つのエーテル結合と少なくとも1つのフッ素原子(フルオロポリオキシアルケン鎖)を含み、
前記官能性(ペル)フルオロポリエーテルが、
(a) [X-(CF2CF(CF3)O)nCF2COO-]M、Xはハロゲン、Mは一価のカチオンであり、nは2〜10の範囲にある整数である;
(b) [X-(CF2CF(CF3)O)nCF2COO-]2M"、Xはハロゲン、M"は二価のカチオンであり、nは2〜10の範囲にある整数である;
(c) (HO)2OPO-CH2CF2O-(CF2CF2O)m'(CF2O)n'-CF2CH2OPO(OH)2、m'及びn'は整数であり、m'/n'比は0.1〜10の範囲にあり、及び合計m'+n'は2〜10の範囲にある
からなる群より選ばれることを特徴とする、前記重合プロセス。 - 重合媒体においてポリマー生成物を含む不均一な反応混合物を得ることを特徴とする、請求項1記載の重合プロセス。
- フッ素化モノマーが、
- C2-C8ペルフルオロオレフィン;
- C2-C8水素添加フルオロオレフィン;
- C2-C8ペルハロフルオロモノマー;
- 式CH2=CH-Rf0(Rf0はC1-C6ペルフルオロアルキルである)に対応するペルフルオロアルキルエチレン;
- クロロ-及び/又はブロモ-及び/又はヨード-C2-C6フルオロオレフィン;
- 式CF2=CFORf1 (Rf1はC1-C6フルオロ-又はペルフルオロアルキル)に対応する(ペル)フルオロアルキルビニルエーテル;
- CF2=CFOX0(ペル)フルオロオキシアルキルビニルエーテル(X0はC1-C12アルキル、又はC1-C12オキシアルキル、又は1以上のエーテル基を有するC1-C12(ペル)フルオロオキシアルキル);
- 式CF2=CFOCF2ORf2 (Rf2はC1-C6フルオロ又はペルフルオロアルキル又は1以上のエーテル基を有するC1-C6(ペル)フルオロオキシアルキル)に対応する(ペル)フルオロアルキルビニルエーテル;
- 式CF2=CFOY0に対応する官能性(ペル)フルオロオキシアルキルビニルエーテル(Y0は、C1-C12アルキル又は(ペル)フルオロアルキル、又はC1-C12オキシアルキル、又は1以上のエーテル基を有するC1-C12(ペル)フルオロオキシアルキルであって、Y0はカルボン酸基又はスルホン酸基をその酸、酸ハイライド又は塩の形態で含む);
- フルオロジオキソール;
- 及びその混合物
より選ばれることを特徴とする、請求項1又は2記載の重合プロセス。 - フッ素化モノマーが、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VDF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)及びそれらの混合物からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項3記載の重合プロセス。
- 官能性(ペル)フルオロポリエーテルの質量平均分子量が400〜100000からなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合プロセス。
- Mが、H+、Na+、Li+、K+及びNH4 +からなる群より選ばれる一価のカチオンであり; M"が、Ca++、Mg++及びZn++からなる群より選ばれる二価のカチオンである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の重合プロセス。
- フッ素化モノマーがフッ化ビニリデンを含み、ラジカル開始剤がジアルキルペルオキシジカーボネートであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の重合プロセス。
- ポリマー生成物を精製するための精製工程を更に含んでいる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の重合プロセス。
- 精製工程が、抽出媒体として二酸化炭素を用いた超臨界流体抽出によって行われることを特徴とする、請求項8記載の重合プロセス。
- 二酸化炭素が液相中に存在する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の重合プロセス。
- 二酸化炭素が超臨界相中に存在する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の重合プロセス。
- 二酸化炭素が超臨界相中に存在し、
フッ素化モノマーが、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VDF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)及びそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、
官能性(ペル)フルオロポリエーテルの質量平均分子量が400〜100000である
ことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の重合プロセス。 - 重合媒体が二酸化炭素からなる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の重合プロセス。
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