《画像形成装置》
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置を図1〜図7に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのプリンタ1000の概略構成が示されている。
このプリンタ1000は、図1に示されるように、光走査装置1010、感光体ドラム1030、帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034、クリーニングブレード1035、トナーカートリッジ1036、給紙コロ1037、給紙トレイ1038、レジストローラ対1039、定着ローラ1041、排紙ローラ1042、及び排紙トレイ1043などを備えている。
感光体ドラム1030の表面には、感光層が形成されている。すなわち、感光体ドラム1030の表面が被走査面である。ここでは、感光体ドラム1030は、図1における矢印方向に回転するようになっている。
帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034及びクリーニングブレード1035は、それぞれ感光体ドラム1030の表面近傍に配置されている。そして、感光体ドラム1030の回転方向に関して、帯電チャージャ1031→現像ローラ1032→転写チャージャ1033→除電ユニット1034→クリーニングブレード1035の順に配置されている。
帯電チャージャ1031は、感光体ドラム1030の表面を均一に帯電させる。
光走査装置1010は、帯電チャージャ1031で帯電された感光体ドラム1030の表面に、上位装置(例えばパソコン)からの画像情報に基づいて変調された光束を照射する。これにより、感光体ドラム1030の表面では、画像情報に対応した潜像が感光体ドラム1030の表面に形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラム1030の回転に伴って現像ローラ1032の方向に移動する。なお、この光走査装置1010の構成については後述する。
トナーカートリッジ1036にはトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ1032に供給される。
現像ローラ1032は、感光体ドラム1030の表面に形成された潜像にトナーカートリッジ1036から供給されたトナーを付着させて画像情報を顕像化させる。ここでトナーが付着した潜像(以下では、便宜上「トナー像」ともいう)は、感光体ドラム1030の回転に伴って転写チャージャ1033の方向に移動する。
給紙トレイ1038には記録紙1040が格納されている。この給紙トレイ1038の近傍には給紙コロ1037が配置されており、該給紙コロ1037は、記録紙1040を給紙トレイ1038から1枚づつ取り出し、レジストローラ対1039に搬送する。該レジストローラ対1039は、給紙コロ1037によって取り出された記録紙1040を一旦保持するとともに、該記録紙1040を感光体ドラム1030の回転に合わせて感光体ドラム1030と転写チャージャ1033との間隙に向けて送り出す。
転写チャージャ1033には、感光体ドラム1030の表面上のトナーを電気的に記録紙1040に引きつけるために、トナーとは逆極性の電圧が印加されている。この電圧により、感光体ドラム1030の表面のトナー像が記録紙1040に転写される。ここで転写された記録紙1040は、定着ローラ1041に送られる。
この定着ローラ1041では、熱と圧力とが記録紙1040に加えられ、これによってトナーが記録紙1040上に定着される。ここで定着された記録紙1040は、排紙ローラ1042を介して排紙トレイ1043に送られ、排紙トレイ1043上に順次スタックされる。
除電ユニット1034は、感光体ドラム1030の表面を除電する。
クリーニングブレード1035は、感光体ドラム1030の表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。なお、除去された残留トナーは、再度利用されるようになっている。残留トナーが除去された感光体ドラム1030の表面は、再度帯電チャージャ1031の位置に戻る。
《光走査装置》
次に、前記光走査装置1010の構成について説明する。
この光走査装置1010は、一例として図2に示されるように、光源14、カップリングレンズ15、開口板16、シリンドリカルレンズ17、反射ミラー18、ポリゴンミラー13、偏向器側走査レンズ11a、像面側走査レンズ11b、ハーフミラー23、結像レンズ24、受光器25、及び走査制御装置(図示省略)などを備えている。なお、本明細書では、感光体ドラム1030の長手方向をY軸方向、このY軸方向に垂直な平面内で互いに直交する2つの方向をZ軸方向及びX軸方向として説明する。
走査制御装置は、上位装置からの画像情報に基づいて、書込み信号を生成する。
光源14は、一例として図3に示されるように、2次元アレイ14A、駆動回路14B、駆動電流補正回路14Cを有している。
2次元アレイ14Aは、一例として図4に示されるように、40個の発光部が1つの基板上に2次元配列されている。
この2次元アレイ14Aは、主走査方向に対応する方向(以下では、便宜上「M方向」ともいう。)から副走査方向に対応する方向(以下では、便宜上「S方向」ともいう。ここでは、Z軸方向と同じ。)に向かって傾斜角αをなす方向(以下では、便宜上「T方向」という。)に沿って4個の発光部が等間隔(例えば、40μm)に配置された発光部列を10列有している。そして、これら10列の発光部列は、T方向に直交する方向に等間隔(例えば、40μm)に配置されている。すなわち、40個の発光部は、マトリックス状に配列されている。ここでは、便宜上、図4における紙面の上から下に向かって、第1発光部列、第2発光部列、・・・、第10発光部列ということとする。なお、本明細書では、「発光部間隔」とは2つの発光部の中心間距離をいうものとする。
また、各発光部を特定するために、便宜上、図4における紙面左上から右下に向かって、第1発光部列を構成する4個の発光部にv1〜v4、第2発光部列を構成する4個の発光部にv5〜v8、・・・、第10発光部列を構成する4個の発光部にv37〜v40の番号をつけている。
また、各発光部は、780nm帯の垂直共振器型の面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)であり、+X方向に光を射出する。なお、ここでは、一例として、各発光部における酸化狭窄による開口部の面積は20μm2である。
駆動電流補正回路14Cは、一例として図5に示されるように、CPU141、フラッシュメモリ142、RAM143を有し、駆動電流値を補正するための信号(以下、「補正信号」という)を生成する。
フラッシュメモリ142には、CPU141にて解読可能なコードで記述された本発明の一実施形態に係るプログラムを含む各種プログラムが格納されている。
RAM143は、作業用メモリである。
CPU141は、フラッシュメモリ142に格納されている上記プログラムに従って前記駆動電流値を補正する処理(以下、「駆動電流値補正処理」という)を含む所定の処理を行う。このCPU141によって行われる駆動電流値補正処理については後述する。
駆動回路14Bは、走査制御装置からの書込み信号及び駆動電流補正回路14Cからの補正信号に基づいて、2次元アレイ14Aの各発光部の駆動電流値を決定し、2次元アレイ14Aに供給する。
図2に戻り、カップリングレンズ15は、光源14の+X側に配置され、光源14から射出された光束を略平行光とする。
開口板16は、カップリングレンズ15の+X側に配置され、カップリングレンズ15を介した光の少なくともZ軸方向のビーム径を規定する開口部を有する。
ハーフミラー23は、開口板16の+X側に配置され、開口板16の開口部を通過した光束の一部を反射する。
シリンドリカルレンズ17は、ハーフミラー23の+X側に配置され、ハーフミラー23を通過した光を、反射ミラー18を介してポリゴンミラー13の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
ところで、光源14とポリゴンミラー13との間の光路上に配置される光学系は、偏向器前光学系とも呼ばれている。本実施形態では、偏向器前光学系は、カップリングレンズ15と開口板16とハーフミラー23とシリンドリカルレンズ17と反射ミラー18とから構成されている。
反射ミラー18とポリゴンミラー13との間、及びポリゴンミラー13と偏向器側走査レンズ11aとの間には、防音ガラス21が配置されている。
ポリゴンミラー13は、4面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。このポリゴンミラー13は、Z軸方向に平行な回転軸の周りに等速回転し、反射ミラー18を介して入射する光を偏向する。
偏向器側走査レンズ11aは、ポリゴンミラー13で偏向された光束の光路上に配置されている。
像面側走査レンズ11bは、偏向器側走査レンズ11aを介した光束の光路上に配置されている。
ポリゴンミラー13と感光体ドラム1030との間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。本実施形態では、走査光学系は、偏向器側走査レンズ11aと像面側走査レンズ11bとから構成されている。
ポリゴンミラー13で偏向された光は、走査光学系によって結像され、感光体ドラム1030の表面に光スポットとして集光する。この光スポットは、ポリゴンミラー13の回転に伴って、Y軸方向に移動する。このときの、光スポットの移動方向が主走査方向である。
結像レンズ24は、ハーフミラー23で反射された光束を集光する。そして、この集光位置近傍に受光器25が配置されており、受光量に応じた信号(光電変換信号)を駆動電流補正回路14Cに出力する。なお、受光器25は、2次元アレイ14Aの複数の発光部に対応した複数の受光素子あるいは受光領域を有している。
なお、像面側走査レンズ11bと感光体ドラム1030との間には、防塵ガラス22が配置されている。
《駆動電流値補正処理》
次に、CPU141によって行われる駆動電流値補正処理について図6(A)及び図6(B)を用いて説明する。図6(A)及び図6(B)のフローチャートは、CPU141によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応している。
CPU141は、例えば、走査制御装置から駆動電流値補正要求を受けると、図6(A)及び図6(B)のフローチャートに対応するプログラムの開始アドレスがCPU141のプログラムカウンタにセットされ、駆動電流値補正処理がスタートする。
最初のステップS401では、カウンタnに初期値1をセットし、発光部の数Numに40をセットする。
次のステップS403では、n番目の発光部である発光部vnを指定発光部とする。
次のステップS405では、駆動回路14Bを介して複数の駆動電流値で指定発光部を駆動し、各駆動電流値での受光器25の出力信号から、指定発光部の電流−光出力特性を取得する。
次のステップS407では、指定発光部の電流−光出力特性から、スロープ効率ηを算出する。例えば、発光部v1について、η=0.8W/Aという値が算出される。
次のステップS409では、予定している光出力Po(例えば、1.2mW)に対応する駆動電流値Ionを算出する。例えば、発光部v1について、Ion=3mAという値が算出される。
次のステップS411では、カウンタnの値が発光部数Numよりも小さいか否かを判断する。カウンタnの値が発光部数Numよりも小さければ、ここでの判断は肯定され、ステップS413に移行する。
このステップS413では、カウンタnの値に1を加算し、上記ステップS403に戻る。
以下、ステップS411での判断が否定されるまで、ステップS403〜ステップS413の処理を繰り返す。
カウンタnの値が発光部数Numと等しくなると、ステップS411での判断は否定され、ステップS415に移行する。
このステップS415では、駆動回路14Bを介して、全ての発光部をそれぞれの駆動電流値Ionで駆動(点灯)する。
次のステップS417では、光出力が安定すると、受光器25の出力信号から、このときの光出力Ptを取得する。例えば、Pt=36mWという値が得られる。
次のステップS421では、カウンタnに初期値1をセットする。
次のステップS423では、発光部vnを対象発光部とする。
次のステップS425では、駆動回路14Bを介して対象発光部の駆動電流値を徐々に減少させ、各駆動電流値での受光器25の出力信号から、対象発光部の電流−光出力特性を取得する。
次のステップS427では、駆動回路14Bを介して、対象発光部を消灯する。
次のステップS429では、受光器25の出力信号から、このときの光出力Ptdを取得する。例えば、発光部v1を消灯したときに、Ptd=35mWという値が得られる。
次のステップS431では、対象発光部の電流−光出力特性に基づいて、対象発光部のスロープ効率ηを補正する。例えば、発光部v1について、η=0.67W/Aに補正される。
次のステップS433では、次の(1)式を用いて、対象発光部の駆動電流値Ionの補正量ΔIonを算出する。例えば、発光部v1について、Po=1.2mW、Pt=36mW、Ptd=35mW、η=0.67W/Aであれば、ΔIon=0.30mWとなる。
ΔIon=(Po−(Pt−Ptd))/η ……(1)
次のステップS435では、次の(2)式を用いて、対象発光部の補正された駆動電流値Iocを算出する。例えば、発光部v1について、Ion=3mA、ΔIon=0.30mWであれば、Ioc=3.30mWとなる。
Ioc=Ion+ΔIon ……(2)
次のステップS437では、カウンタnの値が発光部数Numよりも小さいか否かを判断する。カウンタnの値が発光部数Numよりも小さければ、ここでの判断は肯定され、ステップS439に移行する。
このステップS439では、カウンタnの値に1を加算し、上記ステップS423に戻る。
以下、ステップS437での判断が否定されるまで、ステップS423〜ステップS439の処理を繰り返す。
カウンタnの値が発光部数Numと等しくなると、ステップS437での判断は否定され、ステップS441に移行する。
このステップS441では、駆動回路14Bを介して、全ての発光部をそれぞれの駆動電流値Iocで駆動(点灯)する。
次のステップS443では、光出力が安定すると、受光器25の出力信号から、このときの光出力Potを取得する。
次のステップS445では、次の(3)式を用いて、光出力の差分ΔPを算出する。例えば、Po=1.2mW、Pot=44mWであれば、ΔP=4mWとなる。
ΔP=|Po×Num−Pot| ……(3)
次のステップS447では、ΔPが予め設定されている許容値ΔPoよりも小さいか否かを判断する。ΔPが許容値ΔPoよりも小さくなければ、ここでの判断は否定され、上記ステップS421に戻る。一方、ΔPが許容値ΔPoよりも小さければ、ここでの判断は肯定され、駆動電流値補正処理を終了する。例えば、1つの発光部あたりの許容値を±0.125mWとすると、ΔPo=5mWである。
これにより、2次元アレイ14Aの各発光部の駆動電流値が個別に精度良く補正される。
一例として図7には、上記駆動電流値補正処理における光出力のタイミングチャートが示されている。
(1)時間t1〜t2
ここでは、上記ステップS401〜S413の処理が行われている。
(2)時間t3
ここでは、上記ステップS415の処理が行われている。
(3)時間t4
ここでは、上記ステップS417の処理が行われている。
(4)時間t5〜t6
ここでは、上記ステップS421〜S439の処理が行われている。
(5)時間t7
ここでは、上記ステップS441の処理が行われている。
(6)時間t8
ここでは、上記ステップS443の処理が行われている。
そして、画像を形成する際には、2次元アレイ14Aの各発光部は、上記補正された駆動電流値で駆動され、光走査が行われる。
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る光走査装置1010では、光源14と受光器25とによって光源装置が構成されている。そして、2次元アレイ14Aによって光源装置のレーザアレイが構成され、受光器25によって光源装置の光検出器が構成され、駆動電流補正回路14Cによって光源装置の補正装置が構成されている。
なお、CPU141によるプログラムに従う処理の少なくとも一部をハードウェアによって構成することとしても良いし、あるいは全てをハードウェアによって構成することとしても良い。
また、本実施形態では、記録媒体としてのフラッシュメモリ142に記録されているプログラムのうち、図6(A)及び図6(B)に対応するプログラムによって、本発明に係るプログラムが実行されている。
また、本実施形態では、上記駆動電流値補正処理において、本発明に係る補正方法が実施されている。
以上説明したように、本実施形態に係る光走査装置1010によると、光源14と、受光器25と、光源14から出力される光を偏向するポリゴンミラー13と、ポリゴンミラー13で偏向された光を感光体ドラム1030の表面に集光する走査光学系とを備えている。
そして、光源14の駆動電流補正回路14Cは、複数の発光部の全てを点灯して合計の光出力Ptを求めた後、複数の発光部のうち補正対象の発光部を消灯し、該補正対象の発光部を除く複数の発光部の合計の光出力Ptdを求める。これにより、2次元アレイ14Aが全点灯に極めて近い環境(状態)のときの、補正対象の発光部の光出力を測定することができる。それから、駆動電流補正回路14Cは、光出力Ptと光出力Ptdと差及び補正対象の発光部のスロープ効率に基づいて、補正対象の発光部の駆動電流値の補正量ΔIon(補正情報)を取得する。そこで、この補正量ΔIonによって、補正対象の発光部の駆動電流値を実際の使用状況に即した駆動電流値に補正することができる。従って、複数の発光部を有するレーザアレイの各発光部の駆動電流値を個別に精度良く補正することが可能となる。
これにより、光源14から、ほぼ一様な光出力の複数の光を、安定して出力することが可能となる。その結果、光走査装置1010は、安定した光走査を行うことが可能となる。
すなわち、従来不可能であった全点灯状態での2次元アレイ内の温度分布を反映した出力の分布を補正し、全ての発光部をほぼ一定出力で駆動することができる。
また、本実施形態に係るプリンタ1000によると、安定した光走査を行うことができる光走査装置1010を備えているため、結果として、高品質の画像を形成することが可能となる。
なお、上記実施形態では、駆動電流値補正処理において、スロープ効率ηを補正する場合について説明したが、これに限らず、図8に示されるように、スロープ効率ηを補正しなくても良い。この場合には、前記ステップS425とステップS431は不要である。これにより、駆動電流値補正処理に要する時間を短縮することができる。
なお、この場合に、前記ステップS433で用いられるスロープ効率ηは、補正前のスロープ効率η(前記ステップS407で算出されたスロープ効率η)である。そこで、例えば、Po=1.2mW、Pt=36mW、Ptd=35mW、η=0.8W/Aであれば、ΔIon=0.25mWとなる。
また、この場合の光出力のタイミングチャートが図9に示されている。
また、上記実施形態では、駆動電流値補正処理において、一度に1つの発光部を対象発光部とする場合について説明したが、これに限らず、一度に複数の発光部を対象発光部としても良い。一例として、一度に2つの発光部を対象発光部とする場合のフローチャートの一部が図10に示されている。これにより、駆動電流値補正処理に要する時間を短縮することができる。
この場合には、前記ステップS423の処理に代えて、ステップS423´の処理が行われ、前記ステップS433の処理に代えて、ステップS433´の処理が行われる。そして、ステップS436の処理が、前記ステップS435とステップS437の間に挿入される。
ステップS423´では、発光部vnと発光部vn+1を対象発光部とする。
次のステップS425では、駆動回路14Bを介して、対象発光部(発光部vnと発光部vn+1)の駆動電流値を同様に徐々に減少させ、各駆動電流値での受光器25の出力信号から、対象発光部(発光部vnと発光部vn+1)の電流−光出力特性を取得する。
次のステップS427では、発光部vnと発光部vn+1を消灯する。
次のステップS429では、受光器25の出力信号から、このときの光出力Ptdを取得する。例えば、Ptd=34.2mWという値が得られる。
次のステップS431では、対象発光部(発光部vnと発光部vn+1)の電流−光出力特性に基づいて、対象発光部(発光部vnと発光部vn+1)のスロープ効率ηを補正する。例えば、η=0.67W/Aに補正される。
ステップS433´では、次の(4)式を用いて、各対象発光部の駆動電流値Ionの補正量ΔIonを算出する。例えば、Po=1.2mW、Pt=36mW、Ptd=34.2mW、η=0.67W/Aであれば、ΔIon=0.45mWとなる。
ΔIon=(Po−(Pt−Ptd)/2)/η ……(4)
また、ステップS435では、上記(2)式を用いて、各対象発光部の補正された駆動電流値Iocをそれぞれ算出する。例えば、Ion=3mA、ΔIon=0.45mWであれば、Ioc=3.45mWとなる。
そして、ステップS436では、カウンタnの値に1を加算する。
また、この場合においても、図11のフローチャートに示されるように、スロープ効率ηを補正しなくても良い。この場合には、前記ステップS425とステップS431は不要である。これにより、駆動電流値補正処理に要する時間を更に短縮することができる。
この場合には、前記ステップS433で用いられるスロープ効率ηは、補正前のスロープ効率η(前記ステップS407で算出されたスロープ効率η)である。そこで、例えば、Po=1.2mW、Pt=36mW、Ptd=34.2mW、η=0.8W/Aであれば、ΔIon=0.375mWとなる。
また、上記実施形態では、本発明に係るプログラムは、フラッシュメモリ142に記録されているが、他の記録媒体(CD、光磁気ディスク、DVD、メモリカード、USBメモリ、フレキシブルディスク等)に記録されていても良い。この場合には、各記録媒体に対応する再生装置(又は専用インターフェース)を介して本発明に係るプログラムをフラッシュメモリ142にロードすることとなる。また、ネットワーク(LAN、イントラネット、インターネットなど)を介して本発明に係るプログラムをフラッシュメモリ142に転送しても良い。要するに、本発明に係るプログラムがフラッシュメモリ142にロードされれば良い。
また、上記実施形態では、光源14が40個の発光部を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。要するに、光源14が複数の発光部を有していれば良い。そして、複数の発光部が1次元配列されていても良い。
なお、上記実施形態では、画像形成装置としてプリンタ1000の場合について説明したが、これに限定されるものではない。要するに、光走査装置1010を備えた画像形成装置であれば、結果として、高品質の画像を形成することが可能となる。
例えば、前記光走査装置1010を備え、レーザ光によって発色する媒体(例えば、用紙)に直接、レーザ光を照射する画像形成装置であっても良い。
また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。
また、多色のカラー画像を形成する画像形成装置であっても、カラー画像に対応した光走査装置を用いることにより、高品質の画像を形成することが可能となる。
例えば、図12に示されるように、カラー画像に対応し、複数の感光体ドラムを備えるタンデムカラー機1500であっても良い。このタンデムカラー機1500は、ブラック(K)用の感光体ドラムK1、帯電器K2、現像器K4、クリーニング手段K5、及び転写用帯電手段K6と、シアン(C)用の感光体ドラムC1、帯電器C2、現像器C4、クリーニング手段C5、及び転写用帯電手段C6と、マゼンタ(M)用の感光体ドラムM1、帯電器M2、現像器M4、クリーニング手段M5、及び転写用帯電手段M6と、イエロー(Y)用の感光体ドラムY1、帯電器Y2、現像器Y4、クリーニング手段Y5、及び転写用帯電手段Y6と、光走査装置1010Aと、転写ベルトT80と、定着手段T30などを備えている。
この場合には、光走査装置1010Aは、ブラック用の光源装置、シアン用の光源装置、マゼンタ用の光源装置、イエロー用の光源装置装置を有している。各光源装置は、前記光源14と前記受光器25とを含む光源装置と同等の光源装置である。そして、ブラック用の光源装置からの光はブラック用の走査光学系を介して感光体ドラムK1に照射され、シアン用の光源装置からの光はシアン用の走査光学系を介して感光体ドラムC1に照射され、マゼンタ用の光源装置からの光はマゼンタ用の走査光学系を介して感光体ドラムM1に照射され、イエロー用の光源装置からの光はイエロー用の走査光学系を介して感光体ドラムY1に照射されるようになっている。
各感光体ドラムは、図12中の矢印の方向に回転し、回転順にそれぞれ帯電器、現像器、転写用帯電手段、クリーニング手段が配置されている。各帯電器は、対応する感光体ドラムの表面を均一に帯電する。この帯電器によって帯電された感光体ドラム表面に光走査装置1010Aにより光が照射され、感光体ドラムに静電潜像が形成されるようになっている。そして、対応する現像器により感光体ドラム表面にトナー像が形成される。さらに、対応する転写用帯電手段により、記録紙に各色のトナー像が転写され、最終的に定着手段T30により記録紙に画像が定着される。
なお、このタンデムカラー機1500において、光走査装置1010Aに代えて、ブラック用の光走査装置とシアン用の光走査装置とマゼンタ用の光走査装置とイエロー用の光走査装置を用いても良い。要するに、光走査装置が前記光源14と前記受光器25とを含む光源装置と同等の光源装置を有していれば良い。
《試験装置》
次に、本発明の一実施形態に係る試験装置を図13〜図17に基づいて説明する。図13には、本発明の一実施形態に係る試験装置としての連続動作試験装置2000の概略構成が示されている。
この連続動作試験装置2000は、2次元アレイソケット2010、駆動回路2020、受光器2030、制御装置2040、入力装置2050、及び表示装置2060などを備えている。
2次元アレイソケット2010には、前記2次元アレイ14Aと同等の2次元アレイがセット可能である。2次元アレイソケット2010にセットされる2次元アレイが連続動作試験の試験対象である。
駆動回路2020は、制御装置2040の指示に応じて、2次元アレイソケット2010にセットされている2次元アレイに駆動電流を供給する。
入力装置2050は、例えばキーボード、マウス、タブレット、ライトペン及びタッチパネルなどのうち少なくとも1つの入力媒体(図示省略)を備え、ユーザから入力された各種情報を制御装置2040に通知する。なお、入力媒体からの情報はワイヤレス方式で入力されても良い。
表示装置2060は、例えばCRT、液晶ディスプレイ(LCD)及びプラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)などを用いた表示部(図示省略)を備え、制御装置2040から指示された各種情報を表示する。
受光器2030は、2次元アレイソケット2010にセットされている2次元アレイからの光を受光し、受光光量に応じた信号(光電変換信号)を制御装置2040に出力する。なお、受光器2030は、2次元アレイの複数の発光部に対応した複数の受光素子あるいは受光領域を有している。
なお、試験の際には、2次元アレイソケット2010及び受光器2030は、温度を一定とするため、いずれも恒温槽の中に収容される。
制御装置2040は、図14に示されるように、CPU2041、フラッシュメモリ2042、RAM2043を有している。
フラッシュメモリ2042には、CPU2041にて解読可能なコードで記述された各種プログラムが格納されている。
RAM2043は、作業用メモリである。
CPU2041は、フラッシュメモリ2042に格納されている上記プログラムに従って所定の処理(以下、「連続動作試験処理」という)を行う。
《連続動作試験処理》
ここで、CPU2041によって行われる連続動作試験処理について図15(A)〜図17を用いて説明する。図15(A)〜図15(C)のフローチャートは、CPU2041によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応している。
入力装置2050から連続動作試験の要求を受信すると、フラッシュメモリ2042に格納されている図15(A)〜図15(C)のフローチャートに対応するプログラム(以下、「連続動作試験プログラム」という)の開始アドレスがCPU2041のプログラムカウンタにセットされ、連続動作試験処理がスタートする。
なお、2次元アレイソケット2010には、ユーザによって、すでに試験対象の2次元アレイがセットされているものとする。また、恒温槽の温度は90℃に設定されているものとする。
最初のステップS501では、試験対象の2次元アレイを特定するための情報(例えば、型番等)、及び各種試験条件の入力要求画面を表示装置2060の表示部に表示する。これにより、ユーザは、入力装置2050を介して試験条件等を入力する。
次のステップS503では、試験条件等の入力が完了しているか否かを判断する。試験条件等の入力が完了していなければ、ここでの判断は否定され、一定時間経過後に再度判断する。試験条件等の入力が完了していれば、ここでの判断は肯定され、ステップS505に移行する。
次のステップS505では、カウンタnに初期値1をセットし、発光部の数Numに40をセットする。
次のステップS507では、n番目の発光部である発光部vnを指定発光部とする。
次のステップS509では、駆動回路2020を介して複数の駆動電流値で指定発光部を駆動し、各駆動電流値での受光器2030の出力信号から、指定発光部の電流−光出力特性を取得する。
次のステップS511では、指定発光部の電流−光出力特性から、スロープ効率ηを算出する。
次のステップS513では、予定している光出力Poに対応する駆動電流値Ionを算出する。
次のステップS515では、カウンタnの値が発光部数Numよりも小さいか否かを判断する。カウンタnの値が発光部数Numよりも小さければ、ここでの判断は肯定され、ステップS517に移行する。
このステップS517では、カウンタnの値に1を加算し、上記ステップS507に戻る。
以下、ステップS515での判断が否定されるまで、ステップS507〜ステップS517の処理を繰り返す。
カウンタnの値が発光部数Numと等しくなると、ステップS515での判断は否定され、ステップS519に移行する。
このステップS519では、駆動回路2020を介して、全ての発光部をそれぞれの駆動電流値Ionで駆動(点灯)する。
次のステップS521では、光出力が安定すると、受光器2030の出力信号から、このときの光出力Ptを取得する。
次のステップS531では、カウンタnに初期値1をセットする。
次のステップS533では、発光部vnを対象発光部とする。
次のステップS535では、駆動回路2020を介して、対象発光部を消灯する。
次のステップS537では、受光器2030の出力信号から、このときの光出力Ptdを取得する。
次のステップS539では、上記(1)式を用いて、対象発光部の駆動電流値Ionの補正量ΔIonを算出する。
次のステップS541では、上記(2)式を用いて、対象発光部の補正された駆動電流値Iocを算出する。
次のステップS543では、駆動電流値Iocが予め設定されている上限値Imax(例えば、10mA)以上であるか否かを判断する。駆動電流値IocがImax未満であれば、ここでの判断は否定され、ステップS545に移行する。
このステップS545では、カウンタnの値が発光部数Numよりも小さいか否かを判断する。カウンタnの値が発光部数Numよりも小さければ、ここでの判断は肯定され、ステップS547に移行する。
このステップS547では、カウンタnの値に1を加算し、上記ステップS533に戻る。
以下、ステップS543での肯定、あるいはステップS545での判断が否定されるまで、ステップS533〜ステップS547の処理を繰り返す。
カウンタnの値が発光部数Numと等しくなると、ステップS545での判断は否定され、ステップS549に移行する。
このステップS549では、駆動回路2020を介して、全ての発光部をそれぞれの駆動電流値Iocで駆動(点灯)する。
次のステップS551では、光出力が安定すると、受光器2030の出力信号から、このときの光出力Potを取得する。
次のステップS553では、上記(3)式を用いて、光出力の差分ΔPを算出する。
次のステップS561では、ΔPが前記許容値ΔPoよりも小さいか否かを判断する。ΔPが許容値ΔPoよりも小さくなければ、ここでの判断は否定され、上記ステップS531に戻る。一方、ΔPが許容値ΔPoよりも小さければ、ここでの判断は肯定され、ステップS563に移行する。
次のステップS563では、ユーザから終了要求があったか否かを判断する。ユーザから終了要求がなければ、ここでの判断は否定され、ステップS511に移行する。
このステップS565では、ユーザから試験条件の1つとして指定された試験時間が経過しているか否かを判断する。指定された試験時間が経過していなければ、ここでの判断は否定され、ステップS567に移行する。なお、ユーザが試験時間を指定していなければ、ダミーとして、大きな値(例えば、400時間)が試験時間に設定される。
このステップS567では、予め設定されている待ち時間が経過したか否かを判断する。待ち時間が経過していなければ、ここでの判断は否定され、前記ステップS563に戻る。一方、待ち時間が経過していれば、ここでの判断は肯定され、ステップS569に移行する。
このステップS569では、Potの値をPtにセットする。そして、ステップS531に戻る。
なお、上記ステップS543において、駆動電流値IocがImax以上であれば、ステップS543での判断は肯定され、ステップS569に移行する。このステップS569では、試験結果(図16及び図17参照)を表示装置2060の表示部に表示する。そして、連続動作試験処理を終了する。
また、上記ステップS563において、ユーザから終了要求があれば、ステップS563での判断は肯定され、上記ステップS569に移行する。
また、上記ステップS565において、指定された試験時間が経過していれば、ステップS565での判断は肯定され、前記ステップS569に移行する。
なお、図16には、通電時間と全点灯時の光出力との関係が示されている。また、図17には、通電時間と発光部毎の駆動電流値との関係が示されている。この場合には、130時間までは、各駆動電流値は通電時間とともに増加しながらも、設定光出力範囲で動作していることが分かる。そして、130時間以降、急激に電流が増加し、不良になる発光部が多発している。
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る連続動作試験装置2000では、2次元アレイソケット2010によってソケットが構成され、受光器2030によって光検出器が構成され、制御装置2040によって測定装置が構成されている。
なお、CPU2041によるプログラムに従う処理の少なくとも一部をハードウェアによって構成することとしても良いし、あるいは全てをハードウェアによって構成することとしても良い。
また、本実施形態では、上記連続動作試験処理において、本発明に係る試験方法が実施されている。
以上説明したように、本実施形態に係る連続動作試験装置2000によると、全点灯状態から発光部を消灯することで、極めて全点灯状態に近い環境での各発光部の光出力を測定することが可能になり、その結果、これまで困難であった、動作状態での2次元アレイ内の光出力分布を測定することができ、より正確なAPC駆動を行うことができる。
従って、複数の発光部を有するレーザアレイの各発光部の特性を精度良く測定することが可能となる。
なお、上記連続動作試験処理において、前述したようにして、スロープ効率ηを補正しても良い。
また、上記連続動作試験処理において、前述したようにして、一度に複数の発光部を対象発光部としても良い。
11a…走査レンズ(走査光学系の一部)、11b…走査レンズ(走査光学系の一部)、13…ポリゴンミラー(偏向器)、14A…2次元アレイ(レーザアレイ)、14C…駆動電流補正回路(補正装置)、25…受光器(光検出器)、1000…プリンタ(画像形成装置)、1010…光走査装置、1010A…光走査装置、1030…感光体ドラム(像担持体)、1500…タンデムカラー機(画像形成装置)、2000…連続動作試験装置(試験装置)、2010…2次元アレイソケット(ソケット)、2030…受光器(光検出器)、2040…制御装置(計測装置)、K1,C1,M1,Y1…感光体ドラム(像担持体)。