JP5187342B2 - Led光放射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、LED光放射装置に関し、更に詳しくは、LED(Light−Emitting Diode;発光ダイオード)からの光を光学部材を介して所定の方向および範囲に対して放射するLED光放射装置に関する。
従来、発光素子(LED)を光源として用い、この光源からの光を所定の方向に放射するよう、例えばレンズなどの光学部材を用い、この光学部材によって配光制御を行なう構成のLED光放射装置が広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
このような構成のLED光放射装置においては、光源としての光学素子(LED)からの光を有効に利用するために、光学素子からの光のうちの光学部材に至ることのない光を、当該光学部材に導入させるための反射鏡を備えてなる構成のものが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
具体的に、特許文献2には、図11に示すように、光源としての発光素子(LED)21と、例えばアルミニウム蒸着膜などよりなる反射面108Aを有する反射鏡108とを備え、光学部材103として、透光性樹脂よりなり、基板101上に設けられた発光素子(LED)21からの光を屈折してZ軸方向に対して垂直な方向に放射させる第1光学部104と、発光素子21からの光を集光してZ軸方向に放射させる第2光学部105と、発光素子21からの光を全反射に基づいてZ軸方向に放射する第3光学部106とを有するものが設けられてなる構成のLED光放射装置が開示されている。
このLED光放射装置の光学部材103においては、第1光学部104により、発光素子21からの光のうちの当該発光素子21の開口半角(発光素子21の中心軸(図11におけるZ軸)に対する角度)60〜90度の範囲方向の光が屈折されてZ軸方向に対して垂直な方向に放射され、第2光学部105により、発光素子21からの光のうちの当該発光素子21の開口半角35度以内の範囲方向の光が集光されてZ軸方向に放射され、第3光学部106により、発光素子21からの光のうちの当該発光素子の開口半角35〜60度の範囲方向の光が全反射されてZ軸方向に放射されることとなる。
図11において、基板101は、基材101A上に絶縁層101Bが積層されており、この絶縁層101B上に配線パターン101Cが形成されてなるものである。また、同図において、107はワイヤーであり、L5は、第2光学部105に入射して半球状の光放射面105Aから放射される光の光路であり、L6は、第3光学部106に入射して反射面106Bによって反射されて円盤状の光放射面106Aから放射される光の光路であり、L7は、第1光学部104に入射して出射し、反射鏡108によって反射される光の光路である。
このような構成のLED光放射装置によれば、光学部材103によって発光素子21からの光の大部分を制御することができる、すなわち反射鏡108の作用によって光学部材103に導入される光の量を低減することができる。従って、反射鏡として、大きなものを設ける必要がないため、反射鏡108を設けることに伴って装置自体が大型化することを防止することができ、その結果、LED光放射装置自体の小型化を図ることができるとされている。
しかしながら、このようなLED光放射装置においては、反射鏡108に反射されて放射されることとなる光(具体的には、第1光学部104を経ることによって放射される光)は、複数の境界面(具体的には、例えば光学部材103と、当該光学部材103の周囲に存在する空気層との境界面)を経ることによって放射されることとなるため、この境界面において生じる屈折などに起因して境界反射や反射損失の発生率が大きくなり、その結果、高い光利用率が得られなくなり、しかも放射光を良好なものとするためには、これらの境界面における屈折を考慮した設計をすることが必要であるために、その設計自体が難しいものとなる、という問題がある。
また、このLED光放射装置においては、高角度の光(例えば、発光素子21の開口半角が60度を超える範囲方向の光)を利用することを目的として反射鏡108が設けられているが、この高角度の光は、低角度の光に比して光度が低い。このため、このLED光放射装置から放射される光が照射される被照射面においては、反射鏡108に反射された光が照射されることとなる周辺領域の照度が、中央領域の照度に比してかなり低くなるため、当該被照射面を高照度で均一に照射することが困難である、という問題がある。そのため、このような構成のLED光放射装置は、特に面積を有する被照射面に対する光照射には適していない。すなわち、LED光放射装置を、広い面積を有する被照射面に対して光を照射するために、発光素子と光学部材とよりなるLEDパッケージを複数備え、これらの複数のLEDパッケージが共通の基板上に配置されてなる構成とした場合においても、被照射面に対して光を均一に照射することができず、しかも十分な照度を得ることもできない。
特開平8−107235号公報 特開2004−281605号公報
本発明は、以上の事情に基づいてなされたものであって、その目的は、発光素子からの光を高い効率で利用することができると共に、設計の自由度が大きく、被照射面に対して光を高照度で均一に照射することのできるLED光放射装置を提供することにある。
本発明のLED光放射装置は、発光素子と、透光性導光部材とを備え、
前記発光素子はモールド部材によってモールドされ、当該モールド部材と前記透光性導光部材とは光学接合されることによって接合されており、
前記透光性導光部材は、中央凸レンズ部分と、当該中央凸レンズ部分の外周に形成された第1の筒状導光部分と、当該第1の筒状導光部分の外周に、当該第1の筒状導光部分と重なるように形成された第2の筒状導光部分とを有してなり、
前記第1の筒状導光部分の外周面と、前記第2の筒状導光部分の外周面とがいずれも同一焦点を有する回転2次曲面であって、
前記第1の筒状導光部分および第2の筒状導光部分の回転2次曲面の各々によって、発光素子からの光が当該透光性導光部材の光軸に沿って光放射方向に反射され、
前記発光素子から前記第1の筒状導光部分および第2の筒状導光部分に入射した光のうち、開口半角が小さい光は第1の筒状導光部分の外周面で反射するように当該第1の筒状導光部分を構成すると共に、第1の筒状導光部分の外周面で反射する光よりも大きい開口半角を持つ光は、第2の筒状導光部分の外周面で反射するように、第2の筒状導光部分を構成したことを特徴とする。
本発明のLED光放射装置においては、前記第1の筒状導光部分の外周面と、前記第2の筒状導光部分の内周面との間に空気層が形成されていることが好ましい。
本発明のLED光放射装置においては、前記透光性導光部材は、第2の筒状導光部分を形成する第1の構造体と、中央凸レンズ部分および第1の筒状導光部分を形成する第2の構造体とが、組み合わされて接合された構造を有することが好ましい。
本発明のLED光放射装置においては、透光性導光部材が、中央凸レンズ部分と共に、複数の筒状導光部分、具体的には第1の筒状導光部分および第2の筒状導光部分を有し、第1の筒状導光部分の外周面および第2の筒状導光部分の外周面よりなる同一焦点を有する回転2次曲面の各々によって発光素子からの光が当該透光性導光部材の光軸に沿って光放射方向に反射される構成を有するものであることから、この透光性導光部材を構成する中央凸レンズ部分、第1の筒状導光部分および第2の筒状導光部分のいずれの構成部分においても、入射した発光素子からの光を、他の構成部分に対して出射させることなく、その内部において、光軸に沿って光放射方向に導光し、当該透光性導光部材から放射させることができるため、当該透光性導光部材による発光素子からの光の配光制御が容易となり、また境界反射の発生を防止することができ、しかも反射鏡などの他の部材を介することなく、発光素子からの光を透光性導光部材によって導光して放射することができ、また透光性導光部材自体には、各々の構成部分内において導光路を形成すればよく、複数の構成部分を境界面を通過して経るような導光路を形成する必要がないことから、大きな設計の自由度が得られる。
そして、本願発明は、請求項記載の構成を備えることにより、第1の筒状導光部分の外周面に当たって反射する光と第2の筒状導光部分の外周面に当たって反射する光との間の開口半角を持つ光を無くすことができて、複雑な構成を採用することなく光の利用効率を上げることができる。
また、透光性導光部材においては、その外周に空気層が存在することとなる第1の筒状導光部分の外周面、第2の筒状導光部分の内周面および外周面によって光を全反射させることができるため、反射損失の発生を抑制することができる。
従って、本発明のLED光放射装置によれば、発光素子からの光を高い効率で利用することができると共に、大きな設計の自由度が得られ、被照射面に対して光を高照度で均一に照射することができる。
本発明のLED光放射装置の構成の一例を示す説明用断面図である。 図1のLED光放射装置の光放射面を示す説明図である。 図1のLED光放射装置を構成するLEDパッケージの構成を示す説明図である。 図3のLEDパッケージの正面図である。 図1のLED光放射装置の要部を拡大して示す説明用拡大断面図である。 図1のLED光放射装置を構成する透光性導光部材の構造を示す説明用分解図である。 本発明のLED光放射装置をレジスト照射用光源装置として用いる場合の構成の一例を示す説明用斜視図である。 図7のLED光放射装置の正面図である。 本発明のLED光放射装置の構成の他の例を示す説明用断面図である。 本発明のLED光放射装置の構成の更に他の例を示す説明用断面図である。 従来のLED光放射装置の構成を示す説明用断面図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明のLED光放射装置の構成の一例を示す説明用断面図であり、図2は、図1のLED光放射装置の光放射面を示す説明図であり、図3は、図1のLED光放射装置を構成するLEDパッケージの構成を示す説明図であり、図4は、図3のLEDパッケージの正面図であり、図5は、図1のLED光放射装置の要部を拡大して示す説明用拡大断面図であり、図6は、図1のLED光放射装置を構成する透光性導光部材の構造を示す説明用分解図である。
このLED光放射装置は、光源として発光素子(LED;Light−Emitting Diode)21を備え、当該発光素子21と、光学部材としての透光性導光部材30とよりなるLEDパッケージ20が基板11上に設けられてなる構成のものである。
LEDパッケージ20を構成する発光素子21は、基材11A上に絶縁層11Bが積層されており、この絶縁層11B上に配線パターン(図示せず)が形成されている基板11上において、基材11Aが露出されてなる発光素子配置部に配設されており、当該絶縁層11B上に形成されている配線パターンに電気的に接続されている。
この図の例において、発光素子21は、例えばシリコーン樹脂などの耐熱性を有する透明樹脂よりなる半球状のモールド部材13によってモールドされている。
発光素子21としては、紫外線を放射するもの、あるいは可視光を放射するもののいずれを用いることもでき、例えばCOS則に従った配光を示すLED(以下、「COS配光LED」ともいう。)を好適に用いることができる。
そして、LEDパッケージ20を構成する透光性導光部材30は、その全体形状が、円柱状部と、当該円柱状部に連続する椀形状部とを有する略椀形状のものであり、円柱状部は、略円筒状の筒状基端部分31によって構成されており、一方、椀形状部は、略円柱状の中央凸レンズ部分41と、当該中央凸レンズ部分41の外周に形成された、略円筒状の第1の筒状導光部分51と、当該第1の筒状導光部分51の外周に形成された、略円筒状の第2の筒状導光部分61とを有している。この透光性導光部材30においては、椀形状部の構成部分の各々において形成されている光放射面、具体的には、中央凸レンズ部分41の半球面状の光放射面49、第1の筒状導光部分51の円環状の光放射面59および第2の筒状導光部分61の円環状の光放射面69により、光放射面39が形成されている。 また、透光性導光部材30には、光放射面39に対向する位置に、円柱状部の筒状基端部分31によって半球状の発光素子収容空間32が形成されている。
この図の例において、発光素子21をモールドしているモールド部材13と、透光性導光部材30とは、モールド部材13の外周面と、透光性導光部材30における発光素子収容空間32を区画する内周面とが光学接合されることによって接合されている。これにより、モールド部材13と透光性導光部材30との境界面においては、光の屈折および反射の発生が抑制されることから、発光素子21からの光は高い効率でモールド部材13を介して透光性導光部材30に入射することとなる。
透光性導光部材30には、第1の筒状導光部分51の外周面52と、第2の筒状導光部分61の内周面63との間に、第1の筒状導光部分51を囲むように筒状の間隙が形成され、この間隙により、第1の筒状導光部分51と第2の筒状導光部分61とに囲繞されてなる空気層H1が形成されている。
この空気層H1を区画する第1の筒状導光部分51の外周面52は、その形状が、外周に空気層が存在することとなる第2の筒状導光部分61の外周面62と共に、回転2次曲面とされており、これらの第1の筒状導光部分51の外周面52よりなる回転2次曲面と、第2の筒状導光部分61の外周面62よりなる回転2次曲面とは、同一焦点を有する形状とされている。
これらの第1の筒状導光部分51の外周面52および第2の筒状導光部分61の外周面62においては、各々、その外周に空気層が存在するため、外周面52によっては第1の筒状導光部分51に入射した光が全反射され、また外周面62によっては第2の筒状導光部分61に入射した光が全反射されることとなる。そして、これらの反射光は、各々の回転2次曲面(外周面52および外周面62)の構成に従った所定の方向に反射されて光軸Cに沿って光放射方向(図1における右方)に位置する光放射面59または光放射面69に向かって導光されることとなる。
この図の例において、第1の筒状導光部分51の外周面52よりなる回転2次曲面と、第2の筒状導光部分61の外周面62よりなる回転2次曲面とは、いずれも回転放物面であり、また、当該外周面52および外周面62の反射光は、各々、透光性導光部材30の光軸Cに平行な方向に向かう平行光となる。
また、空気層H1を区画する第2の筒状導光部分61の内周面63は、当該第2の筒状導光部分61に入射し、外周面62よりなる回転2次曲面(回転放物面)によって反射される光を光放射面69に向かって導光することのできるような形状とされる。
具体的に、第2の筒状導光部分61の内周面63は、第2の筒状導光部分61の外周面62からの反射光が光放射面69に至るまでの光路(以下、「反射光路」ともいう。)を阻害することのないよう、当該反射光路に平行とされていてもよいが、この反射光路の一部を遮るように外方に広がるテーパ状であることが好ましい。
第2の筒状導光部分61の内周面63を外方に広がるテーパ状とし、外周面62からの反射光の一部を遮るようにすることにより、この内周面63によって外周面62において反射される光のうちの第2の筒状導光部分61内において直線的に光放射面69に至ることのできる方向以外の方向に向かう光を反射するための反射面が形成され、この反射面においては、その外周に空気層H1が存在しているため、入射された光が全反射されることとなる。
この図の例において、図5に詳細に示すように、第2の筒状導光部分61の内周面63は、第1のテーパ面63Aと、当該第1のテーパ面63Aよりも小さな傾斜角度を有する第2のテーパ面63Bとによって構成されており、これらのうちの第2のテーパ面63Bによって反射面が形成されている。
第2の筒状導光部分61の内周面63における第2のテーパ面63Bによって形成される反射面は、その傾斜角度αが、当該第2の筒状導光部分61の光放射面69から放射される光、具体的には、当該第2のテーパ面63Bよりなる反射面によって仮想線(ア)となす角β(=2α)で光放射面69に向かって反射され、当該光放射面69から放射される光の仮想線(ア)となす角γが20度以下となるよう、下記の式(1)の条件を満たすことが好ましい。この式(1)において、nは、透光性導光部材30を構成する材料の屈折率である。
ここに、仮想線(ア)は、第2の筒状導光部分61の外周面62において反射される光の反射光路に平行な線分であり、この図の例においては、透光性導光部材30の光軸Cに平行となる。
また、透光性導光部材30においては、第1の筒状導光部分51の内周面53は、当該第1の筒状導光部分51における光放射面59、および中央凸レンズ部分41における光放射面49から放射される光の光路を阻害することのないような形状とされる。
この図の例において、第1の筒状導光部分51の内周面53は、光軸Cに平行とされており、当該内周面53によって中央凸レンズ部分41の光放射面49から放射される光を通過させるための円柱状の空間が区画されている。
このような構成の透光性導光部材30は、例えば図6に示すように、筒状基端部分31と第2の筒状導光部分61とを形成するための第1の構造体70と、中央凸レンズ部分41と第1の筒状導光部分51とを形成するための第2の構造体80とを組み合わせて接合することによって作製することができる。
透光性導光部材30を形成するための第1の構造体70は、全体形状が略椀形状の椀形状体であって、筒状基端部分31と第2の筒状導光部分61とを有し、内部に、第2の構造体80を収容すると共に、発光素子収容空間32および空気層H1を形成するための柱状の内部空間71が形成されてなるものである。
この第1の構造体70の内部空間71は、発光素子収容空間32を区画するための曲状形成面71Aと、当該曲状形成面71Aに連続する、第2の構造体80との接合面および第2の筒状導光部分61の内周面63における第1のテーパ面63Aを形成するためのテーパ状形成面71Bと、当該テーパ状形成面71Bに連続する、第2の筒状導光部分61の内周面63における第2のテーパ面63Bとにより区画されている。
ここに、テーパ状形成面71Bを構成するテーパ面は、第2の筒状導光部分61に入射した光が外周面62に至るまでのいずれの導光路上にも、第1の構造体70と第2の構造体80との境界面(具体的には、第1の構造体70のテーパ状形成面71Bと、後述の第2の構造体80の接合面82との接合によって形成される境界面)が位置することのないよう、すなわち導光路と境界面とが交差することのないよう、その傾斜角度が設定されている。
具体的には、第2の筒状導光部分61の外周面62に至る光の導光路のうちの最も中心側に形成される導光路(最も仮想線(ア)(図5参照)となす角度が小さくなる光の導光路であって、図3におけるL3で示される光の光路に係る導光路)に沿うようにテーパ状形成面71Bの傾斜角度が設定される。
また、第2の構造体80は、その外観形状が略椀形状の筒状体であって、中央凸レンズ部分41と第1の筒状導光部分51とを有するものである。
この第2の構造体80は、その底面により、発光素子収容空間32を区画するための発光素子収容空間区画用面81が形成されており、また、その外周面は、第1の構造体70との接合面を形成するためのテーパ面よりなる接合面82と、当該接合面82よりも小さな傾斜角度を有するテーパ面よりなる、第1の筒状導光部分51の外周面52とによって構成されている。
なお、接合面82を構成するテーパ面は、接合されることとなる第1の構造体70のテーパ状形成面71Bと同様の傾斜角度を有している。
具体的に、透光性導光部材30は、第1の構造体70と、第2の構造体80とを用意し、第1の構造体70の内部空間71内に、第2の構造体80を挿入し、軸を一致させた状態において、第2の構造体80の接合面82を、第1の構造体70のテーパ状形成面71Bにおける接合面を形成するための部分(図6において、左側部分)に当接させて点接合によって接合部S1を形成して固定すると共に、第2の構造体80の外周面52における、光放射面59側の縁部(図6において、右端縁部)と、第1の構造体70の第2のテーパ面63Bにおける、光放射面69側の縁部(図6において、右端縁部)とを点接合することによって接合部S2を形成して固定することにより、透光性導光部材30が作製される。
このような構成の透光性導光部材30は、屈折率が1.4以上の材料よりなるものであることが好ましく、具体的には、透明アクリル(PMMA:ポリメチルメタクリレート)樹脂およびポリカーボネート樹脂などが挙げられる。
また、透光性導光部材30の筒状基端部分31には、その外周面に、光吸収層15が設けられていることが好ましい。
光吸収層15の材質としては、例えば黒色フィルムおよび黒色塗料などが挙げられる。
LED光放射装置の具体的な構成の一例としては、発光素子21として、COS配光LEDが用いられ、透光性導光部材30として、屈折率1.485のPMMA樹脂よりなるものが用いられており、また、その寸法が、発光素子21は、外径が1mm角であり、透光性導光部材30は、中央凸レンズ部分41に係る光放射面49の外径M1が3.6mm、第1の筒状導光部分51に係る光放射面59の外径M2が6.2mm、第2の筒状導光部分61に係る光放射面69の外径M3が11mmであるものが挙げられる。
以上のような構成を有するLED光放射装置においては、光源である発光素子21が発光されることにより、当該発光素子21からの光が、モールド部材13を介して透光性導光部材30に入射され、当該透光性導光部材30によって導光されて光放射面39から放射されることとなる。
而して、このLED光放射装置においては、透光性導光部材30が、中央凸レンズ部分41と共に、複数の筒状導光部分、具体的には第1の筒状導光部分51および第2の筒状導光部分61を有し、第1の筒状導光部分51の外周面52および第2の筒状導光部分61の外周面62よりなる同一焦点を有する回転放物面の各々によって発光素子21からの光が光軸に沿って光放射方向に反射される構成を有するものであることから、モールド部材13を介して透光性導光部材30に入射された発光素子21からの光は、当該透光性導光部材30の光放射面39を構成する各構成部分、具体的には、光放射面49に係る中央凸レンズ部分41、光放射面59に係る第1の筒状導光部分51および光放射面69に係る第2の筒状導光部分61のいずれかによって導光されて光放射面39から放射される。
具体的には、発光素子21からの光のうちの当該発光素子21の開口半角(発光素子21の中心軸に対する角度)20度以下の範囲方向の光は、光路L1で示すように、中央凸レンズ部分41に入射し、光放射面49に向かって直線的に導かれ、当該光放射面49から放射されることとなる。
また、発光素子21からの光のうちの当該発光素子21の開口半角20度を超えて70度以下の範囲方向の光は、その一部である開口半角が小さい光が、光路L2で示すように、第1の筒状導光部分51に入射し、回転放物面よりなる外周面52に反射されることによって光放射面59に向かって導かれ、当該光放射面59から放射される。また残りの一部である第1の筒状導光部分51に入射できないほど大きい開口半角を持つ光は、光路L3で示すように、第2の筒状導光部分61に入射し、回転放物面よりなる外周面62に反射され、その反射光の一部(例えば、図1における光路L3−1を進む光であって、第2の筒状導光部分61の外周面62に至る光の導光路のうちの最も中心側に形成される導光路に沿って進む光)は光放射面69に向かって導かれ、他の一部(例えば、図1における光路L3−2)は内周面63における第2のテーパ面63Bに反射されることによって光放射面69に向かって導かれ、そのいずれもが当該光放射面69から放射されることとなる。
ここに、このLED光放射装置においては、発光素子21からの光のうちの当該発光素子21の開口半角70度以下の範囲方向の光が透光性導光部材30に導光されて光放射面39から放射されることとなるが、発光素子21としてCOS配光LEDを用いることにより、このCOS配光LEDよりなる発光素子21は、開口半角70度を超える範囲方向に放射される光の割合(光量)が小さいものであるため、発光素子21からの光を、80%もの高い利用率で利用することができる。
このように、透光性導光部材30を構成する中央凸レンズ部分41、第1の筒状導光部分51および第2の筒状導光部分61のいずれの構成部分においても、入射した発光素子21からの光を、他の部分に対して出射させることなく、その内部において、当該透光性導光部材30の光軸Cに沿って光放射方向に導光し、光放射面から放射させることができるため、当該透光性導光部材30による発光素子21からの光の配光制御が容易となり、また境界反射の発生を防止することができる。しかも、反射鏡などの他の部材を介することなく、発光素子21からの光を透光性導光部材30によって導光して放射することができ、また透光性導光部材30自体には、各々の構成部分内において導光路を形成すればよく、複数の構成部分を境界面を通過して経るような導光路を形成する必要がないことから、大きな設計の自由度が得られる。
また、透光性導光部材30においては、その外周に空気層が存在することとなる第1の筒状導光部分51の外周面52、第2の筒状導光部分61の内周面63における第2のテーパ面63Bおよび外周面62によって光を全反射させることができるため、反射損失の発生を抑制することができる。
更に、発光素子21からの光のうちの、低角度の光に比して光度の小さい高角度の光の利用が抑制されることから、光放射面39から放射される光が照射されることとなる被照射面において、高照度および照度の均一性を得ることができる。
従って、このLED光放射装置によれば、発光素子21からの光を高い効率で利用することができると共に、大きな設計の自由度が得られ、またLEDパッケージ20から放射される光に高い均一性が得られることから、被照射面に対して光を高照度で均一に照射することができる。
また、このLED光放射装置においては、筒状基端部分31の外周面に光吸収層15が設けられており、発光素子21からの光のうちの透光性導光部材30に入射したものの光放射面39から放射されることのない光、具体的には発光素子21の開口角度70度を超える範囲方向の光を、当該光吸収層15によって吸収することができるため、筒状基端部分31から光が放射されることに起因する迷光の発生を防止することができる。
更に、このLED光放射装置においては、透光性導光部材30が、第1の構造体70と、第2の構造体80とが組み合わされてなるものではあるが、第1の構造体70が筒状基端部分31および第2の筒状導光部分61を有するものであり、一方、第2の構造体80が中央凸レンズ部分41および第1の筒状導光部分51を有するものであって、これらを組み合わせることによって形成される境界面が、透光性導光部材30内に形成される導光路と交差することのないよう、当該導光路に沿うものであることから、この第1の構造体70と第2の構造体80との境界面の全域を光接合する必要がなく、接合部S1、S2を点状とすることができるため、その製造が極めて容易であり、また、第1の構造体70と第2の構造体80との境界面を導光路に沿って形成すればよいことから、これらの構造体の設計も容易となる。
このような構成を有する本発明のLED光放射装置は、特に広い面積を有する被照射面に対して光を照射するための装置、具体的には、レジスト照射用光源装置などとして好適に用いることができる。
具体的には、図7および図8に示すように、発光素子21と透光性導光部材30とよりなるLEDパッケージ20を複数(図7および図8の例においては、((2×30)+29)個)備え、これらの複数のLEDパッケージ20が共通の基板11上に配置されてなる構成を有し、この共通の基板11上に設けられた複数の発光素子21を面状(帯状)光源としてなるものが挙げられる。
図7において、17は、マルチレンズ、18は、コンデンサレンズ、19は、コリメータレンズである。また、同図においては、基板11が図示されていない。
このような複数のLEDパッケージ20を備えたLED光放射装置においては、当該複数のLEDパッケージ20の各々から放射される光に高い均一性が得られることから、広い面積を有する被照射面に対して均一に光を照射することができると共に、当該被照射面において高い照度を得ることができる。
また、筒状基端部分31に光吸収層15が設けられていることにより、当該筒状基端部分31から隣接する他のLEDパッケージ20に対して光が照射され、この光の照射によってLEDパッケージ20が過熱されることを防止することができるため、複数の発光素子21が発光することに伴って生じる熱によって装置自体が過熱されることを抑制することができる。
以下、本発明のLED光放射装置について具体的に説明したが、本発明は以上の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、透光性導光部材は、第1の筒状導光部分の外周面と、第2の筒状導光部分の外周面とがいずれも同一焦点を有する回転2次曲面であり、これらの回転2次曲面の各々が発光素子からの光を当該透光性導光部材の光軸に沿って光放射方向に反射することのできる構成を有するものであれば、当該回転2次曲面は、図1に係る透光性導光部材30の有するような回転放物面に限定されず、例えば図9に示すように、回転楕円面であってもよい。
ここに、図9のLED光放射装置は、回転2次曲面として回転楕円面を有する透光性導光部材90を備えていること以外は、図1に係るLED光放射装置と同様の構成を有するものであり、当該透光性導光部材90は、第1の筒状導光部分91の外周面91Aと、第2の筒状導光部分92の外周面92Aとがいずれも同一焦点を有する回転楕円面であるものであること以外は、図1に係る透光性導光部材30と同様の構成を有するものである。 図9において、L1は、中央凸レンズ部分41に入射して光放射面49から放射される光の光路であり、L2は、第1の筒状導光部分91に入射して外周面91Aによって反射されて光放射面91Bから放射される光の光路であり、L3は、第2の筒状導光部分92に入射して外周面92Aによって反射されて光放射面92Bから放射される光の光路である。また、曲線(イ)は、第1の筒状導光部分91における外周面91Aに係る回転2次曲面(回転楕円面)を延長した仮想線であり、曲線(ロ)は、第2の筒状導光部分92における外周面92Aに係る回転2次曲面(回転楕円面)を延長した仮想線である。
このような構成の透光性導光部材90を備えたLED光放射装置によっても、図1のLED光放射装置と同様にして発光素子21からの光を高い効率で利用することができると共に、大きな設計の自由度が得られ、被照射面に対して光を高照度で均一に照射することができる。
また、透光性導光部材は、中央凸レンズ部分、第1の筒状導光部分および第2の筒状導光部分を有するものであればよく、これらの構成部分の他に、その他の構成部分、例えば図10に示すように、第2の筒状導光部分61の外周に、第3の筒状導光部分96が形成されてなる構成を有するものであってもよい。
ここに、図10のLED光放射装置は、第3の筒状導光部分96を有する透光性導光部材95を備えていること、および筒状基端部分31の外周面に光吸収層15が設けられていないこと以外は、図1に係るLED光放射装置と同様の構成を有するものであり、当該透光性導光部材95は、第3の筒状導光部分96を有するものであること以外は、図1に係る透光性導光部材30と同様の構成を有するものである。
この透光性導光部材95において、第3の筒状導光部分96は、基本的に、第2の筒状導光部分61と同様の構造を有している。
具体的に、透光性導光部材95においては、第1の筒状導光部分51と、第2の筒状導光部分61との間に空気層H1が形成されていると共に、第2の筒状導光部分61の外周面62と、第3の筒状導光部分96の内周面97Bとの間に、第2の筒状導光部分61を囲むように筒状の間隙が形成され、この間隙により、第2の筒状導光部分61と第3の筒状導光部分96とに囲繞されてなる空気層H2が形成されている。
また、空気層H2を区画する第3の筒状導光部分96の内周面97Bは、外方に広がるテーパ状とされており、この内周面97Bにより、当該第3の筒状導光部分96の外周面97Aにおいて反射される光のうちの当該第3の筒状導光部分96内において直線的に光放射面99に至ることのできる方向以外の方向に向かう光を全反射するための反射面が形成されている。更に、その外周に空気層が存在することとなる第3の筒状導光部分96の外周面97Aは、回転2次曲面(図の例においては、回転放物面)とされており、この第3の筒状導光部分96の外周面97Aよりなる回転2次曲面は、第1の筒状導光部分51の外周面52よりなる回転2次曲面および第2の筒状導光部分61の外周面62よりなる回転2次曲面と同一焦点を有し、発光素子21からの光を透光性導光部材95の光軸に沿って光放射方向に反射することのできる形状とされている。
図10おいて、L1は、中央凸レンズ部分41に入射して光放射面49から放射される光の光路であり、L2は、第1の筒状導光部分51に入射して外周面52によって反射されて光放射面59から放射される光の光路であり、L3は、第2の筒状導光部分61に入射して外周面62によって反射されて光放射面69から放射される光の光路であり、L4は、第3の筒状導光部分96に入射して外周面97Aによって反射され、必要に応じて内周面97Bによって反射されて光放射面99から放射される光の光路である。
このような透光性導光部材95を備えたLED光放射装置によっても、図1のLED光放射装置と同様にして発光素子21からの光を高い効率で利用することができると共に、大きな設計の自由度が得られ、被照射面に対して光を高照度で均一に照射することができる。
また、透光性導光部材において、第1の筒状導光部分の内周面の形状は、前述のように、当該第1の筒状導光部分の光放射面、および中央凸レンズ部分の光放射面から放射される光の光路を阻害する形状を有するものでなければ特に限定されるものではなく、例えば階段状であってもよい。
また、LED光放射装置は、図1に示したように、発光素子21がモールド部材13によってモールドされており、当該モールド部材13と透光性導光部材30とが光接合されてなる構成を有するものに限定されず、例えば、発光素子として発熱量の大きいものを用いる場合には、透光性導光部材の耐熱性を勘案し、透光性導光部材が発光素子と一定空間(空気層)を介して配置されてなる構成を有するものであってもよい。
11 基板
11A 基材
11B 絶縁層
13 モールド部材
15 光吸収層
17 マルチレンズ
18 コンデンサレンズ
19 コリメータレンズ
20 LEDパッケージ
21 発光素子
30 透光性導光部材
31 筒状基端部分
32 発光素子収容空間
39 光放射面
41 中央凸レンズ部分
49 光放射面
51 第1の筒状導光部分
52 外周面
53 内周面
59 光放射面
61 第2の筒状導光部分
62 外周面
63 内周面
63A 第1のテーパ面
63B 第2のテーパ面
69 光放射面
70 第1の構造体
71 内部空間
71A 曲状形成面
71B テーパ状形成面
80 第2の構造体
81 発光素子収容空間区画用面
82 接合面
90 透光性導光部材
91 第1の筒状導光部分
91A 外周面
91B 光放射面
92 第2の筒状導光部分
92A 外周面
92B 光放射面
95 透光性導光部材
96 第3の筒状導光部分
97A 外周面
97B 内周面
99 光放射面
101 基板
101A 基材
101B 絶縁層
101C 配線パターン
103 光学部材
104 第1光学部
105 第2光学部
105A 光放射面
106 第3光学部
106A 光放射面
106B 反射面
107 ワイヤー
108 反射鏡
108A 反射面
H1、H2 空気層
S1、S2 接合部

Claims (3)

  1. 発光素子と、透光性導光部材とを備え、
    前記発光素子はモールド部材によってモールドされ、当該モールド部材と前記透光性導光部材とは光学接合されることによって接合されており、
    前記透光性導光部材は、中央凸レンズ部分と、当該中央凸レンズ部分の外周に形成された第1の筒状導光部分と、当該第1の筒状導光部分の外周に、当該第1の筒状導光部分と重なるように形成された第2の筒状導光部分とを有してなり、
    前記第1の筒状導光部分の外周面と、前記第2の筒状導光部分の外周面とがいずれも同一焦点を有する回転2次曲面であって、
    前記第1の筒状導光部分および第2の筒状導光部分の回転2次曲面の各々によって、発光素子からの光が当該透光性導光部材の光軸に沿って光放射方向に反射され、
    前記発光素子から前記第1の筒状導光部分および第2の筒状導光部分に入射した光のうち、開口半角が小さい光は第1の筒状導光部分の外周面で反射するように当該第1の筒状導光部分を構成すると共に、第1の筒状導光部分の外周面で反射する光よりも大きい開口半角を持つ光は、第2の筒状導光部分の外周面で反射するように、第2の筒状導光部分を構成したことを特徴とするLED光放射装置。
  2. 前記第1の筒状導光部分の外周面と、前記第2の筒状導光部分の内周面との間に空気層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のLED光放射装置。
  3. 前記透光性導光部材は、第2の筒状導光部分を形成する第1の構造体と、中央凸レンズ部分および第1の筒状導光部分を形成する第2の構造体とが、組み合わされて接合された構造を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のLED光放射装置。
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