JP5185908B2 - チャージポンプ回路 - Google Patents

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Description

本発明は、入力された電圧を複数段の昇圧ステージで順次昇圧して出力するチャージポンプ回路に係り、特に、半導体基板上に集積回路として形成されるチャージポンプ回路に関する。
現在、電源電圧よりも高い電圧が必要とされる制御には、チャージポンプ回路が用いられている。チャージポンプ回路は、半導体基板上で10V以上の高い電圧を生成することができる。チャージポンプ回路が用いられる技術としては、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)マイクロフォンや、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリへの書き込み制御がある。
図5は、一般的なチャージポンプ回路を説明するための図である。図示したチャージポンプ回路は、Cockcroft−Walton型チャージポンプ回路と呼ばれるチャージポンプ回路である。図示した例では、4段の昇圧ステージを持つよう構成されている。4段の昇圧ステージの各段を、図5中において、I、II、III、IVと記す。
1段目の昇圧ステージIは、ダイオード素子101と、ダイオード素子101のカソード端子に一端が接続されたキャパシタ106とによって構成されている。同様に、2段目の昇圧ステージIIは、ダイオード素子102、キャパシタ107によって構成されている。3段目の昇圧ステージIIIはダイオード素子103、キャパシタ108によって構成されていて、4段目の昇圧ステージIVはダイオード素子104、キャパシタ109によって構成されている。
ダイオード素子101〜104は、互いに直列に接続されている。また、1段目の昇圧ステージIのキャパシタ106と3段目の昇圧ステージIIIのキャパシタ108とは直列に接続されている。2段目の昇圧ステージIIのキャパシタ107と4段目の昇圧ステージIVのキャパシタ109とは直列に接続されている。キャパシタ106のダイオード素子101に接続されていない端子には、クロック信号Φ1が入力されている。キャパシタ107のダイオード素子102に接続されていない端子には、クロック信号Φ1とは逆相関系のクロック信号Φ2が入力されている。最終段となる4段目の昇圧ステージIVの出力は、ダイオード素子105を介して出力端子VOUTに接続される。
以上述べたチャージポンプ回路は、以下のように動作する。すなわち、動作開始時には、昇圧ステージI〜IVのキャパシタ106〜109には電荷が蓄えられていない。互いに逆相関係のクロック信号Φ1がLow、クロック信号Φ2がhighのとき、入力信号VINが、ダイオード素子101を介してキャパシタ106に入力される。入力端子から入力信号VINの入力により、キャパシタ106に電荷が注入される。
続いて、クロック信号Φ1がhigh、クロック信号Φ2がLowになる。このとき、クロック信号Φ1の振幅分に相当する電荷とキャパシタ106に蓄えられた電荷により、図5中に示したノードN11の電位が上昇する。ノードN11の電位が上昇し、図5中のノードN12の電位よりも高くなると、キャパシタ106に蓄えられた電荷が、ダイオード素子102を介してキャパシタ107に転送される。
さらに、クロック信号Φ1がLow、クロック信号Φ2がhighになると、キャパシタ106には再び入力信号VINが入力される。このとき、クロック信号Φ2の振幅に相当する電荷とキャパシタ107に蓄えられた電荷によってノードN12の電位が上昇する。ノードN12の電位が上昇し、図5中のノードN13の電位よりも高くなると、キャパシタ107に蓄えられた電荷が、ダイオード素子103を介してキャパシタ108に転送される。
続いて、クロック信号Φ1がhigh、クロック信号Φ2がLowになる。このとき、クロック信号Φ1の振幅分に相当する電荷とキャパシタ106、108に蓄えられた電荷により、図5中に示したノードN11、ノードN13の電位が上昇する。ノードN11の電位がノードN12の電位よりも高くなると、キャパシタ106に蓄えられた電荷がダイオード素子102を介してキャパシタ107に転送される。ノードN13の電位がノードN14の電位よりも高くなると、キャパシタ108に蓄えられた電荷がダイオード素子104を介してキャパシタ109に転送される。このように、チャージポンプ回路は、逆位相のクロック信号Φ1、Φ2にしたがって動作することにより、1段目の昇圧ステージIから4段目の昇圧ステージIVまで順次電荷を転送させながら昇圧電位を得ることができる。
しかし、半導体基板上に形成されたCockcroft−Walton型チャージポンプ回路では、キャパシタ106〜109において、キャパシタの下部電極と基板間、及びキャパシタの上部電極と上部電極上の導電層間に寄生容量110、111、112、113が生じる。そして、寄生容量110、111、112、113の容量Csは、キャパシタ106〜109の容量Cと比べて無視できない程度の大きな値を持つ。このため、クロック信号Φ1、Φ2が極性を反転させたとき、各昇圧ステージのキャパシタ106〜109に蓄えられた電荷の一部が寄生容量110、111、112、113に移送されて電荷ロスを生じる。電荷ロスは、チャージポンプ回路において最終的に得られる昇圧電位を下げる要因となる。図5では、寄生容量Csを、図中に寄生容量110〜113として表すものとする。
電荷ロスを防ぐ従来技術としては、例えば、チャージポンプ回路の全ての奇数段の昇圧ステージのキャパシタに、他のキャパシタを介することなくクロック信号Φ1を直接入力させ、全ての偶数段の昇圧ステージのキャパシタにクロック信号Φ2を直接入力させる回路がある。図6は、このような従来例を説明するための回路である。図6に示した回路は、非特許文献1に記載されている。なお、このような従来のチャージポンプ回路は、Dickson型チャージポンプ回路と呼ばれている。
図6に示した従来技術のチャージポンプ回路は、図5に示したチャージポンプ回路と同様に、4段の昇圧ステージI〜IVを有している。昇圧ステージIは、ダイオード素子201とキャパシタ206とによって構成されている。また、昇圧ステージIIはダイオード素子202とキャパシタ207とによって構成され、昇圧ステージIIIはダイオード素子203とキャパシタ208とによって構成され、昇圧ステージIVはダイオード素子204とキャパシタ209とによって構成されている。
各昇圧ステージにおいて、ダイオード素子のカソード端子はキャパシタの一端に接続されている。また、ダイオード素子201〜205は、隣接する昇圧ステージのダイオード素子と直列に接続されている。ダイオード素子205の出力は、チャージポンプ回路の出力端子VOUTに接続されている。そして、前述したように、奇数段の昇圧ステージのキャパシタ206、208にはクロック信号Φ1が直接入力されている。また、偶数段の昇圧ステージのキャパシタ207、209にはクロック信号Φ2が直接入力されている。
図6に示したチャージポンプ回路において、キャパシタ206から順に電荷を転送する動作は、図5に示したチャージポンプ回路と同様に行われる。図6に示したチャージポンプ回路によれば、キャパシタ206〜209にかかる電位が、寄生容量210〜213の影響を受けることなくクロック信号の振幅分だけ変化するため、3段目以降の昇圧ステージにおける電荷ロスを図5に示したチャージポンプ回路よりも低減し、入力電圧を効率的に昇圧することができる。
J.F.Dickson "On-chip High-Voltage Generation in MNOS Integrated Circuits Using an Improved Voltage Multiplier Technique"IEEE Journal of Solid State Circuits、Vol,SC-11,No.3,June 1976.
しかしながら、図6に示したチャージポンプ回路は、昇圧ステージの段数が多くなるに連れて後段のキャパシタの電極間に生じる電位差が大きくなる。このため、高電圧を出力するチャージポンプ回路の少なくとも後段の昇圧ステージでは、特に単位面積あたりの容量の小さい高耐圧のキャパシタ、もしくは、高耐圧素子をもたない標準プロセスにおける導電層間の寄生容量を電荷転送用キャパシタとして用いる必要があり、製造プロセスにより許容される定格電圧を越える高電圧を生成する場合に寄生容量による電荷ロスが増大するという問題点がある。
本発明は、上記した点に鑑みてなされたものであって、寄生容量による電荷ロスをより低減できるチャージポンプ回路を提供することを目的とする。
以上の課題を解決するため、請求項1のチャージポンプ回路は、昇圧ステージ(例えば、図1に示した昇圧ステージI〜IV)を複数段に接続して構成されるチャージポンプ回路であって、前記昇圧ステージの各々は、第1電極(例えば図2に示した第1ポリSi層303)及び該第1電極上に形成される第2電極(例えば図2に示した第2ポリSi層304)によって構成されるキャパシタ(例えば図1に示した電荷転送用キャパシタ406a〜409a)と、入力信号、または前段の前記キャパシタに蓄積された電荷を自昇圧ステージの前記キャパシタに転送するダイオード素子(例えば図1に示したダイオード素子401〜404)と、前記キャパシタの充電、放電のタイミングを制御するクロック信号を、前記キャパシタに供給するクロック信号供給手段(例えば図1に示したクロック信号生成回路400)と、を含み、前記キャパシタの前記第1電極が下部導電層(例えば図2に示したN−ウェル302)と対向して配置され、前記第2電極が上部導電層(例えば図2に示したメタル層305)と対向して配置され、前記クロック信号供給手段は、前記キャパシタと共に、前記下部導電層及び上部導電層にも前記キャパシタに供給された前記クロック信号を供給するようになっており、前記クロック信号供給手段は、複数段に接続された前記昇圧ステージのうち、第1の昇圧ステージの前記キャパシタと前記下部導電層及び上部導電層とに第1のクロック信号を供給し、前記第1の昇圧ステージに接続された第2の昇圧ステージの前記キャパシタと前記下部導電層及び上部導電層とに、前記第1のクロック信号と位相が180度反転した第2のクロック信号を供給し、前記第1の昇圧ステージの前記キャパシタが放電されるタイミングで、前記第2の昇圧ステージの前記キャパシタを充電させ、前記キャパシタは、前記第1電極下部に形成される前記下部導電層上に形成され、前記ダイオード素子のカソードが自昇圧ステージに含まれる前記キャパシタの前記第1電極、前記第2電極のいずれか一方に接続され、前記ダイオード素子のアノードから電荷を入力し、入力された電荷を前記カソードから自昇圧ステージに含まれる前記第1電極、前記第2電極のいずれか一方に出力し、前記昇圧ステージは、各々の前記昇圧ステージのカソードが次段の前記昇圧ステージのダイオード素子のアノードに接続されることによって複数段に接続されてなり、複数段に接続された前記昇圧ステージにおいて、前記第1クロック信号が1段目の前記昇圧ステージのキャパシタに供給され、前記第2クロック信号が2段目の前記昇圧ステージのキャパシタに供給され、3段目以降の前記昇圧ステージのキャパシタが、前々段の前記昇圧ステージの出力に接続され、奇数段目の前記昇圧ステージの前記下部導電層に前記第1クロック信号が供給され、偶数段目の前記昇圧ステージの前記下部導電層に前記第2クロック信号が供給されることにより、前記昇圧ステージの各々において、前記下部導電層と前記第1電極によって形成される寄生キャパシタと、前記第1電極、前記第2電極によって形成される前記キャパシタとを同一のクロック信号で駆動し、複数段に接続された前記昇圧ステージのうち、奇数段目の前記昇圧ステージにおいて、前記第2電極よりも上方に形成された前記上部導電層に前記第1クロック信号が供給され、偶数段目の前記昇圧ステージにおいて、前記第2電極よりも上方に形成された前記上部導電層に前記第2クロック信号が供給されることにより、前記昇圧ステージの各々において、前記第1電極、前記第2電極によって形成される前記キャパシタと、前記第2電極と前記第2電極よりも上方に形成された前記上部導電層によって形成される寄生キャパシタとを同一のクロック信号で駆動することを特徴とする。
また、請求項の発明は、請求項1記載の発明において、前記キャパシタの前記第1電極、前記第2電極が、ポリシリコンまたは金属の少なくとも一方を含む導電層であることを特徴とする。
また、請求項の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記下部導電層が、前記第1電極下の基板に形成された第1ウェル層であり前記上部導電層が、前記第2電極よりも上方に形成されたポリシリコンまたは金属の少なくとも一方を含む導電層であることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明において、前記ダイオード素子は、前記第1ウェルと独立に形成された第2ウェル上に形成され、かつ当該第2ウェルと導電型の極性が異なるMOSトランジスタ素子を含み、前記MOSトランジスタは、前記MOSトランジスタのドレイン端子とゲート端子及び前記第2ウェルとが接続されてダイオード素子として働くことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、昇圧ステージの各々に含まれるキャパシタを構成する第1電極、第2電極と対向する下部導電層及び上部導電層に、キャパシタに供給されたクロック信号を供給することができる。このため、キャパシタと、第1電極、第2電極と下部導電層、上部導電層との間に生じる寄生キャパシタとが同じタイミングで充放電される。したがって、請求項1の発明では、キャパシタから放電される電荷が寄生キャパシタに蓄積されることによる電荷ロスを充分に防ぐことができる。
また、第1の昇圧ステージのキャパシタが放電されるタイミングで、第1の昇圧ステージに接続された第2の昇圧ステージを充電させるので、電荷転送のための充放電の時間を最大にとることができる。
さらに、複数段に接続された昇圧ステージの各々において、キャパシタと寄生容量とを同一のタイミングで充放電することができ、キャパシタと寄生容量間の電荷移動を最小限に抑えることができる。
また、前記昇圧ステージの各々において、前記下部導電層と前記第1電極によって形成される寄生キャパシタと、前記第1電極、前記第2電極によって形成される前記キャパシタと、前記第2電極と前記第2電極よりも上方に形成された前記上部導電層によって形成される寄生キャパシタとを同一のクロック信号で駆動することができ、前記下部導電層と前記第1電極によって形成される寄生キャパシタと、前記第1電極、前記第2電極によって形成される前記キャパシタと、前記第2電極と前記第2電極よりも上方に形成された前記上部導電層によって形成される寄生キャパシタ間での電荷移動を最小限に抑えることができる。
また、請求項の発明によれば、前記キャパシタの前記第1電極、前記第2電極が、ポリシリコンまたは金属の少なくとも一方を含む導電層であるから、第1電極、第2電極として適正な材料を使ってキャパシタを形成することができる。
また、請求項の発明によれば、ウェル層や第2電極よりも上方に形成された配線層等との間に生じた寄生容量による電荷ロスを抑止することができる
た、請求項の発明によれば、第1ウェルとダイオード素子として働くMOSトランジスタ下の第2ウェルとを独立に形成しているので、第1ウェルとキャパシタの下部電極との間に生じる寄生容量をMOSトランジスタとは無関係に充放電することができる。
本発明の実施形態1のチャージポンプ回路の全体を説明するための図である。 図1に示した昇圧ステージを説明するための図である。 本発明の実施形態2のチャージポンプ回路の全体を説明するための図である。 図3に示した各昇圧ステージの、電荷転送用キャパシタ及び寄生容量を説明するための図である。 一般的なCockcroft−Walton型チャージポンプ回路を示した図である。 一般的なDickson型チャージポンプ回路を示した図である。
以下、本発明の実施形態1、実施形態2を説明する。
(実施形態1)
(1)チャージポンプ回路の構成
図1は、本発明の実施形態1のチャージポンプ回路の全体を説明するための図である。実施形態1のチャージポンプ回路は、4つの昇圧ステージI、II、III、IVが接続された4段昇圧チャージポンプ回路である。昇圧ステージIは、ダイオード素子401、キャパシタ群406によって構成されている。また、昇圧テステージIIは、ダイオード素子402、キャパシタ群407によって構成され、昇圧ステージIIIは、ダイオード素子403、キャパシタ群408によって構成される。さらに、昇圧ステージIVは、ダイオード素子404、キャパシタ群409によって構成されている。
各々の昇圧ステージにおいて、キャパシタ群はダイオード素子のカソードに接続されている。ダイオード素子とキャパシタ群との接続ノードを、各々N41、N42、N43、N44と記す。
さらに、図1に示したチャージポンプ回路は、出力用のダイオード素子405を備えている。ダイオード素子401、402、403、404、405は、ダイオード接続されたMOSトランジスタで構成されている。キャパシタ群406は、電荷転送用のキャパシタ(電荷転送用キャパシタ)406aと、寄生容量406b、406cとを含んでいる。
同様に、キャパシタ群407は電荷転送用キャパシタ407a、寄生容量407b、407cを含み、キャパシタ群408は電荷転送用キャパシタ408a、寄生容量408b、408cを含む。また、キャパシタ群409は電荷転送用キャパシタ409a、寄生容量409b、409cを含む。キャパシタ群406〜409については後に説明する。
昇圧ステージI〜IVのダイオード素子401〜404、及び出力用ダイオード素子405は、直列に接続されている。また、昇圧ステージI、昇圧ステージIII(奇数段)のキャパシタ群406、408は、互いに直列に接続されている。昇圧ステージII、昇圧ステージIV(偶数段)のキャパシタ群407、409は、互いに直列に接続されている。
各ダイオード素子402〜405は、前段の昇圧ステージの電荷転送用キャパシタに蓄積された電荷を自昇圧ステージの電荷転送用キャパシタに転送してくる。また、ダイオード素子401は、入力された入力信号VINに応じた電荷を、昇圧ステージIの電荷転送用キャパシタ406aに転送する。
また、実施形態1のチャージポンプ回路は、クロック信号生成回路400を備えている。クロック信号生成回路400は、クロック信号Φ1、Φ2を生成する。このようなクロック信号生成回路400としては、一般的なクロック信号を発生させる回路が用いられる。昇圧ステージIのキャパシタ群406のダイオード素子401に接続されていない端子には、クロック信号Φ1が入力される。昇圧ステージIIのキャパシタ群407のダイオード素子402に接続されていない端子には、クロック信号Φ2が入力される。
クロック信号Φ1とクロック信号Φ2とは、互いに位相が反転する、逆相関係の信号である。昇圧ステージIVの出力は、ダイオード素子405を介して出力端子から出力信号VOUTとして外部に出力される。なお、入力端子VINにはクロックΦ2を入力することもできる。
(2)キャパシタ群及びMOSトランジスタ
図2は、図1に示した昇圧ステージを説明するための図であって、各キャパシタ群及びダイオード素子の断面図である。キャパシタ群406〜409は、P型半導体基板301上に形成された独立したN−ウェル(図中N−Wellと表記)302、N−ウェル302上に形成された第1ポリSi層303、第1ポリSi層303上に形成された第2ポリSi層304、第2ポリSi層304上に形成されたメタル導電層(以下、単にメタル層と記す)305を備えている。第1ポリSi層303は電荷転送用キャパシタ(例えば電荷転送用キャパシタ406a)の下部電極、第2ポリSi層304は電荷転送用キャパシタの上部電極となる。
第2ポリSi層304は前々段の昇圧ステージに接続される。第1ポリSi層303は、次々段の昇圧ステージへ接続される。また、N−ウェル302と電荷転送用キャパシタ406aの上層に配置されたメタル層305は、クロック信号Φ1またはクロック信号Φ2を供給する信号線のいずれか一方に接続される。
図2に示した構成において、第1ポリSi層303と第2ポリSi層304とによって構成されるキャパシタが電荷転送用キャパシタ406a、407a、408a、409aとなる。また、N−ウェル302と第1ポリSi層303との間に生じる容量が、寄生容量406b、407b、408b、409bとなる。第2ポリSi層304とメタル層305との間に生じる容量が、寄生容量406c、407c、408c、409cとなる。
なお、実施形態1では、電荷転送用キャパシタ406a、407a、408a、409aの容量をC、寄生容量406b、407b、408b、409bの容量をCs1、寄生容量406c、407c、408c、409cの容量をCs2とする。
キャパシタ群406において、寄生容量406b、406cの電荷転送用キャパシタ406aに接続されていない端子には、クロック信号Φ1が供給されている。また、キャパシタ群408においても、同様に、寄生容量408b、408cの電荷転送用キャパシタ408aに接続されていない端子にクロック信号Φ1が供給されている。偶数段の昇圧ステージでは、寄生容量407b、407cの電荷転送用キャパシタ407aに接続されていない端子と、寄生容量409b、409cの電荷転送用キャパシタ407aに接続されていない端子とにクロック信号Φ2が供給されている。
昇圧ステージI、IIIのN−ウェル302とメタル層305にクロック信号Φ1が供給され、昇圧ステージII、IVのN−ウェル302とメタル層305にクロック信号Φ2が供給されることにより、昇圧ステージI〜IVの各々において、N−ウェル302、第1ポリSi層303によって形成される寄生容量406bと、第1ポリSi層303、第2ポリSi層304によって形成される電荷転送用キャパシタ406a、第2ポリSi層304、メタル層305によって形成される寄生容量406cを同一のクロック信号で駆動することができる。
図2に示したMOSトランジスタ311は、ダイオード接続され、図1に示したダイオード素子(例えばダイオード素子401)を構成している。MOSトランジスタ311は、N−ウェル302とは独立のN−ウェル310上に形成されていて、N−ウェル310とは導電型の極性が異なるP型MOSトランジスタとして構成される。
MOSトランジスタ311のカソードは、次段の昇圧ステージに含まれる電荷転送用キャパシタの第1ポリSi層303、第2ポリSi層304のいずれか一方に接続されている。また、MOSトランジスタ311のアノードから電荷が入力され、入力された電荷はカソードから他の次段の昇圧ステージに含まれる第1ポリSi層303、第2ポリSi層304のいずれか一方に出力される。このようにMOSトランジスタ311と電荷転送用キャパシタとを接続することにより、昇圧ステージは、複数段に接続されている。
(3)チャージポンプ回路の動作
実施形態1のチャージポンプ回路は、図5に示したCockcroft−Walton型チャージポンプ回路と同様に、クロック信号Φ1がLow、クロック信号Φ2がHighのとき、入力信号VINにより、ノードN41を通じて電荷の移動が起こり得る電荷転送用キャパシタ(以降、ノードN41に付随すると記す)406a、寄生容量406c、408bに、ダイオード素子401を介して電荷が注入される。また、ノードN42に付随する電荷転送用キャパシタ407a、寄生容量407c、409bから、ノードN43に付随する電荷転送用キャパシタ408a、寄生容量408cに、ダイオード素子403を介して電荷が分配される。
一方、クロック信号Φ1がhigh、クロック信号Φ2がLowのとき、ノードN41に付随する電荷転送用キャパシタ406a、寄生容量406c、408bから、ノードN42に付随する電荷転送用キャパシタ407a、寄生容量407c、409bに、ダイオード素子402を介して電荷が分配される。また、ノードN43に付随する電荷転送用キャパシタ408a、寄生容量408cから、ノードN44に付随する電荷転送用キャパシタ409a、寄生容量409cへ、ダイオード素子404を介して電荷が分配される。
以上のように、逆位相のクロック信号Φ1、Φ2にしたがってチャージポンプ回路を動作させることにより、キャパシタ群406、407、408、409の間で順次電荷が転送され、入力端子VINにかかる電圧が昇圧される。昇圧された電圧は、VOUTとして外部に出力される。
前記したように、実施形態1では、寄生容量406b、406c、寄生容量408b、408cの一方の端子にはクロック信号Φ1が供給されている。また、寄生容量407b、407c、寄生容量409b、409cの一方の端子にはクロック信号Φ2が供給されている。このため、各寄生容量の電荷は、同じノードに付随する電荷転送用キャパシタの電荷と同じタイミングで充放電されることになる。したがって、各昇圧ステージにおいて、前段の昇圧ステージの電荷転送用キャパシタに蓄えられた電荷をロスすることなく自昇圧ステージに転送することができる。この結果、実施形態1は、効率よく所望の高電圧を生成することができる。
以上説明した実施形態1は、一般的なCockcroft−Walton型チャージポンプ回路を利用してチャージポンプ回路を構成したものである。そして、Cockcroft−Walton型チャージポンプ回路が、昇圧段数によらず各昇圧ステージの電荷転送用キャパシタの電極間にかかる電位差がクロック振幅で決まる一定値である点に着目し、昇圧ステージ数が多くなるほど寄生容量による電荷ロスが大きくなるというCockcroft−Walton型チャージポンプ回路の欠点を解決したものである。
このような実施形態1によれば、高電圧を生成するため、さらに昇圧ステージの段数を増やしたとしても、後段の昇圧ステージにおいて電荷転送用キャパシタにかかる電圧が前段に比べて高まることがない。したがって、後段の昇圧ステージにおいても特に高耐圧のキャパシタを使用する必要がなく、特別な高耐圧素子をもたない標準プロセスを用いて、従来回路で問題となった寄生容量による昇圧電位の低下を抑圧することができる。
さらに、実施形態1では、電荷転送用キャパシタの電極層に、2層のポリSi層を用いている。しかし、実施形態1は、このような構成に限定されるものでなく、2層の電極層の一方をポリSi層、他方を金属層、あるいは2層の電極層の両方を金属層にしてもよい。このようにした場合でも、寄生容量に電荷転送用キャパシタと同様のクロック信号を与えて充放電させることにより、以上述べた実施形態1と同様の効果を得ることができる。
なお、実施形態1は、上記したように、昇圧ステージを4段設ける構成に限定されるものでなく、任意の段数の昇圧ステージを設けることができる。
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2のチャージポンプ回路を説明する。
(1)チャージポンプ回路の構成
図3は、実施形態2のチャージポンプ回路の全体を説明するための図である。図3に示したチャージポンプ回路は、Dickson型チャージポンプ回路に本発明を適用した実施形態である。
図示したチャージポンプ回路は、4段の昇圧ステージI、II、III、IVによって構成されている。昇圧ステージIは、ダイオード素子601と、ダイオード素子601に一端が接続された電荷転送用キャパシタ606、寄生容量610を含んでいる。また、昇圧ステージIIは、ダイオード素子602、ダイオード素子602に一端が接続された電荷転送用キャパシタ607、寄生容量611を含み、昇圧ステージIIIは、ダイオード素子603、ダイオード素子603に一端が接続された電荷転送用キャパシタ608、寄生容量612を含む。さらに、昇圧ステージIVは、ダイオード素子604、ダイオード素子604に一端が接続された電荷転送用キャパシタ609、寄生容量613を含んでいる。
昇圧ステージIのダイオード素子601には、入力信号VINが入力される。ダイオード素子601、602、603、604は直列に接続されていて、ダイオード素子604は、さらに出力端子に接続されたダイオード素子605と直列に接続されている。ダイオード素子605からは、出力信号VOUTが外部に出力される。電荷転送用キャパシタ606、607、608、609の容量をC、寄生容量610、611、612、613の容量をCs3とする。
各昇圧ステージにおいて、電荷転送用キャパシタは、ダイオード素子のカソードに接続されている。電荷転送用キャパシタとダイオード素子との接続ノードを、各々N61、N62、N63、N64と記す。
また、実施形態2のチャージポンプ回路は、クロック信号生成回路600を備えている。クロック信号生成回路600は、互いに逆位相関係にあるクロック信号Φ1、クロック信号Φ2を生成する。昇圧ステージIの電荷転送用キャパシタ606、寄生容量610の一方の端子には、クロック信号Φ1が供給されている。昇圧ステージIIIの電荷転送用キャパシタ608、寄生容量612の一方の端子にも、クロック信号Φ1が供給されている。また、昇圧ステージIIの電荷転送用キャパシタ607、寄生容量611の一方の端子には、クロック信号Φ2が供給されている。昇圧ステージIVの電荷転送用キャパシタ609、寄生容量613の一方の端子にも、クロック信号Φ2が供給されている。
(2)電荷転送用キャパシタ及び寄生容量
図4は、図3に示した各昇圧ステージの、電荷転送用キャパシタ及び寄生容量を説明するための図であって、電荷転送用キャパシタ及び寄生容量の断面図である。実施形態2の電荷転送用キャパシタ及び寄生容量は、電荷転送用キャパシタの下部電極となる第2メタル層502、電荷転送用キャパシタの上部電極となる第3メタル層503、第2メタル層の下層に形成された第1メタル層501を備えている。
第3メタル層503には、クロック信号Φ1、またはクロック信号Φ2が供給されている。電荷転送用キャパシタでは、第2メタル層502が、ダイオード素子のカソード端子に接続される。また、第1メタル層501には、第3メタル層に接続された信号線から供給されるクロック信号Φ1、クロック信号Φ2のいずれか一方と同じクロック信号が供給される。
(3)チャージポンプ回路の動作
次に、図3に示したチャージポンプ回路の動作を説明する。クロック信号Φ1がLow、クロック信号Φ2がHighのとき、入力信号VINによってノードN61に付随する電荷転送用キャパシタ606、寄生容量610に、ダイオード素子601を介して電荷が注入される。また、ノードN62に付随する電荷転送用キャパシタ607、寄生容量611から、ノードN63に付随する荷転送用キャパシタ608、寄生容量612に、ダイオード素子603を介して電荷が分配される。
一方、クロック信号Φ1がHigh、クロック信号Φ2がLowのとき、ノードN61に付随する電荷転送用キャパシタ606、寄生容量610から、ノードN62に付随する電荷転送用キャパシタ607、寄生容量611に、ダイオード素子602を介して電荷が分配される。また、ノードN63に付随する電荷転送用キャパシタ608、寄生容量612から、ノードN64に付随する電荷転送用キャパシタ609、寄生容量613に、ダイオード素子604を介して電荷が分配される。
以上のように、互いに逆相関係にあるクロック信号Φ1、Φ2にしたがってチャージポンプ回路を動作させることにより、各昇圧ステージの電荷転送用キャパシタ及び寄生容量の電荷が、順次次段の昇圧ステージに転送される。電荷の転送により、入力端子VINにかかる電圧とクロックΦ1とΦ2の振幅電圧によって決定される電位まで各昇圧ステージの電荷転送用キャパシタC及び寄生容量Cs3に電荷が蓄積されることで昇圧電位が得られ、昇圧された電圧はVOUTとして外部に出力される。なお、入力端子VINにはクロックΦ2を入力することもできる。
以上説明した実施形態2のチャージポンプ回路は、各昇圧ステージの電荷転送用キャパシタに付随する寄生容量を電荷転送用キャパシタの一部として取り込んでいる。このため、図6に示した従来のDickson型チャージポンプ回路と比較すると、電荷転送用キャパシタに付随する寄生容量による電荷転送用キャパシタの電荷ロスをなくすことができる点で有利である。
すなわち、実施形態2の電荷転送用キャパシタは、図4に示したように、電荷を保持する電極である第2メタル層502の上下を、第1メタル層501、第3メタル層503によって挟み込むよう構成される。
このような構成により、実施形態2では、第2メタル層502と第1メタル層501との間に生じる寄生容量Cs3を、電荷転送用キャパシタの容量Cの一部とみなすことができる。このため、実施形態2は、電荷転送用キャパシタに蓄積された電荷の寄生容量によるロスをなくすことができる。このため、実施形態2では、寄生容量の単位面積当たりの容量値が小さい場合にも、寄生容量による電荷ロスの増大を抑えることができる。
なお、実施形態2は、上記した構成に限定されるものではない。例えば、実施形態2では、図4に示したように、電荷転送用キャパシタの電極に、第1メタル層501、第2メタル層502を用いている。しかし、実施形態2の電荷転送用キャパシタの電極の一方、あるいは両方に、メタル以外の部材の導電層(例えばポリSi層)を用いることも可能である。このような場合においても、実施形態2は、上記した効果と同様の効果を得ることができる。
以上説明した本発明は、複数段に昇圧ステージを接続して構成され、各昇圧ステージにおいて寄生容量が生じ得るチャージポンプ回路であれば、どのようなチャージポンプ回路に適用しても電荷ロスの少ないチャージポンプ回路を提供することができる。特に、Cockcroft−Walton型チャージポンプ回路に適用すれば、昇圧ステージの段数に関わらず高耐圧のキャパシタを用いる必要がないチャージポンプ回路を適用することができる。
400,600 クロック信号生成回路
401,402,403,404,405,601,602,603,604,605 ダイオード素子
301 P型半導体基板
302,310 N−ウェル
303 第1ポリSi層
304 第2ポリSi層
305,501,502,503 メタル層
406,407,408,409 キャパシタ群
406a,407a,408a,409a,606,607,608,609 電荷転送用キャパシタ
406b,406c,407b,407c,408b,408c,409b,409c,610,611,612,613 寄生容量
311 MOSトランジスタ

Claims (4)

  1. 昇圧ステージを複数段に接続して構成されるチャージポンプ回路であって、
    前記昇圧ステージの各々は、
    第1電極及び該第1電極上に形成される第2電極によって構成されるキャパシタと、
    入力信号、または前段の前記キャパシタに蓄積された電荷を自昇圧ステージの前記キャパシタに転送するダイオード素子と、
    前記キャパシタの充電、放電のタイミングを制御するクロック信号を、前記キャパシタに供給するクロック信号供給手段と、
    を含み、
    前記キャパシタの前記第1電極が下部導電層と対向して配置され、前記第2電極が上部導電層と対向して配置され、
    前記クロック信号供給手段は、前記キャパシタと共に、前記下部導電層及び上部導電層にも前記キャパシタに供給された前記クロック信号を供給するようになっており、
    前記クロック信号供給手段は、
    複数段に接続された前記昇圧ステージのうち、第1の昇圧ステージの前記キャパシタと前記下部導電層及び上部導電層とに第1のクロック信号を供給し、前記第1の昇圧ステージに接続された第2の昇圧ステージの前記キャパシタと前記下部導電層及び上部導電層とに、前記第1のクロック信号と位相が180度反転した第2のクロック信号を供給し、
    前記第1の昇圧ステージの前記キャパシタが放電されるタイミングで、前記第2の昇圧ステージの前記キャパシタを充電させ、
    前記キャパシタは、前記第1電極下部に形成される前記下部導電層上に形成され、
    前記ダイオード素子のカソードが自昇圧ステージに含まれる前記キャパシタの前記第1電極、前記第2電極のいずれか一方に接続され、
    前記ダイオード素子のアノードから電荷を入力し、入力された電荷を前記カソードから自昇圧ステージに含まれる前記第1電極、前記第2電極のいずれか一方に出力し、
    前記昇圧ステージは、
    各々の前記昇圧ステージのカソードが次段の前記昇圧ステージのダイオード素子のアノードに接続されることによって複数段に接続されてなり、
    複数段に接続された前記昇圧ステージにおいて、
    前記第1クロック信号が1段目の前記昇圧ステージのキャパシタに供給され、
    前記第2クロック信号が2段目の前記昇圧ステージのキャパシタに供給され、
    3段目以降の前記昇圧ステージのキャパシタが、前々段の前記昇圧ステージの出力に接続され、
    奇数段目の前記昇圧ステージの前記下部導電層に前記第1クロック信号が供給され、偶数段目の前記昇圧ステージの前記下部導電層に前記第2クロック信号が供給されることにより、前記昇圧ステージの各々において、前記下部導電層と前記第1電極によって形成される寄生キャパシタと、前記第1電極、前記第2電極によって形成される前記キャパシタとを同一のクロック信号で駆動し、
    複数段に接続された前記昇圧ステージのうち、奇数段目の前記昇圧ステージにおいて、前記第2電極よりも上方に形成された前記上部導電層に前記第1クロック信号が供給され、偶数段目の前記昇圧ステージにおいて、前記第2電極よりも上方に形成された前記上部導電層に前記第2クロック信号が供給されることにより、前記昇圧ステージの各々において、前記第1電極、前記第2電極によって形成される前記キャパシタと、前記第2電極と前記第2電極よりも上方に形成された前記上部導電層によって形成される寄生キャパシタとを同一のクロック信号で駆動することを特徴とするチャージポンプ回路。
  2. 前記キャパシタの前記第1電極、前記第2電極は、ポリシリコンまたは金属の少なくとも一方を含む導電層であることを特徴とする請求項1に記載のチャージポンプ回路。
  3. 前記下部導電層が、前記第1電極下の基板に形成された第1ウェル層であり前記上部導電層が、前記第2電極よりも上方に形成されたポリシリコンまたは金属の少なくとも一方を含む導電層であることを特徴とする請求項1または2に記載のチャージポンプ回路。
  4. 前記ダイオード素子は、
    前記第1ウェルと独立に形成された第2ウェル上に形成され、かつ当該第2ウェルと導電型の極性が異なるMOSトランジスタ素子を含み、
    前記MOSトランジスタは、前記MOSトランジスタのドレイン端子とゲート端子及び前記第2ウェルとが接続されてダイオード素子として働くことを特徴とする請求項3に記載のチャージポンプ回路。
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