JP5185326B2 - 電線用被覆材料及び該被覆材料を用いた電線 - Google Patents

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Description

本発明は、電線におけるシース層、絶縁層等に用いられる電線用被覆材料に関し、詳しくは、外傷白化及び曲げ白化が極めて起こりにくく、しかも、優れた耐寒性、及び耐摩耗性を有する電線被覆材料及び該被覆材料を用いてなる電線に関する。
従来、電線・ケーブルにおけるシース層、絶縁層等に用いられる被覆材料において、難燃性が要求される場合、当該被覆材料にはポリ塩化ビニル(以下、PVCと称す)が使用されてきた。しかし、電線の廃棄焼却時にPVCがダイオキンや塩化水素ガスなどの有毒ガスの発生原因となる疑いから、PVCの使用を制限し、環境負荷が少ないポリオレフィン系樹脂に金属水酸化物からなる難燃剤をブレンドしてなる難燃性ポリオレフインが用いられるようになってきている。
上記金属水酸化物からなる難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が一般的である。しかし、ポリオレフィン系樹脂に金属水酸化物からなる難燃剤をブレンドしてなる被覆材料は、優れた難燃性を有するものの、特にシース層に用いた場合に、他の物体との擦れや引っ掻き傷、電線同士の擦れ(例えば、複数本の電線が撚り合わさった組物電線での電線間の位置ずれによる電線同士の擦れ)等による白化(以下、外傷白化とも称す)や屈曲した時の屈曲部での白化(以下、曲げ白化とも称す)を生じるという問題点を有している。
外傷白化は、電線・ケーブル製造時のガイドロールとの接触や、電線・ケープルの布設作業時等での他の物体との接触によって起こるが、シース層の表面のみで生じるので、電線の物性に大きく影響はしないが、電線の外観(見栄え)が損なわれるため、商品価値が低下してしまう。一方、曲げ白化は電線・ケーブルの布設作業等において電線を屈曲させた時に起こり、金属酸化物とベースレジンの界面剥離によるミクロクラックが原因と考えられるため、ミクロクラックがシース層の最底部まで侵行することによる、シース層の物性低下が懸念される。
特許文献1には、上記シース層の白化を、アミノシラン系カップリング剤で表面処理した水酸化マグネシウムを用いることにより防止する提案がなされている。しかしながら、かかるアミノシラン系カップリング剤で表面処理した水酸化マグネシウムを用いても、シース層が強く擦られた場合に白化が起こり、また、シース層のベースレジン(ポリオレフィン系樹脂)が比較的柔らかい場合には白化(外傷白化)が起こる。
特許第2825500号公報
本発明は、上記事情に鑑み、外傷白化及び曲げ白化が極めて起こりにくい電線用被覆材料を提供することを第1の目的としている。また、外傷白化及び曲げ白化が極めて起こりにくく、しかも、優れた耐寒性及び耐摩耗性を有する電線用被覆材料を提供することを第2の目的としている。また、上記電線被覆材料からなるシース層及び/または絶縁層を有する電線を提供することを第3の目的としている。
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、ポリオレフイン系樹脂からなるベース樹脂に、水酸化マグネシウムとともに、部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体をブレンドすると、白化が高いレベルで抑制され、しかも、耐寒性及び耐摩耗性等が向上した電線用被覆材料が得られることを知見し、該知見に基づき、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の特徴を有している。
(1)以下のA成分、B成分およびC成分を含み、配合重量比が、A成分:B成分=99:1〜50:50であり、(A成分とB成分とD成分の合計である被覆材料中のポリマー成分):C成分=100:(50〜150)である電線用被覆材料。
A成分:ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、およびエチレン−メチルアクリレート共重合体から選ばれる少なくとも一種
B成分:ケン化度が5%以上40%以下である部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体
C成分:平均粒径が0.1〜20μmである水酸化マグネシウム
D成分:ポリイソブチレン
(2)以下のA成分、B成分およびC成分を含み、配合重量比が、A成分:B成分=99:1〜50:50であり、(A成分とB成分とD成分の合計である被覆材料中のポリマー成分):C成分=100:(50〜150)である電線用被覆材料。
A成分:密度0.800g/cm以上0.905g/cm以下の低密度ポリエチレン
B成分:ケン化度が5%以上100%未満である部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体、またはケン化度が100%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物
C成分:平均粒径が0.1〜20μmである水酸化マグネシウム
D成分:ポリイソブチレン
(3)C成分が、アミノシラン系カップリング剤、アミノチタネート系カップリング剤、および脂肪酸の少なくとも1種により表面処理されてなる、平均粒径が0.1〜20μmの水酸化マグネシウムである上記(1)又は(2)に記載の電線用被覆材料。
(4)C成分が、水酸化マグネシウム100重量部当たり0.002〜5.0重量部のカップリング剤を使用して表面処理されてなる、平均粒径が0.1〜20μmの水酸化マグネシウムである上記(1)又は(2)に記載の電線用被覆材料。
(5)配合重量比が、(A成分+B成分):D成分=99.5:0.5〜90:10である上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の電線用被覆材料。
(6)上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の電線用被覆材料からなるシース層および/または絶縁層を有する電線。
本発明における「電線用被覆材料」とは、シース材料および/または絶縁材料を含めた電線を披覆するための材料を意味する。
本発明では、ポリオレフィン系樹脂に対して水酸化マグネシウムと共に、部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体を配合することにより、材料中での水酸化マグネシウムと樹脂間の接着性が向上し、外傷白化や曲げ白化が起こらず、しかも、優れた耐寒性及び耐摩耗性を有する電線・ケーブル用の被覆材料を得ることができる。
本発明の電線用被覆材料は、下記A成分、B成分およびC成分を必須成分としている。
A成分:ポリオレフィン樹脂
B成分:部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体
C成分:水酸化マグネシウム
本発明において、A成分のポリオレフィン系樹脂は、主に電線用被覆材料に要求される基本物性(絶縁性、誘電率等の電気的性質、柔軟性、伸長性、引張強度等の機械的性質、耐薬品性等の化学的性質、加工性等)を担うベース成分であり、該ポリオレフィン系樹脂としては、通常、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂が使用される。該ポリエチレン系樹脂としては、エチレンの単独重合体、エチレンと他のビニル化合物との共重合体、またはこれらの混合物などが使用され、エチレンと他のビニル化合物との共重合体としては、エチレンと他のα−オレフインとの共重合体、エチレンと酢酸ビニル若しくはエチルアクリレート、メチルメタクリレート、メチルアクリレートとの共重合体などが好ましく、エチレンと他のα−オレフインとの共重合体におけるα−オレフインとしては、例えば、プロピレン、ブテンー1、ペンテンー1,4−メチル−1一ペンテン、へキセン−1、オクテン−1などが挙げられる。ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンと他のビニル化合物との共重合体、またはこれらの混合物などが使用され、プロピレンと他のビニル化合物との共重合体としては、プロピレンと他のα−オレフインとの共重合体が好ましく、当該α−オレフインとしては、例えば、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチル−1−ペンテン、へキセン−1、オクテン−1などが挙げられる。A成分のポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、およびエチレン−メチルアクリレート共重合体から選ばれる少なくとも一種としてもよい。これらのうち、特に好ましいものは、機械的特性と熱的性質の点から、ポリエチレン(PE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)である。また、ポリエチレンは水酸化マグネシウムの受容性の点から、低密度ポリエチレン(LDPE)が好ましく、特に好ましくは、密度が0.800〜0.930g/cmの範囲にあるものである。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニルの含有量が5〜45重量%のものが好ましく、エチレン−エチルアクリレート集重合体はエチルアクリレートの含有量が5〜45重量%のものが好ましく、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)はエチルアクリレートの含有量が5〜45重量%のものが好ましい。なお、上記密度はJIS K 6922に規定の測定方法による。
B成分の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分ケン化物であり、分子鎖中にアセトキシ基、水酸基などを含むポリオレフィン系の多元ポリマーである。B成分は、エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化して作成されるが、ケン化度は、5〜100%程度で良く、耐摩耗性の点から、20〜100%、より好ましくは40〜100%である。ケン化度が5%よりも小さいと耐外傷白化性が悪くなる傾向がある。なお、部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量は、5重量%〜50重量%程度であり、好ましくは20〜30重量%である。 部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体として特に好ましいものは、部分ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量が、10〜40重量%で、かつケン化度が、40〜100%、より好ましくは部分ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量が、20〜30重量%で、かつケン化度が、40〜100%のものである。
当該部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体の配合により、被覆材料の白化防止効果が得られるだけでなく、材料の耐摩耗性、耐寒性が大きく向上する。これは、水酸化マグネシウムとポリオレフィン系樹脂間に強い接着力が得られることによるものである。
C成分の水酸化マグネシウムは、難燃剤として用いるが、カップリング剤や脂肪酸で表面処理された水酸化マグネシウムを配合したものがより水酸化マグネシウムと樹脂間に強い接着力が得られ、その結果機械的特性が向上する傾向にある。前記B成分の部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体を配合しない場合は、十分な白化防止効果が得られない。
カップリング剤としては、アミノシラン系カップリング剤、アミノチタネート系カップリング剤などが好ましく、また、水酸化マグネシウムの平均粒径は通常0.1〜20μm、好ましくは0.5〜5μmである。
アミノシラン系カプリング剤としては、γ一アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、アミノベンゼントリエトキシシラン、N−4,4’−メチレンビスベンゼンアミノ−シクロへキサノールエチルトリメトキシシラン、N−4,4’−メチレンビスベンゼンアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−アミノベンゼンメチレン−P−フェニレン−γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−4,4’−オキシビスベンゼンアミノ−ーシクロへキサノールエチルトリメトキシシラン、N−4,4’−オキシビスベンゼンアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−アミノベンゼンオキシ−P−フェニレン−γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−4,4’−スルホニルベンゼンアミノ−シクロへキサノールエチルトリメトキシシラン、N−4,4’一スルホニルベンゼンアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−アミノベンゼンスルホニル−P−フェニレン−γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−P−フエニレンジアミノ−シクロへキサノールエチルトリメトキシシラン、N−P−フエニレンジアミノ{2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−P−フエニレンジアミノ−γ一ウレイドプロピルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらは1種又は2種以上が使用される。
また、アミノチタネート系カップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリエトキシチタン、N−β−(アミノエチル)−γ一アミノプロピルトリメトキシチタン、γ一ウレイドプロピルトリエトキシチタン、γ−アニリノプロピルトリメトキシチタン、アミノベンゼントリエトキシチタン、N−4,4’−メチレンビスベンゼンアミノ−シクロへキサノールエチルトリメトキシチタン、N−4,4’−メチレンビスベンゼンアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルトリメトキシチタン、N−アミノベンゼンメチレン−P−フェニレン−γ−ウレイドプロピルトリメトキシチタン、N−4,4’−オキシビスベンゼンアミノーシクロヘキサノールエチルトリメトキシチタン、N−4,4’−オキシビスベンゼンアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルトリメトキシチタン、N−アミノベンゼンオキシ−P−フェニレン−ーγ−ウレイドプロピルトリメトキシチタン、N−4,4’−スルホニルベンゼンアミノ−ーシクロヘキサノールエチルトリメトキシチタン、N−4,4’−スルホニルベンゼンアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルトリメトキシチタン、N−アミノベンゼンスルホニル−P一フェニレン−γ−ウレイドプロピルトリメトキシチタン、N−P−フエニレンジアミノ−シクロへキサノールエチルトリメトキシチタン、N−P−フエニレンジアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピルトリメトキシチタン、N−P−フエニレンジアミノ−γ−ウレイドプロピルトリメトキシチタンなどが挙げられ、これらは1種又は2種以上が使用される。
水酸化マグネシウムのカップリング剤による表面処理方法は、特に制限されるものではなく、一般的な方法、例えばカップリング剤のアルコール溶液に水酸化マグネシウムを投入し処理した後乾燥するいわゆるスラリー法あるいはカップリング剤を水酸化マグネシウム粉末に直接スプレーする乾式法などが用いられる。カップリング剤の使用量は、カップリング剤の種類によっても相違するが、水酸化マグネシウム100重量部当たり通常0.002〜5.0重量部であり、好ましくは0.1〜3.0重量部である。また、被覆材料の伸長性、耐摩耗性等を向上させる目的で、脂肪酸(好ましくは炭素数が15〜20)で表面処理された水酸化マグネシウムを配合してもよい。当該脂肪酸の具体例としては、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが挙げられる。
後に詳しく説明するが、本発明では、水酸化マグネシウムと樹脂との接着界面にかかる衝撃力のより一層の緩和を目的に、A成分及びB成分とは別に、さらに、ポリイソブチレンを配合してもよい。かかるポリイソブチレンを配合しない態様、すなわち、被覆材料中のポリマー成分がA成分とB成分で構成される場合、これらA成分、B成分の配合重量比(A成分:B成分)は、通常、99:1〜50:50、好ましくは97:3〜65:35である。かかる範囲を外れてB成分の量が多くなると(A成分の量が少なくなると)、被覆材料の引張強度等の機械的強度および耐熱性が低下する傾向を示し、B成分の量が少なくなると(A成分の量が多くなると)、白化防止効果が低下する傾向を示し、また、被覆材料の耐摩耗性及び耐寒性が低下する傾向を示す。
この種の被覆材料において、難燃剤に水酸化マグネシウムを用いる場合、十分な難燃性を得るには、概ね、材料中のポリマー成分100重量部当たり水酸化マグネシウムを50〜200重量部程度配合するのが一般的であるが、本発明の被覆材料においても、C成分の水酸化マグネシウムは、被覆材料中のポリマー成分100重量部(すなわち、ポリイソブチレンを含有しない態様では、A成分とB成分の合計配合量100重量部、後述のポリイソブチレンを含有する態様では、A成分とB成分とポリイソブチレンの合計配合量100重量部)に対して、通常50〜150重量部、好ましくは70〜130重量部配合する。かかる範囲を外れてC成分の量が多くなると、被覆材料の柔軟性、伸長性、耐外傷白化性、耐曲げ白化性等が低下する傾向を示し、少なくなると、被覆材料の難燃性が低下する傾向を示す。
本発明では、水酸化マグネシウムと樹脂との接着界面にかかる衝撃力のより一層の緩和を目的に、ポリイソブチレンを適量配合してもよく、当該ポリイソブチレンの配合により、被覆材料の外傷白化、曲げ白化がより高いレベルで防止される。
当該ポリイソブチレンを配合する態様においては、被覆材料中におけるA成分とB成分の合計配合量に対するとポリイソブチレンの配合比(A成分+B成分):ポリイソブチレンは、通常、99.5:0.5〜90:10(重量比)で、好ましくは99:1〜95:5とする。かかる範囲を外れて、ポリイソブチレンの配合量が多くなると、被覆材料の引張強さ等の機械的強度および耐熱性が低下する傾向を示し、少なくなるとポリイソブチレンの配合による効果が得られ難くなる。
本発明の被覆材料には、この種の分野で使用されている公知のハロゲンを含まない補助資材を適量配合してもよい。かかる補助資材としては、安定剤、酸化防止剤、充填剤、着色剤、カーボンブラック、架橋剤、滑剤、加工性改良剤、帯電防止剤等である。
本発明の被覆材料は、上記A成分〜C成分を所望により上記各種補助配合材を加えて、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、二軸押出機等の公知の混練装置で混練し、該混練物を射出成形、押出成形、回転成形、プレス成形等によつて所望の形態に成形することで製造される。
本発明の電線用被覆材料は、外傷白化及び曲げ白化が高いレベルで防止され、しかも、優れた耐寒性及び耐摩耗性を有するもので、電線のシース層及び絶縁層の両方に使用できるが、白化防止の観点からは、シース層に特に好適である。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はかるる実施例によって限定されるものではない。
(実施例1〜7、比較例1〜2)表1の上欄に示す各成分をバンバリーミキサー(東洋精機製作所製)に一括投入し、20分間混練した後、プレス成形により160℃で10分間成形し、各実施例及び各比較例の試験シート及び試験片を作成し、それぞれについて以下の評価試験を行った。なお、各成分の配合量は重量部である。また、LDPE、EEA、および、部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体のMFR(メルトフローレート)はJIS K 6992による測定値である。LDPEおよびEEAのD硬度はデュロメータ法に基づく値である。ポリイソブチレンの固有粘度は溶媒としてジイソブチレンを用いた測定値である。
〔評価試験〕
・引張特性
厚さ1mmの試験シートについて、引張強さ(MPa)と伸び(%)をJISK7113に従って測定。
・耐寒性
厚さ2mmの試験シートについて、JIS C 3005に従って実施。試験温度は−50℃で、亀裂無し(○)、亀裂あり(△)、破断(×)の3段階で評価。
・耐摩耗性
厚さ1mmの試験シートについて、JIS K 6902に準拠して,摩耗試験1000回転後の重量減少量を測定。摩耗輪はテーバ社製H−18を使用し、荷重は4.9Nとした。
・耐曲げ白化性
厚さ1mm、幅20mm、長さ100mmの試験片を作製し、これを180度に2回折り曲げて目視により白化度を観察。白化せず(○)、部分的に白化(△)、全面的に白化(×)の3段階で評価。
・耐外傷白化性
耐磨耗試験実施後の試料の摩耗部の白化の度合いを、白化せず(○)、部分的に白化(△)、全面的に白化(×)の3段階で評価。
これらの試験結果が表1の下欄である。
Figure 0005185326
表1から、実施例1〜7は曲げ白化、外傷白化が全く起こらず、しかも、優れた耐寒性及び耐摩耗性が得られることがわかる。

Claims (6)

  1. 以下のA成分、B成分およびC成分を含み、
    配合重量比が、A成分:B成分=99:1〜50:50であり、
    (A成分とB成分とD成分の合計である被覆材料中のポリマー成分):C成分=100:(50〜150)である電線用被覆材料。
    A成分:密度0.800g/cm3以上0.905g/cm3以下の低密度ポリエチレン
    B成分:ケン化度が5%以上100%未満である部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体、またはケン化度が100%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物
    C成分:アミノシラン系カップリング剤、およびアミノチタネート系カップリング剤の少なくとも1種により表面処理されてなる、平均粒径が0.1〜20μmである水酸化マグネシウム
    D成分:ポリイソブチレン(D成分は任意成分)
  2. (A成分とB成分とD成分の合計である被覆材料中のポリマー成分):C成分=100:(50〜130)である請求項1に記載の電線用被覆材料。
  3. 配合重量比が、(A成分+B成分):D成分=99.5:0.5〜90:10である請求項1または2に記載の電線用被覆材料。
  4. 以下のA成分、B成分およびC成分を含み、
    配合重量比が、
    A成分:B成分=99:1〜50:50であり、
    (A成分とB成分とD成分の合計である被覆材料中のポリマー成分):C成分=100:(50〜150)であり、
    (A成分+B成分):D成分=99.5:0.5〜90:10である電線用被覆材料。
    A成分:密度0.800g/cm 3 以上0.905g/cm 3 以下の低密度ポリエチレン
    B成分:ケン化度が5%以上100%未満である部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体、またはケン化度が100%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物
    C成分:平均粒径が0.1〜20μmである水酸化マグネシウム
    D成分:ポリイソブチレン
  5. C成分が、アミノシラン系カップリング剤、アミノチタネート系カップリング剤、および
    脂肪酸の少なくとも1種により表面処理されてなる、平均粒径が0.1〜20μmの水酸
    化マグネシウムである請求項4に記載の電線用被覆材料。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の電線用被覆材料からなるシース層および/または絶縁層を有する電線。
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