以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
図1は、本発明の映像表示装置の内部構成を示すブロック図である。画像表示装置は、図示しないアンテナを用いて放送波を受信し、映像信号に復調するチューナ21と、図示しない録画装置又はチューナ装置等の外部装置から映像信号を入力される入力部22とを備えている。映像信号は、同期信号、輝度信号及び色差信号を含んでなり、本発明の映像表示装置は、映像信号に基づいた映像を表示する。なお、画像表示装置は、色差信号ではなくR(赤)G(緑)B(青)色信号を含む映像信号を入力部22で入力される形態であってもよい。また画像表示装置は、映像信号としてデジタル信号を扱う形態であってもよく、アナログ信号を扱う形態であってもよい。
映像表示装置は、映像信号に含まれる輝度信号から輝度の度数分布を取得する処理を行う度数分布取得部12、マトリクス演算により映像信号からRGB各色の色信号を生成するマトリクス回路13,18、及び彩度レベル取得部15を備えている。チューナ21又は入力部22からの映像信号は、度数分布取得部12、マトリクス回路13,18及び彩度レベル取得部15へ入力される。またマトリクス回路13には、RGB各色の色信号から各色の色強度の度数分布を取得する度数分布取得部14が接続されている。
また映像表示装置は、映像信号を増幅するためのゲインを計算するゲイン計算部11と、映像信号を増幅する増幅回路(増幅手段)16とを備えている。ゲイン計算部11は、度数分布取得部12、度数分布取得部14及び彩度レベル取得部15に接続されており、各部から入力されたデータに基づいてゲインを計算する。増幅回路16は、ゲイン計算部11及びマトリクス回路18に接続されており、ゲイン計算部11が計算したゲインに従って、マトリクス回路18からのRGB各色の色信号を増幅する。また増幅回路16には、増幅されたRGB各色の色信号のガンマ補正を行うガンマ補正部17が接続されている。
また映像表示装置は、液晶パネル3と、光源4と、液晶パネル3を駆動させる駆動回路31とを備えている。光源4は、冷陰極管又は発光ダイオード等でなり、液晶パネル3のバックライトである。駆動回路31は、ガンマ補正部17に接続されており、ガンマ補正部17からのRGB各色の色信号に基づいて液晶パネル3を駆動させる。光源4が点灯し、RGB各色の信号に基づいて液晶パネル3が駆動されることにより、映像信号に基づいた映像が表示される。
光源4には、光源4を点灯させる点灯回路41が接続され、点灯回路41には光源4の出力制御回路42が接続されている。また出力制御回路42には、外部の明るさを測定する照度センサ43が接続されている。出力制御回路42は、照度センサ43が測定した外部の明るさに応じて点灯回路41を制御し、光源4の出力を制御する処理を行う。具体的には、出力制御回路42は、外部が暗い場合には光源4の出力を小さくし、外部がより明るい場合に光源4の出力をより大きくする処理を行う。
次に、本発明の像表示装置が実行する処理の詳細を説明する。度数分布取得部12は、映像信号に含まれる輝度信号から、映像信号に基づいた一フレーム分の映像に含まれる各画素での輝度の度数分布を取得する。一フレーム分の映像は、一画面分の映像に相当する。例えば、一フレーム分の映像が1000×2000の画素で構成され、各画素の輝度が16〜235の何れかの数値で表される場合、度数分布は、1000×2000の画素の中に輝度が16〜235の夫々の値になっている画素がいくつあるかを表す。
図2は、度数分布を図で表したヒストグラムの例を示す特性図である。図中の横軸は、輝度の値を示し、16〜235又は0〜255等の範囲の数値となる。図中の縦軸は、度数を示し、輝度が夫々の値になっている画素の個数に対応する。度数分布取得部12は、一フレーム分の映像全体から度数分布を取得してもよく、一フレーム分の映像の一部から度数分布を取得してもよい。例えば、度数分布取得部12は、一フレーム分の映像からランダムに、又は所定のルールで画素をサンプリングし、サンプリングした画素での輝度の度数分布を所得してもよい。また度数分布取得部12は、一フレーム分の映像から、黒枠の部分及び字幕が表示される部分等の所定の部分を除外した映像に対応する度数分布を取得してもよく、また映像の中央部分等、映像中の所定部分に対応する度数分布を取得してもよい。また度数分布取得部12は、一フレーム分の映像信号から直接に度数分布を取得してもよく、一フィールド分の映像信号から夫々に度数分布を取得し、二フィールド分の度数分布を加算することによって、一フレーム分の映像における輝度の度数分布を取得してもよい。映像信号によっては、取得した度数分布には、16〜235の輝度の設定範囲内に収まらない輝度の値、例えば255の値が含まれることがある。
度数分布取得部12は、次に、取得した度数分布から、各輝度に対応する累積相対度数を計算し、計算した累積相対度数が所定値となる輝度の値である輝度代表値(明るさ代表値)を取得する。相対度数は、度数の合計に対する各輝度の度数の比率であり、累積相対度数は、各輝度以下の輝度に対応する相対度数を累積した数値である。図3は、輝度代表値の例を示した特性図であり、図3(a)はヒストグラム中に輝度代表値を示し、図3(b)は累積相対度数分布図を示す。図3(b)の縦軸は累積相対度数を示し、全画素数に対して、輝度が夫々の値以下となっている画素数が占める割合を示す。累積相対度数分布図では、累積相対度数は輝度に応じて単調増加し、最終的に1となる。度数分布取得部12は、累積相対度数の値が所定値となる輝度の値を求め、求めた輝度の値を輝度代表値とする。ここで、度数分布取得部12は、最大値の1よりも若干小さい値である0.98等の値を所定値とする。図3(a)に示すように、輝度代表値は、その値以下でのヒストグラムの面積が、全体の98%等になるような輝度の値となる。なお、所定値としては、0.95又は0.99等、最大値の1よりも若干小さい値であればよく、0.9以上の値であることが望ましい。度数分布取得部12は、所定値を予め記憶しておき、記憶している所定値を用いて輝度代表値を取得する処理を行う。1よりも若干小さい値を所定値として輝度代表値を求めることにより、求めた輝度代表値は、映像に含まれる画素の輝度の最大値よりも小さい値となり、また、輝度が最大値に近い高輝度になる少量の画素を除いた大多数の画素の輝度以上の値となる。輝度が最大値に近い高輝度になる少量の画素は、ノイズ又は字幕等に対応する画素である可能性が高いので、輝度代表値は、映像信号に基づいた一フレーム分の映像における輝度の実質的な最大値となる。
なお、度数分布取得部12は、累積相対度数から輝度代表値を取得するのではなく、度数を累積した累積度数から輝度代表値を取得する処理を行ってもよい。この場合は、累積度数の最大値は、輝度の度数分布を取得するためにサンプリングした画素の総数となる。この場合でも、度数分布取得部12は、画素の総数の98%の値等、最大値よりも小さい所定値を記憶しておき、累積度数の値が所定値となる輝度の値を求め、求めた輝度の値を輝度代表値とする。
また度数分布取得部12は、累積度数から輝度代表値を取得するのではなく、輝度に応じた重みを度数に乗じた重み付き度数を計算し、重み付き度数の合計値に対する、ある輝度以下に対応する重み付き度数の積算値が占める割合から、輝度代表値を取得してもよい。例えば、度数分布取得部12は、輝度の値に従って単調増加する重み値を各輝度に対応する度数に乗じた重み付き度数を計算し、各輝度以下に対応する重み付き度数を積算した積算値を計算し、各輝度以下に対応する前記積算値を重み付き度数の合計値で除算し、除算した結果が1より小さい所定値となる輝度の値を取得することにより、輝度代表値を求める処理を行う。
更に度数分布取得部12は、映像信号が表す一フレーム分の映像における輝度の平均値を計算する。例えば、度数分布取得部12は、輝度の値に度数を乗じた値を全ての輝度の値に亘って積算し、積算した値を度数の合計値で除することにより、輝度の平均値を計算する。図4は、輝度の平均値の例を示す特性図であり、ヒストグラム中に輝度の平均値を示している。通常、輝度の平均値は、輝度代表値よりも小さい値となる。
なお、度数分布取得部12は、輝度の平均値を計算するのではなく、度数分布から、所定の基準値以上の輝度に対応する度数が度数の合計に対して占める割合である高輝度割合を計算する形態であってもよい。基準値としては、輝度の設定範囲が16〜235の場合に基準値=200とする等、高輝度を示す値ではあるものの、輝度の上限値よりは若干小さい値を採用する。高輝度割合は、ヒストグラムにおいて輝度が所定の基準値以上となる高輝度の領域の面積がヒストグラム全体の面積に対して占める割合である。図5は、高輝度の領域の例を示す特性図である。高輝度割合は、一フレーム分の映像に含まれる画素の内で高輝度の画素が占める割合に対応する。度数分布取得部12は、予め所定の基準値を記憶しており、基準値以上の輝度に対応する度数を積算し、積算した度数を度数の合計値で除することにより、高輝度割合を計算する。
度数分布取得部12は、以上の処理で取得した度数分布、輝度代表値、並びに輝度の平均値又は高輝度割合をゲイン計算部11へ入力する。
マトリクス回路13は、マトリクス演算により、映像信号に含まれる輝度信号及び色差信号からRGB各色の色信号を生成する処理を行う。例えば、輝度信号の強度をYとし、色差信号の強度をPb及びPrとし、色信号の強度を夫々RGBとすると、マトリクス回路13は、下記(1)式のマトリクス演算を行うことにより、RGBを計算する。
R=Y +1.402Pr
G=Y−0.344Pb−0.714Pr …(1)
B=Y+1.772Pb
マトリクス回路13は、上記の如きマトリクス演算を行うための所定のマトリクスを予め記憶しておき、輝度信号及び色差信号に対してマトリクス演算を実行することにより、RGB各色の色信号を計算する。なお、上記に示したマトリクス演算は一例であり、マトリクス回路13は、その他のマトリクス演算により色信号を生成する処理を行ってもよい。各色の色信号は、各色の明るさである色強度を示す。マトリクス回路13は、生成したRGB各色の色信号を、度数分布取得部14へ入力する。
度数分布取得部14は、マトリクス回路13から入力された色信号から、映像信号に基づいた各色の一フレーム分の映像に含まれる画素の色強度の度数分布を取得する。一フレーム分の映像に含まれる各画素についてRGBの各色信号が得られているので、度数分布取得部14は、度数分布取得部12が輝度の度数分布を取得した処理と同様の処理を実行することによって、RGB各色について、色強度の度数分布を取得する。
度数分布取得部14は、次に、各色について取得した度数分布から、各色での累積相対度数を計算し、計算した累積相対度数が所定値となる色強度の値である色強度代表値(明るさ代表値)を取得する。図6は、色強度代表値の例を示した特性図であり、RGB各色での色強度の度数分布を表すヒストグラム中に色強度代表値を示している。度数分布取得部14は、RGB各色について、累積相対度数の値が所定値となる色強度の値を求め、求めた色強度の値を輝度代表値とする。ここで、度数分布取得部14は、累積相対度数の最終的な値である1よりも若干小さい値である0.98等の値を所定値とする。図6に示すように、色強度代表値は、その値以下でのヒストグラムの面積が、全体の98%等になるような色強度の値となる。一般的に、RGB各色の度数分布は互いに異なり、色強度代表値の値も互いに異なる。図6には、Bの色強度代表値が他の色よりも大きくなっている例を示している。
なお、所定値としては、0.95又は0.99等、1よりも若干小さい値であればよく、0.9以上の値であることが望ましい。度数分布取得部14は、所定値を予め記憶しておき、記憶している所定値を用いて色強度代表値を取得する処理を行う。また度数分布取得部14が使用する所定値は、度数分布取得部12が輝度代表値を求めるために使用する所定値と異なっていてもよい。またRGB各色の色強度代表値を求めるために使用する所定値は、色によって異なっていてもよい。また度数分布取得部14は、累積相対度数から色強度代表値を取得するのではなく、度数を累積した累積度数から色強度代表値を取得する処理を行ってもよい。また度数分布取得部14は、累積度数から色強度代表値を取得するのではなく、各色の色強度に応じた重みを度数に乗じた重み付き度数を計算し、重み付き度数の合計値に対する、ある色強度以下に対応する重み付き度数の積算値が占める割合から、輝度代表値を取得してもよい。度数分布取得部14は、以上の処理で取得したRGB各色の色強度代表値をゲイン計算部11へ入力する。
彩度レベル取得部15は、映像信号から、映像信号に基づいた一フレーム分の映像に含まれる各画素での彩度を計算する。彩度は、色の鮮やかさを示し、値が大きくなるほど色が鮮やかとなり、値が小さくなるほど灰色に近くなる。RGBの各色強度の内、一色の色強度が他の二色に比べて突出して大きい場合、及び二色の色強度が残りの一色に比べて突出して大きい場合に、彩度の値が大きくなる。彩度レベル取得部15は、所定の演算式を予め記憶しており、映像信号に含まれる輝度信号及び色差信号を演算式に代入して計算することにより、各画素での彩度を計算する。なお、彩度レベル取得部15は、マトリクス回路13が生成したRGB各色の色信号を入力され、RGB各色の色強度から彩度を計算する構成であってもよい。
彩度レベル取得部15は、次に、映像信号に基づいた一フレーム分の映像に含まれる画素の内、計算した彩度が所定値以上となる画素の割合を示す彩度レベルを取得する。彩度レベル取得部15は、予め所定値を記憶しており、計算した彩度と所定値とを比較し、彩度が所定値以上となる画素をカウントし、全体の画素数に対するカウントした画素数の割合を計算することにより、彩度レベルを取得する。なお、彩度レベル取得部15は、一フレーム分の映像全体から彩度レベルを取得してもよく、一フレーム分の映像の一部から彩度レベルを取得してもよい。例えば、彩度レベル取得部15は、一フレーム分の映像から画素をサンプリングし、サンプリングした画素から彩度レベルを取得してもよい。また彩度レベル取得部15は、一フレーム分の映像から所定の部分を除外した映像に対応する彩度レベルを取得してもよく、また映像中の所定部分に対応する彩度レベルを取得してもよい。度数分布取得部14は、以上の処理で取得した彩度レベルをゲイン計算部11へ入力する。
図7は、ゲイン計算部11が実行する処理の手順を示すフローチャートである。ゲイン計算部11は、度数分布取得部12、度数分布取得部14及び彩度レベル取得部15からデータの入力を受け付ける(S1)。即ち、ゲイン計算部11は、度数分布取得部12から、度数分布、輝度代表値、並びに輝度の平均値又は高輝度割合を入力され、度数分布取得部14から、RGB各色の色強度代表値を入力され、彩度レベル取得部15から彩度レベルを入力される。ゲイン計算部11は、次に、入力された度数分布を記憶し(S2)、入力された輝度代表値に応じて、輝度代表値が小さいほど大きくなるゲインを計算する(S3)。
ステップS3では、例えば、輝度代表値を所定の目標値にまで増幅できるようにゲインを計算する。この場合、ゲイン計算部11は、ステップS3で計算するゲインをG1 として、下記の(2)式によりゲインG1 を計算する。
G1 =(目標値/輝度代表値) …(2)
目標値としては、輝度の上限値等を用いればよい。例えば、輝度の設定範囲が16〜235の場合に目標値=235、輝度の設定範囲が0〜255の場合に目標値=255等とすればよい。また白の飽和を感じさせないために、輝度代表値が大きい場合のゲインが大き過ぎないようにしてもよい。この場合は、ゲイン計算部11は、例えば、下記の(3)式によりゲインG1 を計算する。
G1 =(目標値/輝度代表値)3/2 /2+0.5 …(3)
(2)式及び(3)式によれば、輝度代表値が目標値以下の場合にゲインG1 は1以上となり、輝度代表値が目標値より大きい場合にゲインG1 は1未満となる。このように、ゲイン計算部11は、輝度代表値が大きすぎる場合にゲインを1未満の値に計算することもできる。(2)式及び(3)式は例であり、ゲイン計算部11は、輝度代表値が目標値以下の場合に1以上、輝度代表値が目標値より大きい場合に1未満であり、輝度代表値に対して単調減少する関数であれば、その他の関数を用いてもよい。ゲイン計算部11は、以上のような、輝度代表値に対して単調減少する関数の演算式を予め記憶しており、ステップS3では、入力された輝度代表値を演算式に代入して計算することにより、ゲインを計算する。また輝度代表値が小さい場合にゲインが大きくなり過ぎないように、ゲイン計算部11は、輝度代表値がある程度小さい場合にゲインを一定の値に定める処理を行ってもよい。
なお、ゲイン計算部11は、ステップS3で、演算式を用いるのではなく、変換テーブルを参照することによってゲインを取得する形態であってもよい。図8は、変換テーブルの例を示す概念図である。輝度代表値とゲインの値とが1対1に対応しており、ゲインの値は、1.0以上であり、輝度代表値に対して単調減少している。この形態の場合は、ゲイン計算部11は、図8に示す如き変換テーブルを予め記憶しておき、ステップS3では、入力された輝度代表値に対応するゲインを変換テーブルから抽出することにより、ゲインを取得する処理を行う。また図8に示す例ではゲインの最小値は1.0となっているが、これに限るものではなく、変換テーブルでは、輝度の設定範囲を超えるような輝度代表値の極端に大きい値に対して、1未満のゲインの値を対応させてもよい。
ゲイン計算部11は、次に、輝度に基づいたゲイン修正処理を行う(S4)。図9は、ステップS4における輝度に基づいたゲイン修正処理の手順の第1の例を示すフローチャートである。ゲイン計算部11は、入力された輝度の平均値が所定の閾値以上であるか否かを判定する(S401)。閾値としては、輝度の設定範囲が16〜235の場合に閾値=200とする等、高輝度を示す値ではあるものの、輝度の上限値よりは小さい値を採用する。ゲイン計算部11は、予め所定の閾値を記憶しておき、ステップS401で輝度の平均値と閾値とを比較する。
輝度の平均値が閾値以上である場合は(S401:YES)、ゲイン計算部11は、輝度の平均値に応じてゲインを小さく修正するための修正係数を計算する(S402)。ステップS402では、輝度の平均値が大きいほど修正係数が小さくなるように、ゲイン計算部11は、例えば、ステップS4での修正係数をC1 として、以下の(4)式により修正係数C1 を計算する。
C1 =(閾値/輝度の平均値) …(4)
(4)式は例であり、ゲイン計算部11は、輝度の平均値が閾値以上の場合に1.0以下となり、輝度の平均値に対して単調減少する関数であれば、その他の関数を用いてもよい。ゲイン計算部11は、以上のような、輝度の平均値が閾値以上の場合に1.0以下となり、輝度の平均値に対して単調減少する関数の演算式を予め記憶しており、ステップS402では、入力された輝度の平均値を演算式に代入して計算することにより、修正係数を計算する。
ゲイン計算部11は、次に、計算した修正係数をゲインに乗じることにより、ゲインを修正する(S403)。ステップS4で修正されたゲインをG2 とすると、ステップS403の処理により、G2 =C1 ×G1 となり、ゲインは小さく修正される。ステップS403が終了した場合、又はステップS401で輝度の平均値が閾値より小さい場合は(S401:NO)、ゲイン計算部11は、輝度に基づいたゲイン修正処理を終了し、処理をメインへ戻す。即ち、ステップS401で輝度の平均値が閾値より小さい場合は、G2 =G1 となる。
なお、ゲイン計算部11は、演算式ではなく、輝度の平均値と修正係数の値とを1対1対応させた変換テーブルを予め記憶しておき、ステップS402では、入力された輝度の平均値に対応する修正係数を変換テーブルから抽出することにより、修正係数を取得する処理を行う形態であってもよい。この形態の場合は、ゲイン計算部11は、ステップS401の処理を省略してもよい。
またゲイン計算部11が度数分布取得部12から輝度の平均値ではなく高輝度割合を入力される形態である場合は、ゲイン計算部11は、ステップS4として、高輝度割合を用いてゲインを修正する処理を行う。図10は、ステップS4における輝度に基づいたゲイン修正処理の手順の第2の例を示すフローチャートである。ゲイン計算部11は、入力された高輝度割合が所定の閾値以上であるか否かを判定する(S411)。閾値としては、0.5又は0.7等の値を採用する。ゲイン計算部11は、予め所定の閾値を記憶しておき、ステップS411で高輝度割合と閾値とを比較する。
高輝度割合が閾値以上である場合は(S411:YES)、ゲイン計算部11は、高輝度割合に応じてゲインを小さく修正するための修正係数を計算する(S412)。ステップS412では、高輝度割合が大きいほど修正係数が小さくなるように、ゲイン計算部11は、例えば以下の(5)式により修正係数C1 を計算する。
C1 =(閾値/高輝度割合) …(5)
また例えば、以下の(6)式を用いてもよい。
C1 =1−(高輝度割合) …(6)
(5)式及び(6)式は例であり、ゲイン計算部11は、高輝度割合が閾値以上の場合に1.0以下となり、高輝度割合に対して単調減少する関数であれば、その他の関数を用いてもよい。ゲイン計算部11は、以上のような、高輝度割合が閾値以上の場合に1.0以下となり、高輝度割合に対して単調減少する関数の演算式を予め記憶しており、ステップS412では、入力された高輝度割合を演算式に代入して計算することにより、修正係数を計算する。
ゲイン計算部11は、次に、計算した修正係数をゲインに乗じることにより、ゲインを修正する(S413)。ステップS413の処理により、G2 =C1 ×G1 となり、ゲインは小さく修正される。ステップS413が終了した場合、又はステップS411で高輝度割合が閾値より小さい場合は(S411:NO)、ゲイン計算部11は、輝度に基づいたゲイン修正処理を終了し、処理をメインへ戻す。即ち、ステップS411で高輝度割合が閾値より小さい場合は、G2 =G1 となる。
なお、ゲイン計算部11は、演算式ではなく、高輝度割合と修正係数の値とを1対1対応させた変換テーブルを予め記憶しておき、ステップS412では、入力された高輝度割合に対応する修正係数を変換テーブルから抽出することにより、修正係数を取得する処理を行う形態であってもよい。この形態の場合は、ゲイン計算部11は、ステップS411の処理を省略してもよい。
ゲイン計算部11は、ステップS4が終了した後、色信号に基づいたゲイン修正処理を行う(S5)。図11は、ステップS5における色信号に基づいたゲイン修正処理の手順の第1の例を示すフローチャートである。ゲイン計算部11は、入力されたRGB各色の色強度代表値の内、最大の色強度代表値が所定の閾値以上であるか否かを判定する(S501)。閾値としては、色強度の設定範囲が16〜235の場合に閾値=200とする等、高い色強度を示す値ではあるものの、色強度の上限値よりは小さい値を採用する。ゲイン計算部11は、予め所定の閾値を記憶しておき、ステップS501で最大の色強度代表値と閾値とを比較する。
最大の色強度代表値が閾値以上である場合は(S501:YES)、ゲイン計算部11は、輝度に基づいて計算したゲインを破棄し、最大の色強度代表値に応じて、色強度代表値が小さいほど大きくなる新たなゲインを計算する(S502)。
ステップS502では、例えば、最大の色強度代表値を所定の目標値にまで増幅できるようにゲインを計算する。この場合、ゲイン計算部11は、ステップS5で計算するゲインをG3 として、下記の(7)式によりゲインG3 を計算する。
G3 =(目標値/最大の色強度代表値) …(7)
目標値としては、色強度の上限値等を用いればよい。例えば、色強度の設定範囲が16〜235の場合に目標値=235、色強度の設定範囲が0〜255の場合に目標値=255等とすればよい。(7)式によれば、最大の色強度代表値が目標値以下の場合にゲインG3 は1以上となり、最大の色強度代表値が目標値より大きい場合にゲインG3 は1未満となる。このように、ゲイン計算部11は、最大の色強度代表値が大きすぎる場合にゲインを1未満の値に計算することもできる。なお、(7)式は一例であり、ゲイン計算部11は、最大の色強度代表値が目標値以下の場合に1以上、最大の色強度代表値が目標値より大きい場合に1未満であり、最大の色強度代表値に対して単調減少する関数であれば、その他の関数を用いてもよい。ゲイン計算部11は、以上のような、最大の色強度代表値に対して単調減少する関数の演算式を予め記憶しており、ステップS502では、入力された最大の色強度代表値を演算式に代入して計算することにより、ゲインを計算する。
なお、ゲイン計算部11は、ステップS502で、演算式を用いるのではなく、変換テーブルを参照することによってゲインを取得する形態であってもよい。この形態の場合は、ゲイン計算部11は、色強度代表値とゲインの値とを1対1対応させた変換テーブルを予め記憶しておき、ステップS502では、入力された最大の色強度代表値に対応するゲインを変換テーブルから抽出することにより、ゲインを取得する処理を行う。
ステップS502が終了した場合、又はステップS501で最大の色強度代表値が閾値より小さい場合は(S501:NO)、ゲイン計算部11は、色信号に基づいたゲイン修正処理を終了し、処理をメインへ戻す。即ち、ステップS501で最大の色強度代表値が閾値より小さい場合は、G3 =G2 となる。
なお、ゲイン計算部11は、輝度に基づいて計算したゲインを破棄して最大の色強度代表値に応じた新たなゲインを計算するのではなく、輝度に基づいて計算したゲインを最大の色強度代表値に応じて修正する処理を行う形態であってもよい。この形態の場合は、ゲイン計算部11は、色強度代表値を用いてゲインを修正する処理を行う。
図12は、ステップS5における色信号に基づいたゲイン修正処理の手順の第2の例を示すフローチャートである。ゲイン計算部11は、入力されたRGB各色の色強度代表値の内、最大の色強度代表値が所定の閾値以上であるか否かを判定する(S511)。ゲイン計算部11は、予め所定の閾値を記憶しておき、ステップS511で最大の色強度代表値と閾値とを比較する。
最大の色強度代表値が閾値以上である場合は(S511:YES)、ゲイン計算部11は、最大の色強度代表値に応じてゲインを小さく修正するための修正係数を計算する(S512)。ステップS512では、最大の色強度代表値が大きいほど修正係数が小さくなるように、ゲイン計算部11は、例えば、ステップS5での修正係数をC2 として、以下の(8)式により修正係数C2 を計算する。
C2 =(閾値/最大の色強度代表値) …(8)
また例えば、以下の(9)式を用いてもよい。
C2 =2−(最大の色強度代表値/閾値) …(9)
(8)式及び(9)式は例であり、ゲイン計算部11は、最大の色強度代表値が閾値以上の場合に1.0以下となり、色強度代表値に対して単調減少する関数であれば、その他の関数を用いてもよい。ゲイン計算部11は、以上のような、最大の色強度代表値が閾値以上の場合に1.0以下となり、色強度代表値に対して単調減少する関数の演算式を予め記憶しており、ステップS512では、入力された最大の色強度代表値を演算式に代入して計算することにより、修正係数を計算する。
ゲイン計算部11は、次に、計算した修正係数をゲインに乗じることにより、ゲインを修正する(S513)。ステップS5で修正されたゲインをG3 として、ステップS513の処理により、G3 =C2 ×G2 となり、ゲインは小さく修正される。ステップS513が終了した場合、又はステップS511で最大の色強度代表値が閾値より小さい場合は(S511:NO)、ゲイン計算部11は、色信号に基づいたゲイン修正処理を終了し、処理をメインへ戻す。即ち、ステップS511で最大の色強度代表値が閾値より小さい場合は、G3 =G2 となる。
なお、ゲイン計算部11は、演算式ではなく、最大の色強度代表値と修正係数の値とを1対1対応させた変換テーブルを予め記憶しておき、ステップS512では、入力された最大の色強度代表値に対応する修正係数を変換テーブルから抽出することにより、修正係数を取得する処理を行う形態であってもよい。この形態の場合は、ゲイン計算部11は、ステップS511の処理を省略してもよい。
ゲイン計算部11は、ステップS5が終了した後、ゲイン計算部11は、彩度レベル取得部15から入力された彩度レベルが所定の閾値以上であるか否かを判定する(S6)。閾値としては、0.3又は0.4等の値を採用する。ゲイン計算部11は、予め所定の閾値を記憶しておき、ステップS6で彩度レベルと閾値とを比較する。
彩度レベルが閾値以上である場合は(S6:YES)、ゲイン計算部11は、彩度レベルに応じてゲインを小さく修正するための修正係数を計算する(S7)。ステップS7では、彩度レベルが大きいほど修正係数が小さくなるように、ゲイン計算部11は、例えば、ステップS5での修正係数をC3 として、以下の(10)式により修正係数C3 を計算する。
C3 =1−(彩度レベル) …(10)
(10)式は一例であり、ゲイン計算部11は、0以上1以下の彩度レベルに対して1.0以下であり、彩度レベルに対して単調減少する関数であれば、その他の関数を用いてもよい。ゲイン計算部11は、以上のような、0以上1以下の彩度レベルに対して1.0以下であり、彩度レベルに対して単調減少する関数の演算式を予め記憶しており、ステップS7では、入力された高輝度割合を演算式に代入して計算することにより、修正係数を計算する。なお、ゲイン計算部11は、演算式ではなく、彩度レベルと修正係数の値とを1対1対応させた変換テーブルを予め記憶しておき、ステップS7では、入力された彩度レベルに対応する修正係数を変換テーブルから抽出することにより、修正係数を取得する処理を行う形態であってもよい。この形態の場合は、ゲイン計算部11は、ステップS6の処理を省略してもよい。
ゲイン計算部11は、次に、計算した修正係数をゲインに乗じることにより、ゲインを修正する(S8)。ステップS6〜S8の処理で修正されたゲインをG4 とすると、ステップS8の処理により、G4 =C3 ×G3 となり、ゲインは小さく修正される。ステップS8が終了した場合、又はステップS6で彩度レベルが閾値より小さい場合は(S6:NO)、ゲイン計算部11は、処理を後述のステップS9へ進める。即ち、ステップS6で彩度レベルが閾値より小さい場合は、G4 =G3 となる。
ゲイン計算部11は、次に、輝度代表値が予め定められた所定値以下であるか否かを判定する(S9)。所定値としては、輝度の設定範囲が16〜235の場合に所定値=235とする等、輝度の上限値を用いればよい。なお、輝度の設定範囲を超えた輝度の値に対応する度数が度数分布にある程度の量含まれていることを示す値であれば、所定値は、輝度の上限値より大きい値又は輝度の上限値未満の値であってもよい。ゲイン計算部11は、以上のような所定値を予め記憶しておき、ステップS9で輝度代表値と所定値とを比較する。なお、ステップS9では、輝度代表値ではなく、最大の色強度代表値又は輝度の平均値が所定値以下であるか否かを判定する処理を行ってもよい。
ステップS9で輝度代表値が所定値以下である場合は(S9:YES)、ゲイン計算部11は、ゲインが1.0より小さいか否かを判定する(S10)。ゲインが1.0より小さい場合は(S10:YES)、ゲイン計算部11は、ゲインを1.0にする(S11)。ステップS9〜S11の処理で修正されたゲインをG5 とすると、ステップS11の処理により、G5 =1.0となる。なお、ゲイン計算部11は、ゲインを1.0を超えた所定の値にする形態であってもよい。ステップS11が終了した場合、ステップS10でゲインが1.0以上である場合(S10:NO)、又はステップS9で輝度代表値が所定値より大きい場合は(S9:NO)、ゲイン計算部11は、処理を後述のステップS12へ進める。即ち、ステップS10でゲインが1.0以上である場合、又はステップS9で輝度代表値が所定値より大きい場合は、G5 =G4 となる。
ゲイン計算部11は、次に、入力された度数分布と、記憶している前フレームでの度数分布との差を計算する(S12)。ステップS12では、ゲイン計算部11は、各輝度に対応する現フレームの度数分布での度数と前フレームの度数分布での度数との差分を計算し、計算した差分の2乗を全ての輝度の値に亘って積算することによる、度数の差分の2乗和であるフレーム間の度数分布の差を計算する。ゲイン計算部11は、次に、計算したフレーム間の度数分布の差が所定量以上であるか否かを判定する(S13)。ゲイン計算部11は、予め所定量を記憶しておき、ステップS13では、計算したフレーム間の度数分布の差と所定値とを比較する。
フレーム間の度数分布の差が所定量よりも小さい場合は(S13:NO)、ゲイン計算部11は、記憶している過去のフレームに係るゲインに基づいてゲインの変動を抑制するようにゲインを修正する変動抑制処理を行う(S14)。ステップS14では、ゲイン計算部11は、例えば、ステップS12〜S14の処理で修正されたゲインをG6 、過去のフレームに係るゲインを順にG-1,G-2,…とし、下記の(11)式によりゲインを計算する。
G6 =a0G5 +a-1G-1+a-2G-2+… …(11)
ここで、a0 ,a-1,a-2,…は正の実数であり、a0 ≧a-1≧a-2≧…かつa0 +a-1+a-2+…=1とする。簡単な例としては、a0 =a-1=1/2とした下記の(12)式を用いてもよい。
G6 =(G5 +G-1)/2 …(12)
(11)式及び(12)式は例であり、ゲイン計算部11は、ゲインの変動を抑制できる関数であれば、その他の関数を用いてもよい。ゲイン計算部11は、以上のような、ゲインの変動を抑制するような計算式を予め記憶しており、ステップS14では、得られたゲイン、及び記憶している過去のフレームに係るゲインを計算式に代入してゲインを計算することにより、ゲインを修正する。
なお、ゲイン計算部11は、その他の方法を用いてステップS14の変動抑制処理を行ってもよい。例えば、ゲイン計算部11は、取得したゲインと前フレームに係るゲインとの差分に応じた修正係数を計算し、計算した修正係数をゲインに乗ずることによってゲインを修正する処理を行ってもよい。また例えば、ゲイン計算部11は、取得したゲインと前フレームに係るゲインとの差分の絶対値が所定量を超える場合に、差分が所定値となるようにゲインを修正する処理を行ってもよい。
ステップS14が終了した後、又はステップS13でフレーム間の度数分布の差が所定量以上である場合は(S13:YES)、ゲイン計算部11は、処理を後述のステップS15へ進める。即ち、ステップS13でフレーム間の度数分布の差が所定量以上である場合は、G6 =G5 となる。このように、ゲイン計算部11は、フレーム間の度数分布の差が所定量以上である場合には、ゲインの変動を抑制するステップS14の変動抑制処理を行わない。ゲイン計算部11は、次に、計算したゲインを記憶する(S15)。ステップS15では、ゲインG6 が記憶される。なお、ゲイン計算部11は、ステップS13でフレーム間の度数分布の差が所定量以上である場合に、記憶しているゲインをクリアする処理を行ってもよい。ゲイン計算部11は、次に、計算したゲインを増幅回路16へ入力し(S16)、処理を終了する。
マトリクス回路18は、マトリクス回路13と同様の処理を実行することにより、映像信号に含まれる輝度信号及び色差信号からRGB各色の色信号を生成する処理を行い、生成したRGB各色の色信号を、増幅回路16へ入力する。増幅回路16は、マトリクス回路18からRGB各色の色信号を入力され、ゲイン計算部11からゲインを入力され、RGB各色の色信号にゲインを乗じることにより、RGB各色の色信号を増幅する。増幅回路16は、次に、増幅したRGB各色の色信号をガンマ補正部17へ入力する。ガンマ補正部17は、増幅回路16から入力されたRGB各色の色信号に対してガンマ補正を行い、ガンマ補正後のRGB各色の色信号を駆動回路31へ入力する。駆動回路31は、ガンマ補正部17から入力されたRGB各色の色信号に従って、液晶パネル3を駆動させる。以上の処理を実行することにより、本発明の映像表示装置は、映像信号が表す一フレーム分の映像を表示する。映像表示装置の各構成部分は、一フレーム分の映像信号を取得する都度、以上の処理を繰り返す。
以上詳述した如く、本発明の映像表示装置は、映像に含まれる画素の輝度の度数分布を取得し、画素の輝度の最大値よりも小さい輝度で、画素の大部分を占める所定量の画素の輝度以上の輝度を示す輝度代表値を度数分布から計算し、輝度代表値に応じてゲインを計算する。輝度代表値を計算するには、累積相対度数が所定値となる輝度を示す輝度代表値を求める方法、又は輝度に応じた重みを度数に乗じた重み付き度数を計算し、重み付き度数の合計値に対して特定の輝度以下に対応する重み付き度数の占める割合が所定値となるような特定の輝度を示す輝度代表値を求める方法等を用いる。輝度代表値を求めるための所定値として、1よりも若干小さい値を用いるので、輝度代表値は、映像に含まれる輝度の最大値よりも小さい値となる。映像信号に字幕又はノイズ等に起因する高輝度の信号が含まれていたとしても、より低い輝度を示す輝度代表値に応じて、輝度代表値を輝度の上限値等の目標値にまで増幅するようなゲインが計算される。このゲインを用いて映像信号を増幅することにより、一部の高輝度の部分を除いた映像の大部分の輝度を確実に増幅することができる。従って、本発明においては、高輝度の信号を含んではいるものの高輝度信号の割合が少ない映像信号を確実に増幅することができ、映像表示装置が映像のコントラストを改善する効果を向上させることが可能となる。また本発明においては、輝度代表値が輝度の上限値を超えている場合等、輝度代表値が大きすぎる場合は、ゲインを1未満の値に計算することができる。このゲインを用いて映像信号を増幅することにより、輝度が大きすぎる映像の輝度を低減させることができる。従って、本発明においては、映像の輝度の飽和を防止することが可能となる。
また本発明においては、映像表示装置は、映像内の輝度の平均値又は輝度が基準値以上となる高輝度の画素の割合に対応する高輝度割合に応じてゲインを修正する。輝度の平均値又は高輝度割合が大きい場合、ゲインを用いて増幅する前から映像内には高輝度の画素が多いので、増幅によって映像の輝度が飽和する虞がある。本発明では、輝度の平均値又は高輝度割合が大きいほど小さくなる1以下の修正係数をゲインに乗ずることにより、ゲインを減少させ、増幅によって映像の輝度が飽和することを防止できる。
また本発明においては、映像表示装置は、RGB各色の色強度の度数分布を取得し、度数分布から色強度代表値を求め、最大の色強度代表値に応じて新たなゲインを計算するか、又は色強度代表値に応じてゲインを修正する。RGBの何れかの色強度が他の色よりも特に高い場合、輝度から求めたゲインによって色信号を増幅したときに、色強度が高い色の増幅後の色強度が飽和する虞がある。本発明では、最大の色強度代表値が閾値以上である場合に、輝度に基づいたゲインを破棄して最大の色強度代表値に応じたゲインを計算するか、又は最大の色強度代表値が大きいほど小さくなる1以下の修正係数をゲインに乗ずることにより、ゲインを減少させ、増幅によって映像の色強度が飽和することを防止できる。
また本発明においては、映像表示装置は、映像に含まれる画素での彩度を計算し、計算した彩度が所定値以上となる画素の割合を示す彩度レベルを取得し、彩度レベルに応じてゲインを修正する。彩度レベルが大きい場合、映像内には彩度が大きい画素が多く、映像は全体的に色の濃い映像となる。この場合は、ゲインによって色信号を増幅したときに、一部の色強度が飽和し、映像の色が全体的に変化する虞がある。本発明では、彩度レベルが大きいほど小さくなる1以下の修正係数をゲインに乗ずることにより、ゲインを減少させ、増幅によって映像の色が変化することを防止できる。
また本発明においては、映像表示装置は、輝度代表値が輝度の上限値等の所定値以下の場合に、ゲインを1.0以上の値に保つ。映像の輝度が設定範囲内に収まっている場合は、ゲインは1以上である必要があるものの、ゲインを減少させる修正を行うことにより、ゲインが1.0より小さくなり、ゲインを用いた増幅によって反って映像のコントラストが悪化する虞がある。本発明では、ゲインを1.0以上の値に保つことにより、映像信号を確実に増幅させ、映像のコントラストを確実に向上させる。一方で、映像表示装置は、輝度代表値が輝度の上限値等の所定値より大きい場合に、ゲインが1未満となることを許容する。輝度代表値が輝度の上限値等の所定値より大きい場合は、輝度の設定範囲を超えた輝度の値に対応する度数が度数分布にある程度の量含まれており、映像の輝度が大きすぎる場合であり、この場合にゲインを1未満にすることにより、本発明では、映像の輝度の飽和を防止することが可能となる。なお、本発明の映像表示装置は、ゲインが1以上の場合とゲインが1未満の場合とで、ステップS9において処理を分岐させるのではなく、ゲインを計算する処理の前の段階で処理を分岐させる形態であってもよい。
また本発明においては、映像表示装置は、フレーム間でのゲインの変動を抑制するようにゲインを修正する。ゲインはフレーム毎に計算されるので、フレーム間でゲインが大きく変動する虞がある。フレーム間でゲインが大きく変動した場合、フレーム毎に映像の明るさが大きく変動し、使用者に違和感を感じさせる。本発明では、フレーム間でのゲインの変動を抑制することにより、映像の明るさの変動を抑制し、違和感の発生を防止することができる。
また本発明においては、フレーム間での輝度の度数分布の差を計算し、計算した度数分布の差が大きい場合に、フレーム間でのゲインの変動を抑制する処理を禁止する。フレーム間で輝度の度数分布が大きく変化する場合は、映像表示装置が表示する映像の内容が大きく変化するシーンチェンジに対応する。シーンチェンジでは、映像の内容が大きく変化するので、映像の明るさが大きく変動したとしても、使用者に違和感を感じさせる事がなく、逆にシーンチェンジを際立たせる効果がある。本発明では、フレーム間で輝度の度数分布が大きく変化する場合はフレーム間でのゲインの変動を抑制する処理を禁止することにより、シーンチェンジ時の映像を効果的に表示させることができる。
以上のように、本発明の映像表示装置は、映像信号に応じて適切なゲインを定め、映像信号を確実に増幅して映像のコントラストを改善することができる。即ち、本発明の映像表示装置は、コンテンツ内容、又はコンテンツの視聴モード等に適応した最適な画質で映像を表示することが可能となる。また適切な範囲内で映像信号が増幅され、映像のコントラストが確実に改善されるので、光源4の光量を下げたとしても、コントラスト感のある映像が表示され、映像の画質は損なわれない。従って、本発明の映像表示装置は、照度センサ43が測定した外部の明るさに応じて光源4の光量を減少させる等の方法により、映像の画質を劣化させることなく消費電力を削減することが可能となる。
なお、本実施の形態においては、映像表示装置はフレーム間でのゲインの変動を抑制するようにゲインを修正する処理を行う形態を示したが、これに限るものではなく、本発明の映像表示装置は、輝度代表値の変動を抑制する処理を行う形態であってもよい。この形態の映像表示装置では、度数分布取得部12は、各フレームに係る輝度の度数分布を記憶し、フレーム間での輝度の度数分布の差が小さい場合に、過去のフレームに係る輝度代表値に比べた輝度代表値の変動を抑制するように輝度代表値を修正する変動抑制処理を行い、修正した輝度代表値をゲイン計算部11へ入力する。輝度代表値を修正する具体的な方法としては、ステップS14で説明したゲインを修正する方法と同様の方法を使用すればよい。この形態の場合は、ゲイン計算部11は、前述のステップS2、S12〜S15の処理を省略することができる。この形態においても、輝度代表値の変動が抑制されることにより、輝度代表値に応じて計算されるゲインの変動も抑制されることとなり、映像の明るさの変動を抑制することが可能となる。なお、映像表示装置は、色強度代表値の変動を抑制する処理を行う形態であってもよい。
また本実施の形態においては、一フレーム分の映像についてゲインを計算する形態を示したが、本発明の映像表示装置は、これに限るものではなく、一フィールド分の映像について、一フレーム分の映像に対する前述の処理と同様の処理によりゲインを計算する形態であってもよい。また本実施の形態においては、輝度に応じてゲインを計算した後にRGBの色強度に応じてゲインを修正する形態を示したが、これに限るものではなく、本発明の映像表示装置は、最初からRGBの色強度に応じてゲインを計算する処理を行う形態であってもよい。また本実施の形態においては、映像表示装置が行うべき処理を各ハードウェアにより実行する形態を示したが、本発明の映像表示装置は、処理の一部又は全部をソフトウェアにより実行する形態であってもよい。
また本実施の形態においては、液晶パネル3を用いて映像を表示する形態を示したが、本発明の映像表示装置は、これに限るものではなく、プラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネッセンスパネル又は電界放出ディスプレイパネル等、その他の表示デバイスを用いて映像を表示する形態であってもよい。