JP5183434B2 - 基板ケースの固定方法 - Google Patents
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Description
すなわち、請求項1記載の発明は、単一の固定部材で封印、封印解除の全行程を容易に行うことができる基板ケースの固定方法を提供することを目的とし、請求項2記載の発明は、上記目的に加え、予め定められた行程以外の順序で封印解除することができないようにすることを目的とする。
なお、括弧内の符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
(特徴点)
請求項1記載の発明は、次の点を特徴とする。
すなわち、請求項1記載の発明は、本体(本体ケース2A、裏ケース20)及び蓋体(カバー2B、表ケース10)から構成され内部に板状の制御基板(P)を収納可能な箱形の基板ケース(1)を所定の基体(4)に固定する固定方法であって、前記基板ケース(1)の本体(20)又は蓋体(10)のいずれか一方の内部側に、前記本体(20)と前記蓋体(10)とを固定する固定部としての二者固定部(フック25,26)を設け、前記基体(4)に、前記基体(4)と前記基板ケース(1)の本体(20)及び蓋体(20)とを固定する固定部としての三者固定部(フック71,72)を設け、前記二者固定部(25,26)及び三者固定部(71,72)の双方に係合可能な単一の係合部を有するとともに、前記基板ケース(1)内を位置移動可能に支持された移動体(移動棒30、作動部42)を設け、前記移動体(30,42)の位置に応じて、前記基板ケース(1)を、前記二者固定部(25,26)と前記係合部とが係合し前記本体(20)と前記蓋体(10)が固定される二者固定状態、前記三者固定部(71,72)と前記係合部とが係合し前記本体(20)と前記蓋体(10)と前記基体(4)が固定される三者固定状態、前記係合部が前記二者固定部(25,26)とも前記三者固定部(71,72)とも係合せず前記本体(20)と前記蓋体(10)と前記基体(4)の固定が解除される固定解除状態とすることがでるきように形成した基板ケースの固定構造を用いた基板ケースの固定方法である。
本発明は、例えば遊技機の制御基板を収納する基板ケースに用いることができるものである。
ここで、前記基板ケース(1)は、本体(2A,20)及び蓋体(2B,10)によって箱形に形成される収納箱であって、本体(2A,20)及び蓋体(2B,10)それぞれは箱形でなくてもよい。
前記二者固定部(25,26)は、本体(2A,20)の基板収納部以外の部分に設けるのが好ましい。二者固定部(25,26)及び三者固定部(71,72)は、鉤型のフックやU字形のリング、断面L字型の板部材などとすることができ、双方が同形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。また、三者固定部(71,72)は、基板ケース(1)の基体(4)への取り付け時に、前記二者固定部(25,26)と重ならない位置に形成されていてもよいし、二者固定部(25,26)と重なる位置に形成されていてもよい。
(作用)
本発明においては、二者固定部(25,26)及び三者固定部(71,72)が2つずつ設けられている。そして、各固定部は、移動体(30,42)の係合部(31,47)の移動経路上に配置されている。そして、移動体(30,42)を初期位置から一方向に移動させることにより、移動体(30,42)の係合部が各固定部と係合し、若しくはいずれの固定部とも係合しないで、基板ケース(1)の固定状態を、二者固定状態、三者固定状態、固定解除状態、三者固定状態、二者固定状態の順に選択することができる。
(特徴点)
請求項2記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
すなわち、請求項2記載の発明は、前記固定構造において、前記移動体を一方向のみに移動可能とする逆方向移動防止機構を設け、前記基板ケースの固定状態1乃至5を、不可逆的に選択可能としたことを特徴とする。
ここで、前記「逆方向移動防止機構」は、例えばワンウエイクラッチとすることができる。また、「所定の配列で配置」とは、移動体(30,42)の係合部(31,47)移動方向に沿って、直線上又は円上に、第一の二者固定部(25A)、第一の三者固定部(71A)、第二の三者固定部(71B)、第二の二者固定部(25D)の順に、並べて配置することである。
本発明は、基板ケース(1)の開封が原則禁じられていて、特定時(警察による検査時)に例えば1回のみ開封するような、スロットマシンやパチンコ遊技機に用いられる基板ケースに適している。
すなわち、請求項1記載の発明によれば、単一の固定部材で封印、封印解除の全行程を容易に行うことができる基板ケースの固定方法を提供することができ、請求項2記載の発明によれば、上記効果に加え、予め定められた行程以外の順序で封印解除することができないようにすることができる。
(第一の実施の形態)
(図面の説明)
図1乃至図16は、本発明の第一の実施の形態を示すものである。
図1は基板ケース1の外観斜視図、図2は基板ケース1の分解斜視図、図3はスロットマシンSの分解斜視図、図4乃至図8はカシメ部3の詳細を示す図、図9乃至図16は封印及び封印解除の手順を示す図である。
本実施の形態における基板ケース1は、図1に示すように、大きく分けて、基板収納部2と、カシメ部3とから構成されている。基板収納部2は、遊技機の作動を制御するための制御基板Pを収納するための薄型箱状のケースであって、図2に示すように、カバー2Bと本体ケース2Aを備えている。ここで、制御基板Pは、特に図示しないが、CPU、ROM、RAMなどの電子部品を搭載したプリント基板であり、主として遊技を制御する制御装置として機能するものである。カシメ部3は、基板収納部2の側方に設けられる箱形の装置であって、図2に示すように、カバー2Bに連接される表ケース10と、本体ケース2Aに連接される裏ケース20と、表ケース10に収納される連結棒30及び連結棒30を上方に移動させるためのダイヤル40を備えている。
基板ケース1は、遊技機内部に設けられた所定の基体4に固定されるものである。例えば、図3に示すようなスロットマシンSに取り付けることができる。ここで、スロットマシンSは、図3に示すように、大きく分けて、正面側に開口部110を有する筐体100、筐体100内部に着脱自在に設けられる交換ユニット200、筐体100の開口部110を開閉自在な前扉とから構成されている。そして、この前扉は、筐体100の開口上部130を開閉可能な上扉300と、筐体100の開口下部140を開閉可能な下扉400とに分割されている。前記下扉400は筐体100に回動自在に取り付けられ、前記上扉300は交換ユニット200の支持体210に回動自在に取り付けられる。そして、交換ユニット200を筐体100の開口上部130に収納固定した状態で、前記上扉300を閉じてロックすることにより、開口上部130が閉塞されるようになっている。
なお、基板ケース1を直接筐体100に固定する場合には、筐体100、あるいは筐体100に固定される取り付け板などの部材が、基体4として機能することとなる。
そして、基板収納部2のカバー2B又は本体ケース2Aを、特に図示しない係合構造により基体4に軽視させるとともに、以下に述べるカシメ部3を基体4にロックすることにより、基板ケース1と基体4とが固定される。
次に、カシメ部3の詳細な構成を、図4乃至図8に基づき説明する。前述したように、カシメ部3は、表ケース10と、裏ケース20と、表ケース10及び裏ケース20あるいは表ケース10及び裏ケース20及び基体4とをロックするための移動棒30と、移動棒30を移動させるためのダイヤル40とを備えている。
ここで、前記表ケース10及び裏ケース20は、基板収納部2のカバー2B及び本体ケース2Aと一体形成されていてもよいし、別々に製造後、カバー2B及び本体ケース2Aに固着してもよい。つまり、本体ケース2A及び裏ケース20は基板ケース1の本体を、カバー2B及び表ケース10は基板ケース1の蓋体をそれぞれ構成しているものであるが、説明の都合上、図4以降に示すカシメ部3については、カバー2B及び本体ケース2Aを省略してある。
表ケース10は、図4及び図5に示すように、長方形状の箱体である。表ケース10の正面板13には、図4に示すように、ダイヤル40を取り付けるための軸孔13Aと、後述する折取ピン15(15A,15B)を形成する2つの角孔13Bと、これも後述する係止爪16を形成する角孔13Cが設けられている。また、表ケース10の上面板11には、ミシン目11Aによって形成された切り取り部17と、裏ケース20を固定するための固定孔14が設けられている。切り取り部17は、移動棒30を抜き出すためのものである。そして、底面板12には、図5に示すように、移動棒30を下方から挿入可能な開口部12Aが形成されている。
前記折取ピン15は、正面板13と一体形成された直方体形のブロックであり、上下に2つ設けられている。各折取ピン15A,15Bは、図4に示すように、連結片13aを介して、それぞれ角孔13B,13Bの中央部に位置しているとともに、長手方向の端部が正面板13の表面側と内面側に突出しており、垂直方向に力を加えられると連結片13aがちぎれて、正面板13から分離するようになっている。
(裏ケース20)
裏ケース20は、図6に示すように、長方形状の箱体であって、前記表ケース10の内側に収納可能なサイズに形成されている(図11参照)。裏ケース20の上面板21及び底面板22には、移動棒30が貫通可能な切り欠き部21A、22Aがそれぞれ設けられている。また、上面板21には、表面側に突出し、表ケース10の固定孔14と係合可能な固定爪24が形成されている。そして、裏ケース20の裏面板23の内面側には、縦方向に4つ並んでフック25(25A,25B,25C,25D)が設けられている。さらに、裏面板23の、フック25に対応する位置には、図8に示すように、4個の角孔23Aが形成されている。
移動棒30は、図8に示すように、表ケース10に内蔵される断面略H型の棒状部材であって、図5及び図7に示すように、正面30Aには5つの位置決め穴34(34A,34B,34C,34D,34E)が形成されているとともに、側面30B、30B'には、長手方向にわたって相対向するスライド溝32が形成されている。そして、一方の側面30B'の上端付近には、側方に張り出す薄板状の舌片31が形成されているとともに、舌片31の下方にはラック33が形成されている。
移動棒30は、ガイド部材60を介して、表ケース10に摺動自在に取り付けられるものである。ここで、ガイド部材60は、図7に示すように、レール部61を有する一対の縦長部材であって、固定部60Aを表ケース10の正面板13の内面側に固定することにより、レール部61の間に移動棒30を挟持可能となる。そして、スライド溝32とレール部61の係合により、移動棒30が表ケース10に対して上下方向に移動可能に支持されるものである。
(ダイヤル40)
ダイヤル40は、図4及び図5に示すように、表ケース10の表面に露出する操作部41と、表ケース10の内部に収納される作動部42とからなる。
操作部41は、円筒形のつまみ41Aと、断面略D字型の固定軸43とからなり、作動部42は、ギア46が形成されたスリーブ44を備えている。スリーブ44の内部には、軸固定孔45が形成されているとともに、逆転防止装置50としての係止板52が設けられている。つまみ41Aの軸側端面部には、図5及び図10に示すように、表ケース10の正面板13の係合突起13Dと係合可能な係合溝41Bが設けられている。また、スリーブ44の反ギア側端面部には、正面板13の内面側の係合突起13Eと係合可能な係合溝44Aが設けられている。
ただし、ダイヤル40は、以下に述べる逆転防止装置50によって、一方向にのみ回転可能である。具体的には、移動棒30を上方に移動させる方向にのみ回転するようになっている。従って、ダイヤル40の操作によって移動棒30を下方に移動させたり、移動棒30を下方に引き抜くことはできない。
(逆転防止装置50)
逆転防止装置50は、図4に示すように、表ケース10の正面板13に設けられた爪51と、ダイヤル40の作動部42に設けられた係止板52とからなる。
爪51は、図10に示すように、正面板13の内面側に斜めに突出して形成された板状突起であり、図5に示すように、軸孔13Aの上下に一対設けられている。そして、軸孔13Aの上側に設けられた爪51と、軸孔13Aの下側に設けられた爪51とで、突出方向(傾斜方向)が逆になるように形成されている。
そして、ダイヤル40のつまみ41Aを、下側が図10(A)の白矢印方向に移動するように(つまみ41Aを正面視したとき時計回りに)回転させた場合には、係止板52の面取り部が爪51の板面を滑って爪51を反突出方向に押しやり、爪51が撓むので、爪51が操作部41の回転を阻害することはない。しかし、ダイヤル40のつまみ41Aを、下側が図10(B)の白矢印方向に移動するように(逆回りに)回転させようとすると、爪51の先端が係止板52の面取りされていない角部と干渉するため、操作部41の回転がロックされるようになっているものである。
(カシメ部3の組み立て)
次に、上記構成を有する基板ケース1のカシメ部3の組み立て手順を説明する。
まず、図5に示すように、表ケース10の正面板13の内面側に、ガイド部材60を取り付ける。そして、正面板13の表面側から軸孔13Aにダイヤル40の固定軸43を貫通させ、正面板13の内面側に位置させた作動部42の軸固定孔45に固定軸43嵌合させ、操作部41と作動部42を固定する。これによりダイヤル40が表ケース10に回転可能に取り付けられる。
続いて、表ケース10を裏ケース20に被せ、固定爪24が固定孔14に嵌ると表ケース10と裏ケース20が仮固定される。このとき、表ケース10の底面板12の開口部12Aと、裏ケース20の底面板22の切り欠き22Aとは合致しており、裏ケース20の上面板21の切り欠き21Aと、表ケース10の上面板11の切り取り部17とは合致している。
以下、基板ケース1の封印手順を説明する。
1.表ケース10と裏ケース20の固定(二者固定状態)
上記したように組み立てを終了した基板ケース1をロック状態(開封不能状態)とするには、まず、ダイヤル40のつまみ41Aを時計回り方向に回転させ、表ケース10の係止爪16が移動棒30の位置決め穴34Eに係止されるまで、移動棒30を移動させる。このとき、舌片31は、図11(A)に示すように、フック25Aと重なる位置となる。すなわち、図14(A)に示すように、舌片31の手前側(表ケース側)に、フック25Aの張り出し片25bが位置することなる。すなわち、表ケース10を裏ケース20から取り外そうとしても、舌片31がフック25Aに引っかかり、表ケース10の取り外し方向への移動を阻止するため、表ケース10を取り外すことができず、表ケース10と裏ケース20がロックされた二者固定状態となる。なお、表ケース10を無理に取り外すとフック25Aが破損して、痕跡が残ることになる。
2.遊技機への固定(三者固定状態)
次に、上記したように組み立てを終了した基板ケース1を、遊技機に設置する場合について説明する。ここで、基板ケース1の基板収納部2側の端部は、基体4としてのベース板70(図6参照)にネジ止めするようにしてもよいが、ネジなどを用いずに固定する構成とするのが望ましい。例えば、特に図示しないが、本体ケース2A又はカバー2Bのカシメ部3と反対側の側面に、断面L字型の係合突起を縦方向に設け、ベース板70にはこの係合突起を差し込み可能な縦長のスリットを設け、カシメ部3側がベース板70から外れないとスリットと係合突起の係合が外れないような構造とすることができる。
スロットマシンなどの遊技機は、制御基板Pに規定外の基板を取り付けるなどの不正行為が行われていないかどうかを確認するために、警察の立ち入り検査が行われるようになっている。すなわち、基板ケース1の蓋を開いて中の制御基板Pを点検する必要がある。このような場合には、ダイヤル40を回転させて、移動棒30を上方に移動させる。このとき、移動棒30の上面に押されて、折取ピン15Aが表ケース10の13Bから折りとられる。あるいは、折取ピン15Aを折り取らないと、移動棒30を上方に移動させることができない。さらに、移動棒30の位置決め穴34Cに係止爪16が係止されるまで移動棒30を移動させると、図13(A)に示すように、舌片31がフック25Bとフック25Cとの間に位置する。このときには、図14(C)に示すように、舌片31は、フック25及びフック71のいずれとも係合していない。すなわち、表ケース10は手前側への移動を阻止されることなくベース板70から取り外し可能となり、裏ケース20も表ケース10と一体でベース板70から取り外し可能な固定解除状態となる。
4.検査後の再固定(三者固定状態)
点検終了後は、上記2.で述べたように、基板ケース1をベース板70にセットし、ダイヤル40を回転させて移動棒30を上方に移動させる。そして、位置決め穴34Cに係止爪16が係止される位置まで移動棒30を移動させると、特に図示しないが、移動棒30の上面が折取ピン15Bに当接するとともに、舌片31がフック25Cと重なる位置となる。そして、上記2.で説明したのと同様に、基板ケース1がベース板70にロックされて三者固定状態となる。
5.回収時(二者固定状態)
機種交換に伴い、交換ユニット200を基板ケース1とともに工場に回収する際には、ダイヤル40を回転させて、移動棒30を上方に移動させる。このとき、移動棒30の上面に押されて、折取ピン15Bが表ケース10の13Bから折りとられる。あるいは、折取ピン15Bを折り取らないと、移動棒30を上方に移動させることができない。さらに、移動棒30の位置決め穴34Aに係止爪16が係止されるまで移動棒30を移動させると、図15(A)に示すように、舌片31の手前側に、フック25Dの張り出し片25bが位置して、表ケース10と裏ケース20はロックされ、カシメ部3とベース板70とのロックが解除された二者固定状態となる。このとき、移動棒30の上面は、表ケース10の上面板11の裏面に当接しており、移動棒30の下面は基板ケース1の底面と面一となっている。この状態で返却することにより、この基板ケース1が使用済みのものであることが一目瞭然となる。
6.再使用
前記5.の状態で回収された基板ケース1は、さらにダイヤル40を回転させることにより、図16に示すように、移動棒30の上面で表ケース10の上面板11に形成されたミシン目11Aを押し破って切り取り部17を切り離すことができる。そして、さらにダイヤル40を回転させて、移動棒30を表ケース10から抜き取ることができるものである。移動棒30を抜き取った後、あるいは、舌片31がフック25Dと重なる位置から外れたところで、表ケース10と裏ケース20とのロックが解除されるので、表ケース10を裏ケース20から取り外し、内部部品を固定しているネジを外して分解することができる。カシメ部3においては表ケース10以外の構成部品は破壊されることがないので、他の構成部材をそのままリユースすることができる。
また、ダイヤル40の回転に従って、移動棒30の表ケース10から露出している部分が徐々に短くなっていくので、開封、封印の手順がどの段階まで行われているのか一目瞭然であり、これに加えて、封印を解除する際には、折取ピン15が折れて解除の痕跡が残る。さらに、移動棒30は表ケース10の切り取り部17を切り取らないと抜き出せず、移動棒を抜き取らないと表ケース10と裏ケース20のロックが解除されないので、移動棒30を抜き取ってもう一度移動棒30を初期位置にセットしたとしても、痕跡が残る。例えば、警察の検査前に開封すれば、検査時に折取ピン15Aが折れていることによって不正が発覚し、警察の検査後に開封すると、切り取り部17が切り取られていることによって不正が露見する。従って、正規の手順以外に開封したことがすぐさま判別でき、効果的に不正防止をすることができるものである。
なお、上記した第一の実施の形態では、移動棒30を上方に移動させるように形成してあったが、移動棒30が下方に移動するようにしてもよい。つまり、図1に示すカシメ部3の構造を上下逆転させてもよい。あるいは、移動棒30が左右に移動するようにしてもよい。この場合、初期状態において移動棒30の全体が基板ケース1の内部に収納されるようにしてもよいし、逆に移動棒30の一部が基板ケース1から露出しているように形成してもよい。すなわち、図1に示すカシメ部3の構造を右側に90度回転させた構造とてもよいし、左側に90度回転させた構造としてもよい。このように形成した場合、移動棒30の左側端部が基板収納部2に突出するため、制御基板との干渉を避ける必要がある。
あるいは、上記とは逆に、移動補助手段によって移動棒30を所定位置まで一気に移動させるようにしてもよい。例えばロータリースイッチやレバースイッチのごとく、一定以上の回転力・押圧力を加えることにより所定の位置までつまみが移動して停止するようにし、これに伴い、つまみに連結された移動棒30が、リンク機構やカム構造によって所定位置まで位置移動するように形成することができる。
第二の実施の形態は、移動体の移動態様を回転移動にしたものである。
(図面の説明)
図17乃至図19は、本発明の第二の実施の形態を示すものであり、図17はカシメ部3の正面図及び側面図、図18はカシメ部3の部分拡大断面図、図19は、ダイヤル40の回転に伴う封印及び封印解除の過程を示す図である。
なお、第二の実施の形態における基板ケース1の基本的構成は、第一の実施の形態と同様であるため共通する部分は説明を省略し、本実施の形態の特徴点のみ述べる。
第二の実施の形態におけるカシメ部3は、図17に示すように、表ケース10と、裏ケース20と、表ケース10及び裏ケース20あるいは表ケース10及び裏ケース20及び基体4とをロックするための差し込み片47を備えたダイヤル40とを備えている。
表ケース10の正面板13の略中央部には、図17(A)及び図18(B)に示すように、軸孔13Aが形成されており、この軸孔13Aの右下半分の周囲には、3個の透視孔18(18A,18B,18C)が形成されている。また、透視孔18Cの上側近傍には、折取ピン19が設けられている。さらに、前記軸孔13Aの上下には、図4、図5に示したのと同様の爪51が設けられている。
一方、裏ケース20の正面板23の内面側には、図18に示すように、円弧上に並んだ4つのフック26(26A,26B,26C,26D)が設けられている。各ストッパー26は、第一の実施の形態におけるフック25と同様に、裏面板23から内面側に突出する立設片26aと、立設片26aの端部から裏面板23と平行に張り出す張り出し片26bとからなり、張り出し片26bと裏面板23との間に、ダイヤル40のスリーブ44に形成された差し込み片47を挟み込むことができるようになっている。なお、ベース板70には、フック26B及びフック26Cと合致する2つのフック72(72A,72B)が設けられている。フック72の形状は、第一の実施の形態におけるフック71と同様である。
前記凸部48は、その正面に色彩が施してあり、表ケース10の透視孔18を通して視認可能な長さに形成されている。すなわち、透視孔18の色を見れば、差し込み片47がどの位置にあるかを把握できるようになっている。また、凸部48は、作動部42が回転することにより、折取ピン19と干渉する一方、フック26とは干渉しない厚みに形成されている。
(カシメ部3の組み立て及び封印手順)
次に、上記構成を有するカシメ部3の組み立て手順及及び封印手順を説明する。
それから、裏ケース20に表ケース10を被せて取り付け、ダイヤル40を、差し込み片47がフック26Aと係合する位置まで回転させる。この位置は、前記したストッパ手段によって最初に一時停止した位置でダイヤル40の回転を止めればよい。これにより、表ケース10と裏ケース20がロックされ、二者固定状態となる。このとき、透視孔18からは何も見えていない。
点検終了後は、前述したように基板ケース1をベース板70にセットし、次にダイヤル40が一時停止するまでダイヤル40を回転させる。これにより、透視孔18Cの色が変わり、図19(B)に示すように、差し込み片47がフック26Cと合致する位置に移動して、表ケース10及び裏ケース20及びベース板70が再びロックされ三者固定状態となる。
回収された基板ケース1は、さらにダイヤル40を回転させることにより、図19(C)に実線で示すように、差し込み片47がいずれのフック26とも合致しない位置となって、表ケース10と裏ケース20のロックが解除され固定解除状態となる。
なお、折取ピン19を透視孔18Aの正面右側にも設けて、検査時に開封した痕跡を残すようにしてもよい。また、上記した第二の実施の形態では、第一の実施の形態と同様に、二者固定部としてフック26を4つ設けてあるが、図18(A)に示すフック26A,26Bを一体にして円弧状のストッパーに形成し、フック26C,26Dを一体にして円弧状のストッパーに形成してもよい。このように形成した場合でも、差し込み片47が裏ケース20のストッパーのみに係合しているときには二者固定状態となり、差し込み片47が裏ケース20のストッパー及びベース板70のフック72にも係合しているときには三者固定状態となり、差し込み片47がいずれのストッパーにも係合していない場合には固定解除状態となる。
また、上記した第一及び第二の実施の形態では、基板ケース1が固定解除状態された痕跡を残すための解除痕付加手段として、折取ピンを用いているが、解除痕付加手段としては、例えば移動棒30の移動やダイヤル40の作動部42の回転に伴い、表ケース10の裏側の塗装が剥がれるように形成したものなど、何らかの痕跡が残るようになっていればどのような構成のものであっても構わない。
1 基板ケース 2 基板収納部
2A 本体ケース(本体) 2B カバー(蓋体)
3 カシメ部 4 基体
10 表ケース(蓋体) 11 上面板(周面部)
12 底面板(周面部) 12A 開口部
13 正面板 13A 軸孔
13B 角孔 13C 角孔
13D 係合突起 13E 係合突起
14 固定孔 15 折取ピン(解除痕付加手段)
16 係止爪(位置決め手段) 17 切り取り部(破壊可能部)
18 丸孔 19 折取ピン(解除痕付加手段)
20 裏ケース(本体) 21 上面板(周面部)
21A 開口部 22 底面板(周面部)
22A 開口部 23 裏面板(板面部)
24 固定爪 25,26 フック(二者固定部)
25a,26a 立設片(立設部) 25b,26b 張り出し片(張り出し部)
30 移動棒(移動体) 31 舌片(差し込み部・係合部)
32 スライド溝 33 ラック
34 位置決め穴(位置決め手段)
40 ダイヤル(移動補助手段) 41 操作部
41A つまみ 41B 係合溝
42 作動部(移動体) 43 固定軸
43a 切り欠き 44 スリーブ
44A 係合溝 45 軸固定孔
46 ギア 47 差し込み片(差し込み部・係合部)
48 凸部
50 逆転防止装置(逆方向移動防止機構)
51 爪 52 係止板
60 ガイド部材 60A 固定部
61 レール部
70 ベース板 71,72 フック(三者固定部)
71a,72a 突出片(突出部) 71b,72b 係止片(重複張り出し部)
100 筐体 110 開口部
120 中板 130 開口上部
140 開口下部 150 ホッパーユニット
200 交換ユニット 210 リールユニット
220 回転リール
300 上扉 400 下扉
Claims (2)
- 本体及び蓋体から構成され内部に板状の制御基板を収納可能な箱形の基板ケースを所定の基体に固定する固定方法であって、
前記基板ケースの本体又は蓋体のいずれか一方の内部側に、前記本体と前記蓋体とを固定する固定部としての二者固定部を設け、前記基体に、前記基体と前記基板ケースの本体及び蓋体とを固定する固定部としての三者固定部を設け、
前記二者固定部及び三者固定部の双方に係合可能な単一の係合部を有するとともに、前記基板ケース内を位置移動可能に支持された移動体を設け、
前記移動体の位置に応じて、前記基板ケースを、前記二者固定部と前記係合部とが係合し前記本体と前記蓋体が固定される二者固定状態、前記三者固定部と前記係合部とが係合し前記本体と前記蓋体と前記基体が固定される三者固定状態、前記係合部が前記二者固定部とも前記三者固定部とも係合せず前記本体と前記蓋体と前記基体の固定が解除される固定解除状態とすることがでるきように形成した基板ケースの固定構造を用いて、
前記移動体を初期位置から一方向に移動させることによって、前記基板ケースの固定状態を、
1.二者固定状態
2.三者固定状態
3.固定解除状態
4.三者固定状態
5.二者固定状態
の順に選択可能としたことを特徴とする基板ケースの固定方法。 - 前記固定構造において、前記移動体を一方向のみに移動可能とする逆方向移動防止機構を設け、前記基板ケースの固定状態1乃至5を、不可逆的に選択可能としたことを特徴とする請求項1記載の基板ケースの固定方法。
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