JP5182912B2 - 抗菌剤、その製造方法及びその利用 - Google Patents
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Description
さらに詳しくは抗菌性に優れることは勿論のこと、粒子径均一性と分散性に優れた性質を具備した単分散粒子乃至ほとんど単分散粒子であることからなる特定粒子形状(球状、円板状または直方体状)の銀含有アルミニウム硫酸塩水酸化物抗菌剤に関する。さらには該抗菌剤の製造方法にも関する。
さらには該抗菌剤を混練押出機を用いて樹脂に混練押出する時の性能としてフィルター通過性、分散性に優れた抗菌性樹脂組成物(マスターバッチを含む)にも関する。
さらには該樹脂組成物から形成されて抗菌性に優れることは勿論のこと、分散性、透明性、白色性に優れた抗菌性樹脂成形品、抗菌性フィルム、抗菌性繊維、抗菌性塗料、抗菌性不織布及び抗菌性コーキング材のような抗菌性樹脂製品にも関する。さらに抗カビ剤、抗菌消臭剤、抗菌紙、農薬及び化粧料にも関する。
無機系抗菌剤においては、銀が比較的高い抗菌活性と比較的高い安全性を有することから、銀を無機化合物に担持又はイオン交換させた抗菌剤を使用した抗菌性樹脂組成物が多数開示されている。
この特許文献1には抗菌に関する説明が、段落番号0035になされ、MがAg,Zn、Cu等の抗菌性発現効果のある元素を含むことが可能であり抗菌性粒子を得ることができるとの極一般的な説明はあるが具体的な説明はない。
また、特許文献1には該抗菌剤粒子を樹脂に配合した抗菌性樹脂組成物、及び該樹脂組成物から形成された抗菌性樹脂成形品、抗菌性フィルム、抗菌性繊維、抗菌性塗料、抗菌性コーキング材等の抗菌性樹脂製品及び抗カビ剤、抗菌消臭剤、抗菌紙、農薬及び化粧料に関しても具体的な説明はない。
さらには該抗菌剤の製造方法を提供することにある。さらにはその抗菌剤を樹脂混練押出機を用いて混練混合する時に樹脂混練押出加工時フィルター通過性、分散性に優れた性質を有する抗菌性樹脂組成物(マスターバッチを含む)を提供することにある。
その中でも特に重要な課題は、抗菌性樹脂製品を得るための前段として通常最も良く実施される技術、すなわち一旦樹脂と抗菌剤とを樹脂混練押出機を用いてマスターバッチ(MB)を製造する時に樹脂混練押出加工時フィルター通過性(押出機圧力)が悪くなって機械を長時間運転できずフィルターを短時間で交換しなければならなかった問題を解決し従来技術の欠点を克服することである。
この問題を解決し機械をより長時間運転できれば、フィルター交換に伴う資源、エネルギー、労力、時間が節減でき、その分低コストで抗菌性樹脂組成物、及び抗菌性樹脂製品が社会に提供でき工業的な価値が大となる。
本発明者らは、前記課題の解決のため鋭意研究を進めた結果、下記に記載した粒子形状が球状、円板状または直方体状で均一に揃っておりかつ粒子径分布幅が狭い抗菌剤粒子を得ることが出来、本発明に到達した。
[AgaB1+ b−a]b[M3−cAlc](SO4)y(OH)z・pH2O 式(1)
ただし式(1)中,a,b,c,y,z及びpは、それぞれ0.00001≦a<0.5、0.8≦b≦1.35、2.9≦c<3、1.7<y<2.5、4<z<7及び0≦p≦5を満足し、B1+はNa+、NH 4 + 及びH3O+よりなる群から選ばれた少なくとも1種の1価陽イオンであり、MはTiである。
さらに前記粒子は、その抗菌性を利用して、成形品以外にも抗カビ剤、抗菌消臭剤、農薬および化粧料としても有利に利用しうることを見出した。
無論該抗菌剤、及び該抗菌剤の製造方法が提供できるようになった。
なかでも本発明の大きな成果は最終的な抗菌性樹脂製品(成形品、フィルム等)を得るための前段として通常最も多く実施される技術、すなわち一旦樹脂と抗菌剤とを樹脂混練押出機を用いてマスターバッチ(MB)を製造する時に樹脂混練押出加工時フィルター通過性(押出機圧力)が悪くなって機械を長時間運転できずフィルターを短時間で交換しなければならなかった問題をも解決したことである。
また、アルミニウム硫酸塩水酸化物粒子の形状として円板状または直方体状で揃っているものは本発明者らが知る限り新規である。
粒子の形状を特定する尺度の一つに、粉体工業分野において従来から用いられてきたWadellの円形度及び球形度がある。
Wadellの球形度sは、
s=(粒子と等体積の球の表面積)/(粒子の表面積)
で定義され、sが1に近い程真球に近い。
Wadellの円形度cは
c=(粒子の投影面積と等面積の周長)/(粒子の投影面の周長)
で定義され、cが1に近い程真円に近い。
本発明において粒子の形状が直方体状であるとは、図6のSEM写真に示すような六面体又は正六面体に類似する形状であれば良く、前記のWadellの球形度sが0.5≦s≦0.8であることが好ましい。
本発明において粒子の形状が円板状とは、扁平な円柱様の形状で、上面又は下面方向から見た粒子の投影像に関して、前記のWadellの円形度cが、0.95≦c≦1の円形であって、厚さ/(円の直径)の比率dが0.05≦d≦0.6であるような形状か好ましい。このような円板状の形状を有する粒子は図4のSEM写真に示す。
式(1)中のaは銀の該抗菌剤粒子へのイオン交換量を示し、aの数値が高ければそれだけ銀が該抗菌剤粒子にイオン交換していることを示し抗菌性が向上するが、あまり高くなりすぎるとイオン交換体から銀が溶出し酸化銀になる恐れがあり該抗菌剤が配合された樹脂成形品等の色が暗褐色を呈することにもなるし、経済的でもないし、さらにaは0.5以上イオン交換しにくい。
一方aの数値が低過ぎる場合はそれだけ銀が該抗菌剤粒子へのイオン交換量が少ないことを示し抗菌性が発現しないので、抗菌性発現力と色の問題を適度にバランスするためaは一定範囲に限定する必要がある。
かかる意味において式(1)中のaは0.00001〜0.5、好ましくは0.00001〜0.35、さらに好ましくは0.001〜0.3の範囲が本発明では樹脂へ配合され使用されることが適している。
ただし該粒子は銀がイオン交換した固溶体のみからなるものが着色は少なくなっていると考えられ、そういう意味では前記の銀化合物担持体を含んだ物よりは完全な銀イオン交換体(固溶体)の方が好ましい。
式(1)中のB1+としては銀イオンとイオン半径が比較的近く広い範囲で強くイオン交換体を形成することができるということ、さらに安全性、及び経済性を考慮すると、B1+としてはNa+,NH 4 + 及びH3O+よりなる群から選ばれた少なくとも1価の陽イオンが好ましい。
ただしこの変色は蛍光増白剤を樹脂中に0.000001%〜0.1%添加することにより防止できる程度のものである。K+を多く用いる場合は蛍光増白剤を用いないと変色防止は困難である。そうすることによって本発明では変色がないあるいは少ない樹脂製品を得ることができる。
さらに式(1)中のpは結晶水の量を示し、通常pは0≦p≦5の範囲である。
このpを限りなく0に近づける、あるいは0にするためには350℃以下の追加の乾燥処理、あるいは焼成処理すれば良い。焼成処理は600℃以下が好ましい。焼成温度が500℃以上、さらに550℃以上、特に600℃以上の温度であると、下記式で表される水溶性のアルミニウム硫酸塩が一部生成する恐れがあり、またそれを添加した樹脂製品は耐水性が低下する恐れがある。ただし添加量が少ない場合には特に耐水性に問題はない。
[AgaB1+ b−a]b[M3−cAlc](SO4)y
焼成温度が500℃以下、特に450℃以下であれば該式で表される水溶性のアルミニウム硫酸塩は生成せず、これを樹脂製品に使用しても耐水性は低下せず何ら問題ない。また、本発明の抗菌剤粒子は600℃以上の温度で焼成すると本発明の該抗菌剤粒子の粒子形状が維持できない恐れもある。
かかる耐水性及び形状維持の観点から本発明の抗菌剤粒子の焼成温度は350℃〜600℃、好ましくは350℃〜550℃、さらに好ましくは350℃〜500℃、最も好ましくは350℃〜450℃である。
逆に、そのpが0又は0に近づけたものでないと問題になる場合は追加乾燥処理又は焼成処理を加えることによりp=0又は0に限りなく近づけたものを使用すれば良い。
例えばPET,PBTのようなポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂等の樹脂では前記の条件で追加乾燥処理、あるいは焼成処理されたp(水分量)を0又は限りなく0に近づける配慮をした該抗菌剤を使用することは推奨できることである。
本発明の抗菌剤粒子は、球状、円板状または直方体状であって、いずれかの形状に揃っている点に特徴を有している。このうち、円板状または直方体状のものは従来全く知られていない。
さらに該抗菌剤はレーザー回折散乱法で測定された体積基準累積粒子径の75%値の粒子径D75(大粒子側)を25%値の粒子径D25(微粒子側)で除した算式で表わされる粒子径分のシャープ度Dr(D75/D25)が1.0≦Dr≦1.8、好ましくは1.0≦Dr≦1.4、さらに好ましくは1.01≦Dr≦1.3、最も好ましくは1.01≦Dr≦1.2である。このシャープ度Drが小さいことにより樹脂への分散性という点において凝集がなく完全分散することができ、それが抗菌効果を高める要素であると考えられるが、さらには樹脂のフィルター(スクリーンメッシュ)を使用した混練押出加工等の際に、該抗菌剤のフィルターへの目詰まりがなくなるあるいは少なくなるという利点もある。
ただし該抗菌剤の平均二次粒子径が0.1μm以下のものは製造し難く、12μm以上のものは樹脂に配合しても樹脂組成物等の抗菌性があまり高くならない恐れがある。
この抗菌剤粒子の配合量が0.001重量部以下であると充分な抗菌性を発揮できない恐れがあり、300重量部以上配合することは銀の含有量にもよるが不経済となり、透明性も低下する恐れがある。
本発明の、該抗菌剤粒子が配合された抗菌性樹脂製品は元々高い耐酸性を有しているが、さらに高い耐酸性を樹脂製品に付与する目的、あるいは変色防止の目的においては、本発明の該抗菌剤粒子の表面を、ケイ素化合物、リン化合物、ホウ素化合物、アルミニュウム化合物,ジルコニウム化合物、チタン化合物、亜鉛化合物、錫化合物の群から選ばれた少なくとも1種の耐酸性改質剤で被覆してさらに耐酸性を向上することができる。
形状が球状又は円板状の式(2)ものについては基本的には前記提案の方法で製造できる。
[B1+]b[M3−cAlc](SO4)y(OH)z・pH2O 式(2)
ただし式(2)中,b,c,y,z,pは0.8≦b≦1.35、2.5≦c<3、1.7<y<2.5、4<z<7,0≦p≦5、B1+はNa+、NH 4 + 及びH3O+よりなる群から選ばれた少なくとも1種の1価陽イオン、MはTiである。
それらの要件が一定範囲で制御されていない従来公知の方法は、例えば下記化学反応式(3)で示される、硫酸アルミニウムAl2(SO4)3と硫酸ナトリウムNa2SO4の溶液を混合攪拌して得られた反応物を水熱処理する方法が挙げられるが、この方法で得られるアルミニウム硫酸塩水酸化物粒子の形状は凝集塊状で粒子径の均一性は全く認められない。
ところが実に驚くべきことに、この方法において水酸化ナトリウムを一定範囲で添加した下記化学反応式(4)の中でアルカリ当量比(=[NaOH]/[Al2(SO4)3]=4)に対して、実際の比の値が3.2〜4.0になるような範囲、すなわちアルカリ当量比が0.78〜1.2になる範囲で添加し、しかも尚且つ前記(2)、(3)、(4)の必須要件を一定範囲で満足するように製造したアルミニウム硫酸塩水酸化物粒子は、粒子径均一性の尺度であるD75/D25が1.0〜1.4となり、且つ粒子形状が球状を呈するものとなり全く予想外の結果であった。
また前記(1価陽イオンの硫酸塩)/(硫酸アルミニウム)なるモル比については0.3〜3.0、好ましくは0.6〜2.5、最も好ましくは0.6〜2.0の範囲が望ましい。該モル比が0.3より低い場合、あるいは逆に3.0より高い場合には粒子径均一性に優れ、且つ微粒子の本発明の球状アルミニウム硫酸塩水酸化物粒子が製造できない恐れがある。
また、本発明者等は上記化学反応式(4)の方法において、硫酸アルミニウムと1価陽イオン水溶液の混合溶液にさらにチタン化合物、好ましくは硫酸チタンを添加することによって、Alのモル数の1/10以下をTiで置き換えられた粒子径均一性に優れた球状のアルミニウム硫酸塩水酸化物粒子を製造できることも見出した。
本発明者等は上記化学反応式(4)の方法において、硫酸アルミニウムと1価陽イオン水溶液の混合溶液にさらに一定範囲で亜鉛化合物、好ましくは酸化亜鉛、硫酸亜鉛を硫酸アルミニウムのモル数の 3/4〜1/5、好ましくは3/10〜1/5を添加することによって、式(2)のAlのモル数cの1/6以下をZnで置き換えたことからなる粒子径が均一な、即ちD75/D25が1.0〜1.8となり、且つ粒子形状が円板状のアルミニウム硫酸塩水酸化物粒子を製造できることも見出した。
このアルミニウム硫酸塩水酸化物粒子は上記式(2)によって表されるが、cが2.5≦c<3、好ましくは2.5≦c≦2.99、さらに好ましくは2.61≦c≦2.9であれば、形状が円板状で、しかも微粒子で且つ粒子径均一性に優れた本発明のアルミニウム硫酸塩水酸化物粒子であることも見出された。
円板状粒子の場合、前記のアルカリ当量比が0.6より低いと、円板状で粒子径均一性に優れたアルミニウム硫酸塩水酸化物粒子が得られない恐れがあり、また逆に1.0より高いと、粒子径均一性に優れたアルミニウム硫酸塩水酸化物粒子が製造できない恐れがある。
水熱処理時間が0.3時間あるいは0.5時間以下であると粒子径均一性に優れた本発明のアルミニウム硫酸塩水酸化物粒子が製造できない恐れがある。30時間以上であっても特に粒子径均一性を高める効果もなくまた経済的でもない。
このように本発明者等は本発明の球状又は円柱状で粒子径均一性を有する抗菌剤粒子を製造するためには先ず下記4つの要件、すなわち上記化学反応式(4)において(1)アルカリ当量比(=1価陽イオンの水酸化物/硫酸アルミニウム)、(2)球状の場合(1価陽イオンの硫酸塩)/(硫酸アルミニウム)なるモル比、円板状の場合(1価陽イオンの硫酸塩)/(硫酸アルミニウム+酸化亜鉛)なるモル比、(3)水熱処理温度、及び(4)水熱処理時間を一定範囲で制御することが望ましいことを確認した。
さらに、本発明者等は粒子径均一性に優れた直方体状の抗菌剤粒子の製造方法も見出した。
直方体状粒子は前記の球状及び円板状粒子の製造方法とは異なり、硫酸アルミニウム水溶液と水酸化アルミニウム懸濁液を混合攪拌した反応物を100℃〜250℃、好ましくは120℃〜200℃で、0.5時間以上、好ましくは0.5〜30時間、好ましくは2〜20時間水熱処理すれば直方体状で水素型、化学式(H3O)Al3(SO4)2(OH)6で表されるアルミニウム硫酸塩水酸化物粒子を得ることができ、その後の処理過程は前記の方法で1価陽イオンを銀とイオン交換すれば本発明の抗菌剤粒子を製品することができる。
用いる水酸化アルミニウムとしては、無定形の水酸化アルミニウムが形状を直方体状にする効果及び粒子径を均一にする効果が高いため好ましい。無定形の水酸化アルミニウムとしては、協和化学工業(株)製乾燥水酸化アルミニウムゲルS−100,同FMが例示できる。
この方法において微粒子化と粒子径均一性を向上させるためには、硫酸アルミニウム水溶液と水酸化アルミニウム懸濁液を混合攪拌した反応物を直ちに水熱処理するよりは、反応後ある程度時間が経過したもの、例えば1時間以上、好ましくは1〜300時間、さらに好ましくは5〜200時間静置したもの又は攪拌したものを水熱処理すると微粒子で粒子径均一性を有するアルミニウム硫酸塩水酸化物粒子が得られる。
[B1+]b[M3−cAlc](SO4)y(OH)z・pH2O 式(2)
これら球状、円板状及び直方体状の粒子は1価陽イオンと銀イオンとをイオン交換すれば式(1)で表される本発明の銀含有アルミニウム硫塩水酸化物粒子が得られる。
すなわち、本発明者らは前記知見に基いて研究を発展させた結果、このように銀を含まない式(4)で表されるアルミニウム硫酸塩水酸化物粒子を先ず合成しておき、然る後そのアルミニウム硫酸塩水酸化物粒子を水等の懸濁液中において、例えば硝酸銀、硫酸銀のような銀を含有する溶液と接触攪拌すれば、銀がアルミニウム硫酸塩水酸化物粒子にイオン交換した式(1)で表される本発明の微粒子でありかつ粒径均一性を有し且つ前記の特定粒子形状を有する該抗菌剤粒子が製造できることを見出した。
イオン交換した後に、濾過・水洗・表面処理・乾燥・粉砕等の操作を必要に応じ実施し回収すれば式(1)で表される抗菌剤を得ることができる。その際、濾過はフィルター通過法で実施が困難な場合はデカンテーション法、遠心分離法で実施しても良いし、本発明の目的に反しない範囲で凝集剤を使用しても良い。凝集剤としては、ポリアクリルアミドのような高分子凝集剤が例示できる。高分子凝集剤の添加量は0.2%以下が好ましい。0.2%以下であれば本発明の単分散粒子に影響はなく、また濾過作業が改善される。
一方、粉砕処理に関しては、SEM写真からも理解できるように強い力で実施する必要はなく弱い力で簡単に処理しても凝集のない単分散又は単分散に近い性状を有する銀含有アルミニウム硫酸塩水酸化物粒子が得られるという点にも本発明の特長がある。
銀が該粒子にイオン交換していればその回折パターンは銀がイオン交換する前の該粒子と同じ回折パターンとなるので化学分析値と照合してX線回折の回折パターンを精査すれば良い。もし銀の一部が該粒子にイオン交換せずに、酸化銀のような不純物で共存する製造物を樹脂に配合すると樹脂製品の色は暗褐色を呈し本発明の重要な目的の一つである白色の樹脂製品を得ることから逸脱するので好ましくない。
式(1)の抗菌剤の一部をこのように無機酸イオンで置き換えられた該粒子はさらに式(1)の該抗菌剤粒子同様乾燥処理、焼成処理、表面処理、耐酸性被覆処理等をした抗菌剤として利用することもできるし、樹脂に配合して抗菌性樹脂製品を得ることもできる。
なお、本発明の銀含有アルミニウム硫酸塩水酸化物粒子を製造する際、工業的に食品衛生法厚生省告示第20号で規定された、鉛、カドミュム等の重金属含有量が少なく、さらには樹脂製品の熱劣化防止(耐熱劣化性の向上)及び着色防止という意味で鉄、マンガン、クロム、銅、ニッケル等の重金属含有量を1%以下、好ましくは0.1%以下、さらに好ましくは0.01重量%以下、最も好ましくは0.001%以下の高純度の該抗菌剤粒子を得る場合には、先ず原料面で高純度の物を選択すること、さらには化学操作装置の材質面において特に腐食が起き易い水熱処理工程等では装置材料の溶出によって鉄、マンガン、クロム、銅、ニッケル等の重金属化合物が固溶体及び又は夾雑物として本発明の該抗菌剤粒子に混入しないように配慮された耐腐食性に優れたハステロイ鋼、ステンレスSUS−316鋼等を選択することは好ましいことである。
本発明の抗菌化の対象樹脂としては特に限定されるものではなく合成樹脂・ゴム、天然樹脂・ゴム等を原料としそれを加工して通常成形品、繊維、不織布、塗料、コーキング材、フィルム等樹脂製品として使用されるものであれば良く、以下にその一部を例示する。
ゴムとしてはEPDM(エチレンプロピレンジエン共重合体ゴム),EPM(エチレンプロピレン共重合体ゴム),ブチルゴム、イソプレンゴム、SBR(スチレンブタジエンゴム),NIR(ニトリルイソプレンゴム),NBR(ニトリルブタジエンゴム),ウレタンゴム、クロロプレンゴム、水素化ニトリルゴム、ポリエーテル系ゴム、四フッ化エチレン・プロピレンゴム、クロロスルホン化ゴム、ブタジエンゴム、アクリルゴム、塩素化ポリエチレン、エピクロルヒドリンゴム、プロピレンオキサイドゴム、エチレン・アクリルゴム、ノルボルネンゴム、多硫化ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、天然ゴム等が例示できる。
これらの樹脂、ゴムは単独で用いても良く、あるいは複数種同時に用いても良い。
複数種同時に用いる場合はポリマーアロイ化して用いても良く、ブレンドして用いても良く、あるいは積層成形して用いても良い。
本発明の抗菌性樹脂組成物には通常使用される添加剤、補強剤、充填剤を本発明の目的を害しない範囲で配合することができる。これらの一部を次に例示する。酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、熱安定剤、金属不活性化剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、素練り促進剤、粘着付与剤、香料、滑剤、着色剤、造核剤、発砲剤、脱臭剤、ポリマーアロイ相溶化剤等。
得られた成形品の形状、大きさ、厚さ、太さ、さらには使用方法についても何ら制約はなく例えば板状、ボトル状、球状、円盤状、シート状、電線被覆状、発砲体、積層体等何でも良くその成形品は例えば台所、風呂場、トイレ周りの製品、衛生用品、エアコンの吹き出し口等の抗菌性を必要とする分野で好適に使用できる。
繊維の種類としては、ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリアミド(ナイロン)系、アラミド系、アクリル系、ポリウレタン系、フッソ系、ポリクラール系、ポリエステル系、ポリ塩化ビニル系、ビニロン系、ビニリデン系、アセテート系、トリアセテート系、レーヨン系、キュプラ系、ノボロイド系、プロミックス系、ポリアセタール系、ポリノジック系、プラスチック光ファイバー等の繊維が例示できる。
例えば、抄造ウエブ法、ランダムウエブ法、パラレルウエブ法、クロスレイドウエブ法、糸交錯ウエブ法、トウ拡開ウエブ法、短繊維ウエブ法、フィラメントウエブ法、マイクロファイバーウエブ法、スプリットフィルムウエブ法等の方法が採用し得る。これらの方法で得られた抗菌性不織布は抗菌性を有しながら軽くて通気性、防縮性等の性質に優れるため生理用用品、衣服の芯地や裏地、ビニルレザーや擬革の基布等抗菌性を必要とする分野で利用できることが一例として挙げられる。
本発明の抗菌性塗料は例えば、病院内、老人ホーム、学校、レストラン等で使用すれば大腸菌や黄色ブドウ球菌等の細菌からの被害を防止でき本発明の目的が達成される。
塗料の種類としては、合成樹脂塗料(アルキド、アミノアルキド、エポキシ、フッ素、ウレタン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、不飽和ポリエステル、フェノール、グアナミン、ブチラール、スチレンブタジエン、スチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化ゴム系塗料、サビ止めペイント、粉体塗料、電気絶縁塗料)、セルロース塗料、ゴム系塗料、水溶性合成樹脂塗料(水溶性アルキド、水溶性エポキシ、水溶性ポリブタジエン、水溶性メラミン、水溶性尿素、水溶性フェノール、水溶性アクリル等)、酒精塗料、油性塗料等樹脂を使用する塗料を例示できる。
すなわち、その抗菌性を利用して、抗カビ剤、抗菌消臭剤(スプレー)、抗菌紙、農薬および化粧料にも適用することができる。本発明の抗菌剤は人体に対して安全であり且つ人体に接触しても刺激を与えないので、人間の生活する住宅内の台所、風呂場やトイレなどの製品に対して抗菌剤および抗カビ剤として利用することができる。また農薬として野菜や果物などにも直接散布することができる。さらに化粧料の中に配合しても有利に利用することができる。
最近の微粒子の平均二次粒子径及び粒子径分布の測定は、レーザー回折散乱法が主流になっており、本発明ではこれらの測定はレーザー回折散乱法で行われた。
堀場製作所製粒度分布測定装置LA―910を用いて測定されたレーザー回折散乱法体積基準累積粒子径分布曲線の75%値の粒子径D75(大粒子径側)を25%値の粒子径D25(微粒子径側)で除した算式で表される粒子径分布のシャープ度をDr=D75/D25として定義した。Drの数値が小さく1に近い程粒子径分布のシャープ度が認められ粒子径均一性を意味する。
ただし、球形粒子についてはレーザー回折散乱法で測定されたD75/D25と、下記のSEM写真による粒子径分布測定方法と組み合わせて粒子径を評価した。
その場合レーザー回折散乱法によるD75/D25の数値はSEM写真によるD75/D25の数値と約−10〜+10%の範囲で異なる程度でほぼ一致したので本発明ではレーザー回折散乱法によるD75/D25を採用した。
SEM写真による粒子径分布測定方法(球形粒子の場合)
1枚のSEM写真で観察される全ての粒子(50個〜数百個)の球形粒子をそれぞれ個別に長径と短径をノギスで1/50mmまで測定し長径と短径の平均値を求めて各球形粒子の粒子径(μmに換算)とし、それから累積粒子径のD75%とD25%に該当する粒子径を認定しDr=D75/D25を算出した。
図1:表面が平滑である球状粒子(A−1粒子)、
図2:表面にひび割れがある球状粒子及び表面の一部分が破砕された球状粒子(A−4粒子)、
図3:表面にひび割れがある球状粒子(A−5粒子)、
図4:円板状粒子(A−19粒子)、
図5:球状粒子(A−18粒子)、
図6、直方体状粒子(A−30粒子)、
図7:球状粒子が多数重なって形成された塊状の凝集体粒子(V−1粒子)、
(6)抗菌性試験方法
下記(a)〜(e)の試験において、大腸菌はE.coli NBRC 3972、黄色ブドウ球菌は S.aureus NBRC 12732を使用した。
抗菌試験の結果も示す表−3〜表−9に於いてcfuはcolony forming unitの略である。cfu/mlは1ml中の生菌数を表し、その数値が小さい程抗菌性が高いことを意味している。
(a)成形板;JIS−Z 2801(2000年版)
テストピースサイズ;50mm×50mm×2mm
(b)繊維、不織布;JIS−L 1902(2002年版)
(c)塗料;塗料を鉄板サイズ50mm×50mm×2mmのテストピース(材質はJIS G 3101 SS400)の上に約0.1mmになるように塗装し上記(a)の方法で測定した。
(d)フィルム;JIS−Z 2801(2000年版)
(e)コーキング材;コーキング材を鉄板サイズ50mm×50mm×2mmのテストピース(材質はJIS G 3101 SS400)の上に約1mmになるようにコーキングし上記(a)の方法で測定した。
H={h1−(h2−h1)}×100/h1 (%)
h1=抗菌剤未添加の樹脂成形品又はフィルムのヘイズ値
h2=抗菌剤を添加した樹脂成形品又はフィルムのヘイズ値
Hが100%に近い程無添加品に近い透明性を維持していることを意味している。
プラスチック工学研究所製の30φ2軸混練押出機(スクリュー径30mm)にフィルター(スクリーンメッシュ)を樹脂の流れ方向から見てブレーカープレートの手前に設置した。フィルターは50メッシュのものをブレーカープレート側に、80メッシュのものを中央に、100メッシュのものをホッパー側にそれぞれ1枚づつ設置した。その状態で、該機械をスクリュー回転数が170rpm,吐出量が10Kg/Hrとなるようにして2時間、及び24時間運転し、その時のフィルター手前に設置してある圧力計により圧力を測定した。
圧力はフィルターを通過できない粗大粒子がフィルターに多く目詰まりする程早く高くなりそれはフィルター通過性が悪いことを意味し、それだけフィルターを入れ替える必要が早く生じ工業的には問題である。
本測定は樹脂95重量%と抗菌剤5重量%の合計100重量%になる抗菌剤配合濃度において測定したもので、表−3に示した縦2重線より左側の抗菌剤配合量濃度とは異なる配合条件で別途実施したものである。混練押出する時の温度条件は縦2重線より左側と同じにした。
下記実施例及び比較例で用いた全ての薬品は、特に記すもの以外は和光純薬工業(株)(Wako Pure Chemical Industries,Ltd)製の試薬一級を使用した。
下記実施例及び比較例によって得られた銀含有アルミニウム硫酸塩水酸化物粒子の諸特性を表−1に示す。製造条件及び製造物の概略を表−2に示す。
以下に実施例と記載されている例において、A−11粒子以外についての例は、参考例と読みかえる。
実施例I−1−1
A−1−1粒子 [Ag0.1Na0.86] 0.96Al3(SO4)1.92(OH)6.12の製造
1.025mol/Lの硫酸アルミニウム508mlと硫酸ナトリウム73.84g(0.52mol)を脱イオン水で2000mlにし、室温において攪拌しながら3.382Nの水酸化ナトリウム615mlを約4分間で注加する。(アルカリ当量比:0.999、(1価陽イオンの硫酸塩)/(硫酸アルミニウム)=1.0)さらに20分間攪拌後、オートクレーブ装置に移して170℃で2時間水熱処理し、それを25℃まで冷却後、濾別し、500mlの水で水洗して105℃で22時間乾燥させた結果、球状を呈するアルミニウム硫酸塩水酸化物粒子を得た。
そのサンプル100gをとって0.025mol/Lの硫酸銀水溶液600mlに懸濁させ遮光下25℃で1時間攪拌して、ナトリウムイオンの一部を銀イオンとイオン交換する処理を行った。
イオン交換後のサンプルを濾過・水洗・乾燥(105℃×6時間+200℃×1時間)・粉砕した。
これらの処理過程によって球状の銀含有アルミニウム硫酸塩水酸化物粒子A−1−1粒子を得た。
A−1−1粒子の粒子性状を表−1に示し、形状のSEM写真を図1に示す。
80℃のイオン交換水1,000mlに2.6gの硫酸亜鉛7水和物(和光純薬工業試薬1級)と2.2gの硫酸アンモニウム(和光純薬工業試薬1級)を入れ混液を作った。
その混液の中にY−A−1粒子95gを添加して6時間攪拌した後、脱水・水洗・乾燥して亜鉛及びアンモニウムで処理されたY−A−1−2粒子を得た。
該粒子のZnの含有量は0.1%、NH4の含有量は0.4%、BET法比表面積は60m2/gであったが、その他の粒子性状はY−A−1−1粒子と同じであった。
次にA−3粒子、A−5粒子、A−8粒子、A−10粒子、A−11粒子、A−31粒子についても該処理同様の処理を行い処理物を得た。
処理物のZnの含有量は0.1%、NH4の含有量は0.4%でどれもほぼ同じであった。
処理物のBET法比表面積はどれも処理前の約6倍に増大していたが、平均2次粒子径、粒子径均一性、粒子の形状等その他の粒子性状は処理前の粒子性状とほぼ同じであった。処理物を樹脂に添加した時の樹脂組成物の白色性は処理前の物を添加した場合より一層改善されていた。
A−2粒子 [Ag0.1Na1.02] 1.12Al3(SO4)2.17(OH)5.78の製造
アルカリ当量比を0.95にした以外は実施例I−1と同様の処理過程でA−2粒子を得た。
A−3粒子 [Ag0.1Na1.04] 1.14Al3(SO4)2.30(OH)5.54の製造
アルカリ当量比を0.90にした以外は実施例I−1と同様の処理過程でA−3粒子を得た。
A−4粒子 [Ag0.1Na1.01] 1.11Al3(SO4)2.33(OH)5.45の製造
アルカリ当量比を0.835にした以外は実施例I−1と同様の処理過程でA−4粒子を得た。
また、合成した球状のA−4粒子のSEM写真を図2に示す。
A−5粒子 [Ag0.1Na0.96] 1.06Al3(SO4)2.35(OH)5.36の製造
1.025mol/Lの硫酸アルミニウム445mlと硫酸ナトリウム64.61g(0.455mol)を脱イオン水で2000mlにし、室温において攪拌しながら3.382Nの水酸化ナトリウム486mlを約4分間で注加する。(アルカリ当量比:0.9)さらに20分間攪拌後、オートクレーブ装置に移して100℃で29時間水熱反応し、25℃まで冷却後、濾別し、500mlの水で水洗して105℃で22時間乾燥させた結果、球状を呈するアルミニウム硫酸塩水酸化物粒子を得た。
その後の処理過程はイオン交換処理後に、ポリアクリルアミド系の高分子凝集剤(住友化学製スミフロックFN−20)を0.02g添加して10分間攪拌した以外は実施例I−1と同様にしA−5粒子を得た。合成した球状銀含有アルミニウム硫酸塩水酸化物粒子のSEM写真を図3に示す。
A−6粒子 [Ag0.1Na0.94] 1.04Al3(SO4)2.34(OH)5.360.64H2Oの製造
アルカリ当量比を0.835に変更したことと、銀とイオン交換後の乾燥条件を105℃×6時間のみに変更した以外は実施例I−5と同様の処理過程でA−6粒子を得た。
A−7粒子 [Ag0.1Na0.97] 1.07Al3(SO4)2.32(OH)5.43の製造
(1価陽イオンの硫酸塩)/(硫酸アルミニウム)=0.33,反応温度を200℃、反応時間を1.5時間にした以外は実施例I−5と同様の処理過程でA−7粒子を得た。
A−8粒子 [Ag0.1Na0.99] 1.09Al3(SO4)2.30(OH)5.49の製造
(1価陽イオンの硫酸塩)/(硫酸アルミニウム)=2.0,反応温度を250℃、反応時間を1時間にした以外は実施例I−5と同様の処理過程でA−8粒子を得た。
A−9粒子 [Ag0.1K1.10] 1.20Al3(SO4)2.20(OH)5.80の製造
1.025mol/Lの硫酸アルミニウム378mlと硫酸カリウム67.95g(0.39mol)を脱イオン水で1500mlにし、室温において攪拌しながら2.34Nの水酸化カリウム596mlを約4分間で注加する。(アルカリ当量比:0.9)さらに20分間攪拌後、オートクレーブ装置に移して170℃で2時間水熱反応させた。25℃まで冷却後、濾別し、500mlの水で水洗して105℃で22時間乾燥させた結果、球状を呈するアルミニウム硫酸塩水酸化物粒子を得た。その後の処理過程は実施例I−1と同様にしA−9粒子を得た。
A−10粒子 [Ag0.1Na0.45K0.45]1Al3(SO4)1.99(OH)6.02の製造
1.025mol/Lの硫酸アルミニウム257mlと硫酸ナトリウム17.18g(0.13mol)と硫酸カリウム22.65g(0.13mol)を脱イオン水で500mlにし、室温において攪拌しながら3.382Nの水酸化ナトリウム140mlおよび3.382Nの水酸化カリウム140mlを約1分間で注加する。(アルカリ当量比:0.9)さらに20分間攪拌後、オートクレーブ装置に移して170℃で2時間水熱反応させた。25℃まで冷却後、濾別し、500mlの水で水洗して105℃で22時間乾燥させた結果、球状を呈するアルミニウム硫酸塩水酸化物粒子を得た。
その後の処理過程は実施例I−1と同様にしA−10粒子を得た。
A−11粒子 [Ag0.1 Na0.9] 1Ti0.01Al2.94(SO4)2(OH)5.86の製造
実施例I−1の硫酸アルミニウム水溶液に硫酸チタン{Ti2(SO4)3}として6.53gを追加添加したこと及びイオン交換処理の温度を60℃に変更したことが実施例I−1と異なるだけでその他は実施例I−1に準じて行いA−11粒子を得た。
A−12粒子 [Ag0.1Na0.9] 1Al3(SO4)2.2(PO4)0.1(OH)5.4の製造
1.03モル/lの硫酸アルミニウム水溶液378mlと、硫酸ナトリウム36.93gを脱イオン水で1400mlにし、室温において攪拌しながら、3.4Nの水酸化ナトリウム水溶液413mlを約4分間で注加する。更に30分間攪拌後リン酸ナトリウム12水和物(Na3PO4・12H2O)9.9gを脱イオン水300mlに溶解させた水溶液を注加する。30分間攪拌後、オートクレーブ装置に移して170℃で2時間水熱反応させた。冷却後、濾別・水洗し、105℃で22時間乾燥した。
その後の銀イオンとのイオン交換処理は実施例I−1に準じて行い銀含有アルミニウム硫酸塩リン酸塩水酸化物A−12粒子を得た。
尚この例において、リン酸ナトリウムの代わりに炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウムに置き換えて使用したことだけが異なるように試験したがCO3 2−、NO3 −、SiO4 2−、BO3 3−それぞれの無機酸イオンを含むA−12粒子同様の粒子性状を有する銀含有アルミニウム無機酸塩水酸化物粒子が得られた。
A−13粒子 [Ag0.3Na0.66] 0.96Al3(SO4)1.92(OH)6.12の製造
実施例1−1の銀とナトリウムのイオン交換処理過程において、硫酸銀水溶液を1800mlに変更した以外は実施例I−1と同様の処理過程でA−13粒子を得た。
A−14粒子 [Ag0.001Na0.959] 0.96Al3(SO4)1.92(OH)6.22の製造
実施例1−1の銀とナトリウムのイオン交換処理過程において、硫酸銀を硝酸銀に変更し、硝酸銀0.001mol/Lを300mlに変更した以外は実施例I−1と同様の処理過程でA−14粒子を得た。
A−15粒子 [Ag0.00001 Na0.95999] 0.96Al3(SO4)1.92(OH)6.12の製造
実施例1−1の銀とナトリウムのイオン交換処理過程において、硫酸銀を硝酸銀に変更し、硝酸銀0.00001mol/Lを300mlに変更した以外は実施例I−1と同様の処理過程でA−15粒子を得た。
A−16粒子 [Ag0.1Na0.86] 0.96Al3(SO4)1.92(OH)6.12 の製造
A−1粒子を400℃で1時間窒素雰囲気下焼成しA−16粒子を得た。
粉末X線回折法によると [Ag0.1Na0.86] 0.96Al(SO4)1.92(水溶性化合物)のピークは認められず、全て [Ag0.1Na0.86] 0.96Al3(SO4)1.92(OH)6.12のピークであった。形状は球状であった。
A−16粒子10.00gをイオン交換水100mlに入れ20℃で30分攪拌し、それを脱水・水洗し120℃で16時間乾燥した後の重量減少はなく10.00gであった。
A−1粒子1Kgをヘンシェルミキサーに投入した。その中に20gのγアミノプロピルトリエトキシシランを50gの水に希釈したものを噴霧し温度120℃、攪拌翼回転数1500rpmの条件で30分間表面処理した。表面処理したものを200℃で1時間乾燥しA−17粒子を得た。
A−18粒子[Ag0.1(NH4)0.86] 0.96Al3(SO4)1.92(OH)6.12の製造
1.025mol/Lの硫酸アルミニウム508mlと硫酸アンモウム68.72g(0.52mol)を脱イオン水で2000mlにし、室温において攪拌しながら3.382Nのアンモニア水616mlを約4分間で注加する。(アルカリ当量比:0.999)さらに20分間攪拌後、オートクレーブ装置に移して100℃で1時間水熱処理し、それを25℃まで冷却後、濾別し、500mlの水で水洗して105℃で22時間乾燥させた結果、球状を呈するアンモニウム型のアルミニウム硫酸塩水酸化物粒子を得た。
それ以後の処理過程は実施例I−1に準じて実施し球状を呈するA−18粒子を得た。そのSEM写真を図5に示す。
実施例I−19
A−19粒子 [Ag0.1Na0.91] 1.01 [Al2.66Zn0.34]3(SO4)1..95(OH)5.77の製造
1.025mol/Lの硫酸アルミニウム352ml、ZnO 22.12gと硫酸ナトリウム51.12g(0.36mol)を脱イオン水で2000mlにし、室温において攪拌しながら3.382Nの水酸化ナトリウム284mlを約4分間で注加する。さらに20分間攪拌後、オートクレーブ装置に移して170℃で2時間水熱反応させた。25℃まで冷却後、濾別し、500mlの水で水洗して105℃で22時間乾燥させた結果、円板状を呈するアルミニウム硫酸塩水酸化物粒子を得た。
その後の処理過程は銀とのイオン交換処理温度を80℃に、処理時間を30時間に変更した以外は実施例I−1と同様にしA−19粒子を得た。A−19粒子のSEM写真を図4に示す。
A−20粒子 [Ag0.1K0.9] 1 [Al2.7Zn0.3]3(SO4)2(OH)5.70 の製造
1.025mol/Lの硫酸アルミニウム352ml、ZnO 22.12gと硫酸カリウム62.72g(0.36mol)を脱イオン水で2000mlにし、室温下、攪拌しながら。3.4Nの水酸化カリウム268mlを約4分間で注加した(アルカリ当量比:0.758、(1価陽イオンの硫酸塩)/(硫酸アルミニウム)=1.0)。さらに20分間攪拌後、オートクレーブに移して、170℃で2時間水熱反応させた。水熱反応を室温まで冷却後、濾別、水洗し、105℃で24時間乾燥させた結果、円板状を呈するアルミニウム硫酸塩水酸化物を得た。
その後の処理過程は実施例I−19と同様にしA−20粒子を得た。
A−21粒子 [Ag0.1Na0.8] 0.9 [Al2.61Zn0.39]3(SO4)1.60(OH)6.34 の製造
1.025mol/Lの硫酸アルミニウム352ml、ZnO 22.12gと硫酸ナトリウム51.12g(0.36mol)を脱イオン水で2000mlにし、室温下、攪拌しながら。3.382Nの水酸化ナトリウム332mlを約4分間で注加した(アルカリ当量比:0.868、(1価陽イオンの硫酸塩)/(硫酸アルミニウム)=1.0)。さらに20分間攪拌後、オートクレーブに移して、170℃で2時間水熱反応させた。水熱反応物を室温まで冷却後、濾別、水洗し、105℃で24時間乾燥させた結果、円板状を呈するアルミニウム硫酸塩水酸化物を得た。
その後の処理過程は実施例I−19と同様にしA−21粒子を得た。
A−22粒子 [Ag0.3Na0.71] 1.01 [Al2.66Zn0.34]3(SO4)1.95(OH)5.77の製造
実施例1−21の銀とナトリウムのイオン交換処理過程において、硫酸銀の代りに硝酸銀を用い、硝酸銀濃度を0.3mol/Lで使用量を300mlに変更した以外は実施例I−21と同様の処理過程でA−22粒子を得た。
A−23粒子 [Ag0.001Na1.009] 1.01 [Al2.66Zn0.34]3(SO4)1.95(OH)5.77の製造
実施例1−21の銀とナトリウムのイオン交換処理過程において、硝酸銀濃度を0.001mol/Lに変更した以外は実施例I−21と同様の処理過程でA−23粒子を得た。
A−24粒子 [Ag0.00001Na1.00999] 1.01 [Al2.66Zn0.34]3(SO4)1.95(OH)5.77の製造
実施例1−21の銀とナトリウムのイオン交換処理過程において、硝酸銀濃度を0.00001mol/Lに変更した以外は実施例I−21と同様の処理過程でA−24粒子を得た。
A−25粒子 [Ag0.1Na0.91] 1.01 [Al2.68Zn0.32] 3(SO4)2.06(OH)5.57の製造
1.03 mol/Lの硫酸アルミニウム350mlを脱イオン水で2000mlにする。室温において攪拌しながらZnO粉末(試薬1級)を22.12gを加え、10分攪拌する。
次に、3.385Nの水酸化ナトリウム284mlを約2分間で注加する。
さらに、30分間攪拌後、オートクレーブに移して170℃で2時間水熱反応した。
水熱反応物を室温まで冷却後、濾別、水洗し、105℃で22時間乾燥させた結果、円板状を呈するアルミニウム硫酸塩水酸化物を得た。
その後の処理過程は実施例I−19と同様にしA−25粒子を得た。
A−26粒子 [Ag0.1Na0.92] 1.02 [Al2.80Zn0.20] 3(SO4)2.27(OH)5.28の製造
1.03 mol/Lの硫酸アルミニウム350mlと硫酸ナトリウム51.12g(0.36mol)を脱イオン水で2000mlにし、室温において攪拌しながらZnO粉末(試薬1級)を22.12gを加え、10分攪拌する。
次に、3.385Nの水酸化ナトリウム188mlを約1分間で注加する。
さらに、30分間攪拌後、オートクレーブに移して170℃で2時間水熱反応した。
水熱反応物を室温まで冷却後、濾別、水洗し、105℃で20時間乾燥させた結果、円板状を呈するアルミニウム硫酸塩水酸化物を得た。
その後の処理過程は実施例I−19と同様にしA−26粒子を得た。
A−27粒子 [Ag0.1Na0.95] 1.05 [Al2.81 Zn0.19] 3 (SO4)2.3(OH)5.26 の製造
円板状粒子製造におけるアルカリ当量比を0.90に変更したことが実施例I−21と異なるのみでその他の処理過程は実施例I−19同様の処理過程でA−27粒子を得た。
A−28粒子 [Ag0.1Na0.98] 1.08 [Al2.69 Zn0.31] 3 (SO4)2.09(OH)5.59 の製造
円板状粒子製造における(1価陽イオンの硫酸塩)/(硫酸アルミニウム)なるモル比を3.0に変更したことが実施例I−21と異なるのみでその他の処理過程は実施例I−19同様の処理過程でA−28粒子を得た。
A−29粒子 [Ag0.1Na0.9] 1 [Al2.68 Zn0.32] 3 (SO4)2.04(OH)5.60 の製造
円板状粒子製造における(1価陽イオンの硫酸塩)/(硫酸アルミニウム)なるモル比を0.20に変更したことが実施例I−21と異なるのみでその他の処理過程は実施例I−19同様の処理過程でA−29粒子粒子を得た。
実施例I−30
A−30粒子 [Ag0.1(H3O)0.86] 0.96Al3(SO4)1.92(OH)6.12の製造
下記の原料を使用し、下記の合成方法によりA−30粒子を得た。
使用原料 1.04mol/Lの硫酸アルミニウム 2.0モル 1923ml
水酸化アルミニウムAl(OH)3 2.0モル 156.02g
(水酸化アルミニウム;協和化学工業(株)製乾燥水酸化アルミニウムゲルS−100:無定形)
合成方法 上記硫酸アルミニウム水溶液を攪拌しながら上記水酸化アルミニウムAl(OH)3を添加し水素型のアルミニウム硫酸塩水酸化物粒子沈殿物スラリー(反応物)を作った。
該スラリーにイオン交換水を加え該スラリーが7.0Lになるように希釈して、更に室温で5時間攪拌後、オートクレーブによって、170℃5時間の水熱処理を行った。
処理後の溶液を濾過・水洗・乾燥・粉砕処理し直方体状を呈する水素型(ヒドロニウム型)のアルミニウム硫酸塩水酸化物粒子を得た。
それ以後の処理過程は実施例I−1に準じて実施し直方体状を呈するA−30粒子を得た。このSEM写真を図6に示す。
A−31粒子 [Ag0.1(H3O)0.86] 0.96Al3(SO4)1.92(OH)6.12の製造
反応物をオートクレーブにかける前に室温で攪拌する時間を、168時間に変更したことが実施例I−30と異なるだけでそれ以外の処理過程は実施例I−30と同様にし直方体状を呈するA−31粒子を得た。
比較例I−1
V−1粒子 [Ag0.1Na0.9] 1Al3(SO4)2.36(OH)5.28の製造
1.025mol/Lの硫酸アルミニウム381mlと硫酸ナトリウム48.5g(0.34mol)を脱イオン水で1900mlにし、室温において攪拌しながら3.382Nの水酸化ナトリウム357mlを約3分間で注加する。(アルカリ当量比:0.775、(1価陽イオンの硫酸塩)/(硫酸アルミニウム)なるモル比=0.28)。さらに20分間攪拌後、オートクレーブ装置に移して100℃で2時間水熱反応させた。25℃まで冷却後、濾別し、500mlの水で水洗して105℃で22時間乾燥させた結果、凝集塊状を呈するアルミニウム硫酸塩水酸化物粒子を得た。
その後のイオン交換処理過程は実施例I−1と同様にしV−1粒子を得た。
V−1粒子の性状を表−1に示すが粒子径均一性が悪く、しかも形状のSEM写真は図7に示すように凝集塊状のものであった。
この実験によって得られた粒子の形状が凝集塊状で粒子径均一性が悪かった原因は、本発明において球状粒子を製造する場合極めて重要である制御すべき反応時のアルカリ当量比、及び(1価陽イオンの硫酸塩)/(硫酸アルミニウム)なるモル比の両方が本発明で規定する範囲で制御されていなかっためと考えられる。
V−2粒子 [Ag0.1Na0.97]1.07Al3(SO4)2.42(OH)5.23の製造
アルカリ当量比を0.8に上げた変更以外は比較例I−1と同様の処理過程でV−2粒子を得た。
この実験では比較例I−1と異なり、アルカリ当量比を本発明の規定範囲内に上げたにも関らず(1価陽イオンの硫酸塩)/(硫酸アルミニウム)なるモル比が比較例I−1のままの0.28で本発明で規定する範囲外であった。そのため得られた物の粒子径均一性は比較例I−1の粒子より若干改善されたものの依然まだ悪く、しかも粒子形状は凝集塊状であった。
V−3粒子 [Ag0.1Na1.08]1.18Al3(SO4)2.11(OH)5.96の製造
アルカリ当量比を比較例I−2よりさらに上げ1.0に変更した以外は比較例I−1と同様の処理過程でV−3粒子を得た。V−3粒子の粒子径均一性は悪く、凝集塊状の粒子であった。
この実験でも比較例I−2同様アルカリ当量比が本発明の規定範囲内であっても、(1価陽イオンの硫酸塩)/(硫酸アルミニウム)なるモル比が本発明の規定範囲内になければ本発明の粒子径均一性に優れ、しかも球状の形状を有するアルミニウム硫酸塩水酸化物粒子は得られないことを示す結果となった。
つまり、比較例2及び比較例3からは、本発明の反応で制御すべきアルカリ当量比が、たとえ好ましい範囲である0.8や1.0であっても、それだけでは不十分でさらに(1価陽イオンの硫酸塩)/(硫酸アルミニウム)なるモル比も本発明の規定する範囲内で制御しなければ、本発明の粒子径均一性に優れた抗菌剤粒子は得られないことを示していることが理解できる。
V−4粒子 Na0.96Al3(SO4)1.92(OH)6.12の製造
銀とイオン交換しなかったこと以外は実施例I−1と同様の処理過程でV−4粒子を得た。
V−5粒子 [Ag0.1Na0.9] 1Al3(SO4)2(OH)6とベーマイト・ゲルのXRDパターンを示す混合物 の製造
球状粒子製造におけるアルカリ当量比を本発明の規定範囲外の1.3に変更したことが実施例I−3と異なるのみでその他の処理過程は実施例I−3同様の処理過程でV−5粒子を得た。
粒子形状は凝集塊状で、粒子径均一性D75/D25は8.52と悪かった。
X線回折のパターンは、式(1)以外の化合物として水酸化アルミニウムの結晶形態の1種であるベーマイト・ゲルのピークが認められた。
V−6粒子 [Ag0.1Na1.07] 1.17Al3(SO4)2.34(OH)5.490.51H2O の製造
(1価陽イオンの硫酸塩)/(硫酸アルミニウム)なるモル比が本発明の規定範囲外の3.0に変更したことが実施例I−3と異なるのみでその他の処理過程は実施例I−3同様の処理過程でV−6粒子を得た。粒子形状は凝集塊状で、平均2次粒子径が16.72と大きかった。
水熱処理温度を本発明の規定範囲外の80℃に変更したことが実施例I−3と異なるのみでその他の処理過程は実施例I−3同様の処理過程でV−7粒子を得た。
粒子形状は凝集塊状で、平均2次粒子径は25.8μmで、粒子径均一性D75/D25は4.02と悪かった。XRDでは無定形であることが判明した。
尚前記の実施例IのA1〜A31の各粒子は高純度の原料(不純物含有量Pb,Cd、As,Baは全て0.1ppm以下、Feは10ppm以下、Mn,Cu,Cr,Niは1ppm以下に精製されたもの)を使用し、且つ設備面では耐腐食性の前記の材質で構成された装置を使用し合成した。
そのため不純物含有量は天然の明礬石とは異なりPb,Cd、As,Baは全て0.1ppm以下、Feは10ppm以下、Mn,Cu,Cr,Niは1ppm以下,及びClは100ppm以下であった。尚不純物含有量は原子吸光法、又はICP−AES法(Inductively Coupled Plasma −Atomic Emission Spectroscopy)、又は蛍光X線法で測定した。
実施例II−1〜31、比較例II−1〜8I
実施例II−1は透明射出成形用グレードポリプロピレン100重量部、表−1記載のA1粒子0.06重量部を予め混合しておき、それを2軸混練押出機を使用し230℃で混練して混和ペレットを得それを230℃で2mmに射出成形して前記各試験用のテストピースを作成し抗菌性、透明性、白色性を前記の樹脂製品の測定方法(6)〜(8)で測定した。その結果を表−3の縦2重線より左側に示す。
混練押出加工時フィルター通過性試験(押出機圧力)の試験は上記(9)の方法で行った。
その結果を表−3の縦2重線より右側に示す。
その結果を表−3に示す。
比較例II−1〜3、及び比較例II−5は塊状凝集粒子でしかもDrの幅(粒子径分布幅)が大きいV−1〜3粒子、及びV−5粒子であるところが,比較例II−6はDrの幅(粒子径分布幅)は小さいが平均2次粒子径が16.72μmと大きくしかも塊状凝集粒子のV−6粒子であるところが、比較例II−4は銀を含まないアルミニウム硫酸塩水酸化物V−4粒子、比較例II−8の試験は抗菌剤無添加であるところが、実施例II−1と異なるだけで、その他の条件は実施例II−1同様にテストピースを作成し、同じ測定を行った。その結果を表−3に示す。
比較例II−1〜3、及び比較例II−5は塊状凝集粒子でしかもDrの幅(粒度分布幅)が大きいV−1〜3粒子、及びV−5粒子を使用したため、抗菌性と透明性が劣り、混練押出加工時フィルター通過性にも問題が生じた。
比較例II−6はDrの幅(粒子径分布幅)は小さいが平均2次粒子径が16.72μmと大きくしかも塊状凝集粒子のV−6粒子を使用したため抗菌性と透明性が劣り、混練押出加工時フィルター通過性にも問題が生じた。
比較例II−4ではアルミニウム硫酸塩水酸化物粒子を配合したにも関らず、銀を含有したアルミニウム硫酸塩水酸化物粒子ではなかったため抗菌効果は全く認められなかった。
比較例II−8では抗菌剤を配合しなかったため透明性と色には問題はなかったが、抗菌効果は全く認められなかった。
実施例II−32〜34
実施例II−32〜34は実施例II−1において抗菌化対象樹脂をポリプロピレンから、ポリスチレン、EVA樹脂、アクリル樹脂に変更し、抗菌剤はA−3,A−19,A−31粒子にし、抗菌剤配合量は表−7に示すようにし、混練時、成形時の温度を210℃に変更しただけでそれ以外は実施例II−1に準じておこなった。結果を表−4に示す。
実施例の成形品については透明性が損なわれることなく、色も無色(白)であり且つ抗菌性に関しても優れていることが確認された。
実施例II−35〜38
実施例II−35〜38は実施例II−1において抗菌化対象樹脂をポリプロピレンから、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン6・6、ポリアセタール樹脂等透明性を有し且つ加工時に水分が少ないことが要求される樹脂に変更し、抗菌剤はA−3、A−19、A−31粒子を表−5に示す量を使用し、混練時、成形時の温度をそれぞれの樹脂の常識的加工温度(PC,PET,ナイロン6・6では290℃、ポリアセタールでは190℃)に変更した以外は実施例II−1に準じて試験を行った。
結果を表−5に示す。
実施例II−35〜38ではA−3、A−19、A−31粒子のいずれかを使用したが得られた成形品にはシルバーストリークは発生しなかった。
実施例においては成形品の透明性がほとんど損なわれることなく、色も無色(白)であり且つ抗菌性に関しても優れていることが確認された。
実施例II−39
LDPE樹脂80重量%と抗菌剤A−3粒子20重量%の合計100重量%を予め加圧ニーダーを用い120℃で15分間混練したものを押出造粒機でホットカット法により120℃で直径約3mmのマスターバッチ・ペレットを得た。
そのマスターバッチ・ペレットを別のLDPE樹脂100重量部に対し抗菌剤A−3粒子が0.1重量部となるように配合したものをTダイ法及びインフレーション法によりそれぞれ厚さ50μmのフィルムを作成した。
そのフィルムについて抗菌性、透明性、白色性を前記の方法で測定した。その結果を表−7に示す。
実施例のフィルムについては透明性が損なわれることなく、色も無色(白)であり且つ抗菌性に関しても優れていることが確認された。A−19粒子,A−31粒子についても同様に50μmのフィルムを得た。
ポリプロピレン、LDPE,HDPE,アイオノマー樹脂、ナイロン6/66共重合樹脂、PET樹脂,AS樹脂のそれぞれの樹脂100重量部につき、2軸混練押出機を用いA−3粒子、A−19粒子、A−31粒子のそれぞれ0.1重量部配合の混和ペレットを得た。
そのペレットをTダイ法によりそれぞれ厚さ50μmのフィルムを得た。
そのフィルムについて抗菌性透明性、白色性を前記の方法で測定した。その結果を表−6に示す。
得られた各フィルムについては透明性が実質的に損なわれることなく、色も無色(白)であり且つ抗菌性に関しても優れていることが確認された。
実施例II−41
実施例II−41ではポリ塩化ビニル樹脂100重量部、抗菌剤A−3粒子0.1重量部、オクチル錫メルカプト1.2重量部、グリセリンリシノレート0.8重量部、モンタン酸エステル0.4重量部からなる組成物をオープンロールを用い180℃で3分間混練したものを圧縮成形機により180℃で厚さ2mmの成形板を得た。A−19粒子,A−31粒子についても同様に2mmの成形板を得た。
その成形板について抗菌性透明性、白色性を前記の方法で測定した。その結果を表−7に示す。
得られた各成形板については透明性が実質的に損なわれることなく、色も無色(白)であり且つ抗菌性に関しても優れていることが確認された。
実施例II−42
実施例II−42では不飽和ポリエステル樹脂100重量部、抗菌剤A−3粒子1重量部、硬化剤(チバスペシャルケミカル社製HY951)3重量部、ステアリン酸1重量部、酸化防止剤(チバスペシャルケミカル社製イルガノックス1010)0.5重量部、平均二次粒子径30μm、BET法比表面積1m2/gの人造代理石用途水酸化アルミニュウム150重量部をニーダーで混練して、それを90℃で15分間硬化させ厚さ2mmの板を得た。
A−19粒子,A−31粒子についても同様に2mmの板を得た。
その成形板について抗菌性を前記の方法で測定した。その結果を表−8に示す。
得られた各成形板については透明性が実質的に損なわれることなく、色も無色(白)であり且つ抗菌性に関しても優れていることが確認された。
実施例II−43
繊維用ポリプロピレン100重量部、抗菌剤A−3粒子を2重量部を2軸混練押出機を用いて予め混練しておき、それを300メッシュのスクリーンを付設した押出機を用い溶融法により100デニルに紡糸した繊維を得た。その繊維について抗菌性を前記の方法で測定した。その結果を表−8に示す。
A−19粒子,A−31粒子についても同様に100デニルの繊維を得た。
得られた各成形板については透明性が実質的に損なわれることなく、色も無色(白)であり且つ抗菌性に関しても優れていることが確認された。
尚前記の押出溶融法において各実施例II−43においては該スクリーンに粗大粒子が詰まって紡糸作業に支障をきたすことはなかった。
実施例II−44
実施例II−43で得られた各ポリプロピレン繊維を抄造ウエブ法及びランダムウエブ法により0.06g/cm3の密度に不織布を作成し前記の抗菌性の試験を行った。
A−19粒子,A−31粒子についても同様に不織布を得た。その結果を表−8に示す。
得られた各不織布については透明性が実質的に損なわれることなく、色も無色(白)であり且つ抗菌性に関しても優れていることが確認された。
実施例II−45
EPDM(エチレン/プロピレン比=50/50)100重量部、抗菌剤A−3粒子0.5重量部、ディクミルパーオキサイド3重量部、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2ディヒドロキノリン)0.5重量部、シランカップリング剤(日本ユニカ製A−172)1重量部、ステアリン酸0.5重量部、イオウ1重量部からなる組成物をオープンロールを用い50℃で混練し、それを1日後に160℃で30分加硫し厚さ2mmの成形板を得た。A−19粒子,A−31粒子についても同様に2mmの成形板を得た。
その成形板について抗菌性等を前記の方法で測定した。その結果を表−9に示す。
得られた各成形板については透明性が実質的に損なわれることなく、色も無色(白)であり且つ抗菌性に関しても優れていることが確認された。
実施例II−46
冷却設備を有する設備の中に、メチルメタクリレート60重量部、2−エチルヘキシルアクリレート40重量部の合計100重量部に対し、トリエチレングリコールジメタクリレート3重量部、ジアルキルフタレート10重量部、ハイドロキノン0.003重量部、融点46℃のパラフィンワックス0.5重量部、融点54℃のパラフィンワックス0.5重量部、N,N−ジ8ヒドロキシプロピル9−Pトルイジン0.7重量部を投入し攪拌しながらメチルメタクリレートとn−ブチルメタクリレートの共重合体(Tg=66℃、Mw=40,000)25重量部を除々に加え60℃で2時間攪拌し30℃まで冷却した。
このものにA−3粒子1重量部、着色剤三菱レイヨン製トナーP−400を7重量部、骨材三菱レイヨン製KM17を300重量部、重合開始剤ジアシルパーオキサイド2重量部からなる塗料を20℃で1時間放置し塗膜を作り前記(6)の(c)の方法により抗菌のテストを実施した。A−19粒子,A−31粒子についても同様に塗料を得た。その結果を表−9に示す。得られた塗料は抗菌性に関しても優れていることが確認された。
実施例II−47
シラノールを末端基とする25℃の粘度が50、000センチポイズのポリジメチルシロキサン100重量部に対し1重量部のγアミノプロピルビス(メチルエチルケトキシアミノ)メトキシシランを真空下で10分間混合し、ついでその混合物に5重量部のメチルトリス(メチルエチルケトキシアミノ)シランを加え真空下15分間混合し、BET法比表面積200m2/gのヒュームドシリカ5重量部、ジブチルスズラウレート0.1重量部、A−3粒子抗菌剤1重量部を加え真空下で10分間混合した。
この混合された組成物をポリエチレンシートの上に垂らして厚さ2mmにし抗菌性テスト用のテストピースを得た。A−19粒子,A−31粒子についても同様にテストピースを得た。
それを前記の抗菌性試験法(6)の(e)で塗布し抗菌のテストを実施した。その結果を表−9に示す。
実施例II−48、比較例II−1およびII−2
培地が感性MHB培地から日水製薬製ポテトデキストロース寒天培地に変更したことだけが異なる日本化学療法学会標準法(2003年改訂版)において最小発育阻止濃度を本発明の抗カビ剤粒子、及び比較例の粒子について抗カビ性能を測定し最小発育阻止濃度としてppmで示した。この数値が小さいほど抗カビ性能が高いことを示している。
測定の結果を下記表−10に示す。
試供カビは ※1:Caldosporium Caldosporides NBRC 6348 (黒カワカビ)、
※2:Colletotricum coccodes NBRC 5256 (ナス黒点根腐病原菌)、
※3:Ustilaginoidia virens NBRC 9175 (稲こうじ病原菌)を使用した。
実施例II−49、比較例II−3
下表に示す実施例と比較例の配合成分を用いた油中水型のクリーム状の乳化化粧料を調整した。表中1〜5は油性材料、6、7は界面活性剤、10抗菌剤とを混合したものをAとし、一方、表中の物質8精製水と,9の保湿剤を混合したものを混合物Bとし、各々の混合物A,Bを70℃に加熱した後、混合物A中に混合物Bを攪拌しながら流し入れ、乳化させその後室温まで冷却して油中水型のクリーム状の乳化化粧料を得た。
抗菌性テストは乳化30日後に大腸菌E.coli NBRC 3972を使用して前記(7)の(c)に準じて実施した。さらに実施例と比較例のクリームを日頃脇に悪臭の有る人の脇下に1g塗って8時間後に悪臭のあるかないかを10人に嗅いでもらった。
結果を下記表−11に示す。
一方、比較例においては実施例の抗菌剤がR1粒子に置き換えられたこと、又は抗菌剤が全く添加されなかったことが異なるのみであるが、抗菌性は無く且つ悪臭防止効果も無かったことが判明した。
実施例II−50、比較例II−4およびII−5
70℃に加温した容器の中に2.3重量部のジプロピレングリコールを入れ、さらに2.5重量部のラウリン酸と1重量部のミリスチン酸、さらに3.2重量部のトリエタノールアミンを加えて溶液を作成した。
次にこの溶液を70℃に加温した90重量部のイオン交換水に徐々に注加して乳化させ泡基材溶液を調製し、それを25℃まで冷却した。
該泡基材溶液に本発明の抗菌剤粒子1重量部添加して攪拌、混合し抗菌消臭泡沫状エアゾール組成物を調製した。
この組成物180gと噴射剤(LPG 0.34MPa)20gをブリキ缶のスプレー式容器に充填して抗菌消臭泡沫状エアゾールスプレーを作成した。
一方、日頃脇に悪臭の有る人に充分運動してもらった後で15cm×15cmの綿製のハンカチが0.5g、及び5g重くなるように汗を採取した。該ハンカチの表と裏に該抗菌消臭泡沫状エアゾールスプレーをそれぞれ1gづつ噴霧し、恒温槽に30℃で10日間静置した後で10人に悪臭を嗅いでもらった。結果を下記表−12に示す。
実施例II−51、比較例II−6およびII−7
さらしケミパルプ82%の中に、本発明の抗菌剤1%、デンプン(乾燥紙力増強剤)5%、尿素−ホルムアルデヒド樹脂(湿潤紙力増強剤)5%、ニ酸化チタン(無機填料)2%、ポリアミド系樹脂を主成分とするインキ(接着性バインダー)5%を混合し、抄紙機を用いて厚さ0.1mmの紙を抄いた。この紙を5cm×5cmに切り取り前記の抗菌性試験方法(7)の(a)同様のテストを実施した。結果を下記表−13に示す。
実施例II−52、比較例II−8およびII−9
実施例では本発明の粒子10重量部、シランカップリング剤表面改質軽質炭酸カルシウム(無機微粉体)30重量部、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル(界面活性剤)5重量部、エチレングリコール(界面活性剤)10重量部、キサンタンガム(乳化安定剤)0.2重量部、水44.8重量部をホモミキサーで均一に混合した後、ボールミルで均一に湿式粉砕して水性懸濁状農薬組成物をえた。これを水で1/100に希釈して市販のプラスチック製スプレー装置に入れた。
比較例は実施例の粒子が下記の粒子(II−8)、又はボルドー撒粉(II−9)に置き換えられたことが異なるだけでその他の実験方法は実施例の要領に準じた。
ナスには1×106個/mlに調製したColletotricum coccodes NBRC 5256 (ナス黒点根腐病原菌)懸濁液1gづつを葉、茎、根元に噴霧し、その1日後に前記の1/100に希釈された該水性懸濁状農薬組成物1gを同様に噴霧し、さらにその30日後にナス黒点根腐病の発生の程度を観察した。ただしナスの試験は直径33cm、深さ30cmの鉢に土が27cmの高さになるように入れて実施した。
稲には1×106個/mlに調製したUstilaginoidia virens NBRC 9175 (稲こうじ病原菌)懸濁液を1gづつを葉、茎、根元に噴霧し、その1日後に前記の1/100に希釈された該水性懸濁状農薬組成物1gを同様に噴霧し、さらにその30日後に稲こうじ病の発生の程度を観察した。ただし稲の試験は直径33cm、深さ30cmの鉢に土が27cmの高さになるように入れて土壌の水が表面からかろうじて切れるが土壌中には十分水が存在する条件下で実施した。測定の結果を下記表−14に示す。
Claims (20)
- 下記式(1)で表される銀含有アルミニウム硫酸塩水酸化物粒子抗菌剤。
[AgaB1+ b−a]b[M3−cAlc](SO4)y(OH)z・pH2O 式(1)
ただし式(1)中,a,b,c,y,z及びpは、それぞれ0.00001≦a<0.5、0.8≦b≦1.35、2.9≦c<3、1.7<y<2.5、4<z<7及び0≦p≦5を満足し、B1+はNa+、NH 4 + 及びH3O+よりなる群から選ばれた少なくとも1種の1価陽イオンであり、MはTiである。 - 式(1)中のbは0.9〜1.25である請求項1記載の抗菌剤。
- 式(1)中aは0.00001≦a≦0.35である請求項1または2記載の抗菌剤。
- レーザー回折散乱法で測定された平均2次粒子径が0.1〜10μmである請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗菌剤。
- BET法比表面積が0.1〜250m2/gである請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗菌剤。
- 式(1)中(SO4)yのSO4を、SO3 2−、PO4 3−、HPO3 2−、CO3 2−、NO3 −、SiO4 4−及びBO3 3−よりなる群から選ばれた他の無機酸イオンの少なくとも1種でyモルの1/10以下を置き換えたことからなる請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗菌剤。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の抗菌剤の表面が、高級脂肪酸類、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、アルコールリン酸エステル類及び界面活性剤類よりなる群から選ばれた少なくとも1種で表面処理された抗菌剤。
- 硫酸アルミニウム{Al2(SO4)3}とチタン化合物と1価陽イオンとしてNa + 及びNH4 +よりなる群から選ばれる少なくとも1種の1価陽イオン硫酸塩{(B1+)2(SO4)}の混合溶液に、当該1価陽イオンの水酸化物(B1+OH)溶液をアルカリ当量比(=[1価陽イオンの水酸化物]/[硫酸アルミニウム])が0.6〜1.0になるように添加され、且つ([1価陽イオン硫酸塩]/[硫酸アルミニウム])なるモル比が0.3〜3.0になるように添加された反応物をさらに90℃〜250℃水熱下反応処理させアルミニウム硫酸塩水酸化物粒子を生成した工程の後、該粒子と銀を含む水溶液とを接触攪拌して該粒子の1価陽イオンの一部を銀とイオン交換することによって生成することを特徴とする請求項1記載の銀含有アルミニウム硫酸塩水酸化物粒子抗菌剤の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の抗菌剤が樹脂100重量部に対し0.001〜10重量部配合された抗菌性樹脂組成物。
- 該抗菌剤の含有量が樹脂100重量部に対し0.001〜2重量部である請求項9に記載の抗菌性樹脂組成物。
- 請求項9記載の樹脂組成物から形成された抗菌性樹脂成形品。
- 請求項9記載の樹脂組成物から形成された抗菌性フィルム。
- 請求項9記載の樹脂組成物から形成された抗菌性繊維。
- 請求項9記載の抗菌性組成物から形成された抗菌性不織布。
- 請求項9記載の樹脂組成物から形成された抗菌性塗料。
- 請求項9記載の樹脂組成物から形成された抗菌性コーキング材。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の抗菌剤を含む抗カビ剤。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の抗菌剤を含む化粧料。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の抗菌剤を含む抗菌紙。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の抗菌剤を含む抗菌消臭スプレー。
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