JP5182000B2 - 液体吐出装置、及び、その制御方法 - Google Patents

液体吐出装置、及び、その制御方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5182000B2
JP5182000B2 JP2008264720A JP2008264720A JP5182000B2 JP 5182000 B2 JP5182000 B2 JP 5182000B2 JP 2008264720 A JP2008264720 A JP 2008264720A JP 2008264720 A JP2008264720 A JP 2008264720A JP 5182000 B2 JP5182000 B2 JP 5182000B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid
ejection
temperature
ink
drive pulse
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008264720A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010094808A (ja
Inventor
潤一郎 松下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2008264720A priority Critical patent/JP5182000B2/ja
Priority to US12/578,032 priority patent/US8109589B2/en
Publication of JP2010094808A publication Critical patent/JP2010094808A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5182000B2 publication Critical patent/JP5182000B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/07Ink jet characterised by jet control
    • B41J2/125Sensors, e.g. deflection sensors
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/07Ink jet characterised by jet control
    • B41J2/12Ink jet characterised by jet control testing or correcting charge or deflection

Description

本発明は、例えば、インクジェット式プリンタ等の液体吐出装置、及び、その制御方法に関するものであり、特に、駆動パルスにより吐出駆動部を駆動してノズル開口から液体を吐出する液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置、及び、その制御方法に関するものである。
例えば、液体吐出装置は、液体を吐出可能な液体吐出ヘッドを備え、この液体吐出ヘッドから各種の液体を吐出する装置である。この液体吐出装置の代表的なものとして、例えば、液体吐出ヘッドとしてのインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)を備え、この記録ヘッドの吐出駆動部を駆動パルスにより駆動して、記録ヘッドのノズル開口から液体状のインクを記録紙等の記録媒体(吐出対象物)に対して吐出・着弾させることで画像等の記録を行うインクジェット式プリンタ(以下、単にプリンタという。)等の画像記録装置を挙げることができる。また、近年においては、この画像記録装置に限らず、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造装置等、各種の製造装置にも液体吐出装置が応用されている。
そして、上記プリンタでは、環境温度(プリンタ周辺(内部)の温度、特に、ノズル開口近傍の温度)の変動に伴ってインクの温度が変動すると、インクの粘性が変動する。この結果、同じ波形の駆動パルスを用いていたとしても、ノズル開口から吐出されるインクの吐出挙動、例えば、吐出タイミングや吐出速度がバラついてしまい、画像が記録媒体に正しく印刷されないことになる。そこで、環境温度の変動に伴って駆動パルスを補正する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、記録ヘッドの周囲の温度(環境温度)をインクの温度とみなし、環境温度に基づいて駆動パルスを補正してインク吐出タイミングを調整し、インクの実際の着弾位置と目標の着弾位置との間にズレを生じ難くする技術が開示されている。
特開2001−096733号公報
しかしながら、上記の技術では、インクの温度情報を取得するために温度計測手段を別個に備える必要があり、好ましくない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、温度計測手段を別個に備えずに液体の温度の推定を行うことができ、液体の温度の変動が液体の吐出状態に及ぼす影響を十分に抑えることが可能な液体吐出装置、及び、その制御方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、吐出駆動部の駆動によりノズル開口から液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記吐出駆動部を駆動する駆動パルスを発生する駆動信号発生部と、
前記液体吐出ヘッドのノズル形成面に対して対向配置され、前記ノズル開口から吐出された液体を受ける液体受部と、
前記液体吐出ヘッドの導電部と液体受部との間に電圧を印加した状態で、ノズル開口から液体受部に向けて液体を吐出したときの前記導電部と液体受部との間における電気的変化を検出して電気的変化情報を取得する電気的変化検出部と、
前記電気的変化情報と、ノズル開口から吐出される液体の温度との相関関係を示す相関関係情報を記憶する相関関係情報記憶部と、を備え、
前記駆動信号発生部は、電気的変化検出部による電気的変化情報取得処理で用いられる情報取得用駆動パルスを発生し、
前記相関関係情報記憶部には、情報取得用駆動パルスを用いて液体を吐出した際に得られる電気的変化情報と液体の温度との相関関係を示す相関関係情報を予め記憶しておき、
該相関関係情報に基づいて、電気的変化情報取得処理で得られた電気的変化情報に対応する液体の温度を推定液体温度として推定し、駆動パルスを推定液体温度に応じて補正することを特徴とする。
なお、「導電部」とは、導電性を有し、且つ、液体吐出ヘッド内の液体と接触する部分を有する部材を意味する。
この構成によれば、液体吐出動作時に得られる電気的変化情報と、液体の温度との相関関係に基づいて、電気的変化情報に対応する液体の温度を推定液体温度として推定し、駆動パルスを推定液体温度に応じて補正するので、温度計測手段を別個に備えずに液体の温度の推定を行うことができる。また、液体の吐出精度が液体の温度の変動によって低下する不都合を抑制することが可能となる。さらに、液体周辺の構成要素(ノズル開口など)の温度ではなく、液体そのものの温度に関する情報に基づいて推定された推定液体温度を、駆動パルスの補正の判断基準とすることができる。したがって、液体の温度に対応して駆動パルスに好適な補正を施すことができ、液体の温度の変動が液体の吐出状態に及ぼす影響(例えば、液体の飛翔速度のバラつきや、吐出量のバラつき)を十分に抑えることが可能となる。
また、上記構成において、前記推定液体温度に応じて補正される駆動パルスは、液体を液体受部とは異なる吐出対象物に向けて吐出する際に用いられる吐出駆動パルスであってもよい。
この構成によれば、推定液体温度に応じて補正される駆動パルスを吐出駆動パルスとしたので、吐出対象物へ吐出された液体の状態(例えば、吐出対象物上における液体の着弾位置のずれや、着弾ドット径)を液体の温度の変動に拘らず好適に補正することが可能となる。
さらに、上記構成において、前記液体吐出ヘッドは、往復移動可能、且つ往動時と復動時の双方で液体を吐出可能であり、吐出駆動パルスの駆動のタイミングを前記推定液体温度に応じて補正して、往動時または復動時の少なくともいずれかにおける液体の吐出タイミングを調整可能としてもよい。
この構成によれば、吐出駆動パルスの駆動のタイミングを推定液体温度に応じて補正して、液体吐出ヘッドの往動時または復動時の少なくともいずれかにおける液体の吐出タイミングを調整可能となるので、液体の温度が変動したとしても、往動時に吐出された液体の着弾位置と、復動時に吐出された液体の着弾位置との相対位置関係を、予め決めておいた設定どおりに整えることができる。
また、上記構成において、前記電気的変化検出部は、前記液体吐出ヘッドの導電部と液体受部との間に電圧を印加した状態で、ノズル開口から液体受部に向けて液体を吐出したときの前記導電部と液体受部との間における電気的変化を検出することで、ノズル開口からの液体の吐出の有無を検査する吐出検査部として機能するように設定してもよい。
この構成によれば、液体吐出ヘッドの導電部と液体受部との間に電圧を印加した状態で、ノズル開口から液体受部に向けて液体を吐出したときの前記導電部と液体受部との間における電気的変化を検出することで、ノズル開口からの液体の吐出の有無を検査可能としたので、吐出検査用駆動パルスを推定液体温度に応じて補正することができ、吐出検査の判定精度が液体の温度の変動によって低下してしまう不都合を抑制することが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体吐出装置として、図1に示すインクジェット式プリンタ(以下、プリンタと略記する)を例示する。
本実施形態のプリンタ1は、図1に示すように、液体吐出ヘッドとしてのインクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッド)2をキャリッジ3に搭載して備えている。また、このプリンタ1は、キャリッジ3を記録紙4(本発明における吐出対象物の一種)の幅方向である主走査方向に往復移動させるキャリッジ移動機構5と、主走査方向に直交する副走査方向に記録紙4を搬送する紙送り機構6と、記録紙4が載置されるプラテン7と、プラテン7から主走査方向の一端側に外れた位置(ホームポジション)に設けられたキャッピング機構8と、プリンタ1の全体をコントロールするコントローラ9とを備えている。
上記キャリッジ3には、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色のインク(本発明における液体に相当)を個別に収容したインクカートリッジ11が着脱可能に搭載されており、これらのインクカートリッジ11のインクが記録ヘッド2にそれぞれ供給される。また、プリンタ1の本体内には、キャリッジ3の位置を検出するリニアエンコーダ12が配置されており、このリニアエンコーダ12から検出信号に基づいてキャリッジ3のポジションが管理可能となっている。
記録ヘッド2は、図2に示すように、ノズル開口13が形成されたノズルプレート15と、ノズル開口13に連通する圧力発生室16を含むインク流路を形成する流路形成プレート17と、圧力発生室16の開口部を封止する可撓性の振動板18と、この振動板18の上面に接合された圧電素子19(本発明における吐出駆動部に相当)とを備えている。ノズルプレート15は、シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)及びブラック(K)の各色のインクを吐出するノズル開口13を副走査方向に沿って複数個(本実施形態においては180個)列設してノズル列14が形成されている。そして、このノズル列14は、各色に対応して合計4列(14C,14M,14Y,14K)設けられている。
また、記録ヘッド2は、ヘッド駆動基板21上に、各ノズル開口13をそれぞれ駆動する複数の圧電素子19に対応して設けられた複数のマスク回路22を備えている。そして、このマスク回路22から圧電素子19に電圧(駆動信号)を印加してこの圧電素子19を伸縮駆動させることで、圧力発生室16の容積を膨張又は収縮させて圧力発生室16内のインクに圧力変動を生じさせ、この圧力変動を制御することにより、ノズル開口13からインクを吐出させる。マスク回路22には、コントローラ9の駆動信号発生回路25(本発明における駆動信号発生部の一種。図1参照。)で生成された駆動信号COMや印刷信号PRTnが入力される。なお、印刷信号PRTnの末尾のnはノズル列14に含まれるノズル開口13を特定するための番号であり、本実施形態ではノズル列14は180個のノズル開口13からなるため、nは1から180のいずれかの整数値となる。
コントローラ9は、図1に示すように、CPU26(後述する吐出検査装置32と共に本発明における電気的変化検出部および吐出検査部として機能する。)を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、各種処理プログラムを記憶したROM27と、一時的にデータを記憶したりデータを保存したりするRAM28と、データを書き込み消去可能なフラッシュメモリ29と、外部機器との情報のやり取りを行うインタフェース(I/F)30と、後述するインク温度に関する情報を記憶する相関関係情報記憶部31と、を備えている。
ROM27には、メインルーチンや、後述する吐出検査ルーチン、印刷処理ルーチンの各処理プログラムが記憶されている。また、RAM28には、印刷バッファ領域が設けられており、この印刷バッファに外部機器からI/F30を介して送られてきた印刷データが記憶される。このコントローラ9には、リニアエンコーダ12からのポジション信号などが図示しない入力ポートを介して入力されるほか、外部機器から出力された印刷ジョブなどがI/F30を介して入力される。また、コントローラ9からは、記録ヘッド2(マスク回路22や圧電素子19を含む)への制御信号やキャリッジ移動機構5への制御信号、紙送り機構6への駆動信号、キャッピング機構8への動作制御信号などが図示しない出力ポートを介して出力されるほか、外部機器の印刷ステータス情報などがI/F30を介して出力される。
駆動信号発生回路25は、図2に示すように、1画素分の区間(1吐出周期又は1記録周期)Tにおいて主として第1吐出パルスP1と第2吐出パルスP2と第3吐出パルスP3との3つの駆動パルスを繰り返し単位とした駆動信号COMを、マスク回路22に出力する。以下、これらの吐出パルスP1〜P3を、適宜、通常駆動パルスP(本発明における吐出駆動パルスに相当)と総称する。この通常駆動パルスPは、ノズル開口13からインクを吐出して記録紙4に画像やテキスト等を印刷する通常記録モード(印刷モード)で用いられる駆動パルスである。また、駆動信号発生回路25は、後述する吐出検査ルーチン(本発明における電気的変化情報取得処理および吐出検査処理に相当)、詳しくは、各ノズル開口13からインクが正常に吐出されるか否かの検査ルーチンにおいて用いられる検査用駆動信号COM′を発生する。この検査用駆動信号COM′は、通常駆動パルスPと比較してインクの飛翔速度が高められた吐出検査用駆動パルスPtを含む駆動信号である。マスク回路22は、駆動信号COM(COM′)や印刷信号PRTnが入力されると、これらの信号に基づいて駆動信号COM(COM′)から必要なパルスを駆動パルスDRVn(nは1から180のいずれかの整数値)として圧電素子19に向けて選択的に出力する。
図3は、上記駆動信号発生回路25が発生する駆動信号COMにおける通常駆動パルスP(図3(a))と、検査用駆動信号COM′における吐出検査用駆動パルスPt(図3(b))の構成を説明する波形図である。
図3(a)に示すように、通常駆動パルスPは、基準電位VBから最高電位VHまで一定勾配で電位を上昇させる第1予備膨張要素p11と、第1予備膨張要素p11の後端電位である最高電位VHを一定時間維持する第1膨張ホールド要素p12と、最高電位VHから最低電位VLまで比較的急峻な勾配で電位を降下させる第1吐出要素p13と、最低電位VLを一定時間維持する第1収縮ホールド要素p14と、最低電位VLから当該最低電位VLと基準電位VBとの間の中間電位VMまで一定勾配で電位を上昇させる第1中間膨張要素p15と、中間電位VMを一定時間維持する第1中間ホールド要素p16と、中間電位VMから基準電位VBまで一定勾配で電位を復帰させる第1復帰膨張要素p17とから構成されている。
また、図3(b)に示すように、検査用駆動信号COM′の吐出検査用駆動パルスPtは、上記通常駆動パルスPと同様な波形要素から構成されており、基準電位VBから最高電位VHまで一定勾配で電位を上昇させる第2予備膨張要素p21と、この第2予備膨張要素p21の後端電位である最高電位VHを一定時間維持する第2膨張ホールド要素p22と、最高電位VHから最低電位VLまで比較的急峻な勾配で電位を降下させる第2吐出要素p23と、最低電位VLを一定時間維持する第2収縮ホールド要素p24と、最低電位VLから中間電位VMまで一定勾配で電位を上昇させる第2中間膨張要素p25と、中間電位VMを一定時間維持する第2中間ホールド要素p26と、中間電位VMから基準電位VBまで一定勾配で電位を復帰させる第2復帰膨張要素p27とから構成されている。
上記駆動パルスP,Ptが圧電素子19に供給されると次のように作用する。まず、予備膨張要素p11,p21が圧電素子19に供給されると、当該圧電素子19が収縮し、これに伴って圧力発生室16が基準電位VBに対応する基準容積から最高電位VHに対応する最大容積まで膨張する。これにより、ノズル開口13に露出しているメニスカスが圧力発生室16側に引き込まれる。この圧力発生室16の膨張状態は、膨張ホールド要素p12,p22の供給期間中に亘って一定に維持される。
膨張ホールド要素p12,p22の後に続いて吐出要素p13,p23が圧電素子19に供給されると当該圧電素子19が伸長し、これにより、圧力発生室16が上記最大容積から最低電位VLに対応する最小容積まで急激に収縮する。この圧力発生室16の急激な収縮によって圧力発生室16内のインクが加圧され、これにより、ノズル開口13からは数pl〜数十plのインクが吐出される。この圧力発生室16の収縮状態は、収縮ホールド要素p14,p24の供給期間に亘って短時間維持され、その後、中間膨張要素p15,p25、中間ホールド要素p16,p26、及び復帰膨張要素p17,p27が圧電素子19に順次供給されて、圧力発生室16が最低電位VLに対応する容積から基準電位VBに対応する基準容積まで復帰する。
このように、通常駆動パルスPと吐出検査用駆動パルスPtとは、インクを吐出するための基本的な機能は共通している。しかし、両者は圧電素子19に印加されることでノズル開口13から吐出されるインクの飛翔速度が互いに異なるように設定されている。具体的には、吐出検査ルーチンにおいて吐出検査用駆動パルスPtを用いて吐出したときのインクの飛翔速度Vmtが、通常記録モードにおいて通常駆動パルスPを用いて吐出したときのインクの飛翔速度Vmよりも高くなるようになっている。
図4は、第2膨張ホールド要素p22の時間幅t22を変化させたときのインクの飛翔速度Vmtの変化を示すグラフである。このグラフに示すように、時間幅t22を変化させると、インクの飛翔速度Vmtが増減することが判る。ここで、吐出されたインクの飛翔速度は、吐出タイミングにおけるメニスカスの状態、具体的には、メニスカスの位置や移動速度によって変化する。圧力発生室16内のインクに圧力振動を励起させる第2予備膨張要素p21で膨張させることで発生した圧力振動の周期は、液体噴射ヘッド毎に定まる圧力発生室16の固有振動周期Tcと呼ばれ、メニスカスの状態は、圧力発生室16内のインクに励起される圧力振動に依存する。即ち、固有振動周期Tcに応じて、メニスカスが振動し、インクの飛翔速度は変化する。したがって、この固有振動周期Tcを考慮して各波形要素の時間幅を設定することでインクの飛翔速度Vmtを高めることができる。
このように設定された吐出検査用駆動パルスPtでは、インクの飛翔速度Vmtを、通常駆動パルスPによるインクの飛翔速度Vmに対して約数十%高めることができた。また、吐出されるインクの量については大きな変化は無かった。即ち、吐出されるインク量の変化を抑えつつ、飛翔速度のみを高めることができる。なお、このように通常駆動パルスPを使用した場合と比較してインクの飛翔速度が高められた吐出検査用駆動パルスPtでは、吐出されるインクの飛翔方向が、通常印刷時のインクの飛翔方向と比べて大きく曲ったり、主たるインクの後に付随して飛翔するインク滴(サテライトインク滴)が生じたりする場合があるため、通常の記録モードにおける画像等の印刷には適さない。その一方で、後述する吐出検査ルーチンでは、ある程度のインクの飛翔方向の曲りやサテライトインク滴は検査精度に大きな影響を及ぼさないため問題とならない。
そして、プリンタ1には、吐出検査ルーチンを行う吐出検査装置32(CPU26と共に本発明における電気変化検出部および吐出検査部として機能する。)が備えられている。図5は、吐出検査装置32の模式図である。吐出検査装置32は、ホームポジションに配置されたキャッピング機構8に設けられた液体受部としてのキャップ部材33と、このキャップ部材33の内部に設けられた検査領域34と、この検査領域34と記録ヘッド2のノズルプレート15(本発明における導電部の一種)との間に電圧を印加する電圧印加回路35と、検査領域34の電圧を検出する電圧検出回路36とから構成される。キャップ部材33は、上面が開放されたトレイ状の部材であり、エラストマー等の弾性部材により作製されている。このキャップ部材33の内部にはインク吸収体37が配設されている。このインク吸収体37は、上側吸収体37aと下側吸収体37bとによって構成され、これらの吸収体37a,37bの間には、メッシュ状の電極部材38が配設されている。上側吸収体37aは、電極部材38と同電位となるように導電性を有するスポンジによって作製されている。このスポンジは、着弾したインク滴が速やかに下方に移動可能な透過性の高いものであり、本実施形態ではエステル系ウレタンスポンジが用いられている。上側吸収体37aの表面が検査領域34に相当する。下側吸収体37bは、上側吸収体37aに比べてインクの保持力が高いものであり、フェルトなどの不織布によって作製されている。電極部材38は、ステンレス鋼等の金属からなる格子状のメッシュとして形成されている。このため、上側吸収体37aに一旦吸収されたインクは格子状の電極部材38の隙間を通って下側吸収体37bに吸収・保持される。
なお、上側吸収体37aと下側吸収体37bの一方あるいは両方は、無くてもよい。
電圧印加回路35は、電極部材38が正極、記録ヘッド2のノズルプレート15が負極となるようにプリンタ本体の直流電源(例えば数百〔V〕)と抵抗素子(例えば数〔MΩ〕)とを介して両者を電気的に接続している。ここで、電極部材38は、導電性を有する上側吸収体37aと接触しているため、上側吸収体37aの表面すなわち検査領域34も電極部材38と同電位となる。電圧検出回路36は、電極部材38の電圧信号を積分して出力する積分回路40と、この積分回路40から出力された信号を反転増幅して出力する反転増幅回路41と、この反転増幅回路41から出力された信号をA/D変換してコントローラ9側へ出力するA/D変換回路42とを備えている。積分回路40は、複数のインク滴の飛翔・着弾による電圧変化(電気的変化の一種)を積分することにより、より大きな電圧変化として出力するものである。反転増幅回路41は、電圧変化の正負を反転させると共に所定の増幅率で積分回路40から出力された信号を増幅して出力するものである。A/D変換回路42は、反転増幅回路41から出力されたアナログ信号をディジタル信号に変換して検出信号としてコントローラ9側に出力する。
このような構成の吐出検査装置32を利用した吐出検査ルーチンでは、まず、記録ヘッド2がキャップ部材33の上方に位置付けられると共に、キャップ部材33は、記録ヘッド2から吐出されるインクが検査領域34に着弾可能な位置までキャッピング機構8の昇降機構によって上昇して、検査領域34を記録ヘッド2のノズル形成面(ノズルプレート15)に非接触状態で対向させる。そして、電圧印加回路35によってノズルプレート15と電極部材38との間に電圧を印加した状態で、上記吐出検査用駆動パルスPtを用いて圧電素子19を駆動することによりノズル開口13からインクが吐出される。本実施形態の場合、ノズルプレート15が負極となっているため、図6(a)に示すように、ノズルプレート15の一部の負電荷がインクに移動し、吐出されたインクは負に帯電する。このインク滴がキャップ部材33の検査領域34に向けて近づくに連れ、静電誘導によって検査領域34(上側吸収体37aの表面)では正電荷が増加する。これにより、ノズルプレート15と電極部材38との間の電圧は、静電誘導によって誘導電流が流れることにより、インクを吐出しない状態における当初の電圧値よりも高くなる。その後、図6(b)に示すように、インク滴が上側吸収体37aに着弾すると、インクの負電荷により上側吸収体37aの正電荷が中和される。この結果、ノズルプレート15と電極部材38との間の電圧は当初の電圧値を下回る。その後、ノズルプレート15と電極部材38との間の電圧は当初の電圧値に戻る。
図7は、吐出検査装置32の電圧検出回路36から出力される検出信号の波形の一例を示す図である。1ショット分のインク滴による検出信号の振幅は極めて小さいことから、検査時における1つのノズル開口13についてインクを複数回吐出する。これにより、検出信号は、積分回路40によって複数ショット分のインクによる検出電圧の積分値となり、さらに反復増幅回路41によって反転増幅されるため、検査に十分大きな出力波形となる。なお、電圧検出回路36から出力される信号は、反転増幅回路41を経由することから振幅の向きが逆転する。
このようにして、ノズル列14毎に、当該ノズル列14を構成する各ノズル開口13についてそれぞれ吐出検査が順次行われ、吐出検査装置32からの検査結果としての検出信号は、コントローラ9のRAM28に蓄積されていく。コントローラ9のCPU26は、本発明における電気的変化検出部および吐出検査部として機能し、受信した検出信号の振幅を電気的変化情報として取得する。具体的には、検出信号の極大値と極小値を検出し、これらの電位差を当該検出信号の振幅として取得する。そして、CPU26は、検出信号の振幅(検出電圧)に基づいて各ノズル開口13からインクが正常に吐出されているか否かの判定を行う。ここで、ノズル開口13からインクが全く吐出されなかったり、又は、吐出されたインクの量が規定量(設計上の目標とするインク量)よりも極めて少なかったりした場合には、検出信号の振幅が正常時、即ちノズル開口13から規定量のインクが吐出された場合と比べて小さくなるか又はゼロに限りなく近い値となるので、検出信号の振幅が予め定められた閾値を下回るか否かに基づいて、ノズル開口13からインクが正常に吐出されているか否かの判定を行うことができる。また、プリンタ1は、所定の時期に吐出検査装置32を用いて、ノズル開口13からインクが正常に吐出されているか否かの判定を行う。
なお、図8は、インクの飛翔速度(吐出検査用駆動パルスPtを用いて吐出したときのインクの飛翔速度)Vmtと検出信号の振幅(検出電圧(V))との関係を示すグラフである。同図に示すように、検出電圧(V)は、インクの飛翔速度に依存しており、飛翔速度が高いほど検出電圧(V)も高くなる傾向にある。ここで、電荷を持ったインクが一定間隔xの電極間(つまり、本実施形態の場合、ノズルプレート15と検査領域34との間)の電界中を速度Vmtで移動して検査領域34に着弾した際において、時間dtで電荷がdQ変化したとすると、そのときに流れる電流Iは、以下の式(1)で表される。なお、ここでは電流の方向(正負)については考慮していない。
I=Vmt×dQ/dx …(1)
したがって、上記式(1)より、インクの飛翔速度Vmtが高い程、生じる電流Iが大きくなるため、これに伴って検出電圧(V)も高くなる。
そして、コントローラ9の相関関係情報記憶部31には、吐出検査と同様の手順で得られた検出信号の振幅(検出電圧)と、液体の温度との相関関係を示す相関関係情報が予め記憶されている。具体的には、上記吐出検査ルーチンと同様の手順、すなわち、吐出検査用駆動パルスPtを用いて圧電素子19を駆動してノズル開口13から検査領域34へインクを吐出する手順で、検出信号の振幅(検出電圧)がインク自体の温度設定(言い換えるとノズル開口13から吐出されるインクの温度設定)を異ならせた条件で複数取得され(図9参照)、このインクの設定温度と検出信号の振幅との相関関係が相関関係情報(例えばテーブルデータや相関式(近似式))として相関関係情報記憶部31へ記憶されている。なお、相関関係情報を取得する際には、吐出検査用駆動パルスPtは、温度設定に拘らず同一波形のものを使用する。
なお、図9に示すインク温度と検出信号の振幅(検出電圧)との相関関係は、本実施形態において取得された相関関係である。図9に示す温度の範囲、言い換えると、本実施形態におけるプリンタ1の実際の使用が想定される環境温度の範囲においては、温度が上昇するのに伴い検出電圧が上昇する、つまり、温度と検出された電気的変化との間に所定の関係を有する相関関係が取得された。これは、前述の各説明から、温度によってインクの粘度が変化するのに伴い、圧力発生室16の固有振動周期Tcが変化して、それに伴いインクの飛翔速度Vmtが変化し、インク飛翔速度Vmtの変化に伴い検出電圧が変化したものと推測する。
さらに、相関関係情報記憶部31には、上記相関関係情報の他に、インク温度と、該インク温度に対応する補正値との相関関係を示す補正情報が予め記憶されている。この補正情報は、インク温度やインク粘度が変化したとしても、ノズル開口13から吐出されたインクを予め設定された条件(着弾位置、着弾ドット径等)どおりに記録紙4上へ着弾できるようにするために必要な情報である。具体的には、例えば、インク温度毎に対応して、通常駆動パルスPの波形に関する補正値(通常駆動パルスPの開始タイミングの時間調整データ、通常駆動パルスPを構成する各要素の継続時間調整データ、通常駆動パルスPの駆動電圧補正データ等)を複数記憶したり、あるいはインク温度と前記補正値との相関式を記憶したりして構成されている。
次に、上記構成を備えたプリンタ1の作用、特に、キャップ部材33に向けてインクを吐出する際に用いられる吐出検査用駆動パルスPt、および記録紙4(キャップ部材33とは異なる吐出対象物)に向けてインクを吐出する際に用いられる通常駆動パルスPの補正手順について説明する。
上記プリンタ1では、記録ヘッド2の発熱等により環境温度(プリンタ1の内部、特にノズル開口13の近傍の温度)が変動した場合、この温度の変動に伴ってインク自体の温度が変動し、ノズル開口13の近傍のインクの粘度(インク粘度)が変動する。具体的には、例えば、常温(例えば、25℃。以下、適宜、基準温度という。)よりも高温になった場合にはインク粘度が低下する。このため、温度変動に関して何等対策を施していない通常駆動パルスPまたは吐出検査用駆動パルスPtを用いてインクを吐出したときの飛翔速度が高まる。インクの飛翔速度が常温時の飛翔速度よりも上がることによって、飛翔方向の曲がりが大きくなったり、サテライトインク滴がメインのインク滴から離れてミスト化したりすると、通常の印刷時においては、記録紙4に印刷される画像やテキスト等が不鮮明になってしまう虞がある。また、吐出検査ルーチンにおいては、吐出検査の指標となるインクがこのインクを捕捉するための検査領域34以外に付着してしまい、検査精度が低下する虞がある。一方、常温よりも低温になった場合、インク粘度が高くなるのでインクの飛翔速度が低下する。インクの飛翔速度が低下すると、通常印刷時ではインクが記録紙4に到達し難くなり、印刷される画像やテキスト等がかすれて不鮮明になってしまう虞がある。さらに、吐出検査ルーチンにおいては検出電圧が低下し、これにより検出精度の低下を招く虞がある。そこで、駆動信号発生回路25は、駆動信号補正手段として機能し、相関関係情報記憶部31に記憶されている相関関係情報に基づいてインク温度を推定し、この推定インク温度(本発明における推定液体温度に相当)に基づいて吐出検査用駆動パルスPtや通常駆動パルスPを補正する。
吐出検査用駆動パルスPtの補正処理について具体的に説明すると、まず、情報取得用駆動パルスとしての吐出検査用駆動パルスPtを用いて現状のインク温度を推定するインク温度推定処理(電気的変化情報取得処理)を行う。詳しくは、駆動信号補正手段としての駆動信号発生回路25が吐出検査用駆動パルスPtを発生させてインクをノズル開口13からキャップ部材33へ吐出し、この吐出動作に基づいて、吐出検査装置32およびCPU26により検出信号の振幅を温度推定用振幅(温度推定用検出電圧)として取得する。さらに、取得された温度推定用検出電圧と、相関関係情報記憶部31内の相関関係情報とを照合し、温度推定用検出電圧に対応するインク温度を推定して推定インク温度とする。なお、情報取得用駆動パルスとしての吐出検査用駆動パルスPtは、上記相関関係情報を取得する際に用いた吐出検査用駆動パルスPtと波形が同一であるものを使用する。
推定インク温度を推定したならば、この推定インク温度に応じて吐出検査用駆動パルスPtを補正し、補正後の吐出検査用駆動パルスPtを用いてインクを吐出した際のインク飛翔速度Vmt′が、補正前の吐出検査用駆動パルスPtを基準温度におけるインクの飛翔速度Vmtに揃うようにする。つまり、インク温度(または環境温度)によらずインクの飛翔速度が一定に揃うように吐出検査用駆動パルスPtを補正する。例えば、インク温度が基準温度よりも上昇した場合には、インクの飛翔速度が常温時よりも高くなるので、第2予備膨張要素p21の時間幅t21と、第2膨張ホールド要素p22の時間幅t22を、それぞれ補正前よりも長くすることにより、インクの飛翔速度を低下させて、常温時の飛翔速度に合わせる。一方、インク温度が基準温度よりも低下した場合には、インクの飛翔速度が常温時よりも低くなるので、第2予備膨張要素p21の時間幅t21と、第2膨張ホールド要素p22の時間幅t22を、それぞれ補正前よりも短くすることにより、インクの飛翔速度を高めて、常温時の飛翔速度に合わせる。
また、環境温度の変動に伴ってインク温度が変動してインク粘度が変動することにより、ノズル開口13から吐出されるインクの量(重量又は体積)も増減する。インク量の僅かな増減であれば、吐出検査における検査精度に大きな影響を及ぼさないが、その変動が過大になると、検査精度にも影響が出てくる可能性があるため、1回に吐出されるインクの量についても、基準温度で吐出したときのインク量(適正値)に揃える補正を行うことが望ましい。具体的には、吐出検査用駆動パルスPtの駆動電圧Vd(最低電位VLと最高電位VHとの電位差)を補正する。例えば、推定インク温度が基準温度よりも高い場合には、吐出検査用駆動パルスPtの波形を補正して駆動電圧Vdを基準値(基準温度時の設定電圧)よりも低下させることにより、ノズル開口13から吐出されるインクの量を低減させて上記の適正値となるように調整する。同様に、推定インク温度が基準温度よりも低い場合には、吐出検査用駆動パルスPtの波形を補正して駆動電圧Vdを基準値よりも高めることで、ノズル開口13から吐出されるインクの量を増加させて適正値に揃える。
吐出検査用駆動パルスPtを補正してインクの飛翔速度やインク量の設定を調整したならば、この補正した吐出検査用駆動パルスPtを用いて上記吐出検査ルーチンを実行し、ノズル開口13からインクが正常に吐出されているか否かの判定を行う。
このようにして、本発明に係るプリンタ1では、吐出検査用駆動パルスPt(具体的には吐出検査用駆動パルスPtの波形)を推定インク温度に応じて補正するので、環境温度の変動に伴うインク温度の変動により吐出検査の判定精度が低下する不都合を抑制することが可能となる。さらに、インク周辺の構成要素(ノズル開口13など)の温度ではなく、インクそのものの温度に関する情報に基づいて推定された推定インク温度を、吐出検査用駆動パルスPtの補正の判断基準とすることができる。したがって、インクの温度に対応して吐出検査用駆動パルスPtに好適な補正を施すことができ、インクの温度の変動がインクの吐出状態に及ぼす影響(例えば、インクの飛翔速度のバラつきや、吐出量のバラつき)を十分に抑えることが可能となる。
一方、通常駆動パルスPの補正処理においては、補正後の通常駆動パルスPを用いてインクを吐出した際のインクの着弾状態(着弾位置、着弾ドット径等)が、予め設定しておいた着弾条件に揃うようにする。具体的には、まず、情報取得用駆動パルスとしての吐出検査用駆動パルスPtを用いて現状のインク温度を推定するインク温度推定処理(電気的変化情報取得処理)を行う。詳しくは、駆動信号補正手段としての駆動信号発生回路25が吐出検査用駆動パルスPtを発生させてインクをノズル開口13からキャップ部材33へ吐出し、この吐出動作に基づいて、吐出検査装置32およびCPU26により検出信号の振幅を温度推定用振幅(温度推定用検出電圧)として取得する。さらに、温度推定用検出電圧と相関関係情報記憶部31内の相関関係情報とを照合し、温度推定用検出電圧に対応するインク温度を推定して推定インク温度とする。なお、情報取得用駆動パルスとしての吐出検査用駆動パルスPtは、上記相関関係情報を取得する際に用いた吐出検査用駆動パルスPtと波形が同一であるものを使用する。
推定インク温度を推定したならば、相関関係情報記憶部31内の補正情報を照合し、推定インク温度に対応する補正値を取得する。そして、取得された補正値に基づいて通常駆動パルスPの波形(通常駆動パルスPの開始タイミング、構成要素の継続時間、駆動電圧等)を補正(調整)し、補正後の通常駆動パルスPを用いてインクをノズル開口13から吐出する。この結果、インク温度の変動によるインクの吐出精度の低下を抑制することが可能となる。また、インク周辺の構成要素(ノズル開口13など)の温度ではなく、インクそのものの温度に関する情報に基づいて推定された推定インク温度を、通常駆動パルスPの補正の判断基準とすることができる。したがって、インク温度に対応して通常駆動パルスPに好適な補正を施すことができ、インク温度の変動がインクの吐出状態に及ぼす影響(例えば、インクの飛翔速度のバラつきや、吐出量のバラつき)を十分に抑えることが可能となる。また、記録紙4へ吐出されたインクの着弾状態(例えば、記録紙4上におけるインクの着弾位置のずれや、着弾ドット径)をインクの温度の変動に拘らず好適に補正することが可能となる。さらに、記録ヘッド2にインク温度を測定するための温度センサを備えておく必要がなく、記録ヘッド2の軽量化、ひいては記録ヘッド2の構造の簡素化および移動速度の高速化を図ることができる。
そして、記録ヘッド2が主走査方向に沿って往動および復動する時の双方でインクを吐出可能な双方向吐出を行う場合には、往動時に圧電素子19へ供給される通常駆動パルスP(往動時駆動パルス)の駆動タイミング、または復動時に圧電素子19へ供給される通常駆動パルスP(復動時駆動パルス)の駆動タイミングの少なくともいずれかを推定インク温度に応じて補正し、往動時または復動時の少なくともいずれかにおけるインクの吐出タイミングや飛翔速度を調整する。具体的には、往動時駆動パルスに適用する補正値(往動補正値)と復動時駆動パルスに適用する補正値(復動補正値)とをセットにして双方向補正値とし、該双方向補正値を相関関係情報記憶部31に記憶される前記補正情報として予め記憶しておき、インク温度推定処理で推定された推定インク温度に対応する双方向補正値に基づいて、往動時駆動パルスと復動時駆動パルスとを補正する。このとき、往動補正値が示す補正内容のみが「補正なし」であれば、復動時駆動パルスのみを補正することになり、復動補正値が示す補正内容のみが「補正なし」であれば、往動時駆動パルスのみを補正することになる。これらのような補正処理の結果、インクの温度が変動したとしても、往動時駆動パルスを用いて吐出されるインクの着弾位置(往動着弾位置)と、復動時駆動パルスを用いて吐出されるインクの着弾位置(復動着弾位置)との相対位置関係を予め決めておいた設定(例えば、所定の間隔で離間した状態や、一部または全体を重ね合わせた状態)どおりに整えることができる。
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、本発明における液体受部として、キャッピング機構8のキャップ部材33を用いる構成を例示したが、これには限らず、吐出検査専用に独立した液体受部を設けるようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、電極部材38が正極、記録ヘッド2のノズルプレート15が負極となるように両者を電気的に接続した例を示したが、この例には限られない。両者の正負を逆転させる構成とすることも可能である。また、正極と負極の一方が、電位が略ゼロであるGND電位(接地電位)となっていてもよい。また、記録ヘッド2における導電部としてはノズルプレート15に限らず、導電性を有し、且つ、記録ヘッド2内のインクに接触する部分を有するものであれば他の部材でもよい。また、キャップ部材33における電極部材38に、電気的変化を検出する電圧検出回路36を接続する構成を例示したが、記録ヘッドにおける導電部に、電圧検出回路を接続してもよい。
そして、上記実施形態では、吐出検出装置および吐出検出装置にて行われる吐出検出ルーチンと同じ手順を利用してインク温度推定処理を行う例を示したが、これに限定されるものではない。要は、導電部と液体受部との間における電気的変化を検出して電気的変化情報を取得し、該電気的変化情報と、ノズル開口13から吐出される液体の温度との相関関係を相関関係情報として予め記憶しておき、この相関関係情報に基づいて、電気的変化情報に対応する液体の温度を推定液体温度として推定できれば、どのような構成を用いてインク温度推定処理を行ってもよい。さらに、本発明における電気的変化情報は、吐出検出装置により検出された検出電圧に限定されず、推定インク温度を推測するために利用可能であればどのような電気的変化情報であってもよい。そして、上記実施形態では、温度が上昇すると検出電圧も上昇する相関関係が示されたが、本発明はこの相関関係に限定されない。要は、温度と検出電圧とに所定の相関関係があり、液体吐出装置の使用が想定される温度範囲において、温度と検出電圧とが1対1で対応するものであればよい。
また、上記実施形態では、本発明における吐出駆動部として所謂縦振動モードの圧電素子19を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、所謂撓み振動モードの圧電素子19のように、圧力発生室16毎に設けられるものであってもよい。さらに、圧電素子19に限らず、発熱素子等の他の吐出駆動部を用いることもできる。
また、本発明は、上記プリンタ以外の液体吐出装置にも適用できる。例えば、ディスプレー製造装置、電極製造装置、チップ製造装置等にも本発明を適用することができる。
プリンタの概略構成を説明するブロック図及び斜視図である。 記録ヘッドの構成を説明する模式図である。 (a)は通常駆動パルスの波形図、(b)は吐出検査用駆動パルスの波形図である。 駆動パルスの膨張ホールド要素の時間幅を変化させたときのインクの飛翔速度の変化を示すグラフである。 吐出検査装置の構成を説明する模式図である。 インクの吐出検査の原理を説明する模式図である。 吐出検査装置の電圧検出回路から出力される検出信号の波形の一例を示す図である。 インクの飛翔速度と検出電圧との関係を示すグラフである。 インク温度と検出電圧との相関関係を示すグラフである。
符号の説明
1…プリンタ,2…記録ヘッド,13…ノズル開口,15…ノズルプレート,16…圧力発生室,19…圧電素子,25…駆動信号発生回路,32…吐出検査装置,33…キャップ部材,34…検査領域,35…電圧印加回路,36…電圧検出回路,37…インク吸収体,38…電極部材

Claims (8)

  1. 吐出駆動部の駆動によりノズル開口から液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
    前記吐出駆動部を駆動する駆動パルスを発生する駆動信号発生部と、
    前記液体吐出ヘッドのノズル形成面に対して対向配置され、前記ノズル開口から吐出された液体を受ける液体受部と、
    前記液体吐出ヘッドの導電部と液体受部との間に電圧を印加した状態で、ノズル開口から液体受部に向けて液体を吐出したときの前記導電部と液体受部との間における電気的変化を検出して電気的変化情報を取得する電気的変化検出部と、
    前記電気的変化情報と、ノズル開口から吐出される液体の温度との相関関係を示す相関関係情報を記憶する相関関係情報記憶部と、を備え、
    前記駆動信号発生部は、電気的変化検出部による電気的変化情報取得処理で用いられる情報取得用駆動パルスを発生し、
    前記相関関係情報記憶部には、情報取得用駆動パルスを用いて液体を吐出した際に得られる電気的変化情報と液体の温度との相関関係を示す相関関係情報を予め記憶しておき、
    該相関関係情報に基づいて、電気的変化情報取得処理で得られた電気的変化情報に対応する液体の温度を推定液体温度として推定し、駆動パルスを推定液体温度に応じて補正することを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記推定液体温度に応じて補正される駆動パルスは、液体を液体受部とは異なる吐出対象物に向けて吐出する際に用いられる吐出駆動パルスであることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記液体吐出ヘッドは、往復移動可能、且つ往動時と復動時の双方で液体を吐出可能であり、吐出駆動パルスの駆動のタイミングを前記推定液体温度に応じて補正して、往動時または復動時の少なくともいずれかにおける液体の吐出タイミングを調整可能としたことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記電気的変化検出部は、前記液体吐出ヘッドの導電部と液体受部との間に電圧を印加した状態で、ノズル開口から液体受部に向けて液体を吐出したときの前記導電部と液体受部との間における電気的変化を検出することで、ノズル開口からの液体の吐出の有無を検査する吐出検査部として機能することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の液体吐出装置。
  5. 駆動パルスにより吐出駆動部を駆動して液体吐出ヘッドのノズル開口から液体を吐出する液体吐出装置の制御方法であって、
    前記液体吐出ヘッドのノズル形成面に対し、前記ノズル開口から吐出された液体を受ける液体受部を対向配置し、
    前記液体吐出ヘッドの導電部と液体受部との間に電圧を印加した状態で、ノズル開口から液体受部に向けて液体を吐出したときの前記導電部と液体受部との間における電気的変化を検出して電気的変化情報を取得し、該電気的変化情報と、ノズル開口から吐出される液体の温度との相関関係を相関関係情報として予め記憶しておき、
    該相関関係情報に基づいて、電気的変化情報に対応する液体の温度を推定液体温度として推定し、駆動パルスを推定液体温度に応じて補正することを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
  6. 前記推定液体温度に応じて補正される駆動パルスを、液体を液体受部とは異なる吐出対象物に向けて吐出する際に用いられる吐出駆動パルスとしたことを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置の制御方法。
  7. 前記液体吐出ヘッドを往復移動可能、且つ往動時と復動時の双方で液体を吐出可能とし、吐出駆動パルスの駆動のタイミングを前記推定液体温度に応じて補正して、往動時または復動時の少なくともいずれかにおける液体の吐出タイミングを調整可能としたことを特徴とする請求項6に記載の液体吐出装置の制御方法。
  8. 前記液体吐出ヘッドの導電部と液体受部との間に電圧を印加した状態で、ノズル開口から液体受部に向けて液体を吐出したときの前記導電部と液体受部との間における電気的変化を検出することで、ノズル開口からの液体の吐出の有無を検査可能としたことを特徴とする請求項5から請求項7の何れか一項に記載の液体吐出装置の制御方法。
JP2008264720A 2008-10-14 2008-10-14 液体吐出装置、及び、その制御方法 Expired - Fee Related JP5182000B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008264720A JP5182000B2 (ja) 2008-10-14 2008-10-14 液体吐出装置、及び、その制御方法
US12/578,032 US8109589B2 (en) 2008-10-14 2009-10-13 Liquid discharging device and method of controlling the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008264720A JP5182000B2 (ja) 2008-10-14 2008-10-14 液体吐出装置、及び、その制御方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010094808A JP2010094808A (ja) 2010-04-30
JP5182000B2 true JP5182000B2 (ja) 2013-04-10

Family

ID=42098466

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008264720A Expired - Fee Related JP5182000B2 (ja) 2008-10-14 2008-10-14 液体吐出装置、及び、その制御方法

Country Status (2)

Country Link
US (1) US8109589B2 (ja)
JP (1) JP5182000B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103722909B (zh) * 2013-12-25 2016-04-13 华中科技大学 一种面向卷到卷电喷打印过程的多物理量协同控制方法
JP6888398B2 (ja) * 2017-04-28 2021-06-16 ブラザー工業株式会社 インクジェット記録装置

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09131879A (ja) * 1995-11-07 1997-05-20 Brother Ind Ltd インクジェットプリンタ
JP2001096733A (ja) 1999-09-30 2001-04-10 Seiko Epson Corp 双方向記録装置,双方向記録装置の記録補正方法および双方向記録装置の記録補正処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
US7510255B2 (en) * 2001-08-30 2009-03-31 Seiko Epson Corporation Device and method for detecting temperature of head driver IC for ink jet printer
JP2003182056A (ja) 2001-12-18 2003-07-03 Sii Printek Inc インクジェット式記録装置
JP2004299174A (ja) * 2003-03-31 2004-10-28 Seiko Epson Corp 液滴吐出装置
JP4479253B2 (ja) 2004-01-26 2010-06-09 コニカミノルタホールディングス株式会社 液体吐出装置及び画像記録装置
JP5055738B2 (ja) * 2005-10-20 2012-10-24 セイコーエプソン株式会社 液体噴射装置、及び、その制御方法
JP5103869B2 (ja) * 2006-10-31 2012-12-19 富士ゼロックス株式会社 液滴吐出装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010094808A (ja) 2010-04-30
US20100091061A1 (en) 2010-04-15
US8109589B2 (en) 2012-02-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20100053249A1 (en) Liquid ejecting apparatus and ejection inspecting method
JP5742368B2 (ja) 液体噴射装置
US20120007906A1 (en) Liquid ejecting apparatus and control method
US8360543B2 (en) Liquid ejecting apparatus and ejection inspecting method
US10059096B2 (en) Liquid discharging apparatus, control method of liquid discharging apparatus, device driver, and printing system
JP2009066806A (ja) 液体吐出装置及びその制御方法
JP5182000B2 (ja) 液体吐出装置、及び、その制御方法
US8414100B2 (en) Liquid ejecting head inspection apparatus, liquid ejecting apparatus, and inspection method of liquid ejecting head inspection apparatus
JP2013248799A (ja) 検査装置、検査方法、及び、プログラム
JP2008302652A (ja) 圧電素子の特性情報付与方法、及び、液体噴射装置
JP2013233704A (ja) 液体吐出装置、検査方法、及び、プログラム
US8002378B2 (en) Nozzle testing apparatus, nozzle testing method, and test program
JP5055738B2 (ja) 液体噴射装置、及び、その制御方法
US7946675B2 (en) Liquid ejecting apparatus and ejection inspecting method
JP2007160671A (ja) 液体噴射装置、及び、その制御方法
JP2019142106A (ja) 液体噴射装置の駆動方法、及び、液体噴射装置
JP2010167644A (ja) 液体吐出装置、及び、吐出検査方法
US11633950B2 (en) Image forming apparatus, droplet discharge control method, and storage medium
JP2010111061A (ja) 液体吐出装置、及び、吐出検査方法
JP2010179543A (ja) ノズル検査装置、その方法及び流体吐出装置
JP2010228195A (ja) 液体吐出装置、及び、液体吐出装置の制御方法
JP2020032622A (ja) 液体噴射装置および液体噴射装置の吐出信号補正方法
JP2010284958A (ja) 液体噴射ヘッド検査装置及び液体噴射装置並びに液体噴射ヘッド検査装置の検査方法
JP5267192B2 (ja) 流体吐出装置及びその方法
JP2011083937A (ja) 吐出検査装置及び印刷装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110801

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121212

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121218

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121231

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5182000

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160125

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees