JP2020032622A - 液体噴射装置および液体噴射装置の吐出信号補正方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧電素子の劣化に適した補正が可能な液体噴射装置および液体噴射装置の吐出信号補正方法を提供する。【解決手段】液体噴射装置(プリンター1)は、圧電素子18に検査信号を供給して圧力室20内のインクに圧力変動を発生させ、検出部が検出した残留振動を初期値としてメモリー34に記憶し、その後、所定のタイミングで、圧電素子18に検査信号を供給してインクに圧力変動を発生させ、検出部が検出した残留振動を検出測定値としてメモリー34に記憶することを含む劣化判定値測定処理を実施し、初期値と検出測定値とに基づいて吐出信号を補正することを含む吐出信号補正処理を実施する。【選択図】図6

Description

本発明は、液体噴射装置および液体噴射装置の吐出信号補正方法に関する。
液滴を吐出する液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置としては、圧力発生手段によって圧力発生室内に圧力を発生させ、圧力発生室に連通するノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドを具備するインクジェット式記録装置が挙げられる。
このようなインクジェット式記録装置に搭載されるインクジェット式記録ヘッドは、圧力発生手段として圧力発生室内に駆動信号によりジュール熱を発生する抵抗線(発熱素子)を設けた電気熱変換式のものや、圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させてノズル開口からインク滴を吐出させる圧電振動式のもの等様々なものが存在する。このようなインクジェット式記録ヘッドでは圧電素子を繰り返し駆動することによって、圧電素子の変位量が低下してインク吐出量が低下し、印刷品質が劣化してしまうという問題がある。
このような問題を解決するものとして、圧電素子の駆動状況を測定する駆動状況測定手段と、駆動状況に応じて駆動波形の電圧を補正する電圧補正情報を有すると共に駆動状況測定手段で測定した駆動状況と電圧補正情報とに基づいて駆動信号の電圧を補正して液滴の重量を補正する電圧補正手段とを備えた液体噴射装置が開示されている(特許文献1参照)。この特許文献1では、圧電素子に駆動信号を供給する制御手段が、液滴の吐出回数など圧電素子の駆動状況に応じて駆動信号の電圧を補正する電圧補正情報を予め有し、この電圧補正情報と圧電素子の駆動状況に基づいて電圧が補正されるため、長期の使用でも液滴吐出量を設計液量に揃えることができ、吐出対象物における濃度や色相を設計通りに保つことができるという効果を奏する。
特開2009−66948号公報
しかしながら、特許文献1の補正方法は、予め測定された実験値に基づいて設定された吐出回数と駆動波形の電圧補正値とに関する駆動波形補正テーブルに基づくものであった。ところが、実際には、圧電素子の経時劣化は個体差や使用環境によって異なるため、一律に駆動波形補正テーブルに基づいて駆動波形を補正しても、圧電素子によっては適切に補正できないという問題があった。
本願の液体噴射装置の吐出信号補正方法は、液体を噴射するノズルと、前記ノズルと連通する圧力室と、前記圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生素子と、前記圧力発生素子に供給することで前記ノズルから前記液体を吐出させる吐出信号と、前記圧力発生素子に供給することで前記圧力室内の前記液体に圧力変動を発生させる検査信号と、を生成する駆動信号生成部と、前記検査信号を前記圧力発生素子に供給することにより発生する前記圧力室内の残留振動を検出する検出部と、を備える液体噴射装置の吐出信号補正方法であって、前記圧力発生素子に前記検査信号を供給して前記圧力室内の前記液体に圧力変動を発生させ、前記検出部が検出した前記残留振動を初期値として記憶部に記憶し、その後、所定のタイミングで、前記圧力発生素子に前記検査信号を供給して前記液体に圧力変動を発生させ、前記検出部が検出した前記残留振動を検出測定値として前記記憶部に記憶することを含む劣化判定値測定処理を実施し、前記初期値と前記検出測定値とに基づいて前記吐出信号を補正することを含む吐出信号補正処理を実施することを特徴とする。
上記液体噴射装置の吐出信号補正方法における吐出信号補正処理において、前記初期値と前記検出測定値との差が所定値以下なら前記吐出信号の補正はせず、前記初期値と前記検出測定値との差が前記所定値より大きければ前記吐出信号の補正を実施することが好ましい。
上記液体噴射装置の吐出信号補正方法における吐出信号補正処理において、前記初期値と前記検出測定値との差が前記所定値より大きければ、前記初期値との差が前記所定値以下になるまで前記検査信号を変更し、変更後の検査信号と変更前の検査信号との差に基づいて、前記吐出信号の補正を実施することが好ましい。
上記液体噴射装置の吐出信号補正方法における検査信号は、互いに波形形状の異なる第1検査信号と第2検査信号とを備え、前記劣化判定値測定処理において、前記第1検査信号による前記残留振動に対応する第1初期値と、前記第2検査信号による前記残留振動に対応する第2初期値と、を前記初期値として前記記憶部に記憶し、その後所定のタイミングで、前記第1検査信号による前記残留振動に対応する第1検出測定値と、前記第2検査信号による前記残留振動に対応する第2検出測定値と、を前記検出測定値として記憶部に記憶することが好ましい。
上記液体噴射装置の吐出信号補正方法における劣化判定値測定処理において、前記圧力発生素子への前記検査信号の供給とその前記残留振動の検出を複数回実施して、前記複数回の検出結果に基づいて前記初期値および前記検出測定値を記憶部に記憶することが好ましい。
上記液体噴射装置の吐出信号補正方法における劣化判定値測定処理において、前記圧力発生素子に前記検査信号を供給し、前記残留振動を検出する前に、フラッシング処理を実施することが好ましい。
本願の液体噴射装置は、液体を噴射するノズルと、前記ノズルと連通する圧力室と、前記圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生素子と、前記圧力発生素子に供給することで前記ノズルから前記液体を吐出させる吐出信号と、前記圧力発生素子に供給することで前記圧力室内の前記液体に圧力変動を発生させる検査信号と、を生成する駆動信号生成部と、前記検査信号を前記圧力発生素子に供給することにより発生する前記圧力室内の残留振動を検出する検出部と、を備える液体噴射装置であって、前記圧力発生素子に前記検査信号を供給して前記圧力室内の前記液体に圧力変動を発生させ、前記検出部が検出した前記残留振動を初期値として記憶部に記憶し、その後所定のタイミングで、前記圧力発生素子に前記検査信号を供給して前記液体に圧力変動を発生させ、前記検出部が検出した前記残留振動を検出測定値として前記記憶部に記憶することを含む劣化判定値測定処理を実施し、前記初期値と前記検出測定値とに基づいて前記吐出信号を補正することを含む吐出信号補正処理を実施することを特徴とする。
第1実施形態に係る液体噴射装置の構成を示す斜視図。 図1中の記録ヘッドの構成を示す平面図。 図2A中のA−A’線断面図。 図2A中のB−B’線断面図。 液体噴射装置の電気的構成を示すブロック図。 検査信号の波形図。 記録ヘッドの残留振動を検出する回路構成を説明する図(スイッチオン状態)。 記録ヘッドの残留振動を検出する回路構成を説明する図(スイッチオフ状態)。 吐出信号補正処理のフローチャート。 初期値および検出測定値の残留振動による逆起電力信号の波形図。 吐出信号補正値決定テーブル。 第2実施形態における吐出信号補正処理のフローチャート。 第3実施形態における検査信号の波形図。 第3実施形態における吐出信号補正値決定テーブル。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体噴射装置として、インクジェット式記録装置(以下、プリンター)を例に挙げて説明する。
<第1実施形態>
[液体噴射装置]
先ず、本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置としてのプリンター1について説明する。
図1は、第1実施形態に係る液体噴射装置(プリンター1)の構成を示す斜視図である。
本実施形態のプリンター1は、液体吐出ヘッドの一種である記録ヘッド2が取り付けられると共に、液体供給源の一種であるインクカートリッジ3が着脱可能に取り付けられるキャリッジ4と、記録動作時の記録ヘッド2の下方に配設されたプラテン5と、キャリッジ4を記録紙6(記録媒体および着弾対象の一種)の紙幅方向、即ち、主走査方向に往復移動させるキャリッジ移動機構7と、主走査方向に直交する副走査方向に記録紙6を搬送する紙送り機構8と、を備えて概略構成されている。なお、インクカートリッジ3がプリンター1の本体側に配置され、当該インクカートリッジ3からインク供給チューブを通じて記録ヘッド2に供給される構成を採用することもできる。
キャリッジ4は、主走査方向に架設されたガイドロッド9に軸支された状態で取り付けられており、キャリッジ移動機構7の作動により、ガイドロッド9に沿って主走査方向に移動するように構成されている。キャリッジ4の主走査方向の位置は、リニアエンコーダー10によって検出され、その検出信号がプリンターコントローラー31のCPU35(図3参照)に送信される。リニアエンコーダー10は、記録ヘッド2の走査位置に応じたエンコーダーパルスを主走査方向における位置情報として出力する。このため、CPU35は、受信したエンコーダーパルスに基づいてキャリッジ4に搭載された記録ヘッド2の走査位置を認識できる。これにより、CPU35は、このリニアエンコーダー10からのエンコーダーパルスに基づいてキャリッジ4(記録ヘッド2)の走査位置を認識しながら、記録ヘッド2による記録動作を制御することができる。そして、プリンター1は、このホームポジションから反対側の端部へ向けてキャリッジ4が移動する往動時と、反対側の端部からホームポジション側にキャリッジ4が戻る復動時との双方向で記録紙6上に文字や画像等を記録する、所謂、双方向記録が可能に構成されている。
図2Aは、図1中の記録ヘッド2の構成を示す平面図であり、図2Bは、図2A中のA−A’線断面図であり、図2Cは、図2A中のB−B’線断面図である。なお、図2Cでは、保護基板19の図示が省略されている。また、図2A〜図2Cでは、ノズル23が3つ分の構成を例示しているが、残りの他のノズル23に対応する構成も同様である。
記録ヘッド2は、圧力室基板14、ノズルプレート15、弾性膜16、絶縁膜17、圧電素子18(本発明における圧力発生素子)、および保護基板19等を積層して構成されている。
圧力室基板14は、例えば、シリコン単結晶基板から成る板材である。この圧力室基板14には、複数の圧力室20が、隔壁13を間に挟んでその幅方向(ノズル列方向)に並設されている。本実施形態においては、1インチあたり360個の圧力室20が形成されている。圧力室基板14の圧力室20の長手方向(ノズル列方向に直交する方向)におけるノズル23と連通する側とは反対側の外側に外れた領域には連通部21が形成され、連通部21と各圧力室20とが、圧力室20毎に設けられたインク供給路22を介して連通されている。なお、連通部21は、後述する保護基板19のリザーバー部29と連通して各圧力室20の共通のインク室となるリザーバー27の一部を構成する。インク供給路22は、圧力室20よりも狭い幅で形成されており、連通部21から圧力室20に流入するインク(本発明における液体)に対して流路抵抗を付与する。圧力室基板14におけるこれらの圧力室20やインク供給路22等の流路は、異方性エッチングにより形成されている。
圧力室基板14の下面には、各圧力室20に対応して複数のノズル23が列状に開設されたノズルプレート15が接着剤12により接合されている。これにより、圧力室20の下面側の開口がノズルプレート15により封止されて圧力室20の底部が画成される。圧力室基板14の上面には、例えば二酸化シリコン(SiO2)からなる弾性膜16が形成されている。この弾性膜16における圧力室20の開口を封止する部分は、作動面として機能する。また、この弾性膜16上には酸化ジルコニウム(ZrO2)からなる絶縁膜17が形成され、さらに、この絶縁膜17上には下電極24と、圧電体25と、上電極26とが形成され、これらが積層状態で圧電素子18が構成されている。
一般的には、圧電素子18の何れか一方の電極が複数の圧電素子18に共通の電極とされ、他方の電極(個別電極)および圧電体25が圧力室20毎にパターニングされて構成される。そして、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分が圧電体能動部として機能する。なお、本実施形態では、下電極24が圧電素子18の共通電極とされ、上電極26が圧電素子18の個別電極とされているが、圧電体25の分極方向や駆動回路や配線の都合等によってこれらを全体的に逆にする構成とすることもできる。何れの場合においても、圧力室20毎に圧電体能動部が形成されていることになる。
圧力室基板14上の圧電素子18側の面には、圧電素子18に対向する領域にその変位を阻害しない程度の大きさの空間となる圧電素子保持部28を有する保護基板19が接合されている。さらに、保護基板19には、圧力室基板14の連通部21に対応する領域にリザーバー部29が設けられている。このリザーバー部29は、圧力室20の並設方向に沿って長尺な矩形の開口形状を有する貫通穴として保護基板19に形成されており、上述したように圧力室基板14の連通部21と連通されてリザーバー27を画成する。このリザーバー27は、インクの種類毎(色毎)に設けられ、複数の圧力室20に共通のインクが貯留される。
上述した構成の記録ヘッド2では、インクカートリッジ3からインクを取り込み、リザーバー27からノズル23に至るまでインクで満たされる。そして、プリンター本体側からの駆動信号の供給により、圧力室20に対応するそれぞれの下電極24と上電極26との間に両電極の電位差に応じた電界が付与され、圧電素子18および作動面(弾性膜16)が撓み変形することにより、圧力室20内に圧力変動が生じる。この圧力変動を制御することで、ノズル23からインクを吐出させたり、或いは、インクが吐出されない程度にノズル23におけるメニスカスを微振動させたりする。
図3は、液体噴射装置(プリンター1)の電気的構成を示すブロック図である。
本実施形態におけるプリンター1は、プリンターコントローラー31とプリントエンジン32とで概略構成されている。プリンターコントローラー31は、ホストコンピューター等の外部装置からの印刷データ等が入力される外部インタフェース(外部I/F)33と、各種制御のための制御プログラム等や各種データ等を記憶したメモリー34と、メモリー34に記憶されている制御プログラムに従って各部の統括的な制御を行うCPU35と、記録ヘッド2へ供給する駆動信号を発生する駆動信号発生回路36(本発明における駆動信号生成部)と、を備えている。また、プリントエンジン32は、記録ヘッド2、キャリッジ移動機構7、紙送り機構8、リニアエンコーダー10、および振動検出回路38等を有している。
駆動信号発生回路36は、駆動電圧供給源と定電圧供給源とから構成され(何れも図示せず)、駆動電圧供給源から駆動信号COMを出力するとともに、定電圧供給源から直流電圧VBSを出力する。駆動電圧供給源は、圧電素子18毎に設けられたパルス選択スイッチ37(図5Aおよび図5B参照)を介して圧電素子18の駆動電極である上電極26に電気的に接続されている。また、定電圧供給源は、同一ノズル列に属する各圧電素子18に対して共通に設けられたスイッチ39および当該スイッチ39と並列に接続されている振動検出回路38を介して圧電素子18の共通電極である下電極24に電気的に接続されている(図5Aおよび図5B参照)。
記録ヘッド2のヘッドコントローラー30は、プリンターコントローラー31から送られてくる階調データSIに基づいてインクの吐出制御を行う。本実施形態では、2ビットで構成された階調データSIがクロック信号CLKに同期して送信され、ヘッドコントローラー30の図示しないシフトレジスターおよびラッチ回路に順次入力される。そして、ラッチされた階調データSIは図示しないデコーダーへ出力される。このデコーダーは、記録データの上位ビット群および下位ビット群に基づいて、駆動信号COMに含まれる駆動パルスを選択するためのパルス階調データを生成する。
また、ヘッドコントローラー30には、駆動信号発生回路36からの駆動信号COMが供給される。この駆動信号COMは、ヘッドコントローラー30のパルス選択スイッチ37に入力される(図5Aおよび図5B参照)。このパルス選択スイッチ37の出力側には、圧電素子18の上電極26が接続されている。そして、このパルス選択スイッチ37は、上述したパルス階調データに基づき駆動信号COMに含まれる駆動パルスを圧電素子18へ選択的に印加する。このような動作をするパルス選択スイッチ37は、選択供給手段の一種として機能する。また、このパルス選択スイッチ37は、後述する検査処理を行う場合に、駆動信号発生回路36に対する圧電素子18の接続状態または切断状態を切り替える切替機構の一種としても機能する。
圧電素子18の下電極24側には、スイッチ39および振動検出回路38が接続されている。スイッチ39は、CPU35から出力される切替信号CSに応じて切替制御される。振動検出回路38は、検査信号Pd(図4参照)によって圧電素子18が駆動されたときの圧力室20内の液体としてのインクに生じる振動(残留振動)に基づく圧電素子18の逆起電力信号を検出信号としてプリンターコントローラー31側に出力するように構成されている。プリンターコントローラー31のCPU35は、振動検出回路38から出力される逆起電力信号に基づき記録ヘッド2の劣化判定値測定処理を行い、吐出信号補正処理が必要かを検査する。したがって、振動検出回路38およびプリンターコントローラー31は、本発明における検出部として機能し、圧電素子18を振動センサーとして用いて圧力室20内のインクの残留振動を検出する。
なお、吐出信号とは、駆動信号発生回路36からヘッドコントローラー30に供給される駆動信号COMの一種で、予備膨張要素と、膨張ホールド要素と、収縮要素と、収縮ホールド要素と、復帰要素と、を含む要素から構成される波形である。吐出信号が圧電素子18に供給されると圧電素子18が膨張、収縮し、圧力室20に圧力変動が発生し、ノズル23から液滴が吐出される。吐出信号は、所望の液滴量を吐出するために設計されており、所望の液滴量は、任意に設定することができる。
[液体噴射装置の吐出信号補正方法]
<初期値および検出測定値の取得方法>
本実施形態のプリンター1は、所定の条件が満たされたことを契機として、記録ヘッド2の吐出信号補正処理を実行する。記録ヘッド2の吐出信号補正処理が必要な状態とは、具体的には圧電素子18の変位量が初期状態よりも減少している状態を意味する。これにより、ノズル23からインクを吐出させる際の圧力が下がり、その結果、ノズル23から吐出されるインクの量や飛翔速度が目標値に対して低下し、最悪の場合にはインクが吐出されない等の吐出不良が生じる虞がある。このような状態が吐出信号補正処理必要状態とされる。
上述した吐出信号補正処理必要状態の判定は、初期状態で圧電素子18に検査信号Pdを供給し検出した残留振動(本発明における初期値)と、所定のタイミングで圧電素子18に検査信号Pdを供給し検出した残留振動(本発明における検出測定値)、を基に実施する(本発明における劣化判定値測定処理)。初期値と検出測定値に基づいて、吐出信号補正処理必要状態が判定される。
なお、初期状態とは、製造されたプリンター1の記録ヘッド2にインクが初期充填され、プリンター1が記録可能になった状態を示す。また、所定のタイミングは、任意に設定することが可能である。具体的には、圧電素子18の変位量の減少の発生に直接または間接的に関連する負荷の累積値、より具体的には記録ヘッド2にインクが充填されている時間(例えば、インクが初期充填されてからの経過日数)、プリンター1の使用時間(例えば、ノズル23からインクを吐出する動作をしている時間の積算値)、吐出回数(例えば、全ノズルの吐出回数の和あるいは平均値の積算値)、または、記録媒体の総印刷枚数等が、予め定められた判定値を超えたことを条件とすることができる。これらの累積値は、その値が大きいほど圧電素子18の変位量減少の発生の可能性がより高まるものである。これらの累積値に対しては、プリンター1の使用環境、すなわち、環境温度や湿度により重みづけをすることが望ましい。例えば、環境温度や湿度が比較的高い環境下でプリンター1が使用される場合では、圧電素子18の変位量の減少が進行しやすい傾向があるため、実際の使用時間や吐出回数の積算値等の値に重みを付ける(実際の値よりも増加させる)ことで、より早い段階で検出処理が実行されるように設定することが望ましい。あるいは、重みづけを行う替わりに、使用環境に応じて判定値を変えるようにすることもできる。その他、この種のプリンター1では、インクの増粘による吐出不良についての検査が行われることがあるが、この増粘による吐出不良の検査結果が、吐出信号補正処理が必要と疑われるような結果となったときを検査実行条件とすることもできる。例えば、後述する残留振動の検出により液体が増粘しているという検査結果からフラッシングまたはクリーニングなどを実施しても液体の増粘がが解消されない場合にも、吐出信号補正処理を実施することができる。なお、吐出不良検査は、従来から種々の方式で行われているものであり、その詳細な説明については省略する。また、プリンタードライバー等を介してユーザーにより検出処理の実行指示がされたときを条件とすることも可能である。
上述の劣化判定値測定条件が成立した、すなわち、累積値が予め定められた判定値を超えたと判定した場合、プリンターコントローラー31は、劣化判定値測定に移行し、記録ヘッド2の圧電素子18に対して図4に示す検査信号を供給したときに圧電素子18に生じる逆起電力に基づいて残留振動の検出を行う。検査信号としては、圧力室20内のインクに圧力変動を与えることが可能なものであれば種々の波形のものを採用することができるが、本実施形態においては、図4に示す検査信号Pdが使用される。
図4は、検査信号Pdの波形図である。
検査信号Pdは、予備膨張要素p11と、膨張ホールド要素p12と、収縮要素p13と、収縮ホールド要素p14と、復帰要素p15と、からなる。予備膨張要素p11は、基準電位VBから膨張電位VLまで電位が接地電位GND側に変化する波形要素である。膨張ホールド要素p12は、予備膨張要素p11の終端電位である膨張電位VLを一定時間維持する波形要素である。収縮要素p13は、膨張電位VLから基準電位VBを超えて収縮電位VHまで電位がプラス側に比較的急峻な勾配で変化する波形要素である。本実施形態において、膨張電位VLから収縮電位VHまでの電位差Vdおよび収縮要素p13の電位変化の勾配は、ノズル23からインクを吐出し得るように設定されている。収縮ホールド要素p14は、収縮電位VHを所定時間維持する波形要素である。復帰要素p15は、収縮電位VHから基準電位VBまで電位が復帰する波形要素である。なお、検査信号Pdとしては、印刷用の駆動パルスを流用することもできるし、検査処理に専用のものを使用することもできる。
検査信号Pdが圧電素子18に印加されると、まず、予備膨張要素p11によって圧電素子18は圧力室20の外側(ノズルプレート15から離隔する側)に撓み、これに伴って圧力室20が基準電位VBに対応する基準容積から膨張電位VLに対応する膨張容積まで膨張する。この膨張により、ノズル23におけるインクのメニスカスが、待機位置(圧力室20が基準容積に維持されているときのメニスカスの位置)から圧力室20側にノズル軸方向に沿って引き込まれる。そして、この圧力室20の膨張状態は、膨張ホールド要素p12によって一定時間維持される。膨張ホールド要素p12によるホールドの後、収縮要素p13により圧電素子18が圧力室20の内側(ノズルプレート15に近接する側)に撓む。これに伴い、圧力室20は膨張容積から収縮電位VHに対応する収縮容積まで急激に収縮される。これにより、圧力室20内のインクが加圧されて、圧力室20側に引き込まれていたメニスカスが、当該圧力室20側とは反対側の吐出側にノズル軸方向に沿って待機位置を越えて押し出される。これにより、ノズル23からインク滴が吐出される。続いて、復帰要素p15が印加されることにより、圧電素子18が基準電位VBに対応する定常位置まで戻る。これに伴い、圧力室20は、収縮容積から基準電位VBに対応する基準容積まで膨張して復帰する。これにより、メニスカスが圧力室20側に再度引き込まれる。なお、本実施形態における検査信号Pdは、圧力室20内のインクに比較的大きい圧力変動を生じさせるように構成されているのでノズル23からインクが吐出されるが、必ずしもノズル23からインクが吐出されなくてもよい。ただし、後述する検査処理における駆動工程においては、検査信号Pdにより圧電素子18を駆動させた際に、対応するノズル23からインクが吐出されるようにすることで、圧力室20内のインクにより大きい振動を付与することができるので、検出精度が向上する。
図5Aおよび図5Bは、記録ヘッド2の残留振動を検出する回路構成を説明する図であり、図5Aは、スイッチ39がオン状態であり、図5Bは、スイッチ39がオフ状態である。なお、図5Aおよび図5Bは、検査対象ノズル23のみを駆動する単独検査の場合を示している。また、図5Aおよび図5Bでは、ノズル23が3つ分の構成を例示し、他のノズル23に対応する構成は便宜上省略しているが、圧電素子18およびパルス選択スイッチ37は同一ノズル列を構成するノズル23の数分だけ設けられる。
駆動信号発生回路36の駆動電圧供給源は、圧電素子18毎のパルス選択スイッチ37を介して圧電素子18の上電極26にそれぞれ接続され、定電圧供給源は、スイッチ39および当該スイッチ39と並列に接続されている振動検出回路38を介して圧電素子18の下電極24に電気的に接続されている。このスイッチ39は、例えばMOS−FETから構成され、検査信号Pdの印加中(圧力振動発生区間)においてはオンに切り替えられる(図5A)。この場合、電流Id(高周波成分)は、スイッチ39側を流れる。一方、スイッチ39は検出区間においてはオフに切り替えられる(図5B)。この場合、電流Idは、振動検出回路38側を流れる。
ここで、検査信号Pdによって圧電素子18が駆動された後には、圧力室20内のインクに生じた圧力変動に応じて当該圧力室20の上面側開口を封止する作動面(弾性膜16)が振動する。これに伴って圧電素子18にも残留振動が生じ、この残留振動に基づく逆起電力が生じる。振動検出回路38は、電流Idから圧電素子18の逆起電力信号Sc1(検出信号)を得る。例えば、振動検出回路38内に電流Idが流れる検出抵抗器を設け、当該検出抵抗器の両端の電位差を増幅および2値化して検出信号を得ることができる。他にも従来からの周知の構成を採用することにより、残留振動による逆起電力信号Sc1を検出することができる。本実施形態では、後述するように、この検出信号Sc1に基づいて吐出信号を補正する。なお、ノズル23からインクが吐出されない、所謂、ドット抜けの場合や、ノズル23からインクが吐出されるとしても正常なノズル23と比較してインクの量や飛翔速度が極端に低下している場合などの異常時には、上記の検出信号の周期成分、振幅成分、および位相成分が、正常時のものと比較して異なる。この逆起電力信号Scに基づく吐出不良の検出は従来から周知であるため詳細な説明は省略するが、この検出方法によりインクの増粘や気泡による吐出不良を検出することが可能である。
<吐出信号の補正方法>
次に、吐出信号の補正方法について説明する。
図6は、吐出信号補正処理を説明するフローチャートである。
吐出信号補正処理では、まず、劣化判定値測定処理(ステップS1〜ステップS4)が行われる。例えば、プリンター1の電源投入時または印刷処理開始時等に、吐出信号補正処理をスタートさせる。
最初に、初期値が検出済かどうか(メモリー34に初期値が記憶されているかどうか)を検出し(ステップS1)、初期値が検出されていない場合は、初期値を検出する(ステップS2)。なお、劣化判定値測定処理で使用する初期値は、以下のようにして検出される。まず、上記初期状態で圧電素子18に検査信号Pdを供給する。これにより、圧電素子18が駆動し、圧力室20内のインクに圧力変動を発生させる。この圧力変動の残留振動により圧電素子18に逆起電力が生じる。検査信号Pdが供給された直後、切替信号によりスイッチ39がオフに切り替えられる(図5B)。これにより、振動検出回路38には、検査対象ノズル23に対応する圧電素子18の逆起電力に基づく電流Id(高周波成分)が流れる。そして、振動検出回路38は、電流Idから、駆動により生じた残留振動を示す検出信号Sc1を検出し、プリンターコントローラー31のCPU35に出力され、この検出信号Sc1から求められた初期値がメモリー34(本発明における記憶部)に記憶される(ステップS2)。初期値が検出済である場合は、ステップS1からステップS3に進む。
次に、所定のタイミングであるかどうかを判定する(ステップS3)。この判定は、上述のように圧電素子18の変位量の減少の発生に直接または間接的に関連する負荷の累積値が判定値以上となった場合に、検出部は、検出測定値の検出(ステップS4)を行う。なお、検出測定値の検出方法は、初期値検出時と同様の方法で行う。この検出測定値は、プリンターコントローラー31のCPU35により、メモリー34に記憶される。一方、圧電素子18の変位量の減少の発生に直接または間接的に関連する負荷の累積値が判定値未満の場合は、吐出信号の補正は不要として吐出信号補正処理は終了する。
ステップS4で検出測定値を検出した後、ステップS5〜S6において、CPU35は、初期値と検出測定値に基づいて、記録ヘッド2に吐出信号補正処理が必要かを判定する。ここで、もし圧電素子18の劣化が生じている場合、変位の減少が発生し、その分発生する圧力変動が小さくなる。これにより、検査対象ノズル23に対応する圧力室20に生じる圧力振動が初期値と比較して小さくなる。その結果、その影響が検出測定値の振幅成分等に現れる。
図7は、逆起電力信号(検出信号Sc1)から求められる初期値および検出測定値の残留振動を示す波形図である。
初期値は、インクの増粘や気泡による不具合が生じていない上述の初期状態で振動検出回路38から検出される検出信号Sc1から求められる初期値の波形を示している。これに対し、所定のタイミング経過後に振動検出回路38から検出される検出信号Sc1から求められた検出測定値の波形は、初期値と比較して波形の周期などには変化がないが、振幅の大きさが低下している。これは、インクの増粘や気泡による不具合は生じていないが、圧電素子18の劣化による変位低下が生じている場合を示している。
このため、ステップS5において、初期値と検出測定値との振幅差分Δaを算出し、ステップS6において、CPU35は、振幅差分Δaに基づいて、記録ヘッド2の吐出信号補正処理の必要性を判定する。具体的には、予め設定された所定値と、得られた振幅差分Δaとを比較することが好ましい。そして、振幅差分Δaが所定値より大きくなった場合に、吐出信号補正処理が必要と判定し(Yes)、吐出信号補正処理する(ステップS7)。一方、振幅差分Δaが所定値以下の場合には、吐出信号補正処理が不要と判定し(No)、吐出信号補正処理を実施せず吐出信号補正処理は終了する。なお、初期値と検出測定値との振幅差分Δaのみに限らず、位相の差や周期の差もしくはこれらの組み合わせにより判定してもよい。
上述した所定値は、任意に設定することができる。具体的には、初期状態と比較し許容できるインク吐出量またはインク吐出速度を実現するための残留振動の振幅差分、より具体的には記録品質確保に必要なインク吐出量(例えば、所望の濃度確保に必要なインク吐出量の下限値)を実現するための振幅差分、記録品質確保に必要なインク吐出速度(例えば、所望のインク着弾精度に必要なインク吐出速度の下限値)を実現するための振幅差分を、所定値として設定することができる。
CPU35は、ステップS6で吐出信号補正処理が必要と判断された場合(Yes)、吐出信号補正を行う(ステップS7)。吐出信号補正は、振幅差分Δaの値に応じて、吐出信号に対する電圧の補正値が決定される。
図8は、吐出信号の補正値を決定するためのテーブルの一例である。振幅差分Δaに対する区分が設けられ、それに対して吐出信号の補正値が決定される。例えば、振幅差分Δa=1.2Vの場合、C行が選択され、吐出信号に対する電圧補正値は+0.8Vと決定される。
なお、本実施例では、吐出信号補正値テーブルを用意したが、振幅差分Δaに基づいて計算式により補正値を算出しても良い。また、吐出信号が複数種類ある場合、すべての吐出信号に対して同一の補正値で補正を実施しても良いし、吐出信号ごとに異なった補正テーブルまたは補正式を用いて補正値を決定しても良い。吐出信号補正値が決定すると、吐出信号に対して先ほど決定した補正値で補正が実施される。また、補正対象は、電圧だけに限らず、吐出信号の時間成分に対して実施しても良い。つまり、劣化した圧電素子18の変位量を初期状態の変位量に近づけるように吐出信号の補正を実施する。
以上のように、本実施形態に係るプリンター1では、初期状態で検出した残留振動(初期値)と、所定のタイミングで取得した残留振動(検出測定値)に基づいて、吐出信号補正処理を実施することにより、従来においては個体差や使用環境などの要因で適切に補正できなかった記録ヘッド2についても、より正確に吐出信号補正を実施することが可能となる。また、初期値と検出測定値との差が所定値以下なら吐出信号の補正はせず、初期値と検出測定値との差が所定値より大きければ吐出信号の補正を実施することで、圧電素子18の劣化の度合に応じて吐出信号の補正が必要かを判定し、適正に補正を実施することが可能となる。
<第2実施形態>
図9は、第2実施形態における吐出信号補正処理を説明するフローチャートである。
本実施形態において初期値ならびに検出測定値を検出する回路構成および記録ヘッド2の構成は、第1実施形態と共通である。本実施形態は、吐出信号補正処理の精度をより高めることを目的としている。本実施形態は、圧電素子18の個体差により、同一電圧で補正した場合でも変位量の増加量が異なることを考慮したことに特徴を有している。補正精度を高めるためには、電圧に対する圧電素子18の変位量変化の個体差を含めて吐出信号補正処理を実施する必要がある。圧電素子18の個体差を含めた吐出信号補正処理をするために、本実施形態は、第1実施形態で示した図6のフローチャートのステップS6以降の処理が異なる。以下、本実施形態の第1実施形態と異なる点について記載する。
ステップS1−1〜ステップS1−3までは、第1実施形態のステップS1〜ステップS3と同様に、初期値の検出および所定タイミングの判定を実施する。第2実施形態では、所定のタイミングである場合(ステップS1−3でYes)、基準検査信号Pdを検査信号Pd’に設定し(ステップS1−4)、検出測定値を検出する(ステップS1−5)。次に、第1実施形態のステップS5での振幅差分Δaの算出と同様に、基準検査信号Pdによる初期値と検査信号Pd’による検出測定値との振幅差分Δa’ を算出し(ステップS1−6)、振幅差分Δa’と所定値との比較をおこなう(ステップS1−7)。振幅差分Δa’が所定値より大きくなった場合(ステップS1−7でYes)、本実施形態では、検査信号Pd’に対して所定の補正を行い、検査信号Pd’を更新する(ステップS1−8)。本実施形態では、現在の検査信号Pd‘の膨張電位VLを低下させて電位差Vdを一定量増加させた信号に検査信号Pd’を更新する。その後、ステップS1−5に戻り、更新された検査信号Pd’で劣化検出値測定処理を実施して検出測定値を検出し、初期値と検出測定値の振幅差分Δa’を算出し(ステップS1−6)、Δa’と所定値との比較を実施する(ステップS1−7)。振幅差分Δa’が所定値以下になるまで処理(ステップS1−5〜ステップS1−8)を繰り返し実施する。この処理を実施することにより、実際に振幅差分Δa’を所定値以下にできる検査信号Pd’を得ることができる。これにより、印加電圧に対する圧電素子18の変位量を把握することが可能であり、精度の高い吐出信号補正処理が実施できる。
検査信号Pd’の補正は、任意に設定することが可能である。具体的な補正対象には、検査信号Pd’の膨張電位VLでも良く、検査信号Pd’の基準電位VBでも良い。ただし、同じ吐出信号補正処理中の検査信号補正処理において、1度目に変更した検査信号をPd1、2度目に変更した検査信号をPd2、n度目に変更した検査信号をPdnとした場合に、Pd1≠Pd2≠・・・・≠Pdnとする必要がある。
検査信号Pd’の補正を実施し振幅差分Δa’が所定値以下であれば(ステップS1−7でNo)、基準検査信号Pdと検査信号Pd’の信号差分ΔPdを算出する(ステップS1−9)。次に、ステップS1−10では、ΔPd≠0であれば吐出信号補正処理は必要と判定し(Yes)、ステップS1−11に進む。一方、信号差分ΔPd=0であれば吐出信号補正処理は不要と判定し(No)、処理を終了する。吐出信号補正処理が必要と判定された場合(ステップS1−10でYes)、信号差分ΔPdの値に応じて、吐出信号に対する電圧の補正値が決定され、吐出信号補正が実施される(ステップS1−11)。第1実施形態の図8と同様に信号差分ΔPdに対する補正値決定テーブルを用意してもよい。吐出信号が複数種類ある場合は、一律で補正値を決定しても良いし、吐出信号ごとに異なった補正テーブルまたは補正式を用いて補正値を決定しても良い。吐出信号補正値が決定すると、吐出信号に対して先ほど決定した補正値で補正が実施される。なお、補正対象は、電圧だけに限らず、吐出信号の時間成分に対して実施しても良い。
以上のように、本実施形態では、検査信号Pd’に補正を実施し、繰り返し検出測定値を検出することで、従来においては電圧に対しての圧電素子18の変位量変化が個体差により異なる等の理由により、適切に補正できなかった記録ヘッド2についても、より正確に吐出信号補正を実施することが可能になる。
<第3実施形態>
以下、本発明における第3実施形態について記載する。なお、本実施形態において初期値ならびに検出測定値を検出する回路構成および記録ヘッド2の構成は、第1実施形態と共通である。本実施形態は、吐出信号補正処理の精度を高めると同時に、検出時間を短縮することを目的としている。第2実施形態では、圧電素子の個体差を考慮し、吐出信号補正処理を実施する方法について述べたが、第2実施形態では、検査信号に対する補正を何度実施すれば、振幅差分Δaが所定値以下になるかが不明であり、吐出信号補正に要する時間がわからないという問題があった。本実施形態は、第1実施形態と比較し吐出信号補正の精度を高め、第2実施形態と比較し簡便で吐出信号補正処理に所要する時間を短縮することを目的としている。以下、本実施形態の第1実施形態と異なる点について記載する。
図10は、波形形状の異なる第1検査信号(実線)と第2検査信号(破線)である(以降、第1検査信号を検査信号Pd1、第2検査信号を検査信号Pd2とする)。本実施形態では、検査信号Pd1と検査信号Pd2を圧電素子18に供給して劣化判定値測定処理を実施する。劣化判定値測定処理の実施方法は、第1実施形態と同様で、圧電素子18に検査信号Pd1を供給し圧力室20内のインクの圧力変動によって生じた残留振動を第1初期値(以降、第1初期値を初期値1と記載する)として、メモリー34に記憶される。続いて、検査信号Pd2を圧電素子18に供給し圧力室20内のインクの圧力変動によって生じた残留振動を第2初期値(以降、第2初期値を初期値2と記載する)として、メモリー34に記憶される。本実施形態では、初期値検出(ステップS2)において、検査信号Pd1に対応する初期値1、と検査信号Pd2に対応する初期値2、の2つの初期値をメモリー34に記憶する。上述した初期値の取得と同様に、ステップS4での検出測定値に対しても、検査信号Pd1に対応する第1検出測定値(以降、第1検出測定値を検出測定値1と記載する)、と検査信号Pd2に対応する第2検出測定値(以降、第2検出測定値を検出測定値2と記載する)の検出を実施し、2つの検出測定値をメモリー34に記憶する。本実施形態では、2つの検査信号による検出を実施しているが、2つ以上の検査信号による検出を実施することもできる。
図10に示す検査信号Pd1,Pd2は、基準電位VB1、VB2と収縮電位VH1,VH2を変更している。基準電位VB1、VB2と収縮電位VH1,VH2が異なる検査信号Pd1,Pd2で残留振動を検出することで、簡易的に電圧に対する圧電素子の変位量変化を把握することができる。本実施例では検査信号の基準電位VB1、VB2と収縮電位VH1,VH2を変更した検査信号で検出を実施しているが、変更箇所は、基準電位VB1、VB2のみ、または、収縮電位VH1,VH2のみを変更して検出を実施することもできる。
劣化判定値測定処理(ステップS1〜ステップS4)を実施し、初期値と検出測定値を記憶した後に、吐出信号補正処理を実施する。本実施形態は、ステップS5〜S6における吐出信号補正処理が必要かの判定を実施するために、検査信号Pd1に対応する検出信号、初期値1と検出測定値1との振幅差分Δaと、検査信号Pd2に対応する検出信号、初期値2と検出測定値2との振幅差分Δb、をそれぞれ算出し、2つの値に基づいて吐出信号補正処理が必要かを判定する。振幅差分Δaと振幅差分Δbとに対してそれぞれ所定値が設定され、どちらか一方でも振幅差分(ΔaもしくはΔb)が所定値より大きくなった場合に、吐出信号補正処理が必要と判定する(Yes)。一方、どちらの振幅差分(ΔaかつΔb)も所定値に満たない場合には、吐出信号補正処理が不要と判定する(No)。なお、所定値は、第1実施形態と同様に任意に設定することができる。
吐出信号補正処理の要否判定で必要と判定された場合、吐出信号補正値の決定を実施する。図11は、本実施形態における、吐出信号補正値テーブルの一例である。図11では、振幅差分Δaと振幅差分Δbのマトリクスを作成し、振幅差分Δaと振幅差分Δbとが対応する位置が吐出信号補正値となる。例えば、振幅差分Δa=1.2V、振幅差分Δb=1.8Vの場合、C4セルが選択され吐出信号に対する電圧補正値は、+1.7Vと決定される。本実施形態では、吐出信号補正値テーブルを用意しているが、振幅差分Δaと振幅差分Δbとに基づいて、計算式などで吐出信号補正値を導いても良い。また、吐出信号が複数種類ある場合、すべての吐出信号に対して同一の補正値で補正を実施しても良いし、吐出信号ごとに異なった補正テーブルまたは補正式を用いて補正値を決定しても良い。吐出信号補正値が決定すると、吐出信号に対して先ほど決定した補正値で補正が実施される。なお補正対象は電圧だけに限らず、吐出信号の時間成分に対して実施しても良い。
以上のように、本実施形態では、検査信号Pd1と検査信号Pd2とを備え、それに対応した初期値1と、初期値2と、検出測定値1と、検出測定値2と、を検出し、検査信号Pd1に対応した初期値1と検出測定値1との振幅差分Δaと、検査信号Pd2に対応した初期値2と検出測定値2との振幅差分Δbと、に基づいて補正値を決定することで、従来においては電圧に対しての圧電素子18の変位量変化が個体差により異なる等の理由により、適切に補正できなかった記録ヘッド2についても、より正確に吐出信号補正を実施することが可能になる。
また、第2実施形態で述べた方法は、検査信号に対する補正を何度実施すれば、振幅差分Δaが所定値以下になるかが不明であり、吐出信号補正に要する時間が不明であったが、本実施形態の方法であれば、補正に要する検査回数が規定されており、補正に所要する時間を明確に算出することが可能になる。そのため、吐出信号補正処理に所要する時間を短縮することができる。
<第4実施形態>
以下、本発明における第4実施形態について記載する。なお、本実施形態において初期値ならびに検出測定値を検出する回路構成および記録ヘッド2の構成は、第1実施形態と共通である。本実施形態は、劣化判定値測定処理の検出精度を高めることを目的としている。以降は、初期値ならびに検出測定値を検出する際に発生する検出誤差を、吐出信号補正値を決定するために必要な、最低必要精度を満たすため形態の一例を記す。
劣化判定値測定処理は、圧電素子18に検査信号Pdを供給する。これにより、圧電素子18が駆動し圧力室20内のインクに圧力変動を発生させる。この圧力変動の残留振動により圧電素子18には逆起電力が生じる。検査信号Pdが供給された直後、切替信号によりスイッチ39がオフに切り替えられる(図5B)。これにより、振動検出回路38には、検査対象ノズル23に対応する圧電素子18の逆起電力に基づく電流Id(高周波成分)が流れる。そして、振動検出回路38は、電流Idから、駆動により生じた残留振動として初期値(検出信号Sc1)または検出測定値(検出信号Sc1)を検出する。しかしながら圧力変動の残留振動は、圧力室20内のインクの状態(粘度・表面張力など)でも変化し、また、検出時の電気的ノイズなどによって、初期値または検出測定値に誤差が発生する可能性があった。本実施形態はこのような問題に対して提案したものである。
本実施形態は、劣化判定値測定処理において、検査信号Pdによる初期値の検出、ならびに初期値検出後所定のタイミングで実施される検査信号Pdによる検出測定値の検出において、複数回検出を実施し、複数回の検出結果に基づいて、初期値および検出測定値をメモリー34に記憶することを特徴としている。初期値および検出測定値の導出方法は、任意に設定することができる。具体的には、複数回検出した初期値を、初期値A、初期値B、初期値C、初期値D、初期値Eとし、複数回検出した結果から導出され、吐出信号補正値決定に使用される初期値を初期値Xとすると、初期値Xを初期値A〜Eの平均値としても良いし、初期値A<初期値B<初期値C<初期値D<初期値Eの関係の時、中央値を採用し初期値X=初期値Cとしても良いし、初期値A〜Eが前述の関係の時、最大値である初期値E、最小値である初期値Aを除いた初期値B〜Dの平均値をとっても良い。初期値Xの導出方法は、複数回検出された初期値を基に決定されるのであれば、導出方法については特に限定はしない。ここでは、初期値について述べたが、検出測定値も同様に複数回検出した検出測定値を基に、検出測定値が導出されるのであれば、導出方法については特に限定はしない。
検出回数については、任意に設定することが可能である。具体的には、実験値などより導出された検出必要回数を検出回数とし、定数として設定しても良いし、検出回数を変数とし、ある条件を満たす場合まで検出を繰り返し実施しても良い。より具体的には、複数回検出した検出結果に対して、標準偏差を算出し、算出した標準偏差と最低必要精度(吐出信号補正値を決定するために必要な精度)を比較し、標準偏差が最低必要精度を下回ることを条件としても良い。
劣化判定値測定処理を実施し、複数回検出した初期値と検出測定値を基に、初期値と検出測定値を導出した後に、吐出信号補正処理が実施される。吐出信号補正処理の方法は第1実施形態または第2実施形態または第3実施形態と同様に実施されるため、記載は省略する。
本実施形態の劣化判定値測定処理のように、複数回検出した初期値と検出測定値を基に、初期値と検出測定値を導出することで、残留振動検出時の誤差を緩和することができ、吐出信号補正をより精度よく実施することが可能になる。
<第5実施形態>
以下、本発明における第5実施形態について記載する。なお、本実施形態において初期値ならびに検出測定値を検出する回路構成および記録ヘッド2の構成は、第1実施形態と共通である。本実施形態は、劣化判定値測定処理の検出精度を高めることを目的としている。
劣化判定値測定処理は、圧電素子18に検査信号Pdを供給する。これにより、圧電素子18が駆動し圧力室20内のインクに圧力変動を発生させる。この圧力変動の残留振動を検出し、初期値または検出測定値を検出する。しかしながら圧力変動の残留振動は、圧力室内のインクの状態(粘度・表面張力など)で変化し、吐出信号補正に適切な初期値または検出測定値が検出できない可能性があった。本実施形態は、このような問題に対して提案したものである。
本実施形態は、劣化判定値測定処理において、検査信号Pdによる初期値の検出、ならびに初期値検出後所定のタイミングで実施される検査信号Pdによる検出測定値の検出において、初期値ならびに検出測定値の残留振動を検出する前に、フラッシング処理を実施することを特徴としている。フラッシング処理とは、圧電素子18に吐出信号を供給し、圧力室20内のインクに圧力変動を発生させ、ノズル23よりインクを吐出することで、圧力室20内にインクカートリッジ3からインクが供給される一連の動作を示す。吐出信号形状については、ノズル23よりインクが吐出されれば、とくに限定はしない。
フラッシング処理を実施することで、圧力室20内で滞留していたインクが圧力室20内から排出され、インクカートリッジ3よりフレッシュな状態のインクが供給される。滞留していたインクは、インクカートリッジ3より供給されてから、圧力室20内での経過時間が不明なため、粘度、表面張力など液体の物性値が不定である。それに対して、フレッシュな状態のインクは、インクカートリッジ3より供給されてからの経過時間が短いため、粘度、表面張力などの液体の物性値が、インクカートリッジの保障物性値である可能性が高く、劣化判定値測定処理時に安定した残留振動を検出できる(初期値と検出測定値との検出条件差をより小さくできる)。そのため、フラッシング処理を実施し、排出するインク吐出量は、圧力室20の容積と同等かそれ以上であるのが好ましい。
フラッシング処理を、初期値の残留振動検出前と検出測定値の残留振動検出前にそれぞれ実施し、初期値と検出測定値とを基に、吐出信号補正処理が実施される。吐出信号補正処理の方法は、第1実施形態または第2実施形態または第3実施形態と同様に実施されるため、記載は省略する。
本実施形態の劣化判定値測定処理のように、初期値ならびに検出測定値の残留振動検出前にフラッシング処理を実施することで、インクの特性変化による残留振動への影響を小さくすることができ、吐出信号補正をより精度よく実施することが可能になる。
なお、第1実施形態〜第5実施形態では、圧力室基板14、すなわち、圧力室20の隔壁13の上下に、それぞれ弾性膜16およびノズルプレート15が接合された構成を例示したが、これには限られず、圧力室20の隔壁13の上下に本実施形態とは、異なる部材が接合される構成においても同様に適用することができる。
さらに、本実施形態では、アクチュエーターとして圧電素子18を例示したがこれには限られず、例えば、圧力室内の残留振動を検出可能な残留振動検出用の圧電素子を設けて、発熱素子や静電アクチュエーター等の種々のアクチュエーターを採用することができる。
また、本発明は、アクチュエーターを駆動させることで圧力室内の液体に生じる圧力振動によりノズルから液体を吐出させる構成を有する液体噴射装置であれば、プリンターに限らず、プロッター、ファクシミリ装置、コピー機等、各種のインクジェット式記録装置や、記録装置以外の液体噴射装置、例えば、ディスプレイ製造装置、電極製造装置、チップ製造装置等にも適用することができる。
以下に、上述した実施形態から導き出される内容を記載する。
液体噴射装置の吐出信号補正方法は、液体を噴射するノズルと、前記ノズルと連通する圧力室と、前記圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生素子と、前記圧力発生素子に供給することで前記ノズルから前記液体を吐出させる吐出信号と、前記圧力発生素子に供給することで前記圧力室内の前記液体に圧力変動を発生させる検査信号と、を生成する駆動信号生成部と、前記検査信号を前記圧力発生素子に供給することにより発生する前記圧力室内の残留振動を検出する検出部と、を備える液体噴射装置の吐出信号補正方法であって、前記圧力発生素子に前記検査信号を供給して前記圧力室内の前記液体に圧力変動を発生させ、前記検出部が検出した前記残留振動を初期値として記憶部に記憶し、その後、所定のタイミングで、前記圧力発生素子に前記検査信号を供給して前記液体に圧力変動を発生させ、前記検出部が検出した前記残留振動を検出測定値として前記記憶部に記憶することを含む劣化判定値測定処理を実施し、前記初期値と前記検出測定値とに基づいて前記吐出信号を補正することを含む吐出信号補正処理を実施することを特徴とする。
この構成によれば、圧力発生素子に検査信号を供給して圧力室内の液体に圧力変動を発生させ、検出部が検出した残留振動を初期値として記憶部に記憶し、その後所定のタイミングで、圧力発生素子に検査信号を供給して液体に圧力変動を発生させ、検出部が検出した残留振動を検出測定値として記憶部に記憶することを含む劣化判定値測定処理を実施し、初期値と検出測定値とに基づいて吐出信号を補正することを含む吐出信号補正処理を実施するので、従来においては圧力発生素子の劣化に適した補正を実施できなかったが、本補正方法であれば圧力発生素子の実際の劣化を検出し、その劣化に適した補正を実施することが可能になる。
上記液体噴射装置の吐出信号補正方法における吐出信号補正処理において、前記初期値と前記検出測定値との差が所定値以下なら前記吐出信号の補正はせず、前記初期値と前記検出測定値との差が前記所定値より大きければ前記吐出信号の補正を実施することが好ましい。
この構成によれば、初期値と検出測定値が所定値以下なら吐出信号の補正はせず、初期値と検出測定値との差が所定値より大きければ吐出信号の補正を実施することで、圧電素子の実際の劣化を検出し、かつ劣化の度合が吐出信号の補正が必要かを判定し、適正に補正を実施することが可能になる。
上記液体噴射装置の吐出信号補正方法における吐出信号補正処理において、前記初期値と前記検出測定値との差が前記所定値より大きければ、前記初期値との差が前記所定値以下になるまで前記検査信号を変更し、変更後の検査信号と変更前の検査信号との差に基づいて、前記吐出信号の補正を実施することが好ましい。
この構成によれば、初期値と検出測定値との差が所定値より大きければ、初期値との差が所定値以下になるまで検査信号を変更し、変更後の検査信号と変更前の検査信号との差に基づいて、吐出信号の補正を実施することで、従来においては電圧に対しての圧力発生素子の変位量変化が個体差により異なるなどの理由により、適切に補正できなかった記録ヘッドについても、より正確に吐出信号補正を実施することが可能になる。
上記液体噴射装置の吐出信号補正方法における検査信号は、互いに波形形状の異なる第1検査信号と第2検査信号とを備え、前記劣化判定値測定処理において、前記第1検査信号による前記残留振動に対応する第1初期値と、前記第2検査信号による前記残留振動に対応する第2初期値と、を前記初期値として前記記憶部に記憶し、その後所定のタイミングで、前記第1検査信号による前記残留振動に対応する第1検出測定値と、前記第2検査信号による前記残留振動に対応する第2検出測定値と、を前記検出測定値として記憶部に記憶することが好ましい。
この構成によれば、互いに波形形状の異なる第1検査信号と第2検査信号とを備え、劣化判定値測定処理において、第1検査信号による残留振動に対応する第1初期値と、第2検査信号による残留振動に対応する第2初期値と、を初期値として記憶部に記憶し、その後所定のタイミングで、第1検査信号による残留振動に対応する第1検出測定値と、第2検査信号による残留振動に対応する第2検出測定値と、を検出測定値として記憶部に記憶することで、従来においては電圧に対しての圧力発生素子の変位量変化が個体差により異なるなどの理由により、適切に補正できなかった記録ヘッドについても、より正確に吐出信号補正を実施することが可能になる。
また、補正に要する検査回数が規定されており、補正に所要する時間を明確に算出することが可能になるので、吐出信号補正処理に所要する時間を短縮することができる。
上記液体噴射装置の吐出信号補正方法における劣化判定値測定処理において、圧力発生素子への検査信号の供給とその残留振動の検出を複数回実施して、複数回の検出結果に基づいて初期値および検出測定値を記憶部に記憶することが好ましい。
この構成によれば、劣化判定値測定処理において、圧力発生素子への検査信号の供給とその残留振動の検出を複数回実施して、複数回の検出結果に基づいて初期値および検出測定値を記憶部に記憶することで、残留振動検出時の誤差を緩和することが出来、吐出信号補正をより精度よく実施することが可能になる。
上記液体噴射装置の吐出信号補正方法における劣化判定値測定処理において、圧力発生素子に検査信号を供給し、残留振動を検出する前に、フラッシング処理を実施することが好ましい。
この構成によれば、劣化判定値測定処理において、圧力発生素子に検査信号を供給し、残留振動を検出する前に、フラッシング処理を実施することで、液体の特性変化による残留振動への影響を小さくすることができ、吐出信号補正をより精度よく実施することが可能になる。
液体噴射装置は、液体を噴射するノズルと、前記ノズルと連通する圧力室と、前記圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生素子と、前記圧力発生素子に供給することで前記ノズルから前記液体を吐出させる吐出信号と、前記圧力発生素子に供給することで前記圧力室内の前記液体に圧力変動を発生させる検査信号と、を生成する駆動信号生成部と、前記検査信号を前記圧力発生素子に供給することにより発生する前記圧力室内の残留振動を検出する検出部と、を備える液体噴射装置であって、前記圧力発生素子に前記検査信号を供給して前記圧力室内の前記液体に圧力変動を発生させ、前記検出部が検出した前記残留振動を初期値として記憶部に記憶し、その後所定のタイミングで、前記圧力発生素子に前記検査信号を供給して前記液体に圧力変動を発生させ、前記検出部が検出した前記残留振動を検出測定値として前記記憶部に記憶することを含む劣化判定値測定処理を実施し、前記初期値と前記検出測定値とに基づいて前記吐出信号を補正することを含む吐出信号補正処理を実施することを特徴とする。
この構成によれば、圧力発生素子に検査信号を供給して圧力室内の液体に圧力変動を発生させ、検出部が検出した残留振動を初期値として記憶部に記憶し、その後所定のタイミングで、圧力発生素子に検査信号を供給して液体に圧力変動を発生させ、検出部が検出した残留振動を検出測定値として記憶部に記憶することを含む劣化判定値測定処理を実施し、初期値と検出測定値とに基づいて吐出信号を補正することを含む吐出信号補正処理を実施する機能を備えているので、従来においては圧力発生素子の劣化に適した補正を実施できなかったが、本液体噴射装置であれば圧力発生素子の実際の劣化を検出し、その劣化に適した補正を実施することが可能になる。
1…液体噴射装置としてのプリンター、2…記録ヘッド、3…インクカートリッジ、4…キャリッジ、5…プラテン、6…記録紙、7…キャリッジ移動機構、8…紙送り機構、9…ガイドロッド、10…リニアエンコーダー、12…接着剤、13…隔壁、14…圧力室基板、15…ノズルプレート、16…弾性膜、17…絶縁膜、18…圧力発生素子としての圧電素子、19…保護基板、20…圧力室、21…連通部、22…インク供給路、23…ノズル、24…下電極、25…圧電体、26…上電極、27…リザーバー、28…圧電素子保持部、29…リザーバー部、30…ヘッドコントローラー、31…プリンターコントローラー、32…プリントエンジン、33…外部インタフェース、34…記憶部としてのメモリー、35…CPU、36…駆動信号生成部としての駆動信号発生回路、37…パルス選択スイッチ、38…振動検出回路、39…スイッチ。

Claims (7)

  1. 液体を噴射するノズルと、
    前記ノズルと連通する圧力室と、
    前記圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生素子と、
    前記圧力発生素子に供給することで前記ノズルから前記液体を吐出させる吐出信号と、
    前記圧力発生素子に供給することで前記圧力室内の前記液体に圧力変動を発生させる検査信号と、を生成する駆動信号生成部と、
    前記検査信号を前記圧力発生素子に供給することにより発生する前記圧力室内の残留振動を検出する検出部と、を備える液体噴射装置の吐出信号補正方法であって、
    前記圧力発生素子に前記検査信号を供給して前記圧力室内の前記液体に圧力変動を発生させ、前記検出部が検出した前記残留振動を初期値として記憶部に記憶し、
    その後所定のタイミングで、前記圧力発生素子に前記検査信号を供給して前記液体に圧力変動を発生させ、前記検出部が検出した前記残留振動を検出測定値として前記記憶部に記憶することを含む劣化判定値測定処理を実施し、
    前記初期値と前記検出測定値とに基づいて前記吐出信号を補正することを含む吐出信号補正処理を実施することを特徴とする液体噴射装置の吐出信号補正方法。
  2. 前記吐出信号補正処理において、
    前記初期値と前記検出測定値との差が所定値以下なら前記吐出信号の補正はせず、
    前記初期値と前記検出測定値との差が前記所定値より大きければ前記吐出信号の補正を実施することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置の吐出信号補正方法。
  3. 前記吐出信号補正処理において、
    前記初期値と前記検出測定値との差が所定値より大きければ、前記初期値との差が前記所定値以下になるまで前記検査信号を変更し、変更後の検査信号と変更前の検査信号との差に基づいて、前記吐出信号の補正を実施することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置の吐出信号補正方法。
  4. 前記検査信号は、互いに波形形状の異なる第1検査信号と第2検査信号とを備え、
    前記劣化判定値測定処理において、前記第1検査信号による前記残留振動に対応する第1初期値と、前記第2検査信号による前記残留振動に対応する第2初期値と、を前記初期値として前記記憶部に記憶し、
    その後所定のタイミングで、前記第1検査信号による前記残留振動に対応する第1検出測定値と、前記第2検査信号による前記残留振動に対応する第2検出測定値と、を前記検出測定値として前記記憶部に記憶することを特徴とする請求項1または請求項3に記載の液体噴射装置の吐出信号補正方法。
  5. 前記劣化判定値測定処理において、前記圧力発生素子への前記検査信号の供給とその前記残留振動の検出を複数回実施して、前記複数回の検出結果に基づいて前記初期値および前記検出測定値を前記記憶部に記憶することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の液体噴射装置の吐出信号補正方法。
  6. 前記劣化判定値測定処理において、前記圧力発生素子に前記検査信号を供給し、前記残留振動を検出する前に、フラッシング処理を実施することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の液体噴射装置の吐出信号補正方法。
  7. 液体を噴射するノズルと、
    前記ノズルと連通する圧力室と、
    前記圧力室内の液体に圧力変動を生じさせる圧力発生素子と、
    前記圧力発生素子に供給することで前記ノズルから前記液体を吐出させる吐出信号と、
    前記圧力発生素子に供給することで前記圧力室内の前記液体に圧力変動を発生させる検査信号と、を生成する駆動信号生成部と、
    前記検査信号を前記圧力発生素子に供給することにより発生する前記圧力室内の残留振動を検出する検出部と、を備える液体噴射装置であって、
    前記圧力発生素子に前記検査信号を供給して前記圧力室内の前記液体に圧力変動を発生させ、前記検出部が検出した前記残留振動を初期値として記憶部に記憶し、
    その後所定のタイミングで、前記圧力発生素子に前記検査信号を供給して前記液体に圧力変動を発生させ、前記検出部が検出した前記残留振動を検出測定値として前記記憶部に記憶することを含む劣化判定値測定処理を実施し、
    前記初期値と前記検出測定値とに基づいて前記吐出信号を補正することを含む吐出信号補正処理を実施することを特徴とする液体噴射装置。
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