JP5180623B2 - スペーサ用感光性樹脂組成物およびカラーフィルタ - Google Patents
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Description
このような液晶表示装置において、上記カラーフィルタ基板と対向基板との間隙(セルギャップ)は液晶層の厚さそのものであり、色ムラやコントラストムラといった表示ムラを防止し、均一な表示、高速応答性、高コントラスト比、広視野角等の良好な表示性能をカラー液晶表示装置に付与するためには、セルギャップを一定且つ均一に維持する必要がある。
すなわち、スペーサとして微粒子を分散させる場合には、当該微粒子はランダムに分散する。微粒子が表示領域すなわち着色層に配置された場合、微粒子の部分をバックライトの光が透過し、また、微粒子周辺の液晶の配向が乱れ、表示画像の品位を著しく低下させる。そこで微粒子を分散させるかわりに、ブラックマトリクス上にセルギャップに対応する高さを有する柱状のスペーサを形成することが行われるようになってきた。
しかしながら、上記感光性樹脂の現像性が低い場合にはスペーサを所望の形状とすることができないといった問題や、着色層上に現像残渣が生じるといった問題があった。一方、上記感光性樹脂を現像性に優れたものとすると、密着性が低下し、形成したスペーサが剥離するといった問題があった。
このような問題に対して、特許文献1には、樹脂、モノマー、光重合開始剤、溶剤を主成分とする感光性樹脂組成物において、該モノマーとしてカルボキシル基を持つ特定構造の多官能アクリルモノマー及びカルボキシル基を持たない特定構造の多官能アクリルモノマーを含有することを特徴とする感光性樹脂組成物が記載されている。しかしながら、特許文献1に記載された感光性樹脂組成物も、現像性が充分なものとすることができないといった問題があった。
また、式(2)中、Etはエチル基を表す。)
まず、本発明のスペーサ用感光性樹脂組成物について説明する。本発明のスペーサ用感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂、多官能性モノマー、光重合開始剤、チオール化合物および溶剤を少なくとも有するスペーサ用感光性樹脂組成物であって、上記多官能性モノマーが、酸性官能基含有多官能(メタ)アクリレートを含むものであり、上記酸性官能基含有多官能(メタ)アクリレートが、固形分中に5質量%以上含有されることを特徴とするものである。
また、チオール化合物を含むことにより、架橋反応が促進され、上記酸性官能基含有多官能(メタ)アクリレートのような酸価の高い化合物とアルカリ水溶液に対して不溶性の化合物との架橋が促進される。このため、不溶性の化合物のアルカリ現像液への溶解性が向上し現像性が向上するのである。また、架橋反応が促進されることにより硬化性が向上し、それに伴い密着性も向上するのである。
このように、所定量以上の上記多官能性モノマーおよびチオール化合物を有することにより、現像性および密着性に優れたものとすることができる。その結果、現像残渣が少なく、任意の形状のスペーサを形成でき、高精細なパターンを形成することができる。また、このようなことから、所望の形状のスペーサを精度良く形成することができるため、本発明のスペーサ用感光性樹脂組成物を用いて形成されたスペーサを有するカラーフィルタをセルギャップの均一性に優れたものとすることができるのである。
本発明のスペーサ用感光性樹脂組成物に含まれる多官能性モノマーは、酸性官能基および複数の(メタ)アクリル基を有する酸性官能基含有多官能(メタ)アクリレートを含むものである。また、上記酸性官能基含有多官能(メタ)アクリレートは、本発明のスペーサ用感光性樹脂組成物の固形分中に5質量%以上含有されるものである。
この酸性官能基としては、アルカリ現像が可能なものであればよく、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。中でも、アルカリ現像性および本発明のスペーサ用感光性樹脂組成物の取り扱い性の点から、カルボキシル基が好ましい。
本発明においては、上記酸性官能基含有多官能モノマーが、一分子中に3つ以上の(メタ)アクリル基を有していることが好ましい。架橋密度をさらに向上させることができるからである。
なお、分子量とは重量平均分子量のことであり、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した際の、ポリスチレン換算の値である。
なお、酸価は、JIS K 0070(1992)に準じる方法により測定することができる。具体的には、試料をアセトンに溶解し、指示薬としてブロモチモールブルーを用い、水酸化カリウムエタノール溶液で滴定することにより、酸価を測定することができる。
なお、固形分とは、溶剤以外の全ての成分を指すものである。
本発明のスペーサ用感光性樹脂組成物に含まれるチオール化合物は、分子内にメルカプト基(−SH)を少なくとも2つ、好ましくは3つ以上、さらに好ましくは4つ以上有する化合物である。本発明においては上記チオール化合物を含むことにより、現像性および密着性の向上を図ることができる。
本発明に用いられる光重合開始剤は、一般的にカラーフィルタの製造に用いられるものを使用することができる。
上記3級アミン構造を有する光重合開始剤の市販品としては、例えば、イルガキュア907、イルガキュア369(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)、ハイキュアABP(川口薬品製)、ビイミダゾール(黒金化成製)などが挙げられる。
また、式(2)中、Etはエチル基を表す。)
また、上記式(2)の光重合開始剤は、感光性および溶剤への溶解性に優るものであるため、硬化性に優れたものとすることができる。また、現像液への分散性が非常に優れるものであるため、現像性を大きく向上させることができる。
また、このようなことより、上記式(1)または式(2)の光重合開始剤を単独で使用した場合と比較し、高精細なパターンを有するスペーサを形成することができる。
本発明に用いられるバインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、カラーフィルタの製造に用いられることから、耐熱性および、製造工程において使用される有機溶剤への耐性を有する樹脂であることが好ましい。具体的には、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの感光性または非感光性の樹脂を挙げることができる。
本発明に用いられる溶剤としては、本発明のスペーサ用感光性樹脂組成物の各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは均一に分散可能な有機溶剤であれば良い。具体的には、シクロヘキシルアセテート;メトキシブチルアセテート(MBA);エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル等の他のエーテル類;シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類;γ−ブチロラクトン、3−メトキシブタノール等を挙げることができる。これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
本発明のスペーサ用感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂、多官能性モノマー、光重合開始剤、チオール化合物および溶剤を少なくとも含むものであり、必要に応じて、他の添加剤を含むものであっても良い。
このような他の添加剤としては、増感剤、重合停止剤、連鎖移動剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤等が挙げられる。
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、上述したスペーサ用感光性樹脂組成物を用いて形成されたスペーサを有することを特徴とするものである。
ここで、上記スペーサ4は、上述したスペーサ用感光性樹脂組成物を用いて形成されたものである。
以下、このような本発明のカラーフィルタの各構成について詳細に説明する。
本発明に用いられるスペーサは、上述したスペーサ用感光性樹脂組成物を用いて形成されたものである。
なお、上記スペーサの厚みとは、上記スペーサの底辺から垂直方向に、頂部までの距離をいうものである。
本発明のカラーフィルタは、上記スペーサ以外に、通常、透明基板と、開口部を備えるブラックマトリクスと、上記開口部に形成された着色層とを少なくとも有するものである。このような透明基板、ブラックマトリクスおよび着色層としては、一般的なカラーフィルタに使用されるものを用いることができる。また、必要に応じて、上記着色層上に透明保護層が形成されたものとしても良い。
なお、カラーフィルタの方式としては、TN方式、IPS方式等のいずれの方式であっても良い。
1.スペーサ用感光性樹脂組成物の調製
バインダー樹脂、多官能性モノマー、光重合開始剤、チオール化合物および溶剤を下記表1および表2に示すように配合するスペーサ用感光性樹脂組成物を調製した。なお、表1および表2中の数値は、配合の割合を重量部で表したものである。
この際、バインダー樹脂として、アクリル樹脂(東亞合成(株)製 アロンTS−21)、アクリル系コポリマー(新中村化学(株)製 NKポリマーB7500)、カルド樹脂(ナガセケムテックス(株)製 INR−16M)を用いた。なお、上記バインダー樹脂の固形分率は、TS−21が35.2%、B7500が24.2%、INR−16Mが54.6%であった。
また、多官能性モノマーとして、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートの二塩基酸無水物付加物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート=3:7の混合物(東亞合成(株)製 アロニックスTO1382)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(東亜合成(株)製 アロニックスM305)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物(東亜合成(株)製 アロニックスM402)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物(東亜合成(株)製 アロニックスM403)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー社製 サートマーSR399E)を用いた。
チオール化合物として、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート(PETP)(淀化学(株)製)を用いた。
添加剤として、大日本インキ化学(株)製フッ素系レベリング剤(R08MH)を用いた。なお、R08MHの固形分率は9.47%であった。
溶剤としてジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)を用いた。
実施例2、4、10〜11、参考例1、3、5〜9、12〜13、比較例1〜7で得られたスペーサ用感光性樹脂組成物を用いて、スペーサの形成を行い、現像性および密着性について評価を行った。
ガラス基板(100mm×100mm)に上記スペーサ用感光性樹脂組成物をスピンコーターを用いて塗布した後、真空度が0.2torrに到達するまで真空乾燥を行なって、膜厚3.8μmの塗膜を形成した。
その後、減圧乾燥を行い、100℃のホットプレート上で3分間加熱しプリベイクを行った。
次いで、乾燥後の上記スペーサ形成用層を、超高圧水銀灯を用いて100mJ/cm2でマスク露光し硬化させた。
次いで、スピン現像し0.05wt%水酸化カリウム(KOH)からなる現像液に60秒間接液させた後に純水で洗浄することで現像処理を行い、さらにパターン形成された基板を230℃のオーブン内で30分間ポストベイクした。
このようにして、直径、20μm〜30μmで、高さ、3.5μmのスペーサを形成した。
形成されたスペーサについて、現像性および密着性の評価を行なった。
上記スペーサ形成後のガラス基板の表面から投光器により光を照射した状態で、目視観察し、未露光箇所における残渣の有無(投光器による目視)を確認した。結果を、下記表3に示す。ここで、上記ガラス基板上に白化が全く見られない場合には残渣がないと判断し○とし、上記ガラス基板表面に白化が見られた場合には残渣があると判断し×とした。
直径7μmのスペーサが現像後に溶解されずに密着しているかを確認することにより評価を行った。密着している場合には、○、密着していない場合には×とした。なお、観察には、半導体顕微鏡(OLYMPUS製、MX50)を用いた。結果を表3に示す。
2…ブラックマトリクス
3…着色層
4…スペーサ
10…カラーフィルタ
Claims (5)
- バインダー樹脂、多官能性モノマー、光重合開始剤、チオール化合物および溶剤を少なくとも有するスペーサ用感光性樹脂組成物であって、
前記多官能性モノマーが、酸性官能基含有多官能(メタ)アクリレートを含むものであり、前記酸性官能基含有多官能(メタ)アクリレートが、固形分中に5質量%以上含有され、
前記光重合開始剤が、下記式(1)および下記式(2)の光重合開始剤を含むことを特徴とするスペーサ用感光性樹脂組成物。
また、式(2)中、Etはエチル基を表す。) - 前記酸性官能基含有多官能(メタ)アクリレートが、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートの有機酸付加化合物であることを特徴とする請求項1に記載のスペーサ用感光性樹脂組成物。
- 前記式(1)および式(2)の光重合開始剤の合計量が、固形分100重量部当り、0.05重量部〜10重量部の範囲内であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のスペーサ用感光性樹脂組成物。
- 前記チオール化合物が、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のスペーサ用感光性樹脂組成物。
- 請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のスペーサ用感光性樹脂組成物を用いて形成されたスペーサを有することを特徴とするカラーフィルタ。
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