以下、図面とともに、本発明によるX線発生装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
図1は、本発明によるX線発生装置の第1実施形態の構成を示す図であり、図1(a)は正面図、図1(b)は平面断面図である。また、図2は、図1に示したX線発生装置に用いられるX線管の構成を、その中心線を含む面で破断して示す斜視図である。本実施形態によるX線発生装置1Aは、X線管10と、金属筐体30と、封止部材35とを備えて構成されている。
X線管10は、図2に示すように、密閉容器15と、密閉容器15の所定部位に設けられた出力窓11と、出力窓11とともに設けられたX線発生用のターゲット12と、ターゲット12に対してX線発生用の電子線を供給する電子供給部(電子銃)であるフィラメント25とを有する。
本実施形態においては、密閉容器15は、窓枠部16と、接続部17と、基体部18とによって構成されている。窓枠部16は、導電性で熱伝導性が高い金属材料、好ましくは銅(Cu)から形成されており、X線の出力方向からみて密閉容器15の前方部分を構成している。窓枠部16には、本X線管10におけるX線の出力方向に向けて略円形の開口部13が設けられており、この開口部13を塞ぐようにX線を出力するための出力窓11が気密ロウ付けされている。
出力窓11としては、例えば、X線を透過するベリリウム薄板(ベリリウム窓)が好適に用いられる。また、出力窓11の内面側には、電子線の衝突によってX線を発生させるターゲット12が設けられている。ターゲット12としては、例えば、出力窓11であるベリリウム薄板に蒸着されたタングステン層を用いることができる。また、このような構成において、窓枠部16は、出力窓11及びターゲット12を保持している。
また、窓枠部16には、その前面16aにおいて、X線管10を金属筐体30に取り付けるためのネジ穴16bが設けられている。これらのネジ穴16bは、図2に示したように、好ましくは、出力窓11を囲む外縁部において、その中心線16cよりも外側の所定位置に設けられる。
基体部18は、絶縁材料、好ましくはセラミックス材料から形成されており、窓枠部16に対向する位置に設けられて密閉容器15の後方部分を構成している。また、図2に示した構成例では、これらの窓枠部16と基体部18とは、好ましくはコバール金属等からなる接続部17を介して一体に接続され、これによってX線管10の密閉容器15が構成されている。なお、接続部17については、不要であれば設けずに、窓枠部16と基体部18とが直接に接続される構成としても良い。また、窓枠部16の金属材料、及び基体部18の絶縁材料については、上記した銅、及びセラミックス材料以外にも具体的には様々な材料を用いて良い。
基体部18に対し、一対の電極リード21、22が設けられている。これらの電極リード21、22は、その一端(前端部)に電子供給部であるフィラメント25が固定され、他端(後端部)が基体部18の貫通孔18aに固定されている。なお、密閉容器15内において、フィラメント25は、電子線の供給対象となるターゲット12に対して所定位置に配置される。
また、電極リード21、22の後端部は、基体部18を貫通して基体部18の後面から外部に突出している。本構成例では、この電極リード21、22の突出部分が、電極リード21、22とそれぞれ電気的に接続され、フィラメント25に対して必要な電圧を印加するために用いられる電圧印加部として機能する一対のリード端子23、24となっている。これらのリード端子23、24は、リード線23a、24aを介して電圧を供給する電源に接続される。また、基体部18の後面には、リード端子23、24と合わせて、排気管26が突出して設けられている。
このような構成を有するX線管10は、図1に示すように、金属筐体30の内部に収容されて設けられている。X線管10は、その窓枠部16が金属筐体30の筐体前面部31に直接的に熱的に接続された状態で固定されることによって、金属筐体30に対して固定される。図1に示した構成例においては、窓枠部16は、その前面16aの全体が筐体前面部31に熱的に接続された状態で、ネジ穴16b及びネジ16dによって、筐体前面部31に対してネジ止め固定されている。なお、金属筐体30を構成する金属材料については、例えばアルミニウムを用いることができる。
また、この金属筐体30の筐体前面部31には、X線管10の出力窓11が臨む出力開口部32が設けられている。本構成例では、出力開口部32は、図1に示すように、内部のX線管10側から外側に向かって、すなわちX線の出力方向に向かって拡径する形状に形成されている。また、筐体前面部31には、出力開口部32の外周に環状に突出する固定突出部33が設けられている。この固定突出部33は、後述するように、金属筐体30をハウジングケースに固定する際に用いられる。また、筐体前面部31には、同じく金属筐体30をハウジングケースに固定する際に用いられるネジ穴31aが設けられている。
また、金属筐体30内に収容されたX線管10に対し、金属筐体30内において所定の封止材料でX線管10を封止する封止部材35が設けられている。この封止部材35は、X線管10で発生した熱を金属筐体30を介して外部へと放出(放熱)するとともに、X線管10の電圧印加部であるリード端子23、24と金属筐体30との間での絶縁を保持するためのものである。
図1に示したX線発生装置1Aにおいては、封止部材35は、第1封止部36と、第2封止部37とによって構成されている。第1封止部36は、X線管10の基体部18から突出した一対のリード端子23、24を少なくとも封止するように、第1封止材料によって形成されている。また、本構成例では、X線管10において基体部18から外部に突出するように設けられた排気管26についても、リード端子23、24とともに第1封止部36によって封止されている。
第2封止部37は、上記した第1封止部36を封止するように、第1封止材料とは異なる第2封止材料によって形成されている。これにより、第2封止部37は、X線管10及び第1封止部36と、金属筐体30の内面との間に介在する構成となっている。ただし、X線管10の窓枠部16の前面16aは、上記したように金属筐体30の筐体前面部31に対して直接に接触している。また、第1封止部36と第2封止部37とは、その境界の全体において直接的に接触している。
具体的には、第2封止部37の第2封止材料としては、第1封止材料よりも放熱性が低く、かつ絶縁性が高い封止材料が用いられる。すなわち、金属筐体30内においてX線管10を封止する封止部材35のうち、X線管10側の第1封止部36は放熱特性に優れた封止材料によって形成されている。また、金属筐体30側の第2封止部37は絶縁特性に優れた封止材料によって形成されている。
上記実施形態によるX線発生装置1Aの効果について説明する。
図1及び図2に示したX線発生装置1Aにおいては、出力窓11及びターゲット12を保持する金属材料の窓枠部16と、電子供給部であるフィラメント25及び電極リード21、22を保持する絶縁材料の基体部18とを用いて、X線管10の密閉容器15を構成している。そして、X線管10を金属筐体30の内部に収容するとともに、X線管10の窓枠部16の前面を金属筐体30の筐体前面部31に直接的に接触させて、金属筐体30の筐体前面部31に対して窓枠部16を熱的に接続している。
これにより、X線管10のターゲット12で発生する熱が窓枠部16を介して金属筐体30から外部へと効率的に放出される。また、金属筐体30内において、基体部18から突出しているリード端子23、24を含むX線管10を所定の封止材料からなる封止部材35によって封止している。これにより、X線管10のフィラメント25等で発生する熱が電極リード21、22、リード端子23、24、及び封止部材35を介して、金属筐体30から外部へと効率的に放出される。
さらに、上記構成において、金属筐体30内でX線管10を封止する封止部材35を、放熱性が高い第1封止材料からなり少なくともリード端子23、24を封止する内側の第1封止部36と、絶縁性が高い第2封止材料からなり第1封止部36を封止して第1封止部36と金属筐体30の内面との間に介在する外側の第2封止部37とによって構成している。このような構成によれば、電極リード21、22の一端に固定されたフィラメント25で発生する熱に対する放熱性と、リード端子23、24からフィラメント25に印加される電圧に対する絶縁性とを好適に両立して、X線管10に対する放熱性及び耐圧性をともに向上することが可能となる。
すなわち、金属筐体30内でX線管10を封止する封止部材35については、放熱性と絶縁性(耐圧性)とがともに高い封止材料を用いることが好ましいが、現段階では、そのような材料は存在していない。これに対して、本実施形態によるX線発生装置1Aの構成では、リード端子23、24を含むX線管10側の第1封止部36において放熱性が高い封止材料を用いることにより、フィラメント25等で発生した熱の放出が効率良く実現される。また、金属筐体30側の第2封止部37において絶縁性が高い封止材料を用いることにより、X線管10と金属筐体30との間での絶縁が確実に保持される。
第1封止部36を構成する放熱性が高い第1封止材料としては、例えば、ポッティング材として用いられる信越シリコーン社製のシリコーンゴムKE1861を用いることができる。また、第2封止部37を構成する絶縁性が高い第2封止材料としては、例えば、信越シリコーン社製のシリコーンゴムKE1206を用いることができる。また、具体的な封止材料については、上記以外にも様々な封止材料を用いることが可能である。
ここで、封止材料の放熱性については、熱伝導率の値を参照することができる。上記した例では、第1封止材料のKE1861の熱伝導率が0.83W/m・Kとなっているのに対し、第2封止材料のKE1206の熱伝導率は0.18W/m・Kであり、第1封止材料の方が高い放熱性を有している。
また、封止材料の絶縁性については、誘電率の値を参照することができる。上記した例では、第1封止材料のKE1861の誘電率は50Hzで4.0となっているのに対し、第2封止材料のKE1206の誘電率は非常に小さい値であり、第2封止材料の方が高い絶縁性を有している。
なお、封止材料の絶縁破壊の強さについてみると、第1封止材料のKE1861が25kV/mm、第2封止材料のKE1206が24kV/mmとなっており、KE1861の方が大きい値となっている。ただし、この絶縁破壊の強さは瞬間的な耐圧性を示すものであり、例えばフィラーが混入されている材料など誘電率を持ってしまう封止材料の場合には、連続状態での耐圧は半分から1/1.4程度まで耐圧が低下する。したがって、連続的な耐圧に関する絶縁性については、上記したように誘電率の値によって評価することが好ましい。
ここで、X線管10の窓枠部16は、図1に示したように、その前面16aの全体が筐体前面部31に熱的に接続された状態で、金属筐体30の筐体前面部31に対してネジ止めによって固定されていることが好ましい。これにより、窓枠部16と金属筐体30とを面接触させつつその密着性を高め、窓枠部16から金属筐体30への熱の伝導効率を高くして、ターゲット12で発生する熱に対する窓枠部16及び金属筐体30を介しての放熱性を向上することができる。ただし、窓枠部16の前面の一部が筐体前面部31に熱的に接続される構成としても良い。
また、金属筐体30に対するX線管10のネジ止めに用いられる窓枠部16のネジ穴16bについては、上記したように、出力窓11を囲む窓枠部16の外縁部において、その中心線16cよりも外側の所定位置にネジ穴16bを設けることが好ましい。このような構成では、ネジ穴16bと固定用のネジとの界面が、より高温となるターゲット12から遠ざけた位置とすることができる。これにより、ターゲット12から窓枠部16を介しての金属筐体30への放熱効率を向上することができる。
また、金属筐体30は、筐体前面部31に設けられた出力開口部32が、内部のX線管10側から外側に向かって拡径する形状に形成されていることが好ましい。これにより、X線管10からのX線の出力範囲、出力角度を広くとることができ、X線管10の出力窓11から出力開口部32を介してのX線の外部への出力効率、及びその利用効率を向上することができる。また、このような出力開口部32の形状は、金属筐体30の表面積の増大による放熱効果の向上の点でも有効である。
また、X線管10において基体部18から外部に突出するように設けられた排気管26は、リード端子23、24とともに第1封止部36によって封止されていることが好ましい。ここで、リード端子23、24を封止する第1封止部36に用いられている放熱性が高い第1封止材料は、通常、第2封止部37の第2封止材料に比べて熱膨張率が小さい。したがって、上記のように排気管26が第1封止部36によって封止される構成とすることにより、封止材料の熱膨張によるX線管10の破損を防止することができる。
また、封止部材35の具体的な構成については、金属筐体30内において、第2封止部37が介在する第1封止部36と金属筐体30の内面との距離は、リード端子23、24に印加される電圧(X線管10の使用電圧)、及び第2封止部37に用いられる第2封止材料の絶縁特性に基づいて設定されていることが好ましい。これにより、X線管10に対する放熱性と、耐圧性とを好適に両立することができる。
この場合、第2封止材料の絶縁特性としては、材料の絶縁破壊の強さを参照することができる。具体的には、図1の断面図(b)の構成において第1封止部36と金属筐体30の側面との距離、及び第1封止部36と金属筐体30の後面との距離について考えると、この距離Dは、第2封止部37を構成する第2封止材料の絶縁破壊の強さと、X線管10の使用電圧とに基づいて決定することが好ましい。なお、図1(b)の構成において、金属筐体30に対して電気的に接続されている銅製などの窓枠部16、及びコバール金属製などの接続部17については、金属筐体30とともに接地電位となる。
一例として、図1の正面図(a)において金属筐体30の縦横の幅を42mmとし、断面図(b)において金属筐体30の長さを85mm、金属筐体の厚さを1mm、X線管10の基体部18の幅を28mmとした構成において、第2封止材料の絶縁破壊の強さをP=24kV/mm、X線管の使用電圧をV=15kVとした場合の耐圧について考える。
このとき、使用電圧に対して10倍の絶縁耐圧設計を考えると、第1封止部36と金属筐体30の内面との間で必要な最少距離は、10×V/P=6.25mmと求められる。このように、10倍の絶縁耐圧設計とすることで、X線管10が多少動いたり、偏芯した場合であっても、充分な耐圧性が保持される設計とすることができる。また、この場合の第1封止部36、及び第2封止部37の具体的な構造設計については、第1封止部36の容積を耐圧最少距離まで大きくとって、第2封止部37に対する境界面積を確保して熱容量を増大させることで、必要な耐圧性、絶縁性を確保しつつ、X線管10で発生する熱についての放熱性を充分に向上することができる。
図3は、X線発生装置の第2実施形態の構成を示す図であり、図3(a)は正面図、図3(b)は平面図である。本実施形態において、X線管10、金属筐体30、及び封止部材35の構成については、図1、図2に示した第1実施形態と同様である。
本実施形態のX線発生装置1Bでは、金属筐体30に対し、その外面上にX線管10からの熱を外部へと放出するための放熱フィンが設置されている。具体的には、図3に示した構成では、金属筐体30の上面上に、金属製の放熱フィン41が取り付けられている。また、金属筐体30の左右の側面上に、それぞれ放熱フィン42、43が取り付けられている。このように、金属筐体30に対して放熱フィン41〜43を設けることにより、X線管10のターゲット12から窓枠部16を介して放出される熱と、電子供給部のフィラメント25から電極リード21、22、リード端子23、24、及び封止部材35を介して放出される熱とを、金属筐体30から外部へと効率良く放熱することができる。
図4及び図5は、X線発生装置の第3実施形態の構成を示す図であり、図4は正面図、図5は側面図である。本実施形態において、X線管10、金属筐体30、及び封止部材35の構成については、図1、図2に示した第1実施形態と同様である。
本実施形態のX線発生装置1Cでは、X線管10、封止部材35、及びそれらを内部に含む金属筐体30に加え、金属筐体30を内部に収容して、それらを保護するハウジングケース50が設けられている。なお、図5においては、説明のため、ハウジングケース50内に収容される金属筐体30、及びX線管10等について、破線によって概略的に図示している。
ハウジングケース50は、金属筐体30の筐体前面部31が固定される前面パネル51と、金属筐体30を側方から囲むケース本体部55と、金属筐体30の後方の後面部58とによって構成されている。図4に示した構成例においては、金属筐体30は、筐体前面部31のネジ穴31a(図1(a)参照)及びネジ31bによって、前面パネル51に対してネジ止め固定されている。
前面パネル51には固定開口部52が設けられており、これらの固定開口部52及び必要なネジ穴によって、金属筐体30を固定するための筐体固定部53が構成されている。固定開口部52は、金属筐体30の出力開口部32を介してX線管10の出力窓11が臨む円形の開口部となっている。また、固定開口部52の開口径は、筐体前面部31に環状に設けられた固定突出部33の外径と略一致している。
これにより、本構成例では、ハウジングケース50の前面パネル51に金属筐体30を固定したときに、金属筐体30の固定突出部33が前面パネル51の固定開口部52と嵌合する構成となっている。また、固定突出部33は、その突出高さが前面パネル51の厚さと略一致するように設定されている。これにより、図5に示すように、固定突出部33の前面と、前面パネル51の前面とが面一となる。
ケース本体部55は、金属筐体30を下方から囲む板状の底面部56と、金属筐体30を左右及び上方から囲む側面部57とによって構成されている。金属筐体30は、底面部56上に載置された状態で前面パネル51に固定されている。また、底面部56には、本ハウジングケース50を他のケース等に固定する場合に用いられるネジ用の貫通孔56aが設けられている。また、側面部57には、左右それぞれにおいて、その後方の所定位置に通気口57aが設けられている。
また、本実施形態においては、図4に示すように、複数の貫通孔54が設けられた板状金属部材であるパンチングメタルによって前面パネル51を構成している。このような貫通孔54は、X線管10及び金属筐体30を冷却用の気体(例えば空気)によって冷却する場合に、通気口として機能する。X線管10及び金属筐体30の冷却については、詳しくは後述する。
このように、X線管10及び金属筐体30に対して、それらを内部に収容するハウジングケース50を備えるX線発生装置1Cは、例えば除電装置として、あるいは除電装置の構成要素として、好適に利用することが可能である。なお、ハウジングケース50の具体的な構成については、例えば、図5に示す構成において、後面部58を設けない構成としても良い。また、ハウジングケース50内への金属筐体30の収容については、図3に示したように、その外面上に放熱フィン41〜43を取り付けた状態で金属筐体30をハウジングケース50内に配置する構成としても良い。
また、本実施形態では、金属筐体30の筐体前面部31において、ハウジングケース50の固定開口部52に嵌合するように出力開口部32の外周に形成された固定突出部33を設けた構成としている。これにより、ハウジングケース50の固定開口部52に対して金属筐体30を好適に位置決め、固定することができる。また、金属筐体30の固定突出部33の突出高さがハウジングケース50の前面パネル51の厚さと略一致する構成としている。この場合、金属筐体30を固定した際に、その固定突出部33の前面と、ハウジングケース50の前面とを面一にすることができる。このような構成は、金属筐体30を介しての放熱性などの点でも有効である。
図6及び図7は、X線発生装置の第4実施形態の構成を示す図であり、図6は平面断面図、図7は正面図である。本実施形態において、X線管10、金属筐体30、及び封止部材35の構成については、図1、図2に示した第1実施形態と同様である。
本実施形態のX線発生装置1Dでは、X線管10、封止部材35、及びそれらを内部に含む金属筐体30に加え、金属筐体30を内部に収容して、それらを保護するハウジングケース60が設けられている。また、本構成例でのハウジングケース60は、前面パネル51及びケース本体部55を含む内部ケース50と、内部ケース50の前面パネル51とともに内部ケース50を囲んで装置外面を構成する外部ケース59とによって構成されている。なお、内部ケース50の構成については、図4及び図5に示したハウジングケース50と同様である。
外部ケース59の内部には、図6に示すように、X線管10及び金属筐体30が収容された内部ケース50と、X線管10に対して必要な電圧を供給する電源部61と、X線管10の動作を制御する制御部62とが収容されている。これにより、除電装置などとして利用可能なX線発生装置を好適に構成することができる。また、外部ケース59の前面部には開口部63が設けられており、図7に示すように、この開口部63から金属筐体30が取り付けられた内部ケースの前面パネル51が外部に露出している。
また、本実施形態のX線発生装置1Dでは、ハウジングケース60に対し、ハウジングケース60内において冷却気体を流すことによって装置各部を冷却するための冷却機構が設けられている。このように、ハウジングケース60に対して冷却機構を設けることにより、X線管10からの熱の金属筐体30を介しての放出、及びそれによるX線管10の冷却を好適に実現することができる。
具体的には、図6に示す構成では、気体流による冷却機構を構成する吸気部及び排気部について、内部ケース50の前面パネル51に設けられた複数の貫通孔54によって、冷却気体をハウジングケース60内に導入する吸気部を構成している。また、内部ケース50の後面部58から外部ケース59の後面部へと延びる管状部材(ホース、パイプ等)65によって、冷却に用いられた冷却気体を外部へと排出する排気部を構成している。
このような冷却機構の構成は、X線発生装置1Dを除電装置としてクリーンルーム内で用いる場合に有効である。すなわち、クリーンルームは、その室内圧が外気に対して正圧である。したがって、上記のようにハウジングケース60の前面パネル51に設けられた貫通孔54を吸気部とすることで、ハウジングケース60内での気体流を好適に形成することができる。また、図6に示す構成では、内部ケース50のケース本体部55が、冷却気体の流路を構成する流路部材として機能している。このような構成は、X線管10及び金属筐体30を効率的に冷却する上で有効である。
図8は、X線発生装置の第5実施形態の構成を示す平面断面図である。本実施形態におけるX線発生装置1Eの構成は、ハウジングケース60に対して設けられた冷却機構の構成以外は、図6、図7に示した第4実施形態と同様である。
本実施形態のX線発生装置1Eでは、内部ケース50の前面パネル51には貫通孔54が設けられておらず、冷却機構の吸気部及び排気部の両者について管状部材を用いる構成となっている。
具体的には、図8に示す構成では、気体流による冷却機構を構成する吸気部及び排気部について、外部ケース59の後面部から内部ケース50の後面部58へと延びる管状部材66によって、冷却気体をハウジングケース60内に導入する吸気部を構成している。また、内部ケース50の後面部58から外部ケース59の後面部へと延びる管状部材67によって、冷却に用いられた冷却気体を外部へと排出する排気部を構成している。このような構成によっても、X線管10及び金属筐体30を好適に冷却することができる。
本発明によるX線発生装置は、上記実施形態及び構成例に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、X線管の構成については、図2はその一例を示すものであり、具体的には様々な構成のX線管を用いて良い。また、金属筐体、ハウジングケース等の構成についても、上記した構成以外にも具体的には様々な構成を用いて良い。
1A〜1E…X線発生装置、10…X線管、11…出力窓、12…ターゲット、13…開口部、15…密閉容器、16…窓枠部、17…接続部、18…基体部、21、22…電極リード、23、24…リード端子(電圧印加部)、23a、24a…リード線、25…フィラメント(電子供給部)、26…排気管、30…金属筐体、31…筐体前面部、32…出力開口部、33…固定突出部、35…封止部材、36…第1封止部、37…第2封止部、41〜43…放熱フィン、
50…内部ケース(ハウジングケース)、51…前面パネル、52…固定開口部、53…筐体固定部、54…貫通孔、55…ケース本体部、56…底面部、57…側面部、58…後面部、59…外部ケース、60…ハウジングケース、61…電源部、62…制御部、63…開口部、65…管状部材(排気部)、66…管状部材(吸気部)、67…管状部材(排気部)。