JP5177841B2 - 低抵抗の電池用集電体 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車の電源等に使用できる高出力電池や低発熱量の電池に適した、低抵抗の電池用集電体及びそれを用いた電極または電池に関する。
近年、環境保護のため二酸化炭素排出量の低減、また、大規模な省エネルギーを達成できる技術開発が望まれている。特に、自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっている。これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池の開発が鋭意行われている。そこで、二次電池としては、高エネルギー密度、高出力密度が達成できるリチウムイオン二次電池に注目が集まっている。
ところが、従来、リチウムイオン電池は、活物質において化学反応を伴うために高速充電や高速放電がしにくいと考えられ、活物質層の構成を工夫する各種の試みがなされてきた。例えば、活物質の粒子を微細にしたり(例えば、特許文献1参照)、活物質層を含む電極を薄くしたり(例えば、特許文献2参照)、電極活物質間の空隙に電解液保持材料を配置したりして、リチウムイオン電池で高速充電や高速放電を実現しようとする試みがなされてきたが、いずれも不十分な結果しか得られなかったのが実状であった。
一方、リチウムイオン電池の正極集電体にはアルミニウム箔が用いられているが、アルミニウムは表面に不動態被膜を生じて高抵抗であり、リチウムイオン電池の使用時にどのようにして不動態被膜を通して通電が生じているのか、未だ不明な点が多い。そのため、アルミニウム集電体に関しては、従来、高速充電や高速放電のための格別の工夫はなされてこなかったのが実情であった。
なお、集電体表面にプライマー層を設けることに関しては、リチウムポリシリケートを含む均一層を集電体表面に形成することにより、集電体の両端部及び中央のごとき集電体中の位置による電気抵抗のバラつきが小さくなるというプライマー塗布集電体が開示されている(例えば、特許文献3参照)。また、導電性の支持体と電極層との間に、多官能性の架橋剤で架橋されたペンダントカルボン酸基を有する重合材料の生成物である架橋された重合材料と導電性フィラーとからなる、表面が平滑な導電性プライマー層を設けることにより、支持体と電極層との接着が改善され、かつリチウム電池で用いられる有機溶剤に対する耐性を有するという集電体等が開示されている(例えば、特許文献4参照)。しかし、これらはいずれも高速充電や高速放電を実現できるものではない。
特開平11−329409号公報 特開2004−362859号公報 特開2001−052710号公報 特表平11−505660号公報
本発明は、電池に用いた場合に高速充電や高速放電が可能になり、また、電池の充放電に伴う発熱が抑えられる低抵抗の集電体等を提供することを課題とする。
発明の第1は、導電性基材の少なくとも片面上に表面処理層を有し、前記表面処理層の前記導電性基材との接触面の反対側表面における巨視的表面積に対する微視的表面積の比が2.20以上であり、かつ前記表面処理層の体積抵抗が2Ω・cm以下であることを特徴とする電池用集電体である。
ここで、前記表面処理層は、一次粒子径が50nm以下の炭素材料の少なくとも1種以上を含むことは好ましい。また、前記表面処理層の最大厚みが5μm以下であることは好ましい。また、前記の導電性基材を構成する金属が、アルミニウム、銅、ステンレスのいずれかであることは好ましい。また、前記の金属がアルミニウムであり、かつ耐折強度が40回以上であることは好ましい。また、集電体が正極用であり、かつ前記の電池がリチウムイオン電池であることは好ましい。
発明の第2は、上記のいずれかに記載の集電体の前記表面処理層上に、活物質層を有することを特徴とする電極である。ここで、前記活物質がリチウム化合物であることは好ましい。
発明の第3は、上記の電極を用いたことを特徴とする電池である。ここで、放電温度20℃における放電レートが、15C以上であることは好ましい。
集電体の抵抗が低下して電池の内部抵抗が低下し、高速充電や高速放電が可能になる。また、電池の充放電に伴う発熱が抑えられ、発熱による電池の劣化も抑えられる。
本発明の電池用集電体は、例えば、金属箔のような導電性基材の表面に、体積抵抗が特定の低い範囲の表面処理層を設け、さらにその表面層の、基材に接する面とは反対側の表面形状が、特定範囲の凹凸を有するものである。このような集電体を用いることにより、理由は不明であるが、電池の内部抵抗が著しく低下し、高速充電や高速放電が可能になる。また、充放電に伴う発熱も低減することができる。
集電体の導電性基材としては、金属箔や金属メッシュまたはパンチングメタルのような面状部材を用いることができ、特に制限されない。例えば、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔、ニッケルとアルミニウムのクラッド材、銅とアルミニウムのクラッド材、あるいはこれらの金属の組合せのめっき材などを挙げることができる。また、金属表面に、アルミニウムを被覆させた基材であってもよい。また、場合によっては、2つ以上の金属箔を張り合わせた基材を用いてもよい。リチウムイオン電池に用いる場合、耐食性、作り易さ、経済性などの観点から、正極集電体の導電性基材としてアルミニウム箔を、負極集電体の導電性基材として銅箔を用いることが好ましい。導電性基材の厚さは、特に限定されないが、1μm〜100μm程度とするのが導電性基材自体の電気抵抗と電池体積とのバランスの観点から好適である。さらに好ましくは5〜30μmである。また、導電性基材のサイズや形状は、電池に要求される放電性能や電池の大きさに応じて適宜決定すればよい。
集電体は、導電性基材の表面に特定の表面処理層を設けたものである。表面処理層は、導電性基材と活物質層の間に設け、両者の介在層となるように設ける。そのため、集電体の両面に活物質層を設ける場合には、導電性基材の両面に表面処理層を設けることが好ましく、集電体の片面だけに活物質層を設ける場合には、導電性基材の活物質層を設ける片面だけに表面処理層を設ければよい。もっともこの場合でも両面に設けることは任意である。
特定の表面処理層は、導電性基材に接する面の反対側の表面形状が、特定の凹凸を有する不均一な表面構造になっている。この凹凸を設けることにより、活物質層を設けて電極とした場合の電気抵抗が著しく低くなる。電極の電気抵抗が低くなる理由は不明であるが、凹凸の形成により活物質層との界面の通電可能な経路が増加して、その結果、活物質層の表面と表面処理層の表面との間の接触抵抗が、従来の活物質層表面と導電性基材表面との間の接触抵抗より低くなるためではないかと推測している。凹凸は、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope、以下、AFMと略すことがある)を用いて測定した微視的表面積の、表面処理層が形成された導電性基材の巨視的表面積に対する比率が、2.20倍以上となるようにする。この比率の上限は、凹凸の作製限界で自ずと定まる範囲であればよい。ここで、巨視的表面積とは、微細表面構造を考慮しない幾何学的な表面積を言い、例えば、微視的表面積を測定した測定範囲を長方形とした場合に、その縦横長さから幾何学的に求めた導電性基材の表面積を言う。また、微視的表面積とは、巨視的表面積の範囲と同じ範囲に対して、原子間力顕微鏡で測定された微細表面構造を反映した表面積を言う。
表面処理層の表面に特定の凹凸を持たせる方法は各種有るが、例えば、表面処理層として塗布する材料の組成を工夫して材料の粒径に幅を持たせたり、材料の粘度や分散状態を調整したり、材料の導電性基材表面への塗布方法を工夫したりして、表面形状に上記の凹凸をもたらす程度の、表面構造の不均一性が生じるようにすればよい。塗工前の混合物は、導電性基材表面への定着性が実用上必要な範囲で得られる程度に均一であって、かつ、表面の特定の凹凸が生じる程度に不均一であるように、混合物の組成や塗布方法に応じて製作条件を微調整すればよい。
また、表面処理層の体積抵抗率は2Ω・cm以下とする。体積抵抗率をこの範囲とすることで、この集電体を用いて電極を構成した場合に、上記の表面の凹凸形状の効果と相乗して電極の電気抵抗が低くなる。従来、導電性基材と活物質粒子との間の通電には活物質粒子が導電性基材に点接触すること、または導電助剤を介して点接触することにより通電経路が形成されて生じると考えられてきた。そのため、表面処理層の体積抵抗率を2Ω・cm以下にすることで、電極の電気抵抗が低くなる理由は必ずしも明確ではない。しかし、この限定された数の通電経路を通って電気が流れる際に、体積抵抗率が低い表面処理層を設けることにより、通電経路から導電性基材の表面方向に沿って電流が分散し易くなり、その結果として、電極としての電気抵抗が全体として低下するのではないかと推測している。この効果は特に不動態被膜を有するアルミニウム集電体において顕著である。体積抵抗率は、好ましくは0.8Ω・cm以下であり、さらに好ましくは0.4Ω・cm以下である。なお、体積抵抗率の下限は、表面処理層を設けることにより自ずと定まる下限であればよく、例えば、0.01Ω・cm以上である。
表面処理層の体積抵抗を2Ω・cm以下とするには、表面処理層の組成を工夫して導電性を高めるようにすればよい。表面処理層を構成する材料としては、導電助剤とバインダとが挙げられる。表面処理層の導電性を高めるには、通常のバインダの使用量に比して、導電助剤の使用量を比較的多くすればよい。導電助剤は、表面処理層の導電性を向上させて、体積抵抗率を低下させるための添加物であり、黒鉛、カーボンブラックなどの炭素粉末、気相成長炭素繊維(VGCF)等の種々の炭素繊維、導電性ポリマー等を挙げることができる。導電助剤として、これらの1種または2種以上を混合して用いることができる。
導電助剤として炭素粉末を用いる場合は、一次粒子径が50nm以下の炭素粉末を用いることが好ましい。このような炭素粉末を用いることで、表面処理層の体積抵抗率を容易に低下させることができる。より好ましくは一次粒子径が40nm以下のものを用いることである。なお、炭素粉末の一次粒子径の下限は、炭素粉末を工程上で取り扱える範囲から自ずと定まる値であればよい。ここで、黒鉛としては、鱗片状や繊維状、塊状のいずれでもよく、天然由来の物でも人造の物でも良い。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック等が挙げられる。
炭素繊維を用いる場合は、その直径が50nm以下のものを用いることが好ましい。このような炭素繊維を用いることで、表面処理層の体積抵抗率を容易に低下させることができるようになる。より好ましくは直径が40nm以下のものを用いることである。なお、炭素繊維の直径の下限は、炭素繊維を工程上で取り扱える範囲から自ずと定まる値であればよい。
導電性ポリマーとしては、例えば、ポリアセチレン(トランス型)系、ポリパラフェニレン系、ポリフェニレンビニレン系、ポリピロール系、ポリ(3−メチルチオフェン)系のポリマーが挙げられる。導電性ポリマーは、高分子に電子供与剤(以下、ドーパントという)を添加し導電化させる。ドーパントとしては、Cl、Br、I等のハロゲン、PF、AsF、SbF等のルイス酸、Li、Na、Rb等のアルカリ金属などが挙げられる。
次に、表面処理層の形成に用いることができるバインダは、導電助剤を導電性基材上に固定すると共に、表面処理層の表面形状において特定の凹凸形状を固定化する作用を有する。バインダは、電池の電解液に対する耐性が必要であり、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレンプロピレンジエン共重合体(EPDM)のごとき合成樹脂系バインダや、フッ素ゴム(FR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)のごとき合成ゴム系バインダ、キトサンもしくはキトサン誘導体のごとき天然物系バインダ等が挙げられる。
表面処理層における導電助剤とバインダとの質量比率は、上記の体積抵抗率や表面形状の凹凸を生じる観点から、導電助剤:バインダ=20:80〜70:30の範囲とするのが好ましく、30:70〜60:40とするのがより好ましい。なお、この質量比率には、通常、導電助剤やバインダを処理工程上で取り扱ったり、粘度等を塗布等に適した範囲に調整したりするために適宜加える揮発性溶剤量は含まない。
導電性基材の単位表面積(以下、巨視的面積という)あたりの表面処理層の質量は、0.001mg/cm〜1mg/cmの範囲とするのが好ましい。このように表面処理層を薄膜にして設けることで、電極を形成した場合の電気抵抗が低下しうる。特に、導電性基材がアルミニウムの場合には、アルミニウム表面の不動態被膜の存在にもかかわらず、低抵抗の電極が得られる。表面処理層の単位面積あたりの質量は、0.005mg/cm〜0.5mg/cmの範囲とするのがより好ましく、0.02mg/cm〜0.2mg/cmの範囲とするのがさらに好ましい。
表面処理層の厚みは、最大厚みが5μm以下とするのが好ましい。表面処理層の表面には上記の特定の凹凸形状が形成されているため、正確な厚みを測定するのは難しいが、もっとも大きい部分で測定した最大厚みであっても5μm以下である。なお、ここでいう最大厚みとは、表面処理層の一部に厚みが他の部分より例外的に大きい部分が観察される場合の最大厚みを言うのではなく、表面処理層の大部分が占める平均的厚みを呈する部分で観察される最大厚みを言う。最大厚みは2μm以下であることがより好ましい。なお、表面処理層の最大厚みの下限は、製膜可能な下限から自ずと定まる値であれば良いが、例えば、0.1μmである。
表面処理層の形成にあたっては、上記の導電助剤とバインダとに加えて、表面処理層の形成方法により必要とされる揮発性の溶剤類を適量混合して、粘度等が形成方法に適する範囲になるように適宜調整したのち、これらの混合物を攪拌して得られた形成材料を用いる。
導電性基材上に表面処理層を形成するには、上記で得た形成材料を用いて導電性基材上に表面処理層を製膜・乾燥するのが好ましい。表面処理層は後述のように薄膜とするのが好ましいため、導電性基材上に直接製膜することが取り扱い性や製膜性の観点から好ましい。表面処理層の形成方法は特に限定されず、バーコーターやダイコートヘッドを用いた塗布法、スクリーン印刷やマイクログラビア等による印刷法、スプレーによる吹き付け法、浸漬によるディップコート法など公知の方法を用いることができる。いずれの方法を用いても、表面処理層が上記の単位面積あたりの質量となるように形成すればよい。
なお、表面処理層を形成するにあたり、層の一部に塗布等がなされないことにより、電子顕微鏡で観察した場合に初めてわかる程度の微細な欠損部分が多く生じていてもかまわない。表面処理層はかなりの薄膜であるため、塗布等により層を形成する際に微細な欠損が生じやすい。欠損はない方が好ましいが、意外なことに、欠損が微細なものであれば、仮に数が多くとも電池性能に対する影響はほとんどない。
続いて、乾燥工程を経る。これにより、導電性基材上に形成された表面処理層から、工程上の取り扱い性のために混合した揮発性溶媒をほぼ蒸発させる。この工程において表面処理層の導電性基材と反対側の表面に凹凸形状が形成される。乾燥工程における乾燥方法や乾燥条件は特に限定されず、過熱乾燥機、赤外線乾燥機、ハロゲンランプ乾燥機、真空乾燥機等を用いて、用いた溶媒がほぼ蒸発する乾燥条件で適宜行えばよいが、続くアニール工程よりマイルドな条件で行う。
続いて、乾燥工程より高い温度条件で熱処理(アニール処理)を実施する。アニール処理により表面処理層が強固なものとなって、凹凸形状が電極の低抵抗化に寄与できるようになり、導電性基材との密着性も向上する。熱処理条件は使用するバインダの種類や導電性基材の材質より変化するものの、表面処理層が十分固化する一方で導電性基材が酸化されない範囲の条件で行えばよい。例えば、導電性基材がアルミニウム箔の場合には、130℃〜200℃の温度条件で20分〜50時間かけて行う条件が例示される。アニール処理を経ることで目的の電池用集電体を得ることができる。
なお、意外にもこのアニール処理により集電体の耐折強度が著しく向上する。例えば、導電性基材としてアルミニウム箔を用いて耐折強度試験を行った場合に、40回以上の強度が得られるようになる。一方、表面処理層を設けない未処理のアルミニウム箔の場合では、耐折強度は1〜2回程度である。なお、耐折強度試験とは、集電体を中央から180°折り曲げて二つ折りにし、続いて元の状態に戻す操作を複数回繰り返し、折り曲げ部分に破断が起こるまでの回数により耐折強度を評価する試験である。
次に、得られた集電体を用いて構成する電極について説明する。電極では、集電体の表面処理層の上に活物質層を設ける。このように導電性基材と活物質層の間に表面処理層が位置するようにして電極を構成することで、理由は明確ではないが、電極全体の電気抵抗が著しく低下し、従来は困難であった高速充電や高速放電が可能になる。また、充放電に伴う熱の発生量も低下し、電池の劣化が抑えられる。
電極を正極とする場合には正極活物質を用い、負極とする場合には負極活物質を用いる。電極を用いてリチウムイオン電池とする場合には、正極活物質として、遷移金属とリチウムとの複合酸化物であるリチウム−遷移金属複合酸化物が好適に使用できる。具体的には、LiCoO等のLi・Co系複合酸化物、LiNiO等のLi・Ni系複合酸化物、スピネルLiMn等のLi・Mn系複合酸化物、LiFeO等のLi・Fe系複合酸化物およびこれらの遷移金属の一部を他の元素により置換したもの等が使用できる。また、LiFePOなどの遷移金属とリチウムのリン酸化合物や硫酸化合物、V、MnO、TiS、MoS、MoOなどの遷移金属酸化物や硫化物、PbO、AgO、NiOOHなども挙げられる。リチウムイオン電池以外の電池の場合も同様に、従来公知の正極活物質を用いることができる。
また、やはりリチウムイオン電池とする場合の負極活物質としては、各種の天然黒鉛、人造黒鉛、例えば繊維状黒鉛、鱗片状黒鉛、球状黒鉛などの黒鉛類、又は各種のリチウム合金類などが挙げられる。具体的にはカーボン、グラファイト、金属酸化物、リチウム−金属複合酸化物などが用いることができるが、好ましくはカーボンまたはリチウム−遷移金属複合酸化物がよい。リチウム−遷移金属複合酸化物としては、例えば、LiTiなどのリチウム−チタン複合酸化物などを用いることができる。また、カーボンとしては、例えば、黒鉛(グラファイト)、ハードカーボン、ソフトカーボンなどを用いることができる。リチウムイオン電池以外の電池の場合も同様に、従来公知の負極活物質を用いることができる。
活物質層には、これら活物質に加えて導電助剤とバインダとを含める。導電助材としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト等が例示される。また、バインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、SBR、ポリイミド等が例示される。活物質層は、これらの材料を用いて公知の方法により、それぞれの集電体上に形成すればよい。
集電体上に活物質層を設けて電極を得るには、上記の各物質を含むスラリーを調整する段階と、スラリーを集電体上に塗布する段階と、塗布されたスラリーを乾燥する段階とを経ればよい。スラリーに用いる溶媒や上記材料の混合手段は、各種公知の技術を使用すればよく特に限定されない。溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などが挙げられる。バインダーとしてポリフッ化ビニリデンを(PVDF)を用いた場合には、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いることが好ましい。
スラリーを集電体上に塗布する段階では、塗布方法は特に限定されず、コーター、スクリーン印刷法など公知の方法により、電極として必要とされる塗布量を得られるよう塗布すればよい。集電体の表面に塗布されたスラリーから溶媒が蒸発して、電極層が形成される。集電体上に塗布されたスラリーを乾燥する段階では、乾燥方法は特に限定されず、加熱乾燥機、赤外線乾燥機、ハロゲンランプ乾燥機、真空乾燥機等を用いて行えばよい。このようにして低抵抗の電極を得ることができる。
次に、得られた電極を用いて構成される電池について説明する。上記で得られた電極を活物質の性質に基づいて正極または負極とし、それに適する負極または正極を公知の方法で用意する。
これらの正極と負極とを集電体が外側になるように、さらに正極と負極の間に公知のセパレータが配置されるようにして積層する。セパレータとして使用できる基材としては、絶縁性を有しイオンが通過できるものであればよく、例えば、ポリエチレン不織布多孔フィルム、ポリエチレン多孔体フィルム、ポリプロピレン不織布多孔フィルム、ポリプロピレン多孔体フィルム、ポリエステル不織布ポリマー多孔質フィルム、PTFE多孔体フィルム、アラミド樹脂不織布多孔フィルム、クラフト紙、レーヨン繊維・サイザル麻繊維混抄シート、マニラ麻シート、ガラス繊維シート、セルロース系電解紙、レーヨン繊維からなる抄紙、セルロースとガラス繊維の混抄紙、またはこれらを組み合わせて複数層に構成したものなどを使用することができる。
正極と負極の間に充填する電解質としては、それぞれの電池に適した公知の電解質を用いればよく、特に制限されない。例えば、リチウムイオン電池に用いられるものとしては、リチウム塩を1)プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)等の環状カーボネート類、2)ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)等の鎖状カーボネート類、3)テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン類のエーテル類、4)γ−ブチロラクトン等のラクトン類、5)アセトニトリル等のニトリル類、6)プロピオン酸メチル等のエステル類、7)ジメチルホルムアミド等のアミド類、8)酢酸メチル、蟻酸メチルの中から選ばれる少なくとも1種類または2種類以上を混合した、非プロトン性溶媒等の有機溶媒などに溶解した電解液を用いることができる。
リチウム塩としては、LiBETI(リチウムビス(パーフルオロエチレンスルホニル)イミド;LiN(SOとも記載)、LiTFSI(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド;LiN(SOCFとも記載)、LiBF、LiPF、LiBOB(リチウムビスオキサイドボレート)またはこれらの混合物などが例示される。
電解質としては、正極と負極の間に電解質層を形成し、電解質層にポリマー電解質を用いる場合には、電極層にもポリマー電解質が含まれていることが望ましい。電極層における活物質間の空隙にポリマー電解質を充填することによって、電極層におけるイオン伝導がスムーズになり、リチウムイオン電池全体としての出力向上が図れるためである。
ポリマー電解質としては、ポリマーに電解液を保持させたポリマーゲル電解質と、ポリマー電解質とリチウム塩などの支持塩のみで構成される全固体ポリマー電解質と、が挙げられる。
全固体ポリマー電解質としては、特に限定されるものではなく、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、これらの共重合体などが挙げられる。オキシアルキレンセグメント分子鎖中あるいは分岐鎖中に含有するポリマーも好適に使用できる。分岐型ポリエチレンオキシド、分岐型ポリプロピレンオキシド、ヒドロキシプロピル多糖誘導体、ヒドロキシエチル多糖誘導体、ジヒドロキシエチル多糖誘導体、オキシアルキレンセグメントを有するポリウレタン系ポリマー、オキシアルキレンセグメントを有するポリメチルメタクリレートおよびアクリレート系ポリマー、オキシアルキレンセグメントを有するシリコン系ポリマーなどが好適に用いられる。ここに挙げたポリマーは、LiBF、LiPF、LiN(SOCF、LiN(SOなどのリチウム塩をよく溶解し得る。これらのリチウム塩を0.5M〜1.5M程度の濃度で固体状態で溶解し、10−5Scm−1以上のイオン伝導性を有するポリマーが好ましい。全固体ポリマー電解質は、電極特性をより向上させるために、正極層および負極層の双方に含まれることが好適である。
また、ポリマーゲル電解質としては、各種のポリマーに電解液を含んでなるものである。ポリマーとしては、上記の全固体ポリマー電解質を用いることが好ましいが、限定されるものではない。リチウムイオン伝導性を持たないポリマー(ホストポリマー)の骨格中に、同様の電解液を保持させたものも含まれる。
ここで、ポリマーゲル電解質に含まれる電解液(電解質塩)としては、通常リチウムイオン電池で用いられているものであればよく、例えば、LiBOB(リチウムビスオキサイドボレート)、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、LiN(SOCF、LiN(SO(LiBETI)等の有機酸陰イオン塩の中から選ばれる少なくとも1種類のリチウム塩(電解質塩)を含み、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)等の鎖状カーボネート類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン類のエーテル類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトニトリル等のニトリル類;プロピオン酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;酢酸メチル、蟻酸メチルの中から選ばれる少なくとも1種類または2種以上を混合した、非プロトン性溶媒等の有機溶媒を用いたものなどが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。
ポリマーゲル電解質に用いられるリチウムイオン伝導性を持たないポリマーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。なお、PAN、PMMAなどは若干のイオン伝導性を有するものの低すぎるため、ここではポリマーゲル電解質に用いられるリチウムイオン伝導性を持たないポリマーとして例示した。
上記のようにして得られた電池は内部抵抗が著しく小さく、従来困難であった高速充電や高速放電が可能になる。特にリチウムイオン電池に用いた場合に、放電温度20℃における放電レートが15C以上の電池を得ることができる。そのため、そのような高放電レートが要求される、例えば、自動車用の電池等に好適である。また、高い放電レートが必要とされない電池でも、内部抵抗が小さくなることから、充放電に伴う発熱が低く抑えられ、その結果、熱による電池劣化が生じにくくなると言う効果が有る。
以下に、実施例と比較例とを示して、本発明をさらに具体的に説明する。まず、各種物性の測定方法は以下の通りである。
(1)巨視的表面積に対する微視的表面積の比率:a
微視的表面積は、原子間力顕微鏡(キーエンス社製AFM、商品名:ナノスケールハイブリッド顕微鏡VN−8000M/VN−8010M)を用いて、測定ピッチを4.88nm、測定ポイント数を4096pts.×3072pts.、測定スピードを1.28s/lineとして、表面の凹凸の状態(粗さ曲線)を、スキャンラインの位置をスキャンラインに対して直角方向に少しずつずらしながら、繰り返しスキャンして測定した。得られた粗さ曲線をつなぎ合わせ得られた表面凹凸情報から、処理層表面の表面積を積算して微視的表面積を求めた。また、巨視的表面積は、原子間力顕微鏡の測定範囲となる3×10nmとし、微視的表面積/巨視的表面積を求めて比率:aとした。
(2)体積抵抗率:b
カプトン ポリイミドフィルム上に集電体の場合と同様にして表面処理層を形成し、抵抗率測定器(三菱油化社製、商品名:Loresta MCP−TSTER)を用いて、JIS規格(JIS K7194 導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験法)に従って抵抗値を求めた。さらに、表面処理層の厚みについては、厚み測定器(マール社製、商品名:ミリトロン1202D)を用いて測定し、得られた抵抗値と表面処理層の厚みから、表面処理層の体積抵抗率を算出した。
(3)電池内部抵抗
得られた電池を30%充電状態にし、交流4端子法による抵抗率測定器(日置電機株式会社製、商品名:ACミリオームハイテスタ3560)を用いて、測定電流周波数確度が1kHz±0.2Hzの条件で測定した。
(4)高速放電出力
得られた電池を、充放電評価装置(東洋システム社製、商品名:TOSCAT−3100)にセッティングして、1C充電−1C放電(基準放電)、1C充電−10C放電、1C充電−20C放電、1C充電−30C放電、1C充電−40C放電の各条件で、基準放電と高速放電とを行って各放電電気量を測定し、基準放電電気量に対する各高速放電時の放電電気量の比率を求めて放電出力維持率とし、これの大小により高速放電出力を評価した。高い放電レートでの放電出力維持率が大きいほど高速放電出力が大きい。
[実施例1]
まず導電助剤としての炭素粉末(電気化学工業社製、商品名:デンカブラック(粒状品)、一次粒子径35nm)とバインダ(協立化学社製、商品名:XSC−1N(NMP溶解固形分10wt%))とを用意し、揮発性溶剤を除いた固形分の質量比が、導電助剤/バインダ=1/2.85,1/2,1/1となるようにペイントシェーカーに投入して混合・分散して、表面処理層の不均一な形成材料を3種類作製した。これらの形成材料を用いて体積抵抗率:bを測定したところ、それぞれ1.934Ω・cm,0.423Ω・cm,0.152Ω・cmという値を示した。
次に、導電性基材として、圧延アルミニウム箔(昭和電工社製、厚み20μm)を用意し、このアルミニウム箔の片面に、塗布量が0.055mg/cmとなるように、上記の形成材料をそれぞれバーコータにより塗布した。続いて130℃で乾燥して、含まれている揮発性溶剤をほぼ飛ばしたあと、さらに200℃・12時間の条件でアニール処理して、3種類の正極集電体を得た。これらの正極集電体を用いて巨視的表面積に対する微視的表面積の比率:aを測定したところ、それぞれ2.537,2.611,2.708であった。
一例として、導電助剤/バインダ=1/1にて作製された表面処理層の電子顕微鏡写真を図1に示す。微細な凹凸が無数に観察される。また、写真の倍率表示のやや上のあたりに、倍率を表示する数字にして2個分程度の径の黒い平坦な部分が観察されるが、塗布欠損であると考えられる。表面処理層は、このような微細な欠損がない方が好ましいが、あってもかまわない。また、導電助剤/バインダ=1/1にて作製された処理層表面のAFMの3D解析画像例を図2に示す。表面が微細な凹凸に覆われていることがわかる。なお、図2中の数字は測定基準位置からの距離を意味し、単位はnmである。
次に、正極活物質としてマンガン酸リチウム(戸田工業社製、商品名:M109)を用意し、また、導電助材として炭素粉末(電気化学工業社製、商品名:デンカブラック(粒状品))を用意し、これらとPVDF系バインダーとを、固形分換算の重量比で、正極活物質:導電助材:バインダ=83:10:7となるように混合した。さらにスラリー全体の固形分比が40%となるように、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加し、これらの混合物をホモジナイザーを用いて1時間、混合と分散とを行った。これを上記で得た正極集電体の表面処理層上に塗布量が10mg/cmとなるようにバーコータを用いて均一に塗布し、130℃の乾燥機にて溶媒を蒸発させた。さらに、スチールローラーを用いて正極合剤密度が1.4g/ccになるようプレスし、正極電極を得た。
次に、負極活物質として、ハードカーボン(クレハ社製、商品名:カーボトロンP(J))を用意し、これとPVDF系バインダーとを、固形分換算の重量比で、負極活物質:バインダー=93:7となるように混合し、さらに、固形分比が52wt%となるように、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加した。これらの混合物をホモジナイザーを用いて1時間分散を行い、負極スラリーを得た。
次に、負極集電体として電解銅箔(古河サーキット社製、厚み12μm)を用意し、上記の負極スラリーを、塗布量が3mg/cmとなるようにバーコーターを用いて均一に塗布し、120℃の乾燥機にて溶媒を蒸発させた。さらに、スチールローラーを用いて負極合剤密度が0.8g/ccになるようプレスし、負極電極を得た。
次に、これらの電極を用いてコインセル電池を作成した。まず、上記の正極電極をφ16mmの治具にて円形に打ち抜いたものを正極とし、上記の負極電極をφ17mmの治具にて円形に打ち抜いたものを負極とした。また、セパレータとしてポリプロピレン製多孔体フィルム(セルガード社製、商品名:セルガード2500、空隙率55%、厚み25μm)を用意して、φ19mmの治具にて円形に打ち抜いた。これらの正極と負極とをセパレータをはさんで対峙させて重ね合わせ、2032型コインセルを作製した。なお、電解液としては、1Mの濃度になるようにLiPFをエチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC)=3:7(体積比)の混合溶媒に溶解させたものを用いた。
このコインセル電池を用いて、電池内部抵抗を測定したところ、それぞれ1.85Ω、1.08Ω、1.03Ωと著しく低い値であった。比較例1を基準とした比較結果を図3に示した。また、高速放電出力を測定したところ、表面処理層の体積抵抗率が増加するにつれて若干の高速放電出力の低下が見られるものの、比較例1に比べ非常に優れた性能を示した。結果を図4に示した。
[実施例2]
まず導電助剤としての炭素粉末(電気化学工業社製、商品名:デンカブラック(粒状品)、一次粒子径35nm)とバインダ(クレハ社製、商品名:L#9130(樹脂含有量13%))とを用意し、揮発性溶剤を除いた固形分の質量比が、導電助剤/バインダ=1/2となるようにペイントシェーカーに投入して混合・分散して、表面処理層の不均一な形成材料を作製した。この形成材料を用いて体積抵抗率:bを測定したところ、0.232Ω・cmという著しく低い値であった。
次に、導電性基材として、圧延アルミニウム箔(昭和電工社製、厚み20μm)を用意し、このアルミニウム箔の片面に、塗布量がそれぞれ、0.031mg/cm、0.044mg/cm、0.052mg/cm、0.061mg/cmとなるように、上記の形成材料をバーコータにより塗布した。続いて130℃で乾燥して、含まれている揮発性溶剤をほぼ飛ばしたあと、さらに200℃・12時間の条件でアニール処理して、4種類の正極集電体を得た。これらの正極集電体を用いて巨視的表面積に対する微視的表面積の比率:aを測定したところ、2.227、2.329、2.435、2.507であった。
一例として塗工量0.052mg/cmの表面の電子顕微鏡写真を図5に示す。微細な凹凸が無数に形成され、塗布層が網目様に形成されているのが観察される。網目の間には、黒くて平坦な面が島状に多く点在していることも観察されるが、これらは塗布欠損であると考えられる。表面処理層は、このような微細な欠損がない方が好ましいが、意外にもこの程度の塗布欠損があっても電池性能に大きな影響はない。この理由は不明である。また、塗工量0.044mg/cmの場合の表面のAFMの3D解析画像を図6に示す。表面が微細な凹凸に覆われていることがわかる。黒い穴のような部分は塗布欠損と考えられる。なお、図6中の数字は測定基準位置からの距離を意味し、単位はnmである。
次に、実施例1と同様の手法にて作製した正極電極・負極電極を用いて、実施例1と同様の手法にてコインセルを作製した。このコインセル電池を用いて、電池内部抵抗を測定したところ、3.56Ω、2.69Ω、2.15Ω、1.91Ωといずれも低い値であった。比較例1を基準とした比較結果を図7に示した。また、高速放電出力を測定したところ、微視的表面積/巨視的表面積の低下に従って高速放電出力は低下するものの、比較例1に比べ非常に優れた性能を示した。結果を図8に示した。
[実施例3]
まず導電助剤としての炭素粉末(電気化学工業社製、商品名:デンカブラック(粒状品)、一次粒子径35nm)とバインダ(協立化学社製、商品名:XSC−1N(NMP溶解固形分10wt%))とを用意し、揮発性溶剤を除いた固形分の質量比が、導電助剤/バインダ=1/1となるようにペイントシェーカーに投入して混合・分散して、表面処理層の不均一な形成材料を作製した。この形成材料を用いて体積抵抗率:bを測定したところ、0.152Ω・cmという値を示した。
次に、導電性基材として、圧延アルミニウム箔(昭和電工社製、厚み20μm)を用意し、このアルミニウム箔の片面に、塗布量が0.055mg/cm、0.127mg/cmとなるように、上記の形成材料をバーコータにより塗布した。続いて130℃で乾燥して、含まれている揮発性溶剤をほぼ飛ばしたあと、さらに200℃・12時間の条件でアニール処理して、2種類の正極集電体を得た。これらの正極集電体を用いて巨視的表面積に対する微視的表面積の比率:aを測定したところ、それぞれ2.708,2.709であった。塗工量0.055mg/cmと0.127mg/cmの表面処理層の断面電子顕微鏡写真をそれぞれ図9、10に示す。図9、10から、表面処理層の厚みは、最も厚い部分でも2μm未満程度の薄膜であることがわかる。また、塗工量0.127mg/cm表面処理層の表面のAFMの3D解析画像を図11に示す。表面が微細な凹凸に覆われていることがわかる。なお、図11中の数字は測定基準位置からの距離を意味し、単位はnmである。
なお、表面処理層の最大厚みについては、厚み測定器(マール社製、商品名:ミリトロン1202D)を用いて測定した。その結果、塗工量が0.055mg/cm、0.127mg/cmの表面処理層の厚みは、それぞれ、0.9μm、1.9μmであった。
実施例1と同様の手法にて作製した正極電極・負極電極を用いて、実施例1と同様の手法にてコインセルを作製した。このコインセル電池を用いて、電池内部抵抗を測定したところ、それぞれ1.03Ω、1.08Ωと著しく低い値であった。比較例1を基準とした比較結果を図12に示した。また、高速放電出力を測定したところ、いずれの表面処理層厚みにおいても、実験誤差の範囲内で顕著な差異は見られず、比較例1に比べ非常に優れた性能を示した。結果を図13に示した。
[比較例1]
実施例1において圧延アルミニウム箔に表面処理層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして、比較集電体、比較正極電極、比較電池を各々得て、これらを用いて実施例1と同様にして評価した。圧延アルミニウム箔自体の巨視的表面積に対する微視的表面積の比率:aは、2.040であった。また、比較電池の内部抵抗は8.07Ωと非常に高かった。高速放電出力は、1C充電−10C放電では83.3%、1C充電−20C放電では58.5%、1C充電−30C放電では39.0%、1C充電−40C放電では24.5%と、高い放電レートになるにつれて急速に性能が低下した。結果を図4、8、13に示した。
実施例1の集電体の表面処理層の表面状態を示した電子顕微鏡写真である。 実施例1の集電体の表面処理層の表面状態のAFMの3D解析画像である。 電池内部抵抗測定による実施例1の電池抵抗を、比較例1の値を1として示したグラフである。 放電レートによる放電出力維持率の変化を示したグラフである。 実施例2の集電体の表面処理層の表面状態を示した電子顕微鏡写真である。 実施例2の集電体の表面処理層の表面状態のAFMの3D解析画像である。 電池内部抵抗測定による実施例2の電池抵抗を、比較例1の値を1として示したグラフである。 放電レートによる放電出力維持率の変化を示したグラフである。 実施例3の集電体の表面処理層(0.9μm厚み)の断面状態を示した電子顕微鏡写真である。 実施例3の集電体の表面処理層(1.9μm厚み)の断面状態を示した電子顕微鏡写真である。 実施例3の集電体の表面処理層の表面状態のAFMの3D解析画像である。 電池内部抵抗測定による実施例3の電池抵抗を、比較例1の値を1として示したグラフである。 放電レートによる放電出力維持率の変化を示したグラフである。

Claims (11)

  1. 導電性基材の少なくとも片面上に厚みが不均一な表面処理層を有し、前記表面処理層の前記導電性基材との接触面の反対側表面に前記の不均一により原子間力顕微鏡で測定し得る微細な凹凸形状を有し、前記反対側表面における巨視的表面積に対する前記凹凸形状による微視的表面積の比が2.20以上であり、かつ前記表面処理層の体積抵抗が2Ω・cm以下であることを特徴とする電池用集電体。

  2. 前記表面処理層は、一次粒子径が50nm以下の炭素材料の少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の電池用集電体。
  3. 前記表面処理層の最大厚みが5μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の電池用集電体。
  4. 前記の導電性基材を構成する金属が、アルミニウム、銅、ステンレスのいずれかであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電池用集電体。
  5. 前記の金属がアルミニウムであり、かつ耐折強度が40回以上であることを特徴とする請求項4に記載の電池用集電体。
  6. 正極用であり、かつ前記の電池がリチウムイオン電池であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電池用集電体。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の集電体の前記表面処理層上に、活物質層を有することを特徴とする電極。
  8. 前記活物質がリチウム化合物であることを特徴とする請求項7に記載の電極。
  9. 請求項7または8に記載の電極を用いたことを特徴とする電池。
  10. 放電温度20℃における放電レートが、15C以上であることを特徴とする請求項9に記載の電池。
  11. 前記の表面処理層は、導電助剤とバインダーとを含むものであることを特徴とする請求項1に記載の電池用集電体。
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