本実施例は、蛍光ランプを光源とした照明器具の端子台に用いられる速結端子を構成するものである。まず、速結端子の構成について説明する。本実施例の速結端子は、電源端子1とアース端子2を個々に有して構成されている。
電源端子1は、一端部に形成された外部配線の電源線W1を接続する第1の速結端子部10と、他端部に形成された内部配線の電線W2を接続する第2の速結端子部20で構成し、第1の速結端子部10は電源線W1を接続する電源側端子とその送り電線を接続する送り側端子を形成した2連タイプの速結端子として構成される。
電源端子1は、導電性を有する金属、本実施例では銅合金からなる厚さ約0.4mm程度の薄く剛性を有し、折り曲げることによって強いばね性を発揮する平らな板材からなり、この板材を折り曲げることによって、第1の速結端子部10および第2の速結端子部20が形成される。すなわち、図1に示すように、後述する端子台40内に縦方向に沿って配置される基板部11を有し、この基板部の長手方向の一端部に第1の速結端子部10が形成され、長手方向の他端部に第2の速結端子部20が形成される。
第1の速結端子部10は、基板部11の長手方向と交差する縦方向の一側縁部から基板部11の一面11a側に直角に折り曲げられた電線受板12、基板部の長手方向の一端縁部から基板部11の一面11a側に直角に折り曲げられた鎖錠板13、鎖錠板13の側縁部13bと基板部11の一面11aとの間に配設される阻止部14、基板部11の長手方向と交差する縦方向の他側縁部から基板部11の一面11a側に直角に折り曲げられた接続板15を備えている。
これら電線受板12、鎖錠板13および接続板15は、基板部11の同じ一面11a側に3方向からそれぞれ直角に折り曲げられて第1の速結端子部10が構成されている。そして電線受板12と鎖錠板13および接続板15との間に、電源線W1の芯線が差し込まれ接続される。
電線受板12は、電線挿入方向に沿って平行となるように形成されており、基板部11の一面11a側に対して直交する横方向に平行に並んで一対の電線受部12aが一体に形成され、これら一対の電線受部12a間で電線受板12の中央域に、後述する解除ボタン42bが挿通される解除ボタン通し孔12bが形成されている。
鎖錠板13は、基板部11から直角に折り曲げられた鎖錠支持部13aを有し、この鎖錠支持部13aから一方の側縁部13bが基板部11の一面11aに沿い、先端部13cが電線受部12aに斜めに対向するように折り曲げられた一対の鎖錠部13dが形成されている。一対の鎖錠部13dは、電線挿入方向の位置に対応して基板部11の一面11a側に対して直交する横方向に平行に並び、スリット13eによって独立して動くように分離され、各先端部13cが電線受部12aに斜めに対向されているとともに、その先端部13cと電線受部12aとの間の間隔が電源線W1の芯線の直径より小さい寸法に形成され、芯線を電線受部12aに当接すると共に、その先端部13cを芯線に食い込ませて係止するように構成されている。
また、スリット13eを介して互いに対向する一対の鎖錠部13dの先端部分は、電線受板12の解除ボタン通し孔12bに対向されており、後述する解除ボタン42bの押圧部43dの先端が当接する解除ボタン当接部13fを構成している。この解除ボタン当接部13fは、スリット13eによって分離された一対の鎖錠部13dのスリットを含む略中間部分に位置しており、共通する1個の解除ボタン42bを押圧することにより、一対の鎖錠部13dが同時に押圧される。
阻止部14は、基板部11の一面11aを、裏面側からプレスすることにより一面11a側に突出させて突出部を形成することにより構成する(図3(b))。この突出部には、鎖錠部13dが解除ボタン42bの押圧により係止が解除されるに従って徐々に傾斜するガイド部14aとガイド部に連続して形成される平坦な当接部14bが一体に形成される。
これにより、解除ボタン42bの押圧によって鎖錠板13と電源線W1の係止が解除される際に、その鎖錠部13dの基板部11の一面11a側への移動を、その側縁部13bを傾斜するガイド部14aに当接して円滑にガイドしながら突出する平坦な当接部14bに案内する。この動作によって鎖錠部13dの基板部11の一面11a方向への移動が阻止され、鎖錠部13dにおける側縁部13bと基板部11の一面11aとの間に隙間sが確実に形成され、側縁部13bの基板部11の一面11aへの接触さらには引っ掛かりが防止される。
鎖錠部13dの基板部11の一面11a側への移動は、スリット13eによって独立して動くように分離された鎖錠板13に対して基板部11の一面11a側に片寄った方向に力がかかった場合に生じ、一対の鎖錠部13dが捩れるように変形しながら、その一方の側縁部13bが基板部11の一面11aに沿って移動することになるが、阻止部14のガイド部14aおよび当接部14bによって、鎖錠部13dの基板部11の一面11a側への移動が阻止される。
また、ガイド部14aの基端部を基板部11を平面視したときに鎖錠部13dと略平行となるようにし、このガイド部14aの基端部の両端からコ字状に切り込みを入れて折り曲げることでガイド部14aおよび当接部14bを形成することができ、簡易な構成で阻止部14を形成できる。
なお、隙間sは鎖錠部13dとガイド部14aまたは当接部14bと当接しない寸法としてもよい。すなわち、阻止部14は鎖錠板13が基板部11の一面11a側への移動によって塑性変形しないように形成されていればよい。
接続板15は、基板部11から直角に折り曲げられた接続支持部15aおよびこの接続支持部15aから電線受部12aおよび鎖錠部13dの先端部13cに対向するように斜めに折り曲げられた一対の接続部15bが一体に形成されている。一対の接続部15bは、電線挿入方向の位置に対応して基板部11の一面11a側に直交する横方向に平行に並び、さらに、一対の接続部15bは、スリット15cによって独立して動くように分離され、湾曲形成された先端部15dが電線受部12aに対向されているとともに、その先端部15dと電線受部12aとの間の間隔が電源線W1の芯線の直径より小さい寸法に形成され、芯線をその先端部15dと電線受部12aとの間で挟持するように構成されている。
また接続部15の先端部15dは電線受部12aに対向されているとともに、鎖錠部13dの先端部13cに対向するように折り曲げられている。これにより、接続板15の側縁部15eが基板部11の一面11aに沿い、前述した阻止部14の突出部における平坦な当接部14bの下方に臨むように配設され(図1(b))、鎖錠部13dが過度に撓み移動した場合に、鎖錠部13dの先端部13cが接続板15の先端部15dに当たる。これによって、電源線W1を鎖錠板13に挿入した際における鎖錠部13dのガイド部14aへの移動寸法が規制され、鎖錠部13dが阻止部14の当接部14bを乗り越えることが防止される。因みに乗り越えた場合には、図3(a)に一点鎖線で示すように、突出する当接部14bの角に鎖錠部13dの側縁部13bが係合して引っ掛かり、電源線W1を外し押圧を解除しても鎖錠部13dが元の位置に復帰できなくなり、再度電線を挿入しても芯線を鎖錠板13で係止できず電気接続もできなくなる。
次に、第2の速結端子部20は、図1に示すように、基板部11の長手方向の他端縁部から基板部の一面11a側に直角に折り曲げられた折曲板21、この折曲板から基板部11の一面11a側に対して斜めに向けて折り曲げられた一対の鎖錠片22、および折曲板21から一対の鎖錠片22を切り起こして開口された一対の電線挿通孔23を有している。一対の鎖錠片22は、電線挿入方向の位置に対応して基板部11の一面側に平行な縦方向に離反して並び、折曲板21から基板部11の一面側に対して電線挿入方向に沿って斜めに切り起こし形成されている。
さらに、一対の鎖錠片22は、その先端が基板部11における電線受部24に対向されているとともに、その先端と電線受部24との間の間隔が内部配線W2の芯線の直径より小さい寸法に形成されている。なお、第2の速結端子部20は、接続する内部配線が外部配線の電源線に比べて細いため、第1の速結端子部10のように接続板15を用いなくても十分な電気的な接続性が得られる。
次に、アース端子2の構成について説明する。図4に示すように、アース端子2は、上述した本実施例における電源端子1と同様に、本発明の2連式の速結端子を構成するアース端子で、電源端子1と同様に、導電性およびばね性を有する銅合金からなる板材で形成されており、後述する端子台40内に縦方向に沿って配置される基板部31を有し、基板部31の同じ一面31a側に3方向からそれぞれ直角に折り曲げられた電線受板32、鎖錠板33、鎖錠板33の側縁部33bと基板部11の一面11aとの間に配設される阻止部34および取付板35を備えている。
これら電線受板32、鎖錠板33および取付板35は、基板部31の同じ一面31a側に3方向からそれぞれ直角に折り曲げられて構成されている。そして電線受板32と鎖錠板33との間に、アース線W3の芯線が差し込み接続される。
電線受板32は、電線挿入方向に沿って平行となるように形成されており、基板部31の一面31a側に対して直交する横方向に平行に並んで一対の電線受部32aが一体に形成され、これら一対の電線受部32a間で電線受板32の中央域に、後述する解除ボタン43bが挿通される解除ボタン通し孔32bが形成されている。
鎖錠板33は、基板部31から直角に折り曲げられた鎖錠支持部33aを有し、この鎖錠支持部33aから一方の側縁部33bが基板部31の一面31aに沿い、先端部33cが電線受部32aに斜めに対向するように折り曲げられた一対の鎖錠部33dが形成されている。一対の鎖錠部33dは、電線挿入方向の位置に対応して基板部31の一面31a側に対して直交する横方向に平行に並び、スリット33eによって独立して動くように分離され、各先端部33cが電線受部32aに斜めに対向されているとともに、その先端部33cと電線受部32aとの間の間隔がアース線の電線W3の直径より小さい寸法に形成され、芯線を電線受部32aに当接すると共に、その先端部33cを食い込ませて係止するように構成されている。
スリット33eを介して互いに対向する一対の鎖錠部33dの先端部分は、電線受板32の解除ボタン通し孔32bに対向されており、解除ボタン43bの押圧部43dの先端が当接する解除ボタン当接部33fを構成している。この解除ボタン当接部33fは、スリット33eによって分離された一対の鎖錠部33dのスリットを含む略中間部分に位置しており、後述する1個の解除ボタン43bを押圧することにより、一対の鎖錠部33dが共通して同時に押圧される。
阻止部34は、電源端子1と同様に、基板部31の一面31aを、裏面側からプレスすることにより一面31a側に突出させて突出部を形成することにより構成する。この突出部には、鎖錠部33dが解除ボタン43bの押圧により係止が解除されるに従って徐々に傾斜するガイド部34aとガイド部に連続して形成される平坦な当接部34bが一体に形成される。
これにより、電源端子1と同様に、解除ボタン43bの押圧によって鎖錠板33とアース線W3の係止が解除される際に、その鎖錠部33dの基板部31の一面31a側への移動を、その側縁部33bを傾斜するガイド部34aに当接して円滑にガイドしながら突出する平坦な当接部34bに案内する。この動作によって鎖錠部33dの基板部31の一面31a方向への移動が阻止され、鎖錠部33dにおける側縁部33bと基板部31の一面31aとの間に隙間sが確実に形成され、側縁部33bの基板部31の一面31aへの接触、さらには引っ掛かりが防止される。
取付板35は、基板部31の他端部を折り曲げることにより一体に形成され、中央にアースねじ接続孔35aが、一側に固定片35bが折り曲げられて形成されている。なお、アース端子2は、接続するアース線W3が外部配線の電源線W1などに比べて細いため、上述した電源端子1のように接続板15を用いなくても十分な電気的な接続性が得られる。
上記により、本発明の速結端子を構成する電源端子1およびアース端子2が構成され、これらの端子は端子台に組み込まれて照明器具用の端子台が構成される。次にこの端子台の構成について説明する。
端子台40は、図5、図6に示すように、電線挿通孔を有する端子台本体41、端子台本体41内に配置される2連タイプの速結端子である3個の電源端子1、2連タイプの速結端子である1個のアース端子2、電源端子用の解除ボタン部42およびアース端子用の解除ボタン部43で構成されている。
端子台本体41は、それぞれ電気絶縁性を有する合成樹脂、本実施例では、白色のポリブチレンテレフタレート(PBT)製のボディ44とカバー45とで箱状に構成され、カバー45の外面が後述する照明器具50の器具本体51への取付面46として構成されている。ボディ44はカバー45側に開口され、カバー45はボディ44の開口を覆って被着され、ボディの側面に形成された複数の爪部44aとカバー45の側面に形成された複数の孔部45aとの係合によってボディとカバーとが着脱が可能になるように結合されている(図6(a)(b))。これらボディ44とカバー45との間で端子台本体41の内部には、3個の電源端子1を収容する3個の電源端子収容部47が形成されているとともに、1個のアース端子2を収容する1個のアース端子収容部48が形成されている。
ボディ44の一側面には、3個の電源端子1毎に対応して電源線W1の芯線が挿入される一対の3個の電線挿入孔44bがそれぞれ形成されているとともに、アース端子2に対応してアース線W3の芯線が挿入される一対の1個の電線挿入孔44cが形成されている。各一対の電源線用の電線挿入孔44bおよびアース線用の電線挿入孔44cのうちの一方は電源線等の引込み配線用で他方は送り配線用である。各一対の電源線用の電線挿入孔44bおよびアース線用の電線挿入孔44cは、取付面46に平行な横方向に並んで一列に配置されているとともに、互いに接近する孔内壁の一部が連通する状態に形成され、さらに、軸方向である電線挿入方向が取付面46に対して反対側へ斜め上方に向くように形成され電線の挿入をし易くしている。
ボディ44の各電線挿入孔44b、44cが形成された一側面とは反対の他側面には、3個の電源端子1毎に対応して内部配線が挿入される一対の電線挿入孔44dがそれぞれ形成されている。各一対の電線挿入孔44dは、取付面46に垂直な縦方向に並んで配置されているとともに、軸方向である電線挿入方向が取付面46と平行となるように形成されている。
ボディ44における取付面46側とは反対となる表面で、電源線用の電線挿入孔44bの近傍には、電線挿入孔44bから挿入されて電源端子1に接続された電源線W1を外すための3個の解除ボタン部42が形成され、またアース線用の電線挿入孔44cの近傍には、電線挿入孔44cから挿入されてアース端子2に接続されたアース線W3を外すための1個の解除ボタン部43が形成されている。
電源線W1を外すための3個の解除ボタン部42およびアース線W3を外すための1個の解除ボタン部43は、それぞれ同一の構成を有しており、図7に示すように、合成樹脂からなるボディ44の表面に貫通する長孔からなる取付孔42aが形成され、この取付孔内に沿う細く長い形状の解除ボタン42bが、その一端部を取付孔42aの一端部に連結するようにボディ44と一体に形成される。これにより、長い形状の解除ボタン42bが、一端部を支点として揺動操作が可能になるように構成される。長い形状の解除ボタン42bの揺動する他端部には、表面側にボタン部42cが裏面側に棒状の押圧部42dが一体に形成され、ボタン部42c両側に位置するボディ44の表面側に溝部42eが一体に形成される。
押圧部42dは、ボディ44の電源端子収容部47に配置された電源端子1における電線受板12の解除ボタン通し孔12bを介し、鎖錠板13における鎖錠部13dの解除ボタン当接部13fに臨み先端が当接している。これによって、図7(b)に示すように、解除ボタン42bのボタン部42cをマイナスドライバDの先端で押圧すると、押圧部42dの先端で鎖錠部13dの解除ボタン当接部13fが押され、鎖錠板13が下方に撓んで移動し鎖錠部13dの電源線W1との係止状態が解除される。
なお、図7中42fは、長い形状の解除ボタン42bおよび長孔からなる取付孔42aの左右に一体に形成された凸条部で、解除ボタン42bが揺動する際のガイドの作用をなし、解除ボタン42bの左右へのズレを規制して解除ボタン42bが取付孔42aに引っ掛かることなく円滑に揺動するように構成されている。
アース線W3を外すための1個の解除ボタン部43も、上記電源線を外すための3個の解除ボタン部42と同様に、ボディ44の表面に長孔からなる取付孔43aが形成され、細く長い形状の解除ボタン43bにボタン部43cおよび押圧部43dが形成され、さらにボディ44の表面に溝部43eおよび凸条部43fが一体に形成され、電源線W1を外すための解除ボタン部42と同様に作動してアース線W3とアース端子2の鎖錠板32との係止が解除される。なお、アース線W3を外すための解除ボタン部43は、電源線W1を外すための解除ボタン部42と同一の構成であり、図7(b)の()内にアース線W3を外すための解除ボタン部43の符号を付して説明した。
また、図7(b)に示すように、電源線W1を外すための3個の解除ボタン部42およびアース線W3を外すための1個の解除ボタン部43における溝部42e、43eの深さは、解除操作における解除ボタン42b、43bの移動寸法を設定する寸法に形成される。以下、電源線用の解除ボタン部42およびアース線用の解除ボタン部43は同様の構成であり、電源線用の解除ボタン部42を例にして作用を説明する。すなわち、解除する場合にはマイナスドライバDの先端を解除ボタン42bの押圧部42c押し当てる。これにより、マイナスドライバDの先端が両側の溝部42eに嵌合して溝部の底に当接して押圧操作が停止される。これによって、電源線W1との係止を解除するための鎖錠部13dの撓み量が規制され、解除ボタン42bの過度の押圧操作等による鎖錠部13dの塑性変形を防止している。同時に、鎖錠部13dにおける側縁部13bの、阻止部14のガイド部14aに対する移動寸法が規制され、鎖錠部13dが阻止部14の当接部14bを乗り越えることが防止される(図3(a))。アース線用の解除ボタン部43も同様にして、鎖錠部33dの塑性変形の防止および鎖錠部33dが阻止部34の当接部34bを乗り越えることが防止される。
次に、上記に構成された端子台の組立手順および電源線、アース線および内部配線用の電線を接続するための作動を説明する。まず、端子台40を組み立てるには、ボディ44の電源端子収容部47に3個の電源端子1を、その基板部11を縦にして配置すると共に、アース端子収容部48にアース端子2を、その基板部31を縦にして配置し、ボディ44とカバー45とを組み合わせて結合する。この端子台40の組立状態で各電源端子1およびアース端子2がボディ44とカバー45との間で保持される。
また、3個の各電源端子1の第1の速結端子部10において、電線受板12の電線受部12aが各電線挿入孔44bに沿って配置され、鎖錠板13の鎖錠部13dの先端および接続部15bの先端がそれぞれ電線挿入孔44bに対向する領域に侵入配置されている(図7(a))。
3個の電源端子1の第2の速結端子部20において、基板部11が電線挿入孔44dに沿って配置され、電線挿通孔23が電線挿入孔44dに対向して配置され、鎖錠片22の先端がそれぞれ電線挿入孔44dに対向する領域に侵入配置されている。
1個のアース端子2において、電線受板32の電線受部32aが電線挿入孔44cに沿って配置され、鎖錠板33の鎖錠部33dの先端が電線挿入孔44cに対向する領域に侵入配置され、固定片35bがカバー45の取付面46から突出されているとともにアースねじ接続孔35aがカバー45の取付面46に形成されたアースねじ挿通孔45bに対向配置されている。
上記により、電源端子1およびアース端子2が端子台本体41内に配置されることにより、解除ボタン部42、43が各端子に対向して位置する。すなわち、電源端子1を解除する3個の解除ボタン42bは、その押圧部42dが電源端子1の電線受板12の解除ボタン通し孔12cを介して一対の鎖錠部13dの解除ボタン当接部13fに当接している(図7(a))。 同様に、解除ボタン43bは、その押圧部43dがアース端子1の電線受板33の解除ボタン通し孔33cを通じて鎖錠部33dの解除ボタン当接部33fに当接されている。
次に、端子台40に各電線を接続する作用を説明する。まず、器具本体51内の内部配線用の電線W2が各電線挿入孔44dから挿入されて各電源端子1に接続される。端子台40の各電線挿入孔44dから挿入される内部配線用の電線W2の芯線は、各電源端子1の電線挿通孔23を通じて基板部11における電線受部24と鎖錠片22との間に導かれ、鎖錠片22を弾性変形させながら電線受部24と鎖錠片22との間に挿入され、鎖錠片22と電線受部24との間で芯線を挟み込んで電気的に接続されるとともに、鎖錠片22の先端が芯線に食い付くことで抜け止め係止される。
次に、外部配線である電源線W1およびアース線W2が、照明器具50の設置時に器具本体51内に引き込まれ、端子台40の3個の一方の電線挿入孔44bおよび1個の一方の電線挿入孔44cに挿入されて接続される。さらに、必要に応じて他の照明器具に接続するための送り配線である電源線およびアース線が、3個の他方の電線挿入孔44bおよび1個の他方の電線挿入孔44cに挿入されて接続される。
電源線W1の芯線は、端子台40の一方の電線挿入孔44bに挿入され、電源端子1の電線受部12aと鎖錠部13dとの間に導かれ、鎖錠部13dを弾性変形させて撓ませながら電線受部12aと鎖錠部13dとの間に挿入され、さらに、電線受部12aと接続板15の接続部15bとの間に導かれ、接続部15bを弾性変形させ撓ませながら電線受部12aと接続部15bの先端部15dとの間に挿入され、電線受部12aと鎖錠部13dおよび接続部15bとの間で芯線を挟み込んで電気的に接続されるとともに、鎖錠部13dの先端部13cが芯線に食い付くことで抜け止め係止される。
このとき、電源端子1の一対の鎖錠部13d間、および一対の接続部15b間がそれぞれスリットにより独立して動くように分離されているため、電源端子1に電源線W1と送り用の電線が接続される場合でも、それら電線が互いに影響することなく確実に接続できる。また、これら電源線W1の電源端子1への挿入時において、電線を斜め下方、すなわち、鎖錠板13を無理に下方へ撓ませるようにして挿入した場合、鎖錠部13dの先端部13cが接続板15の先端部15dに当たる。これによって、電源線W1を鎖錠板13に挿入した際における鎖錠部13dのガイド部14aへの移動寸法が規制され、鎖錠部13dが阻止部14の当接部14bを乗り越えることが防止される。
また、電線を斜め左右、すなわち、鎖錠板13を無理に左右に撓ませるようにして挿入した場合、スリットで独立して動くように分離された各鎖錠部13dには、図2(c)(d)に示すように、左右に広がる方向、すなわち、一方の鎖錠部13dが基板部11の一面11a側に片寄った方向の力がかかり広がる方向に移動して側縁部13bが基板部11の一面11aに引っ掛かろうとするが、鎖錠部13dの基板部11の一面11a側への移動を、その側縁部13bを傾斜するガイド部14aに当接してガイドしながら突出する平坦な当接部14bに案内し、これによって鎖錠部13dの基板部11の一面11a方向への移動が阻止され、側縁部13bの基板部11一面11aへの接触、さらには引っ掛かりが防止される(図2(a)(b))。
アース線W3の芯線は、端子台40の電線挿入孔44cに挿入され、アース端子2の電線受部33aと鎖錠部33dとの間に導かれ、鎖錠部33dを弾性変形させ撓ませながら電線受部33aと鎖錠部33dとの間に挿入され、電線受部33aと鎖錠部33dとの間で芯線を挟み込んで電気的に接続されるとともに、鎖錠部33dの先端部33cが芯線に食い付くことで抜け止め係止される。
このとき、アース端子2の一対の鎖錠部33d間がスリットで独立して動くように分離されているため、アース端子2にアース線と送り用のアース線が接続される場合でも、それら電線が互いに影響することなく確実に接続できる。また、アース線W3を斜め左右、すなわち、鎖錠板33を無理に左右に撓ませるようにして挿入した場合、上述した電源線W1を斜め左右に挿入したときと同様の作用により、鎖錠部33dの基板部31の一面31a方向への移動が阻止され、側縁部33bの基板部31の一面31aへの接触、さらには引っ掛かりが防止される。
次に、電線を外す作用について説明する。まず、電源線W1を外す場合には、マイナスドライバを用い先端の平たい刃の部分を解除ボタン42bのボタン部42cに当てて、刃を溝部42eに差し込みながら端子台40内に向けて押圧操作する(図7(b))。これにより、解除ボタン42bの押圧部42dで電源端子1の一対の鎖錠部13dの解除ボタン当接部13fを押圧し、鎖錠部13dの先端13cを電線受部13aから離反移動させて芯線に対する鎖錠部13dの先端部13cの食い付きを解除し、その状態で電源線W1を電線挿入孔44bから引き抜くことができる。
このとき、この解除ボタン当接部13fは、スリット13eによって分離された一対の鎖錠部13dのスリットを含む略中間部分に位置しており、1個の共通する解除ボタン42bを押圧することにより、押圧部42dの先端で一対の鎖錠部13dが同時に押圧され、それぞれの鎖錠部13dに係止されている電源線W1および送り用の電線を共に引き抜くことができる。なお、引き抜かない、いずれか一方の電線は解除ボタン42bの押圧を解除することにより、鎖錠部33dが元の位置に復帰し、電線がそのまま係止され電線受部13aに接続される。
また、上記のように押圧部42dの先端で一対の鎖錠部13dのスリットを含む略中間部分を押圧するために、各鎖錠部13には、図2(c)(d)に示すように、左右に広がる方向、すなわち、一方の鎖錠部13dが基板部11の一面側に片寄った方向の力がかかり広がる方向に移動して側縁部13bが基板部11の一面11aに引っ掛かろうとする。しかし、基板部11には上述のように阻止部14が形成されているので、鎖錠部13dの基板部11の一面11a側への移動を、その側縁部13bを傾斜するガイド部14aに当接してガイドしながら突出する平坦な当接部14bに案内し、これによって鎖錠部13dの基板部11の一面11a方向への移動が阻止され、鎖錠部13dにおける側縁部13bと基板部11の一面11aとの間に隙間sが確実に形成され、側縁部13bの基板部11の一面11aへの接触、さらには引っ掛かりが防止される。
また、解除ボタン42bの押圧操作は、溝部42eの深さによって解除操作における解除ボタン42bの移動寸法が規制され、マイナスドライバDの先端の刃が両側の溝部42eに嵌合して溝部の底に当接して押圧操作が停止されるので、解除ボタン42bの過度の押圧操作等によって鎖錠板13の鎖錠部13dが塑性変形してしまうのを防止し、その後の電線接続の信頼性を向上できる。同時に電線を鎖錠板13に挿入した際における鎖錠部13dの撓み量、すなわち、阻止部14におけるガイド部14aへの移動寸法が規制され、鎖錠部13dが阻止部14の当接部14cを乗り越えることが防止される。
次に、アース線W3を外す場合には、上記電源線W1を外すと同様に、マイナスドライバを用い先端の平たい刃の部分を解除ボタン43bのボタン部43cに当てて、刃を溝部43eに差し込みながら端子台40内に向けて押圧操作する(図7(b))。これにより、解除ボタン43bの押圧部43dで1個のアース端子2の一対の鎖錠部33dの解除ボタン当接部33fを押圧し、鎖錠部33dの先端を電線受部33aから離反移動させて芯線に対する鎖錠部33dの先端部33cの食い付きを解除し、その状態でアース線W3を電線挿入孔44cから引き抜くことができる。
なお、アース端子2を外す場合にも、上記電源端子1を外す場合と同様の作動によって、鎖錠部33dにおける側縁部33bの基板部31の一面31aへの接触さらには引っ掛かりの防止、解除ボタン43bの過度の押圧操作等による鎖錠板33の塑性変形の防止、さらに鎖錠部33dの阻止部34における当接部34bの乗り越え防止がなされる。
なお、内部配線の電線W2を外す場合には、第2の速結端子部20における電線挿通孔23から細いドライバを挿入し、斜めに向けて折り曲げられた一対の鎖錠片22を押し込んで曲げ、電線受部24から離反移動させて電線に対する食い付きを解除し、その状態で電線を電線挿通孔23から引き抜いて取り外す。
次に、上記に構成された端子台は、照明器具に組み込まれる。すなわち、照明器具50は、図8に示すように、天井埋込形で下面が開口されたシャーシである金属製の器具本体51を備え、この器具本体の長手方向両端に2組のランプソケット52がそれぞれ対向して取り付けられ、これら長手方向両端の各組のランプソケット間にランプとしての2本の直管形蛍光ランプ53が接続されている。 器具本体51の天板部54の内面には、2本の直管形蛍光ランプ53間に位置して、上述の端子台40および図示しない点灯装置が取り付けられているとともに、これらを覆う断面略V字形の反射板56が取り付けられている。
上記構成の照明器具50は、その製造時において端子台40が器具本体51に取り付けられる。このとき、アース端子2の固定片35bが器具本体51に嵌合され、アースねじが器具本体51を通じて端子台40内のアース端子1のアースねじ接続孔35a に螺着され、端子台40が器具本体51に固定されるとともにアース端子2と器具本体51とが電気的に導通される。
さらに、点灯装置から配線孔57を介して引き出されている内部配線W2を、端子台40の電線挿入孔44dから挿入して電源端子1の第2の速結端子部20にそれぞれ接続して器具内の配線を行う。次に、上記により内部配線され完成された照明器具50を天井等に設置し、外部電線である電源線W1およびアース線W3を、それぞれ端子台40の電線挿入孔44b、44cから挿入して、電源端子1の第1の速結端子部10における一方の電線受部12aにそれぞれ接続して器具と電源およびアースとを接続する。
また、他の器具に送り配線を行う場合には、送り用の電源線W1やアース線W3を端子台40の電線挿入孔44b、44cからそれぞれ挿入して、電源端子1の第1の速結端子部10における他方の電線受部12aおよびアース端子2の電線受部32aにそれぞれ接続して電源線およびアース線の送り配線を行う。そして、電源を投入することで2本の直管形蛍光ランプ53が点灯して所定の照明が行われる。
以上、本実施例によれば、電源端子1は、基板部11の3方向から一面側に電線受板12、鎖錠板13および接続板14をそれぞれ折り曲げ、基板部11の一面11a側と平行に並んで、電線受板12には一対の電線受部12aを、鎖錠板13には一対の鎖錠部13dを、接続板15には一対の接続部15bをそれぞれ形成しているため、2連タイプで一体に形成された速結端子を提供できる。
しかも、電源端子1は、基板部11の一端に第1の速結端子部10を一体に形成しているとともに、基板部11の他端に第2の速結端子部20を一体に形成しているため、2方向から電線の接続が可能な一体形の速結端子を提供できる。
さらに、電源端子1は2連タイプでありながら一体に形成されるために、板素材から電源端子1の展開状態の形を型抜きした際の材料取りがよい。特に、第2の速結端子部20の一対の鎖錠片22を基板部11と平行な縦方向としているため、第2の速結端子部20を基板部11から延長した形状で型抜きでき、材料取りがよい。 また、アース端子2についても、電源端子1と同様に、2連タイプで一体に形成された速結端子を提供できる。
本実施例によれば、上記の作用効果を奏すると共に、次のような速結端子の作動における作用効果を奏する。本実施例の速結端子、すなわち、電源端子およびアース端子によれば、鎖錠板の側縁部と基板部一面との間に配設され、鎖錠板の基板部一面方向への移動を阻止する阻止部を設けたので、電線の解除を容易かつ確実に行うことができる。同時に解除ボタンの押圧を解除すると鎖錠板が引っ掛かることなく確実に元の位置に復帰するので電線を確実に係止し接続することが可能な速結端子を提供することができる。
特に、阻止部は、基板部の一面を裏面側からプレスすることにより一面側に突出させて突出部し、この突出部は傾斜するガイド部とガイド部に連続して形成される当接部を一体に形成したので、簡易な構成で阻止部を構成することができ、コスト的に有利な速結端子を提供することができると共に、その動作において、鎖錠部の基板部の一面側への移動を、傾斜するガイド部で円滑にガイドしながら当接部に案内することができ、電線の解除を円滑で一層容易かつ確実に行うことができる。同時に解除ボタンの押圧を解除すると鎖錠板が引っ掛かることなく円滑かつ確実に元の位置に復帰するので電線を一層確実に係止し接続することが可能な速結端子を提供することができる。
また、電線を斜め左右、すなわち、鎖錠板を無理に左右に撓ませるようにして挿入した場合にも、鎖錠部の基板部の一面側への移動を、その側縁部を傾斜するガイド部に当接してガイドしながら突出する平坦な当接部に案内するので、鎖錠部の基板部一面方向への移動が阻止され、側縁部の基板部一面への接触、さらには引っ掛かりが防止される。これにより、鎖錠板が引っ掛かることなく円滑かつ確実に元の位置に復帰するので電線を一層確実に係止し接続することが可能な速結端子を提供することができる。
特に、電源端子1は、接続部15の側縁部15eが基板部11の一面11aに沿い、阻止部14の平坦な当接部14bの下方に臨むように配設されるようにしたので、電線を斜め下方、すなわち、鎖錠板13を無理に下方へ撓ませるようにして挿入した場合でも、鎖錠部13dの先端部13cが接続板15の先端部15dに当たり、鎖錠部13dが阻止部14の当接部14bを乗り越えることが防止され、鎖錠板13は元の位置に確実に復帰するので電線をより一層確実に係止し接続することが可能な速結端子を提供することができる。
また、上述した作用効果を有する速結端子を用いた本実施例の端子台によれば、解除ボタン部における溝部の深さを、解除操作における解除ボタンの移動寸法を設定する寸法に形成したので、解除ボタンの過度の押圧操作等があっても、速結端子における鎖錠部の塑性変形を防止することができる。同時に、速結端子における鎖錠部が阻止部の当接部を乗り越えることが防止され、鎖錠板は元の位置に確実に復帰されるので電線をより一層確実に係止し接続することが可能な端子台を提供することができる。
さらに、本実施例の端子台は、上述した電線受板および鎖錠板は、それぞれ一対の電線受部および一対の鎖錠部を有する速結端子と組み合わされて構成されているので、共通の1個の解除ボタンによって、例えば、電源線と送り用の電線を係止し確実に接続することができると共に、2本の電線の係止の解除を確実に行うことができる。
換言すれば、本実施例の端子台は、スリットで独立して動くように分離された一対の鎖錠部を有する鎖錠板の、基板部一面方向への移動を阻止する阻止部を設けた速結端子と組み合わせることにより、一対の鎖錠部の共通する中央部分を押圧しても鎖錠部が基板部一面に引っ掛かることが防止される。このため1本の共通の解除ボタンを採用することができ解除機能を簡素化した端子台を提供することができる。
さらに、本実施例の端子台は、解除ボタン部における溝部の深さで解除操作における解除ボタンの移動寸法を規制することにより鎖錠板が阻止部に引っ掛かることなく確実に復帰する機能を有し、この同様の確実に復帰する機能を阻止部によって有する速結端子と組み合わせて端子台を構成し、端子台と速結端子の両方が共に有する2重の機能によって鎖錠板は元の位置に確実に復帰されので、電線をより一層確実に係止し接続することが可能な端子台を提供することができる。
また、端子台40は、2連タイプで一体に形成された速結端子構造の電源端子1およびアース端子2を用いるため、特に基板部11に垂直な幅方向の小形化ができ、各端子とも1部品であるために端子台40への組立性も向上できると共に、電線の係止および解除を確実に行うことができる端子台40を提供することができる。
また、照明器具50は、幅方向寸法の小さい端子台40を用いることができるため、器具内での設置ペースが小さくて済み、幅方向寸法の小さいスリムな照明器具も提供できると共に、電線の係止および解除を確実に行うことができる。同時に電線を多少傾けて端子台に挿入しても鎖錠板が引っ掛かったりすることがなく速結端子の機能が低下しないので、器具の設置時における配線作がし易く、また故障の少ない照明器具を提供することができる。
以上、本実施例において、阻止部14を基板部11の一面11aに一体に形成したが、図9(a)に示すように、鎖錠板13における鎖錠部13dの側縁部13bに一体に突出部14cを形成することにより構成したものでもよい。さらに、図9(b)に示すように、基板部11の一面11aに一体に形成したガイド部14aと当接部14bからなる突出部と、鎖錠部13dの側縁部13bに一体に形成した突出部14cの両方を設けて、より一層確実に鎖錠板13の基板部11の一面11a方向への移動を阻止するように構成してもよい。
なお、変形例を示す図9には、図1〜図8と同一部分に同一の符号を付し詳細な説明は省略した。以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上述の実施例に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の設計変更を行うことができる。