JP5177567B2 - ハーフトーン型位相シフトマスクブランク及びハーフトーン型位相シフトマスク - Google Patents

ハーフトーン型位相シフトマスクブランク及びハーフトーン型位相シフトマスク Download PDF

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Description

本発明は、位相シフターによる光の干渉作用を利用して転写パターンの解像度を向上できるようにした位相シフトマスク及びその素材としての位相シフトマスクブランク並びにそれらの製造方法等に関し、特にハーフトーン型の位相シフトマスク及びブランク並びにそれらの製造方法等に関する。
DRAMは、現在256Mbitの量産体制が確立されており、今後Mbit級からGbit級への更なる高集積化がなされようとしている。それに伴い集積回路の設計ルールもますます微細化しており、線幅(ハーフピッチ)0.10μm以下の微細パターンが要求されるのも時間の問題となってきた。
パターンの微細化に対応するための手段の一つとして、これまでに、露光光源の短波長化によるパターンの高解像度化が進められてきた。その結果、現在の光リソグラフィ法における露光光源はKrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)が主に使用されている。
しかし、露光波長の短波長化は解像度を改善する反面、同時に焦点深度が減少するため、レンズをはじめとする光学系の設計への負担増大や、プロセスの安定性の低下といった悪影響を与える。
そのような問題に対処するため、位相シフト法が用いられるようになった。位相シフト法では、微細パターンを転写するためのマスクとして位相シフトマスクが使用される。
位相シフトマスクは、例えば、マスク上のパターン部分を形成する位相シフター部と、位相シフター部の存在しない非パターン部からなり、両者を透過してくる光の位相を180°ずらすことで、パターン境界部分において光の相互干渉を起こさせることにより、転写像のコントラストを向上させる。位相シフター部を通る光の位相シフト量φ(rad)は位相シフター部の複素屈折率実部nと膜厚dに依存し、下記数式(1)の関係が成り立つことが知られている。
φ=2πd(n−1)/λ …(1)
ここでλは露光光の波長である。したがって、位相を180°ずらすためには、膜厚dを
d= λ/{2(n−1)} …(2)
とすればよい。この位相シフトマスクにより、必要な解像度を得るための焦点深度の増大が達成され、露光波長を変えずに解像度の改善とプロセスの適用性を同時に向上させることが可能となる。
位相シフトマスクはマスクパターンを形成する位相シフター部の光透過特性により完全透過型(レベンソン型)位相シフトマスクと、ハーフトーン型位相シフトマスクに実用的には大別することができる。前者は、位相シフター部の光透過率が、非パターン部(光透過部)と同等であり、露光波長に対してほぼ透明なマスクであって、一般的にラインアンドスペースの転写に有効であるといわれている。一方、後者のハーフトーン型では、位相シフター部(光半透過部)の光透過率が非パターン部(光透過部)の数%から数十%程度であって、コンタクトホールや孤立パターンの作成に有効であるといわれている。
ハーフトーン型位相シフトマスクのうちには、構造が簡単で製造が容易な単層型のハーフトーン型位相シフトマスクとして実用化されている、金属、シリコン、及び窒素からなる単層ハーフトーン膜が知られている。
[発明が解決しようとする課題]
一方、LSIパターンの微細化に伴い、露光光源の波長(露光光波長)は、現行のKrFエキシマレーザ(248nm)から、ArFエキシマレーザ(193nm)へ、さらに将来的にはF2エキシマレーザ(157nm)へと短波長化が進むと予想される。また、現行のハーフトーン型位相シフトマスクでは、ハーフトーン位相シフター部の露光光透過率が6%付近となるように膜設計がなされているものが主流であるが、さらなる高解像化に向けて透過率が高いものが要求されつつあり、将来的には15%以上の透過率が必要とも言われている。このような露光光源の短波長化や高透過率化に伴い、所定の透過率及び位相シフト量を満足するようなハーフトーン位相シフター部の材料の選定の幅が狭まる方向にある。また、透過率の高透過率化に伴ない光透過性の高い材料の必要性、又は露光光源の短波長化に伴い、従前の波長でみた場合に光透過性の高い材料の必要性により、パターン加工の際に石英基板とのエッチング選択性が小さくなるという問題がある。
また、露光光源の短波長化や透過率の高透過率化は、フォトマスクの開発・製作自体にも困難を生じさせている。その原因となる問題点を以下に述べる。
まず、多くの固体材料において、波長が短波長になるに従い光吸収の度合いは大きくなるため、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ用に用いてきた光透過膜材料や光半透過膜材料では所定の位相角を有するための膜厚とした場合透過率がほとんどゼロに近い値となってしまう。また、露光光の吸収の度合いが高いということは、それだけ位相シフター部を形成する膜が、露光光によるダメージを受けやすいということでもある。ここでいうダメージとは、露光光を吸収することによって位相シフター部を形成する膜内に生じる欠陥や結合の開裂等による、膜の光学特性(透過率、屈折率など)の変化、膜厚変化、膜質劣化等を意味する。
その他、加工精度に影響を与える位相シフター膜のエッチング選択性や、製造プロセスの洗浄工程で使う酸やアルカリに対する耐性等は、位相シフター部を作製する膜材料として一般的に考えなければならない問題である。
本発明は上記背景の下になされたものであり、特に、露光波長の短波長化(140nm〜200nmの露光波長領域)や露光光の透過率の高透過率化(透過率8〜30%)に対応し、高い加工精度を有するハーフトーン型位相シフトマスク及びその素材となるハーフトーン型位相シフトマスクブランクの提供を目的とする。
[課題を解決するための手段]
本発明は以下の構成を有する。
(構成1) 透明基板上に、露光光を透過させる光透過部と、露光光の一部を透過させると同時に透過した光の位相を所定量シフトさせる位相シフター部を有し、前記光透過部と位相シフター部の境界部近傍にて各々を透過した光が互いに打ち消し合うように光学特性を設計することで、被露光体表面に転写される露光パターン境界部のコントラストを良好に保持、改善できるようにしたハーフトーン型位相シフトマスクを製造するために用いるハーフトーン型位相シフトマスクブランクであり、透明基板上に前記位相シフター部を形成するための位相シフター膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいて、
前記位相シフター膜が、金属を10原子%以下含有する、金属、珪素、酸素、及び窒素を主構成要素とする膜、及び、前記膜と透明基板との間に形成されたエッチングストッパー膜とからなることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
(構成2) 前記エッチングストッパー膜は、前記金属、珪素、酸素、及び窒素を主構成要素とする膜のエッチングと異なるエッチング媒質でエッチング可能な材料であることを特徴とする請求項1又は2記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
(構成3) 前記エッチングストッパー膜は、前記金属、珪素、酸素、及び窒素を主構成要素とする膜のエッチングと同じエッチング媒質でエッチング可能な材料であることを特徴とする請求項1又は2記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
(構成4) 前記位相シフトマスクが、140nmから200nmの露光光波長範囲で使用されるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
(構成5) 請求項1〜5のいずれかに記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおける位相シフター膜を、所定のパターンが得られるように選択的に除去するパターニング処理を施すことにより得られた、光透過部と位相シフター部とからなるマスクパターンを有することを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスク。
(構成6) 請求項5に記載のハーフトーン型位相シフトマスクを用いてパターン転写を行うことを特徴とするパターン転写方法。
[発明の実施の形態]
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、位相シフター膜が、金属を10原子%以下含有する、金属、珪素、酸素、及び窒素を主構成要素とする膜(上層)(以下適宜所定のMSiOxNy膜という)、及び、前記膜と透明基板との間に形成されたエッチングストッパー膜(下層)とからなる。ここで、金属、珪素、酸素、及び窒素を主構成要素としする膜において、SiNxは、Si−N結合が膜のマトリックスを緻密にするため、露光光に対する照射耐性や洗浄液等に対する耐薬品性が高く、また、SiOxは、短波長側においても比較的高い透過率を有することができ、さらに、窒素及び金属を含有することによって屈折率を大きくすることができるので膜厚を薄くすることができるため、パターン加工性に優れる。ここで、金属の含有量は、膜全体の10原子%以下とする。10原子%よりも多いと、透過性の高い膜が得られず、波長140nm〜200nmの範囲で所望の透過率を得ることが困難となる。より透過性の高い膜を得る上では、6原子%以下好ましく、さらに好ましくは5原子%以下である。尚、金属を含有する膜は、金属を含有させたターゲットを使用して成膜することができ、珪素と金属とからなるターゲットの導電性を高めることができるため、DCスパッタリングを行った際に成膜安定性を容易に確保することがパーティクルの発生の低減にもつながる。また、金属を含有する膜は、金属を含有することで、位相シフター膜の波長に対する反射スペクトルをブロード化(平坦化)することができるため、広い波長域で所定の範囲の反射率を得る必要がある場合は有利である。このような観点から、膜中の金属の含有量は、1原子%以上とすることが好ましい。
また、上記金属、珪素、酸素、及び窒素を主構成要素としする膜における金属としては、遷移金属とすることが好ましく、具体的には、モリブデン、タングステン、タンタル、チタン、クロム、或いは他の遷移金属が挙げられる。
本発明におけるハーフトーン型位相シフトマスク及びブランクでは、主に酸素と窒素の組成比を変えることで、透過率と位相シフト量の制御を同時に行うことができる。酸素を多くすることで透過率を増大させることが、窒素、金属を多くすることで屈折率を増大させることができる。尚、金属を増やすと透過率が低減してしまうが、窒素は透過率をさほど低減させずに屈折率を増大させることができる。
尚、シリコン、窒素、酸素の組成範囲は、シリコン及び窒素及び酸素の合計を100とした場合、珪素については25〜45原子%、酸素については1〜60原子%、窒素については5〜60原子%とすることが好ましい。すなわち、珪素が45%より多い、あるいは窒素が60%より多いと、膜の光透過率が不十分となり、逆に窒素が5%未満、あるいは酸素が60%を超えると、膜の光透過率が高すぎるため、ハーフトーン型位相シフター膜としての機能が失われる。また珪素が25%未満、あるいは窒素が60%を上回ると膜の構造が物理的、化学的に非常に不安定となる。
金属、珪素、酸素、及び窒素を主構成要素とする膜は、金属とシリコンを含有するスパッタリングターゲットを、アルゴン、ヘリウム等のスパッタリングガスと酸素及び窒素を含有する反応性ガスを含むスパッタリング雰囲気中においてスパッタリングすることによって成膜することができる。金属とシリコンを含有するスパッタリングターゲットを用いることによって、ターゲットの導電性を確保することができるので、DCスパッタリング法において、パーティクルの発生を低減することができ、また成膜安定性も得られる。
ところで、位相シフトマスクのエッチングで十分な加工精度を得るためには、少なくとも深さ方向に異方性のあるエッチングが必要であり、このためドライエッチングが使用される。中でも、先述した所定のMSiOxy膜(上層)(M:金属、以下同様)は、CHF3やCF4、SF6、C26等のフッ化物ガスおよびその混合ガスによるRIE(Reactive Ion Etching)が一般的である。
一方、現行マスク基板のほとんどは合成石英基板であるが、フッ化物ガスに対する合成石英のエッチング速度は比較的大きい。したがって、仮に、先述した所定のMSiOxNy膜からなる単層の位相シフター膜を透明基板上に有する単層構造の位相シフトマスクを製造しようとした場合、位相シフター膜のエッチング完了後もエッチングが継続された場合には、基板がエッチングされてしまい、位相差は180°よりも大きくなるため、位相シフトによる解像度の向上が得られなくなる。
それを防ぐため、位相シフトマスクのエッチングプロセス時には、その終点を判別できなければならないわけだが、判別方法はいくつか考案されている。中でも最も一般的かつ有効な方法は、被エッチング部に特定波長(例えば680nm)の光を照射し、その反射光強度の経時変化を検出することで、終点を判別する方法である。
ところが、先述した所定のMSiOxNy膜は、金属の含有量を上記した範囲にした場合、合成石英基板と組成や屈折率が類似するため、被エッチング部のエッチングが進行しても反射強度の変化が十分に得られない可能性がある。このことは、位相シフター膜の深さ方向の加工精度に問題が生じる原因となりうる。
そのため本発明の位相シフトマスクおよびマスクブランクにおいては、先述した所定のMSiOxNy膜と合成石英基板との間にエッチングストッパー膜を設ける。この場合は、位相シフター膜は所定のMSiOxNy膜とエッチングストッパー膜の2層構造となり、所定の位相角および透過率は、この2層構造とした上で調整される。
ここで、エッチングストッパー層とは、所定のMSiOxNy膜のエッチングの進行を阻止する機能を有する材料からなる膜、もしくは位相シフター膜のエッチングの終点検出を容易にする機能、もしくはその両方の機能を有する材料からなる膜である。
前者の所定のMSiOxNy膜のエッチングの進行を阻止する機能を有する膜に関しては、所定のMSiOxNy膜のエッチングに対する選択比が低い材料、即ち所定のMSiOxNy膜のエッチングに使用するエッチング媒質に対するエッチング速度が所定のMSiOxNy膜よりも遅い材料であり、具体的には、所定のMSiOxNy膜のエッチングの進行を阻止する機能を有する膜は、所定のMSiOxNy膜に対するエッチング選択比が0.7以下、望ましくは0.5以下となる材料からなる膜であることが好ましい。
また、後者の位相シフター膜のエッチングの終点検出を容易にする機能を有するエッチングストッパー膜に関しては、その材料が、透明基板(例えば合成石英基板)とエッチングストッパーのエッチング終点検出光(例えば680nm)に対する反射率の差が、透明基板と所定のMSiOxNy膜との差よりも大きくなるような膜であり、好ましくは、所定のMSiOxNy膜及び透明基板よりも屈折率(複素屈折率実部)が高い材料であり、具体的には所定のMSiOxNy膜とエッチング終点検出光の波長における屈折率差が0.5以上、望ましくは1以上となる材料からなる膜が好ましく、透明基板との屈折率差が0.5以上、望ましくは1以上となる材料からなる膜が好ましい。
エッチングストッパー層としては、基板に対するエッチング選択比は、1.5以上、望ましくは2.0以上とすることが好ましい。すなわち、エッチングストッパー層が除去できなければ、光透過部における光透過率が減少し、パターン転写時のコントラストが劣化することはもちろん、除去できるとしても、基板よりもエッチングレートが大きくなければエッチングの終点付近で基板をもエッチングしてしまう可能性があり、加工精度が悪くなる。
以上の点を考慮した上で適する材料としては、マグネシウム、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、スズ、ランタン、タンタル、タングステン、シリコン、ハフニウムから選ばれる一種又は二種以上の材料あるいはこれらの化合物(酸化物、窒化物、酸窒化物)などが挙げられる。
エッチングストッパー膜の膜厚は5〜200オングストロームであることが好ましい。すなわち、5オングストロームより小さいとエッチングを完全に阻止できなかったり、有意な反射率変化が検出できなかったりするために、パターン加工精度が悪くなる可能性が生じる。一方、等方的なエッチングの進行によるパターンの拡大は、エッチングプロセスにもよるが、最大で膜厚の2倍程度まで進行する。従って、0.1μm=1000オングストローム以下のパターン線幅を加工する際に、膜厚が200オングストロームを超えるということは、40%以上もの寸法誤差を生じることになり、マスクの品質に深刻な悪影響を与える。
さらに、エッチングストッパー層は、透過率を調整する機能を有することが好ましい。エッチングストッパー層自体の露光波長(波長140〜200nm、又は157nm付近、又は193nm付近)に対する透過率は、3〜40%とすることにより位相シフター部における透過率を保持しつつ、位相シフター部の下部に形成されたエッチングストッパー層によって(異なる材料の積層によって)、露光波長よりも長い検査波長の透過率を低減することが可能となる。即ち、製造プロセスにおけるマスクの検査は、現行では露光波長よりも長波長の光を用い、その透過光強度を測定する方式をとっており、現行の検査波長200〜300nmの範囲で、光半透過部(位相シフタ一部)の光透過率が40%以下となることが望ましいとされる。すなわち40%以上だと、光透過部とのコントラストが取れず、検査精度が悪くなる。エッチングストッパー膜を遮光機能が高い材料とする場合、材料としては、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ランタン、タンタル、タングステン、シリコン、ハフニウムから選ばれる一種又は二種以上の材料からなる膜あるいはこれらの窒化物なとが挙げられる。またそのようなエッチングストッパー層の膜厚は、位相シフター部よりも十分薄い膜厚で導入することが望ましく、200オングストローム以下の膜厚が適当である。すなわち、200オングストロームを上回ると、露光波長での光透過率が3%を下回る可能性が高い。エッチングストッパー層が透過率を調整する機能を有する場合には、先述した所定のMSiOxNy膜とエッチングストッパー膜の2層で位相角及び透過率を調整することとなる。具体的には、エッチングストッパー自体の露光波長(波長140〜200nm、又は157nm付近、又は193nm付近)に対する透過率は、3〜40%とし、MSiOxNy膜と積層したときの透過率が3〜40%となるように調整することが好ましい。エッチングストッパー層を設ける場合、光透過部に相当する部分の表面に露出したエッチングストッパー層は除去可能である必要がある。これは、エッチングストッパー層が光透過部を覆ってしまうと、光透過部の透過率の減少が起こるからである。エッチングストッパー膜の除去方法は、エッチングストッパー膜が、所定のMSiOxNy膜のエッチングの進行を阻止する機能を有する材料からなる膜の場合は、所定のMSiOxNy膜のエッチング方法と異なる方法を用いる必要がある。また、エッチングストッパー膜が、位相シフター膜のエッチングの終点検出を容易にする機能を有する材料からなる膜の場合は、所定のMSiOxNy膜とエッチングストッパー膜のエッチング方法は、同じであっても構わないし、異なっていてもよい。所定のMSiOxNy膜のエッチングには、例えばCHF3やCF4、SF6、C26等のフッ素系ガス及びその混合ガスによるドライエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)にて行うことができる。一方エッチングストッパー膜を所定のMSiOxNy膜と異なる方法によりエッチング除去する場合は、所定のMSiOxNy膜の除去に用いたものと異なるフッ素系ガスを用いたドライエッチング、又は例えば(Cl2、Cl2+O2)等の塩素系ガスを用いたドライエッチング、あるいは酸やアルカリ等によるウエットエッチングを用いることができる。
所定のMSiOxy膜のエッチングと同じフッ素系のドライエッチングにて除去可能なエッチングストッパー膜としては、例えば、シリコン、MoSix、TaSix等が好ましい材料として挙げられる。このように、所定のMSiOxy膜と連続してエッチング可能なエッチングストッパー膜を設けた場合は、プロセス上のメリットが大きい。また、所定のMSiOxy膜のエッチングとは異なる方法でエッチング可能なエッチングストッパー膜としては、例えば、Cl2のドライエッチングでエッチング可能なTa又はTaを含む薄膜、例えばTaNx、TaZrx、TaCrx、TaHfx等や、Zr、Hf、また、Cl2+O2のドライエッチングでエッチング可能なCr等が好ましい材料として挙げられる。
尚、エッチングストッパー膜が、所定のMSiOxy膜のエッチングの進行を阻止する機能を有する材料からなる膜であり、かつ透過率の高い材料からなる場合は、先述した所定のMSiOxNy膜からなる単層構造のハーフトーン型位相シフトマスクの透明基板と光半透過膜の間にエッチングストッパー膜を設け、光透過部に露出したエッチングストッパーを除去しない構造とすることもできる。
尚、本発明における透明基板としては、合成石英基板等を用いることができ、特にF2エキシマレーザを露光光として用いる場合は、Fドープ合成石英基板、フッ化カルシウム基板等を用いることができる。
[実施例]
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
本実施例では、本発明におけるハーフトーン位相シフトマスクのうち、ArFエキシマレーザ露光に対応したマスクの作製方法を示す。
合成石英基板上に、Ta−Hf合金ターゲット(Ta:Hf=9:1(原子比))を用い、Arをスパッタガスとして、Ta−Hf膜(下層)を35オングストローム厚で成膜する。次に、MoSiターゲット(Mo:Si=8:92(原子比))を用い、Ar、O2、N2をスパッタガスとして、波長193nmにおける屈折率n=2.04、消衰係数k=0.29となるようにガス流量を調節して、MoSiON膜(上層)を900オングストローム厚で成膜する。このときのMoSiON膜(上層)の膜組成は、ESCAの分析によると、Mo:4.6原子%、Si:29.9原子%、O:39.5%、N:26.0%であった。
上記成膜方法により形成された位相シフター膜の透過・反射スペクトルを図1に示す。ArFエキシマレーザの波長193nmにおける光透過率は15.2%であった。また、検査波長(257nm)における透過率は、27%であった。 上記サンプルを、過水硫酸(H2SO4+H22)、及びアンモニア加水(NH3aq+H22)にそれぞれ1時間浸漬したところ、分光光度計による透過率の変化が見られなかったことから、作製したサンプルの耐薬品性が十分高いことが確認された。
次に、図2(1)に示すように、合成石英基板からなる透明基板2上に、Ta−Hfからなる下層3及びMoSiONからなる上層4で構成される上記で得られた位相シフター膜5の上にクロムを主成分とする遮光帯膜9、電子線描画レジスト10を順に積層する(図2(2))。そしてレジスト10上に電子線によるパターン描画をおこなった後、現像液浸漬およびベークをおこなうことで、レジストパターン10’を形成する(図2(3))。続いて、そのレジストパターン10’をマスクとし、Cl2+O2ガス等でのドライエッチングにより、遮光帯膜9のパターン形成をおこなう(図2(4))。さらに、ガスを変えて、遮光帯膜をマスクとして位相シフター膜のパターン形成をおこなう(図2(4))。本実施例では上層4のエッチングをCF4+O2にておこない、続いて下層3のエッチングをCl2ガスにておこなった。エッチングの終点検出は反射光学式で行い、各層の終点は、反射光強度プロファイルの変曲点で判別した。パターニングされた位相シフター膜について断面形状を観察したところ、垂直な断面が観察された。
次に、形成されたパターン上のレジストを剥離し、再度全面にレジストを塗布した後、描画・現像プロセスを経て、マスクパターン周縁に遮光帯パターン9a及びハーフトーン位相シフター部5の光透過部7との境界近傍を除く所望の領域に遮光層9aが形成されるようにレジストパターン(図示せず)を形成する(図3参照)。そしてウエットエッチングあるいはドライエッチングにより前記遮光帯パターン9b及び遮光層9a以外のCrを除去し、ハーフトーン型位相シフトマスクを得る(図3参照)。該マスクの光透過部とハーフトーン位相シフター部の位相差を、位相差計を用いて測定したところ、露光波長において180°であった。
尚、上記実施例においては、ArFエキシマレーザ用の高透過率ハーフトーン型位相シフトマスクブランク及びマスクを製造したが、F2エキシマレーザ用のハーフトーン型位相シフトマスクブランク及びマスクについても製造することができる。
[発明の効果]
本発明によれば、露光波長の短波長化(140nm〜200nmの露光波長領域)や露光光の透過率の高透過率化(透過率8〜30%)に対応し、高い加工精度を有するハーフトーン型位相シフトマスク及びその素材となるハーフトーン型位相シフトマスクブランクの提供を提供することができる。
実施例1で作成したハーフトーン型位相シフトマスクブランクの透過・反射スペクトルを示す図である。 本発明の実施例に係るハーフトーン型位相シフトマスクブランク及びハーフトーン型位相シフトマスクの製造工程図である。 ハーフトーン型位相シフトマスクの一形態を示す模式的断面図である。
1 ハーフトーン型位相シフトマスクブランク
1’ ハーフトーン型位相シフトマスク
2 透明基板
3 下層
4 上層
5 ハーフトーン位相シフター膜(ハーフトーン位相シフター部)
7 光透過部
9a 遮光層
9b 遮光帯

Claims (6)

  1. 透明基板上に、露光光を透過させる光透過部と、露光光の一部を透過させると同時に透過した光の位相を所定量シフトさせる位相シフター部とからなるマスクパターンを有するハーフトーン型位相シフトマスであって、
    前記位相シフトマスクは、140nmから200nmの露光光波長範囲で使用されるものであり、
    前記位相シフター部は、金属(M)原子%以下含有する、金属、珪素、酸素、及び窒素を主構成要素とするMSiO 膜と、前記膜と透明基板との間に形成されたエッチングストッパー膜とからなり、
    前記位相シフター部は、前記露光光波長における透過率が3〜40%であり、
    前記MSiO 膜は、フッ化物ガスおよびその混合ガスによってドライエッチングされる膜であり、
    前記エッチングストッパー膜は、前記MSiO 膜の前記ドライエッチングとは異なる方法でエッチングされる材料からなり、
    前記エッチングストッパー膜は、前記MSiO 膜及び前記透明基板との屈折率差であって、露光光よりも長い波長であるエッチング終点検出光の波長における屈折率差が0.5以上であることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスク。
  2. 前記位相シフター部は、前記露光光波長における透過率が8〜30%であることを特徴とする請求項1記載のハーフトーン型位相シフトマスク。
  3. 前記エッチングストッパー膜の膜厚は、5〜200オングストロームであることを特徴とする請求項1又は2記載のハーフトーン型位相シフトマスク。
  4. 前記エッチングストッパー膜は、TaN 、TaZr 、TaCr 、TaHf 又はHfからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のハーフトーン型位相シフトマスク。
  5. 前記エッチングストッパー膜は、前記MSiO 膜及び前記透明基板との屈折率差であって、露光光よりも長い波長であるエッチング終点検出光の波長における屈折率差が以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のハーフトーン型位相シフトマスク。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のハーフトーン型位相シフトマスクを製造するために用いるハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
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