JP5176619B2 - インモールド用転写箔、及びそれを用いた成形品 - Google Patents
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Description
従って、セキュリティ性の向上のために、耐光性のある蛍光潜像を有する転写箔を用いて、立体の射出成形品であっても、立体面へよく追従しても割れや白化などの少ないインモールド用転写箔、及びそれを用いた成形品が求められている。
また、加飾転写層(本発明の蛍光層を含む)を伸縮性材料に転写した後に、少なくとも表面の一部に凹凸又は曲面を有する成形品本体の表面の一部分に加熱加圧により転写した表面装飾成形品が知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、加飾転写層を直接成形品へ転写はできないという欠点があり、いずれにも、蛍光層についての記載も示唆もない。
また、蛍光染料又は蛍光増白剤を形成又は転写したカードが知られている(例えば、特許文献3〜4参照。)。しかしながら、従来の蛍光染料又は蛍光増白剤では耐熱性、耐光性や耐候性などの耐久性に欠けるという欠点がある。
さらに、多種の物品に、転写箔やラベルによって形成することができる識別マークとしては、光学活性希土類錯体を含有する蛍光発光層を有する識別マークであって、該希土類錯体がジアステレオ選択性を有する配位子を持つ。前記光学活性希土類錯体を含有する蛍光発光層が、特定波長領域で円偏光性の蛍光を放出するため、左右円偏光の強度の差、またはg値を測定することによって真偽判定をおこなうことができる識別マークが知られている(例えば、特許文献5参照。)。しかしながら、仮支持体フィルム上に、光学活性希土類錯体を含有する蛍光発光層(識別マーク)、及び接着剤層をこの順に積層したことを特徴とする転写箔であって、媒体の表面へ転写されて最表面となり、多数回の繰り返し使用されると、耐擦傷性や耐溶剤性などに欠けて、耐久性に欠けるという欠点がある。
請求項2の発明に係わる成形品は、請求項1に記載のインモールド用転写箔を用いて、インモールド射出成形法で成形された立体成形品に、前記蛍光層及び前記接着層が転写されてなることを特徴とする立体成形品である。
請求項2の本発明によれば、セキュリティ性に優れた蛍光潜像を、立体面へでも割れや白化などの少なく転写された成形品が提供される。
図1は、本発明の1実施例を示すインモールド用転写箔の断面図である。
図2は、本発明のインモールド用転写箔を用いて、転写した成形品の断面図である。
本発明のインモールド用転写箔10は、インモールド射出成形法で、立体成形品への蛍光層の転写に好ましく使用でき、蛍光層を転写した成形品100を図2に示す。なお、図2は作図の都合上、成形品は平面に描いているが、立体状である。成形品100は、離型層13、及び蛍光層15を特定の材料を用いたインモールド用転写箔10とし、インモールド射出成形法で立体面へ、蛍光層15の熱で白化しない耐熱性、及び伸縮へ追従性がよく、割れや白化などが極めて少ない意匠性に優れた蛍光層15が転写された蛍光潜像付きとすることができる。成形品100の蛍光層を15は、ハードコート層及び蛍光層の2つの効果を奏することができ、しかも、立体面へ転写された成形品である。
(1)蛍光層15の主成分をハードコート性の電離放射線硬化樹脂、シリコーン、及びフィラーを含むことで、(1)電離放射線硬化後の23℃における破断伸度が5%以上で、(2)基材、離型層、蛍光層、及び接着層を設けたインモールド用転写箔状態で、150℃雰囲気中に1時間放置しても白化しない耐熱性を有する。
このようにすることで、熱白化しない耐熱性と、立体面へ追従し割れにくい柔軟性が得られ、インモールド射出成形法でも、立体成形品の表面へ転写さることができる。
(2)従来の蛍光発光剤は結晶粒子が大きく蛍光層15への配合ができなかったが、分子量1500程度の希土類錯体を用いることで、容易に均一に分散することができる。
(3)蛍光層15へ耐熱性や耐光性に優れる蛍光発光性の希土類錯体を含ませることで、従来の蛍光発光性剤と比較して、格段に優れた耐熱性や耐光性を有する蛍光発光性が得られる。
(4)また、蛍光発光性の希土類錯体の吸収波長領域が電離放射線硬化樹脂の吸収波長領域と異なっているようにすることで、蛍光層15の電離放射線硬化性樹脂の硬化を、蛍光発光剤が阻害しないので、充分に硬化させることができる。
(5)しかも、蛍光層15は電離放射線硬化性樹脂の硬化物を主成分とするので、ハードコート性も有しているので、耐擦傷性や耐溶剤性などの耐久性が付与され、保護効果も兼用させることができる。
(6)従って、従来は蛍光層と、それを保護するハードコート層などの保護層の2層であったものを、蛍光層15へ蛍光発光性の希土類錯体を含ませることができて、ハードコート性を有する蛍光層15の1層とすることができる。
(1)蛍光層15は伸縮が大きな立体的な成形品へ転写しても、伸縮へ追従性がよく、割れや白化などの低下が少ない意匠性に優れた蛍光層を立体面へ転写することのできる。
電離放射線硬化後の23℃における破断伸度を5%以上、好ましくは7%以上とすることができる。5%未満では伸縮時にヒビ割れたり白化したりする。7%以上であると、伸縮率が高くても伸縮時にヒビ割れたり白化したりしない。
また、転写後の蛍光層15は最表面層となり、極めて過酷な環境での使用、長期間にわたる使用、及び/又は多数回の繰り返し使用などでも、溶剤、機械的な摩擦、及び摩耗から蛍光潜像を保護し、傷付きにくく耐久性に優れる。
さらに、(3)蛍光層15はメラミン系樹脂を用いた離型層13と界面を接しているので、安定した剥離性を有し、転写時には箔切れがよく、バリなどの発生も極めて少なくすることができる。
該射出成形品の形状としては、特に限定されず、少なくとも1部分に立体部があれば、適用できる。立体部とは二次面、三次面でもよく、波状、曲面状、多面体状、円又は角錐状、球状などがあり、これらの1、又は複数の組合わせ、若しくはランダム形状でもよい。射出成形による成形品は、日用品や生活用品などの機器本体、食品や各種物品の容器類、携帯電話などの電子機器や事務用品などの筐体類などに使用できる。
該離型層13面へ、下記の蛍光層組成物をグラビアリバースコーターで乾燥後の厚さが2μmになるように、塗工し100℃で乾燥し、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して硬化させて、蛍光層15を形成した。
・<電離放射線硬化性樹脂組成物の作製手順>
まず、「電離放射線硬化性樹脂組成物M」は以下の手順で、生成した。撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を取り付けた反応器に、酢酸エチル206.1g及びイソホロンジイソシアネートの三量体(HULS社製品、VESTANAT T1890、融点110℃)133.5gを仕込み、80℃に昇温して溶解させた。溶液中に空気を吹き込んだのち、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.38g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学工業社製品、ビスコート300)249.3g及びジブチル錫ジラウレート0.38gを仕込んだ。80℃で5時間反応させたのち酢酸エチル688.9gを添加して冷却した。
該「電離放射線硬化性樹脂組成物M」と、造膜性樹脂(アクリル系オリゴマー)、反応性シリコーン、ポリエチレンワックス、光重合開始剤、及び溶媒を下記の組成で配合して蛍光層組成物を調製した。
・<蛍光層組成物>
「電離放射線硬化性樹脂組成物M」 25質量部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光6630B)5質量部
反応性シリコーン(信越化学社製、商品名X−22−2445) 0.15質量部
ルミシスR−600(セントラルテクノ社製、赤発光性の希土類錯体商品名)
0.3質量部
ポリエチレンワックス(平均粒径5μm) 0.6質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア184) 0.9質量部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70質量部
次に、該蛍光層15面へ、接着層組成物としてTM−A1HS(大日精化社製、商品名)をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が1μmになるように、塗工し100℃で乾燥させて、接着層19を形成して、基材11/剥離層13/蛍光層15/接着層19の層構成からなる実施例1のインモールド用転写箔10を得た。
・<蛍光層組成物>
ユピマーUV・V3031(三菱化学社製、紫外線硬化性樹脂商品名) 25質量部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光7510B)5質量部
反応性シリコーン(信越化学社製、商品名X−22−1602) 0.2質量部
ルミシスG−900(セントラルテクノ社製、緑発光性の希土類錯体商品名)
0.3質量部
マイクロシリカ 1質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア907) 1.75質量部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70質量部
・<蛍光層組成物>
MHX405ニス(ザ・インクテック(株)製、電離放射線硬化性樹脂商品名)
25質量部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光6630B)5質量部
反応性シリコーン(信越化学社製、商品名X−22−2445) 0.15質量部
ルミシスYB−1200(セントラルテクノ社製、青発光性の希土類錯体商品名)
0.3質量部
ポリエチレンワックス(平均粒径5μm) 0.6質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア184) 0.9質量部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70質量部
<射出成形>実施例1〜3のインモールド用転写箔10を射出成形装置の自動箔送り装置に、接着層面が成形樹脂側になるように挿入(インサート)し、射出樹脂101としてスミペックスSTH−55(住友化学社製、アクリル樹脂商品名)を、溶融温度250℃、金型温度80℃の通常条件で射出成形を行った。冷却後、金型を解放し、基材11を剥離して取り出して、実施例4〜6のインモールド用転写箔を用いた成形品100を得た。
なお、該射出成形は成形サイクル12秒で連続的に成形した。得られた成形品は3次元形状(周囲に5mmの縁取りがあり、中央部が球面状に盛り上った直径150mmのCDプレイヤーの部材)とした。
インモールド用転写箔10の耐熱性としては、実施例1が170℃、実施例2も170℃、実施例3が150℃であった。
実施例4〜6のいずれの成形品も球面部及び縁取り部分にもインモールド用転写箔10は追随し、アクリル樹脂表面に転写され、該蛍光層は、射出成形の熱でも白化せず、球面部への追従性もよく、割れや白化などもなく正常に転写できた。
11:基材
12:ハードコート層
13:離型層
15:蛍光層
16:印刷層
19:接着層
100:成形品
101:射出樹脂
Claims (2)
- 基材と、該基材の一方の面へ離型層、蛍光層及び接着層が設けてなるインモールド用転写箔において、
前記離型層がメラミン系樹脂であり、
前記蛍光層がハードコート性の電離放射線硬化樹脂、蛍光発光性の希土類錯体、シリコーン及びフィラーを含み、
前記蛍光発光性の希土類錯体が光学活性希土類錯体であり、
前記シリコーンが反応性シリコーンであり、
前記フィラーが球状ビーズのポリエチレンワックスであり、
前記電離放射線硬化樹脂が(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂の硬化物であり、
前記蛍光層の質量基準の配合比が電離放射線硬化性樹脂:希土類錯体:シリコーン:フィラー=100:0.01〜10:0.1〜10:0.01〜10であり、
かつ、前記電離放射線硬化性樹脂を該電離放射線硬化性樹脂の吸収波長領域が前記希土類錯体の吸収波長領域と異なる波長250nm以下の紫外領域の照射で硬化させることを特徴とするインモールド用転写箔。 - 請求項1に記載のインモールド用転写箔を用いて、インモールド射出成形法で成形された立体成形品に、前記蛍光層及び前記接着層が転写されてなることを特徴とする立体成形品。
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