JP5176061B2 - ストーマ装具用消臭剤組成物及びストーマ装具 - Google Patents

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Description

本発明は、人体からの排泄物、排泄液、ガス、滲出液、分泌液等(本発明では、これらを総称して「排泄物等」という。)を処理するために使用される、即効性のあるストーマ装具用の消臭剤組成物及びこの消臭剤組成物を収納してなるストーマ装具に関する。
消化器系又は泌尿器系器官の疾患がある場合や、便や尿の排泄を自らの意志により制御できない場合に、外科的手術を行い消化管や尿路を体表まで導き体表面にストーマを造設した人は、ストーマからの排泄物等を一時的に貯留できるストーマ装具をストーマの周囲に装着する。
通常、これらのストーマ装具は、排泄物等を収集する袋と袋を体表面に固定する面板とから構成され、袋は、防臭性の材料(例えばポリ塩化ビニリデン等)で外界に対し密封状態に形成される。従って、たとえ排泄物等が袋内に収容されているような状態にあっても臭気が漏れることはない。しかしながら、袋を再利用又は廃棄するために袋から排泄物等を取り出す際には、排泄物等から強い臭気が発生するので、このような排出操作に不快感をもつ装着者は少なくない。
また、おむつ、尿パッド、生理用ナプキン、医療用吸収パッド等の排泄物等処理用品においても、これら用品を装着している間は、排泄物等の臭いが漏れることはさほどないが、用品を適用部位から取り外した途端に臭気が拡散するという問題があった。
こうしたことから、排泄物等の臭気を除去するために、様々な消臭剤や消臭方法が提案されている。
特許文献1には、亜炭及びゼオライトを主成分とし、これにポリアクリルアミド系高分子化合物又はシリカゲルを添加して、これらを粉末形成してなる排泄物脱臭吸水剤が開示されている。
特許文献2には、有機化合物と粘土との混合物を真空中で加熱して炭化させて得られる多孔質の炭化物と多孔質のセラミックスとの複合物であるストーマ用消臭剤が開示されている。
これらの消臭剤は、悪臭成分との十分な接触時間がある場合には良好な消臭効果を発揮する。
ところが、ストーマ装具の状態や排泄物等の貯留の状況等によっては、装具の交換や排泄物等廃棄の間隔が短時間となる場合もある。
このような場合に従来のストーマ用消臭剤を使用しても、これらの消臭剤は即効性に劣っているので、ストーマ装具交換時には臭気が未だ残っており、上記臭気の問題を解決することができない。
従って、消臭の即効性に優れたストーマ装具用消臭剤が求められている。
また、排泄物等の処理に時間を要すると、臭気等による不快感を受けやすくなるので、排泄物等の短時間での処理を可能にするストーマ装具用消臭剤が求められている。
特開2001−276106号公報 特開2004−230051号公報
従って、本発明の目的は、ストーマ装具中の排泄物等の臭いに対して即効性があり、また、排泄物等の短時間での処理が可能になるストーマ装具用消臭剤組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、排泄物等を収容するための袋を備えたストーマ装具であって、袋内に上記のストーマ装具用消臭剤組成物を収納してなるストーマ装具を提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成すべく、消臭剤組成物の構成成分やその形状等について鋭意研究を重ねた結果、特定の消臭成分を用い、更にその形状を特定のものとすれば、ストーマ装具中の排泄物等の臭いに対して即効性があり、また、排泄物等の短時間での処理が可能になることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、ポリフェノールを含有することを特徴とするストーマ装具用消臭剤組成物が提供される。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物は、精油及び/又は親水性高分子化合物を含有することが好ましい。
また、本発明のストーマ装具用消臭剤組成物において、ポリフェノール、精油及び親水性高分子化合物の含有量が、それぞれ、消臭剤組成物全重量の0.5〜70重量%、0.1〜50重量%及び0.5〜70重量%であることが好ましい。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物は、0.05以上のDPPH単位を有することが好ましい。
上記本発明のストーマ装具用消臭剤組成物において、生理食塩水への溶解度が30%以上であることが好ましい。
また、本発明のストーマ装具用消臭剤組成物は、生理食塩水への溶解後の粘度が700mPa・s以下であることが好ましい。
また、本発明のストーマ装具用消臭剤組成物は、生理食塩水への溶解後の拡散面積が7.0cm以上であることが好ましい。
記本発明のストーマ装具用消臭剤組成物において、精油が親水性高分子化合物によりマイクロカプセル化されているものであることが好ましい
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物は、粉体状であることができる。
上記粉体状の本発明のストーマ装具用消臭剤組成物は、フィルムへの付着率が10〜80%であることが好ましい。
上記粉体状の本発明のストーマ装具用消臭剤組成物において、粒径15〜1,000μmの粉体の含有量が80頻度%以上であることが好ましく、粒径15〜500μmの粉体の含有量が70頻度%以上であることがより好ましい
発明によれば、ポリフェノール、精油及び親水性高分子化合物の含有量が、それぞれ、消臭剤組成物全重量の1〜50重量%、0.1〜30重量%及び5〜60重量%であり、フィルムへの付着率が10〜80%であり、且つ、粒径15〜1,000μmの粉体の含有量が80頻度%以上であるか、粒径15〜500μmの粉体の含有量が70頻度%以上である、粉体状のストーマ装具用消臭剤組成物が提供される。
更に、本発明によれば、上記本発明のストーマ装具用消臭剤組成物を収納してなる、排泄物等を収容するための袋を備えたストーマ装具が提供される。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物を使用することにより、排泄物等の悪臭を短時間で消臭することができ、ストーマ装具の交換頻度が高くても、排泄物等廃棄時の臭気の問題を生じることがない。
また、本発明のストーマ装具用消臭剤組成物を使用することにより、ストーマ装具からの排泄物等の取り出しが短時間で済むので、排泄物等の悪臭成分の拡散が低減され、排泄物等排出操作に伴う不快感も軽減される。
更に、本発明のストーマ装具用消臭剤組成物は、上記ストーマ装具用に限らず、おむつ、尿パッド、生理用ナプキン、医療用吸収パッド等の比較的長時間に亘って人体に装着されるその他の排泄物等処理用品用としても有効に使用することができる。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物(以下、単に「消臭剤組成物」ということがある。)は、ポリフェノールを含有することを特徴とする。
発明で使用されるポリフェノールとは、同一ベンゼン環にヒドロキシ基の数を2個以上有する多価の芳香族ヒドロキシ化合物及びその誘導体の総称である。
ポリフェノールの具体例としては、カテコール、4−メチルカテコール、5−メチルカテコール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾシノール、ハイドロキノン等のジフェノール類;4,4’−ビフェニルジオール、3,4’−ビフェニルジオール等のビフェニルジオール類;カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート等のカテキン類;ドーパ、ドーパミン、クロロゲン酸、コーヒー酸、パラクマル酸、チロシン等のカテコール誘導体を挙げることができる。
中でも、植物から抽出等した植物由来のポリフェノール(以下、「植物ポリフェノール」という。)が好ましい。植物ポリフェノールは、その化学的作用によって即効性のある消臭効果を発揮し、更にその抗菌作用によっても消臭効果が持続する。
植物ポリフェノールとしては、例えば、コーヒー、リンゴ、ぶどう、茶類(緑茶、焙じ茶、紅茶、ウーロン茶、マテ茶等)、柿、大豆、カカオ、ローズマリー、アロエ等の由来のものが挙げられ、中でも、コーヒー、リンゴ、ぶどう、茶類(緑茶、焙じ茶、紅茶、ウーロン茶、マテ茶等)の抽出物が好ましい。
本発明において、ポリフェノールは、消臭剤組成物中に0.5重量%以上含有されていることが好ましく、0.5〜70重量%の範囲で含有されていることがより好ましく、1〜50重量%含有されていることが特に好ましい。0.5重量%より少ないと、十分な消臭効果が発揮されない可能性がある。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物は、DPPH(1,1-ジフェニル−2-ピクリルヒドラジル)ラジカル消去能試験において、0.05以上のDPPH単位を有するものであることが好ましく、0.1以上のDPPH単位を有するものであることが、より好ましい。DPPH単位は、抗酸化能の指標であり、DPPH単位がこの範囲にあるとき、高い消臭効果を得ることができる。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物は、ポリフェノールを含有し、0.05以上のDPPH単位を有するものであることがより好ましい。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物は、生理食塩水への溶解度が30%以上であることが好ましい。
生理食塩水への溶解度が30%以上であることにより、排泄物等に接触した消臭剤組成物が速やかに溶解し拡散するので、消臭効果が速やかに発揮される。生理食塩水への溶解度は、45%以上であることが好ましい。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物は、これを生理食塩水中に溶解して得られる濃度0.2g/mlの生理食塩水溶液の粘度が、700mPa・s以下であることが好ましく、300mPa・s以下であることが更に好ましい。下限は3mPa・s程度である。この粘度が700mPa・sより高いと、排泄物等の水分を吸収した後に消臭剤組成物の流動性がなくなるため、排泄物等を包み込むように広がっていくことができず、消臭機能が低下し、また、べたつきを生じて排泄物等の排出時に滑り性がなくなり、更に排泄物等の取出し時間が長くなることにより不快感が増大する恐れがある。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物の生理食塩水溶液の粘度は、親水性高分子化合物等の添加成分の種類や量で調整することができる。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物は、上記濃度0.2g/mlの生理食塩水溶液の2ミリリットルの拡散面積が7.0cm以上の範囲のものが好ましく、10.0cm以上の範囲のものが更に好ましい。拡散面積が7.0cm以上であると、排泄物等の水分を吸収した後に消臭剤組成物が拡散し、排泄物等を包み込むように広がっていく。その結果、消臭機能が向上し、排泄物等のべたつきを減じて排泄物等の排出時に滑り性がよくなり、排泄物等の取出し時間が短くなることにより不快感を軽減することができる。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物は、消臭成分として、ポリフェノールに加えて、精油及び/又は親水性高分子化合物を含有することが好ましい。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物が精油を含有するとき、精油の香気によって悪臭成分がマスキングされるので、より一層、消臭効果が高められる。また、精油の中には、抗菌作用を有するものも多く、その抗菌作用によっても消臭効果が得られる。更に、精油は、排泄物等とストーマ装具の袋内表面との間で潤滑作用を発揮し、排泄物等の袋内表面からの除去を容易にするので、排泄物等排出操作に伴う不快感を軽減することができる。
精油としては、例えば、ペパーミント油、ミント油、スペアミント油、ハッカ油、ラベンダー油、グレープフルーツ油、オレンジ油、ティーツリー油、ローズマリー油、レモン油、ゆず油、ライム油、レモングラス油、タイム油、ベルガモット油、ネロリ油、ユーカリ油、チョウジ油、ケイヒ油、カミツレ油、ヒノキ油等を使用することができる。
これらの油は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
また、消臭剤組成物中の精油の含有量は、消臭剤組成物の全重量に対して、0.1〜50%であることが好ましく、0.1〜30%であることが更に好ましい。精油の含有量が0.1%より少ないと、上記機能が十分に発揮されない可能性がある。他方、50%よりも多いと、臭気が過剰となり、不快感を与える可能性がある。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物において、潤滑作用を高めるために、精油に代えて又は精油とともに、植物油、鉱油、動物油、合成油等の精油以外の油を使用してもよい。
植物油の例としては、オリーブ油、オリーブスクワラン、マカデミアナッツ油、ホホバ油、ひまし油、やし油、パーム油、サフラワー油、ひまわり油、硬化やし油、硬化パーム油等を挙げることができる。
鉱油の例としては、流動パラフィン、流動イソパラフィン、ナフテン油等を挙げることができる。
動物油の例としては、ラノリン、タートル油、ミツロウ、スクワレン、プリスタン等を挙げることができる。
合成油としては、例えば、グリセリントリ−2−エチルヘキサノエート等の脂肪酸トリグリセライド;ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジメチルシロキサン、アミノシリコン等のシリコーンオイル;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル等のエステル類;等を挙げることができる。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物が親水性高分子化合物を含有するとき、親水性高分子化合物が排泄物等中の水分を吸収保持するので、排泄物等を被覆して排泄物等中の悪臭成分が蒸散するのを防ぎ、また、悪臭成分を吸着するので消臭効果を持続させることができる。
親水性高分子化合物としては、天然、半合成又は合成の親水性高分子化合物を使用できる。
天然親水性高分子化合物の具体例としては、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、デンプン(例えば、コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)等の植物系高分子;キサンタンガム、デキストリン、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子;コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子;等が挙げられる。
半合成親水性高分子化合物の具体例としては、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
合成親水性高分子化合物の具体例としては、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;等が挙げられる。
親水性高分子化合物は、水溶性のものでも非水溶性のものでもよい。
非水溶性の親水性高分子化合物としては、水溶性親水性高分子化合物を架橋等によって非水溶性化したものが使用できる。その具体例としては、架橋カルボキシメチルセルロース、デンプン−アクリルニトリルグラフト共重合体、スターチグリコール酸ナトリウム、架橋デキストラン、架橋ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
親水性高分子化合物の含有量は、0.5〜70重量%であることが好ましく、5〜60重量%であることが更に好ましい。親水性高分子化合物の含有量が0.5重量%より少ないと、消臭効果が十分に発揮されない可能性がある。他方、70重量%よりも多いと、水分を吸収した親水性高分子化合物がべたつきを生じ、排泄物等の取り出しが困難になる場合がある。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物において、上記精油及び親水性高分子化合物を併用することが好ましい。精油及び親水性高分子化合物を併用する場合には、精油及び親水性高分子化合物の量は、それぞれ、消臭剤組成物全重量の0.1〜50重量%及び0.5〜70重量%であることが好ましく、それぞれ、0.1〜30重量%及び5〜60重量%であることが更に好ましい。精油及び親水性高分子化合物のバランスにより、消臭の持続性が発揮され、更に排泄物等に滑り性が付与されるため排出操作が簡便となる。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物において、上記精油及び親水性高分子化合物を併用するに当っては、親水性高分子化合物を、精油の固体化のために使用することが好ましく、特に、親水性高分子化合物により精油をマイクロカプセル化することが好ましい。
精油をマイクロカプセル化することにより、排出される排泄物等の量の程度に応じて親水性高分子が溶解し、精油を徐々に放出させることができるので、消臭能力を効率的かつ持続的に発揮させることが可能となる。
また、排泄物等をストーマ装具のパウチから排出する際には、マイクロカプセルとパウチ表面との摩擦でマイクロカプセルが破壊され、精油の芳香が発散されるので、排出作業時にも優れた消臭効果を発揮する。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物において、ポリフェノール、精油及び親水性高分子化合物の含有量が、それぞれ、消臭剤組成物全重量の1〜50重量%、0.1〜30%及び5〜60重量%であり、DPPH単位が0.05以上であることが好ましい。
また、本発明のストーマ装具用消臭剤組成物において、ポリフェノール、精油、及び親水性高分子化合物の含有量が、それぞれ、消臭剤組成物全重量の1〜50重量%、0.1〜30%及び5〜60重量%であり、DPPH単位が0.05以上であり、生理食塩水への溶解後の粘度が700mPa・s以下であることが好ましい。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物は、上記ポリフェノール、精油及び親水性高分子化合物以外の成分を含有してもよい。
これらの任意成分としては、界面活性剤、粉体、pH調整剤、着色剤、ポリフェノール以外の消臭性化合物、等を示すことができる。
界面活性剤は、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤のいずれでもよい。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー等のエーテル型;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等のエーテルエステル型;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等のエステル型;脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の含窒素型;等を挙げることができる。
アニオン界面活性剤の具体例としては、脂肪酸石鹸、アルキルエーテルカルボン酸塩等のカルボン酸塩;アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル塩;アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩;等を挙げることができる。
カチオン界面活性剤の具体例としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩;等を挙げることができる。
両性界面活性剤の具体例としては、カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸塩、レシチン;等を挙げることができる。
これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。界面活性剤の使用量は、特に限定されないが、通常、消臭剤組成物全重量に対して0.01〜10重量%の範囲である。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物において、界面活性剤は、消臭機能を有すると共に、精油と同様に排泄物等とストーマ装具のパウチ内表面との間で潤滑作用を発揮し、排泄物等のストーマ装具からの除去を容易にするものと考えられる。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物に添加し得る粉体の具体例としては、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体パウダー等のアクリル系パウダー、ナイロンパウダー、フッ素コーティングパウダー、ウレタンパウダー、シリコーンパウダー、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ホウ素、シルクパウダー、セルロースパウダー、マイカ、セリサイト、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、シリカ、アルミナ、ベントナイト、スメクタイト等が挙げられる。
これらのうち、アクリル系パウダー、ナイロンパウダー、フッ素コーティングパウダー、ウレタンパウダー、シリコーンパウダー、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ホウ素等の非水溶性の粉体が排泄物等のべたつきを減じて、排泄物等の潤滑性が向上するため好ましい。
粉体の形状は、特に限定されず、球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状等のいずれであってもよい。
粉体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
粉体の使用量は、特に限定されないが、通常、消臭剤組成物全重量に対して5〜40重量%の範囲である。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物は、そのpHが4.0〜7.0の範囲内にあることが好ましく、4.5〜6.5の範囲内にあることが更に好ましい。
pHがこの範囲内にあると、消臭剤組成物が皮膚や粘膜に接触しても、これらに害を及ぼすことがない。
消臭剤組成物のpHを調整するには、pH調整剤を用いるのが好ましい。
pH調整剤としては、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、乳酸、アスコルビン酸等の有機酸やその塩又はアルカリ金属水酸化物等を使用することができる。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物は、ポリフェノール以外の消臭性化合物を含有していてもよい。
ポリフェノール以外の消臭性化合物は、特に限定されず、化学的消臭性化合物や生物学的消臭性化合物等が使用できる。
化学的消臭性化合物は、有機系消臭性化合物であっても無機系消臭性化合物であってもよい。
有機酸化合物としては、カルボン酸、スルホン酸等の有機酸及びこれらの塩を用いることができる。その具体例としては、酢酸、シュウ酸、クエン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、アクリル酸、乳酸、フタル酸、安息香酸、ニコチン酸等を挙げることができる。これらは、ベタイン化合物の形態であってもよい。
エステル化合物の具体例としては、有機酸のエステル化合物を用いることができる。その具体例としては、(メタ)アクリル酸エステル、マレイン酸エステル等を挙げることができる。
アルデヒド化合物の具体例としては、グリオキザール等を挙げることができる。
第4級アンモニウム塩の具体例としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩等を挙げることができる。
無機系消臭性化合物としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩;酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化銅、酸化鉄、酸化チタン、ミョウバン等の金属酸化物;二酸化塩素等が挙げられる。
生物学的消臭性化合物としては、酵素、微生物(細菌、酵母等)等の有機物分解作用を有するもの、及びエタノール、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、プロピルパラベン等の防腐・殺菌作用を有する化合物が使用できる。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物の形態は、粉体状、粒状、ブロック状、液状、シート状、袋状、霧状、泡状、クリーム状等の形態から適宜選択できるが、粉体状、液状、シート状又は袋状であることが好ましく、粉体状であることが特に好ましい。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物の形態が粉体状であるとき、消臭剤組成物とストーマ装具のパウチ内表面との接触面積を小さくすることができ、これによって摩擦が低減されるので、排泄物等の滑り性を向上させることができる。
粉体状の消臭剤組成物は、粒径15〜1,000μmの粉体を80頻度%以上含有することが好ましく、粒径15〜500μmの粉体を70頻度%以上含むことが更に好ましく、粒径15〜250μmの粉体を70頻度%以上含むことが特に好ましい。
粒径15〜1,000μmの粉体の頻度分布が80頻度%以上あるとき、消臭剤組成物をストーマ装具のパウチ内に投入し易く、また、投入された消臭剤組成物がパウチ内で拡散し、排泄物等の水分に対する溶解性が良好なものとなるので、即効性のある消臭効果を得ることができる。更に、この範囲の頻度分布により、消臭剤組成物とストーマ装具のパウチ内表面との接触面積を小さくすることができ、これによって摩擦が低減されるので、排泄物等の滑り性を向上させ、排泄物等排出操作に伴う不快感を軽減することができる。この粉体状の消臭剤組成物の平均粒径は、15〜1,000μmであることが好ましく、平均粒径15〜500μmであることが更に好ましい。
消臭剤組成物の粉体形状は、特に限定されないが、球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状等のいずれであってもよい。粉体表面に、窪みや突起などの凹凸を多数設けると、粉体の表面積が増大され、更に、水に対する溶解性が高まるので、消臭効果をより高めることができる。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物が粉体状であるとき、フィルムへの付着率が10〜80%であることが好ましい。フィルムへの付着率は、15〜80%であることが好ましく、20〜60%であることが更に好ましい。
フィルムへの付着率がこの範囲にあると、消臭剤組成物をストーマ装具のパウチ内に投入したときに、パウチフィルムに広範囲にわたって消臭剤組成物が付着するので、パウチ内に流入する排泄物等と消臭剤組成物との接触機会が増え、消臭の即効性を高めることができる。付着率が10%以下であると、排泄物等と消臭剤組成物との接触機会が十分でなく消臭効果が低下する恐れがある。また、パウチから排泄物等を取り出す際には、一般的にパウチの下部に設けられた排出口を開放して、そこから排泄物等を排出させるが、排出口を開放した瞬間に強い臭気が発生する。そのため、排出口が設けられたパウチ内の下部(底部)に適量の消臭剤組成物を存在させ、局所的に消臭効果を高めることが排出時の消臭においては有効であり、フィルムへの付着率を80%以下、好ましく60%以下にすることによって、パウチ内の下部(底部)に消臭に有効な量の消臭剤組成物を存在させることができる。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物において、ポリフェノール、精油及び親水性高分子化合物の含有量が、それぞれ、消臭剤組成物全重量の1〜50重量%、0.1〜30%及び5〜60重量%であり、粒径15〜1,000μmの粉体の含有量が80頻度%以上であることが好ましく、粒径15〜500μmの粉体の含有量が70頻度%以上であることが更に好ましい。
更に、本発明のストーマ装具用消臭剤組成物は、ポリフェノール、精油及び親水性高分子化合物の含有量が、それぞれ、消臭剤組成物全重量の1〜50重量%、0.1〜30%及び5〜60重量%であり、フィルムへの付着率が10〜80%であり、且つ、粒径15〜1,000μmの粉体の含有量が80頻度%以上であるか、粒径15〜500μmの粉体の含有量が70頻度%以上である、粉体状のストーマ装具用消臭剤組成物であることが特に好ましい。
粉体状消臭剤組成物の調製方法は、特に限定されず、蒸発濃縮、噴射乾燥、粉砕、押出造粒、撹拌混合造粒等の方法を用いることができ、消臭剤組成物の構成成分ごと、又は複数成分の混合物として粉体を製造することができる。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物は、溶液、乳濁液、分散液等の液状形態であってもよい。液状の消臭剤組成物は、水や油等などの溶媒に消臭剤組成物の各成分を溶解、乳濁又は懸濁させることによって調製することができる。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物は、シート状又は袋状の形態であってもよい。
シート状又は袋状の消臭剤組成物は、シート状又は袋状の支持体にポリフェノール等の消臭成分を付着するか又は練り込むことによって形成することができる。支持体は、親水性高分子化合物をインフレーション法、Tダイ法、カレンダー法、押し出し法、吹き込み法等のシート成形方法によって形成する方法、又は水解性の繊維から紙、不織布、編布、織布等を形成する方法によって得ることができる。
シート状又は袋状の消臭剤組成物において、シート又は袋が水解性であることが好ましい。ここで、水解性とは、水流又は多量の水と接触するとバラバラに崩壊する性質のことを指すが、水に溶けて均一溶液となる「水溶性」の性質も含む概念である。
消臭剤組成物を水解性のシート又は袋にすることで、排泄物等をシート又は袋全体で包み込み、1つの塊として取り扱うことができるので、排泄物等の取り出し作業が非常に簡便となり、しかも、取り出した排泄物等は消臭剤組成物ごと、そのままトイレに流すことができ、廃棄操作も容易である。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物は、ストーマ装具に適用するのに好適である。この消臭剤組成物は、使用の都度、必要量をストーマ装具のパウチ内に添加してもよく、また、予め複数回使用可能な量をパウチ内に添加しておいてもよい。消臭剤組成物は、パウチ内に挿入しやすい筒状の容器や袋に入れておくのが便利である。
また、本発明のストーマ装具用消臭剤組成物は、上記ストーマ装具用に限らず、おむつ、尿パッド、生理用ナプキン、医療用吸収パッド等の比較的長時間に亘って人体に装着されるその他の排泄物等処理用品用としても有効に使用することができる。
本発明のストーマ装具は、排泄物等を収容するための袋を備えたストーマ装具であって、パウチ内に本発明のストーマ装具用消臭剤組成物を収納してなる。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物を、ストーマ装具のパウチ内に収納しておくことにより、ストーマ装具を使用した後、排泄物等又はストーマ装具を廃棄処理等する際の不快臭を抑制することができる。
ストーマ装具のパウチ内に収納する消臭剤組成物は、使用の都度、必要量をパウチ内に添加してもよく、また、複数回使用可能な量の消臭剤組成物をパウチ内に収納しておいてもよい。収納する消臭剤組成物の量や形態は、装具を交換する頻度、排泄物等の性状等を目安に決めればよい。
本発明のストーマ装具用消臭剤組成物をストーマ装具のパウチ内に収納するには、単に消臭剤組成物をパウチ内に入れておくだけでもよいし、消臭剤組成物を接着、粘着、溶着等の固定手段によりパウチ内面に固定してもよい。
固定に際して、消臭剤組成物は、パウチ内面のほぼ全体を被覆するように固定してもよいが、少なくとも排泄物等導入孔の近傍(導入孔の周囲及び導入孔に対向する部分)、又は排泄物等排出口の近傍(排出口の周囲及び排出口の上部)を部分的に被覆するように固定することが好ましい。排泄物等導入孔や排泄物等排出口の近傍に消臭剤組成物を固定することにより、消臭剤組成物と排泄物等との接触の機会を増やし、消臭剤組成物が効果的に消費される。
消臭剤組成物の固定の方法は、特に限定されないが、消臭剤組成物を含む溶液、スラリー、エマルション又はディスパーション等を、ストーマ装具のパウチを構成するフィルムに塗工又は噴霧してパウチ内面に膜を形成する方法を例示することができる。
ストーマ装具の基本的な構成は、体表面のストーマの周囲に粘着固定する面板と、ストーマから排出される排泄物等を収容するパウチとから構成され、面板及びパウチには、排泄物等をパウチに受け入れるための孔が連通した状態で設けられる。ストーマ装具の種類としては、面板とパウチとが着脱可能になっているツーピースタイプ(二品型装具)のもの及び面板とパウチとが一体になっているワンピースタイプ(一品型装具)のもののどちらも利用できる。また、パウチは、パウチの下部に排泄物等の排出口を備えるドレインパウチ(下部開放型)であっても、そのような排出口を持たないクローズパウチ(下部閉鎖型)であってもよい。
ストーマ装具を構成する面板は、編布や不織布等の布帛、フィルム、発泡シート等からなる支持層の片面に、粘着層を設けた従来公知のものでよく、粘着層としては、水を吸着又は吸収する親水性物質を含有させた公知のハイドロコロイド粘着剤を使用することができる。
パウチの形状は、フィルムの外周縁をシールして形成される、略円形、楕円形等の従来からのものであってよい。パウチを構成するフィルム材料としては、ポリオレフィン、ポリオレフィン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエステル等の合成樹脂フィルムを挙げることができる。これらの材料は、単一で使用してもよく、二種類以上を混合して使用してもよい。フィルムは単層であっても、複数枚を積層させた複合フィルムであってもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本実施例中、部及び%は、特に言及がない限り、重量基準である。
また、消臭剤組成物の特性評価は、以下に示す方法に従って実施した。
[ポリフェノール含有量]
次の手順により総ポリフェノール量を求め、これを消臭剤組成物中のポリフェノール含有量とする。
(1)消臭剤組成物の濃度が2mg/ml水溶液となるように、消臭剤組成物水溶液を調整する。
(2)試験管にサンプル水溶液100μlを入れ、蒸留水7.5mlを加える。
(3)0.9Nフェノール試液300μlを加え、試験管ミキサーで撹拌する。
(4)20%炭酸ナトリウム水溶液を1mlを加え、更に蒸留水で10mlにメスアップし、試験管ミキサーで撹拌し、1時間静置する。
(5)分光光度計により765nmの波長における吸光度を測定する。
(6)クロロゲン酸水溶液から作成した検量線(0、0.1、0.2、0.5、1.0、2.0mg/mlの各濃度の765nmの吸光度を測定(各点3回以上)して作成)を用いて定量し、下式により、クロロゲン酸換算ポリフェノール量を算出する。
ポリフェノール含量(%)
=[{クロロゲン酸量(mg/ml)}/{2(mg/ml)}]×100
[粉体状消臭剤組成物の粉体の頻度分布]
レーザー回析/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、商品名「HOLIBA LA−910」)を使用して求める。また、本装置を使用し、粉体状消臭剤組成物の平均粒径(単位:μm)を求める。
[DPPHラジカル消去能]
ラジカル消去能の指標として、代表的な抗酸化物質であるα-トコフェロールの側鎖をはずした「Trolox」を用い、1μmolのTroloxに相当するDPPHラジカル消去能を「1DPPH単位」として表し、消臭剤組成物の抗酸化能をDPPH単位で評価する。値が高いほど、消臭性が良好となる。
(1)検量線の作成
(i)DPPH(CAS:1898−66−4)の1mMエタノール溶液を調整する。
(ii)Trolox(CAS:53188−07−1)64.5mgをエタノール溶液で100mlにメスアップする。
(iii)(ii)で調製した溶液を希釈して0.1、0.2、0.3、0.4(μmol/4ml)の溶液をそれぞれ調製し、各濃度のTrolox溶液を4mlずつ試験管にとる。コントロールとして、Trolox濃度0にあたるエタノール4mlも試験管にとる。
(iv)DPPH溶液1mlを各試験管に加え、試験管ミキサーで撹拌し、30分間静置する。
(v)分光光度計により520nmの波長の吸光度を測定し、Trolox濃度に対する吸光度の検量線を作成する。Troloxの量の数値は、そのまま「DPPH単位」として扱う。
(2)DPPHラジカル消去能の評価
(i)消臭剤組成物の濃度が0.5mg/ml溶液となるように、50%エタノール溶液で調整する。
(ii)試験管に(i)の溶液4mlにDPPH溶液1mlを加えたものを採取し、試験管ミキサーで撹拌し、30分間静置する。また、ブランクとして、(i)の溶液4mlにエタノール1mlを加えたものを試験管に採取する。
(iii)分光光度計により520nmの波長の吸光度を測定し、作成した検量線から消臭剤組成物のDPPH単位を算出する。
[生理食塩水への溶解度]
20℃、5mlの生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム水溶液)中に消臭剤組成物を加えて攪拌し、生理食塩水に溶解した消臭剤組成物量の割合を、下式により算出する。消臭剤組成物の溶解の判断は、消臭剤組成物を生理食塩水に徐々に加えていき、未溶解の消臭剤組成物残渣の有無を目視確認することにより行なう。
溶解度(%)=(溶解した消臭剤組成物量/生理食塩水5g)×100
[生理食塩水への溶解後の粘度]
消臭剤組成物の濃度を、生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム水溶液)で、0.2g/ml溶液となるように調整し、BH型粘度計を用いて、次の条件で測定した値を粘度とする。測定条件:ローターNo.2、回転数20rpm、回転時間1分、溶液温度20℃(なお、粘度が低く、ローターNo.2で測定できない場合は、ローターNo.1を使用する)。
[生理食塩水への溶解後の拡散面積]
消臭剤組成物の濃度を、生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム水溶液)で、0.2g/ml溶液となるように調整し、この溶液2mlを、プラスチックシャーレの表面5cm上から滴下する。シャーレ表面に広がった溶液の一定方向の最大長さと、その方向に直交する方向の最大長さとの積を求め、測定5回の平均値を拡散面積(cm)とする。
[フィルムへの付着率]
10cm×10cmの正方形にカットしたポリエチレンフィルム(タマポリ社製、品番M−001、厚さ60μm)の上に0.5gの消臭剤組成物を置き、約25cmに広げる(図1参照)。このフィルムの頂点の1つをピンセットで垂直に取り上げ、ピンセットの垂直状態の位置を基準に左右に約15°ずつ、合計10回軽く揺らし、余分な消臭剤組成物を落下させる(図2参照)。
その後、フィルムに付着した消臭剤組成物の重量を測定し、フィルムへの付着率を以下の式により算出し、測定5回の平均値をフィルムへの付着率(%)とする。これらの測定は、20℃、相対湿度20%の室内で行なう。
フィルムへの付着率(%)
={(フィルムに付着した消臭剤組成物の重量g)/0.5g}×100
[メチルメルカプタン消臭率]
フラスコに消臭剤組成物を約1.5g投入し、次いで、約50gの人便を投入し密閉する。フラスコを、被服内環境を想定した32℃恒温槽中に静置する。30分後に、ガス検知管によりメチルメルカプタン濃度を測定し、次式により消臭率(%)を算出する。
消臭率(%)
=100−(消臭剤組成物添加30分後のガス濃度/消臭剤組成物添加前のガス濃度)×100
[消臭性官能評価]
ストーマ装具のパウチに消臭剤組成物を約1.5g投入し、次いで、約50gの人便を投入する。ストーマ装具のパウチの排泄物排出口をクリップ(排出口留め具)で封止し、被服内環境を想定した32℃恒温槽中に静置する。3時間後に、人便をパウチから取り出した時に感じる臭気を、6段階臭気強度表示法及び9段階快・不快表示法に示す基準により、それぞれ、評価する。
この評価を3人の評価者が行い、その平均点数を求める。
6段階臭気強度表示法による評価では、平均点数が小さいほど、9段階快・不快表示法による評価では、平均点数が大きいほど、消臭性が優れている。
(臭気強度表示法による臭気評価)
点数:評価基準
0:無臭
1:やっと感知できるにおい(検知閾値濃度)
2:何のにおいであるかが分かる弱いにおい(認知閾値濃度)
3:らくに感知できるにおい(簡単に感知できるにおい)
4:強いにおい
5:強烈なにおい
(快・不快表示法による臭気評価)
点数:評価基準
−4:極端に不快
−3:非常に不快
−2:不快
−1:やや不快
0:快でも不快でもない
+1:やや快
+2:快
+3:非常に快
+4:極端に快
[排泄物等排出所要時間]
ストーマ装具のパウチに消臭剤組成物を約1.5g投入し、次いで、約50gの人便を投入する。パウチの排泄物排出口をクリップ(排出口留め具)で封止し、被服内環境を想定した32℃恒温槽中に静置する。3時間後に、クリップを取り外し、パウチの排出口を開放する。パウチから人便が自然落下するのに要する時間を測定する。
[pH]
JIS Z8802に準拠して、校正したpH計電極を洗浄後、消臭剤組成物のpHを3回測定して平均値を求める。
なお、消臭剤組成物が粉体又は固体である場合は、20%水溶液として、そのpHを測定する。
(実施例1)
ペパーミント油、アラビアガム、デキストリン及び水からなる混合物を熱風中に噴霧し、水分を蒸散させて粉体を得た。この粉体は、ペパーミント油がアラビアガムとデキストリンによりマイクロカプセル化されたものである。
この粉体に、コーヒー豆粉砕物の水抽出物を噴射乾燥して得たポリフェノール含有粉体を混合し、表1に示す組成の粉体状の本発明のストーマ装具用消臭剤組成物を得た。
この消臭剤組成物について、その特性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例2〜3)
消臭剤組成物の組成を表1に示すように変える以外は実施例1と同様の方法で粉体状の消臭剤組成物を得た。この消臭剤組成物について、その特性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例4〜6)
ポリフェノール含有粉体を、りんご、ぶどう及び緑茶からの水抽出物にそれぞれ変える以外は、実施例1と同様の方法で粉体状の消臭剤組成物を得た。この消臭剤組成物について、その特性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0005176061
Figure 0005176061
(実施例7)
実施例1と同様の方法で得た粉体状の消臭剤組成物に、精製水を加え均一に混合して、表2に示す組成の液状の消臭剤組成物を得た。
この消臭剤組成物について、その特性を評価した。結果を表2に示す。
(実施例8〜9)
実施例1と同様の方法で得た粉体状の消臭剤組成物、精製水、プルラン及びパルプを均一に混合し、得られた混合物を剥離シート上に塗工乾燥して、表2に示す組成のシート状の消臭剤組成物を得た(実施例8)。また、同様に、表2に示す組成を有する、実施例8と同様の方法で得たシート状の消臭剤組成物の外周縁を接合し、袋状の消臭剤組成物を得た(実施例9)。
これらの消臭剤組成物について、その特性を評価した。結果を表2に示す。
(比較例1)
ポリエチレングリコール、ゼオライト及びトウモロコシデンプンの混合物からなる粉体状の消臭剤組成物を調製した。
この消臭剤組成物について、その特性を評価した。結果を表2に示す。
(比較例2)
木炭と、カオリナイトから焼成されたセラミックスとを、混合した粉体状の消臭剤組成物を調製した。
この消臭剤組成物について、その特性を評価した。結果を表2に示す。
表1及び表2に示す結果から、ポリフェノールを含有しない消臭剤組成物を用いた場合は、消臭効果は殆ど認められなかった(比較例1及び2)。
これに対して、ポリフェノールを含有し、生理食塩水への溶解度が30%以上、生理食塩水への溶解後の粘度が700mPa・s以下、生理食塩水への溶解後の拡散面積が7.0cm以上である本発明のストーマ装具用消臭剤組成物を用いた場合は、優れた消臭効果が得られることが分かる(各実施例)。
これは、本発明のストーマ装具用消臭剤組成物が、比較例で用いた消臭剤組成物に比べてパウチ壁面に広範囲にわたって付着し、更に排泄物の水分に対しても溶解し易く、流動性も高いため、消臭の有効成分を排泄物の多くの部分に作用させることができたためと考えられる。
また、本発明のストーマ装具用消臭剤組成物を用いた場合、排泄物の滑り性も向上しており、排泄物等排出所要時間も少なかった。これは、排泄物中の水分を吸収した消臭剤組成物が速やかに溶解してパウチ内に拡散し、排泄物中の水分を吸収した消臭剤組成物が流動性のある粘度を有していたためと考えられる。
消臭剤組成物のフィルムへの付着率の測定方法を示す図 消臭剤組成物のフィルムへの付着率の測定方法を示す図
符号の説明
1 フィルム
2 消臭剤組成物
3 ピンセット

Claims (7)

  1. ポリフェノール、精油及び親水性高分子化合物を含有し、
    ポリフェノール、精油及び親水性高分子化合物の含有量が、それぞれ、消臭剤組成物全重量の0.5〜70重量%、0.1〜50重量%及び0.5〜70重量%であるストーマ装具用消臭剤組成物。
  2. 前記精油は、ペパーミント油、ミント油、スペアミント油、ハッカ油、ラベンダー油、グレープフルーツ油、オレンジ油、ティーツリー油、ローズマリー油、レモン油、ゆず油、ライム油、レモングラス油、タイム油、ベルガモット油、ネロリ油、ユーカリ油、チョウジ油、ケイヒ油、カミツレ油、及びヒノキ油のうちの1種又は2種以上である請求項1に記載のストーマ装具用消臭剤組成物。
  3. 生理食塩水への溶解後の粘度が700mPa・s以下である請求項1又は2に記載のストーマ装具用消臭剤組成物。
  4. 生理食塩水への溶解後の拡散面積が7.0cm以上である請求項1〜のいずれかに記載のストーマ装具用消臭剤組成物。
  5. 精油が親水性高分子化合物によりマイクロカプセル化されているものである請求項1〜4のいずれかに記載のストーマ装具用消臭剤組成物。
  6. 粉体状であって、粒径15〜1,000μmの粉体の含有量が80頻度%以上である請求項1〜5のいずれかに記載のストーマ装具用消臭剤組成物。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載のストーマ装具用消臭剤組成物を収納してなる、排泄物等を収容するための袋を備えたストーマ装具。
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