JP2020062199A - オストミー装具用潤滑消臭剤組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
(A1)柿抽出物
(B1)サトウキビ抽出物
(C)親水性高分子化合物
(D)水
(A2)タンニン系化合物を含む消臭成分
(B2)スチルベン系化合物を含む消臭成分
(C)親水性高分子化合物
(D)水
本発明に係る第1実施形態のオストミー装具用潤滑消臭剤組成物(以下、単に「潤滑消臭剤組成物」という)は、成分(A1)柿抽出物、成分(B1)サトウキビ抽出物、成分(C)親水性高分子化合物及び成分(D)水を含有する。以下、各成分について詳細に説明する。
柿抽出物の抽出方法は、上記消臭成分が抽出できる方法であれば特に限定されない。例えば、原料となる柿を粉砕して圧搾した圧搾汁より分画、精製等を行って得られる抽出物を用いることができる。また、柿抽出物を含む市販品として、例えばリリース科学工業株式会社製「パンシル」シリーズ(「パンシルFG−22」、「パンシルCOS−17」等)を用いることができる。
サトウキビ抽出物の抽出方法は、上記消臭成分が抽出できる方法であれば特に限定されない。例えば、サトウキビ汁又はサトウキビの溶媒抽出物を蒸留して得られる蒸留物より分画、精製等を行って得られる抽出物を用いることができる。上記サトウキビ汁の具体例としては、原料となるサトウキビを圧搾した圧搾汁、サトウキビを水で浸出して得られる浸出汁、又は原糖製造工場において石灰処理した清浄汁及び濃縮汁等が挙げられる。一方、サトウキビの溶媒抽出物の具体例としては、サトウキビをメタノール、エタノール等の汎用の有機溶媒で抽出した抽出液が挙げられる。また、サトウキビ抽出物を含む市販品として、例えば三井製糖株式会社製「MSX−245」、「MSX−201」等を用いることができる。
本実施形態に係る潤滑消臭剤組成物の消臭機構としては、化学的消臭機構及び感覚的消臭機構が考えられる。化学的消臭機構とは、排泄物等の悪臭成分を不揮発性化、中和、酸化・還元又は分解することによって、消臭を行う機構である。一方、感覚的消臭機構とは、消臭成分の香気によって排泄物等の悪臭を目立たなくして、消臭を行う機構である。後述の実施例に示すとおり、本実施形態に係る潤滑消臭剤組成物は、成分(A1)柿抽出物のみ又は成分(B1)サトウキビ抽出物のみを含有する潤滑消臭剤組成物(比較例1及び2)に比べて、排泄物等の悪臭成分(硫化水素ガス)を分解等する効果にも優れており、さらに排泄物等の臭いを感じにくくする効果にも優れている。このように、本実施形態に係る潤滑消臭剤組成物は、成分(A1)柿抽出物と成分(B1)サトウキビ抽出物とを組み合わせることによって、化学的消臭機構及び感覚的消臭機構による消臭効果を発揮し、排泄物等に対する消臭性が向上していると考えられる。
また、本実施形態における成分(D)水は、潤滑消臭剤組成物中に76〜94質量%の範囲で含有されていることが好ましく、80〜90質量%含有されていることがより好ましい。
pH調整剤の具体例としては、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、乳酸、アスコルビン酸等の有機酸若しくはその塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物等が挙げられる。これらのpH調整剤は、潤滑消臭剤組成物中に0.05質量%以下で含有されていることが好ましく、0.01質量%以下で配合されていることがより好ましい。
本実施形態に係る潤滑消臭剤組成物は、液状若しくは粘性を有する液状の組成物又は半流動体組成物として、ガラス製、プラスチック製等の保存容器に充填して提供され得る。
本発明に係る第2実施形態の潤滑消臭剤組成物は、成分(A2)タンニン系化合物を含む消臭成分、成分(B2)スチルベン系化合物を含む消臭成分、成分(C)親水性高分子化合物及び成分(D)水を含有する。なお、上述した第1実施形態における成分(A1)柿抽出物及び成分(B1)サトウキビ抽出物以外の構成については、第1実施形態で説明した構成を同様に採用することができるため、本実施形態については説明を省略する。
本実施形態に係る潤滑消臭剤組成物の消臭機構は、第1実施形態に係る潤滑消臭剤組成物と同様であると考えられる。すなわち、本実施形態に係る潤滑消臭剤組成物は、成分(A2)タンニン系化合物を含む消臭成分と成分(B2)スチルベン系化合物を含む消臭成分とを組み合わせることによって、化学的消臭機構及び感覚的消臭機構による消臭効果を発揮し、排泄物等に対する消臭性が向上していると考えられる。
なお、柿抽出物としては、リリース科学工業株式会社製「パンシルFG−22」を用い、サトウキビ抽出物としては、三井製糖株式会社製「MSX−201」を用いた。また、親水性高分子化合物としては、カルボキシメチルセルロースは三晶株式会社製「CEKOL 30000」、ヒドロキシエチルセルロースは三晶株式会社製「SANHEC HH」、ヒドロキシプロピルセルロースは三晶株式会社製「NEOVISCO−MC RM30000S」を用いた。
JIS Z8802に準拠して、校正したpH計電極を洗浄後、各潤滑消臭剤組成物のpHを3回測定し、平均値を求めた。
各潤滑消臭剤組成物について、BLII型粘度計(東機産業社製)を用い、溶液温度:15〜25℃、ローター番号:3番、ローター回転数:12rpm、回転時間:10分の条件で測定した。
排出口付きオストミー装具のパウチ内に各潤滑消臭剤組成物を約6g投入して全面に広げ、次いで、疑似便40gを投入した。オストミー装具のパウチを地面に対して垂直に30分間保持した後、排出口から疑似便を排出し、パウチ内の疑似便の残存の程度を評価した。潤滑消臭剤組成物を使用せずに疑似便40gのみをパウチ内に投入し、排出口から疑似便を排出した時(以下、「未使用時」という)にパウチ内に残存する疑似便の量を基準として、以下の指標により評価を行った。以下の指標では、★の数が多いほど潤滑性に優れていることを示している。
★:未使用時よりも疑似便の残量がわずかに減少した
★★:未使用時よりも疑似便の残量が減少した
★★★:未使用時よりも疑似便の残量が大幅に減少した
なお、疑似便としては、ドッグフード(アイリスオーヤマ製「ヘルシーステッププラス1 角切りビーフ」)から大部分のグリセリンを除去した後の塊を潰したものを用いた。
オストミー装具に一般的に用いられる防臭性フィルムで作成したバッグの中に各潤滑消臭剤組成物を10g投入し、次いで、標準ガス発生機(ガステック社製「PD−1B−2」)を用いて発生させた硫化水素ガス300mLを入れた。その後、バッグの口を封止し、ガスと潤滑消臭剤組成物とが十分接触するようにバッグを外から揉んだ。30分静置後に、防臭性フィルム内の硫化水素ガス濃度をガス検知管(光明理化学工業社製「120SE」)にて測定し、以下の式によって消臭率(%)を算出した。
オストミー装具のパウチに各潤滑消臭剤組成物を約6g投入して全面に広げ、次いで、水道水で2倍希釈した人便を30g投入し、地面に対して垂直に保持した。2時間後、以下の指標により消臭性の評価を行った。
1:強烈な便臭がある
2:強い便臭がある
3:容易に便臭とわかる臭いがある
4:便臭とわかる臭いがあるが、弱い
5:臭気はあるが、便臭は感じない
約0.05〜0.1gの各潤滑消臭剤組成物を皮膚感作テスト用テープ(SmartPractice社製「フィンチャンバー」)の濾紙(φ8mm)に滴下し、被験者の上腕部内側に貼付し、その上からフィルムドレッシングで被覆して24時間放置した。その後、テスト用テープを剥がし、その時点から1時間、24時間後の皮膚状態を観察し、以下の指標により評価を行った。
○:1時間後及び24時間後において、紅斑なし
△:1時間後及び/又は24時間後において、非常に軽度な紅斑がある
×:1時間後及び/又は24時間後において、はっきりとした紅斑、中等度〜高度の紅斑又は高度紅斑〜わずかな痂皮がある
さらに、実施例2〜5、7は硫化水素ガス消臭率及び実便消臭性評価において特に優れていたことから、pHを本発明の好ましい範囲とすることで、消臭性をさらに向上させることができることがわかった。
また、実施例の潤滑消臭剤組成物は、[潤滑性評価]において基準とした「未使用時」の場合と比べて潤滑性評価が向上していたことから、排泄物等とオストミー装具のパウチ内表面との間の潤滑性に優れ、排泄物等をパウチ内表面から除去する際の取扱性が良好であることがわかった。なかでも、実施例5〜7の潤滑消臭剤組成物は潤滑性評価が特に良好であったことから、親水性高分子化合物としてカルボキシメチルセルロースを用い、さらに粘度を本発明の好ましい範囲とすることで、さらに取扱性を向上させることができることがわかった。
さらに、実施例1と実施例2とを比較すると、柿抽出物の量が多いほど、消臭性や潤滑性が向上していた。このことから、柿抽出物を用いることは、消臭効果だけでなく、潤滑消臭剤組成物の潤滑性にも寄与しているのではないかと考えられる。
そのうえ、実施例の潤滑消臭剤組成物は、皮膚刺激性評価も良好であり、皮膚に対して刺激が少ないことがわかった。
Claims (10)
- 次の成分(A1)、(B1)、(C)及び(D)を含有する、オストミー装具用潤滑消臭剤組成物。
(A1)柿抽出物
(B1)サトウキビ抽出物
(C)親水性高分子化合物
(D)水 - 成分(A1)を2.5〜10質量%、成分(B1)を0.05〜10質量%、成分(C)を0.05〜4.5質量%、成分(D)を76〜94質量%含有する、請求項1に記載の組成物。
- 成分(A1)及び(B1)の質量割合(A1)/(B1)が0.1〜20である、請求項1又は2に記載の組成物。
- 次の成分(A2)、(B2)、(C)及び(D)を含有する、オストミー装具用潤滑消臭剤組成物。
(A2)タンニン系化合物を含む消臭成分
(B2)スチルベン系化合物を含む消臭成分
(C)親水性高分子化合物
(D)水 - 成分(A2)を2.5〜10質量%、成分(B2)を0.05〜10質量%、成分(C)を0.05〜4.5質量%、成分(D)を76〜94質量%含有する、請求項4に記載の組成物。
- 成分(A2)及び(B2)の質量割合(A2)/(B2)が0.1〜20である、請求項4又は5に記載の組成物。
- 成分(C)がカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースから選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
- 25℃におけるpHが6〜12である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
- 15〜25℃における粘度が400〜3,000mPa・sである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
- 更に、(E)着色料を含有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
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