JP5175674B2 - 指詰防止具、及びこれを備えた折戸 - Google Patents
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Description
上記のような折戸は、閉止された状態では、複数枚の戸板が横並びに一直線に配置される。また、該折戸を開放する際には、把手等をして、ガイドレール等に沿ってスライドさせることで、開状態への移行(開動)がなされ、ガイドレールに直交する方向に向けて隣接する戸板の連結部が突出されるようにして折り畳まれて開状態となる。
上記開状態とされた折戸を閉止する際には、把手等をして、ガイドレールに沿ってスライドさせることで閉状態への移行(閉動)がなされるが、連結された戸板間に形成される連結角(開き角)がある程度の状態(例えば、80°〜100°程度以上)では、折戸の上記のように突出された連結部近傍の手前側部位を、ガイドレール側(背面側)に向けて押すことによっても折戸の閉動、閉止が可能となる。
この隙間は、大人の手指が挟まるような隙間ではないが、乳幼児等では該隙間に手指を挟みこんでしまう恐れがあったため、例えば、蝶番を戸板の取付面側(例えば背面側)に埋め込む等により、当該隙間を小さくして当該隙間における手指の挟みこみ(指詰め)を防止していた。
また、下記特許文献2では、蝶番等の連結部材により折り畳み可能に連結された複数の扉(戸板)からなる折戸において、連結された二枚の扉のうちいずれか一方の扉の、折戸の折り畳み時に他方の扉と対向する面の連結側端部に、帯状部材を固設した折戸の連結部構造が提案されている。
上記帯状部材は、連結された二枚の扉のうちいずれか一方の扉の端部の背面側で、かつ蝶番が配置されていない部分に上下方向に沿って固設されている。また、この帯状部材は、突出部を半円形とし、その半径を、蝶番の作動半径と同径としている。
これによれば、扉を開閉するときに、扉の端辺が常に突出部の外周に接するようになり、扉の連結部における隙間が、当該帯状部材の突出部によって塞がれるようになり、折戸の開閉の際に隙間ができず、指詰めを防止できる、と説明されている。
しかしながら、戸板の連結部側の各端部間には、上記のように連結部材によって形成される隙間だけではなく、当該折戸の開閉に伴って、連結部側の各端面間にて拡縮される空間が形成される。上記各特許文献に記載された折戸や折戸の連結部構造では、上記のように拡縮される空間における指詰めについての考慮はなされておらず、さらなる改善が望まれていた。すなわち、折戸の閉動時には、戸板の連結部側の各端面間の幅が閉動に伴って徐々に縮まり、その端面間に手指が万が一、存在すれば、該端面間において手指を挟みこんでしまう可能性があった。
上記構成とされた指詰防止具においては、前記連結支持片を、前記折戸が閉止された状態で、その後端部が前記戸板の後面側から突出するように形成してもよい。
また、上記いずれかの構成とされた指詰防止具においては、前記一対の作動片の各他端部を、それぞれの回動支点が異なるように前記連結支持片の後端部の左右対称位置にそれぞれ連結するようにしてもよい。
さらに、上記いずれかの構成とされた指詰防止具においては、前記一対の作動片を、前記折戸が全開された状態で、互いに略平行となるよう折り畳まれる構造としてもよい。
折戸の開動作時には、上記連結支持片の後端部が連結支点から離反移動することで、該連結支持片の前端部が引き込まれて上記指詰防止カバー部が上記連結支点に対して近接移動する一方、折戸の閉動作時には、上記連結支持片の後端部が上記連結支点に向けて近接移動することで、該連結支持片の前端部が押し出されて上記指詰防止カバー部が上記連結支点に対して離反移動する。つまり、該指詰防止カバー部は、折戸の連結部側の各端面間に、当該折戸の開、閉動作によって拡開、縮小される空間を、上記のように折戸の開、閉動作に伴って近接、離反移動する。従って、折戸が開状態から閉状態へ移行する際に、戸板の連結部側の各端面間にて縮小される空間に手指が存在している場合にも、連結支点に対して離反移動する上記指詰防止カバー部によって、手指が該空間からはじき出されるようにして、指詰めの防止がなされる。
さらに、上記一対の作動片及び連結支持片は、上記指詰防止カバー部を移動可能に支持できるように該指詰防止カバー部の上下方向の適所に設けるようにすることもできる。これにより、上下長さ(高さ)が異なる折戸に対して、上記指詰防止カバー部の上下長さを適宜、調整することで、当該指詰防止具を容易に装着させることができる。
図1は、第1実施形態に係る指詰防止具を備えた折戸の一例を模式的に示す概略横断面図、及び一点鎖線内を拡大して示す概略横断面図である。
図2及び図3は、いずれも同折戸への同指詰防止具の組み付け工程の一例を説明するための説明図であり、図2(a)は、図1におけるY2から見た概略拡大背面図、図2(b)は、図2(a)に対応させた概略側面図、図3(a)は、図1の一点鎖線内拡大図に対応させた図、図3(b)は、図3(a)の概略側面図である。
図4(a)、(b)は、いずれも同折戸を示し、(a)は、図1におけるY1から見た一部破断概略正面図、(b)は、図1におけるY2から見た一部破断概略背面図である。
図5〜図7は、いずれも同折戸の指詰防止構造を説明するための説明図である。
また、図5〜図7では、後記するキャップ39の図示を省略している。
上記折戸10は、本実施形態では、図1に示すように、建物の室内空間(居住空間)LSと、収納空間SSとの間を仕切る内壁2に開設された開口部opを、2組の折戸10,10によって閉塞或いは開放するクローゼット用の開閉扉を構成している。
上記2枚の戸板11,11のうち、縦枠4側にそれぞれ位置する戸板は、スライド不能とされた固定戸板11とされ、他方はスライド可能とされた可動戸板11とされている。すなわち、固定戸板11の枢軸11aは、縦枠4の近傍において、回動自在、スライド不能に、上枠及び下枠3に支持されており、可動戸板11の枢軸11aは、上レール及び下レール3aに沿ってスライド可能、回動自在に、上枠及び下枠3に支持されている。これら戸板をスライド可能とする構成は、公知のランナー(転動体、走行体等)やピボット等を採用するようにしてもよい。
尚、図において、符号18は、可動側の戸板11に設けられた操作具としての把手(取っ手)である。また、上記固定戸板11もスライド可能な態様としてもよい。
また、下枠3及び下レール3aを設けずに、上枠と縦枠とからなる三方枠内に当該折戸10を配置する態様としてもよい。
図例では、端面13の戸板11の後面14に直交する面を基準面として、手前側(戸板の前面側)に向けて順に面取りの角度が大きくなるように三面の面取り部13a(以下、この順に、面取り部13aのそれぞれの面を指すときには、一面目面取り部13a、二面目面取り部13a、三面目面取り部13aとする。)が形成されており、最前面側の面取り部13a(以下、この面取り部13aのみを指すときには、最前面取り部13aとする。)は、隣接する三面目面取り部13aよりも面取りの角度が小さくなるように形成されている。
尚、上記面取り部13a,13aの形状は、図例のような四面からなる多面形状とされたものに限られず、さらに粗く、または細かくC面取り加工を施すようにしてもよい。或いは、凸湾曲面形状と凹湾曲面形状とを組み合わせた湾曲面形状、若しくは湾曲面形状とC面取り形状とを組み合わせた形状等としてもよい。
該蝶番19は、各戸板11,11の連結部cp側の各端部近傍後面14a,14aに、それぞれの取付ハネ19b,19bが木ネジ等によって止着されて固着されている。また、図例では、これら蝶番19は、各取付ハネ19bが上記各端部近傍後面14a,14aに形成された凹部に埋め込まれるようにして固着された、いわゆる彫り込み蝶番を示している。
また、これら蝶番19は、連結部cpの上下方向に沿って適所に複数個(図例では3個)設けられている。
また、図1において右方に位置する二点鎖線で示した折戸10は、上記閉状態から開状態への移行(開動)の途中(或いは上記開状態から閉状態への移行(閉動)の途中)の状態と、閉状態とを示している。
上記折戸10の開動及び閉動は、把手18をしてなされるが、上記閉動の際において、連結された各戸板11,11の後面14,14のなす角θ(開き角θ)が、例えば、80°〜100°程度以上の状態では、折戸10の連結部cp近傍部位を、手前側(室内空間LS側)から背面側(収納空間SS側)に向けて押すことによっても折戸10の閉動(以下、押圧閉動と略す)が可能とされている。
この折戸10の開閉に伴って拡縮される扇状の空間fsに、後記する支持部30によって、上記折戸10の開動時には、背面側に向けて移動(連結支点19aに対して近接移動)させられる一方、上記折戸10の閉動時には、手前側に向けて移動(連結支点19aに対して離反移動)させられる指詰防止カバー体20が配される。
上記指詰防止カバー体20は、図4(a)に示すように、隣接する戸板11,11の連結部cpの前方に、上下方向の略全長に亘って配されている。
この指詰防止カバー体20は、本実施形態では、図7(b)に示すように、当該折戸10が閉止された状態では、各戸板11,11の面取り部13a,13a間に、略全体が収容される形状とされている。また、該指詰防止カバー体20の前面21は、その中央部が、当該折戸10が閉止された状態における各戸板11,11の手前側面と略面一状となるように平坦面とされるとともに、その左右側部が、各戸板11,11の各端面13,13側に向けて拡開するように傾斜する傾斜面とされている。換言すれば、該指詰防止カバー体20の手前側部の断面形状が、手前側に向けて先細りの略等脚台形状とされている。
上記テーパ面部22,22は、図7(b)に示すように、当該折戸10が閉止された状態では、上記三面目面取り部13aとの間に当接しない程度の僅かなクリアランスを隔てて、該三面目面取り部13aに近接対面している。
上記前面21の左右側部にそれぞれ形成された傾斜面は、当該折戸10が閉止された状態においては、上記最前面取り部13aのそれぞれとともに、横断面が略V字状の目地溝をそれぞれ形成している。これにより、当該折戸10が閉止された状態では、図4(a)に示すように、各戸板11,11の手前側面と略面一状となるように平坦面とされた中央部を挟んで左右に二本の略V字状の目地溝が上下方向の全長に亘って形成されたような外観となり、美観性に優れた折戸10となる。また、該指詰防止カバー体20は、折戸10の上下長さ(高さ)の略全長に亘って配される長さとされているので、当該指詰防止カバー体20によって、各戸板11,11の連結部cp側の端部12,12間の隙間gが、手前側から見た場合には、その上下方向の全長に亘って隠蔽される。これにより美観性を向上させることができる。
上記指詰防止カバー体20は、例えば、金属材や硬質の合成樹脂材からなるものとしてもよい。
上記金属材としては、スチールや炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金等、どのようなものでも良いが、鋼鉄材等と比べて、比較的軽量かつ安価であるアルミニウムからなるものとしてもよい。
上記連結支持片31の前端部32は、左右に二股に分岐されており、該分岐された部位のそれぞれ先端部には、外方に向けて屈曲形成された被係合部を構成する係止爪部33,33が形成されている。この二股に分岐された前端部32の幅(当該折戸10のスライド方向に沿う幅)は、図1に示すように、当該折戸10が折り畳まれた状態の戸板11,11の連結部cp側の各端部12,12間の隙間gと略同幅とされている。すなわち、最大幅の隙間g(例えば、3.0mm〜5.0mm程度)と略同幅とされており、この二股に分岐された部位の両側部は、折り畳まれた状態の戸板11,11の各端部近傍後面14a,14aに当接或いは近接対面している。また、上記連結支持片31の後側部の幅(厚さ)は、図7(b)に示すように、当該折戸10が閉止された状態における最小幅の隙間g(例えば、0.5mm〜3.0mm程度)よりも小さく形成されている。
上記係止爪部33,33は、図1に示すように、折戸10が全開された状態で、連結支点19aよりも前方に向けて突出している。
上記指詰防止カバー体20の係止凹部23,23は、上述のように、当該指詰防止カバー体20の上下方向の全長に亘って設けられているので、その上下方向に沿ういずれの部位にも上記連結支持片31の係止爪部33,33を係止させることができる。すなわち、当該指詰防止カバー体20の上下方向の適所に、支持部30を設けることができる。
すなわち、一対のリンク状部材35,35の支持片側枢軸37,37は、それぞれの回動支点が異なるように、上記連結支持片31の後端部34に形成された軸受部34a,34aにそれぞれ枢支されている。このように、一対のリンク状部材35,35の支持片側枢軸37,37の回動支点を異ならせているので、これら枢軸37,37に連結された連結支持片31が、左右に揺動するようなことを防止できる。
また、上記連結支持片31は、図7(b)に示すように、当該折戸10が閉止された状態で、その後端部34が各戸板11,11の後面14,14側から背面側(収納空間SS側)に向けて突出するように形成されており、その突出された後端部34に一対のリンク状部材35,35の支持片側枢軸37,37が連結されている。
また、上記一対のリンク状部材35,35は、それぞれ同寸同形状とされている。図例では、図2(b)に示すように、棒状部材をクリップ状に屈曲させたような形状とされ、基部側枢軸36,36の上下端からそれぞれ二本のアームを屈曲させて背面側に向けて延出させ、これら二本のアームをそれぞれ上下に屈曲させて、これら上下に屈曲させた部位のそれぞれが、支持片側枢軸37,37とされている。
このように、折戸10が閉止された状態において、各リンク状部材35,35と戸板11,11の各後面14,14とのなす角が所定の角度となるようにすることで、これら一対のリンク状部材35,35が折り畳まれる際に、互いに突っ張りあうようなことがなく、また、展開される際に、互いに引っ張りあうようなことがない。
上記構成とされた一対のリンク状部材35,35は、図1に示すように、それぞれの支持片側枢軸37,37を支点として回動されて折り畳まれた状態では、互いに略平行となるまで折り畳まれる。このようにコンパクトに折り畳まれる構成とされているので、上記取付基部38,38を含み、上記一対のリンク状部材35,35の全体及び上記連結支持片31の薄板状とされた後側部は、図1に示すように、当該折戸10が全開された状態では、各戸板11,11の後面14,14間に、上記隙間gによって形成される空間に収容される構造となる。
すなわち、折戸10が全開された状態では、各戸板11,11の後面14,14間の空間が狭小となるが、その狭小なスペースに、上記のように支持部30の一部が収容されるので、折戸10の全開状態が、当該指詰防止具1によって阻害されるようなことがない。
尚、支持部30の設置個数は、折戸10の上下長さや、指詰防止カバー体20の長さ及び重量、当該支持部30の連結支持片31の上下長さ等に応じて、指詰防止カバー体20を移動可能に支持できる個数とすればよい。例えば、複数個の支持部30にて支持する態様に限られず、一つの支持部30によって支持する態様としてもよい。
また、図1〜図3において、符号39は、上記連結支持片31の後端部34を覆うキャップである。
上記のように、一対のリンク状部材35,35は、略同寸同形状とされており、その基部側枢軸36から支持片側枢軸37までの長さが、それぞれ同寸法とされているので、上記のように取付基部38,38を均等位置となるように固着することで、連結支持片31の位置決めを容易に行うことができる。すなわち、連結支持片31が左右に位置ずれすることなく上記隙間gの中心に位置するように当該支持部30を取付けることができる。
上記のように支持部30に指詰防止カバー体20を係止させることで、図1に示すように、指詰防止具1を容易に折戸10に装着することができる。
尚、上記のように連結支持片31の前端部32の係止爪部33,33と、指詰防止カバー体20の係止凹部23,23とを係合させる際に、接着剤等を塗布して接着固定するようにしてもよい。
上記構成によれば、施工後(既設)の折戸10に対しても当該指詰防止具1を組み付けることができる。
また、上記のように連結支持片31の前端部32に形成された係止爪部33,33は、開状態とされた折戸10の連結支点19aよりも前方に向けて突出する構成とされているが、上述のように、上記指詰防止カバー体20は、その前端部32を囲むように係合される形状とされているので、組み付け性を向上させることができるとともに、これらの係合部位が見えるようなことがなく、美観性を向上させることができる。
図1の一点鎖線内の拡大図に示すように、折戸10が全開された状態から把手18をして折戸10をスライドさせて、開き角θが約30°程度となるまで折戸10の閉動がなされる際には、図5(a)に示すように、一対のリンク状部材35,35の展開動作を伴い、連結支持片31が連結支点19aに対して、手前側に向けて移動する。すなわち、これら一対のリンク状部材35,35と、各戸板11,11とが、拡縮されるパンタグラフ機構を構成するようにして、各戸板11,11の開き角θが大きくなるに伴って、一対のリンク状部材35,35が折り畳まれた状態から展開動作をなし、その支持片側枢軸37,37が連結支点19aに向けて近接移動する。この動作に伴って、支持片側枢軸37,37に連結された連結支持片31が連結支点19aに対して前方に向けて押し出されるように移動し、その前端部32に連結された指詰防止カバー体20が、各端面13,13間に形成される扇状の空間fsを前方に向けて移動、すなわち、連結支点19aに対して離反移動する。
また、上記状態から図6(a)に示すように、開き角θが約90°程度となるまで折戸10の閉動がなされる際には、上記同様、一対のリンク状部材35,35の更なる展開動作を伴って、指詰防止カバー体20が手前側に向けて移動する。この状態では、上記各端面13,13の上記各一面目面取り部13aと、指詰防止カバー体20の上記テーパ面部22,22とが、上記クリアランスよりも狭小とされたクリアランスを隔てて近接対面している。
上記状態から図6(b)に示すように、開き角θが約120°程度となるまで折戸10の閉動がなされる際には、上記同様、指詰防止カバー体20が手前側に向けて移動し、この状態では、上記各端面13,13の上記各二面目面取り部13aと、指詰防止カバー体20の上記テーパ面部22,22とが、上記クリアランスよりもさらに狭小とされたクリアランスを隔てて近接対面している。
上記状態からさらに折戸10の閉動がなされて、図7(b)に示すように、閉止された状態では、上記指詰防止カバー体20は、各端面13,13の面取り部13a,13a間に収容され、これら各端面13,13の上記各三面目面取り部13aと、該指詰防止カバー体20の上記テーパ面部22,22とが、上記クリアランスよりもさらに狭小とされたクリアランスを隔てて近接対面している。
上記所定のクリアランスは、上記各端面13,13と指詰防止カバー体20とが当接しない程度以上、かつ、少なくとも押圧閉動の可能な状態から閉動がなされる際に手指等の挿入がなされない程度以下とすればよい。例えば、押圧閉動の可能な状態から閉動がなされる際のクリアランスが、0.5mm〜2.0mm程度となるようにしてもよい。
本実施形態では、上記所定のクリアランスは、上述のように、当該折戸10が全開された状態から閉動がなされる際に、概ね徐々に小さくなるように、上記指詰防止具1の各部材及び上記各戸板11,11の各端面13,13を形成している。
この折戸10の開動作がなされる際には、その開動作に伴って、上記した閉動作とは逆に、一対のリンク状部材35,35の折り畳み動作がなされる。
すなわち、各戸板11,11の連結支点19aを中心とする折り畳み動作に伴って、これら戸板11,11の各端部近傍後面14a,14aにそれぞれの基部側枢軸36,36が枢着された上記一対のリンク状部材35,35が折り畳まれる。この一対のリンク状部材35,35が折り畳まれることによって、支持片側枢軸37,37に連結された連結支持片31が連結支点19aに対して後方に向けて引き込まれるように移動する。これにより、連結支持片31の前端部32に連結された指詰防止カバー体20が、各端面13,13間に形成される扇状の空間fsを後方に向けて移動、すなわち、連結支点19aに対して近接移動する。
また、当該折戸10の開、閉動作に伴ってなされる上記指詰防止カバー体20の近接、離反移動は、上記各端面13,13との間に所定のクリアランスを保持してなされるので、折戸10の開、閉動作に伴って、該指詰防止カバー体20が上記各端面13,13に当接して摺り動くようなことがなく、これら各端面13,13及び指詰防止カバー体20が互いに傷付けられたり、磨耗したりするようなことがない。これにより、当該指詰防止カバー体20及び上記各端面13,13の美観性が保たれる。
さらにまた、本実施形態では、上記のように、当該折戸が閉止された状態で、各戸板11,11の面取り部13a,13a間に、上記指詰防止カバー体20の略全体が収容される構成としているので、連結部cpの前方に配される指詰防止カバー体20が各戸板11,11の手前側面から突出するようなことがなく、美観性に優れた折戸10となる。
すなわち、例えば、上記指詰防止カバー体の後面側の形状を、凸湾曲面形状としたり、該指詰防止カバー体の形状を平板状のものとしたりすれば、各端面と近接対面する部位が比較的、小さくなり、その部位において指等が入り込みやすくなったり、該指詰防止カバー体が、例えば、指等で押された場合に、左右方向にズレが生じやすくなり、そのズレが生じた箇所から指等が入り込みやすくなったりする場合がある。
一方、上記構成とされた本実施形態では、当該指詰防止カバー体20が、例えば、指等に押されて左右方向のいずれか一方にズレが生じた場合にも、各端面13,13とテーパ面部22,22とは、少なくとも当該折戸の押圧閉動が可能となる状態から閉動作がなされる際には近接対面している。従って、該指詰防止カバー体20の後面の左右側部のテーパ面部22,22が押方向とは異なる側の戸板11の端面13に当接して、該指詰防止カバー体20の移動(ズレ)が規制されるので、該指詰防止カバー体20と押方向側における端面13との空隙の拡大を低減できる。
また、上述のような構成により、指詰防止カバー体20と各端面13,13との間に大きな空隙が形成されず、当該折戸10の美観性を向上させることができる。
例えば、上記面取り部13a,13a間に、閉止状態において、上記指詰防止カバー体20が収容されないような態様としてもよく、或いは、上記のような面取り部13a,13aを有していない折戸に対して、本実施形態に係る指詰防止具1を適用することも可能である。この場合は、指詰防止カバー体20の形状や連結支持片31の長さ(隙間gに挿通される前後長さ)、リンク状部材35,35の長さや戸板11の後面14との取付角度等を適宜、設定すればよい。すなわち、折戸の開動作、閉動作に伴って、各戸板の連結部側の端面間にて拡大、縮小される上記扇状の空間を、指詰防止カバー体が各端面に当接しないように連結支点に対して近接移動、離反移動するように、指詰防止カバー体及びこの指詰防止カバー体を連結支点に対して近接移動、離反移動させる支持部を構成すればよい。
さらに、上記支持部30の一対のリンク状部材35,35の形状は、それぞれ二本のアーム部からなる図例のような形状に限られず、蝶番のような板状体からなるものを一対の作動片としてもよい。
図8(a)、(b)は、いずれも第2実施形態に係る指詰防止具を備えた折戸の一例を示し、それぞれ図4に対応させた図である。
尚、上記第1実施形態との相違点は、主に指詰防止具の構成であり、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略或いは簡略に説明する。
この指詰防止カバー体20Aの長さは、適宜、設定可能であるが、例えば、少なくとも乳幼児等の手が届く範囲以上の長さとしてもよい。また、床面近傍から高さhまでの長さとされた指詰防止カバー体20Aとせずに、例えば、連結部cpの下部の途中から高さhまでの長さとされたものとしてもよい。
また、図8(b)に示すように、上記指詰防止カバー体20Aの長さに合わせて、本実施形態では、上記同様の支持部30を、連結部cpの上下方向に沿って二箇所に設けている。
このような態様によれば、指詰防止具1Aを低コストのものとできる。
例えば、連結支持片及び指詰防止カバー体の両方またはいずれか一方を、弾性変形可能な部材で構成し、該連結支持片を上記例よりも短くする等によって、上記指詰防止カバー体を、戸板の連結部側の各端面に当接させた状態で、上記折戸の開、閉動作に伴って該折戸の連結支点に対して近接、離反移動させる態様としてもよい。この場合においては、上記指詰防止カバー体を、上記折戸の開、閉動作がなされる際に、常に当接させる態様とせず、例えば、少なくとも押圧閉動が可能となる状態から閉動がなされる際に、当接させるような態様としてもよい。
さらに、上記各実施形態では、折戸を構成する複数枚の戸板として、二枚からなるものを例示しているが、3枚以上の戸板からなるものとしてもよい。この場合は、上記した各指詰防止具を、折戸の開閉の際に戸板のスライド方向と直交する方向に突出される連結部に、少なくとも設けるようにしてもよい。
さらにまた、各戸板を連結する連結部材も蝶番に限らず、各戸板を、連結支点を中心として折り畳み自在に連結するものであればどのようなものでもよい。また、連結支点は、各戸板が折り畳まれる際に形成される仮想的な支点としてもよい。
10,10A 折戸
11 戸板
12 連結部側の端部
13 連結部側の端面
14 戸板の後面
14a 端部近傍後面
19a 蝶番のヒンジピン(連結支点)
20,20A 指詰防止カバー体(指詰防止カバー部)
31 連結支持片
32 連結支持片の前端部
34 連結支持片の後端部
35 リンク状部材(作動片)
36 リンク状部材の基部側枢軸(作動片の一端部)
37 リンク状部材の支持片側枢軸(作動片の他端部)
cp 連結部
g 戸板の連結部側の各端部間の隙間
Claims (6)
- 複数枚の戸板を連結部材によって折り畳み自在に連結した折戸の隣接する戸板の連結部に装着される指詰防止具であって、
前記連結部の前方に上下方向に沿って配される指詰防止カバー部と、
前記戸板の連結部側の各端部間に形成される隙間に前後に挿通され、前端部が前記指詰防止カバー部に連結された連結支持片と、
前記戸板の連結部側の各端部近傍後面の前記連結部材とは異なる箇所に、それぞれの一端部が枢着されるとともに、他端部が回動自在に前記連結支持片の後端部に連結されて前記折戸の開、閉動作に伴って該折戸の連結支点に対して該連結支持片の後端部を離反、近接移動させる一対の作動片とを備えていることを特徴とする指詰防止具。 - 請求項1において、
前記一対の作動片は、前記一端部から前記他端部までの長さが、それぞれ同寸法とされていることを特徴とする指詰防止具。 - 請求項2において、
前記連結支持片は、前記折戸が閉止された状態で、その後端部が前記戸板の後面側から突出するように形成されていることを特徴とする指詰防止具。 - 請求項2または3において、
前記一対の作動片の各他端部は、それぞれの回動支点が異なるように前記連結支持片の後端部の左右対称位置にそれぞれ連結されていることを特徴とする指詰防止具。 - 請求項2乃至4のいずれか1項において、
前記一対の作動片は、前記折戸が全開された状態で、互いに略平行となるよう折り畳まれる構造とされていることを特徴とする指詰防止具。 - 複数枚の戸板を、折り畳み自在に連結し、隣接する戸板の連結部に請求項1乃至5のいずれか1項に記載の指詰防止具を装着していることを特徴とする折戸。
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