JP5174108B2 - 摺動部材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、摺動面にマイクロディンプルが形成された摺動部材及びその製造方法に係り、特に、潤滑状態で、摺動性を向上することができる摺動部材及びその製造方法に関する。
従来から、自動車等において、エンジン、トランスミッションなど様々な機器に摺動部材が用いられている。耐摩耗性、低摩擦性、焼付き性に優れた摺動部材を用いることは、自動車の安全性を確保するばかりでなく、地球環境保全のため、自動車から排出される二酸化炭素の削減にも繋がる。そこで、摺動環境下において、摺動部材の表面の形状や粗さなどの表面テクスチャー(表面性状)を改善することや、摺動部材の表面に耐摩耗性及び低摩擦性を有した被膜を被覆することなどにより、摺動特性を向上させるようにトライボロジーに関する様々な研究が取り組まれている。
表面性状を改善する技術として、例えば、サンドブラストあるいはショットピーニングをしたのち、ラップ加工やバレル研磨を施して摺動面にディンプル状の凹部(マイクロディンプル)を設けた摺動部材が提案されている。さらに、この摺動部材は、摺動面全体に対するマイクロディンプルの開口部の面積率が、5〜60%とされている(例えば、特許文献1参照)。
また、別の技術として、潤滑油を介して摺動する摺動面に、レーザ光を照射することにより、複数の微細な凹部(マイクロディンプル)を規則的に配列して形成した摺動部材が提案されている。このマイクロディンプルの開口面積は、10〜100平方μm、凹部の最大深さは、0.1〜1μm、摺動面全体に対するマイクロディンプルの開口部の合計面積率は、5〜30%の範囲にあるとされている(例えば、特許文献2参照)。
上述した摺動部材によれば、摺動時に、摺動面に供給された潤滑油を、マイクロディンプル(凹部)で保持することができるので、摺動部材の摩擦係数の低減、及び耐摩耗性の向上を図ることができる。
特許第4332977号公報 特開2003−184883号公報
しかしながら、特許文献1に記載の摺動部材は、サンドブラストあるいはショットピーニングによってマイクロディンプルを形成しているため、マイクロディンプルの配列には、規則性が無い。従って、マイクロディンプルの面積率を高めたとしても、摺動面に形成されるマイクロディンプルの配列に粗密が生じることがある。このような結果、摺動面である摩擦界面で潤滑油が保持される位置にばらつきが生じるため、局所的に焼付きが生じるおそれがある。
このような点を鑑みると、特許文献2に記載の摺動部材の如く、複数のマイクロディンプル(微細な凹部)を規則的に配列することが望ましいと考えられる。しかしながら、特許文献2に記載の摺動部材の場合、マイクロディンプルの開口部の合計面積率は、5〜30%と小さいため、摺動面である摩擦界面での潤滑油の保持量が少なく、耐焼付き性を向上させるのが困難な場合がある。また、マイクロディンプルの形状は、略円形状であるが、製造上の観点からも、マイクロディンプルを、さらに密な状態に配列することは難しい。
また、特許文献2に記載の製造方法では、レーザ光によりマイクロディンプルを成形するため、レーザ光または被加工体を所定寸法ずつ移動させながら加工している。従って、多数のマイクロディンプルを同時に成形することができず、摺動部材の製造には、多大な時間と製造コストを要することになる。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、潤滑油による潤滑下において、耐焼付き性を向上させることができる摺動部材と、その摺動部材を安価且つ短い時間で製造することができる摺動部材の製造方法を提供することにある。
発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、摺動面に、規則性をもって、従来よりも密にマイクロディンプルを配列すると共に、このマイクロディンプルの占める割合を所定の範囲にすることにより、耐焼付き性が画期的に向上するとの新たな知見を得た。さらに、このような表面性状の摺動面を得るには、マスキングとエッチングを利用することにより、これまでに比べ短時間かつ安価に製造できるとの新たな知見を得た。
本発明は、発明者らのこれらの新たな知見に基づくものであり、金属材料からなる摺動面に、複数のマイクロディンプルが形成された摺動部材であって、前記マイクロディンプルは、円形状の開口部を有しており、前記各マイクロディンプルは等間隔に配列され、前記マイクロディンプルの配列は、六方最密状であり、前記摺動面全体に対する全ての前記マイクロディンプルの開口部の占める面積率は、50〜80%であることを特徴とする。
本発明によれば、摺動面に形成された各マイクロディンプルは等間隔に配列されており、かつ、これらのマイクロディンプルの配列は六方最密状であるので、等間隔に配列された各マイクロディンプルの周りには、6つのマイクロディンプルが最密に配列(すなわちマイクロディンプルがヘキサゴナルに配列)される。この結果、複数のマイクロディンプルを、ばらつきなくより密な配置状態で摺動面に形成し、これらのマイクロディンプル内に潤滑油を保持することができる。
さらに、摺動面全体に対する全てのマイクロディンプルの開口部の占める面積率が、50〜80%であるので、マイクロディンプル内に潤滑油を保持することができると共に、摺動時には、マイクロディンプル間に形成された表面(凸部の表面)に、油膜を安定して形成することができる。このような結果、摺動部材の摺動面の耐焼付き性を向上させることができる。
上述した面積率が、50%未満である場合、摺動時において、マイクロディンプルから、マイクロディンプル間に形成された表面(実際に摺動する表面である凸部の表面)に、潤滑油が充分に供給されないことがあり、この結果、摺動面が焼付くおそれがある。さらに、面積率が80%を超えた場合には、凸部の表面の面積が小さいため、摺動時に、この表面の面圧が増加し、摺動面が焼付くおそれがある。
より好ましい態様としては、前記マイクロディンプルの開口部の直径は、2〜20μmであり、前記マイクロディンプルの最大深さは、0.2〜2μmである。この態様によれば、これらの範囲を満たすことにより、摺動部材の耐焼付き性をより向上させることができる。
開口部の直径が、2μm未満の場合、開口部が小さくなることにより、マイクロディンプル間の距離も狭くなり過ぎるため、凸部表面が狭くなり、マイクロディンプル内で潤滑油を封止して、摺動面間に油膜圧力を充分に確保することが難しい。一方、開口部の直径が、20μmを超えた場合、開口部が大き過ぎて、摺動時にマイクロディンプルから潤滑油が逃げ易くなり、この場合も、油膜圧力を充分に確保することが難しい。さらに、マイクロディンプルの最大深さが、0.2μm未満の場合、マイクロディンプルの深さが浅過ぎて、摺動時にマイクロディンプル内に充分な量の潤滑油を保持することが難しい。一方、開口部の直径が上記範囲を満足しつつ、最大深さが、2μmを超えるようなマイクロディンプルを作製することは難しい。
ここで、本発明でいう「マイクロディンプル」とは、直径が、0.1μm〜数百μm程度の開口部を有したディンプル状の微小の凹部(窪み部)をいい、「摺動面全体」とは、マイクロディンプルの開口部を含む摺動面をいい、面積率を言い換えるならば、面積率=(全てのマイクロディンプルの開口部の総面積)/(全てのマイクロディンプルの開口部の総面積+それ以外の実際に摺動する部分の面積)に相当するものである。
また、上述したマイクロディンプルを成形する方法としては、機械的に成形する方法、化学的に成形する方法、レーザ等の熱により成形する方法等、特に限定されるものではない。しかしながら、より好ましい態様としては、前記マイクロディンプルは、表面に円形状の空孔が等間隔に配列されると共に、該空孔の配列が六方最密状である樹脂フィルムで、前記金属材料の摺動面をマスキングし、前記空孔を介して、前記摺動面にエッチング液を接触させることにより成形されたマイクロディンプルである。
このように成形されたマイクロディンプルは、上述した複数の空孔が形成された樹脂フィルムをマスキング材として用いて、エッチングにより成形されたマイクロディンプルであるので、例えば、上述した特許文献2に示すレーザ加工により成形したマイクロディンプルの如く、開口部の周縁が隆起することはない。よって、本発明のこの態様による摺動部材の摺動面は、平滑な状態となる。
さらに、前記樹脂フィルムは、例えば機械加工、レーザによる加工等などを利用して、上述した配列状態の複数の空孔を得ることができるのであれば、その樹脂フィルムの製造方法は、特に限定されるものではない。しかしながら、より好ましい態様としては、前記樹脂フィルムは、水の結露及び該結露により得られた水滴の気化を利用して製造されたフィルムである。
このような方法で製造された樹脂フィルムは、表面に円形状の空孔が等間隔に配列されると共に、該空孔の配列が六方最密状である樹脂フィルムであるので、より好適なマスキング材として用いることができる。また、湿度条件等を変化させることにより、水の結露により生成される水滴の大きさを容易に変化させることができるので、空孔の直径を所望の直径に調整することができる。これにより、マイクロディンプルの開口部の直径を調整することができる。
さらに好ましい態様としては、前記樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムである。この態様によれば、樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂からなるので、摺動面にエッチング液を接触させることによりマイクロディンプルを成形する前に、熱可塑性樹脂を加熱して軟化して延伸させることができる。これにより、樹脂フィルムに形成された空孔の直径を減少させながら(すなわち、空孔の大きさを減少させながら)、樹脂フィルムの表面全体に対する全ての空孔の開口部の占める面積率を調整することができる。また樹脂の種類によっては加熱しても軟化延伸しにくい材料もあり、この場合にはマスキング時の接着剤の量や加熱温度、時間を調整することにより、空孔の開口部周囲の接着強度を低下させ、エッチング時にその部位も削られるため、ディンプルの径を樹脂フィルムの空孔の開口部の径よりも大きくすることができる。つまりこの手法により、樹脂フィルムの空孔の開口部の面積率よりも大きい側へディンプルの面積を調整することができる。
このように、マイクロディンプルの開口部の直径は、樹脂フィルムに生成される水滴の直径、樹脂フィルムの加熱時における、樹脂フィルムの開口部の直径の減少量(または減少率)、及び、樹脂フィルム開口部周囲の接着強度を加味して調整することができる。
本発明では、上述した摺動部材を好適に製造するための方法をも開示する。本発明に係る摺動部材の製造方法は、表面に円形状の空孔が等間隔に配列されると共に、該空孔の配列が六方最密状である樹脂フィルムを製造する工程と、該製造された樹脂フィルムの前記表面を、金属材料からなる摺動面に接着させ、前記樹脂フィルムで、前記摺動面をマスキングする工程と、前記空孔を介して、前記マスキングされた摺動面にエッチング液を接触させることによりマイクロディンプルを成形する工程と、を、少なくとも含むことを特徴とする。
本発明によれば、空孔が形成された樹脂フィルムをマスキング材として用いて、このマスキング材で、摺動面をマスキングし、摺動面のうち空孔により露出した表面にエッチング溶液を接触させることにより、金属材料からなる摺動面のエッチング処理を行うので、開口部近傍が隆起することなく、同時に複数のマイクロディンプルを容易かつ安価に成形することができる。また、成形されたマイクロディンプルは、円形状の開口部を有しており、前記各マイクロディンプルは等間隔に配列され、前記マイクロディンプルの配列は、六方最密状となる。
また、より好ましい態様としては、前記樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂からなり、前記マイクロディンプルを成形する工程の前に、前記樹脂フィルムを加熱することにより、前記樹脂フィルムを延伸させて、前記樹脂フィルムの表面全体に対する全ての前記空孔の開口部の占める面積率を調整することにより、前記摺動面全体に対する全ての前記マイクロディンプルの開口部の占める面積率を調整する。
さらに、樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂からなり、マイクロディンプルを成形する工程の前に、樹脂フィルムを加熱することにより、樹脂フィルムの熱可塑性樹脂が延伸し、前記空孔の直径が減少することにより、マイクロディンプルの直径を調節し、上述したマイクロディンプルの面積率を、所望の面積率に調整することができる。
また、別のより好ましい態様としては、前記摺動面をマスキングする工程において、前記空孔が形成された開口部周囲と摺動面との接着状態を調整することで、前記マイクロディンプルを成形する工程におけるエッチング液に接触する摺動面の面積を調整することにより、前記摺動面全体に対する全ての前記マイクロディンプルの開口部の占める面積率を調整する。
この態様によれば前記摺動面をマスキングする工程において、前記空孔の開口部周囲の接着力を適宜低下させて、エッチング時にマスキングされている面積を調整することにより、マイクロディンプルの開口部の直径を調節し、上述したマイクロディンプルの面積率を、所望の面積率に調整することができる。
より好ましい態様としては、前記摺動面全体に対する全ての前記マイクロディンプルの開口部の占める面積率が50〜80%となるように前記マイクロディンプルの開口部の占める面積率を調整する。この態様によれば、摺動面全体に対する全てのマイクロディンプルの開口部の占める面積率が50〜80%となる、マイクロディンプルを成形することができるので、マイクロディンプル内に潤滑油を保持することが可能となると共に、摺動時には、マイクロディンプル間に形成された表面(凸部の表面)に、油膜を安定して形成することができる。
樹脂フィルムは、上述した空孔を形成することができるのであれば、特に限定されるものではないが、より好ましい態様としては、前記樹脂フィルムを製造する工程において、前記樹脂フィルムを、水の結露及び該結露により得られた水滴の気化を利用して製造する。
この態様によれば、表面に円形状の空孔が等間隔に配列されると共に、該空孔の配列が六方最密状である樹脂フィルムを容易に製造することができる。また、湿度条件等を変化させることにより、水の結露により生成される水滴の大きさを容易に変化させることができるので、空孔の直径を所望の直径に調整することができる。これにより、マイクロディンプルの開口部の直径を容易に調整することができる。
本発明に係る摺動部材によれば、潤滑油による潤滑下において、耐焼付き性を向上させることができる。また、本発明に係る製造方法によれば、安価且つ短い時間で、潤滑油による潤滑下において、耐焼付き性を向上させた摺動部材を製造することができる。
本実施形態に係る摺動部材の製造方法を示した模式的断面図であり、(a)は、水の結露による水滴及び該水滴の気化を利用した樹脂フィルムを製造する工程を説明するための図であり、(b)は、(a)により製造された樹脂フィルムを示した図であり、(c)は、(b)に示す樹脂フィルムで、摺動面をマスキングする工程を説明するための図であり、(d)は、樹脂フィルムの一部除去及び面積率の調整を説明するための図であり、(e)は、(d)のマスキングされた摺動面をエッチングによりマイクロディンプルを成形する工程を説明するための図であり、(f)は、(e)に示す樹脂フィルム除去後の摺動部材を示した図。 図1(a)の樹脂フィルムの製造方法の詳細を説明するための図であり、(a)は、その模式的な上面図であり、(b)は、その断面図。 摺動面に形成されたマイクロディンプルの配列を説明するための図であり、(a)は、本実施形態のマイクロディンプルの配列状態を示した図、(b)は、従来のマイクロディンプルの配列状態の一例を示した図。 図4(a)は、実施例1に係る樹脂フィルム(ハニカム状多孔質膜)の上面を顕微鏡で観察したときの写真図であり、図4(b)は、ハニカム状多孔質膜の断面の写真図。 実施例1に係る摺動部材の摺動面を顕微鏡で観察したときの写真図。 実施例1及び比較例1に係る摺動部材の焼付き試験の結果を説明するための図。 実施例2及び比較例2に係る摺動部材の焼付き試験の結果を説明するための図。 実施例4及び比較例4に係る摺動部材の焼付き試験の結果を説明するための図。
以下に、図面を参照して、本発明に係る摺動部材を好適に製造することができる実施形態に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る摺動部材の製造方法を示した模式的断面図であり、本実施形態に係る摺動部材の製造方法を示した模式的断面図であり、(a)は、水の結露による水滴及び該水滴の気化を利用した樹脂フィルムを製造する工程を説明するための図であり、(b)は、(a)により製造された樹脂フィルムを示した図であり、(c)は、(b)に示す樹脂フィルムで、摺動面をマスキングする工程を説明するための図であり、(d)は、樹脂フィルムの一部除去及び面積率を調整する工程を説明するための図であり、(e)は、(d)のマスキングされた摺動面をエッチングによりマイクロディンプルを成形する工程を説明するための図であり、(f)は、(e)に示す樹脂フィルム除去後の摺動部材を示した図である。
本実施形態では、金属材料からなる基材の摺動面に、以下に示す、樹脂フィルムを用いて、エッチングによりマイクロディンプルを製造する。ここで、金属材料は、後述するエッチング液により摺動面の一部をエッチングすることができるのであれば、その材質は特に限定されるものではなく、例えば、鉄、アルミニウム、銅、又はこれらの合金などを挙げることができる。
まず、図1(a),(b)及び図2(a),(b)を参照しながら、樹脂フィルムの製造工程を説明する。図2は、図1(a)の樹脂フィルムの製造方法の詳細を説明するための図であり、(a)は、その模式的な上面図であり、(b)は、その断面図である。
図1(a)及び図2に示すように、ポリスチレンなどの高分子樹脂材料に対して、両親媒性化合物と、疎水性有機溶媒とを混合して得られたポリマー溶液(疎水性有機溶液)31を、ガラスなどの基材40に被覆する。次に、高湿度の空気を吹き付けると共に、有機溶媒(溶剤)の気化熱を利用して、ポリマー溶液31に水(水分)を結露させて、複数(無数)の水滴(微小水滴)Bを生成する。
ポリマー溶液31の溶剤の気化に伴い、ポリマー溶液の熱可塑性樹脂がフィルム状になると共に、毛管力(毛細管現象)により結露した各水滴Bは、等間隔に配列されると共に、水滴Bの配列は六方最密状になる。さらに、この水滴Bを加熱等により気化(蒸発)させる。これにより、図1(b)及び図2(a),(b)に示すように、基材40上において、表面32aに円形状の空孔33(開口部33a)が等間隔に配列されると共に、空孔33(開口部33a)の配列が六方最密状となったハニカム状多孔質の樹脂フィルム(自己組織化ハニカム構造状フィルム)32が成形される。
ここで、吹き付ける空気の湿度及び空気の吹き付け時間(加湿時間)を変化させ、微小水滴の直径を制御することができる。これにより、表面に形成される空孔33の開口部33aの直径d1を、1μm〜25μmの範囲に調整することができ、後述する摺動面のマイクロディンプルの開口部の直径を調整することができる。例えば、湿度を高くし、加湿時間を長くすれば結露する水の量が多くなり、その結果、微小水滴の径が大きくなる。このような樹脂フィルムを用いれば、摺動部材の表面に、より大きなマイクロディンプルを形成することができる。また、上述した水滴(微小水滴)Bが六方最密状に配列されることから、樹脂フィルム32の表面全体に対する全ての空孔33の開口部33aの占める面積率は、開口部33aの直径d1に拘らず略一定であり、例えば、ポリスチレンの場合には50%程度である。なお、樹脂フィルムに用いる樹脂の材質により、この面積率は変化するが、同じ樹脂を用いた場合には、直径に拘らず面積率は略一定となる。
ここで、高分子樹脂材料としては、疎水性有機溶媒に可溶であれば特に制限されないが、水には不溶もしくは難溶であることが好ましい。高分子樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリメタクリルアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルエーテル、ポリカプロラクトン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミドなどを例示することができ、後述するように、樹脂フィルム32を加熱することにより、空孔33の開口部の直径を減少させ、その面積率を調整することができることから、これらの高分子樹脂材料のうち、ポリエチレン、ポリプロピレンなど、熱により軟化延伸しやすい熱可塑性樹脂を選定することがより好ましい。
また、両親媒性化合物としては、特に限定されず、例えば、Capなどを用いることができ、この他にも、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリムなどを用いてもよい。
さらに、疎水性有機溶媒は、常温で液体の疎水性の有機溶媒であれば特に限定されない。例えば、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン系有機溶媒や、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素や、その他にも、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶剤エーテル系溶剤等を挙げることができる。このようにして、疎水性有機溶液をキャストして形成されたポリマー溶液に、同一曲率半径の球状の微小水滴を形成させることができる。
なお、このような樹脂フィルムの製造方法は、自己組織化を利用した樹脂フィルムの製造方法であり、六方最密状に配列された、同じ直径の水滴が等間隔に整列する現象を利用した製造方法(例えば、特開2001−157574、特開2008−296502により一般的に示された製造方法)である。
次に、図1(c)に示すように、製造された樹脂フィルム32を基材40から取り外し、樹脂フィルム32の空孔33が形成された表面32aを、金属材料からなる基材11の摺動面11aに接着させ、樹脂フィルム32で、摺動面11aをマスキングする。接着させる方法としては、例えば、樹脂フィルム32の表面に、ポリビニルアルコール(PVA)水溶液などの接着剤を、スピンコートにより塗布し、これを基材11の摺動面11aに接着する。
次に、図1(d)に示すように、マスキングされた樹脂フィルム32の上側半分の層を剥がしとり、摺動面11aのうち空孔33の開口部33aに相当する部分11bを露出させる。樹脂フィルム32を加熱することにより、樹脂フィルム32を延伸させ、空孔33の開口部33aの直径d1を減少させる。なお、このとき、樹脂フィルム32の延伸に伴い、樹脂フィルム32の表面と、摺動面11aとに介在する接着剤も共に広がるため、開口部33aの周りの接着状態はほとんど変化ない。これにより、減少した直径d1と略同じ直径の開口部を有したマイクロディンプルを成形することができる。
このような調整により、樹脂フィルム32の表面全体11aに対する全ての空孔33の開口部33aの占める面積率が50〜80%となるように調整する。なお、減少した開口部33の直径d2が、後述するマイクロディンプル13の開口部の直径に相当し、全ての露出している部分11bの面積が、後述する全てのマイクロディンプルの開口部の総面積に相当する。
一方、マイクロディンプルの面積率を増加させたい場合には、樹脂フィルム32のマスキング時の接着剤の量や加熱温度、時間を調整することにより、空孔33の開口部33aの周囲の接着強度を低下させ(空孔が形成された開口部周囲と摺動面との接着状態を調整し)、これにより、エッチング時にその部分も削られる(マイクロディンプル13を成形する工程におけるエッチング液に接触する摺動面の面積が調整される)。これにより、マイクロディンプル13の開口部13aの直径を樹脂フィルム32の空孔33の開口部33aの直径よりも大きくすることができる。つまりこの手法により、樹脂フィルム32の空孔33の開口部33aの面積率よりも大きい側へマイクロディンプル13の面積率を調整することができる。
次に、図1(e)に示すように、空孔33を介して、摺動面11aのうち空孔33により露出した部分11bにエッチング溶液を接触させる。これにより、マスキングされた摺動面11aのエッチング処理を行って、基材11の一部を化学的に削り取り、開口部の直径d2のマイクロディンプル13を成形することができる。また、上述したように、空孔33の開口部33aの周囲の接着強度を低下させた場合には、エッチング時にその部分も削られる。
なお、エッチング溶液は、上述した金属材料の表面を化学的に溶解することができる溶液であれば特に限定されるものではなく、例えば、塩酸、硝酸、硫酸等などの強酸の水溶液などを挙げることができる。最後に、図1(f)に示すように、樹脂フィルム32を基材11である摺動部材から剥がしとり、摺動部材1を得ることができる。
また、マイクロディンプルの開口部の直径d2は、2〜20μmの範囲にあり、これは、樹脂フィルム32の加熱時における、樹脂フィルム32の開口部33aの直径の減少量、及びマスキング工程(接着工程)での空孔33の開口部33aの周囲の非接着部を含む接着強度の低下した部分を加味した上で、上述した湿度条件による樹脂フィルムの表面の空孔の直径を調整することにより、この範囲に収めることができる。また、マイクロディンプルの最大深さは、0.2〜2μmの範囲にあり、上述したエッチング処理を繰り返し行うことにより、この範囲に収めることができる。
このようにして得られた摺動部材は、複数のマイクロディンプルを、ばらつきなくより密な配置状態で摺動面に形成し、これらのマイクロディンプル内に潤滑油を保持することができる。
そして、得られたマイクロディンプル13は、図3(a)に示すように、円形状の開口部13aを有しており、各マイクロディンプル13は等間隔に配列され、マイクロディンプル13の配列は、六方最密状となる。すなわち、従来(上述した特許文献2)の如く、図3(b)に示すようにマイクロディンプル93を配列した場合には、4つの隣接するマイクロディンプル93同士の距離L1に比べ、対角に配列されたマイクロディンプル同士の距離L2は大きくなるため、図示の中央の表面(摺動部分である凸部表面)94にマイクロディンプル93内の潤滑油が、摺動時に供給されにくい状態になると考える。しかしながら、図3(a)に示すように、本実施形態の場合には、マイクロディンプル13の配列が、六方最密状になっているため、隣接するマイクロディンプル13間の距離Lは、全て略同じとなるので、マイクロディンプル13、13間に形成された表面(実際に摺動する表面である凸部の表面)14に、潤滑油を安定して供給することができる。
さらに、摺動面11a全体に対する全てのマイクロディンプル13の開口部13aの占める面積率は、50〜80%であるので、マイクロディンプル13内に潤滑油を保持することができると共に、摺動時には、マイクロディンプル13間に形成された表面14に、油膜を安定して形成し、摺動部材1の摺動面11aの耐焼付き性を向上させることができる。なお、摺動面全体の面積は、全てのマイクロディンプル13の開口部13aの総面積と、凸部となる表面14とを合わせた面積であり、面積率は、この面積で、全てのマイクロディンプル13の開口部13aの総面積を除算した値である。
この面積率が、50%未満である場合、摺動時において、マイクロディンプルから、マイクロディンプル13、13間に形成された表面(実際に摺動する表面である凸部の表面)14に、潤滑油が充分に供給されないことがあり、この結果、摺動面が焼付くおそれがある。さらに、面積率が80%を超えた場合には、凸部の表面14の面積が小さいため、摺動時に、この表面14の面圧が増加し、凸部の表面14が焼付くおそれがある。
以下に、本発明を実施例により説明する。以下の実施例は、上に示した本実施形態に沿って行われたものであるが、本発明を限定するものではない。
(実施例1)
1)樹脂フィルム(ハニカム状多孔質膜)の作製
まず、ポリスチレン(PS、Mw=280000,Aldrich,Chart1)に対して、質量比10%の両親媒性化合物(Cap)を混合した混合物(PS:Cap=10:1)に、CHCl溶液(5g/L)を直径9cmのガラスシャーレにキャストした。これに高湿度の空気(相対湿度70%程度)を吹き付け、水分を結露させ、六方最密状(ヘキサゴナル)に等間隔に配列された微小水滴を形成し、球状の微小水滴を蒸発させることにより、開口部の直径が8μmの空孔が等間隔に配列され、その配列が六方最密状の自己組織化による樹脂フィルム(ハニカム状多孔質膜)を作製した。図4(a)は、実施例1に係る樹脂フィルム(ハニカム状多孔質膜)の上面を顕微鏡で観察したときの写真図であり、図4(b)は、ハニカム状多孔質膜の断面の写真図である。
2)マスキング
1)で作製された樹脂フィルムに、PVA(ポリビニルアルコール)水溶液をスピンコートし、寸法:30×30×5mm、材質:炭素鋼(JIS規格:S55焼入れ)、表面粗さRa:0.02μmの平板試験片に、樹脂フィルムの上下を反転して、空孔にある表面を接着した。その後、樹脂フィルムの空孔のない層を剥がし取り(図1(d)参照)、80℃で10分間、平板試験片の乾燥を行った。その後、溶剤を用いて表面に残ったPVAの洗浄を行い、最後に200℃で3時間の加熱(アニーリング)を行った。これにより、空孔の開口部の直径を、8μm、表面に対する全ての空孔の占める面積率を、50%とした。今回用いたポリスチレンは、加熱しても軟化し難い材料であり、アニーリング前後の空孔で空孔の開口部の直径に変化はなかった。
3)エッチング
硝酸0.6ml、エタノール9.4mlの混合溶液をスターラーで30秒間撹拌後、マスキングした平板試験片を5秒間浸漬し、その後エタノールで洗浄後にドライヤで乾燥した。この浸漬、洗浄、乾燥を繰り返し、マイクロディンプルの最大深さが、0.3μmとなるまで行った。最後にハニカム構造フィルムを平板試験片から剥がしとり、エタノールで洗浄した。これにより、摺動部材に相当する平板試験片を作製した。なお、マイクロディンプルの最大深さは、接触式の表面粗さ計を用いて測定した。
図5は、実施例1に係る摺動部材の摺動面を光学顕微鏡で観察したときの写真図である。この摺動部材は、摺動面全体に対する全てのマイクロディンプルの開口部の占める面積率は、50%であった。また、マイクロディンプルの開口部の直径は、8μmであった。なお、面積率は、図5に示す写真(画像)を用いて、マイクロディンプルに相当する画像と、それ以外との画像とを、2値化処理により区分けし、マイクロディンプルに相当する画像の面積を画像全体の面積で除算することにより求めた。また、マイクロディンプルの開口部の直径は、この画像から読み取った値である。
更に、実施例1に係る試験片として、図6に示すように、面積率が50%〜80%となるように、マイクロディンプルの開口部の直径(ディンプル径)が8〜12μmの範囲内で、マイクロディンプルの最大深さが0.3μmとなるように、平板試験片を作製した。面積率は、今回用いた樹脂フィルムの材料がポリスチレンであり加熱しても軟化延伸しにくい材料であるためマスキング時の接着工程でPVAの量及びアニーリングの温度、時間を調整して、空孔開口部周囲の接着強度を低下させて、実質的な接着面積(マスキングによりエッチングされる面積)を調整することにより、変化させた。
(比較例1)
実施例1と同じようにして、平板試験片を作製した。実施例1と相違する点は、ディンプル径、PVAの量及びアニーリングの温度及び時間を調整して、図6に示すように、面積率が80%を超えるようにし、50%未満のものは、レーザ光を照射し、その後ラップ加工を施して平板試験片を作製した点である。
<焼付き試験>
実施例1及び比較例1の平板試験片に対して、焼付き試験を行った。具体的には、寸法:外形φ25.6、内径φ20、高さ15mm、材質:炭素鋼(S50焼入れ)、表面粗さRa:0.02μmの円筒試験片を準備し、円筒試験片の端面を、平板試験片の摺動面に押当てて、円筒試験片の回転数500rpm、荷重100Nで10分間ならし試験後、2分間毎に100Nずつ荷重を増加させ焼付いた時点で試験をストップした。焼付きの判断は、試験中に摩擦係数が0.3を超えた時点を焼付きとした。なお潤滑油は市販エンジン油0W20を用い、油浴80℃で試験を行った。この結果を、図6に示す。
〔結果1〕
図6に示すように、実施例1の面積率50〜80%の平板試験片は、2000N以上の焼付き荷重であり、比較例1のものに比べて、耐焼付き性が高いといえる。この理由としては、面積率が、50%未満である場合、摺動時において、マイクロディンプルから、マイクロディンプル間に形成された表面(実際に摺動する表面である凸部の表面)に、潤滑油が充分に供給されないことがあり、この結果、摺動面が焼付くおそれがあると考えられる。一方、面積率が80%を超えた場合には、凸部の表面の面積が小さいため、摺動時に、この表面の面圧が増加し、摺動面が焼付くおそれがあると考えられる。
(実施例2)
実施例1と同じようにして、平板試験片を作製した。実施例1と相違する点は、マイクロディンプルの開口部の直径(ディンプル径)を8μm、面積率65%とし、エッチングを繰り返すことにより、マイクロディンプルの最大深さを、図7に示すように、0.2μm以上の範囲を満たす最大深さの異なる複数の平板試験片を作製した点である。実施例1と同じようにして、焼付き試験を行った。この結果を図7に示す。
(比較例2)
実施例2と同じようにして、平板試験片を作製した。実施例2と相違する点は、エッチングを繰り返すことにより、マイクロディンプルの最大深さを、図7に示すように、0.2μm未満の範囲を満たす最大深さの異なる複数の平板試験片を作製した点である。実施例1と同じようにして、焼付き試験を行った。この結果を図7に示す。
(実施例3)
実施例1と同じようにして、平板試験片を作製した。実施例1と相違する点は、マイクロディンプルの開口部の直径(ディンプル径)を8μm、面積率65%とし、エッチングを繰り返すことにより、マイクロディンプルの最大深さを2μmにした点である。
(比較例3)
実施例3と同じようにして、平板試験片を作製した。実施例3と相違する点は、マイクロディンプルの開口部の直径(ディンプル径)を8μm、面積率65%とし、エッチングを繰り返すことにより、マイクロディンプルの最大深さを2.2μm(2μmを超えるように)にした点である。
〔結果2〕
図7に示すように、実施例2の平板試験片は、マイクロディンプルの最大深さが0.2μm以上であり、この場合には、比較例2の平板試験片に比べて、焼付き荷重が約4倍となった。比較例2の如く、マイクロディンプルの最大深さが、0.2μm未満の場合、マイクロディンプルの深さが浅すぎて、摺動時に充分な量のマイクロディンプル内に潤滑油を保持することが難しいと考えられる。また、実施例3の場合には、マイクロディンプルの最大深さが2μmの平板試験片を作製できたが、比較例3の場合には、2μmを超えたあたりから、エッチングを繰り返すことにより、マイクロディンプルの側面(リム部)まで削りとられてしまった。このような結果から、マイクロディンプルの最大深さは、0.2〜2μmの範囲がより好ましいと考えられる。
(実施例4)
実施例1と同じようにして、平板試験片を作製した。実施例1と相違する点は、マイクロディンプルの最大深さを0.3μm、面積率65%とし、図8に示すように、マイクロディンプルの開口部の直径が、2〜20μmの範囲を満たす直径の異なる複数の平板試験片を作製した。なお、ディンプル径はハニカム構造フィルム製作時、ポリスチレンと両親媒性化合物(Cap)を混合した混合物のCHCl溶液に高湿度の空気を吹き付けて樹脂フィルムを作製するが、このときの吹き付ける空気の湿度および吹き付ける時間(加湿時間)を調整することにより水滴の大きさを調整することができる。これを利用して、マイクロディンプルの開口部の直径を変化させた。実施例1と同じようにして、焼付き試験を行った。この結果を図8に示す。
(比較例4)
実施例4と同じようにして、平板試験片を作製した。実施例4と相違する点は、マイクロディンプルの開口部の直径が、2μm未満、20μmを超えた範囲を満たす直径の異なる複数の平板試験片を作製した点である。実施例1と同じようにして、焼付き試験を行った。この結果を図8に示す。
〔結果3〕
図8に示すように、実施例4のマイクロディンプルの開口部の直径が2〜20μmで、平板試験片は、2000N以上の焼付き荷重となり、5〜15μmで、平板試験片は、2500N以上の焼付き荷重となり、比較例4のものに比べて、耐焼付き性が高いといえる。この理由としては、開口部の直径が、2μm未満の場合、開口部が小さくなることにより、マイクロディンプル間の距離も狭くなり過ぎるため、凸部表面が狭くなり、マイクロディンプル内で潤滑油を封止して、摺動面間に油膜圧力を充分に確保することが難しいと考えられる。一方、開口部の直径が、20μmを超えた場合、開口部が大き過ぎて、摺動時にマイクロディンプルから潤滑油が逃げ易くなり、この場合も、油膜圧力を充分に確保することが難しいと考えられる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…摺動部材,11…基材,11a:摺動面、13:マイクロディンプル、13a:開口部、14:表面、31:ポリマー溶液、32:樹脂フィルム、32a:樹脂フィルムの表面、33:空孔、33a:開口部、40:基材、B:水滴

Claims (4)

  1. 表面に円形状の開口部を有した空孔が等間隔に配列されると共に、該空孔の配列が六方最密状である樹脂フィルムを製造する工程と、
    該製造された樹脂フィルムの前記表面を、金属材料からなる摺動面に接着させ、前記樹脂フィルムで、前記摺動面をマスキングする工程と、
    前記空孔を介して、前記マスキングされた摺動面にエッチング液を接触させることによりマイクロディンプルを成形する工程と、を、少なくとも含み、
    前記樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂からなり、前記マイクロディンプルを成形する工程の前に、前記樹脂フィルムを加熱することにより、前記樹脂フィルムを延伸させて、前記樹脂フィルムの表面全体に対する全ての前記空孔の開口部の占める面積率を調整することにより、前記摺動面全体に対する全ての前記マイクロディンプルの開口部の占める面積率を調整することを特徴とする摺動部材の製造方法。
  2. 表面に円形状の開口部を有した空孔が等間隔に配列されると共に、該空孔の配列が六方最密状である樹脂フィルムを製造する工程と、
    該製造された樹脂フィルムの前記表面を、金属材料からなる摺動面に接着させ、前記樹脂フィルムで、前記摺動面をマスキングする工程と、
    前記空孔を介して、前記マスキングされた摺動面にエッチング液を接触させることによりマイクロディンプルを成形する工程と、を、少なくとも含み、
    前記摺動面をマスキングする工程において、前記空孔が形成された開口部周囲と摺動面との接着状態を調整することで、前記マイクロディンプルを成形する工程におけるエッチング液に接触する摺動面の面積を調整することにより、前記摺動面全体に対する全ての前記マイクロディンプルの開口部の占める面積率を調整することを特徴とする摺動部材の製造方法。
  3. 前記摺動面全体に対する全ての前記マイクロディンプルの開口部の占める面積率が50〜80%となるように前記マイクロディンプルの開口部の占める面積率を調整することを特徴とする請求項1または2に記載の摺動部材の製造方法。
  4. 前記樹脂フィルムを製造する工程において、前記樹脂フィルムを、水の結露及び該結露により得られた水滴の気化を利用して製造することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の摺動部材の製造方法。
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