JP4910193B2 - 周期的な構造が形成された樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
「自己組織化によるナノマテリアル(田中賢等)」、特集3−ナノテク/バイオなど次世代注目技術と微細加工機器・システム、「M&E」、工業調査会、(2003年8月号、p.190−195)
[1] 周期的な構造が形成された樹脂フィルムの製造方法であって、
周期的なドットパターンを有する樹脂フィルムを準備するステップ、および前記周期的なドットパターンを有する樹脂フィルムを熱、光、赤外線またはマイクロ波によって収縮するステップを含み、かつ
前記周期的なドットパターンは、ハニカム状多孔質フィルムを鋳型として、そのハニカムパターンを転写することにより形成されたパターンである樹脂フィルムの製造方法。
[2] 前記周期的な構造は、周期的なドットを有し、かつ各ドットにしわ状の凹凸を有し、前記凹凸は前記収縮する方向に繰り返される構造である、[1]に記載の製造方法。
[3] 前記ドットパターンを有する樹脂フィルムは、熱、光、赤外線またはマイクロ波によって収縮するフィルムであり、かつ前記ドットパターンを有する樹脂フィルムの収縮は、熱、光、赤外線またはマイクロ波の照射によって行われる、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4] 前記ドットパターンを有する樹脂フィルムを収縮するステップは、
前記ドットパターンを有するフィルムを、熱、光、赤外線またはマイクロ波によって収縮するフィルムに貼り合わせて複層フィルムを得る工程、および前記複層フィルムを、熱、光、赤外線またはマイクロ波によって収縮させる工程を含む、[1]または[2]に記載の製造方法。
[5] 前記ハニカムパターンの転写は、前記ハニカム状多孔質フィルムをマスクとする物理気相堆積法による転写である、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6] 前記ハニカムパターンの転写は、前記ハニカム状多孔質フィルムをマスクとする化学気相堆積法による転写である、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[7] 前記ハニカムパターンの転写は、前記ハニカム状多孔質フィルムをマスクとする、塗布法、スピンキャスト法、ディップ法またはめっき法による転写である、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[8] 前記熱、光、赤外線またはマイクロ波によって収縮するフィルムが、異方的に収縮する、[3]または[4]に記載の製造方法。
[9] 前記熱、光、赤外線またはマイクロ波によって収縮するフィルムが、等方的に収縮する、[3]または[4]に記載の製造方法。
[10] 前記ハニカム状多孔質フィルムを準備するステップであって、
高分子材料を溶解した疎水性有機溶液を高湿度雰囲気下でキャストする工程、前記キャスト液から、キャスト液に含まれる有機溶媒を蒸発させると同時に、キャスト液表面で高湿度雰囲気成分を結露させる工程、および前記結露により生じた微小液滴を蒸発させてキャスト膜を形成する工程、を有するステップをさらに含む、[1]〜[9]のいずれかに記載の製造方法。
[11] 前記ハニカム状多孔質フィルムを準備するステップであって、
高分子材料を溶解した疎水性有機溶液をキャストする工程、前記キャスト液に高湿度ガスを吹き付けて、キャスト液に含まれる有機溶媒を蒸発させると同時に、キャスト液表面で高湿度雰囲気成分を結露させる工程、および前記結露により生じた微小液滴を蒸発させてキャスト膜を形成する工程、を有するステップをさらに含む、[1]〜[9]のいずれかに記載の製造方法。
[12] 前記周期的な構造が形成された樹脂フィルムは光学フィルムである、[1]〜[11]のいずれかに記載の製造方法。
周期的なドットパターンを有する樹脂フィルムは、ハニカム状多孔質フィルムを鋳型として用いて、そのハニカムパターンを樹脂フィルムに転写して得ることができる。ハニカム状多孔質フィルムは、自己組織化手法によって作製することができる。また、樹脂フィルムの収縮は、熱、光、赤外線またはマイクロ波の照射によって行なえばよい。したがって本発明の製造方法に含まれる工程はいずれも、簡便かつ安価に行なうことができる。
ハニカム状多孔質フィルムは、自己組織化手法によって作製されることが好ましい。自己組織化手法によるハニカム状多孔質フィルムの製造は、例えば、前述の非特許文献1や特開2001−157574の記載を参照して行われうる。自己組織化手法によるハニカム状多孔質フィルムの製造方法は、溶媒の蒸発過程で発生する散逸構造をフィルムに固定化することを特徴とする。
前記疎水性有機溶液をキャストして形成されたキャスト液の膜に、微小水滴を形成させることができるので、その微少水滴を蒸発させればハニカムパターンが得られる。
自己組織化手法により得られるハニカム状多孔質フィルムは、ハニカム状の多孔体である。例えば、微小な孔が規則的にヘキサゴナルに配列したハニカムパターンとなる。孔の直径は、好ましくは0.1〜100μmであり、より好ましくは0.1〜10μmである。孔の直径は、微小液滴の形成の条件を調整することによって制御することができる。
ハニカム状多孔質フィルムは鋳型として用いられ、そのハニカムパターンは樹脂フィルムに転写される。ハニカム状多孔質フィルムを鋳型として用いるとは、「マスク」として用いることを含む。マスクとして用いるためには、ハニカム状多孔質フィルムの孔が貫通していること(貫通構造)が好ましい。
図2を参照して、貫通構造とするための処理の例を説明する。非貫通構造のハニカム状多孔質フィルムを準備する(ステップ1)。非貫通構造のハニカム状多孔質フィルムをUVオゾン処理して酸化させる(ステップ2)。ハニカム状多孔質フィルムの孔が形成された面を、「収縮させる樹脂フィルム」に貼り合わせて複層フィルムとして、任意に複層フィルムを常温常圧で乾燥させる。さらにハニカム状多孔質フィルムの、孔が形成されていない面にシリコンラバーを接触させて応力を加える(ステップ3)。その後、シリコンラバーを剥がすことにより、収縮させる樹脂フィルムに周期的なドット(ピラー)を形成する(ステップ4)。
周期的なドットパターンを有する樹脂フィルムを収縮させることにより、自己組織化手法のみでは困難であった構造が形成された樹脂フィルムを得ることができる。ドットパターンを有する樹脂フィルムが、収縮性フィルムである場合には、そのフィルムに熱、光、赤外線、マイクロ波などを照射して収縮させればよい。一方、ドットパターンを有する樹脂フィルムが、非収縮性フィルムである場合には、例えば収縮性フィルムに貼り付けて複層フィルムとして、複層フィルムを収縮させればよい。
本発明の方法により製造される周期的な構造が形成されたフィルムは、周期的なドットを有し、かつ各ドットにしわ状の凹凸を有する。しわ状の凹凸は、一定の方向に繰り返されていることが好ましい。つまり、前記収縮性フィルムの収縮の方向に、しわ状の凹凸が繰り返される。
ドットの周期は、好ましくは0.01〜100μmであり、より好ましくは0.01〜10μmであるが、特に限定されない。
また、しわ状の凹凸の大きさは、特に限定されないが、好ましくは凹凸の幅が0.001〜10μm、凹凸の高さが0.001〜10μm、凹凸の周期が0.001〜10μmであり;より好ましくは凹凸の幅が0.01〜1μm、凹凸の高さが0.01〜1μm、凹凸の周期が0.01〜1μmである。
高分子材料としてポリスチレン、および以下に示す両親媒性高分子、ならびに溶媒としてクロロホルムを使用して、ハニカム状多孔質フィルムを作製した。
ポリスチレンと上記両親媒性高分子(重量比で10:1)を溶解したクロロホルム溶液(5g/L)5mLを、直径9cmのシャーレにキャストした。その直後に、湿度70%の空気を吹き付けて、非貫通型のハニカム状多孔質フィルムを形成した。
フィルムを形成したシャーレをエタノールに浸漬し、ハニカム状多孔質フィルムを剥離して自己支持性ハニカム状多孔質フィルムを得た。得られたハニカム状多孔質フィルムを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した(図1)。孔が規則的に配置されていることを確認した(周期:8.0μm)。
作製した非貫通型のハニカム状多孔質フィルム1を準備して(図2ステップ1)、UVオゾン処理2を行うことで酸化させ、酸化したハニカム状多孔質フィルム3を得た(図2ステップ2)。
酸化したハニカム状多孔質フィルム3の孔が形成されている面を、1.5倍に2軸延伸したアペル8008Tフィルム5に貼り合わせて、複層フィルムとした。複層フィルムを常温常圧で乾燥した後、複層フィルムのハニカム状多孔質フィルム面(孔が形成されていない面)に、ポリジメチルシロキサンエラストマー4を介して応力を加えた(図2ステップ3)。その後、ポリジメチルシロキサンエラストマー4を剥がして、1.5倍に2軸延伸したアペル8008Tフィルム5にピラー構造6を形成した(図2ステップ4)。
ポリスチレンと上記両親媒性高分子(重量比で10:1)を溶解したクロロホルム溶液(5g/L)4.5mLをキャストする以外は実施例1と同様の方法で、周期7.8μmのハニカムフィルムを得た。得られたハニカムフィルムと2倍の1軸延伸したアペル8008Tフィルムを用いた以外は実施例1と同様の操作を行ったところ、ドットの周期が3.8μmに狭小化され、かつ各ドットの表面に、数百nmのしわ状の凹凸が形成されていることが確認された(図5)。
ポリスチレンと上記両親媒性高分子(重量比で10:1)を溶解したクロロホルム溶液(5g/L)3mLをキャストする以外は実施例1と同様の方法で、周期5.0μmのハニカムフィルムを得た。得られたハニカムフィルムと2.5倍の1軸延伸したアペル8008Tフィルムを用いた以外は実施例1と同様の操作を行ったところ、ドットの周期が2.0μmに狭小化され、かつ各ドットの表面に、数百nmのしわ状の凹凸が形成されていることが確認された(図6)。
Claims (12)
- 周期的な構造が形成された樹脂フィルムの製造方法であって、
周期的なドットパターンを有する樹脂フィルムを準備するステップ、および前記周期的なドットパターンを有する樹脂フィルムを熱、光、赤外線またはマイクロ波によって収縮するステップを含み、かつ
前記周期的なドットパターンは、ハニカム状多孔質フィルムを鋳型として、そのハニカムパターンを転写することにより形成されたパターンである、樹脂フィルムの製造方法。 - 前記周期的な構造は、周期的なドットを有し、かつ各ドットにしわ状の凹凸を有し、前記凹凸は前記収縮する方向に繰り返される構造である、請求項1に記載の製造方法。
- 前記ドットパターンを有する樹脂フィルムは、熱、光、赤外線またはマイクロ波によって収縮するフィルムであり、かつ
前記ドットパターンを有する樹脂フィルムの収縮は、熱、光、赤外線またはマイクロ波の照射によって行われる、請求項1または2に記載の製造方法。 - 前記ドットパターンを有する樹脂フィルムを収縮するステップは、
前記ドットパターンを有するフィルムを、熱、光、赤外線またはマイクロ波によって収縮するフィルムに貼り合わせて複層フィルムを得る工程、および
前記複層フィルムを、熱、光、赤外線またはマイクロ波によって収縮させる工程を含む、請求項1または2に記載の製造方法。 - 前記ハニカムパターンの転写は、前記ハニカム状多孔質フィルムをマスクとする物理気相堆積法による転写である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記ハニカムパターンの転写は、前記ハニカム状多孔質フィルムをマスクとする化学気相堆積法による転写である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記ハニカムパターンの転写は、前記ハニカム状多孔質フィルムをマスクとする、塗布法、スピンキャスト法、ディップ法またはめっき法による転写である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記熱、光、赤外線またはマイクロ波によって収縮するフィルムが、異方的に収縮する、請求項3または4に記載の製造方法。
- 前記熱、光、赤外線またはマイクロ波によって収縮するフィルムが、等方的に収縮する、請求項3または4に記載の製造方法。
- 前記ハニカム状多孔質フィルムを準備するステップであって、
高分子材料を溶解した疎水性有機溶液を高湿度雰囲気下でキャストする工程、
前記キャスト液から、キャスト液に含まれる有機溶媒を蒸発させると同時に、キャスト液表面で高湿度雰囲気成分を結露させる工程、および
前記結露により生じた微小液滴を蒸発させてキャスト膜を形成する工程、
を有するステップをさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法。 - 前記ハニカム状多孔質フィルムを準備するステップであって、
高分子材料を溶解した疎水性有機溶液をキャストする工程、
前記キャスト液に高湿度ガスを吹き付けて、キャスト液に含まれる有機溶媒を蒸発させると同時に、キャスト液表面で高湿度雰囲気成分を結露させる工程、および
前記結露により生じた微小液滴を蒸発させてキャスト膜を形成する工程、
を有するステップをさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法。 - 前記周期的な構造が形成された樹脂フィルムは光学フィルムである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の製造方法。
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