JP5172733B2 - 車両用前照灯装置 - Google Patents
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Description
本発明は、車両用前照灯装置、特に配光パターンの照射方向を制御する制御機構を有する車両用前照灯装置に関する。
車両用前照灯装置は、光源からの光をリフレクタで前方へ反射させてロービームまたはハイビームを照射するようになっている。このような車両用前照灯装置において道路環境や車両走行環境に応じて配光パターンを車両旋回方向へ変えられる構造を有するものがある。例えば、特許文献1に記載された車両用前照灯装置は、いわゆるスイブル機構を備えた補助前照ランプを有している。このスイブル機構は、車両旋回方向に応じて補助前照ランプがその旋回方向に向く。つまり、配光パターンを旋回方向に向ける機構で、曲路における前方視認性を高めている。
特許文献1に記載された車両用前照灯装置のスイブル機構は、ランプユニットを旋回方向に回転駆動させる動力手段として回転モータを用いている。しかしながら、回転モータを用いる場合は歯車機構を併用する必要がある。歯車機構には必ずバックラッシが存在し、高精度の回転制御が困難であるという問題があった。また、歯車機構などの動力伝達機構が中間機構として必要になるので、部品点数が多くなると共に構造が複雑になり、車両用前照灯装置の大型化や故障の発生可能性箇所の増大を招くという問題があった。
そこで、本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、駆動伝達系のバックラッシを抑制できると共に構造がシンプルなスイブル機構を有する車両用前照灯装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両用前照灯装置は、車両前方へ光を照射する光学系と、前記光学系を載置すると共に前記光の光軸方向と直交する回転軸を中心に回動自在なベース部材と、前記ベース部材の一部と接触すると共に、前記回転軸と直交する方向に振動して当該振動の一方向の移動時に推力を伝達して前記ベース部材を前記回転軸を中心として回転させる振動アクチュエータと、前記振動アクチュエータを制御して前記ベース部材を正転方向または逆転方向に回転駆動して前記光学系を車幅方向に揺動させる揺動制御部と、を含むことを特徴とする。
光学系は、車両前方へ光を照射可能で、例えばロービーム用の配光パターンを形成する光学系やハイビーム用の配光パターンを形成する光学系を含む。光軸と直交するベース部材の回転軸は、例えば鉛直方向に延びる軸とすることができる。振動アクチュエータの振動出力軸はベース部材の一部と接触して、当該振動出力軸が回転軸と直交する方向に振動した場合、その振動の一方向の移動時に推力をベース部材に伝達する。逆に、振動アクチュエータの振動が他方向の場合、推力はベース部材に伝達されない。したがって、振動アクチュエータの振動が継続的に行われることによりその振動状態に応じた距離だけ一方向の推力伝達を繰り返し行いベース部材を一方向に正転回動させる。同様に、振動アクチュエータの振動状態を正転回動時と逆状態にすることによりベース部材を逆転回動させることができる。
この態様によれば、振動アクチュエータからの推力をバックラッシなしでベース部材に伝達できる。また、振動による駆動なので一振動当たりの僅かな回動量の積み重ねでベース部材の総回動量を制御でする。その結果、光学系の高精度の回動制御が可能になり、配光パターンの向きを変化させる高精度のスイブル動作が実現できる。また、振動アクチュエータとベース部材とは接触により推力を伝達するので構造がシンプルであり機構の大型化や故障箇所の増大を抑制できる。
また、上記態様において、前記振動アクチュエータは、前進時と後進時で異なる移動速度で動作するロッドを含み、前記ベース部材は、前記回転軸の軸方向の隔てられた2箇所で前記ロッドを摺動自在に挟持して当該ロッドの推力をベース部材側に伝達するようにしてもよい。振動アクチュエータのロッドが、当該ロッドとベース部材との間の静止状態を維持できる静止摩擦力より小さな力を発生するような移動速度で動作する場合、ベース部材はロッドの振動に伴いロッド移動方向に移動する。つまり、ベース部材は回動する。一方、ロッドが当該ロッドとベース部材との間の静止状態を維持できる静止摩擦力より大きな力を発生するような移動速度で動作する場合、ベース部材はロッドの振動に対して滑って静止したままとなる。つまり、ベース部材は回動しない。この2種類の移動速度の振動を繰り返すことによりベース部材を一方向に回動させることができる。このとき、ベース部材に例えば回転軸の軸方向の隔てられた2箇所でロッドを挟持するような挟持部を形成すれば、ロッドとの接触状態のコントロールが容易になりベース部材に対する推力の伝達制御が容易になる。
また、上記態様において、前記ベース部材は、前記光学系のうち光源の光を車両前方へ導く投影レンズを載置し、前記回転軸の位置が前記投影レンズの後方焦点位置に対応するようにしてもよい。この場合、ベース部材の回動により投影レンズの向きを変化させることにより形成する配光パターンの向きを変化させて簡易的なスイブル動作を実現できる。このとき振動アクチュエータにより駆動するベース部材に搭載する光学系をスイブル動作に必要な最小限構成としているので、回動させるベース部材の軽量化に寄与できる。その結果、スムーズなスイブル動作を実現できる。また、このときの振動アクチュエータは小さい能力のものが利用可能となり、小型化、小電力化に寄与することができる。さらに、回転軸の位置を投影レンズの後方焦点位置に対応させているので、投影レンズが回動した場合でも形成される配光パターンに回動による影響を与えることがなく、焦点のあった鮮明な配光パターンをそのままスイブル動作させることができる。
また。上記態様において、前記ベース部材は、前記光源から照射された光の一部を遮り所定の配光パターンを形成するシェードをさらに載置してもよい。この場合、照射光の明暗の境界線を形成するシェードと投影レンズを一体に回動させ、かつ回転軸の位置が投影レンズの後方焦点位置に対応するようにしている。その結果、ベース部材が回動してもシェードの形成する明暗の境界線、例えばカットオフラインの形状に変化を生じさせることがなく良好な配光パターンを維持したままスイブル動作させることができる。
本発明の車両用前照灯装置によれば、駆動伝達系のバックラッシを抑制できると共に構造がシンプルなスイブル機構を有する車両用前照灯装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に基づいて説明する。
本実施形態の車両用前照灯装置は、車両前方へ光を照射する光学系と、この光学系を載置するベース部材と、ベース部材を回転軸を中心として回転させる振動アクチュエータと、振動アクチュエータを制御する揺動制御部とを含む。ベース部材は、光の光軸方向と直交する回転軸を中心に回動自在である。また、振動アクチュエータは、ベース部材の一部と接触すると共に、回転軸と直交する方向に振動して当該振動の一方向の移動時に推力を伝達してベース部材を回転軸を中心として回転させる。揺動制御部は、振動アクチュエータを制御してベース部材を正転方向または逆転方向に回転駆動して光学系を車幅方向に揺動させてスイブル動作を実現する。
図1は、本実施形態の車両用前照灯装置10の概略構成を説明する構成図である。
図1に示す車両用前照灯装置10は、車両の車幅方向の左右に1灯ずつ配置されるいわゆる配光可変式前照灯と呼ばれる車両用前照灯装置であり、ロービーム用配光パターンとハイビーム用配光パターンを選択的に形成する。車両用前照灯装置10は、車両前方方向に開口部を有するランプボディ12とランプボディ12の開口部を覆う透明カバー14で形成される灯室16を有する。灯室16には、光を車両前方方向に照射するランプユニット18が収納されている。ランプユニット18の一部には、当該ランプユニット18の揺動中心の1つとなるピボット機構20aを有するランプブラケット20が形成されている。ランプブラケット20はランプボディ12の内壁面に立設されたボディブラケット22とネジ等の締結部材によって接続されている。したがって、ランプユニット18は灯室16内の所定位置に固定されると共に、ピボット機構20aを中心として、例えば前傾姿勢または後傾姿勢に姿勢変化可能となる。
また、ランプユニット18は、当該ランプユニット18を下方から支持するベース部材24に載置されている。また、ベース部材24は、ランプユニット18を構成する光学系の光軸方向と直交する回転軸26を中心に回動自在にユニットブラケット28に載置されている。なお、回転軸26はランプユニット18の揺動中心となるのでランプユニット18の上方に設けられたピボット機構20aと同軸になるように構成されている。ベース部材24の一部には当該ベース部材24を車幅方向に揺動させてスイブル動作を実現する振動アクチュエータ30のロッド32が振動出力軸として接触している。ベース部材24とロッド32との接触状態については後述する。
このユニットブラケット28には、ランプボディ12の外部に配置されたレベリングアクチュエータ34が接続されている。このレベリングアクチュエータ34は例えばロッド34aを矢印A、B方向に伸縮させるモータなどで構成されている。ロッド34aが矢印A方向に伸長した場合、ランプユニット18はピボット機構20aを中心として後傾姿勢になるように揺動する。逆にロッド34aが矢印B方向に短縮した場合、ランプユニット18はピボット機構20aを中心として前傾姿勢になるように揺動する。ランプユニット18が後傾姿勢になると、光軸を上方に向けるレベリング調整ができる。また、ランプユニット18が前傾姿勢になると、光軸を下方に向けるレベリング調整ができる。したがって、レベリング調整をすることで車両姿勢に応じた光軸調整ができる。つまり、車両用前照灯装置10による前方照射の到達距離を最適な距離に調整することができる。なお、このレベリング調整は、車両走行中の車両姿勢に応じて実行することもできる。例えば、車両は走行中に加速する場合は後傾姿勢となり、逆に減速する場合は前傾姿勢となる。したがって、車両用前照灯装置10の照射方向も姿勢状態に対応して上下に変動して、前方照射距離が遠くなったり近くなったりする。そこで、車両姿勢に基づきランプユニット18のレベリング調整を行うことで走行中でも前方照射の到達距離を最適に調整できる。これを「オートレベリング」と称することもある。
灯室16の内壁面、例えば、ランプユニット18の下方位置には、ランプユニット18の点消灯制御や姿勢制御、配光パターンの形成制御等を行う照射制御部36が配置されている。この照射制御部36はレベリングアクチュエータ34等の制御も行う。
ランプユニット18はエーミング調整機構を備えることができる。例えば、レベリングアクチュエータ34のロッド34aとユニットブラケット28の接続部分に、エーミング調整時の揺動中心となるエーミングピボット機構を配置する。また、ボディブラケット22とランプブラケット20の接続部分には車両前後方向に進退する一対のエーミング調整ネジを車幅方向に間隔をあけて配置する。例えば2本のエーミング調整ネジを前方に進出させれば、ランプユニット18はエーミングピボット機構を中心に前傾姿勢となり光軸が下方に調整される。同様に2本のエーミング調整ネジを後方に引き戻せば、ランプユニット18はエーミングピボット機構を中心に後傾姿勢となり光軸が上方に調整される。また、車幅方向左側のエーミング調整ネジを前方に進出させれば、ランプユニット18はエーミングピボット機構を中心に右旋回姿勢となり右方向に光軸が調整される。また、車幅方向右側のエーミング調整ネジを前方に進出させれば、ランプユニット18はエーミングピボット機構を中心に左旋回姿勢となり左方向に光軸が調整される。このエーミング調整は、車両出荷時や車検時、車両用前照灯装置10の交換時に行われる。そして、車両用前照灯装置10が設計上定められた規定の姿勢に調整され、この姿勢を基準に本実施形態の配光パターンの形成制御が行われる。
ランプユニット18は、バルブ38、リフレクタ40、シェード機構42、投影レンズ44を含んで光学系を構成する。光源であるバルブ38は、例えば、白熱球やハロゲンランプ、放電球、LEDなどが使用可能である。本実施形態では、一例としてLEDで構成されるバルブ38を示す。リフレクタ40はバルブ38から放射される光を反射して投影レンズ44へと導く。リフレクタ40で反射された光は、その一部がシェード機構42を構成する可動シェード46により遮光される。可動シェード46はランプユニット18の光軸Oに対して矢印略M,N方向に起立転倒可能であり、起立位置である進出位置と転倒位置である退避位置の2位置でリフレクタ40を介して照射された光の遮光状態を変化させる。そして、可動シェード46の起立転倒姿勢に応じた形状の配光パターンを形成する。なお、図1に示す車両用前照灯装置10の場合、可動シェード46の上方位置に下向き(矢印D方向)の反射板48が設けられ、リフレクタ40で反射した光の一部を斜め下方に導いている。この場合、車両用前照灯装置10が可動シェード46の遮光動作により明暗の境界線であるカットオフラインを含むロービーム用配光パターン形成を形成したときに、カットオフライン近傍の光量を向上することができる。特に、カットオフラインの僅かに上の部分は、モータウェイ照射領域でありドライバーの遠方視認性の向上に寄与できる。
本実施形態のおいて、シェード機構42は、可動シェード46、シェード駆動アクチュエータ50、連結リンク52で構成される。シェード駆動アクチュエータ50は、例えばソレノイドアクチュエータで構成され、通電時にロッド50aを引込動作させて非通電時に突出動作させる。ロッド50aが突出動作した場合に、連結リンク52が支点52aを中心に時計回り方向に回動して可動シェード46を矢印M方向に移動させる。この姿勢が照射される光の一部を遮光してロービーム用の配光パターンを形成する可動シェード46の進出位置移動状態である。また、ロッド50aが引込動作した場合に、連結リンク52が支点52aを中心に反時計回り方向に回動して可動シェード46を矢印N方向に移動させる。この姿勢が照射される光を遮光することなく全照射するハイビーム用の配光パターンを形成する可動シェード46の退避位置移動状態である。なお、シェード駆動アクチュエータ50は非通電時に図示しない付勢手段、例えば内蔵されたスプリングなどによって突出動作するようになっている。このように構成することにより、シェード駆動アクチュエータ50やその制御系にフェールが生じて可動シェード46をスムーズに制御できなくなった場合でも、可動シェード46を優先的にロービーム用の配光パターンの形成姿勢に移行させるフェールセーフ機能を実現できる。
本実施形態の車両用前照灯装置10は、前述したように光学系を載置するベース部材24を車幅方向に揺動させることによりスイブル機能を実現している。配光パターンをスイブルさせることにより、例えば曲路においてもその道路形状に応じた方向に配光パターンを向けることが可能になり前方視認性を高めることができる。図2は、振動アクチュエータ30とベース部材24の配置形態及び揺動状態を説明する概略説明図である。
ベース部材24は回転軸26を中心として矢印P,Q方向に回動するように構成されている。ベース部材24は、例えば板状部材で構成されている。そして、図2に示すように光学系のうち投影レンズ44のみを搭載してもよいし、投影レンズ44とシェード機構42を搭載してもよい。また投影レンズ44、シェード機構42、リフレクタ40、バルブ38等の光学系の全てを搭載してもよい。このとき、回転軸26の位置が投影レンズ44の後方焦点位置に対応しているように構成することが望ましい。このように配置することで、例えば、ベース部材24に投影レンズ44のみが搭載されて回動する場合でも、投影レンズ44を介して形成される配光パターンに回動による影響を与えることなく焦点のあった鮮明な配光パターンをそのままスイブル動作させることができる。また、照射光の明暗の境界線を形成する可動シェード46を含むシェード機構42と投影レンズ44を一体的に回動させ、かつ回転軸の位置が投影レンズ44の後方焦点位置に対応するようにすることもできる。この場合、ベース部材24が回動しても可動シェード46によって形成される明暗の境界線、例えばカットオフラインの形状に変化を生じさせることがなく良好な配光パターンを維持したままスイブル動作することができる。同様に、全ての光学系を一体的に回動させることにより配光パターンの形状維持特性は、さらに向上し、高精度の配光パターンを維持したままスイブル動作させることができる。
上述したように、ベース部材24に搭載する光学系としては、投影レンズ44のみ、投影レンズ44とシェード機構42、全ての光学系等のように選択できる。このうち、ベース部材24の駆動効率を重視する場合、ベース部材24に搭載する部品点数はできるだけ少なくすることが望ましい。例えば、投影レンズ44のみをスイブルさせるようにすれば、回動させるベース部材24の軽量化に寄与できるのでスムーズなスイブル動作を実現できる。また、このときの振動アクチュエータ30は小さい駆動能力のものが利用可能となり、車両用前照灯装置10全体としての小型化、小電力化に寄与することができる。一方、投影レンズ44と共にシェード機構42を回動させたり、さらにバルブ38やリフレクタ40を共に回動させる場合、ベース部材24に載置する部品の重量が増大する。その結果、投影レンズ44のみの場合に比べ大きな駆動能力の振動アクチュエータ30が必要になるが、前述したようにスイブルした場合の配光パターンの高品質化ができる。
図2に示すように、ベース部材24の一端、図2の場合、投影レンズ44が載置されていない端部は、回転軸26を曲率中心とする弧形状の摺動弧部24aを有している。摺動弧部24aには、振動アクチュエータ30のロッド32が摺動自在に接触している。振動アクチュエータ30は、電力の供給により高速微細振動を繰り返してロッド32を矢印L、R方向に往復移動させる。振動アクチュエータ30は例えば圧電素子や磁歪素子などが利用可能である。圧電素子や磁歪素子は、モータやソレノイド等のように回動動作の駆動源として用いられる通常のアクチュエータに比べて駆動のための消費電力が少なくて済む。例えば、通常のアクチュエータが数Wであるのに対し、圧電素子や磁歪素子は数百mWで済む。したがって、振動アクチュエータ30を駆動源とすることにより小電力駆動のスイブル機構を構成できる。
図3(a)、図3(b)は、振動アクチュエータ30の振動によりロッド32が矢印L,R方向に往復移動した場合のベース部材24の回動状態を模式的に説明する説明図である。図3(a)は、ロッド32及びベース部材24の回動推移、図3(b)はロッド32の移動量Sと時間の関係を示している。
ロッド32はベース部材24の摺動弧部24aに押圧接触され、ロッド32が一方向へ所定値以上の移動速度で移動した時に摺動弧部24aに対するロッド32の滑り移動を許容するような摺動摩擦力が発生するように構成されている。つまり、ロッド32が振動アクチュエータ30の所定速度未満の速度の例えばL方向の一振動により移動する場合、摺動弧部24aはロッド32に対して滑らない。その結果、ベース部材24は回転軸26を中心にロッド32の移動量に対応する角度だけ回動する。図3(b)では、a−b間、c−d間等に示す傾きに対応するL方向移動時の移動速度となる。この状態が図3(a)に示すa−b間、c−d間等で示される回動角度θとなって現れる。
逆に、ロッド32が振動アクチュエータ30の所定速度以上の速度のR方向の一振動により移動する場合、摺動弧部24aはロッド32に対して滑る。その結果、ロッド32が移動してもベース部材24は回動せずにそのままの姿勢を維持する。図3(b)では、b−c間、d−e間等に示す傾きに対応するR方向移動時の移動速度となる。この状態が図3(a)に示すb−c間、d−e間等で示される停止状態となって現れる。
このように振動アクチュエータ30のL方向への遅い振動とR方向への早い振動とを繰り返し行うことにより回転軸26を回動中心とするベース部材24は、一方向、例えば矢印Pで示す右旋回方向に回動する。その結果、図4(a)に示すような直線道路等における正面照射の非スイブル状態から、図4(b)に示すような曲路等における側方照射のスイブル状態に配光パターンの照射方向を移動させる。つまり、車両用前照灯装置10が照射する配光パターンを車両右方向にスイブルさせる。逆に、振動アクチュエータ30のL方向への早い振動とR方向への遅い振動とを繰り返し行うことにより回転軸26を回動中心とするベース部材24は、逆方向、つまり矢印Qで示す左旋回方向に回動する。その結果、車両用前照灯装置10が照射する配光パターンを車両左方向にスイブルさせる。
なお、通常自動車の走行時の車両全体の振動周波数は200Hz程度であるのに対し、振動アクチュエータ30の振動周波数は、数KHz〜数百KHzとすることができる。したがって、走行中の振動がロッド32とベース部材24との摺動に影響することはなく、ベース部材24の回動は振動アクチュエータ30の振動のみによって行われる。また、振動アクチュエータ30の振動周波数は、数KHz〜数百KHzであるんで、その振動による一挙動は極僅かであり、ベース部材24のきめ細かい回動制御が可能になる。つまり、振動アクチュエータ30を用いることで高分解能のスイブル制御を容易に実現できる。
このように、本実施形態の車両用前照灯装置10では、スイブル機構を駆動源が振動アクチュエータ30で構成して、その駆動によるロッド32の直線運動をベース部材24の接触部分の摺動/非摺動動作を利用して回動運動に変換している。つまり、運動方向の変換にバックラッシを伴う歯車機構などを用いる必要がなくなる。その結果、光学系を載置したベース部材24の高精度の回動運動制御が可能になり良好なスイブル動作を実現できる。また、運動方向の切替機構が接触を用いたシンプルな機構なので、装置全体の小型化や軽量化に寄与することができる。さらに、駆動機構がシンプルになることで故障箇所の低減、つまり故障の低減が可能になり車両用前照灯装置10の信頼性向上に寄与できる。また、駆動源として振動アクチュエータ30を用いることで前述したような小電力駆動ができる。
図5は、運動方向の切替機構を構成するベース部材24とロッド32の接触部分の他の形態を説明する概略図である。図1、図2に示すベース部材24とロッド32の接触部分の構造は、ベース部材24の摺動弧部24aにロッド32の軸線方向の側面を接触させたシンプルな形態である。これに対して図5の例におけるベース部材24は、回転軸26の軸方向の隔てられた2箇所でロッド32を摺動自在に挟持する摺動部材54を備えている。ロッド32は2枚の摺動部材54で挟持されることにより2箇所でロッド32と接触する。ロッド32の推力をベース部材24側に伝達する場合、ロッド32をベース部材24に押圧接触させる必要が生じるが、図5のように回転軸26の軸方向の隔てられた2箇所でロッド32を摺動自在に挟持する構造とすることで、ロッド32の押圧力を回転軸26に与えないようできる。つまり、ベース部材24の回動を妨げるような回転軸26の軸方向と交わる外力を付与しないようにできる。その結果、振動アクチュエータ30の発生する推力で効率的にベース部材24の回動を実現できる。言い換えれば、振動アクチュエータ30の推力ロスが低減できるんで、小能力の振動アクチュエータ30の利用が可能になる。
なお、摺動部材54の少なくとも一方をベース部材24とは別部品として後付けで装着する構成とする場合、その装着時に摺動部材54の対向間隔tを調整できる構造にしてもよい。例えば、摺動部材54をスプリング部材を介してネジ止めする構造にしておけば、ネジの締め込み程度により対向間隔tを容易に調整できる。この対向間隔tを調整することにより、ロッド32と摺動部材54の摺動接触の状態調整が可能となり、ロッド32の移動速度に対する摺動/非摺動動作の調整を容易にできる。なお、図5のように、ロッド32を2枚の摺動部材54で挟持する場合、ベース部材24の端部に摺動弧部24aを形成する必要がなくなる。その結果、ベース部材24を例えば矩形形状としたり、軽量化のために変則的な中抜き構造とすることも可能となり、設計自由度の向上に寄与できる。また、ベース部材24の端面に摺動弧部24aを形成しておき、図5に示す摺動部材54とロッド32の2点接触に加え、ロッド32を摺動弧部24aに接触させる3点接触としてもよい。この場合、ロッド32とベース部材24側との接触安定性を向上することができる。
なお、上述したようにロッド32は、矢印L、R方向(図2参照)の移動を繰り返す振動を行う。したがって、ロッド32の一端、つまり振動アクチュエータ30と接続されていない側は、自由端とする必要がある。そのため、ロッド32を摺動自在に支持する支持ブラケットを設けることが望ましい。なお、ロッド32は実質的に一端が自由端になればよいので、例えば、スプリングや板バネ、伸縮性の樹脂材などのような弾性部材で支持するようにしてもよい。このように完全な自由端としないようにすることで、ロッド32が振動した場合に他の部材と接触して異音を発生する等の不具合の発生を抑制できる。
図6は、上述のように構成される車両用前照灯装置10の照射制御部36と車両100側の車両制御部102の構成を説明する機能ブロック図である。
車両用前照灯装置10の照射制御部36は、車両100に搭載された車両制御部102の指示に従って電源回路56の制御を行いバルブ38の点灯制御を行う。また、照射制御部36は車両制御部102からの指示に従い振動アクチュエータ30の駆動素子30a(例えば、圧電素子)を制御する揺動制御部58を制御する。なお、ベース部材24の近傍には、その回動状態を検出するために位置センサ60が配置され、その結果を揺動制御部58に提供している。位置センサ60からの情報に基づき、駆動素子30aをフィードバック制御することによりベース部材24のスイブル角度を正確に制御して配光パターンが所望の向きに正確に向くようにしている。別の構成では、カメラ等によりスイブル角度を取得してフィードバック制御に用いてもよい。また、照射制御部36は、可動シェード46を進退移動させてロービームとハイビームーの切り替えを行うシェード駆動アクチュエータ50を制御するシェード制御部62の制御も行う。
本実施形態の場合、運転者によるライトスイッチ104の操作内容に応じて照射制御部36が揺動制御部58を制御してランプユニット18の光学系をスイブルさせて配光パターン照射方向を所望の方向に向ける。また、ライトスイッチ104の操作内容に応じてシェード制御部62を制御してハイビームとロービームの照射を切り替える。同様に、ハイビームとロービームの照射を高速切り替えすることでパッシングを実現する。
本実施形態の車両用前照灯装置10は、ライトスイッチ104の操作によらず、車両周囲の状況を各種センサで検出して、車両周囲状況に最適な方向に配光パターンをスイブルさせるように自動制御してもよい。例えは、自車前方の道路形状を検出して、図4(a)の状態から図4(b)の状態に移行させたり、図4(b)の状態から図4(a)の状態に復帰する動作を自動制御してもよい。
このように道路形状を検出するために車両100の車両制御部102には、道路形状の認識手段として例えばステレオカメラなどのカメラ106が接続されている。車両制御部102は、カメラ106から提供される画像データから例えばセンターラインや路側線を抽出して車両用前照灯装置10で照射すべき車両前方の道路形状を取得する。車両制御部102で取得した道路形状に関する情報は照射制御部36を介して揺動制御部58に提供され、ランプユニット18のベース部材24を道路形状に対応した向きに回動させる。この場合、ベース部材24は振動アクチュエータ30の連続的な振動駆動により高精度に回動させることができるので、連続的な道路形状の変化にスムーズに対応することができる。
また、車両制御部102は、車両100に通常搭載されているステアリングセンサ108、車速センサ110などからの情報も取得可能であり、車両100の転舵状態や走行状態に応じてランプユニット18をスイブルさせてもよい。例えば、車両制御部102はステアリングセンサ108からの情報に基づき転舵角度に対応してスイブル方向やスイブル角度を決定してもよい。このような制御をステアリング感応モードという。また、車両100の速度が高速であれば、実際の転舵タイミングより先のタイミングでランプユニット18をスイブルさせて、より早い段階で路面形状や先方車両、歩行者などの情報を運転者に把握させることが好ましい。そこで、カメラ106からの情報と車速センサ110からの情報に基づき、速度に応じてランプユニット18をスイブルさせるタイミングを変化させるようにしてもよい。このように、スイブル動作を少し早めのタイミングで行うことにより、ランプユニット18のスイブル動作は道路形状の変化を事前に示唆するナビ機能として機能させることが可能になる。その結果、事前に運転者に前方注意を喚起することができる。このように制御を速度感応モードという。
また、車両制御部102は、ナビゲーションシステム112から道路の形状情報や形態情報、道路標識の設置情報などを取得することもできる。これらの情報を事前に取得することにより走行道路に適したスイブル動作を行うようにしてもよい。このような制御モードをナビ感応モードという。
なお、上述の説明では、振動アクチュエータ30とロッド32を用いた振動駆動機構により光学系を載置するベース部材24を回動させる構成を説明したが、同様な振動駆動機構により可動シェード46を進退方向に移動させてもよい。この場合、振動アクチュエータ30の振動調整により可動シェード46の進退量を詳細に制御できるので、例えば、ロービーム用配光パターンとハイビーム用配光パターンの間の中間配光パターンを形成することも可能であり、配光パターンの種類を容易に増加することができる。また、前述したように振動駆動機構は、軽量化、小型化が容易にできるので、ランプユニット18の小型化、軽量化、省電力化等に寄与できる。さらに、ランプユニット18の小型化、軽量化によりベース部材24を回動させる振動駆動機構の小型化や軽量化も可能となる。
また、本実施形態では、配光可変型の車両用前照灯装置10を一例として示したが、本実施形態と同様な振動アクチュエータ30、ロッド32、ベース部材24を用いた振動駆動機構をハイビーム用の車両用前照灯装置や補助ビーム用の車両用前照灯装置に適用することも可能であり、同様の効果を得ることができる。
本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能である。各図に示す構成は、一例を説明するためのもので、同様な機能を達成できる構成であれば、適宜変更可能であり、同様な効果を得ることができる。
10 車両用前照灯装置、 18 ランプユニット、 24 ベース部材、 24a 摺動弧部、 26 回転軸、 30 振動アクチュエータ、 32 ロッド、 36 照射制御部、 42 シェード機構、 44 投影レンズ、 46 可動シェード、 58 揺動制御部、 100 車両。
Claims (4)
- 車両前方へ光を照射する光学系と、
前記光学系を載置すると共に前記光の光軸方向と直交する回転軸を中心に回動自在なベース部材と、
前記ベース部材の一部と接触すると共に、前記回転軸と直交する方向に振動して当該振動の一方向の移動時に推力を伝達して前記ベース部材を前記回転軸を中心として回転させる振動アクチュエータと、
前記振動アクチュエータを制御して前記ベース部材を正転方向または逆転方向に回転駆動して前記光学系を車幅方向に揺動させる揺動制御部と、
を含むことを特徴とする車両用前照灯装置。 - 前記振動アクチュエータは、前進時と後進時で異なる移動速度で動作するロッドを含み、
前記ベース部材は、前記回転軸の軸方向の隔てられた2箇所で前記ロッドを摺動自在に挟持して当該ロッドの推力をベース部材側に伝達することを特徴とする請求項1記載の車両用前照灯装置。 - 前記ベース部材は、前記光学系のうち光源の光を車両前方へ導く投影レンズを載置し、前記回転軸の位置が前記投影レンズの後方焦点位置に対応していることを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両用前照灯装置。
- 前記ベース部材は、前記光源から照射された光の一部を遮り所定の配光パターンを形成するシェードをさらに載置することを特徴とする請求項3記載の車両用前照灯装置。
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