JP2010146984A - 車両用前照灯装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハイビーム用の配光パターン及びロービーム用の配光パターン以外の配光パターンを容易な構造で形成できる車両用前照灯装置を提供する。
【解決手段】シェード機構34は、進出位置と退避位置を含む2位置間で遮光状態を変化させて配光パターンを形成する可動シェード38と、可動シェード38を進退方向に移動させる微細変位発生部46を含む。微細変位発生部46により発生した微細変位距離の変位が変位拡大アーム44により拡大されることによって可動シェード38を完全進出位置及び完全退避位置以外の中間の任意の位置に停止させて、その停止位置に対応した中間配光パターンを形成する。
【選択図】図1
【解決手段】シェード機構34は、進出位置と退避位置を含む2位置間で遮光状態を変化させて配光パターンを形成する可動シェード38と、可動シェード38を進退方向に移動させる微細変位発生部46を含む。微細変位発生部46により発生した微細変位距離の変位が変位拡大アーム44により拡大されることによって可動シェード38を完全進出位置及び完全退避位置以外の中間の任意の位置に停止させて、その停止位置に対応した中間配光パターンを形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両用前照灯装置、特にシェードを用いて照射するビーム形態を切り替える車両用前照灯装置の構造に関する。
車両用前照灯装置は、光源からの光をリフレクタで前方へ反射させてロービームまたはハイビームを照射するようになっている。ロービームとハイビームとでは照射するビームの配光パターンが異なる。従来、単一の光源により照射される光の一部を光軸に対して進退移動するシェードと呼ばれる遮光板により遮ることで配光パターンを切り替える車両用前照灯装置が知られている。つまり、シェードにより光の一部を遮ることによりロービーム用の配光パターンを形成することができ、シェードにより光を遮らないときにハイビーム用の配光パターンを形成することができる(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−56708号公報
従来のハイビーム配光とロービーム配光を切り替えタイプの車両用前照灯装置は、いずれか一方の配光パターンしか選択できなかった。つまり、配光パターンは、2種類しか形成できなかった。近年、車両の高性能化、高機能化が進む中で車両用前照灯装置においても車両の周囲状態に適した配光パターンを提供したいという要望が高まっている。しかしながら、配光パターンの種類を増やそうとすると構造が複雑になるという問題がある。
そこで、本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ハイビーム用の配光パターン及びロービーム用の配光パターン以外の配光パターンを容易な構造で形成できる車両用前照灯装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両用前照灯装置は、投影レンズを介して車両前方へ光を照射可能な光源と、前記光源の光軸に対し進退可能であり、進出位置と退避位置を含む2位置間で前記光源から照射された光の遮光状態を変化させて配光パターンを形成する可動シェードと、前記可動シェードを少なくとも退避方向に当該可動シェードの必要変位距離に満たない微細変位距離だけ変位させる微細変位発生部と、車幅方向に延びる支持軸を中心に揺動して入力された変位を拡大する変位拡大アームであって、前記支持軸を挟んで第1距離の位置に前記可動シェードの接続部を有し、前記支持軸を挟んで他方側で前記第1距離より近い第2距離の位置に前記微細変位発生部の変位入力部を有する変位拡大アームと、前記微細変位発生部の変位量を制御して前記可動シェードの進退量を制御するシェード制御部と、を備えたことを特徴とする。
可動シェードは、進出位置と退避位置を含む2位置間で光源から照射された光の遮光状態を変化させる。完全な進出位置である完全進出位置においては、光を所定量遮って、いわゆるロービーム用配光パターンを形成する。また、完全な退避位置である完全退避位置においては、光を遮らずに、いわゆるハイビーム用配光パターンを形成する。可動シェードの必要変位距離は、例えば進出位置と退避位置との間の距離である。微細変位発生部は、必要変位距離に満たない微細変位距離を変位させるアクチュエータであり、微細変位距離は必要変位距離の例えば数十分の一とすることができる。変位拡大アームは、「梃子」の原理を用いたもので、支持軸を挟んだ第1距離と第2距離の長さの比により微細変位発生部の発生した微細変位距離の拡大率が決定される。シェード制御部により微細変位発生部で発生する微細変位距離の調整を行い変位拡大アームを介して可動シェードを移動させる。したがって、微細変位距離の調整量に応じて可動シェードの進退位置を決定することが可能となり、ロービーム用配光パターンとハイビーム用配光パターンとの間の配光特性を持つ中間配光パターンを微細変位距離の調整量で容易に複数形成できる。
また、上記態様において、前記微細変位発生部の非制御時に前記可動シェードを進出位置に優先移動させる優先移動機構をさらに含んでもよい。ハイビーム用配光パターンは、点灯時の前方視認性が高い反面、前方車や対面歩行者が存在する場合、不快感を伴う眩しさ(グレア)を与えてしまうことがある。そのため、ハイビーム用配光パターンの形成時に配光パターンの切替系にフェールが生じた場合、直ちにロービーム用配光パターンに自動的に戻るフェールセーフ構造を備えることが望ましい。本実施形態によれば、優先移動機構は、例えば可動シェードを進出位置に移動させる作動力を発生させる付勢部材で構成することができる。一方、微細変位発生部は制御時に優先移動機構の動作に逆らい可動シェードを退避方向に移動させる作動力を発生する。したがって、微細変位発生部が非制御の場合、優先移動機構の作動力により優先的に可動シェードが進出位置に移動してロービーム用配光パターンを形成する。すなわち、優先移動機構は、微細変位発生部やシェード制御部のフェール時にロービーム用配光パターンを優先的に形成するフェールセーフ機能を容易に実現する。
また、上記態様において、前記微細変位発生部は、制御信号値の大きさで微細変位量を変化させる微細変位素子で構成されてもよい。微細変位素子は、例えば圧電素子や超磁歪素子などが利用できる。微細変位素子単体の変位量は僅かであるため微細変位素子を複数積層して必要な微細変位距離を得るようにしてもよい。圧電素子や超磁歪素子等の微細変位素子は低電力で駆動可能であり、消費電力の低減に寄与できると共に、構造がシンプルであり発熱量が少なく耐久性が高いので車両用前照灯装置の信頼性向上に寄与できる。また、微細変位発生部の小型化に寄与でき、それに伴う車両用前照灯装置全体の小型化にも寄与できる。
本発明の車両用前照灯装置によれば、ハイビーム用の配光パターン及びロービーム用の配光パターン以外の配光パターンを容易な構造で提供できる。
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に基づいて説明する。
本実施形態の車両用前照灯装置は、光源の光軸に対し進退可能であり進出位置と退避位置を含む2位置間で光源から照射された光の遮光状態を変化させて配光パターンを形成する可動シェードを含む。この可動シェードは、微細変位発生部により発生した微細変位距離の変位が変位拡大アームにより拡大されて進退方向に移動する。この可動シェードを完全な進出位置である完全進出位置及び完全な退避位置である完全退避位置以外の任意の中間位置で停止させることにより中間配光パターンを形成する。
図1は、本実施形態の車両用前照灯装置10の概略構成を説明する構成図である。
図1に示す車両用前照灯装置10は、車両の車幅方向の左右に1灯ずつ配置されるいわゆる配光可変式前照灯と呼ばれる車両用前照灯装置である。車両用前照灯装置10は、車両前方方向に開口部を有するランプボディ12とランプボディ12の開口部を覆う透明カバー14で形成される灯室16を有する。灯室16には、光を車両前方方向に照射するランプユニット18が収納されている。ランプユニット18の一部には、当該ランプユニット18の揺動中心となるピボット機構20aを有するランプブラケット20が形成されている。ランプブラケット20はランプボディ12の内壁面に立設されたボディブラケット22とネジ等の締結部材によって接続されている。したがって、ランプユニット18は灯室16内の所定位置に固定されると共に、ピボット機構20aを中心として、例えば前傾姿勢または後傾姿勢に姿勢変化可能となる。
また、ランプユニット18の下面には、当該ランプユニット18を下方から支持するユニットブラケット24が固定されている。このユニットブラケット24には、ランプボディ12の外部に配置されたレベリングアクチュエータ26が接続されている。このレベリングアクチュエータ26は例えばロッド26aを矢印A、B方向に伸縮させるモータなどで構成されている。ロッド26aが矢印A方向に伸長した場合、ランプユニット18はピボット機構20aを中心として後傾姿勢になるように揺動する。逆にロッド26aが矢印B方向に短縮した場合、ランプユニット18はピボット機構20aを中心として前傾姿勢になるように揺動する。ランプユニット18が後傾姿勢になると、光軸を上方に向けるレベリング調整ができる。また、ランプユニット18が前傾姿勢になると、光軸を下方に向けるレベリング調整ができる。したがって、レベリング調整をすることで車両姿勢に応じた光軸調整ができる。つまり、車両用前照灯装置10による前方照射の到達距離を最適な距離に調整することができる。なお、このレベリング調整は、車両走行中の車両姿勢に応じて実行することもできる。例えば、車両は走行中に加速する場合は後傾姿勢となり、逆に減速する場合は前傾姿勢となる。したがって、車両用前照灯装置10の照射方向も姿勢状態に対応して上下に変動して、前方照射距離が遠くなったり近くなったりする。そこで、車両姿勢に基づきランプユニット18のレベリング調整を行うことで走行中でも前方照射の到達距離を最適に調整できる。これを「オートレベリング」と称することもある。
灯室16の内壁面、例えば、ランプユニット18の下方位置には、ランプユニット18の点消灯制御や配光パターンの形成制御を行う照射制御部28が配置されている。この照射制御部28はレベリングアクチュエータ26等の制御も行う。
ランプユニット18はエーミング調整機構を備えることができる。例えば、レベリングアクチュエータ26のロッド26aとユニットブラケット24の接続部分に、エーミング調整時の揺動中心となるエーミングピボット機構を配置する。また、ボディブラケット22とランプブラケット20の接続部分には車両前後方向に進退する一対のエーミング調整ネジを車幅方向に間隔をあけて配置する。例えば2本のエーミング調整ネジを前方に進出させれば、ランプユニット18はエーミングピボット機構を中心に前傾姿勢となり光軸が下方に調整される。同様に2本のエーミング調整ネジを後方に引き戻せば、ランプユニット18はエーミングピボット機構を中心に後傾姿勢となり光軸が上方に調整される。また、車幅方向左側のエーミング調整ネジを前方に進出させれば、ランプユニット18はエーミングピボット機構を中心に右旋回姿勢となり右方向に光軸が調整される。また、車幅方向右側のエーミング調整ネジを前方に進出させれば、ランプユニット18はエーミングピボット機構を中心に左旋回姿勢となり左方向に光軸が調整される。このエーミング調整は、車両出荷時や車検時、車両用前照灯装置10の交換時に行われる。そして、車両用前照灯装置10が設計上定められた規定の姿勢に調整され、この姿勢を基準に本実施形態の配光パターンの形成制御が行われる。
ランプユニット18は、バルブ30、リフレクタ32、シェード機構34、投影レンズ36を含んで構成される。光源であるバルブ30は、例えば、白熱球やハロゲンランプ、放電球、LEDなどが使用可能である。本実施形態では、一例としてハロゲンランプで構成されるバルブ30を示す。リフレクタ32はバルブ30から放射される光を反射して投影レンズ36へと導く。バルブ30からの光及びリフレクタ32で反射した光は、その一部がシェード機構34を構成する可動シェード38により遮光される。可動シェード38はバルブ30の光軸Oに対して矢印略M,N方向に進退可能であり、進出位置と退避位置を含む2位置間でバルブ30から照射された光の遮光状態を変化させる。そして、可動シェード38の進退位置に応じた形状の配光パターンを形成する。
本実施形態のおいて、シェード機構34は、前述した可動シェード38が矢印Mで示す進出方向に移動した場合にその移動が固定ストッパ40によって制限される。つまり、固定ストッパ40によって可動シェード38は、完全な進出位置である完全進出位置に正確に停止する。可動シェード38は、支持軸42を中心に揺動自在な略L字形状の変位拡大アーム44に固定されている。変位拡大アーム44は、支持軸42を挟んで一方側に可動シェード38の明暗境界となるカットラインを形成しない下端側と接続される接続部44aを有している。一方、支持軸42を挟んで変位拡大アーム44の他方側には、微細変位発生部46の変位が入力される変位入力部44bを有している。基台47に片持ち状態で固定された微細変位発生部46の詳細は後述するが可動シェード38を少なくとも退避方向に当該可動シェード38の必要変位距離に満たない微細変位距離だけ変位させる。
本実施形態において、可動シェード38には、微細変位発生部46またはその制御系が非制御状態のときに当該可動シェード38を完全進出位置に優先移動させる優先移動機構48が接続されている。優先移動機構は48可動シェード38を固定ストッパ40に向けて付勢する付勢手段であり、本実施形態の場合、この優先移動機構48は、可動シェード38に接続された変位拡大アーム44と支持軸42の間に装着されたトーションスプリングで構成されてる。
微細変位発生部46は、例えば制御信号値の大きさで形状を変化させて微細変位量を変化させることのできる微細変位素子で構成することができる。微細変位発生部46は、その変形量に相当する移動距離を変位入力部44bを介して変位拡大アーム44に伝達して、当該変位拡大アーム44に接続された可動シェード38を退避方向に移動させる。つまり、優先移動機構48の付勢力に逆らい変位拡大アーム44は固定ストッパ40から離間する方向に移動させられる。その結果、可動シェード38は、完全進出位置におけるロービーム用配光パターン形成姿勢から退避方向に移動して、ロービーム用配光パターン以外の配光パターンを形成する姿勢へ移行することになる。
本実施形態の場合、微細変位発生部46の変位量は印加する電圧により詳細に調整することができるので、変位拡大アーム44の回転量、つまり可動シェード38の退避方向への移動量を詳細調整できる。つまり、ロービーム用配光パターン形成姿勢からハイビーム用配光パターン形成姿勢に移行する過程で任意の位置で可動シェード38を停止させることができる。その結果、ロービーム用配光パターンとハイビーム用配光パターンの中間の配光特性を持つ中間配光パターンを形成することができる。
図2は、図1のシェード機構34の拡大図である。図2(a)は、微細変位発生部46の非制御状態を示し、図2(b)は微細変位発生部46の制御状態を示している。微細変位発生部46は、当該可動シェード38の必要変位距離に満たない微細変位距離で可動シェード38(変位拡大アーム44)を変位させるアクチュエータであり、例えば、圧電素子や超磁歪素子で構成することができる。なお、可動シェード38の必要変位距離は、例えば可動シェード38の完全進出位置と完全退避位置との間の距離であり例えば数ミリ〜数十ミリである。そして、微細変位発生部46の駆動による微細変位距離は必要変位距離の例えば数十分の一とすることができる。そして、微細変位発生部46による微細変位距離は、変位拡大アーム44の動作により可動シェード38の必要変位距離まで拡大される。ここで、変位拡大アーム44の支持軸42から接続部44aまでの距離を第1距離として、支持軸42から変位入力部44bまでの距離を第2距離とした場合、本実施形態では、第1距離より第2距離が短く設定されている。したがって、第1距離と第2距離の比が変位拡大アーム44の拡大率となり、微細変位発生部46の発生する微細変位距離を適切な大きさまで拡大する。本実施形態のように微細変位発生部46を圧電素子で構成する場合、1つの圧電素子の変位量は極僅かであるため、複数の圧電素子を変位方向に積層している。圧電素子自体は薄板形状とすることができるので、積層しても車両上下方向の大きさは従来のソレノイドやモータを駆動源とするシェード機構より小型化が容易である。つまり、車両用前照灯装置全体の小型化にも寄与できる。また、圧電素子のような微細変位素子は低電力で駆動可能であり、消費電力の低減に寄与できると共に、構造がシンプルであり発熱量が少なく耐久性が高いので車両用前照灯装置10の信頼性向上に寄与できる。各圧電素子は並列に接続され、図2(b)に示すように、微細変位発生部46に所定の電圧を印加することにより、全体の変位量、すなわち、微細変位距離t1を決定できる。そして、微細変位距離t1の入力により変位拡大アーム44が優先移動機構48の付勢力に逆らい矢印L方向に回転すると、その変位距離は変位拡大アーム44により拡大されて、可動シェード38を退避方向にT1だけ変位させる。すなわち、微細変位発生部46に印加する電圧を調整することにより、可動シェード38を完全進出位置と完全退避位置との間の任意の位置で停止させて、対応する中間配光パターンを得ることができる。
なお、本実施形態では、シェード機構34の光軸方向に長さを短くするために、変位拡大アーム44と微細変位発生部46とを車両上下方向に配置している。そのため、変位拡大アーム44の変位入力部44bには、微細変位発生部46からの入力を他の部材の干渉を受けることなく変位入力部44bに伝達するための入力サポート片50が接続されている。このようなシェード機構34の配置は、ランプユニット18の内部空間に応じて決定することが好ましい。上述のように、変位拡大アーム44と微細変位発生部46を上下方向に配置すれば、車両前後方向のスペース削減に寄与できる。また、変位拡大アーム44と微細変位発生部46を車両前後方向に配置すれば、入力サポート片50を介さず微細変位発生部46により直接変位拡大アーム44に作動力を入力できると共に車両上下方向のスペース削減に寄与できる。
前述したように、意図的に微細変位発生部46への電圧印加を停止すれば、微細変位発生部46は図2(a)に示す初期状態、例えば、図2(a)では直線形状に復帰して変位拡大アーム44(入力サポート片50)と非接触状態になる。その結果、変位拡大アーム44は優先移動機構48により完全進出位置側に付勢されて、可動シェード38をロービーム用配光パターン形成状態にする。同様に、微細変位発生部46やその制御系にフェールが生じた場合には、強制的に微細変位発生部46への電圧印加を停止することにより、優先移動機構48により可動シェード38がロービーム用配光パターン形成状態になる。つまり、優先移動機構48はフェールセーフ機構として機能する。
図3は、上述のように構成される車両用前照灯装置10の照射制御部28と車両100側の車両制御部102の構成を説明する機能ブロック図である。車両用前照灯装置10の照射制御部28は、車両100に搭載された車両制御部102の指示に従って電源回路64の制御を行いバルブ30の点灯制御を行う。また、照射制御部28は車両制御部102からの指示に従い微細変位発生部46(例えば、圧電素子)を制御するシェード制御部52を制御する。
本実施形態の場合、車両用前照灯装置10によって形成される配光パターンは、運転者によるライトスイッチ104の操作内容に応じて切り替え可能であり、照射制御部28がシェード制御部52を介して微細変位発生部46を駆動制御する。本実施形態の場合、ロービーム用配光パターンの使用時には、シェード制御部52を非制御として、微細変位発生部46に対する電圧供給が停止されるので優先移動機構48の付勢力により可動シェード38が完全進出位置に移動させられ、ロービーム用配光パターンを形成する。前述したように、シェード制御部52や微細変位発生部46にフェールが生じた場合もシェード制御部52は、微細変位発生部46への電圧供給を停止して、優先移動機構48の付勢力により優先的に完全進出位置に移動させられてロービーム用配光パターンを形成する。なお、変位拡大アーム44は、固定ストッパ40によって完全進出位置の位置を規定されるので、可動シェード38は正確なロービーム用配光パターンを形成することができる。
一方、ロービーム用配光パターン以外のハイビーム用配光パターンや中間配光パターンの形成を運転者が要求する場合、照射制御部28はシェード制御部52を制御して微細変位発生部46の変位量を決定して、可動シェード38を所定の進退位置に移動させる。同様に、車両周囲の状況を車両制御部102が検出してハイビーム用配光パターンや中間配光パターンの形成が要求された場合、照射制御部28はシェード制御部52を制御して、可動シェード38を所定の進退位置に移動させる。
図4に可動シェード38の進退動作により形成されるシェード形状の一例を示し、そのシェード形状で形成される配光パターンを図5に示す。図4(a)は、交通法規が左側通行である地域で利用する標準的なロービーム用配光パターンを形成する可動シェード38の進退移動状態を示している。前述したように、この状態はシェード制御部52が非制御状態であり、変位拡大アーム44は優先移動機構48の付勢力により支持軸42を揺動中心として固定ストッパ40に付勢される。つまり、可動シェード38は完全進出位置で位置決め固定される。図5(a)は、ロービーム用配光パターンを示している。図1に示すように、本実施形態の投影レンズ36は、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸非球面レンズであるため、後方焦点面上に形成される光源像を、上下左右の反転像として車両前方の仮想鉛直スクリーン上に投影する。図5(a)に示すように、ロービーム用配光パターンは、左側通行時に対向車や歩行者にグレアを与えないように配慮された配光パターンである。
図4(b)は、ハイビーム用配光パターンを形成する可動シェード38の進退移動状態を示している。前述したように、この状態はシェード制御部52を制御して微細変位発生部46を変形させて、変位拡大アーム44を優先移動機構48の付勢力に逆らい図2(b)中矢印L方向に回転させる。図5(b)は、ハイビーム用配光パターンを示している。図5(b)に示すように、ハイビーム用配光パターンは、運転者の前方視界を最大まで確保できる配光パターンである。
図4(c)は、ロービーム用配光パターンとハイビーム用配光パターンの中間の配光特性を有する中間配光パターンを形成する可動シェード38の進退移動状態を示している。図4(c)は、ロービーム用配光パターンと同じカットラインを有する配光パターンであり、その照射距離をロービーム用配光パターンとは異ならせた中距離配光パターンである。前述したように、この状態はシェード制御部52を制御して可動シェード38をロービーム用配光パターンの停止位置とハイビーム用配光パターンの停止位置の間の所望の中間停止位置まで退避させる。つまり、変位拡大アーム44を優先移動機構48の付勢力に逆らって図2(b)中矢印L方向に回転させる。図5(c)は、中距離配光パターンを示している。図5(c)に示すように、中距離配光パターンは、ロービーム用配光より遠方であるがハイビーム配光ほど遠方ではない中距離領域を照射する配光である。つまり、自車前方の近距離及び中距離には対向車や歩行者等が存在せず、遠距離に対向車や歩行者が存在する場合の使用に適した配光パターンである。なお、図4(c)に示す中距離配光パターンの水平線Hからの距離は一例であり、運転者による操作により適宜変更可能である。また、車両周囲の状況に応じて車両制御部102の制御により水平線Hからの距離を最適な位置に設定するようにしてもよい。
本実施形態においては、優先移動機構48によりロービーム用配光パターン形成位置である完全進出位置に付勢されている変位拡大アーム44を、微細変位発生部46の動作によりハイビーム用配光パターン形成位置である完全退避位置側に移動させている。したがって、優先移動機構48の変位の有無を高速切替制御することによりロービーム用配光パターンとハイビーム用配光パターンを高速切替する「パッシング」も可能である。また、ハイビーム用配光パターンの使用時に対向車や歩行者を発見した場合に、迅速にロービーム用配光パターンに切り替えることも可能である。
図3に戻り、本実施形態の車両用前照灯装置10と車両100による相互制御についてさらに説明する。本実施形態の車両用前照灯装置10は、ライトスイッチ104の操作によらず、車両周囲の状況を各種センサで検出して、車両周囲状況に最適な配光パターンを形成するように自動制御してもよい。例えは、自車の前方に先行車や対向車、歩行者等が存在することが検出できた場合には、車両制御部102はロービーム用配光パターンを形成してグレアを防止するべきであると判断して照射制御部28を制御する。また、自車の前方に先行車や対向車、歩行者等が存在しないことが検出できた場合には、可動シェード38による遮光を伴わないハイビーム用配光パターンを形成して運転者の視界を向上させるべきであると判断して照射制御部28を制御する。また、車両周囲の車両や歩行者の存在位置を詳細に検出して図5(c)のように運転者の視認性を向上するように照射範囲を広げる中間配光パターンを形成するような制御を行う。
このように前走車や対向車、歩行者などの対象物を検出するために車両100の車両制御部102には、対象物の認識手段として例えばステレオカメラなどのカメラ106が接続されている。車両制御部102は、カメラ106から提供される画像データの中に予め保持している車両や歩行者を示す特徴点を含む画像が存在する場合、その車両や歩行者を考慮した最適な配光パターンを形成するように照射制御部28に情報を提供する。なお、車両前方に車両用前照灯装置10による照射を抑制すべき対象物を検出する手段は適宜変更可能であり、カメラ106に代えてミリ波レーダや赤外線レーダなど他の検出手段を用いてもよい。また、それらを組み合わせてもよい。
また、車両制御部102は、車両100に通常搭載されているステアリングセンサ108、車速センサ110などからの情報も取得可能であり、車両100の走行状態や走行姿勢に応じて形成する配光パターンを選択するようにしてもよい。例えば、車両制御部102はステアリングセンサ108からの情報に基づき車両が旋回していると判定した場合、エーミング制御をリアルタイムで行うようにしてランプユニット18を旋回方向に向けて旋回方向の視界を向上させてもよい。このような制御モードを旋回感応モードということもできる。また、夜間に高速走行しているときには、遠方から接近する対向車や前走車、道路標識やメッセージボードの認識をできるだけ早く行えるように前照灯による照明を行うことが好ましい。そこで、車両制御部102は車速センサ110からの情報に基づき高速走行のときに、ロービーム用配光パターンより遠方を照射できる中間配光パターンを形成するように制御してもよい。このような制御モードを速度感応モードということができる。なお、中間配光パターンは、積極的にカットラインの高さを変更して照射到達距離を変更する制御である。これに対し、前述したレベリングアクチュエータ26による加減速時のオートレベリング制御は、照射距離を一定に維持するような制御である。これらの制御はカットラインの高さを制御するものである。したがって、可動シェード38の進退制御により加減速時に照射距離を一定にするオートレベリング制御と同等の制御を実現してもよい。その結果、レベリングアクチュエータ26及びその周辺の機構を省略することができる。
この他、車両制御部102は、ナビゲーションシステム112から道路の形状情報や形態情報、道路標識の設置情報などを取得することもできる。これらの情報を事前に取得することにより走行道路に適した配光パターンをスムーズに形成することもできる。このような制御モードをナビ感応モードという。なお、車両制御部102は、前述したフェールセーフに移行したことを検出した場合、表示装置や音声装置を介して、フェールセーフモードに移行したことを運転者に報知したり、点検修理等を促すメッセージを提供してもよい。
上述した実施形態の可動シェード38は、1枚の板状であり進退移動によりカットラインを移動させるものである。したがって、中間配光パターンのカットラインはロービーム用配光パターンと同じ形状である。別の実施例においては、図6(a)に示すように、可動シェード38は、シェード幅方向に分割されて個別に進退方向に移動する複数の分割シェードで構成されてもよい。図6(a)の場合、一例として例えば4分割している分割シェード54a〜54dを示す。この場合、分割シェード54a〜54dには、支持軸42を揺動軸とする変位拡大アーム44がそれぞれ接続され、対応する変位拡大アーム44に微細変位発生部46と優先移動機構48が配置されることになる。なお、以下の説明では、分割シェード54a〜54dを単に「分割シェード54」または、「可動シェード38」として説明する場合もある。図6(a)のように分割シェード54a〜54dとする場合、互いに隣接する分割シェード54の間に隙間があと遮光動作時に漏光して好ましくない。そこで、互いに隣接する分割シェード54をその端部が例えば光軸方向に重なり合うようにして、漏光を防止するような構造にしておくことが望ましい。
分割シェード54は、4つを一体的に進退移動すれば、図4(a)〜図4(c)と同様なシェード形状が形成可能であり、ロービーム用配光パターン、ハイビーム用配光パターン、中間配光パターンの一つである中距離配光パターンを形成できる。図6(b)〜図6(d)は、他の中間配光パターンを形成する可動シェード38の進退移動状態を示している。
図6(b)は、自車線側のみハイビーム領域を照射する左片ハイ配光パターンを形成する可動シェード38の進退移動状態を示している。この場合、分割シェード54a、分割シェード54bのみを完全進出位置に移動させ、分割シェード54c、分割シェード54dを完全退避位置に移動させるように、各微細変位発生部46に電圧を印加する。図7(a)が対応する左片ハイ配光パターンである。左片ハイ配光パターンは、自車線側に前走車や歩行者が存在せず、対向車線側に対向車や歩行者が存在する場合に適した配光であり、運転者の前方視認性を向上させつつ、対向車や対向車線の歩行者にグレアを与えないように配慮した配光パターンである。
図6(c)は、対向車線側のみハイビーム領域を照射する右片ハイ配光パターンを形成する可動シェード38の進退移動状態を示している。この場合、分割シェード54c、分割シェード54dのみを完全進出位置に移動させ、分割シェード54a、分割シェード54bを完全退避位置に移動させるように、各微細変位発生部46に電圧を印加する。図7(b)が対応する右片ハイ配光パターンである。右片ハイ配光パターンは、自車線側に前走車や歩行者が存在し、対向車線側に対向車や歩行者が存在しない場合に適した配光であり、運転者の前方車にグレアを与えないように配慮しつつ、対向車線の視認性を向上させる配光パターンである。
図6(d)は、自車線及び対向車線の道路照明を重視して、自車線及び対向車線の路側照明を低減させる配光パターンを形成する中央ハイ配光パターンを形成する可動シェード38の進退移動状態を示している。この場合、分割シェード54a、分割シェード54dのみを完全進出位置に移動させ、分割シェード54b、分割シェード54cを完全退避位置に移動させるように、各微細変位発生部46に電圧を印加する。図7(c)が対応する中央ハイ配光パターンである。中央ハイ配光パターンは、自車線及び対向車線に前方車が存在せず、自車線または対向車線に歩行者が存在するような場合に適した配光であり、運転者の前方視認性を向上しつつ路側の歩行者等にグレアを与えないように配慮した配光パターンである。
なお、上述した中間配光パターンは一例であり、各分割シェード54の進退状態を適宜決定することにより様々な中間配光パターンの形成が可能であり、車両の周囲の状態に適した配光を得ることができる。また、分割シェード54の分割数や各分割シェード54の分割形状は形成したい中間配光パターンの形状に応じて適宜変更可能であり、本実施形態と同様な効果を得ることができる。
本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能である。各図に示す構成は、一例を説明するためのもので、同様な機能を達成できる構成であれば、適宜変更可能であり、同様な効果を得ることができる。
10 車両用前照灯装置、 28 照射制御部、 34 シェード機構、 36 投影レンズ、 38 可動シェード、 40 固定ストッパ、 42 支持軸、 44 変位拡大アーム、 46 微細変位発生部、 48 優先移動機構、 52 シェード制御部、 100 車両。
Claims (3)
- 投影レンズを介して車両前方へ光を照射可能な光源と、
前記光源の光軸に対し進退可能であり、進出位置と退避位置を含む2位置間で前記光源から照射された光の遮光状態を変化させて配光パターンを形成する可動シェードと、
前記可動シェードを少なくとも退避方向に当該可動シェードの必要変位距離に満たない微細変位距離だけ変位させる微細変位発生部と、
車幅方向に延びる支持軸を中心に揺動して入力された変位を拡大する変位拡大アームであって、前記支持軸を挟んで第1距離の位置に前記可動シェードの接続部を有し、前記支持軸を挟んで他方側で前記第1距離より近い第2距離の位置に前記微細変位発生部の変位入力部を有する変位拡大アームと、
前記微細変位発生部の変位量を制御して前記可動シェードの進退量を制御するシェード制御部と、
を備えたことを特徴とする車両用前照灯装置。 - 前記微細変位発生部の非制御時に前記可動シェードを進出位置に優先移動させる優先移動機構をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の車両用前照灯装置。
- 前記微細変位発生部は、制御信号値の大きさで微細変位量を変化させる微細変位素子で構成されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両用前照灯装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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| JP2008326139A JP2010146984A (ja) | 2008-12-22 | 2008-12-22 | 車両用前照灯装置 |
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| JP2008326139A JP2010146984A (ja) | 2008-12-22 | 2008-12-22 | 車両用前照灯装置 |
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|---|---|---|---|---|
| FR3021392A1 (fr) * | 2014-05-20 | 2015-11-27 | Valeo Iluminacion Sa | Module optique elliptique pour dispositif d'eclariage automobile |
| EP2492141A3 (en) * | 2011-02-28 | 2018-04-11 | Koito Manufacturing Co., Ltd. | Vehicular lamp |
| CN110375266A (zh) * | 2019-07-24 | 2019-10-25 | 华域视觉科技(上海)有限公司 | 车灯用多段可切换式挡光板、车灯单元及车辆 |
| CN113212294A (zh) * | 2021-03-19 | 2021-08-06 | 太原理工大学 | 一种汽车远光灯照射范围智能调节装置 |
-
2008
- 2008-12-22 JP JP2008326139A patent/JP2010146984A/ja active Pending
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