JP5171707B2 - エアバッグ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、自動車のインストルメントパネル部に備えられる助手席乗員用のエアバッグ装置に関する。
従来、例えば、自動車のインストルメントパネル部に備えられる助手席乗員用のエアバッグ装置が知られている。このエアバッグ装置は、ガスを供給するインフレータと、所定の形状に折り畳まれたエアバッグとを備えている。そして、自動車の衝突などの際には、インフレータからガスを供給して、助手席に着席した乗員の前方にエアバッグを膨張展開させ、乗員に加わる衝撃を緩和するようになっている。
そして、このような助手席乗員用のエアバッグ装置のエアバッグについて、胴部保護部とこの胴部保護部の上側に配置される頭部保護部とを備え、乗員の体格に応じて、頭部保護部の内圧を制御可能とした構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この構成では、胴部保護部の上側に重ねて平面三角状でいわば四面体状の頭部保護部が配置され、スリット状の連通孔及び及びこの連通孔を開閉する帯状の弁体を備えた弁機構を用いて、エアバッグの展開過程で胴部保護部から頭部保護部へのガスの流入を制御を図っている。例えば、小柄な乗員の場合には、エアバッグの膨張過程で弁機構を閉じて、頭部保護部を低圧で膨張させ、大柄な乗員の場合には、弁機構を開いたままにして頭部保護部の内圧を大きくし、底付きの防止を図っている。また、胴部保護部には、余剰の膨張用ガスを排気するベントホールが設けられている。
しかしながら、この実施の形態では、胴部保護部の上側に重ねて頭部保護部が配置されるため、これら胴部保護部と頭部保護部とを強固に連結する必要があり、特に、頭部保護部は四面体状であるため、平面三角状の部分を胴部保護部に連結する作業は煩雑になり、製造コストが上昇する問題を有している。また、頭部保護部は、スリット状の連通孔で胴部保護部に連通されるとともに、胴部保護部にはベントホールが設けられてガスが流出するため、頭部保護部を大柄な乗員に対応して迅速に高圧に展開させるためには、初期に大量のガスを供給可能なインフレータを用いる必要が生じる。そして、このように初期に大量のガスを供給可能なインフレータ、すなわち、大出力で急峻な立ち上がり特性を有するインフレータは、形状及び質量が大きく、インフレータ自体が高価であるとともに、インフレータが高熱を発するためエアバッグの補強が必要になり、製造コストの低減が困難になる問題を有している。
特開2007−261504号公報 (第6−9頁、図1、図6、図10)
上記のように、状来の構成では、エアバッグにより被保護物の状態に応じた保護を行うためには、エアバッグ装置の構造が複雑になり、製造コストが上昇する問題を有している。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、被保護物の部位及び状態に応じた適切な保護を容易にできるエアバッグ装置を提供することを目的とする。
請求項1記載のエアバッグ装置は、アウタ気室を構成する袋状のアウタバッグ部及び前記アウタ気室を区画して被保護物の一部に対向するインナ気室を構成するインナバッグ部を備え、前記アウタバッグ部は、内側にガスが供給されるアウタバッグ基部及び前記アウタ気室を外側に連通させるアウタ排気口を備え、前記インナバッグ部は、前記アウタバッグ基部から離間した位置で前記アウタバッグ部に連結されるインナアウタ連結部、このインナアウタ連結部から離間したインナバッグ基部、前記アウタ気室と前記インナ気室とを連通させる内側連通部、及び前記インナ気室を前記アウタ気室の外側に連通させるインナ排気口を設けて、折り畳んだ状態からガスが導入され前記被保護物に対向して膨張展開するエアバッグと、前記アウタバッグ基部にガスを供給するインフレータと、前記インナバッグ基部を前記アウタバッグ基部側に解除可能に連結する連結手段と、前記アウタ排気口を開放可能に覆う閉塞手段と、前記被保護物の状態を検出し検出した状態に応じて前記連結手段の連結解除及び閉塞手段による前記アウタ排気口の開閉を制御する制御手段とを具備するものである。
請求項2記載のエアバッグ装置は、請求項1記載のエアバッグ装置において、インナバッグ部は、エアバッグが折り畳まれた状態で、アウタバッグ部の内面側に重ねられアウタ排気口を覆うとともに前記アウタバッグ部に離反可能に連結され、閉塞手段を構成するものである。
請求項3記載のエアバッグ装置は、請求項1または2記載のエアバッグ装置において、連結手段は、インナバッグ基部に一端部を連結された紐状のテザーと、このテザーの他端部を開放可能に保持するアクチュエータとを備えたものである。
請求項4記載のエアバッグ装置は、請求項1ないし3いずれか一記載のエアバッグ装置において、アウタバッグ部及びインナバッグ部はそれぞれ基布にて形成され、インナアウタ連結部は、アウタバッグ部とインナバッグ部との基布の共通面として構成されたものである。
請求項5記載のエアバッグ装置は、請求項1ないし4いずれか一記載のエアバッグ装置において、助手席の乗員に対向してインストルメントパネル部に配置される助手席乗員用のエアバッグ装置であって、被保護物は車両の座席に着席した乗員であり、インナバッグ部は、前記乗員の頭部に対向して展開するものである。
請求項1記載のエアバッグ装置によれば、制御手段により連結手段の連結を維持するとともに閉塞手段がアウタ排気口を開いた第1の状態で、インフレータがアウタバッグ基部にガスを供給すると、アウタ気室が膨張し、アウタバッグ部は被保護物側へ展開する。この状態で、インナアウタ連結部によりアウタバッグ部に連結されたインナバッグ部も被保護物側へ移動しようとするが、インナバッグ基部は連結手段によりアウタバッグ基部側に連結されているためアウタバッグ部の展開にともない、インナアウタ連結部とインナバッグ基部とが離間し、内側連通部を介してアウタ気室からインナ気室にガスが供給され、インナ気室が膨張し、インナバッグ部がアウタバッグ部の内側で展開する。このように膨張展開したエアバッグは、開口したアウタ排気口からガスが排気され、アウタ気室は比較的小さい内圧となる。そして、アウタ気室からガスが供給されるインナ気室については、内側連通部の通気抵抗により、アウタ気室よりもさらに小さい内圧となる。そこで、インナバッグ部が存在する部分ではエアバッグは小さな反力で被保護物を柔らかく拘束し、他の部分ではエアバッグはより大きな反力で被保護物を拘束して保護できる。一方、制御手段により連結手段の連結を解除するとともに閉塞手段がアウタ排気口を閉塞した第2の状態で、インフレータがアウタバッグ基部にガスを供給すると、アウタ気室が膨張し、アウタバッグ部は被保護物側へ展開する。この状態では、インナバッグ部はアウタバッグ部の内側面に押し付けられ、インナ気室にガスは供給されず、インナバッグ部は展開しないとともに、インナ排気口及びアウタ排気口は閉塞されてガスの排気も抑制される。そこで、アウタ気室のみが比較的大きい内圧で迅速に膨張し、エアバッグは全体的に被保護物を比較的大きな反力で強固に拘束して保護する。このようにして、一部の反力を小さくして被保護物の一部を柔らかく拘束するとともに他の部分はより大きな反力で拘束して保護する状態と、全体的に被保護物を大きな反力で拘束して保護する状態とを選択的に実現でき、被保護物の部位及び状態に応じた適切な保護ができる。さらに、インナバッグ部は、アウタバッグ部の内側を区画して設けられたため、インナバッグ部とアウタバッグ部とを連結する構成は簡略化が可能であり、製造が容易で製造コストを容易に低減できる。
請求項2記載のエアバッグ装置によれば、請求項1記載の効果に加え、制御手段により連結手段の連結を維持した状態では、エアバッグの膨張展開にともない連結手段に相対的に引かれてインナバッグ部がアウタバッグ部から離反してアウタ排気口を開くとともに、制御手段により連結手段の連結を解除した状態では、インナバッグ部がアウタバッグ部から離反する契機がなくアウタ排気口を閉じた状態に維持できる。このようにして、インナバッグ部が、連結手段の連結解除に応じてアウタ排気口を開閉する閉塞手段を構成するため、構造を簡略化し、軽量化及び小形化を容易にできるとともに製造コストを低減できる。
請求項3記載のエアバッグ装置によれば、請求項1または2記載の効果に加え、インナバッグ基部をアウタバッグ部内の所望の位置に強固に保持する構成と、制御手段の制御によりこのインナバッグ基部を迅速に開放する構成とを容易に実現できる。
請求項4記載のエアバッグ装置によれば、請求項1ないし3いずれか一記載の効果に加え、インナアウタ連結部をアウタバッグ部とインナバッグ部との基布の共通面として構成したため、エアバッグの構造を簡略化し、軽量化及び小形化を容易にできるとともに、インナバッグ部が直接的に被保護物に対向し、被保護物を柔らかく拘束する効果を向上できる。
請求項5記載のエアバッグ装置によれば、請求項1ないし4いずれか一記載の効果に加え、着席した乗員の状態に応じて、乗員の頭部を柔らかく拘束するとともに他の部分はより大きな反力で拘束して保護する状態と、全体的に乗員を大きな反力で拘束して保護する状態とを選択的に実現でき、助手席の乗員を状態に応じて適切に保護できる。
本発明のエアバッグ装置の一実施の形態を示すエアバッグが膨張展開した状態の説明図であり、(a)は第1の状態、(b)は第2の状態である。 同上エアバッグ装置のエアバッグの一部を切り欠いた斜視図である。 同上エアバッグ装置のエアバッグが膨張展開した状態の説明図である。 同上エアバッグ装置のエアバッグを構成する一部の基布を平面上に広げた平面図である。 同上エアバッグ装置のエアバッグを構成する一部の基布を平面上に広げた平面図である。 同上エアバッグ装置のエアバッグの製造工程を示す説明図である。 同上エアバッグ装置のエアバッグを示す第1の状態の説明図であり、(a)は展開初期、(b)は展開完了時、(c)は動作説明図、(d)は動作説明図である。 同上エアバッグ装置のエアバッグを示す第2の状態の説明図であり、(a)は展開初期、(b)は展開完了時、(c)は動作説明図である。 同上エアバッグ装置の動作を示す内圧と時間との関係を示すグラフである。
以下、本発明のエアバッグ装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
図1において、1はエアバッグ装置で、このエアバッグ装置1は、移動体である車両としての自動車2の助手席、すなわち被保護物としての助手席の乗員A,Bの前方に位置する被設置部としてのインストルメントパネル部4の内側に配置され、助手席乗員用のエアバッグ装置1を構成している。なお、以下、前後方向、両側方向、及び上下方向は、それぞれエアバッグ装置1を自動車2に取り付けた状態における自動車2の直進方向を基準として説明する。また、各図において、乗員A,Bはダミーにより示されており、乗員Aは比較的小柄な女性の乗員を模したダミーにより示され、乗員Bは比較的大柄な男性の乗員を模したダミーにより示されている。また、図1及び図7に示すSはシートベルトである。
そして、インストルメントパネル部4は、後側すなわち助手席側に向かって若干下降する曲面状などに形成され、このインストルメントパネル部4の内側に配置された被取付部材としての図示しないステアリングメンバに、エアバッグ装置1が正面側を上方から若干後側すなわち乗員A,B側に向けて傾斜した状態でねじ止めなどして固定されている。また、インストルメントパネル部4の上方には、前側下方から上側後方に向かって傾斜したウインドシールドであるフロントガラスが配置されている。
そして、このエアバッグ装置1は、エアバッグモジュールとも呼び得るもので、基布にて構成された袋状のエアバッグ11、このエアバッグ11にガスを供給するインフレータ12、これらエアバッグ11とインフレータ12となどが取り付けられるケース体14、図示しないリテーナプレート、連結手段16を構成するアクチュエータ17、展開前のエアバッグ11を覆う図示しないカバー体、及びインフレータ12及びアクチュエータ17の動作を制御する図示しない制御手段などを備えている。
そして、ケース体14は、略箱状に形成され、正面側あるいはフロントガラスに向かう上側を開口部である矩形状の突出口21とし、内側が、折り畳んだエアバッグ11を収納するエアバッグ収納部22とされている。そして、この突出口21は、通常時は、カバー体により覆われている。
また、インフレータ12は、本実施の形態では、2個一組で用いられ、各インフレータ12は、円盤状をなす本体部12aを備え、この本体部12aの高さ方向の中間位置から、四角板状のフランジ部が突設され、このフランジ部の四隅には取付孔である通孔が形成されている。そして、この本体部12aの上側部、すなわちフランジ部の上方に位置して、本体部12aの外周面に、複数のガス噴射口が形成されている。そして、本体部12aの内側には、点火器及び薬剤が収納され、底部に接続されたコネクタを介して伝えられる制御手段からの電気信号により、点火器が薬剤を燃焼させ、ガス噴射口から膨張用のガスを急速に供給するようになっている。そして、このインフレータ12は、ガス噴射口を設けた本体部12aをエアバッグ11の内側に挿入した状態で、ケース体14の底部に取り付けられている。なお、インフレータ12は、種々の形状があり、例えば、円柱状の本体部をエアバッグ11の内側に配置する構成を採ることもできる。
そして、リテーナプレートは、枠状をなすリテーナ本体と、このリテーナ本体から突設された取付ボルトなどを備えている。
また、カバー体は、樹脂にてインストルメントパネル部4と一体あるいは別体をなして形成され、他の部分より薄肉で容易に破断するテアラインが平面略H字状などに形成されている。
そして、エアバッグ11は、図1ないし図6に示すように、単数あるいは複数の基布を組み合わせて全体としては2重の袋状に形成され、本実施の形態では、主として、図4及び図5に示す基布である上パネル31と下パネル32とを組み合わせて、外側に位置する外殻であるアウタバッグ部33と、このアウタバッグ部33の内側に位置するとともにアウタバッグ部33内に連通するインナバッグ部34とを備えた2重構造となっている。そして、アウタバッグ部33は、外殻基布部33aにより構成されているとともに、インナバッグ部34は、内側基布部34aと外殻基布部33aとの共通面34bとにより構成されている。言い換えると、エアバッグ11の内側は、インナバッグ部34を構成する内側基布部34aにより区画され、インナバッグ部34の外側に位置する主室としてのアウタ気室35とインナバッグ部34の内側に位置する補助室としてのインナ気室36とが形成され、ガスを導入することによりこれら気室35,36がそれぞれ膨張可能となっている。また、インナバッグ部34には、所定の状態でアウタ気室35とインナ気室36とを連通する換気口とも呼び得る円孔状の内側連通部37が形成されている。
そして、アウタバッグ部33は、インストルメントパネル部4すなわちケース体14に取り付けられる前端側の基端部がアウタバッグ基部41となり、このアウタバッグ基部41の内側にインフレータ12からガスが供給されるとともに、このアウタバッグ基部41の反対側である後端側が、乗員A,Bに向かう正面側の正面パネル(フロントパネル)42となっている。そして、この正面パネル42の上部が、展開時に乗員A,Bの上部である主として頭部A1,B1の高さ位置に対向する正面パネル上部43となり、この正面パネル42の下部が乗員A,Bの胴部A2,B2の高さ位置に対向する正面パネル下部44となる。そして、図3に示すように、正面パネル上部43のインナバッグ部34との共通面34bとなる部分が、主として乗員A,Bの頭部A1,B1に対向して展開する上部保護部あるいは弱保護部とも呼び得る頭部保護部45となり、この頭部対向部45以外の正面パネル下部44などの部分が、主として乗員A,Bの胸部などに対向して展開する一般保護部である胴部保護部46となる。また、アウタバッグ基部41と正面パネル42との間は、上側部が上面パネル48で連設され、下側部が下面パネル49で連設されているとともに、両側部が一対の側面パネル50,50で連設されている。また、頭部対向部45及び胴部保護部46の両外側の側面パネル50,50などの部分が、体格に応じて乗員A,Bの肩部に対向して展開する肩部対向部51となっている。
そして、アウタバッグ基部41は、インナバッグ部34との共通面34bではないいわばアウタバッグ非共通パネル部に設けられ、このアウタバッグ基部41には、基端部近傍で下側に向かい、ガス導入口52が形成されている。このガス導入口52は、インフレータ12を取り付けるとともに製造工程でエアバッグ11の基布を裏返すために用いられ、本実施の形態では、2個のインフレータ12を取り付けるため、両側方向に並んだ2個の円孔を連結した略亜鈴状に形成されている。また、このガス導入口52の周囲には、リテーナプレートの取付ボルトを挿入する8個の取付孔53が形成されている。さらに、このアウタバッグ基部41には、ガス導入口52に近接して、両側方向を長手方向とする溝状をなす連結用開口55が形成されている。
また、上面パネル48には、上側からやや前方に向かって、所定の状態でインナ気室36を外部に連通する円孔状のインナ排気口57が形成されているとともに、このインナ排気口57の前側で共通面34bではないアウタバッグ非共通パネル部に位置し、上側からやや前方に向かって、所定の状態でアウタ気室35を外部に連通する円孔状のアウタ排気口58が形成されている。さらに、両側の側面パネル50,50には、側方の上方あるいは下方に向かい、それぞれ常時アウタ気室35を外部に連通する円孔状の排気口であるベントホール59,59が形成されている。なお、これらインナ排気口57及びアウタ排気口58は、内側連通部37とほぼ同じ径寸法すなわちほぼ同じ通気抵抗の円孔として形成されている。
また、インナバッグ部34は、副室とも呼び得るもので、エアバッグ11の正面側の一部に配置され、本実施の形態では、正面側の上側の幅方向の中央部すなわち頭部対向部45の内側に配置されている。そして、このインナバッグ部34を構成する基布は、上記のように、頭部対向部45の部分ではアウタバッグ部33と基布を共用した共通面34bとなっているとともに、この共通面34bを囲む部分の少なくとも一部で、アウタバッグ部33とインナバッグ部34とが、一体にあるいは縫合などして、インナアウタ連結部61で連結されている。さらに、インナバッグ部34には、アウタバッグ部33との基布の共通面34bではないいわば非共通パネル部に、すなわち、インナアウタ連結部61から離間した位置である正面側から基端側に離間した内側基布部34aにインナバッグ基部63が設けられ、このインナバッグ基部63に、連結手段16を構成するテザー64の一端部が縫合などして連結されている。このテザー64は、例えば上下のパネル31,32と同様の基布にて所定の長さ寸法の細長い帯状に形成されている。さらに、このテザー64の他端側には、金属製の連結金具65が取り付けられ、この連結金具65がアウタバッグ基部41側のアクチュエータ17に解除可能に保持されるようになっている。
そして、連結手段16のアクチュエータ17は、図示しないが、内室を備えた筐体と、この内室に移動可能に支持されたピストンと、内室に充填された推進薬と、この推進薬に点火する点火器とを備えている。そして、筐体は、例えばケース体14に取り付けられ、ピストンには、筐体の外部に突出した状態でテザー64の連結金具65を保持可能な保持部が一体に設けられている。そして、このアクチュエータ17は、制御手段の制御により点火器が作動すると、推進薬が発生するガスによりピストンが移動し、保持部が後退して、テザー64の連結金具65を開放するようになっている。
また、制御手段は、図示しないが、CPUやメモリを備えた制御装置を備え、この制御装置が、インフレータ12及びアクチュエータ17に信号線を介して接続され、これらインフレータ12及びアクチュエータ17を作動させている。さらに、この制御手段は、制御装置に信号線を介して接続されたセンサを備えている。このセンサは、エアバッグ11により保護される被保護物である乗員A,Bの状態を検出するもので、例えば、乗員の位置や体格を検出するセンサや、シートベルトSの装着の有無を検出するセンサが必要に応じて備えられている。そして、制御装置は、各センサの状態情報に基づいて、例えば、乗員A,Bの状態に基づいて、連結手段16によるエアバッグ11の拘束を選択的に保持あるいは解除する拘束制御装置すなわち拘束解除装置を構成している。
また、エアバッグ11の基布の構成は種々の構成を採りうるものであるが、本実施の形態では、主として上パネル31と下パネル32との2枚の基布で構成されている。そして、上パネル31には、図4に示すように、上面パネル48を構成するとともに、この上面パネル48を構成する部分の両側に側面パネル50,50の上側部を構成する部分が一体に連続している。そして、上面パネル48を構成する部分の一端側に正面パネル上部43を構成する部分が一体に連続している。さらに、この正面パネル上部43の一端部には、インナバッグ部34を構成する内側基布部34aが一体に連続して設けられている。そして、この内側基布部34aは、正面パネル上部43の一端部に一体に連続するインナ下面パネル71と、このインナ下面パネル71の両側に一体に連続する平面三角状のインナ側面パネル72,72と、インナ下面パネル71の一端部に一体に連続するインナ上面パネル73とが形成されている。また、この上パネル31の、側面パネル50,50の上側部を構成する部分の両側の辺部50aの一端部近傍からは、浅く切り込みを入れたスリット部74aを介して、インナ側部支持片部74が形成されている。さらに、上面パネル48及びインナ上面パネル73には、インナ排気口57を構成する円孔が形成されている。そして、上面パネル48には、アウタ排気口58を形成する円孔が形成されている。さらに、インナ上面パネル73には、内側連通部37を構成する円孔が形成されている。なお、符号31aに示すように、上パネル31の基布の縦横の織糸が延びる方向は、上面パネル48から正面パネル上部43が延びる方向に沿った方向と、この方向に直交する方向となっている。
一方、下パネル32は、図5に示すように、下面パネル49を構成するとともに、この下面パネル49を構成する部分の両側に側面パネル50,50の下側部を構成する部分が一体に連続している。そして、下面パネル49を構成する部分の一端側に正面パネル下部44を構成する部分が一体に連続している。そして、下面パネル49を構成する部分の基端部近傍に、アウタバック基部41のガス導入口52、取付孔53、及び連結用開口55を形成する孔部が形成されている。また、この下パネル32の側面パネル50,50の下側部を構成する部分に、それぞれベントホール59を構成する円孔が形成されている。さらに、正面パネル下部44を構成する部分の一端部の一部からは、浅く切り込みを入れたスリット部76aを介して、インナ下部支持片部76が形成されている。なお、符号32aに示すように、下パネル32の基布の縦横の織糸が延びる方向は、下面パネル49から正面パネル下部44が延びる方向に沿った方向と、この方向に直交する方向となっている。
なお、図2に示すように、これら上パネル31と下パネル32とには、ガス導入口52及びベントホール59の周囲などに、補強布ないし防炎布などと呼ばれる基布であるパッチ78,79が重ねて縫い合わされ、機械的及び熱的な強度の向上が図られている。また、ガス導入口52の部分には、折り畳んだエアバッグ11の形状を保持するとともにエアバッグ11の展開時に破断するラッピング部材であるシートを重ねて縫い合わせることもできる。
そして、エアバッグ11は、これら上パネル31、下パネル32、各パッチ78,79、及びテザー64などを互いに縫い合わせるなどして接合して構成されている。具体的には、上パネル31及び下パネル32に、各パッチ78,79を重ね縫い合わせて接合する。そして、上パネル31の内面を上に向けすなわち裏返した状態で、各インナ側面パネル72,72の一端側の辺部72a,72aに、インナ上面パネル73の両側の辺部73a,73aを縫い合わせて接合するとともに、インナ上面パネル73の一端側の辺部73bを上面パネル48に縫い合わせ、各インナ側面パネル72,72の他端側の辺部72b,72bを正面パネル上部43の両側の辺部43a,43aに縫い合わせて接合することにより、5面体状のインナバッグ部34すなわちインナ気室36が構成される。さらに、この上パネル31の各側面パネル50を構成する部分の一端側の辺部50bを、正面パネル上部43の両側の辺部43a,43aに縫い合わせて接合することにより、裏返した状態でアウタバッグ部33の上半部が形成される。この状態で、インナバッグ部34は、正面パネル上部43の一端部で上パネル31のアウタバッグ部33を構成する部分に一体に連結され、インナ上面パネル73の一端部で上パネル31のアウタバッグ部33を構成する部分に縫合して連結されているとともに、正面パネル上部43の両側部でアウタバッグ部33を構成する部分に縫合して連結され、インナアウタ連結部61が構成されている。また、このインナバッグ部34のインナバッグ基部63に、テザー64の一端部を縫い合わせて接合する。
一方、下パネル32についても、裏返した状態で、正面パネル下部44の両側の辺部44a,44aを各側面パネル50を構成する部分の一端側の辺部50bに縫い合わせて接合することにより、裏返した状態でアウタバッグ部33の上半部が裏返した状態で形成される。
そして、これら上パネル31と下パネル32とを、裏返した状態のまま、外周部同士、すなわち側面パネル50の両側の辺部50a同士と、正面パネル上部43の一端側の辺部43bと正面パネル下部44の一端側の辺部44bとを縫い合わせて接合することにより、図6に示すように、裏返した状態のエアバッグ11が構成される。
次いで、ガス導入口52を利用して、このエアバッグ11のアウタバッグ部33の内側と外側とを反転して正規の状態とする。また、インナ下部支持片76及び両側のインナ側部支持片部74をインナバッグ部34のインナ下面パネル71に縫い合わせて接合する。そして、互いに重ねられた上面パネル48とインナ上面パネル73との円孔を位置合わせし外周部に沿って縫い合わせて接合し、インナ気室36を外部に直接連通するインナ排気口57を形成する。また、この状態で、互いに重ねられた上面パネル48とインナ上面パネル73とについて、上面パネル48に形成したアウタ排気口58は、インナバッグ部34のインナバッグ非共通パネル部であるインナ上面パネル73の外面に対向し、インナ上面パネル73に形成した内側連通部37は、上面パネル48の内面に対向する。そして、アウタ排気口58は、外周部に沿って破断可能な糸にて縫い合わせなどしてインナ上面パネル73に仮接合して閉塞され、これらインナ上面パネル73の一部である対向面部81及び糸などの破断可能な仮連結部82により閉塞手段83が形成されている。
この状態で、アウタバッグ部33及びインナバッグ部34を備えたエアバッグ11が構成される。そして、膨張展開前の状態では、インナバッグ部34は、アウタバッグ部33の主として正面パネル42から上面パネル48に沿って配置され、インナバッグ部34の内側連通部37はアウタバッグ部33の上面パネル48に対向してこのアウタバッグ部33により閉塞されるとともに、アウタバッグ部33のアウタバッグ非共通パネルの部分に設けたアウタ排気口58は、インナバッグ非共通パネルであるインナバッグ部34の対向面部81に対向してこのインナバッグ部34の対向面部81により閉塞された状態で保持されている。
そして、このように構成されたエアバッグ11は、リテーナプレートのリテーナ本体をアウタバッグ基部41の内側に配置し、リテーナプレートの取付ボルトを取付孔53から引き出すとともに、テザー64の連結金具65を連結用開口55から外部に引き出した状態で、所定の形状に折り畳まれ、破断可能なラッピング部材であるシートで包むなどして形状を保持する。そして、折り畳んだエアバッグ11をケース体14のエアバッグ収納部22に収納するとともに、ガス導入口52にインフレータ12のガス噴射口を設けた本体部12aを挿入し、リテーナプレートの取付ボルトをインフレータ12のフランジ部及びケース体14の底部に設けた取付孔に挿入し、さらに取付ボルトの先端からナットを螺合して締め付ける。この状態で、リテーナ本体とナットとの間に、エアバッグ11のガス導入口52の周囲の部分とケース体14、及びインフレータ12が共締めして固定される。さらに、テザー64の連結金具65をアクチュエータ17の保持部に係止して保持する。
そして、このエアバッグ装置1は、自動車2のインストルメントパネル部4に取り付けられ、センサなどを備えた制御装置に電気的に接続して構成される。
次に、このエアバッグ装置1の展開動作を説明する。
まず、このエアバッグ装置1の動作の概略としては、自動車2の衝突などの際に、制御装置がインフレータ12を作動させ、このインフレータ12からガスを噴射させる。すると、このエアバッグ11は、図2に示すように、ガスの流入に伴い膨張展開し、カバー体のテアラインを破断して突出口21から突出し、直接に、あるいはフロントガラスに沿って、正面側に向かい膨張展開して、助手席に着席した乗員A,Bの上半身の前方に正面パネル42を対向させて展開し、乗員Aを拘束して衝突の衝撃から保護する。
さらに、このエアバッグ装置1は、センサが検出した乗員A,Bの状態に応じて連結手段16を制御し、第1の状態と第2の状態とを切り替えて、乗員A,Bの状態に応じた最適な保護を実現するようになっているが、以下、シートベルトSを装着した状態あるいは小柄な乗員Aなど、乗員Aを比較的小さい反力で柔らかく受け止める状態を第1の状態、シートベルトSを装着していない大柄な乗員Bなど、乗員Bを比較的大きい反力でしっかりと受け止める状態を第2の状態として説明する。
まず、制御手段がセンサからの入力を総合的に判断して、第1の状態を選択した場合には、図1(a)及び図7に示すように、点火信号によりインフレータ12のみを作動させ、アクチュエータ17は非作動として、インナバッグ基部63から伸びたテザー64の連結金具65を保持したままとする。
すると、インフレータ12のガスは、まず、アウタバッグ部33のアウタバッグ基部41の内側の位置からアウタ気室35に供給され、アウタバッグ部33を正面側に向かって展開させていく。この際、インナバッグ部34は、正面側でアウタバッグ部33に連結されているとともに、インナバッグ基部63がテザー64により車体側すなわちアウタバッグ基部41側に連結されているため、テザー64が張った状態から、インナバッグ基部63がアウタバッグ基部41側に引き留められ、いわばインナバッグ基部63が相対的に基端側に引かれ、アウタバッグ部33の正面側から離れていく。そして、インナ上面パネル73が上面パネル48から離れ、内側連通部37が上面パネル48から離れた状態で、この内側連通部37を介してアウタ気室35からインナ気室36にガスが供給され、図7(a)に示すように、インナバッグ部34の展開すなわちインナ気室36の膨張が開始される。さらに、ガスが供給されてインナ上面パネル73が上面パネル48から離れると、図7(b)及び(d)に示すように、仮連結部82が破断し、アウタ排気口58が開口して、ベントホール59と合わせたアウタバッグ部33の排気口の面積が拡大し、アウタ気室35の内圧が過多となることを防止する。
そして、アウタバッグ部33が最大限に展開したいわゆるフル展開の状態では、図1(a)及び図7(c)に示すように、内側連通孔37を介してガスが供給されるインナバッグ部34も十分に展開した状態となる。また、この状態で、アウタバッグ部33は、両側のベントホール59に加えてアウタ排気口58がいわば第3のベントホールとなって排気可能となっているとともに、インナバッグ部34はインナ排気口57から排気可能となっている。そして、この膨張展開の過程及びフル展開の状態において、ガスはアウタ気室35から所定の通気抵抗を有する内側連通部37を介してインナ気室36に供給されるため、アウタ気室35の内圧P1はインナ気室36の内圧P2より大きくなる。そこで、インナ気室36が位置する正面パネル上部43の頭部対向部45の反力は、アウタ気室35が位置する正面パネル下部44及び側面パネル部50の胴部対向部46及び肩部対向部51の反力よりも小さくなる。
このようにして、シートベルトSを装着した乗員、あるいは、質量の小さい小柄な乗員Aについて、両側のベントホール59及びアウタ排気口58から排気可能なアウタ気室35が位置する胴部対向部46及び肩部対向部51で乗員Aの肩部及び胴部A2を大きすぎない必要十分な反力でしっかりと受け止めて拘束するとともに、インナ気室36が位置する頭部対向部45で乗員Aの頭部A1をより小さい反力で柔らかく受け止めて拘束する。このようにして、乗員Aの各部を好ましい反力で保護できる。
一方、制御手段がセンサからの入力を総合的に判断して、第2の状態を選択した場合には、図1(b)及び図8に示すように、点火信号によりインフレータ12を作動させるとともに、アクチュエータ17を作動させて連結金具65を開放し、インナバッグ基部63から伸びたテザー64を引き留めない。この状態では、インナバッグ部34は実質的にアウタバッグ部33に沿って取り付けられた基布パネルに過ぎず、図8(a)に示すように、インナバッグ部34がアウタバッグ部33の内面に沿って押し付けられ展開しない状態のまま、アウタバッグ部33のみが迅速に展開する。すなわち、展開時に、いわばボトルネックになる通気抵抗が生じる部分がなく、ガスが直接に供給されるアウタバッグ部33が迅速に展開する。また、この状態では、図8(b)に示すように、エアバッグ装置1が作動した最初期にインナバッグ部34が若干展開したとしても、内部のガスはインナ排気口57から排気される。さらに、この状態では、インナ上面パネル73が上面パネル48に沿ったままとなり、内側連通部37が閉じた状態が維持されるとともに、仮連結部82が破断せずにアウタ排気口58が閉じた状態が維持され、アウタ気室35のガスは両側のベントホール59のみから排気され、内圧の大きい状態となる。
そこで、アウタバッグ部33が最大限に展開したいわゆるフル展開の状態では、図1(b)及び図8(c)に示すように、インナバッグ部34は展開せずアウタバッグ部33は、両側のベントホール59のみから排気可能となる。そこで、頭部対向部45、胴部対向部46、及び肩部対向部51のいずれについても、アウタ気室35の内圧により支えられて一定の反力P3となる。
このようにして、シートベルトSを装着せず、質量の大きい大柄な乗員Bについて、第1の状態の内圧P1,P2よりも大きい内圧P3のアウタ気室35により、エアバッグ11の全面で十分な反力でしっかりと受け止めて拘束し、乗員Bを好ましい反力で保護できる。
エアバッグ装置1の作動時の、エアバッグ11の内圧の変化をグラフを図9に示す。縦軸Pは内圧[kPa]、横軸tは時間[ミリ秒]である。そして、P1は第1の状態におけるアウタ気室35の内圧、P2は第1の状態におけるインナ気室36の内圧、P3は第2の状態におけるアウタ気室35の内圧である。また、t1は仮連結部82が破断する時点である。このグラフに示すように、第2の状態に対して、第1の状態の状態ではエアバッグ11の内圧は小さく設定され、特に、インナ気室36の内圧を小さくできることが示された。
このように、本実施の形態によれば、アウタバッグ部33内にインナバッグ部34を備え、部位によって異なる内圧を発生させる状態と、全体に一様な内圧を発生させる状態とを切換可能としたため、被保護物である着席した乗員A,Bの体格やシートベルトSの装着の有無などの状態及び乗員A,Bの部位に応じた好ましい反力で保護ができる。すなわち、乗員Aの頭部A1を柔らかく拘束するとともに他の部分である胴部A2や特に肩部はより大きな反力で拘束して保護する状態と、全体的に乗員Bを大きな反力で拘束して保護する状態とを選択的に実現でき、助手席の乗員A,Bを部位及び状態に応じて適切に保護できる。
すなわち、本発明のエアバッグ装置1によれば、シートベルトSを装着した乗員Aについて、制御手段は、連結手段16であるテザー64の連結を維持するとともに、仮連結部82が破断し閉塞手段83であるインナバッグ部34がアウタ排気口58を開いた第1の状態とする。そして、インフレータ12からアウタバッグ基部41へのガスの供給にともない、アウタ気室35が膨張し、アウタバッグ部33は乗員A側へ展開する。この状態で、インナアウタ連結部61によりアウタバッグ部33に連結されたインナバッグ部34も乗員A側へ移動しようとするが、インナバッグ基部63はテザー64によりアウタバッグ基部41側に連結されているため、アウタバッグ部33の展開にともない、インナアウタ連結部61とインナバッグ基部63とが離間し、内側連通部を介してアウタ気室35からインナ気室36にガスが供給され、インナ気室36が膨張し、インナバッグ部34がアウタバッグ部33の内側で展開する。そして、このインナバッグ部34の展開と同時に、テザー64に引き留められたインナバッグ部34が離反してアウタ排気口58を開く。このように膨張展開したエアバッグ11は、開口したアウタ排気口58からガスが排気されて圧力の過多が防止され、アウタ気室35は比較的小さい内圧となる。そして、インナ気室36は、上流の気室(第1室)であるアウタ気室35からガスが供給される下流の気室(第2室)であり、内側連通部37の通気抵抗により、アウタ気室35よりもさらに小さい内圧である低圧状態を容易に設定できる。そこで、インナバッグ部34が存在する部分ではエアバッグ11は小さな反力で乗員Aの頭部A1を柔らかく拘束し、他の部分ではエアバッグ11はより大きな反力で乗員Aの胴部A2や肩部を拘束して保護できる。
一方、シートベルトSを装着していない乗員Bについて、制御手段は、アクチュエータ17を作動させてテザー64の連結金具65を開放するするとともに閉塞手段83であるインナバッグ部34がアウタ排気口58を閉塞した第2の状態とし、インフレータ12がアウタバッグ基部41にガスを供給すると、アウタ気室35が膨張し、アウタバッグ部33は乗員B側へ展開する。この状態では、インナバッグ部34はアウタバッグ部33の内側面に押し付けられ、インナ気室36にガスは供給されず、インナバッグ部34は展開しないとともに、インナ排気口57及びアウタ排気口58は閉塞されてガスの排気も抑制される。そこで、アウタ気室35のみが比較的大きい内圧で迅速に膨張し、エアバッグ11は全体的にエネルギ吸収量の大きな状態となり、乗員Bを比較的大きな反力で強固に拘束して保護する。
このようにして、一部の反力を小さくして乗員Aの一部を柔らかく拘束するとともに他の部分はより大きな反力で拘束して保護する状態と、全体的に乗員Bを大きな反力で拘束して保護する状態とを選択的に実現できる。
すなわち、シートベルトSは乗員保護機能として大きな役割を果たすものであり、シートベルトSの非着用時すなわち無拘束状態では、エアバッグ11はある程度の反力を確保し、インストルメントパネル部4への接触を防止する必要がある一方、シートベルトSの着用時には非着用時に対してエアバッグ11の反力を小さくすることが望ましく、さらに、被保護物である乗員Aは、頭部A1と胸部などの胴部A2とでは、質量も生体学的な耐荷重も異なることから、頭部A1を柔らかく拘束するとともに胴部A2はしっかりと拘束できるようにエアバッグ11の各部の反力を設定することが望ましいが、本実施の形態では、このようなエアバッグ11の特性を容易に実現できる。
また、頭部保護バッグに相当するインナバッグ部34は、アウタバッグ部33の内側を区画して設けられたため、エアバッグの外殻の外側に別体のエアバッグを連結する構成に比べて、インナバッグ部34とアウタバッグ部33とを簡略な構成で容易に強固に連結でき、製造が容易で製造コストを容易に低減できる。さらに、インナアウタ連結部61の少なくとも一部は、アウタバッグ部33とインナバッグ部34との基布の共通面34bとして構成したため、エアバッグ11の構造を簡略化し、軽量化及び小形化を容易にできるとともに、インナバッグ部34が直接的に乗員Aに対向し、乗員Aを柔らかく拘束する効果を向上できる。さらに、インナバッグ部34は、アウタバッグ部33の内側に位置するため、アウタバッグ部33からインナバッグ部34にガスを容易に急速に供給でき、高出力の効果なインフレータ12を用いる必要がなく、製造コストを低減できる。
そして、インナバッグ部34の容量すなわち展開の有無を制御する構成は、インナバッグ基部63に一端部を連結された紐状のテザー64とこのテザー64の他端部の連結金具65を開放可能に保持するアクチュエータ17とを備えた連結手段16を備えるのみで、インナバッグ基部63をアウタバッグ部33内の所望の位置に強固に保持する構成と、制御手段の制御によりこのインナバッグ基部63を迅速に開放する構成とを容易に実現でき、簡略な構造で動作を確実にしつつ製造コストを容易に低減できる。
さらに、アウタ排気口58を開閉する閉塞手段83は、別体の専用の弁体を用いるのではなく、インナバッグ部34を、アウタバッグ部33の内面側に重ねアウタ排気口58を覆うとともに仮連結部82で離反可能に連結して構成したため、制御手段により連結手段16の連結を維持しテザー64の連結金具65を保持した状態では、エアバッグ11の膨張展開にともないテザー64に相対的に引かれ仮連結部82を破断してインナバッグ部34がアウタバッグ部33から離反してアウタ排気口58を開くとともに、制御手段により連結手段16の連結を解除しテザー64を開放した状態では、インナバッグ部34がアウタバッグ部33から離反する契機がなくアウタ排気口58を閉じた状態に維持できる。このようにして、インナバッグ部34が、連結手段16の連結解除に応じてアウタ排気口58を開閉する閉塞手段83を構成し、インナバッグ部34の容量切換すなわち展開の有無に連動してアウタ排気口58を開閉する構成を容易に実現でき、構造を簡略化し、軽量化及び小形化を容易にできるとともに製造コストを低減できる。このように、テザー64の制御と一連の動作として、アウタバッグ部33の排気口の面積の拡大が行われるため、タイミング良く排気能力の変更が行われるとともに、格別の駆動装置を別個に設ける必要がなく、製造コストを低減できる。
なお、上記の実施の形態では、制御手段は、シートベルトSの装着の有無を検出するセンサと、乗員A,Bの体格を検出するセンサとを備え、これらセンサの出力を総合的に判断して第1の状態と第2の状態とを切り替えたが、これらセンサ及び判断については、種々の構成を採ることができる。例えば、乗員A,Bの位置を検出するセンサを備え、乗員A,Bがエアバッグ装置1に近接した状態では、インナバッグ部34を展開する第1の状態とすることもできる。また、例えば、シートベルトSの装着の有無のみに従って、あるいは、乗員A,Bの体格のみに従って、第1の状態と第2の状態とを切り替えることもできる。
また、エアバッグ11を構成する基布の形状、アウタバッグ部33内のインナバッグ部34の形状や配置、内側連通部37、インナ排気口57、及びアウタ排気口58の形状や配置などについては、種々の構成を採ることができる。例えば、上記の実施の形態では、エアバッグ11を折り畳んだ状態で、内側連通部37とアウタ排気口58とは対向せずに位置がずれるように配置したが、この構成に限られず、内側連通部37とアウタ排気口58とを位置を合わせして配置し、これら内側連通部37とアウタ排気口58とを囲むように糸で縫い、仮連結部82を構成することもできる。このように、内側連通部37とアウタ排気口58とを位置を合わせし仮連結部82で囲んだ構成では、この仮連結部82が離反しない状態では、内側連通部37を介してインナバッグ部34の内側にガスが供給されることをより確実に防止できる。また、内側連通部37は、折り畳んだ状態でアウタバッグ部34に対向するインナ上面パネル73に形成する他、常時アウタバッグ部33内のアウタ気室35に臨むインナ下面パネル71に形成することもできる。また、アウタバッグ部33の両側のベントホール59は、下パネル32に形成する構成に代えて、上パネル31に形成することもできる。また、仮連結部82は、破断可能な糸で縫って構成する他、離反可能な接着剤などで構成することもできる。
また、アウタ排気口58は、エアバッグ11の展開前において、インナバッグ部34の閉塞手段83で全面的に閉塞する他、一部のみすなわち部分的に塞ぐ構成とすることもできる。また、閉塞手段83は、1個のアウタ排気口58を開閉し、2個のベントホール59は常時開口する構成としたが、この構成に限られず、例えば、閉塞手段83で開閉される複数のアウタ排気口58を設けることもできる。
また、アウタバッグ部33とインナバッグ部34とは、正面側の一部を共通面34bとして形成したが、この構成に限られず、袋状のアウタバッグ部33の内側に別体の袋状のインナバッグ部34を配置し、2重の袋状とすることもできる。また、共通面34bを設ける場合にも、インナバッグ部34を構成する基布を、アウタバッグ部33を構成する基布とは別体として形成することもできる。
また、ケース体14に取り付けられるとともにインフレータ12が配置されるアウタバッグ基部41は、ケース体14及びインフレータ12の形状などに応じて、種々の構成を採ることができる。例えば、円柱状をなすインフレータを、アウタバッグ基部41の内側に配置することもできる。
本発明は、例えば、車両の助手席乗員用のエアバッグ装置の他、前席の座席の後部から、後席の座席の乗員の上体に向かって展開するエアバッグを備えたエアバッグ装置に適用できる。
1 エアバッグ装置
2 車両としての自動車
4 インストルメントパネル部
11 エアバッグ
12 インフレータ
16 連結手段
17 アクチュエータ
33 アウタバッグ部
34 インナバッグ部
34b 共通面
35 アウタ気室
36 インナ気室
37 内側連通部
41 アウタバッグ基部
57 インナ排気口
58 アウタ排気口
61 インナアウタ連結部
63 インナバッグ基部
64 テザー
83 閉塞手段
A,B 被保護物としての乗員
A1,B1 頭部

Claims (5)

  1. アウタ気室を構成する袋状のアウタバッグ部及び前記アウタ気室を区画して被保護物の一部に対向するインナ気室を構成するインナバッグ部を備え、前記アウタバッグ部は、内側にガスが供給されるアウタバッグ基部及び前記アウタ気室を外側に連通させるアウタ排気口を備え、前記インナバッグ部は、前記アウタバッグ基部から離間した位置で前記アウタバッグ部に連結されるインナアウタ連結部、このインナアウタ連結部から離間したインナバッグ基部、前記アウタ気室と前記インナ気室とを連通させる内側連通部、及び前記インナ気室を前記アウタ気室の外側に連通させるインナ排気口を設けて、折り畳んだ状態からガスが導入され前記被保護物に対向して膨張展開するエアバッグと、
    前記アウタバッグ基部にガスを供給するインフレータと、
    前記インナバッグ基部を前記アウタバッグ基部側に解除可能に連結する連結手段と、
    前記アウタ排気口を開放可能に覆う閉塞手段と、
    前記被保護物の状態を検出し検出した状態に応じて前記連結手段の連結解除及び閉塞手段による前記アウタ排気口の開閉を制御する制御手段と
    を具備することを特徴とするエアバッグ装置。
  2. インナバッグ部は、エアバッグが折り畳まれた状態で、アウタバッグ部の内面側に重ねられアウタ排気口を覆うとともに前記アウタバッグ部に離反可能に連結され、閉塞手段を構成する
    ことを特徴とする請求項1記載のエアバッグ装置。
  3. 連結手段は、インナバッグ基部に一端部を連結された紐状のテザーと、このテザーの他端部を開放可能に保持するアクチュエータとを備えた
    ことを特徴とする請求項1または2記載のエアバッグ装置。
  4. アウタバッグ部及びインナバッグ部はそれぞれ基布にて形成され、
    インナアウタ連結部は、アウタバッグ部とインナバッグ部との基布の共通面として構成された
    ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載のエアバッグ装置。
  5. 助手席の乗員に対向してインストルメントパネル部に配置される助手席乗員用のエアバッグ装置であって、
    被保護物は車両の座席に着席した乗員であり、インナバッグ部は、前記乗員の頭部に対向して展開する
    ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一記載のエアバッグ装置。
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