AC型カラーPDP装置には、2電極型や3電極型、表示するセルを規定する期間(アドレス期間)と表示点灯のための放電を行う表示期間(サステイン期間)とが順次シフトするアドレス・表示非分離方式とそれらを分離したアドレス・表示分離方式など各種の方式がある。PDP装置の大部分の方式では、互いに平行に設けられた複数の電極が交差する構成を少なくとも有し、各電極を独立して駆動する必要がある。本発明は、このような複数の電極を独立して駆動する構成を有するPDP装置であれば、どのような方式のPDP装置にも適用可能であるが、ここでは現在実用化されてもっとも広く使用されている3電極型のアドレス・表示分離方式のPDP装置を例として説明を行う。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は、3電極型のアドレス・表示分離方式のPDP装置の基本構成を示す図である。プラズマディスプレイパネル10を構成する第1の基板に、第1(X)電極と第2(Y)電極を交互に平行に設け、誘電体層で覆う。第1の基板に対向する第2の基板にX及びY電極に垂直な方向に伸びる第3(アドレス)電極を設け、電極表面を誘電体層で覆う。第2の基板上には更に、アドレス電極の間にアドレス電極と平行に伸びるストライプ状の隔壁、又はアドレス電極の間及びXとY電極の組の間に配置される2次元格子状の隔壁を設け、隔壁の溝に蛍光体層を形成した後第1と第2基板を所定の間隔で貼り合せる。この第1と第2の基板の間に放電空間が形成され、ネオンやキセノンなどを混合した放電ガスが封入される。隣接するX電極とY電極の組とアドレス電極の交差部分に表示セルが形成される。後述するALIS方式以外の通常の方式のPDP装置では、表示セルが形成されるのは同じ組のX電極とY電極の間であり、隣接する他の組のX電極とY電極の間には表示セルは形成されない。
図1に示すように、PDP装置は、プラズマディスプレイパネル10の他に、アドレス電極を駆動するアドレスドライバ11と、Y電極を駆動するYスキャンドライバ12と、Yスキャンドライバ12にYサステイン信号を供給するYサステイン回路13と、X電極にXサステイン信号を供給するように駆動するXサステイン回路14と、各部の制御を行う制御回路15とを有する。図示のように、Xサステイン回路14は1出力を有するだけで、共通に接続されたX電極を駆動する。これに対して、Yスキャンドライバ12はY電極をそれぞれ独立して駆動し、アドレスドライバ11はアドレス電極をそれぞれ独立して駆動する。
図2は、図1のPDP装置の駆動波形を示す図である。アドレス・表示分離方式のPDP装置の基本駆動シーケンスは、全表示セルを一様な状態にするリセット期間と、点灯する表示セルを選択するアドレス期間と、選択した表示セルを発光させるサステイン期間とを有する。PDP装置では、各表示セルの点灯/非点灯が選択できるだけで、発光の強度を制御することはできない。そこで、1表示フレームを図2のような基本駆動シーケンスを有する複数のサブフレームで構成し、各サブフレームにおいて各表示セルの点灯/非点灯を選択し、各サブフレームの輝度を組み合わせて階調表示を行う。階調表示を効率よく行えるように、各サブフレームの輝度比、すなわち各サブフレームのサステイン期間において印加されるサステインパルス数を、例えば、1:2:4:8という具合に異なるようにしている。
図2に示すように、リセット期間においては、全アドレス電極に電圧Vaを印加し、共通のX電極にVwを印加し、すべてのY電極の0Vを印加する。これにより全表示セルのX電極とアドレス電極及びY電極の間で放電が発生し、全表示セルが一様な状態になる。次のアドレス期間には、共通のX電極に電圧Vxを印加し、全Y電極に−Vy1を印加した状態で、Y電極に−Vyのスキャンパルスを順次印加し、スキャンパルスの印加に同期して点灯する表示セルのアドレス電極に電圧Vaのアドレスパルスを印加する。スキャンパルスの印加されたY電極とアドレスパルスの印加されたアドレス電極の間でアドレス放電が発生し、点灯する表示セルの電極上の誘電体層の表面に壁電荷が蓄積される。スキャンパルスを全Y電極に順次印加しながらアドレスパルスを印加することにより、全面で点灯する表示セルが選択される。サステイン期間においては、アドレス電極に電圧Vaを印加した状態で、Y電極とX電極に交互に電圧Vsのサステインパルスを印加する。アドレス期間に壁電荷が形成された表示セルでは、壁電荷による電圧がサステインパルスの電圧Vsに重畳されて放電開始電圧を超えるのでサステイン放電が発生するが、アドレス期間に壁電荷が形成されなかった表示セルでは、壁電荷による電圧がないのでサステインパルスの電圧Vsだけでは放電開始電圧を超えずサステイン放電は発生しない。サステイン放電の発生した表示セルでは、サステイン放電により逆極性の壁電荷が形成されるので、次にX電極にサステインパルスを印加するとサステイン放電が発生する。以下サステインパルスの印加を繰り返すと選択された表示セルでサステイン放電が繰り返される。
図1及び図2で説明したPDP装置の構成及び駆動波形は一例であり、他にも各種の構成及び駆動方法が提案されている。ここでは、これ以上の詳しい説明は省略するが、本発明はいずれのPDP装置にも適用可能である。
図3は、図1及び図2で説明したPDP装置の各駆動回路の構成例を示す図である。アドレスドライバ11は、電圧Vaの電源とGND電源の間に直列に接続された2個のトランジスタAT1とAT2で構成されるドライバ回路16を、アドレス電極の本数分有する。トランジスタAT1とAT2の接続ノードが各アドレス電極に接続される。トランジスタAT1をオンするとアドレス電極に電圧Vaが印加され、トランジスタAT2をオンするとアドレス電極に0Vが印加される。
Yスキャンドライバ12は、電圧−Vy1の電源と電圧−Vyの電源の間に直列に接続された2個のトランジスタST1及びST2と、2個のトランジスタST1とST2の接続ノードに接続された2個のダイオードD1とD2で構成されるドライバ回路17を、Y電極の本数分有する。ダイオードD1はYサステイン回路13のトランジスタを介してGND電源に接続され、ダイオードD2はYサステイン回路13のトランジスタを介して電圧Vsの電源に接続される。アドレス期間には、Yサステイン回路13の両方のトランジスタをオフ状態にし、トランジスタST1をオン状態にして電圧−Vy1を出力した状態で、スキャンパルスを印加する時には、ST1をオフ状態にすると同時にST2をオン状態にする。サステイン期間には、ST1とST2をオフ状態にし、Yサステイン回路13の2個のトランジスタを交互にオン状態とオフ状態にする。これにより、ダイオードD1とD2を介してYサステイン回路13からVsとGNDが交互に印加される。
Xサステイン回路14は、電圧Vw、Vx、Vs及び0V(GND)に接続するスイッチとして動作する4個のトランジスタを有し、各トランジスタをオン状態にすることにより、X電極に対応する電圧を印加できる。
サステイン放電(維持放電)はX電極とY電極の間で行われるので、X電極とY電極は維持電極と呼ばれる。また、Y電極はスキャンパルス(走査パルス)が印加されるので、走査電極と呼ばれる。ここでは、Y電極を走査電極、X電極を維持電極と呼ぶ。
上記のように、Yスキャンドライバ12は、2個のトランジスタST1とST2、2個のダイオードD1とD2で構成されるドライバ回路17を、走査(Y)電極の本数分有し、各ドライバ回路17から順次スキャンパルスを出力する。そのため、Yスキャンドライバ12はシフトレジスタを更に備え、スキャンパルスの出力位置を示す信号をシフトレジスタにより順次シフトさせ、シフトレジスタの出力を複数のスキャンドライバ回路17に入力するようにしている。また、アドレスドライバ11は、トランジスタAT1とAT2で構成されるドライバ回路16を、アドレス電極の本数分有し、各ドライバ回路16からアドレスパルスを出力する。そのため、アドレスドライバ11はシフトレジスタを更に備え、アドレスデータをシフトレジスタにより順次シフトさせ、アドレスデータの長さ分のシフトが終了した時にシフトレジスタの出力を複数のドライバ回路16に入力するようにしている。
このように、複数の駆動信号を独立に出力するドライバは、出力するデータを設定するためのシフトレジスタを必要とするのが一般的である。そこで、シフトレジスタと、その出力をラッチするラッチ回路と、ラッチ回路の出力に応じた駆動信号を出力する複数個のドライバ回路を集積した駆動ICを使用して、Yスキャンドライバ12やアドレスドライバ11を実現するのが一般的である。なお、アドレスドライバ11に使用する駆動ICにはダイオードを設ける必要はないが、Yスキャンドライバ12に使用する駆動ICにはダイオードを設ける。
駆動ICに設けられるドライバ回路の個数は、16個や64個などであり、現状では64個のドライバ回路を有する駆動ICが広く使用されており、これに対応して64ビットのシフトレジスタやラッチ回路が設けられている。例えば、図1に示したプラズマディスプレイパネルが1024×768の表示セル構成であれば、スキャンドライバ12は12個の64ビット駆動ICで構成され、それらがカスケード接続される。また、アドレスドライバ11は16個の64ビット駆動ICで構成され、16ビットの表示データの各ビットが各ICに供給され、16個の64ビット駆動ICが並列に動作される。
図4は、本発明の第1実施例のプラズマディスプレイ装置(PDP装置)の構成を示す図である。第1実施例は、本発明を特許文献1に記載されたALIS方式のPDP装置に適用した例である。ALIS方式のPDP装置については特許文献1に詳細が記載されているので、ここでは詳しい説明を省略し、本発明に直接関係する点についてのみ簡単に説明する。
ALIS方式のプラズマディスプレイパネル10は、走査(Y)電極と維持(X)電極を交互に等間隔で配置し、各走査電極の両側に隣接する維持電極との間で表示ラインを形成する。維持電極の本数は走査電極の本数Nより1本多い。第1実施例のALIS方式のプラズマディスプレイパネル10は、384本の走査電極と、385本の維持電極と、1024本のアドレス電極を有し、768本の表示ラインが形成され、1024×768の表示セルが形成される。
図4において、各走査電極の上側に隣接する維持電極との間に奇数番目の表示ラインが形成され、各走査電極の下側に隣接する維持電極との間に偶数番目の表示ラインが形成される。1フレームは奇数フィールドと偶数フィールドで構成され、奇数フィールドでは奇数番目の表示ラインが表示され、偶数フィールドでは偶数番目の表示ラインが表示されるインターレース表示が行われる。そのため、奇数フィールドのアドレス期間とサステイン期間には、奇数番目の表示ラインを形成する各走査電極とその上側の維持電極の間に放電する電圧を印加し、偶数番目の表示ラインを形成する各走査電極とその下側の維持電極の間には放電する電圧を印加しないようにする。同様に、偶数フィールドのアドレス期間とサステイン期間には、偶数番目の表示ラインを形成する各走査電極とその下側の維持電極の間に放電する電圧を印加し、奇数番目の表示ラインを形成する各走査電極とその上側の維持電極の間には放電する電圧を印加しないようにする。
このような電圧の印加を可能にするため、奇数番目の維持(X)電極は共通に奇数Xサステイン回路14Oに接続し、偶数番目の維持(X)電極は共通に偶数Xサステイン回路14Eに接続し、奇数番目と偶数番目の維持電極にそれぞれ独立に電圧が印加できるようにする。更に、奇数番目の走査(Y)電極はそれぞれ奇数Yスキャンドライバ12Oに接続し、偶数番目の走査(Y)電極はそれぞれ偶数Yスキャンドライバ12Eに接続する。奇数Yスキャンドライバ12Oと偶数Yスキャンドライバ12Eは、奇数Yサステイン回路13Oと偶数Yサステイン回路13Eからサステインパルスが供給される。
図5は、第1実施例のPDP装置における奇数フィールドの1サブフレームの駆動波形を示す図である。
図5に示すように、リセット期間においては、全アドレス電極に電圧Vaを印加し、奇数番目と偶数番目の維持(X)電極にVwを印加し、すべての走査(Y)電極に0Vを印加する。これにより全表示セルの維持電極とアドレス電極及びすべての走査電極の間で放電が発生し、全表示セルが一様な状態になる。次のアドレス期間は、奇数表示ラインのうちの奇数番目の表示ラインにおける点灯セルを選択する前半部と、奇数表示ラインのうちの偶数番目の表示ラインにおける点灯セルを選択する後半部とで構成される。前半部では、奇数番目の維持電極に電圧Vxを印加し、偶数番目の維持電極と走査電極に0Vを印加し、奇数番目の走査電極に−Vy1を印加した状態で、奇数番目の走査電極に−Vyのスキャンパルスを順次印加し、スキャンパルスの印加に同期して点灯する表示セルのアドレス電極に電圧Vaのアドレスパルスを印加する。スキャンパルスの印加された奇数番目の走査電極とアドレスパルスの印加されたアドレス電極の間でアドレス放電が発生し、電圧Vxの印加されている奇数番目の維持電極と奇数番目の走査電極の近傍に壁電荷が形成される。このようにして、奇数表示ラインのうちの奇数番目の表示ラインにおける点灯セルが選択される。
後半部では、偶数番目の維持電極に電圧Vxを印加し、奇数番目の維持電極と走査電極に0Vを印加し、偶数番目の走査電極に−Vy1を印加した状態で、偶数番目の走査電極に−Vyのスキャンパルスを順次印加し、スキャンパルスの印加に同期して点灯する表示セルのアドレス電極に電圧Vaのアドレスパルスを印加する。スキャンパルスの印加された偶数番目の走査電極とアドレスパルスの印加されたアドレス電極の間でアドレス放電が発生し、電圧Vxの印加されている偶数番目の維持電極と奇数番目の走査電極の近傍に壁電荷が形成される。このようにして、奇数表示ラインのうちの偶数番目の表示ラインにおける点灯セルが選択される。
サステイン期間には、アドレス電極に電圧Vaを印加した状態で、奇数番目の走査電極と偶数番目の維持電極に同相のサステインパルスを印加し、これと逆相のサステインパルスを偶数番目の走査電極と奇数番目の維持電極に印加する。従って、奇数番目の維持電極と走査電極の間及び偶数番目の維持電極と走査電極の間にサステイン電圧Vsが交互に印加されることになり、アドレス期間の前半部と後半部で選択された表示セルでサステイン放電が発生して点灯する。
偶数フィールドでは、奇数番目の維持電極に印加する電圧波形と偶数番目の維持電極に印加する電圧波形とを入れ替えることにより、偶数番目の表示ラインの表示が行われる。
以上の構成は、特許文献1に記載された従来のALIS方式のPDP装置と同じ構成であり、これ以上の説明は省略する。なお、ALIS方式にも各種の変形例があり、本発明はそれらの変形例にも適用可能である。
第1実施例のPDP装置では、アドレスドライバ11と奇数Yスキャンドライバ12O及び偶数Yスキャンドライバ12Eの構成が従来と異なる。以下、第1実施例におけるこれらの部分の構成を説明する。
図6は、奇数Yスキャンドライバ12O及び偶数Yスキャンドライバ12Eを構成するのに使用する駆動IC21の構成を示す図である。ここでは64ビットの駆動ICを使用するものとする。図示のように、駆動IC21は、クロックCLKに応じて入力データDinを順にシフトする64ビットシフトレジスタ22と、ラッチイネーブル信号LEに応じて64ビットシフトレジスタ22の出力をラッチする64ビットラッチ23と、64ビットラッチ23の64個の各出力に応じて駆動信号を出力する64個の出力ドライバ24−1〜24−64と、64個の出力ドライバ24−1〜24−64の各出力と電源端子VH及びVLの間に接続されたダイオードD1−1〜D1−64及びD2−1〜D2−64とを備える。64個の出力ドライバ24−1〜24−64は、出力制御信号OCに応じて、64ビットラッチ23の64個の各出力を選択して出力するか、出力がハイ・インピーダンス(Hi−Z)状態になる。具体的には、Yスキャンドライバとして使用する時には、サステイン期間には出力ドライバ24−1〜24−64の出力がHi−Zになり、アドレス期間には出力ドライバ24−1〜24−64から64ビットラッチ23の64個の各出力に対応した出力を行う。
また、サステイン期間には、電源端子VH1〜VH64及びVL1〜VL64に交互にGNDとサステイン電圧Vsが供給され、ダイオードD1−1〜D1−64及びD2−1〜D2−64を通して走査電極にサステインパルスが印加される。これによりダイオードD1−1〜D1−64及びD2−1〜D2−64が発熱するが、この発熱量は走査電極の駆動容量及び放電電流に関係しており、走査電極の駆動容量及び放電電流が大きいとその分発熱量も大きくなるという問題がある。ICの放熱はIC全体で考慮する必要があり、問題になるのは駆動IC21全体での発熱である。
図7は、第1実施例における走査(Y)電極とIC出力の配線を示す図である。前述のように、ALIS方式のプラズマディスプレイパネル(PDP)の走査電極の駆動容量は大きく、この駆動IC21の1出力では1走査電極を駆動するのに駆動能力が不足する場合がある。
このような問題を解決するため、第1実施例では、1個の駆動IC21の隣接する2出力を接続して1個の走査電極を駆動する。なお、必要に応じて3出力以上を接続して1個の走査電極を駆動することも可能である。従って、ここでは64ビットの駆動IC21の1個で32本の走査電極を駆動する。前述のように、走査電極は384本あるので、12個の駆動IC21を使用する。また、ALIS方式のPDP装置であるので、奇数番目の走査電極と偶数番目の走査電極を独立して駆動する必要があり、図5のように奇数番目の走査(Y)電極を駆動する奇数スキャンドライバ12Oと偶数番目の走査(Y)電極を駆動する偶数スキャンドライバ12Eとに分ける。そこで、奇数スキャンドライバ12Oと偶数スキャンドライバ12Eをそれぞれ6個の駆動IC21で構成する。更に、スキャンドライバとPDP10の走査電極は異方性導電膜を用い、熱圧着にて接続するが、熱圧着装置の条件及び接続性能の点から384本を2ブロックに集約して二束の出力端子群として接続する。
図7に示すように、1番目から192番目の192本の走査(Y)電極を出力端子群C1を介して第1のスキャンドライバ回路に接続し、193番目から384番目の192本の走査(Y)電極を出力端子群C2を介して第2のスキャンドライバ回路に接続する。第1のスキャンドライバ回路は、6個の駆動IC21−O1〜21−O3及び21−E1〜21−E3を有し、第1奇数駆動IC21−1の出力は、隣接する2つの出力を合わせて1番目から64番目の64本の走査(Y)電極のうちの奇数番目の電極Y1、Y3、…、Y63に接続し、第1偶数駆動IC21−E1は、隣接する2つの出力を合わせて1番目から64番目の64本の走査(Y)電極のうちの偶数番目の電極Y2、Y4、…、Y64に接続し、以下同様に、第2奇数駆動IC21−2と第3奇数駆動IC21O3は65番目から192番目の128本の走査(Y)電極のうちの奇数番目の電極Y65、Y67、…、Y191に接続し、第2偶数駆動IC21−E2と第3偶数駆動IC21−E3は65番目から192番目の128本の走査(Y)電極のうちの偶数番目の電極Y66、Y68、…、Y192に接続する。
更に、第2のスキャンドライバ回路は、6個の駆動IC21−O4〜21−O6及び21−E4〜21−E6を有し、第4奇数駆動IC21−O4から第6奇数駆動IC21−O6は、隣接する出力を合わせて193番目から384番目の192本の走査(Y)電極のうちの奇数番目の電極Y193、Y195、…、Y383に接続し、第4偶数駆動IC21−E4から第6偶数駆動IC21−E6は、隣接する出力を合わせて193番目から384番目の192本の走査(Y)電極のうちの偶数番目の電極Y194、Y196、…、Y384に接続する。
更に、図7に示すように、第1奇数駆動IC21−O1のキャリィ出力Cを第2奇数駆動IC21−O2の入力データDinに接続し、第2奇数駆動IC21−O2のキャリィ出力Cを第3奇数駆動IC21−O3の入力データDinに接続するという具合に奇数番目の駆動ICの前段のキャリィ出力Cを奇数番目の次段の入力データDinに入力する。同様に、偶数駆動ICの前段のキャリィ出力Cを偶数駆動ICの次段の入力データDinに入力する。
図8は、駆動ICの出力部の接続状態の詳細を示す図である。図示のように、駆動ICのドライバ24−2n−1と24−2nの出力を接続した上で、n番目の走査(Y)電極Ynに接続し、2n+1と2n+2の出力を接続した上で、n+1番目の走査(Y)電極Yn+1に接続する。
図9は、第1実施例において駆動IC21の駆動波形を示す図である。第1実施例においては駆動ICの隣接する出力を合わせて1本の走査(Y)電極を駆動するので、駆動ICの隣接する2出力が同じで、その位置が順に2出力ずつシフトする必要がある。そこで、駆動ICに供給するクロックCLKの周期を、アドレス期間を384で除した時間の半分、すなわち従来のALIS方式の場合のクロックの半分の周期に設定する。そして、クリアCLRを入力してシフトレジスタ22の保持している値をすべて0(「L])とした後、入力データDinを2クロックCLKの間1(「H])とする。これによりシフトレジスタ22は連続した2段の出力が1である状態が順にシフトする。そこで、2クロック毎に、シフトレジスタ22の1である出力が偶数段目に移った時にラッチ信号LEを発生する。これにより、ラッチ回路23は、隣接する奇数番目と偶数番目の出力が1であり、他の出力が0である状態を出力し、ラッチ信号LE毎に出力が1である位置を2出力ずつシフトさせる。このようにして、駆動IC21から隣接する奇数番目と偶数番目の出力が1であり、他の出力が0である状態が2出力ずつシフトする駆動信号が得られる。
第1実施例では、Yスキャンドライバだけでなく、アドレスドライバ11においても隣接する2出力で1本のアドレス電極を駆動する。図10は、第1実施例のアドレスドライバ11の構成を示す図である。アドレスドライバ11も駆動ICで構成され、ここでは64ビットの駆動ICを使用するとする。アドレスドライバ11の駆動ICは、スキャンドライバの駆動ICと類似の構成を有し、64ビットシフトレジスタ32と64ビットラッチ33と、64個の出力ドライバ34−1〜34−64とを有するが、ダイオードD1及びD2は設けられていない。
前述のように、アドレス電極は1024本あり、各駆動ICは32本のアドレス電極を駆動するので、アドレスドライバ11は32個の駆動IC31−1〜31−32で構成する。アドレスドライバ11では、1スキャンパルスの周期中に1表示ライン分のデータを準備する必要があるので、32ビットの表示データを32個の駆動IC31−1〜31−32にそれぞれ供給し、32個の駆動IC31−1〜31−32を並列に動作させる。
図11は、第1実施例におけるアドレスドライバの駆動波形を示す図である。従来のアドレスドライバの動作と異なる点は、入力データを2クロックCLK1毎に変化させる点である。これにより隣接する2ビットが同じデータである状態がシフトされ64ビットまでシフトされた時、すなわち2ビットずつ32個の入力データが揃った状態でラッチ信号LEが入力されて出力が行われる。これにより隣接する2出力で1アドレス電極を駆動できる。
なお、第1実施例では、スキャンドライバとアドレスドライバの両方で、駆動ICの2出力で1電極を駆動するようにしたが、駆動ICの駆動能力や発熱を考慮して、一方のみで2出力で1電極を駆動し、他方は1出力で1電極を駆動することも可能である。
次に本発明の第2実施例を説明する。本発明の第2実施例は、図1及び図2で説明した従来の構成を有するPDP装置に本願発明を適用した実施例である。第2実施例のPDP10は、768本の走査(Y)電極と、768本の維持(X)電極と、1024本のアドレス電極を有するとし、Yスキャンドライバ12を図6の駆動ICで構成するとする。アドレスドライバ11は、従来例と同じであるか、又は図10で説明したような構成を有するものとし、詳しい説明は省略する。
図12は、第2実施例における走査(Y)電極と駆動ICの出力の間の配線を説明する図である。第2実施例においては、2個の駆動ICの出力を接続して1本の走査(Y)電極を駆動する。従って、768本の走査(Y)電極を64ビットの駆動ICを使用して駆動するには24個の駆動IC21−1〜21−24を使用する必要がある。図12に示すように、第1と第2の駆動IC21−1と21−2の1番目から64番目の各出力を合わせて、1番目から64番目の走査(Y)電極に接続する。同様に、第3と第4の駆動IC21−3と21−4の1番目から64番目の各出力を合わせて、65番目から128番目の走査(Y)電極に接続するという具合に、奇数番目と偶数番目の駆動ICの各出力を合わせて64本の走査(Y)電極に順次接続する。更にいえば、N−1番目とN番目(N≦24)の駆動ICのm番目の出力を、32(N−2)+m番目の走査(Y)電極に接続する。
更に、第2実施例においては、1クロックの間1(「H」)になる入力データを1番目と2番目の駆動IC21−1、21−2のDin端子に入力し、1番目又は2番目の駆動IC21−1、21−2のキャリィCを3番目及び4番目の駆動IC21−3、21−4のDin端子に入力するという具合に、N−1番目とN番目(N≦24)の駆動ICのキャリィCをN+1番目とN+2番目の駆動ICのDin端子に入力する。
言い換えれば、第2実施例においては、従来の12個の64ビットの駆動ICにより768本の走査電極を駆動する構成に、更に12個の駆動ICを並列に設け、対応する駆動ICの出力を接続した構成である。従って、駆動ICの駆動波形は従来と同じである。
図12に示した第2実施例における駆動ICの配置では、すべての駆動ICを基板の同じ面に設けたために配線長がことなり、出力を接続する2個の駆動Cの駆動信号間の立ち上がり及び立下りのずれを生じる可能性がある。このようなずれを生じると、一方の駆動ICの高電位側の切り換え用トランジスタと他方の駆動ICの低電位側の切り換え用トランジスタが同時にオン状態になって、短時間ではあるが貫通電流が流れる可能性がある。
このようなずれをできるだけ小さくするため、例えば図13に示すように、出力を接続する2個の駆動ICを基板40の表面と裏面に設けることも可能である。この場合、基板の表面に奇数番目の駆動IC21−O(Oは1から23までの奇数)を設け、基板の裏面に偶数番目の駆動IC21−E(Eは2から24までの偶数)を設け、基板40に貫通穴(スルーホール)を設けて対応する出力を接続すると、各ICからの配線長を略同じにできるので、上記のずれを低減できる。なお、この場合には、奇数番目と偶数番目の駆動ICの出力を表裏対称にする必要がある。
第1及び第2実施例では、全駆動ICのすべての出力を使用したが、出力端子群毎の電極数、駆動ICの出力数、接続する出力数などの要因により、駆動ICn出力のうち使用しない出力が生じる場合がある。例えば、第1実施例と同様に、ALIS方式で、走査(Y)電極数が384本で、192本ずつ二束の出力端子群で接続するとし、64ビットの駆動ICを使用し、2個の異なる駆動ICの出力を接続する場合、2個の奇数電極駆動ICで64本の奇数番の走査(Y)電極を駆動し、2個の偶数電極駆動ICで64本の偶数番の走査(Y)電極を駆動することになり、駆動の最小単位は128本の走査(Y)電極になる。従って、一束の出力端子群に192本の走査電極が接続されている場合、この最小単位の2倍、すなわち合計8個の駆動ICを使用して192本の走査電極を駆動することになり、128個の駆動IC出力を使用しないことになる。
この場合、1番目から128番目までの128本の走査電極を前半の2個の奇数電極駆動ICと2個の偶数電極駆動ICで駆動し、残りの129番目から192番目までの64本の走査電極を後半の2個の奇数電極駆動ICと2個の偶数電極駆動ICで駆動することが考えられる。これは、もう一束の出力端子群に接続される分も同様である。この場合、後半の2個の奇数電極駆動ICと2個の偶数電極駆動ICの出力のうち、33番目から64番目の出力は使用しないことになる。そして、制御シーケンスとしては、図5で説明した前半アドレス動作と後半アドレス動作を行うのであれば、クロックを計数するカウンタを設け、後半の2個の奇数電極駆動IC又は2個の偶数電極駆動ICの32番目までの出力が終了した時点、すなわち96クロックを計数した時点で、もう一束の出力端子群に接続された走査電極を駆動する駆動ICの動作を開始するように制御する。
しかし、この構成では1番目から128番目までの128本の走査電極を駆動する4個の駆動ICの発熱が大きく、129番目から192番目までの64本の走査電極を駆動する4個の駆動ICの発熱が相対的に小さくなる。回路全体としては、最大の発熱量のICにより動作が制限されるため、このような発熱量の偏りがあるのは好ましくない。そこで、使用しない出力を各駆動ICに分散することが望ましい。第3実施例は、このような要求を満たす実施例である。
図14は、本発明の第3実施例のPDP装置における走査(Y)電極と駆動ICの出力の接続を示す図である。第3実施例のPDP装置は、ALIS方式で、走査(Y)電極数が384本で、192本ずつ二束の出力端子群C1及びC2で接続し、Yスキャンドライバは64ビットの駆動ICを使用して構成し、2個の異なる駆動ICの出力を接続する。図示のように、16個の駆動ICを使用し、奇数電極駆動IC21−O1〜21−O8と、偶数電極駆動IC21−E1〜21−E8に分ける。1番目と2番目の奇数電極駆動IC21−O1と21−O2の1番目から48番目の出力を合わせて、1番目から96番目の走査電極のうちの奇数番目の走査電極Y1、Y3、…、Y95に接続する。1番目と2番目の偶数電極駆動IC21−E1と21−E2の1番目から48番目の出力を合わせて、1番目から96番目の走査電極のうちの偶数番目の走査電極Y2、Y4、…、Y96に接続する。以下同様に、各駆動ICの1番目から48番目の出力を合わせて48本の走査電極に順次接続する。このように、第3実施例では、すべての駆動ICの1番目から48番目の出力が使用され、49番目から64番目の16出力は使用されない。
上記のように配置された駆動ICを制御するために、48クロックを計数する3個の奇数カウンタ51−O1〜51−O3を設ける。これらの奇数カウンタは、例えば48ビットのシフトレジスタでもよい。1番目と2番目の奇数電極駆動IC21−O1と21−O2に入力する1クロック分の入力データODinを、第1奇数カウンタ51−O1に入力し、48クロックを計数する。この間1番目と2番目の奇数電極駆動IC21−O1と21−O2では48ビットまでのシフト動作が行われる。第1奇数カウンタ51−O1が48クロックを計数すると、カウンタのキャリィ出力を3番目と4番目の奇数電極駆動IC21−O3と21−O4及び第2奇数カウンタ51−O2に入力する。これにより、番目と4番目の奇数電極駆動IC21−O3と21−O4がシフト動作を行い、順次スキャンパルスを出力すると共に、第2奇数カウンタ51−O2が48クロックの計数を行う。なお、1番目と2番目の奇数電極駆動IC21−O1と21−O2は、48ビットまでのシフト動作を行った後もシフト動作を行い、49番目以降の出力にスキャンパルスを出力するが、これらの出力はどこにも接続されていないので、駆動負荷にはならず、発熱もほとんど無視できるので、問題は生じない。
以上のようにして、7番目と8番目の奇数電極駆動IC21−O7と21−O8の48番目の出力にスキャンパルスが出力されるまで動作する。
同様に、3個の偶数カウンタ51−E1〜51−E3が設けられており、偶数電極駆動IC21−E1〜21−E8も同様の動作を行う。
以上説明したように、第3実施例では、使用しない出力が生じるが、それらは全駆動ICに均等に分散されるので、各駆動ICにおける発熱の偏りを低減できる。