以下、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置の駆動方法について、図面を用いて説明する。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態におけるパネル10の構造を示す分解斜視図である。ガラス製の前面基板21上には、走査電極22と維持電極23とからなる表示電極対24が複数形成されている。そして走査電極22と維持電極23とを覆うように誘電体層25が形成され、その誘電体層25上に保護層26が形成されている。背面基板31上にはデータ電極32が複数形成され、データ電極32を覆うように誘電体層33が形成され、さらにその上に井桁状の隔壁34が形成されている。そして、隔壁34の側面および誘電体層33上には赤色、緑色および青色の各色に発光する蛍光体層35が設けられている。
これら前面基板21と背面基板31とは、微小な放電空間を挟んで表示電極対24とデータ電極32とが交差するように対向配置され、その外周部をガラスフリット等の封着材によって封着されている。そして放電空間には、例えばネオンとキセノンの混合ガスが放電ガスとして封入されている。放電空間は隔壁34によって複数の区画に仕切られており、表示電極対24とデータ電極32とが交差する部分に放電セルが形成されている。そしてこれらの放電セルが放電、発光することにより画像が表示される。
なお、パネル10の構造は上述したものに限られるわけではなく、例えばストライプ状の隔壁を備えたものであってもよい。
図2は、本発明の実施の形態におけるパネル10の電極配列図である。パネル10には、行方向に長いn本の走査電極SC1〜SCn(図1の走査電極22)およびn本の維持電極SU1〜SUn(図1の維持電極23)が配列され、列方向に長いm本のデータ電極D1〜Dm(図1のデータ電極32)が配列されている。そして、1対の走査電極SCi(i=1〜n)および維持電極SUiと1つのデータ電極Dj(j=1〜m)とが交差した部分に放電セルが形成され、放電セルは放電空間内にm×n個形成されている。なお、本実施の形態においては走査電極の数nは偶数であるものとして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図3は、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置100の回路ブロック図である。プラズマディスプレイ装置100は、パネル10、画像信号処理回路41、データ電極駆動回路42、走査電極駆動回路43、維持電極駆動回路44、タイミング発生回路45、温度検出回路46および各回路ブロックに必要な電源を供給する電源部(図示せず)を備え、これらが筐体の内部に収納されてなる。
画像信号処理回路41は、入力された画像信号をサブフィールド毎の発光・非発光を示す画像データに変換する。データ電極駆動回路42はサブフィールド毎の画像データを各データ電極D1〜Dmに対応する信号に変換し各データ電極D1〜Dmを駆動する。
温度検出回路46は、温度を検出するために用いられるサーミスタ、熱電対等の一般に知られた感熱素子を備え、筐体内部の温度を検出し、検出温度として出力する。
タイミング発生回路45は水平同期信号、垂直同期信号および温度検出回路46から出力される検出温度にもとづき各回路ブロックの動作を制御する各種のタイミング信号を発生し、それぞれの回路ブロックへ供給する。走査電極駆動回路43は、書込み期間において走査電極SC1〜SCnに印加する各種の電圧および走査パルスを発生するための走査パルス発生部50を有し、タイミング信号にもとづいて各走査電極SC1〜SCnをそれぞれ駆動する。維持電極駆動回路44はタイミング信号にもとづいて維持電極SU1〜SUnを駆動する。
次に、パネル10を駆動するための駆動電圧波形とその動作について説明する。プラズマディスプレイ装置100は、サブフィールド法によって階調表示を行い、それぞれのサブフィールドは初期化期間、書込み期間および維持期間を有する。
本実施の形態においては、1フィールドを10のサブフィールド(第1SF、第2SF、・・・、第10SF)に分割し、各サブフィールドはそれぞれ、例えば(1、2、3、6、11、18、30、44、60、80)の輝度重みを持つものとする。しかし、本発明はサブフィールド数や各サブフィールドの輝度重みが上記の値に限定されるものではない。
本実施の形態においては、検出温度にもとづき書込み期間における駆動電圧波形を切り替えて各電極を駆動している。検出温度が所定の温度しきい値未満の場合には、走査電極SC1〜SCnを2つの走査電極群に分けることなく、走査電極SC1、SC2、SC3、SC4、・・・、SCn−1、SCnに走査パルスを順次印加して書込み動作を行う。
一方、検出温度が所定の温度しきい値以上の場合には、走査電極SC1〜SCnを奇数番目の走査電極群と偶数番目の走査電極群とに分ける。そして、書込み期間を、奇数番目の走査電極群に属する走査電極SC1、SC3、・・・、SCn−1のそれぞれに走査パルスを順次印加する奇数書込み期間(以下、「奇数期間」と略記する)と、偶数番目の走査電極群に属する走査電極SC2、SC4、・・・、SCnのそれぞれに走査パルスを順次印加する偶数書込み期間(以下、「偶数期間」と略記する)とに分割して書込み動作を行う。
なお、本実施の形態における所定の温度しきい値は、例えば33℃であるが、この値は使用するパネルの放電特性等により適宜設定することが望ましい。
まず、温度検出回路46の検出温度が温度しきい値未満の場合の動作について説明する。図4は、本発明の実施の形態における検出温度が温度しきい値未満の場合にパネル10の各電極に印加する駆動電圧波形を示す図であり、第1SFおよび第2SFにおける駆動電圧波形を示している。
第1SFの初期化期間の前半部では、データ電極D1〜Dmに書込みパルス電圧Vwを印加し、維持電極SU1〜SUnに電圧0(V)を印加し、走査電極SC1〜SCnには、維持電極SU1〜SUnに対して放電開始電圧以下の電圧Vi1から、放電開始電圧を超える電圧Vi2に向かって緩やかに上昇する傾斜波形電圧を印加する。この傾斜波形電圧が上昇する間に、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUn、データ電極D1〜Dmとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が起こる。そして、走査電極SC1〜SCn上に負の壁電圧が蓄積されるとともに、データ電極D1〜Dm上および維持電極SU1〜SUn上には正の壁電圧が蓄積される。ここで、電極上の壁電圧とは電極を覆う誘電体層上、保護層上、蛍光体層上等に蓄積された壁電荷により生じる電圧を表す。
初期化期間の後半部では、データ電極D1〜Dmに電圧0(V)を印加し、維持電極SU1〜SUnに正の電圧Ve1を印加し、走査電極SC1〜SCnには、維持電極SU1〜SUnに対して放電開始電圧以下となる電圧Vi3から放電開始電圧を超える電圧Vi4に向かって緩やかに下降する傾斜波形電圧を印加する。この間に、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUn、データ電極D1〜Dmとの間でそれぞれ微弱な初期化放電が起こる。そして、走査電極SC1〜SCn上の負の壁電圧および維持電極SU1〜SUn上の正の壁電圧が弱められ、データ電極D1〜Dm上の正の壁電圧は書込み動作に適した値に調整される。
なお、1フィールドを構成するサブフィールドのうち、いくつかのサブフィールドでは初期化期間の前半部を省略してもよく、その場合には、直前のサブフィールドで維持放電を行った放電セルに対して選択的に初期化動作が行われる。図4には、第1SFの初期化期間では前半部および後半部を有する初期化動作、第2SFおよびそれ以降の初期化期間では後半部のみを有する初期化動作を行う駆動電圧波形を示した。
続く書込み期間では、データ電極D1〜Dmに電圧0(V)、維持電極SU1〜SUnに電圧Ve2を印加し、走査電極SC1、SC2、・・・、SCnのそれぞれには第2の電圧Vs2を印加する。
次に、1番目の走査電極SC1に負の走査パルスを印加するために走査パルス電圧Vadを印加する。そして、データ電極D1〜Dmのうち1行目に発光させるべき放電セルのデータ電極Dk(k=1〜m)に正の書込みパルス電圧Vwを印加する。すると書込みパルス電圧Vwを印加した放電セルのデータ電極Dk上と走査電極SC1上との交差部の電圧差は、外部印加電圧の差(Vw−Vad)にデータ電極Dk上の壁電圧と走査電極SC1上の壁電圧の差とが加算されたものとなり放電開始電圧を超える。そして、データ電極Dkと走査電極SC1との間および維持電極SU1と走査電極SC1との間に書込み放電が起こり、走査電極SC1上に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU1上に負の壁電圧が蓄積され、データ電極Dk上にも負の壁電圧が蓄積される。
このように、走査パルス電圧Vadよりも高い第2の電圧Vs2から走査パルス電圧Vadに遷移し再び第2の電圧Vs2に遷移する走査パルスを走査電極SC1に印加して、1行目に発光させるべき放電セルで書込み放電を起こして各電極上に壁電圧を蓄積する書込み動作が行われる。一方、書込みパルス電圧Vwを印加しなかったデータ電極D1〜Dmと走査電極SC1との交差部の電圧は放電開始電圧を超えないので、書込み放電は発生しない。
次に、2番目の走査電極SC2に走査パルス電圧Vadを印加するとともに、データ電極D1〜Dmのうち2行目に発光させるべき放電セルのデータ電極Dkに正の書込みパルス電圧Vwを印加する。するとその放電セルのデータ電極Dkと走査電極SC2との間および維持電極SU2と走査電極SC2との間に書込み放電が起こり、各電極上に壁電圧を蓄積する書込み動作が行われる。
以下、走査電極SC3、SC4、・・・、SCnについても同様に書込み動作を行う。
続く維持期間では、まず走査電極SC1〜SCnに正の維持パルス電圧Vmを印加するとともに維持電極SU1〜SUnに電圧0(V)を印加する。すると書込み放電を起こした放電セルでは、走査電極SCi上と維持電極SUi上との電圧差が維持パルス電圧Vmに走査電極SCi上の壁電圧と維持電極SUi上の壁電圧との差が加算されたものとなり放電開始電圧を超える。そして、走査電極SCiと維持電極SUiとの間に維持放電が起こり、このとき発生した紫外線により蛍光体層35が発光する。そして走査電極SCi上に負の壁電圧が蓄積され、維持電極SUi上に正の壁電圧が蓄積される。さらにデータ電極Dk上にも正の壁電圧が蓄積される。書込み期間において書込み放電が起きなかった放電セルでは維持放電は発生せず、初期化期間の終了時における壁電圧が保たれる。
続いて、走査電極SC1〜SCnには電圧0(V)を、維持電極SU1〜SUnには維持パルス電圧Vmをそれぞれ印加する。すると、維持放電を起こした放電セルでは、維持電極SUi上と走査電極SCi上との電圧差が放電開始電圧を超えるので再び維持電極SUiと走査電極SCiとの間に維持放電が起こり、維持電極SUi上に負の壁電圧が蓄積され走査電極SCi上に正の壁電圧が蓄積される。以降同様に、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUnとに交互に輝度重みに応じた数の維持パルスを印加し、表示電極対24の電極間に電位差を与えることにより、書込み期間において書込み放電を起こした放電セルで維持放電が継続して行われる。
そして、維持期間の最後には電圧Vrに向かって緩やかに上昇する傾斜波形電圧を走査電極SC1〜SCnに印加して、データ電極Dk上の正の壁電圧を残したまま、走査電極SCi上および維持電極SUi上の壁電圧を消去している。本実施の形態においては、電圧Vrは維持パルス電圧Vmに等しいか、それより高い電圧である。こうして維持期間における維持動作が終了する。
次に、温度検出回路46の検出温度が温度しきい値以上の場合の動作について説明する。図5は、本発明の実施の形態における検出温度が温度しきい値以上の場合にパネル10の各電極に印加する駆動電圧波形を示す図であり、第1SFおよび第2SFにおける駆動電圧波形を示している。
初期化期間については、検出温度が温度しきい値未満の場合と同様であるため説明を省略する。
書込み期間では、上述したように、奇数期間と偶数期間との2つに分割して、奇数期間には奇数番目の走査電極SC1、SC3、・・・、SCn−1に走査パルスを順次印加して書込み動作を行い、偶数期間には偶数番目の走査電極SC2、SC4、・・・、SCnに走査パルスを順次印加して書込み動作を行っている。
奇数期間では、維持電極SU1〜SUnに電圧Ve2を印加し、奇数番目の走査電極SC1、SC3、・・・、SCn−1のそれぞれには第2の電圧Vs2を、偶数番目の走査電極SC2、SC4、・・・、SCnのそれぞれには第4の電圧Vs4を印加する。ここで、第4の電圧Vs4は第2の電圧Vs2より高い電圧である。
次に、1番目の走査電極SC1に負の走査パルスを印加するために走査パルス電圧Vadを印加する。そして、データ電極D1〜Dmのうち1行目に発光させるべき放電セルのデータ電極Dk(k=1〜m)に正の書込みパルス電圧Vwを印加する。このとき本実施の形態においては、走査電極SC1に隣接する走査電極、すなわち2番目の走査電極SC2に第4の電圧Vs4より低い第3の電圧Vs3を印加する。これは隣接する走査電極SC1と走査電極SC2との間に過大な電圧差が印加されるのを防ぐためである。
すると書込みパルス電圧Vwを印加した放電セルのデータ電極Dk上と走査電極SC1上との交差部の電圧差は、外部印加電圧の差(Vw−Vad)にデータ電極Dk上の壁電圧と走査電極SC1上の壁電圧の差とが加算されたものとなり放電開始電圧を超える。そして、データ電極Dkと走査電極SC1との間および維持電極SU1と走査電極SC1との間に書込み放電が起こり、走査電極SC1上に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU1上に負の壁電圧が蓄積され、データ電極Dk上にも負の壁電圧が蓄積される。
このように、奇数番目の走査電極群に属する走査電極SC1には、走査パルス電圧Vadよりも高い第2の電圧Vs2から走査パルス電圧Vadに遷移し再び第2の電圧Vs2に遷移する走査パルスを印加する。偶数番目の走査電極群に属する走査電極SC2、SC4、・・・、SCnには、走査パルス電圧Vadより高い第3の電圧Vs3と、第2の電圧Vs2および第3の電圧Vs3より高い第4の電圧Vs4とのいずれかの電圧を印加する。隣接する走査電極SC1に走査パルス電圧Vadが印加されている間は走査電極SC2には第3の電圧Vs3を印加する。こうして、1行目に発光させるべき放電セルで書込み放電を起こして各電極上に壁電圧を蓄積する書込み動作が行われる。一方、書込みパルス電圧Vwを印加しなかったデータ電極D1〜Dmと走査電極SC1との交差部の電圧は放電開始電圧を超えないので、書込み放電は発生しない。
次に、3番目の走査電極SC3に走査パルス電圧Vadを印加するとともに、データ電極D1〜Dmのうち3行目に発光させるべき放電セルのデータ電極Dkに正の書込みパルス電圧Vwを印加する。このとき走査電極SC3に隣接する2番目の走査電極SC2および4番目の走査電極SC4にも第3の電圧Vs3を印加する。するとその放電セルのデータ電極Dkと走査電極SC3との間および維持電極SU3と走査電極SC3との間に書込み放電が起こり、各電極上に壁電圧を蓄積する書込み動作が行われる。
以下、奇数番目の走査電極SC5、SC7、・・・、SCn−1についても同様に書込み動作を行う。そしてこのとき書込み動作を行う奇数番目の走査電極SCp+1(p=偶数、1<p<n)に隣接する偶数番目の走査電極SCpおよび走査電極SCp+2にも第3の電圧Vs3を印加する。
続く偶数期間では、奇数番目の走査電極SC1、SC3、・・・、SCn−1に第2の電圧Vs2を印加したまま、偶数番目の走査電極SC2、SC4、・・・、SCnにも第2の電圧Vs2を印加する。
次に、2番目の走査電極SC2に負の走査パルスを印加するために走査パルス電圧Vadを印加するとともに、データ電極D1〜Dmのうち2行目に発光させるべき放電セルのデータ電極Dkに正の書込みパルス電圧Vwを印加する。するとその放電セルのデータ電極Dkと走査電極SC2との交差部の電圧差は放電開始電圧を超え、2行目に発光させるべき放電セルで書込み放電を起こして各電極上に壁電圧を蓄積する書込み動作が行われる。
次に、4番目の走査電極SC4に走査パルス電圧Vadを印加するとともに、4行目に発光させるべき放電セルのデータ電極Dkに正の書込みパルス電圧Vwを印加する。するとその放電セルで書込み放電が起きる。
以下同様に、偶数番目の走査電極SC6、SC8、・・・、SCnについても同様に走査パルス電圧Vadを印加して書込み動作を行う。
なお、偶数期間において、奇数番目の走査電極SC1、SC3、・・・、SCn−1のそれぞれには第4の電圧Vs4を印加し、書込み動作を行う偶数番目の走査電極SCpに隣接する奇数番目の走査電極SCp−1および走査電極SCp+1に第3の電圧Vs3を印加してもよい。
しかし本実施の形態のように駆動しても、電圧(Vs2−Vad)を超える電圧差を隣接する走査電極間に印加することはないので、絶縁破壊やマイグレーションを発生する恐れがない。また奇数期間において奇数番目の走査電極の書込み動作をすでに終えているため、偶数期間において奇数番目の走査電極の壁電荷がたとえ減少したとしても、画像表示品質を損なう恐れがない。
続く維持期間の動作は、検出温度が温度しきい値未満の場合と同様であるため説明を省略する。
このように本実施の形態においては、検出温度が温度しきい値以上の場合には壁電荷の減少が発生しやすいため、走査パルスを印加しない走査電極群には走査パルスを印加する走査電極群よりも高い電圧を印加して壁電圧の減少を防ぐとともに、走査パルスを印加する走査電極とそれに隣接する走査電極との電圧差を小さくしてスパークやショートを防いでいる。一方、検出温度が温度しきい値未満の場合には壁電荷の減少よりも放電遅れ時間の増加が問題となるため、走査電極に走査パルスを順次印加して、放電遅れ時間が短くなる駆動を行っている。このように走査電極に走査パルスを順次印加すると、直前に書込み放電を行った放電セルからプライミングが供給されるので、放電遅れ時間を短くすることができる。
次に、走査パルス発生部50の詳細な構成について説明する。なお本実施の形態においては、第2の電圧Vs2と走査パルス電圧Vadとの差が、第4の電圧Vs4と第3の電圧Vs3との差に等しいとして説明する。この電圧の差を以下、電圧Vscnと記す。すなわち、(Vs2−Vad)=(Vs4−Vs3)=Vscnである。
図6は、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置100の走査パルス発生部50の構成を示す回路図である。図6にはパネル10および維持電極駆動回路44も示している。走査パルス発生部50は、奇数番目の走査電極SC1、SC3、・・・、SCn−1に印加する駆動電圧波形を出力する奇数パルス発生部53と、偶数番目の走査電極SC2、SC4、・・・、SCnに印加する駆動電圧を出力する偶数パルス発生部56とを備えている。なお、初期化期間および維持期間における駆動電圧波形を発生する回路は省略した。
奇数パルス発生部53は、電圧Vscnのフローティング電源VSCN1と、フローティング電源VSCN1の低電圧側を走査パルス電圧Vadまたは第3の電圧Vs3に接続するスイッチ54と、フローティング電源VSCN1の低電圧側の電圧または高圧側の電圧を奇数番目の走査電極SC1、SC3、・・・、SCn−1のそれぞれに印加する出力部60(1)、60(3)、・・・、60(n−1)を備えている。出力部60(1)は、フローティング電源VSCN1の高圧側の電圧を出力するスイッチング素子61(1)と、フローティング電源VSCN1の低圧側の電圧を出力するスイッチング素子62(1)とを有する。出力部60(3)も同様にスイッチング素子61(3)とスイッチング素子62(3)とを有する。出力部60(5)、60(7)、・・・、60(n−1)についても同様である。
偶数パルス発生部56は、電圧Vscnのフローティング電源VSCN2と、フローティング電源VSCN2の低電圧側を走査パルス電圧Vadまたは第3の電圧Vs3に接続するスイッチ57と、フローティング電源VSCN2の低電圧側の電圧または高圧側の電圧を偶数番目の走査電極SC2、SC4、・・・、SCnのそれぞれに印加する出力部60(2)、60(4)、・・・、60(n)を備えている。出力部60(2)は、フローティング電源VSCN2の高圧側の電圧を出力するスイッチング素子61(2)と、フローティング電源VSCN2の低圧側の電圧を出力するスイッチング素子62(2)とを有する。出力部60(4)、60(6)、・・・、60(n)についても同様である。
なお、フローティング電源VSCN1、フローティング電源VSCN2は、例えばDC−DCコンバータ等を用いて構成してもよいが、ダイオードとコンデンサを有するブートストラップ回路を用いて簡単に構成することができる。本実施の形態においては、フローティング電源VSCN1およびフローティング電源VSCN2の電圧はともに電圧Vscnであるので、第2の電圧Vs2は、Vs2=(Vad+Vscn)であり、第4の電圧Vs4は、Vs4=(Vs3+Vscn)である。また、走査パルス電圧Vad=−140(V)、電圧Vscn=150(V)、第3の電圧Vs3=0(V)である。しかしこれらの電圧は一例であり、パネルの特性等に合わせて最適な値に設定することが望ましい。
次に書込み期間における走査パルス発生部50の動作の詳細について説明する。まず、検出温度が温度しきい値未満の場合の動作について説明する。図7は、本発明の実施の形態の書込み期間において、検出温度が温度しきい値未満の場合に、走査電極SC1〜SCnに印加する駆動電圧波形を示す図である。
まず書込み期間の初めの時刻t0に、奇数パルス発生部53のスイッチ54を走査パルス電圧Vadに接続し、出力部60(1)、60(3)、・・・、60(n−1)のスイッチング素子61(1)、61(3)、・・・、61(n−1)をオン、スイッチング素子62(1)、62(3)、・・・、62(n−1)をオフにして、奇数番目の走査電極SC1、SC3、・・・、SCn−1に第2の電圧(Vad+Vscn)を印加する。同様に偶数パルス発生部56のスイッチ57を走査パルス電圧Vadに接続し、出力部60(2)、60(4)、60(6)、・・・、60(n)のスイッチング素子61(2)、61(4)、・・・、61(n)をオン、スイッチング素子62(2)、62(4)、・・・、62(n)をオフにして、偶数番目の走査電極SC2、SC4、・・・、SCnにも第2の電圧(Vad+Vscn)を印加する。
時刻t1に、出力部60(1)のスイッチング素子61(1)をオフ、スイッチング素子62(1)をオンにして走査電極SC1に走査パルス電圧Vadを印加する。そして時間Tw1の後の時刻t2に、出力部60(1)のスイッチング素子61(1)をオン、スイッチング素子62(1)をオフに戻す。こうして走査電極SC1にパルス幅Tw1の走査パルスを印加する。
時間ΔT1の後の時刻t3に、出力部60(2)のスイッチング素子61(2)をオフ、スイッチング素子62(2)をオンにして走査電極SC2に走査パルス電圧Vadを印加する。そして時間Tw1の後の時刻t4に、出力部60(2)のスイッチング素子61(2)をオン、スイッチング素子62(2)をオフに戻す。こうして走査電極SC2にパルス幅Tw1の走査パルスを印加する。また本実施の形態においては、走査電極SC1に印加する走査パルスと次の走査電極SC2に印加する走査パルスとが時間的に重ならないように、時間ΔT1の間隔を開けている。
以下同様に駆動して、走査電極SC3、SC4、SC5、・・・、SCnにパルス幅Tw1の走査パルスを順次印加して書込み動作を行う。
次に、検出温度が温度しきい値以上の場合の動作について説明する。図8は、本発明の実施の形態の書込み期間において、検出温度が温度しきい値以上の場合に、走査電極SC1〜SCnに印加する駆動電圧波形を示す図である。
まず奇数期間の初めの時刻t10に、奇数パルス発生部53のスイッチ54を走査パルス電圧Vadに接続し、出力部60(1)、60(3)、・・・、60(n−1)のスイッチング素子61(1)、61(3)、・・・、61(n−1)をオン、スイッチング素子62(1)、62(3)、・・・、62(n−1)をオフにして、奇数番目の走査電極SC1、SC3、・・・、SCn−1に第2の電圧(Vad+Vscn)を印加する。また偶数パルス発生部56のスイッチ57を第3の電圧Vs3に接続し、出力部60(2)、60(4)、60(6)、・・・、60(n)のスイッチング素子61(2)、61(4)、・・・、61(n)をオン、スイッチング素子62(2)、62(4)、・・・、62(n)をオフにして、偶数番目の走査電極SC2、SC4、・・・、SCnに第4の電圧(Vs3+Vscn)を印加する。
時刻t11に、出力部60(1)のスイッチング素子61(1)をオフ、スイッチング素子62(1)をオンにして走査電極SC1に走査パルス電圧Vadを印加する。さらに、出力部60(2)のスイッチング素子61(2)をオフ、スイッチング素子62(2)をオンにして、走査電極SC2に第3の電圧Vs3を印加する。このように駆動することにより、走査電極SC1に走査パルス電圧Vadを印加するとともに、走査電極SC1に隣接する走査電極SC2と走査電極SC1との電圧差を低い値(Vs3−Vad)に保つことができる。
次の時刻t12に、出力部60(3)のスイッチング素子61(3)をオフ、スイッチング素子62(3)をオンにして走査電極SC3に走査パルス電圧Vadを印加する。さらに、出力部60(4)のスイッチング素子61(4)をオフ、スイッチング素子62(4)をオンにして、走査電極SC4に第3の電圧Vs3を印加する。このように駆動して、走査電極SC3に走査パルス電圧Vadを印加するとともに、走査電極SC3に隣接する走査電極SC2および走査電極SC4と走査電極SC3との電圧差を低く保っている。
そして時間ΔT2の後の時刻t13に、出力部60(1)のスイッチング素子61(1)をオン、スイッチング素子62(1)をオフに戻す。このようにして、走査電極SC1に印加する走査パルスの一部と走査電極SC3に印加する走査パルスの一部とが時間的に重なるように駆動して、検出温度が温度しきい値以上の場合の走査パルスのパルス幅Tw2を検出温度が温度しきい値未満の場合のパルス幅Tw1よりも長く設定する。
そして時刻t14には、図示していないが、出力部60(5)のスイッチング素子61(5)をオフ、スイッチング素子62(5)をオンにして走査電極SC5に走査パルス電圧Vadを印加する。さらに、出力部60(6)のスイッチング素子61(6)をオフ、スイッチング素子62(6)をオンにして、走査電極SC6に第3の電圧Vs3を印加する。このように駆動して、走査電極SC5に走査パルス電圧Vadを印加するとともに、それに隣接する走査電極SC4および走査電極SC6との電圧差を低く保つことができる。
そして時間ΔT2の後の時刻t15に、出力部60(3)のスイッチング素子61(3)をオン、スイッチング素子62(3)をオフに戻し、出力部60(2)のスイッチング素子61(2)をオン、スイッチング素子62(2)をオフに戻す。こうして、走査電極SC3に印加する走査パルスの一部と走査電極SC5に印加する走査パルスの一部とが時間的に重なるように駆動して、走査パルスのパルス幅を伸ばしている。
以下同様に駆動して、奇数番目の走査電極SC7、SC9、・・・、SCn−1にパルス幅Tw2の走査パルスを順次印加する。そして、このとき奇数番目の走査電極SCp+1に隣接する偶数番目の走査電極SCpおよび走査電極SCp+2に第3の電圧Vs3を印加する。さらに走査電極SCp+1に印加する走査パルスの一部が他の走査電極SCp+3に印加する走査パルスの一部と時間的に重なるように駆動している。
このように駆動して、走査電極SCp+1に走査パルス電圧Vadを印加するとともに、走査電極SCp+1に隣接する走査電極SCpおよび走査電極SCp+2の電圧差を低く保っている。また、走査電極SCp+1と走査電極SCp+3とは隣接していないため、走査パルスの一部を時間的に重ねてもこれらの走査パルスが相互干渉して誤書込みする恐れがなく、走査パルスのパルス幅を伸ばすことができる。そして走査パルスのパルス幅を伸ばすことにより、放電遅れがある程度長くなっても安定した書込みを行うことができる。
続く偶数期間では、時刻t20に、奇数パルス発生部53のスイッチ54を走査パルス電圧Vadに接続したまま、出力部60(1)、60(3)、・・・、60(n−1)のスイッチング素子61(1)、61(3)、・・・、61(n−1)をオン、スイッチング素子62(1)、62(3)、・・・、62(n−1)をオフにして、奇数番目の走査電極SC1、SC3、・・・、SCn−1に第2の電圧(Vad+Vscn)を印加する。そして、偶数パルス発生部56のスイッチ57も走査パルス電圧Vadに接続し、出力部60(2)、60(4)、・・・、60(n)のスイッチング素子61(2)、61(4)、・・・、61(n)をオン、スイッチング素子62(2)、62(4)、・・・、62(n)をオフにして、偶数番目の走査電極SC2、SC4、・・・、SCnに第2の電圧(Vad+Vscn)を印加する。
時刻t21に、出力部60(2)のスイッチング素子61(2)をオフ、スイッチング素子62(2)をオンにして走査電極SC2に走査パルス電圧Vadを印加する。そして時刻t22に、出力部60(4)のスイッチング素子61(4)をオフ、スイッチング素子62(4)をオンにして走査電極SC4に走査パルス電圧Vadを印加する。そして時間ΔT2の後の時刻t23に、出力部60(2)のスイッチング素子61(2)をオン、スイッチング素子62(2)をオフに戻す。このように駆動して、走査電極SC2に印加する走査パルスの一部と走査電極SC4に印加する走査パルスの一部とが時間的に重なるように駆動して、走査パルスのパルス幅Tw2をパルス幅Tw1より長く設定している。
以下同様に駆動して、走査電極に印加する走査パルスの一部が他の走査電極に印加する走査パルスの一部と時間的に重なるように、偶数番目の走査電極SC6、SC8、・・・、SCnにパルス幅Tw2の走査パルスを順次印加する。
なお本実施の形態における駆動条件は、例えば時間Tw1=1.2μs、時間Tw2=1.3μsである。しかしこれらの値はパネルの放電特性等により適宜設定することが望ましい。
このように本実施の形態においては、検出温度が所定の温度しきい値以上の場合に走査パルスに印加する走査パルスのパルス幅は、検出温度が所定の温度しきい値未満の場合に走査パルスに印加する走査パルスのパルス幅よりも長く設定している。そして走査パルスのパルス幅を伸ばすことにより、放電遅れがある程度長くなっても安定した書込みを行っている。しかしながら、走査パルスの一部を時間的に重ねた場合に走査パルスが相互干渉する可能性があるサブフィールドでは、走査パルスの一部を時間的に重ねることは望ましくない。検討の結果、第2SFがこのようなサブフィールドに該当することが分かったため、本実施の形態においては、第2SFの書込み期間では走査パルスの一部を時間的に重ねることなしに走査電極を駆動している。この場合に走査電極SC1〜SCnに印加する駆動電圧波形は、図8で時間ΔT2=0としたときの駆動電圧波形に等しい。
図9は、本発明の実施の形態における前面基板21の走査電極22、維持電極23およびそれらの電極端子の配置を示す模式図である。走査電極22のそれぞれは、引出し線92によって、画像表示領域外の右側の周辺部に設けられた走査電極用電極端子97のそれぞれに接続されている。同様に、維持電極23のそれぞれは、引出し線93によって、画像表示領域外の左側の周辺部に設けられた維持電極用電極端子98のそれぞれに接続されている。この電極端子97、98は、パネル10の各電極に駆動電圧を印加するためのフレキシブル配線基板を接続するために、それぞれ複数本ずつグルーピングされて配置されている。なお、図9には24本の走査電極22および維持電極23と、8本ずつグルーピングされた24本の走査電極用電極端子97および維持電極用電極端子98を示しているが、これらの数値は図面を見やすくするためのものである。本実施の形態においては、例えば走査電極22および維持電極23はそれぞれ1080本であり、走査電極用電極端子97は134本または136本ずつグルーピングされている。
図10は、本発明の実施の形態における電極端子97の詳細を示す拡大図であり、前面基板21の電極端子97を上面から見た図である。本実施の形態においては走査電極用電極端子97は、例えばその幅が150μm、長さが4mmの細長い帯状形状であり、それらが390μmのピッチで配列されている。このように、電極端子97は、その間隔を十分広く設計する余裕がないため、電極端子間に過大な電圧を印加すると絶縁破壊を発生する恐れがある。あるいは長時間にわたり電極端子間に過大な電圧を印加すると、電極を形成している金属粒子が移動して電極端子間を短絡する、いわゆるマイグレーションを発生する恐れがあった。
しかしながら本実施の形態においては、上述したように走査パルス電圧Vadを印加する走査電極とそれに隣接する走査電極との電圧の差は電圧(Vs3−Vad)であり、大きな電圧差を隣接する走査電極間に印加することはない。したがって、電極端子97の間の間隔が狭くても、絶縁破壊やマイグレーションを発生する恐れはなく、またフレキシブル配線基板の配線間および回路基板の配線間でも絶縁破壊やマイグレーションを発生する恐れがない。
また、本実施の形態においては、奇数パルス発生部53と偶数パルス発生部56の回路部品および配線の配置の違い等により駆動電圧波形にわずかな差異が生じた場合であっても、奇数番目の走査電極と偶数番目の走査電極とは交互に配列されているため、その境界に輪郭が発生することもない。
また本実施の形態においては、検出温度が温度しきい値以上の場合に、走査電極に印加する走査パルスの一部が次に走査電極に印加する走査パルスの一部と時間的に重なるように駆動している。これは、時間的に重なる走査パルスを印加する走査電極は隣接しないため、走査パルスの一部を時間的に重ねてもこれらの走査パルスが相互干渉して誤書込みする恐れがなく、このように駆動することより書込み放電を安定して発生させることができる。
なお、本実施の形態においては、奇数期間においてのみ、走査パルスを印加する走査電極群に属する走査電極には、走査パルス電圧よりも高い第2の電圧Vs2から走査パルス電圧Vadに遷移し再び第2の電圧Vs2に遷移する走査パルスを順次印加し、走査パルスを印加しない走査電極群に属する走査電極には、走査パルス電圧Vadより高い第3の電圧Vs3と、第2の電圧Vs2および第3の電圧Vs3より高い第4の電圧Vs4とのいずれかの電圧を印加し、少なくとも隣接する走査電極に走査パルス電圧Vadが印加されている間は第3の電圧Vs3を印加するものとして説明した。しかし本実施の形態はこれに限定されるものではない。奇数期間および偶数期間の両方において、走査パルスを印加する走査電極群に属する走査電極には、走査パルス電圧よりも高い第2の電圧Vs2から走査パルス電圧Vadに遷移し再び第2の電圧Vs2に遷移する走査パルスを順次印加し、走査パルスを印加しない走査電極群に属する走査電極には、走査パルス電圧Vadより高い第3の電圧Vs3と、第2の電圧Vs2および第3の電圧Vs3より高い第4の電圧Vs4とのいずれかの電圧を印加し、少なくとも隣接する走査電極に走査パルス電圧Vadが印加されている間は第3の電圧Vs3を印加してもよい。
また本実施の形態においては、走査パルスを印加しない走査電極群に属する走査電極には、隣接する走査電極に走査パルス電圧Vadが印加されている間のみに第3の電圧Vs3を印加しそれ以外では第4の電圧Vs4を印加する例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、走査パルスを印加しない走査電極群に属する走査電極には、隣接する走査電極に走査パルス電圧Vadが印加されている間を含む所定の期間に第3の電圧Vs3を印加しそれ以外の期間では第4の電圧Vs4を印加してもよい。
また本実施の形態においては、書込み期間において奇数期間の後に偶数期間を配置したが、偶数期間の後に奇数期間を配置してもよく、また、例えばフィールド毎に奇数期間と偶数期間の配置を入れ替えてもよい。
また、データ電極Djがパネルの上半分のデータ電極Djaと下半分のデータ電極Djbに分割されたパネルに対しても本発明を適用することができ、この場合にはパネルの上半分と下半分とで同時に書込み動作を行ってもよい。
さらに本発明は、サブフィールド数や各サブフィールドの輝度重み、パルス幅Tの時間が特定の値に限定されるものではない。また上述した本実施の形態において用いた具体的な数値等は、単に一例を挙げたに過ぎず、パネルの特性やプラズマディスプレイ装置の仕様等に合わせて、適宜最適な値に設定することが望ましい。