JP5169946B2 - 数値制御式工作機械及びその熱変位補正方法 - Google Patents

数値制御式工作機械及びその熱変位補正方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5169946B2
JP5169946B2 JP2009087173A JP2009087173A JP5169946B2 JP 5169946 B2 JP5169946 B2 JP 5169946B2 JP 2009087173 A JP2009087173 A JP 2009087173A JP 2009087173 A JP2009087173 A JP 2009087173A JP 5169946 B2 JP5169946 B2 JP 5169946B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
axis
tool
correction
thermal displacement
axis movement
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009087173A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010234501A (ja
Inventor
エリキ 行方
初 倉橋
治夫 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Brother Industries Ltd
Original Assignee
Brother Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Brother Industries Ltd filed Critical Brother Industries Ltd
Priority to JP2009087173A priority Critical patent/JP5169946B2/ja
Publication of JP2010234501A publication Critical patent/JP2010234501A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5169946B2 publication Critical patent/JP5169946B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Automatic Control Of Machine Tools (AREA)
  • Numerical Control (AREA)

Description

本発明は、数値制御式工作機械及びその熱変位補正方法に関し、特に数値制御式工作機械の運転中に生じるボールネジ機構の熱変位による誤差を補正するものに関する。
ボールネジ機構は、位置決め機構として工作機械に広く採用されている。ボールネジ機構は、製造公差等によりボールネジシャフトの回転量とナットの移動量とのピッチ誤差を生じるので、予め設定したピッチ誤差補正量のテーブルに基づいてピッチ誤差を補正するようになっている。
また、ボールネジ機構はボールネジシャフトとナット及び各軸受部との摩擦抵抗により温度上昇による熱膨張を起こし、熱変位を生じる。現在のNC工作機械ではセミクローズドループ型が一般的であるが、この方式のNC工作機械ではボールネジシャフトの熱変位が、そのまま位置決め誤差となって現れる。そのため、ボールネジシャフトに予張力を与え、熱膨張を吸収する方式が対策として使用されてきた。
ところが最近では、太いボールネジシャフトを使用する上に送り速度が非常に速くなっているので発熱量が増大し、予張力方式で対応しようとすると、非常に大きな引張力を加えなければならない。そのため、ボールネジ機構の構造体が変形したり、スラスト軸受に無理な力が加わって焼き付く等の問題があった。
そこで現在では、ボールネジシャフトに無理な予張力を与えず、しかも特別な測定装置を必要としないインプロセスで補正する方法を採用している。例えば、以下に示す第1〜第3工程からなる方法である。第1工程は、サーボモータの電機子電流と電圧との積からボールネジシャフトの発熱量を求める。第2工程は、ボールネジシャフトを複数の区間に分割したモデルにおいて、発熱量から温度分布を求める。第3工程は、温度分布に基づいて、時々刻々に予想したボールネジシャフトの熱変位量をNC装置にピッチ誤差補正として与える。
インプロセスで補正する方法において熱変位補正を行うタイミングとして、例えば加工プログラム中に熱変位補正指令用Mコードを設定する方法や、メモリ運転開始時に1回だけ補正を行う方法などがある。熱変位補正指令用Mコードを設定する方法では、作業者が加工プログラム中に熱変位補正指令用Mコードを設定する必要がある。それ故、多数の加工プログラムを使用しているユーザの場合、全ての加工プログラムにMコードを設定する必要があるので大変手間がかかる。
また、メモリ運転開始時に1回だけ補正する方法では、加工プログラムにMコードを設定する必要がないという利点があるものの、運転開始時に1回補正を行った後、さらにボールネジシャフトに熱変位が発生した場合にも補正を行わない。それ故、長時間にわたって機械加工を行う場合には、ワークの加工精度が低下するという問題がある。
そこで、長時間にわたって機械加工を行う場合にも高精度のワーク加工を行えるようにしたものが、例えば特許文献1に開示してある。
特許文献1に記載の熱変位補正装置付き工作機械では、加工プログラムにおいて無条件補正区間開始用Mコードと無条件補正区間終了用Mコードを設定した区間では、切削送り指令が入力された場合にも熱変位補正可能としている。無条件補正区間開始用Mコードと無条件補正区間終了用Mコードを設定していない区間では、早送り指令が入力された場合に熱変位補正を行う。通常、長時間にわたって機械加工を行う場合、加工プログラム中に複数の早送り指令を設定するので、機械加工中に複数回の熱変位補正を行わせることができる。それ故、長時間にわたる機械加工においても高精度のワーク加工を行うことができる。
特開昭61−209853号公報
しかし、特許文献1の工作機械では、早送り指令が入力される毎に熱変位補正を行うので、熱変位補正に要する時間だけ機械加工のサイクルタイムが増加する。特に長時間にわたって機械加工を行う場合、機械加工のサイクルタイムが大幅に増加し生産性が低下するという問題がある。
本発明の目的は、熱変位補正による機械加工のサイクルタイムの増加を抑制し、且つ高精度の機械加工を行うことができる数値制御式工作機械及びその熱変位補正方法を提供することである。
請求項1の数値制御式工作機械は、送り軸を駆動する送り軸駆動手段と、主軸に装着された工具と工具マガジンに収納された工具とを交換可能な工具交換装置と、加工プログラムに基づいて送り軸駆動手段と工具交換装置とを制御する数値制御装置と、送り軸に発生する熱変位量に基づいて送り軸駆動手段の制御量を補正する熱変位補正装置とを有する数値制御式工作機械において、前記加工プログラムに基づいて自動運転するメモリ運転モードと、加工プログラムを1ブロックずつ入力して運転するMDI運転モードを含む運転モードを択一的に設定可能に構成され、前記数値制御装置は、前記メモリ運転モード又は前記MDI運転モードにおいて、前記加工プログラム実行中に工具交換指令が入力されたとき、前記工具交換装置による工具交換処理の実行中に、前記熱変位補正装置に前記送り軸駆動手段の制御量の補正を実行させる補正制御手段を備え、前記送り駆動手段は、ワークを固定するテーブルをX軸方向に移動駆動するX軸移動駆動手段と、前記テーブルを前記X軸方向と直交するY軸方向に移動駆動するY軸移動駆動手段と、前記主軸を回転可能に支持する主軸ヘッドを昇降駆動するZ軸移動駆動手段とで構成され、前記補正制御手段は、前記工具交換装置による工具交換処理時に、前記Z軸移動駆動手段により前記主軸ヘッドが加工位置からZ軸原点に復帰したとき、前記熱変位補正装置に前記X軸移動駆動手段と前記Y軸移動駆動手段の制御量の補正を実行させ、前記主軸ヘッドが前記工具マガジンの回転が可能なATC原点に達したとき、前記熱変位補正装置に前記Z軸移動駆動手段の制御量の補正を実行させることを特徴としている。
この数値制御式工作機械では、加工プログラムに基づいて自動運転するメモリ運転モードと、加工プログラムを1ブロックずつ入力して運転するMDI運転モードを含む運転モードを択一的に設定可能に構成してある。メモリ運転モード又はMDIモードにおいて、加工プログラム実行中に工具交換指令が入力されたとき、数値制御装置が工具交換装置に工具交換処理を実行させる。この工具交換処理の実行中に、補正制御手段が熱変位補正装置に送り軸駆動手段の制御量の補正を実行させる。それ故、機械加工のサイクルタイムに影響を与えることなく、熱変位補正を行うことができる。
請求項の数値制御式工作機械は、請求項の発明において、前記補正制御手段は、前記Z軸移動駆動手段により前記主軸ヘッドが前記Z軸原点から前記ATC原点へ移動している間に、前記X軸移動駆動手段と前記Y軸移動駆動手段の制御量の補正を実行させ、前記工具交換装置による前記工具マガジンの回転中に、前記Z軸移動駆動手段の制御量の補正を実行させることを特徴としている。
請求項の数値制御式工作機械の熱変位補正方法は、送り軸を駆動する送り軸駆動手段と、主軸に装着された工具と工具マガジンに収納された工具とを交換可能な工具交換装置と、加工プログラムに基づいて送り軸駆動手段と工具交換装置とを制御する数値制御装置と、送り軸に発生する熱変位量に基づいて送り軸駆動手段の制御量を補正する熱変位補正装置とを有する数値制御式工作機械の熱変位補正方法において、前記加工プログラムに基づいて自動運転するメモリ運転モードと、加工プログラムを1ブロックずつ入力して運転するMDI運転モードを含む運転モードを択一的に設定可能に予め構成しておき、前記メモリ運転モード又は前記MDI運転モードにおいて、前記加工プログラム実行中に工具交換指令が入力されたとき、前記工具交換装置による工具交換処理の実行中に、前記熱変位補正装置に前記送り軸駆動手段の制御量の補正を実行させ、前記送り駆動手段を、ワークを固定するテーブルをX軸方向に移動駆動するX軸移動駆動手段と、前記テーブルを前記X軸方向と直交するY軸方向に移動駆動するY軸移動駆動手段と、前記主軸を回転可能に支持する主軸ヘッドを昇降駆動するZ軸移動駆動手段とで構成しておき、前記工具交換装置による工具交換処理時に、前記Z軸移動駆動手段により前記主軸ヘッドが加工位置からZ軸原点に復帰したとき、前記熱変位補正装置に前記X軸移動駆動手段と前記Y軸移動駆動手段の制御量の補正を実行させ、前記主軸ヘッドが前記工具マガジンの回転が可能なATC原点に達したとき、前記熱変位補正装置に前記Z軸移動駆動手段の制御量の補正を実行させることを特徴としている。
この数値制御式工作機械の熱変位補正方法では、加工プログラムに基づいて自動運転するメモリ運転モードと、加工プログラムを1ブロックずつ入力して運転するMDI運転モードを含む運転モードを択一的に設定可能に予め構成してある。メモリ運転モード又はMDI運転モードにおいて、加工プログラム実行中に工具交換指令が入力されたとき、工具交換装置に工具交換処理を実行させる。この工具交換処理の実行中に、熱変位補正装置に送り軸駆動手段の制御量の補正を実行させる。これにより、請求項1の場合と同様の作用を奏する。
請求項の数値制御式工作機械の熱変位補正方法は、請求項の発明において、前記Z軸移動駆動手段により、前記主軸ヘッドが前記Z軸原点から前記ATC原点へ移動している間に、前記X軸移動駆動手段と前記Y軸移動駆動手段の制御量の補正を実行させ、前記工具交換装置による前記工具マガジンの回転中に、前記Z軸移動駆動手段の制御量の補正を実行させることを特徴としている。
請求項1の発明によれば、数値制御装置は、メモリ運転モード又はMDI運転モードにおいて、加工プログラム実行中に工具交換指令が入力されたとき、工具交換装置による工具交換処理の実行中に、熱変位補正装置に送り軸駆動手段の制御量の補正を実行させる補正制御手段を備えたので、機械加工のサイクルタイムを増加させることなく熱変位補正を行うことができる。また、加工プログラム中に複数の工具交換指令を設定することにより、複数回の熱変位補正を行わせることができるので、長時間にわたって機械加工を行う場合にも高精度の機械加工を行うことが可能となる。
この場合、補正制御手段は、工具交換装置による工具交換処理時に、Z軸移動駆動手段により主軸ヘッドが加工位置からZ軸原点に復帰したとき、熱変位補正装置にX軸移動駆動手段とY軸移動駆動手段の制御量の補正を実行させ、主軸ヘッドがATC原点に達したとき、熱変位補正装置にZ軸移動駆動手段の制御量の補正を実行させるので、工具がワークから離隔した状態で熱変位補正を行うことができる。それ故、熱変位補正を行う際に工具がワークと接触しないので、ワークの加工面の品質が低下するのを防止できる。
請求項の発明によれば、補正制御手段は、Z軸移動駆動手段により主軸ヘッドがZ軸原点からATC原点へ移動している間に、X軸移動駆動手段とY軸移動駆動手段の制御量の補正を実行させるので、工具交換処理を中断することなくX,Y軸方向の熱変位補正を行うことができる。また、工具交換装置による工具マガジンの回転中に、Z軸移動駆動手段の制御量の補正を実行させるので、工具交換処理を中断することなくZ軸方向の熱変位補正を行うことができる。それ故、工具交換処理に要する時間が増加しないので、機械加工のサイクルタイムが増加しない。
請求項の発明によれば、メモリ運転モードとMDI運転モードを含む運転モードを択一的に設定可能に予め構成しておき、メモリ運転モード又はMDI運転モードにおいて、加工プログラム実行中に工具交換指令が入力されたとき、工具交換装置による工具交換処理の実行中に、熱変位補正装置に送り軸駆動手段の制御量の補正を実行させるので、請求項1の場合と同様の効果を奏する。
この場合、工具交換装置による工具交換処理時に、Z軸移動駆動手段により主軸ヘッドが加工位置からZ軸原点に復帰したとき、熱変位補正装置にX軸移動駆動手段とY軸移動駆動手段の制御量の補正を実行させ、主軸ヘッドがATC原点に達したとき、熱変位補正装置にZ軸移動駆動手段の制御量の補正を実行させるので、請求項の場合と同様の効果を奏する。
請求項の発明によれば、Z軸移動駆動手段により、主軸ヘッドがZ軸原点からATC原点へ移動している間に、X軸移動駆動手段とY軸移動駆動手段の制御量の補正を実行させ、工具交換装置による工具マガジンの回転中に、Z軸移動駆動手段の制御量の補正を実行させるので、請求項の場合と同様の効果を奏する。
本発明の実施例に係る数値制御式工作機械の正面図である。 主軸ヘッドと工具交換装置の斜視図である。 工具交換装置のみ断面にし且つ右側のフレームを取り外した状態の主軸ヘッドと工具交換装置の側面図である。 X軸ボールネジ機構の構成図である。 工作機械の制御系のブロック図である。 ボールネジシャフトを複数分割した複数区間を説明する説明図である。 複数区間の合計の発熱量の記憶データを説明する説明図である。 モータの回転速度と電流を一定とした場合のモータ本体温度と経過時間との関係を示す説明図である。 モータ本体温度の算出方法を説明する図であり、(A)は駆動開始後0〜t1までのモータ本体温度と経過時間との関係図、(B)は駆動開始後t1〜t2までのモータ本体温度と経過時間との関係図、(C)は駆動開始後t2〜t3までのモータ本体温度と経過時間との関係図、(D)は駆動開始後0〜t3までのモータ本体温度と経過時間との関係図である。 複数区間に分配した分配発熱量と温度を説明する説明図である。 ピッチ誤差補正の為の補正区間の説明図である。 各位置における温度上昇速度を示す図である。 固定軸受からの各区間区切り位置における熱変位量を示す説明図である。 熱変位補正制御のタイミングチャートである。 工具交換・補正処理のタイミングチャートである。 工具交換・補正処理における主軸ヘッドの早送り動作及び位置決め動作の説明図である。 熱変位補正制御プログラムのフローチャートである。 補正量演算処理プログラムのフローチャートである。 補正区間区切り位置における補正量演算処理プログラムのフローチャートである。 工具交換・補正処理プログラムのフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
以下、本発明の実施例について図面に基づいて説明する。
図1〜図5に基づいて、マシニングセンタ(数値制御式工作機械)Mの構成について説明する。図1に示すように、マシニングセンタMは、ワークと工具とが相対移動することで、ワークに所望の機械加工(例えば、「フライス削り」、「穴空け」、「切削」等)を施すことができる工作機械である。
マシニングセンタMは、鋳鉄製の基台であるベース1と、ベース1の上部に設けた機械本体5と、ベース1の上部に固定したスプラッシュカバー2とを構成の主体とする。機械本体5は、ワークの切削加工を行う。ベース1の下部の四隅は、高さ調節用のアジャスタを有する脚部1aを夫々備えている。
次に、スプラッシュカバー2について説明する。
図1に示すように、スプラッシュカバー2は、機械本体5とベース1の上部を覆う略直方体状の箱状のものである。スプラッシュカバー2はベース1の上部に固定してある。このスプラッシュカバー2の内側に、機械本体5の加工領域を設けてある。スプラッシュカバー2の前面に開口部3を設けてある。マシニングセンタMは、この開口部3を開閉するスライド式の開閉扉4を設けてある。
マシニングセンタMは、開口部3の右側に操作パネル76を設けてある。この操作パネル76は、マシニングセンタMを操作する正面視長方形状のものである。この操作パネル76は、テンキー、各種操作キーを備えたキーボード77とディスプレイ78を有する。ディスプレイ78は、設定画面又は実行動作を表示するためのものであり、キーボード77の上部に設けてある。
次に、機械本体5について説明する。
図1〜図3に示すように、機械本体5は、コラム7と、主軸ヘッド8と、主軸9と、工具交換装置30と、テーブル15とを主体として構成されている。コラム7は、ベース1の後部の上面に固定しており、且つ、鉛直上方に延びている。主軸ヘッド8は、コラム7の前面に沿って昇降可能である。主軸ヘッド8は、その内部に主軸9を回転可能に支持している。
工具交換装置30は、主軸ヘッド8の前側に設けてある。工具交換装置30は、主軸9の先端に取り付けた工具ホルダを他の工具ホルダに交換する。工具ホルダは、工具(図示外)を装着している。テーブル15は、ベース1の上部に設けてある。テーブル15は、ワークを着脱可能に固定する。コラム7の背面側には、箱状の制御ボックス(図示外)が設けてある。制御ボックスは、その内側にマシニングセンタMの動作を制御する数値制御装置50(図5参照)を備えている。
次に、テーブル15の移動機構について説明する。サーボモータであるX軸モータ71(図5参照)は、テーブル15をX軸方向(図1において、左右方向)に移動する。テーブル15の移動機構は、以下の構成からなる。図4に示すように、テーブル15の下側に、直方体状の支持台11が設けてある。支持台11は、その上面にX軸方向に沿って延びる1対のX軸送りガイドレール(図示外)を備えている。1対のX軸送りガイドレールは、その上にテーブル15を移動可能に支持している。
図4に示すように、テーブル15の下面にはナット部16を配置してある。ナット部16は、カップリング27を介してX軸モータ71から延びる送り軸としてのX軸ボールネジシャフト81と螺合することでボールネジ機構を構成している。支持台11に固定した固定軸受(前部軸受)28が、X軸ボールネジシャフト81のX軸モータ71側の端部を支持している。可動軸受(後部軸受)29がX軸ボールネジシャフト81の反対側の端部を支持している。
次に、Y軸方向の移動機構について説明する。ベース1の上面には、X軸方向と直交するY軸方向に長い1対のY軸送りガイドレール6を配設してある。Y軸送りガイドレール6は、支持台11をY軸方向に移動可能に支持している。ナット(図示外)は、サーボモータであるY軸モータ72(図5参照)から延びる送り軸としてのY軸ボールネジシャフト(図示外)に対して支持台11と連結している。Y軸モータ72がY軸ボールネジシャフトを正逆方向に回転駆動することで、支持台11及びテーブル15は、Y軸方向に移動駆動する。
次に、主軸ヘッド8の昇降機構について説明する。
コラム7の前面側で上下方向に延びるガイドレール(図示外)が、リニアガイド(図示外)を介して主軸ヘッド8を昇降自在に案内している。ナット(図示外)が、コラム7の前面側の上下方向に延びる送り軸としてのZ軸ボールネジシャフト(図示外)に対して主軸ヘッド8を連結している。図2に示すように、主軸ヘッド8の上端にはZ軸モータ73を複数のボルト13で固定してある。Z軸モータ73がZ軸ボールネジシャフトを正逆方向に回転駆動することで、主軸ヘッド8は上下方向(Z軸方向)に昇降駆動する。
尚、X軸モータ71、Y軸モータ72、Z軸モータ73が送り軸駆動手段に相当する。また、X軸モータ71がX軸移動駆動手段にも相当し、Y軸モータ72がY軸移動駆動手段にも相当し、Z軸モータ73がZ軸移動駆動手段にも相当する。
次に、工具交換装置30について説明する。
図2、図3に示すように、工具交換装置30は、複数の工具を支持する工具マガジン31と、マガジンモータ75と、減速機36等を有する。工具マガジン31は、鍔付き円筒状のマガジンベース32と、マガジンベース32の外周に放射状に支持した複数のグリップアーム37を主体に構成してある。1対のフレーム12の前端部に固定したマガジン支持台(図示外)が、マガジン軸35に対してマガジンベース32を回動自在に支持している。
マガジンベース32は、マガジン軸35が内挿される筒状のボス部34と、ボス部34の前端側に鍔状に設けた鍔部33とを主体に構成してある。マガジン軸35の外周側に減速機36を配設してあり、減速機36の上側には、マガジンモータ75を配設してある。このマガジンモータ75は、減速機36を介して工具マガジン31を回転させる。マガジンベース32の外周側には、14枚のカバー38が所要の中心角で周方向に配列した状態となり、14本のグリップアーム37を覆い隠すことができる。
図5は、マシニングセンタMにおける電気的構成を示している。数値制御装置50は、マイクロコンピュータを含む。数値制御装置50は、入出力インタフェース54と、CPU51と、ROM52と、RAM53と、軸制御部61a〜64a,75aと、サーボアンプ61〜64と、微分器71b〜74bなどを備えている。CPU51は、ROM52と、RAM53と、入出力インタフェース54と各軸制御部61a〜64a、75aとバス55を介して接続している。サーボアンプ61〜64は、夫々X軸モータ71、Y軸モータ72、Z軸モータ73、主軸モータ74に接続するとともに、各軸制御部61a〜64a、75aと接続している。軸制御部75aは、マガジンモータ75に接続している。
X軸モータ71は、テーブル15をX軸方向に移動させる為のモータである。Y軸モータ72は、テーブル15をY軸方向に移動させる為のモータである。主軸モータ74は、前記主軸9を回転させる為のモータである。Z軸モータ73は、主軸ヘッド8を昇降させる為のモータである。マガジンモータ75は、工具マガジン31を回転移動させる為のモータである。以下、X軸モータ71、Y軸モータ72、Z軸モータ73、及び主軸モータ74を総称して、モータ71〜74という。モータ71〜74は、夫々エンコーダ71a〜74aを備えている。
軸制御部61a〜64aは、CPU51からの移動指令量を受けて、電流指令(モータトルク指令値)を夫々サーボアンプ61〜64に出力する。サーボアンプ61〜64は、電流指令を受けて、夫々モータ71〜74に駆動電流を出力する。軸制御部61a〜64aは、夫々エンコーダ71a〜74aからの位置フィードバック信号を受けて、位置のフィードバック制御を行う。微分器71b〜74bは、夫々エンコーダ71a〜74aが出力した位置フィードバック信号を微分して速度フィードバック信号に変換し、軸制御部61a〜64aに速度フィードバック信号として出力する。
軸制御部61a〜64aは、夫々微分器71b〜74bが出力する速度フィードバック信号に基づいて、速度フィードバックの制御を行う。電流検出器61b〜64bは、夫々サーボアンプ61〜64がモータ71〜74に出力する駆動電流を検出する。電流検出器61b〜64bは、駆動電流を夫々軸制御部61a〜64aにフィードバックする。軸制御部61a〜64aは、フィードバックを受けた駆動電流に応じて、電流(トルク)制御を行う。
軸制御部75aは、CPU51からの移動指令を受けて、マガジンモータ75を駆動する。ROM52は、マシニングセンタMの加工プログラムを機能させるメインの制御プログラム、図17に示す熱変位補正制御の制御プログラム、図18に示す補正量演算処理の制御プログラム、図19に示す補正区間区切り位置における補正量演算処理の制御プログラム、図20に示す工具交換・補正処理の制御プログラム等を記憶している。
RAM53は、機械構造に関するパラメータ、物理的性質に関するパラメータ、及び後述する熱分配係数(比率)ηF, ηN, ηB、ピッチ誤差補正量のテーブル等を格納している。機械構造に関するパラメータとして、例えばボールネジシャフト81の長さ、径、後述する基準位置等がある。物理的性質に関するパラメータとして、例えば密度、比熱、線膨張係数、熱容量、熱伝達係数、式(3),(4)で用いるγ、その他の諸定数等がある。
RAM53には、図7に示す発熱量、合計発熱量、モータ71の回転速度及び駆動電流、図10に示す分配発熱量を更新しつつ記憶するデータエリアが設けられている。尚、RAM53には、種々のワークを機械加工する為の複数の加工プログラムも適宜格納される。また、前記RAM53に記憶する代わりに、フラッシュメモリに記憶してもよい。入出力インタフェース54は、キーボード77とディスプレイ78に接続している。作業者がキーボード77を操作することで、加工プログラムに基づいて自動運転するメモリ運転モードと、加工プログラムを1ブロックずつ入力して運転するMDI運転モードを含む運転モードを択一的に設定することができる。尚、加工プログラムは、複数のブロックで構成されている。ブロックは、動作を定義するものである。
次に、マシニングセンタMのボールネジ機構に発生する熱変位に基づいて、モータ71〜73の制御量を補正する熱変位補正装置による補正量演算処理について説明する。
この補正量演算処理において熱変位を補正する際には、求めた熱変位を用いて前記ピッチ誤差補正量を補正することにより行うものとする。
マシニングセンタMのボールネジ機構は、製造公差等によりボールネジシャフト81の回転量とナット移動量とのピッチ誤差は避けられないので、マシニングセンタMの出荷前の調整段階において予め設定したピッチ誤差補正量のテーブルに基づいてピッチ誤差を補正するようになっている。ピッチ誤差補正量のテーブルは、X軸、Y軸、Z軸ボールネジ機構のピッチ誤差を夫々補正する為のテーブルである。
本実施例では、X軸ボールネジシャフト81の熱変位を補正する例について説明するが、Y軸のボールネジ機構、Z軸のボールネジ機構についても基本的に同様である。
図11に示すように、X軸ボールネジシャフト81のナット移動区間81bを例えば20mmの設定長で15個の補正区間に分割し、補正区間ごとにピッチ誤差補正を行う。
このピッチ誤差を補正する為のピッチ誤差量は、出荷前の調整段階において、ナット部16を位置X0から位置X300までX軸方向へ20mm間隔にて補正区間ごとに移動させる。このときの指令値に対する誤差、つまり(目標値−実移動量)である誤差を精密に測定し、ピッチ誤差補正量のテーブルを作成し、そのテーブルをRAM53に予め格納して出荷する。Y軸、Z軸についても同様にしてピッチ誤差補正量のテーブルを作成してRAM53に予め格納して出荷する。
この熱変位量補正方法では、ボールネジシャフト81の前側軸部81aと、ボールネジシャフト全長部と、後側軸部81cの3領域の発熱量を求める。図6に示すように、ボールネジシャフト81の端部81eから端部81fまでの区間(ボールネジシャフト全長部)を、例えば区間1〜区間5に5分割する。但し、この5分割は一例に過ぎず5分割に限定される訳ではない。上記の複数の区間について、例えば、2ミリ秒毎に、区間毎の発熱量を求める。
図6,図7に示すように、RAM53には、所定時間(例えば、30秒)、ボールネジシャフト81の区間1〜5に発生した合計の発熱量Q1〜Q5と、それら発熱量Q1〜Q5の合計発熱量QTと、X軸モータ71の回転速度ωと駆動電流iを格納するデータエリアが設けられている。
[合計発熱量の算出]
上記の所定時間毎に、加工プログラムのX軸送りデータに基づいて、ナット部16がどの区間に位置しているかを判別し、エンコーダ72aの検出信号から求めるX軸モータ71によるテーブル送り速度Fから発熱量を次の(1)式により求める。その発熱量はRAM53のデータエリアに格納する。尚、ナット部16は、例えば原点座標X0からX300までの間(300mmの範囲)を移動するものとする。
Q=K1×FT ・・・(1)
ここで、Qは発熱量、Fは送り速度、K1は所定の定数、Tは所定の定数である。
図7に示すように、区間1〜5におけるナット部16の移動による発熱量は、所定時間(2ミリ秒)毎に算出され、その発熱量の前記の所定時間分の合計発熱量Q1〜Q5(つまり、15000回分の発熱量の合計)が算出されてデータエリアに格納される。30秒の間に発生した区間1〜5の発熱量Q1〜Q5を合計した合計発熱量QTと、30秒の間におけるX軸モータ71の2ミリ秒毎の回転速度ω(つまり、ω0,ω1,・・ω14999)のデータが夫々データエリアに格納される。
[合計発熱量の分配]
以下に示す合計発熱量QTの分配方法においては、ナット全長部、前側軸部81a、後側軸部81cにおいて互いに他の部分への熱伝導が生じず、熱的には近似的に独立しているとみなす。合計発熱量QTに対する発熱部(軸受28,29とナット部16)の比率は送り速度の如何に関わらずほぼ一定であるとする。
合計発熱量QT、前側軸部18aの発熱量QF、ナット全長部の発熱量QN、後側軸部18cの発熱量QBとすると、これら発熱部の発熱量QF,QN,QBのうちの発熱量QN,QBは次式により算出することができる。
N=ηN×QT
B=ηB×QT
ここで比率ηN,ηBは前記知見により一定であり、実機によりQN,QBを測定し、比率ηN,ηBを予め求めておくものとする。
[X軸モータのモータ本体の温度と発熱量QFの算出]
X軸モータ71のモータ本体の温度と発熱量QFの算出方法について説明する。
図8に示すように、X軸モータ71の回転速度ωおよび駆動電流iを一定とした場合の、モータ本体の温度変化について説明する。マシニングセンタMの駆動を開始すると、モータ本体温度ΘMは曲線150を描きながら上昇し、一定の温度で飽和する。この飽和時の温度を、飽和温度L1aという。飽和温度L1aは、次の式で表すことができる。
1a=K2・ω+K3・i2 ・・・(2)
2,K3はサーボモータ固有の定数、ωはモータ回転速度、i はX軸モータ71の駆動電流である。
モータ本体温度ΘMの上昇を示す曲線150は、次の式で表すことができる。
ΘM=L1a・{1 −exp(−γ・t)} ・・・(3)
ここで、γはX軸モータ71に固有の定数、tは駆動開始からの経過時間である。モータ本体温度Θ が飽和温度L1aに達した後(図8ではt=8時間の時点)、マシニングセンタMを停止すると、モータ本体温度ΘMは、曲線151を描きながら下降する。曲線151は、次式で表すことができる。
ΘM=L1a・exp(−γ・t) ・・・(4)
γはサーボモータ固有の定数、tは駆動停止からの経過時間である。
上記式(3)から、マシニングセンタMの駆動開始からa分後のモータ本体温度ΘM1aは、次の式で表すことができる。
ΘM1a=L1a・{1−exp(−γ・a/60)}
上記式(4)から、マシニングセンタMの駆動停止からa分後のモータ本体温度ΘM-1aは、次の式で表すことができる。
ΘM-1a=L1a・exp(−γ・a/60)
以上では、X軸モータ71の回転速度ωと駆動電流iを一定とした場合のモータ本体の温度変化について説明したが、実際のマシニングセンタMの駆動時には、X軸モータ71の回転速度ωと駆動電流iが一定とは限らない。特に、稼働初期の過渡的状態では、回転速度ωと駆動電流iが一定とならない。それ故、所定時間(30秒)毎に、実際の回転速度ωと駆動電流i(2ミリ秒毎に実測した回転速度と駆動電流の夫々の平均値)から、式(2)を用いてX軸モータ71の飽和温度を求める。本実施例では、飽和温度と経過時間から、上記式(3)および式(4)を用いて、サーボモータ本体の温度変化を求める。本実施例では、以下のように、得られた温度変化を加算することでモータ本体の温度を求める。
以下に、モータ本体の温度の算出方法について図9に基づいて説明する。尚、以下の説明では、マシニングセンタMの駆動開始後、時刻t1,t2,・・・(分)と時間が経過したものとして説明する。すなわち、時刻0,t1,t2,・・・の夫々の間隔が、夫々の処理における経過時間である。
モータ本体温度ΘMは、上記経過時間中は前述の式(3)に従って上昇し、その後式(4)に従って低下するものとする。図8(A)に示すように、時刻0から時刻t1までの間の経過時間に基づくモータ本体温度ΘMt1は、時刻0から時刻t1までは上昇し、時刻t1を過ぎると下降する曲線301を描く。モータ本体温度ΘMt1の時刻t1における値ΘMt1-1は、式(3)に従って、以下のように算出できる。
ΘMt1-1=Lt1・{1−exp(−γ・t1/60)}
t1は時刻0から時刻t1間のX軸モータ71の実際の回転速度ωと駆動電流iから求めた飽和温度である。
モータ本体温度ΘMt1は、時刻t1以後は式(4)に従って低下するので、時刻t2におけるモータ本体温度ΘMt1の値ΘMt1-2は以下のように算出する。
ΘMt1-2=ΘMt1-1・exp{−γ・(t2−t1)/60}
同様に、時刻t3,t4におけるモータ本体温度ΘMt1の値ΘMt1-3,ΘMt1-4も、式(4)に従って、夫々以下のように算出できる。
ΘMt1-3=ΘMt1-1・exp{−γ・(t3−t1)/60}
ΘMt1-4=ΘMt1-1・exp{−γ・(t4−t1)/60}
図9(B)に示すように、時刻t1から時刻t2までの間の経過時間に基づくモータ本体温度ΘMt2は、時刻t1から時刻t2までは上昇し、時刻t2を過ぎると下降する曲線302を描く。時刻t1から時刻t2までの間のX軸モータ71の実際の回転速度ωと駆動電流iから飽和温度Lt2が算出できるので、式(3)および式(4)を用いて、時刻t2,t3,t4におけるモータ本体温度ΘMt2-1,ΘMt2-2,ΘMt2-3は、夫々以下のように算出できる。
ΘMt2-1=Lt2・[1−exp{−γ・(t2−t1)/60}]
ΘMt2-2=ΘMt2-1・exp{−γ・(t3−t2)/60}
ΘMt2-3=ΘMt2-1・exp{−γ・(t4−t2)/60}
図9(C)に示すように、時刻t2から時刻t3までの経過時間に基づくモータ本体温度ΘMt3は、時刻t2から時刻t3までは上昇し、時刻t3を過ぎると低下する曲線303を描く。前述のΘMt1とΘMt2の場合と同様にして、時刻t3,t4,t5におけるモータ本体温度ΘMt3-1,ΘMt3-2,ΘMt3-3を求めることができる。
前述のようにして算出したモータ本体温度ΘMt1,ΘMt2,ΘMt3・・・の各時刻における値を加算して、実際のモータ本体温度Θを算出する。例えば、時刻t1,t2,t3,・・・の間の経過時間に基づいて、曲線301,302,303……(図9(A)〜(C)参照)で例示するモータ本体温度ΘMt1,ΘMt2,ΘMt3を算出したとする。この場合、時刻t1におけるモータ本体温度Θの値α1 は、ΘMt1-1である。時刻t2におけるモータ本体温度Θの値α2 は、ΘMt1-2+ΘMt2-1である。時刻t3におけるモータ本体温度Θの値α3 は、ΘMt1-3+ΘMt2-2+ΘMt3-1である。同様に、各時刻におけるモータ本体温度Θの値を求めると、モータ本体温度Θは、図9(D)に示す曲線304で例示するように変化する。
次式(5)に従って、本実施例では、前述のように求めたモータ本体温度Θを用いて、前部軸受部発熱量QFを算出する。
F=K4(Θ−ΘS) ・・・(5)
Fは所定時間(30秒)の間の発熱量であり、K4は係数である。ΘSはボールネジシャフト端部81e(図6参照)の温度であるが、本実施例では説明の簡単化のため、ΘSとしては区間1の右区切り位置の温度θ1の値の前回値を用いるものとする。
[各区間への発熱量の分配]
次に、ナット全長部の分配発熱量QNを5つの区間に分配する。前記データエリアに格納されている5つの合計発熱量Q1〜Q5と、QTに基づいて、次式から分配発熱量QNを5つの区間1〜5に分配する分配比率X1〜X5を求める。
1=区間1の合計発熱量Q1/ QT

5=区分5の合計発熱量Q5/ QT
こうして、各区間の分配比率X1〜X5とナット全長部の発熱量QNとから、次式により区間1〜5についての分配発熱量QN1〜QN5を求める。
N1=X1×QN

N5=X5×QN
上記の結果を用いて、区間1〜5の分配発熱量を図10のように表すことができる。
[温度分布の算出]
以上のようにして5つの区間1〜5の分配発熱量(図10参照)を求めた後、この分配発熱量から上昇した温度分布を算出する。温度分布は初期条件{θ}t=0、d{θ}/ dtt=0の下で次式(6)の非定常熱伝導方程式を解くことで求める。
[C]d{θ}/ dt+[H]{θ}+{Q}=0 ・・・ (6)
ここで、[C]は熱容量マトリックス、[H]は熱伝導マトリックス、{θ}は温度分布、{Q}は入出力される発熱量マトリックス、tは時間である。
具体的には、マシニングセンタMの駆動後(t=0)、時刻がt1,t2,‥‥(分)と時間が経過したときの温度分布を、次のように算出する。
図6のようにナット全長部を複数の区間に分割した場合、各部の温度、各区間に入力する発熱量を図10のように表すことができる。図10を用いて、式(6)は、次式のように表すことができる。
時刻t=0の時のボールネジシャフト各部の温度分布{θ},およびモータ本体温度Θは既知である。それ故、本実施例は式(5)から前部軸受部発熱量QFを求める。式(1)から、ナット全長部の各区間の分配発熱量QN1〜QN5,及び後部軸受部発熱量Qも既知となる。求めた値を、式(7)の右辺に代入する。図12に示すように、本実施例は、ボールネジシャフト各部における温度が上昇する速度(d{θ}t=0/dt)、即ち、傾きを求めることができる。次の式に基づいて、本実施例は、求めた傾きに基づいてt=t1における各部の温度{θ}を求める。
{θ}t=t1={θ}t=0+(d{θ}t=0/dt)×t1
本実施例は、{θ}t=t1のボールネジシャフト端部温度Θと、式(3)、(4)に基づいて求めたモータ本体温度Θとから、式(5)に基づいて、t=t1におけるQFを求める。求めた値を式(7)に代入し、d{θ}t=t1/dtを求める。その結果、t=t2における各部の温度は、次の式から求めることができる。
{θ}t=t2={θ}t=t1+(d{θ}t=t1/dt)×(t2−t1)
t=t3,‥‥の温度は、同様にして求めることができる。
[熱変位量の算出]
図10に示すように、ボールネジシャフト81の5つの区間の温度θ1〜θ5を求めてから、これらの温度θ1〜θ5に基づいて、ボールネジシャフト81の5つの区間区切り位置(図10のθ1〜θ5に対応する位置)の熱変位量を算出する。5つの区間区切り位置の熱変位量は、次式(11)から求めることができる。
ΔL=∫L 0β×θ(L)dL ・・・ (11)
ここで、ΔLは熱変位量、βはシャフト材料の線膨張係数である。
積分記号は0〜Lの範囲についての積分を示し、Lは5つの区間に関する区間区切り位置までの長さを示す。各区間1〜4の長さを100mmとすると、0〜100、0〜200、0〜300、・・等の範囲についての積分を示す。
[補正量の算出]
図11は、ボールネジシャフト81のナット移動区間81bを20mm間隔で分割したピッチ誤差補正の補正区間1〜15を示す。本実施例では、ナット部16の移動範囲81bがX0〜X300(300mmの範囲)であり、各補正区間の長さが20mmであるため、15個の補正区間がある。上記の補正区間1〜15に行うピッチ誤差補正のテーブルは、マシニングセンタMの出荷前にメーカーが試運転時の送り量誤差を測定し、その測定結果を加味して予め作成してRAM53に格納してある。
ボールネジシャフト81の5つの区間1〜5の区切り位置の熱変位量を求めてから、15個の補正区間のピッチ誤差補正量を夫々補正する補正量を算出する。15個の補正区間の補正量は、図13と後述する[補正量演算式]から求めることができる。
図13は、ピッチ誤差補正量を補正する補正量を求める場合の説明図である。
縦軸は固定軸受28の位置を基準とする熱変位量、上側の横軸は固定軸受28を基準とするボールネジシャフト81の各部の位置であり、下側の横軸は15個の補正区間の区切り位置(X0,X20・・・,X300)を示す。
ここで、DF1は区間1における熱変位量、
F2は区間1と区間2における熱変位量の合計、

F5は区間1〜区間5における熱変位量の合計である。
図13に示すように、15個の補正区間の区切り位置(X20,・・・,X300)の補正量を次式から求める。
[補正量演算式]
X0の補正量=区間1の熱変位量+区間2の熱変位量×{(区間2の左区切り位置とX0間の長さ)/区間2の長さ:
X20の補正量=区間1の熱変位量+区間2の熱変位量×{(区間2の左区切り位置とX20間の長さ)/区間2の長さ}−X0の補正量:
X40の補正量=区間1の熱変位量+区間2の熱変位量×{(区間2の左区切り位置とX40間の長さ)/区間2の長さ}−X20の補正量:
X60の補正量=区間1の熱変位量+区間2の熱変位量×{(区間2の左区切り位置とX60間の長さ)/区間2の長さ}−X40の補正量:
X80の補正量=区間1の熱変位量+区間2の熱変位量×{(区間2の左区切り位置とX80間の長さ)/区間2の長さ}−X60の補正量:

X300の補正量=区間1の熱変位量+区間2の熱変位量+区間3の熱変位量+区間4の熱変位量+区間5の熱変位量×{(区間5の左区切り位置とX300間の長さ)/区間5の長さ}−X280の補正量:
次に、メモリ運転モード又はMDI運転モードにおいて加工プログラム実行中に工具交換指令が入力されたときに、工具交換処理の実行中にモータ71〜73の制御量の補正を実行する熱変位補正制御について説明する。最初に熱変位補正制御の概要について、図14に基づいて説明する。
図14は熱変位補正制御のタイミングチャートである。「補正サンプリングクロック」は、X軸ボールネジシャフト81とY軸ボールネジシャフトとZ軸ボールネジシャフトに発生する熱変位量を演算し、モータ71〜73の制御量を補正するタイミングを示すものである。図14において「運転状態」と「工具交換」と「補正」については、「H」状態のとき処理が実行中であることを示し、「L」状態のときは処理が実行中でないことを示す。補正サンプリングクロックの立ち上がり(補正量演算タイミング)から次の補正サンプリングクロックの立ち上がりまでの30秒間で補正量演算処理を実行し、演算した補正量をRAM53に記憶させる。補正サンプリングクロックの立ち上がり毎に補正量演算処理を実行する。
加工プログラムを実行していない場合、補正サンプリングクロックの立ち下がり(補正処理タイミング)で、RAM53に記憶した補正量に基づいて補正処理を実行する。
一方、メモリ運転モード又はMDI運転モードにおいて加工プログラムを実行している場合、補正処理タイミング経過後に工具交換指令が入力されたとき、工具交換処理中に補正処理を実行する。
次に、数値制御装置50が実行する熱変位補正制御について、図17のフローチャートに基づいて説明する。尚、図中Si(i=1,2・・・)は各ステップを示す。
この熱変位補正制御は、マシニングセンタMの電源がONしている間、数値制御装置50が継続的に実行するものである。数値制御装置50が熱変位補正制御を開始すると、補正量演算タイミングであるか否かを判断し、補正量演算タイミングである場合(S1;Yes)、補正量演算処理を実行してから(S2)、S3へ移行する。補正量演算タイミングでない場合は(S1;No)、補正量演算処理を実行せずにS3へ移行する。
S3においては、メモリ運転モード又はMDI運転モードであるか否かを判断し、メモリ運転モード又はMDI運転モードである場合(S3;Yes)、加工プログラムの1ブロック読み込みを行う(S4)。次に、読み込んだブロックが工具交換指令であるか否かを判断し、工具交換指令である場合(S5;Yes)、RAM53を参照し未処理の補正量があるか否かを判断する。
今回の補正量演算タイミング経過後に補正処理を実行していないため、未処理の補正量がある場合(S6;Yes)、工具交換・補正処理を実行した後(S7)、S1へリターンする。但し、前回の補正量演算タイミング経過後に補正処理を実行していない場合は、前回の補正量演算タイミングでRAM53に記憶した補正量を今回の補正量に加算したうえで補正を行う。
一方、今回の補正量演算タイミング経過後に補正処理を実行したため、未処理の補正量がない場合は(S6;No)、工具交換処理のみを実行した後(S9)、S1へリターンする。S5において工具交換指令でない場合は(S5;No)、読み込んだブロックに対する1ブロック実行後(S8)、S1へリターンする。
S3において、メモリ運転モード又はMDI運転モードでない場合、つまり、加工プログラムを実行していない場合は(S3;No)、補正処理タイミングであるか否かを判断する。補正処理タイミングである場合(S10;Yes)、未処理の補正量がある場合は(S11;Yes)、補正処理を実行した後(S12)、S1へリターンする。S10において補正処理タイミングでない場合(S10;No)、又はS11において未処理の補正量がない場合は(S11;No)、S1へリターンする。但し、前回の補正量演算タイミング経過後に補正処理を実行していない場合は、前回の補正量演算タイミングでRAM53に記憶した補正量を今回の補正量に加算したうえで補正を行う。
次に、S2の補正量演算処理について、図18のフローチャートに基づいて説明する。尚、図中Si(i=20,21・・・)は各ステップを示す。尚、X軸ボールネジシャフト81の補正量演算処理について説明するが、Y軸ボールネジシャフト、Z軸ボールネジシャフトについても同様である。但し、この補正量演算処理は、前述した内容と重複する部分が多いので簡単に説明する。
数値制御装置50がこの処理を開始すると、最初にS20において初期設定が実行される。この初期設定においては、先ず、パラメータ等の設定データから有限要素法による演算に必要なマトリックスを設定すると共に、雰囲気温度を設定したり、RAM53の関連するメモリエリアをクリアする等の処理を実行する。次に、S21において、ボールネジシャフト81を図6に示すように5つの区間1〜5に分割する。
次に、S22においてカウンタIを0に設定し、S23では、X軸送りデータ、エンコータ71aの検出信号を読み込む。次に、S24においては、区間1〜5の2ミリ秒毎の発熱量と、モータ本体温度Θを演算してRAM53に記憶する。X軸モータ71の回転速度ωのデータもメモリに格納する。
次のS25では、カウンタIが「1」だけインクリメントされ、S26ではカウンタIのカウンタ値が「14999」であるか否かを判定し、その判定がNoのうちはS23へ戻ってS23〜S25を繰り返す。S26の判定がYesになるとS27へ移行する。S27では、区間1〜5における30秒間の合計発熱量Q1〜Q5、これらを合計した合計発熱量QTを演算しRAM53に記憶する。
S28では、前述の各部の発熱量QF、QN、QBを演算してRAM53に記憶し、発熱量QNを区間1〜5へ分配した分配発熱量QN1〜QN5を演算してRAM53に記憶する。さらに区間1〜5についての図10に示す分配発熱量も演算しRAM53に記憶する。尚、発熱量QFを算出するとき、モータ本体温度Θとしては、RAM53に記憶していた所定時間の15000個のモータ本体温度Θの平均値を用い、ΘSとしては前回のθ1を用いて計算するものとする。S29では、図10に示す分配発熱量に基づいて区間1〜5の上昇温度θ1〜θ5を演算してRAM53に記憶する。
S30では、前記の(11)式に基づいて、5つの区間についての区間区切り位置の熱変位量を演算してRAM53に記憶する。S31では、[補正量演算式]の式に基づいて、前述のようにして15個の補正区間区切り位置における補正量を演算する。次に、S32では、S31において求めた補正量をRAM53に記憶させた後この処理を終了し、図17のS3へ移行する。
次に、S31の補正区間区切り位置における補正量演算処理について、図19のフローチャートに基づいて説明する。尚、図中Si(i=40,41・・・)は各ステップを示す。数値制御装置50がこの処理を開始すると、カウンタnを0にリセットし(S40)、次に位置Xnの補正量ΔMnを次式により演算する(S41)。
最初に、ΔMn=DF+ΔDn×{(Xn−YF)/Ln}−ΔMn-20、n=0とから、位置X0の補正量ΔM0を求める。尚、この式は前記の[補正量演算式] を簡単に表したものである。
ここで、DF:位置Xnよりも固定側の演算区間で発生した熱変位量の合計、
ΔDn:位置Xnを含む演算区間で発生した熱変位量、
F:位置Xnを含む演算区間の左区切り位置、
n:位置Xnを含む演算区間の長さである。
但し、ΔM0を求める場合に用いるΔM-20を0とする。
S42においてnを20インクリメントした後、S43においてnが320であるか否か判定する。nが320でない場合(S63;No)、位置X300までの補正量についての演算を終了していないものと判定し、S41へ戻って位置Xnの補正量ΔMnを演算する。位置X300の補正量ΔM300を求めるまではS41〜S43を繰り返し実行する。 補正量ΔM300を求めてから(S41)、S42においてn=320となるため、S43の判定がYesとなるため、この処理を終了して、図18のS32へ移行する。
次に、S7の工具交換・補正処理について、図15のタイミングチャートと、図16の主軸ヘッド8の早送り動作(Z軸方向の早送り)及び主軸ヘッド8のX,Y軸方向への相対的な位置決め動作に関する説明図と、図20のフローチャートとに基づいて説明する。尚、図中Si(i=50,51・・・)は各ステップを示す。また、図15において「主軸オリエント」と「Z軸方向位置決め」と「X,Y,A,B方向位置決め」と「マガジン回転」と「X,Y軸方向補正」と「Z軸方向補正」については、「H」状態のとき処理が実行中であることを示し、「L」状態のときは処理が実行中でないことを示す。
数値制御装置50がこの処理を開始すると、所定の主軸回転速度を維持したまま、Z軸モータ73により主軸ヘッド8が加工位置からZ軸原点に移動するZ軸上昇早送りAを開始する。(S50)。主軸ヘッド8がZ軸原点に移動完了(復帰)した場合(S51;Yes)、主軸モータ74により主軸オリエントを開始する(S52)。
次に、Z軸モータ73により主軸ヘッド8がZ軸原点からATC原点に移動するZ軸上昇早送りBを開始する。Z軸上昇早送りBにおいては、S32で記憶した補正量をRAM53から読み出して、X軸ボールネジシャフト81とY軸ボールネジシャフトに対する補正処理を実行した後(S53)、モータ71,72によりX,Y,A,B軸方向の位置決めを開始する。(S54)。
工具マガジン31の回転が可能なATC原点に主軸ヘッド8が移動完了した場合(S55;Yes)、主軸ヘッド8の上昇を停止させてから(S56)、マガジンモータ75により工具マガジン31を回転させるマガジン回転Cを開始する。このとき、S32で記憶した補正量をRAM53から読み出して、Z軸ボールネジシャフトに対する補正処理を実行する(S57)。
マガジン回転が完了したとき、Z軸モータ73により主軸ヘッド8がATC原点からZ軸原点に移動するZ軸下降早送りDを開始する(S58)。主軸ヘッド8がZ軸原点に移動完了した場合(S59;Yes)、主軸モータ74により主軸オリエントを停止させてから主軸9の回転を開始し、主軸ヘッド8が加工位置へ移動するZ軸下降早送りEを開始した後(S60)、図17のS1へリターンする。但し、S59において、X,Y,A,B軸方向の位置決めが完了していない場合は、位置決めが完了するまで主軸ヘッド8をZ軸原点で一時停止させる。尚、S50〜S60を実行する数値制御装置50が補正制御手段に相当する。
次に、以上説明したマシニングセンタM及びその熱変位補正方法の作用、効果について説明する。
数値制御装置50は、メモリ運転モード又はMDI運転モードにおいて、加工プログラム実行中に工具交換指令が入力されたとき、工具交換装置30による工具交換処理の実行中に、熱変位に伴うモータ71〜73の制御量の補正を実行するので、機械加工のサイクルタイムを増加させることなく熱変位補正を行うことができる。また、加工プログラム中に複数の工具交換指令を設定することにより、複数回の熱変位補正を行わせることができるので、長時間にわたって機械加工を行う場合にも高精度の機械加工を行うことが可能となる。
工具交換装置30による工具交換処理時に、Z軸モータ73により主軸ヘッド8が加工位置からZ軸原点に復帰したとき、モータ71,72の制御量の補正を実行し、主軸ヘッド8がATC原点に達したとき、モータ73の制御量の補正を実行するので、工具がワークから離隔した状態で熱変位補正を行うことができる。それ故、熱変位補正を行う際に工具がワークと接触しないので、ワークの加工面の品質が低下するのを防止できる。
モータ73により主軸ヘッド8がZ軸原点からATC原点へ移動している間に、数値制御装置50がモータ71,72の制御量の補正を実行するので、工具交換処理を中断することなくX軸ボールネジシャフト81とY軸ボールネジシャフトの熱変位補正を行うことができる。また、マガジンモータ75による工具マガジン31の回転中に、数値制御装置50がモータ73の制御量の補正を実行するので、工具交換処理を中断することなくZ軸ボールネジシャフトの熱変位補正を行うことができる。それ故、工具交換処理に要する時間が増加しないので、機械加工のサイクルタイムが増加しない。
次に、前記実施例を部分的に変更した変更例について説明する。
1]図18の補正量演算処理における補正量の演算方法については、前記実施例に示した方法以外に種々の方法を適用することが可能である。また、前記実施例では、発熱量を演算する演算周期2ミリ秒を例にして説明したが、この演算周期は2ミリ秒に限るものではない。同様に前記の所定時間の30秒も一例に過ぎず、これに限定される訳ではない。
2]アーム式の機構を有する工具交換装置を備えた数値制御式工作機械に適用することも可能である。この場合、図20においては「Z軸原点」が「工具交換指令で指定したR点」となり、「マガジン回転」が「アーム旋回」となる。
3]図20の工具交換・補正処理において、X軸ボールネジシャフト81とY軸ボールネジシャフトに対する補正を実行した後、X,Y軸方向の位置決めを実行したが、X,Y軸方向の位置決めを実行した後、X軸ボールネジシャフト81とY軸ボールネジシャフトに対する補正を実行してもよい。
4]コラム7をX軸方向と、Y軸方向に移動駆動する数値制御式工作機械に適用することも可能である。
M マシニングセンタ
8 主軸ヘッド
9 主軸
15 テーブル
30 工具交換装置
31 工具マガジン
50 数値制御装置
71 X軸モータ
72 Y軸モータ
73 Z軸モータ

Claims (4)

  1. 送り軸を駆動する送り軸駆動手段と、主軸に装着された工具と工具マガジンに収納された工具とを交換可能な工具交換装置と、加工プログラムに基づいて送り軸駆動手段と工具交換装置とを制御する数値制御装置と、送り軸に発生する熱変位量に基づいて送り軸駆動手段の制御量を補正する熱変位補正装置とを有する数値制御式工作機械において、
    前記加工プログラムに基づいて自動運転するメモリ運転モードと、加工プログラムを1ブロックずつ入力して運転するMDI運転モードを含む運転モードを択一的に設定可能に構成され、
    前記数値制御装置は、前記メモリ運転モード又は前記MDI運転モードにおいて、前記加工プログラム実行中に工具交換指令が入力されたとき、前記工具交換装置による工具交換処理の実行中に、前記熱変位補正装置に前記送り軸駆動手段の制御量の補正を実行させる補正制御手段を備え
    前記送り駆動手段は、ワークを固定するテーブルをX軸方向に移動駆動するX軸移動駆動手段と、前記テーブルを前記X軸方向と直交するY軸方向に移動駆動するY軸移動駆動手段と、前記主軸を回転可能に支持する主軸ヘッドを昇降駆動するZ軸移動駆動手段とで構成され、
    前記補正制御手段は、前記工具交換装置による工具交換処理時に、前記Z軸移動駆動手段により前記主軸ヘッドが加工位置からZ軸原点に復帰したとき、前記熱変位補正装置に前記X軸移動駆動手段と前記Y軸移動駆動手段の制御量の補正を実行させ、前記主軸ヘッドが前記工具マガジンの回転が可能なATC原点に達したとき、前記熱変位補正装置に前記Z軸移動駆動手段の制御量の補正を実行させることを特徴とする数値制御式工作機械。
  2. 前記補正制御手段は、前記Z軸移動駆動手段により前記主軸ヘッドが前記Z軸原点から前記ATC原点へ移動している間に、前記X軸移動駆動手段と前記Y軸移動駆動手段の制御量の補正を実行させ、前記工具交換装置による前記工具マガジンの回転中に、前記Z軸移動駆動手段の制御量の補正を実行させることを特徴とする請求項1に記載の数値制御式工作機械。
  3. 送り軸を駆動する送り軸駆動手段と、主軸に装着された工具と工具マガジンに収納された工具とを交換可能な工具交換装置と、加工プログラムに基づいて送り軸駆動手段と工具交換装置とを制御する数値制御装置と、送り軸に発生する熱変位量に基づいて送り軸駆動手段の制御量を補正する熱変位補正装置とを有する数値制御式工作機械の熱変位補正方法において、
    前記加工プログラムに基づいて自動運転するメモリ運転モードと、加工プログラムを1ブロックずつ入力して運転するMDI運転モードを含む運転モードを択一的に設定可能に予め構成しておき、
    前記メモリ運転モード又は前記MDI運転モードにおいて、前記加工プログラム実行中に工具交換指令が入力されたとき、前記工具交換装置による工具交換処理の実行中に、前記熱変位補正装置に前記送り軸駆動手段の制御量の補正を実行させ、
    前記送り駆動手段を、ワークを固定するテーブルをX軸方向に移動駆動するX軸移動駆動手段と、前記テーブルを前記X軸方向と直交するY軸方向に移動駆動するY軸移動駆動手段と、前記主軸を回転可能に支持する主軸ヘッドを昇降駆動するZ軸移動駆動手段とで構成しておき、
    前記工具交換装置による工具交換処理時に、前記Z軸移動駆動手段により前記主軸ヘッドが加工位置からZ軸原点に復帰したとき、前記熱変位補正装置に前記X軸移動駆動手段と前記Y軸移動駆動手段の制御量の補正を実行させ、前記主軸ヘッドが前記工具マガジンの回転が可能なATC原点に達したとき、前記熱変位補正装置に前記Z軸移動駆動手段の制御量の補正を実行させることを特徴とする数値制御式工作機械の熱変位補正方法。
  4. 前記Z軸移動駆動手段により、前記主軸ヘッドが前記Z軸原点から前記ATC原点へ移動している間に、前記X軸移動駆動手段と前記Y軸移動駆動手段の制御量の補正を実行させ、前記工具交換装置による前記工具マガジンの回転中に、前記Z軸移動駆動手段の制御量の補正を実行させることを特徴とする請求項3に記載の数値制御式工作機械の熱変位補正方法。
JP2009087173A 2009-03-31 2009-03-31 数値制御式工作機械及びその熱変位補正方法 Active JP5169946B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009087173A JP5169946B2 (ja) 2009-03-31 2009-03-31 数値制御式工作機械及びその熱変位補正方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009087173A JP5169946B2 (ja) 2009-03-31 2009-03-31 数値制御式工作機械及びその熱変位補正方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010234501A JP2010234501A (ja) 2010-10-21
JP5169946B2 true JP5169946B2 (ja) 2013-03-27

Family

ID=43089341

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009087173A Active JP5169946B2 (ja) 2009-03-31 2009-03-31 数値制御式工作機械及びその熱変位補正方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5169946B2 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05169351A (ja) * 1991-01-04 1993-07-09 Enshu Ltd 工作機械の熱変位補正方法
JPH0815702B2 (ja) * 1991-01-17 1996-02-21 日立精機株式会社 Nc工作機械におけるボールねじの熱変位補正方法
JPH06182652A (ja) * 1992-12-17 1994-07-05 Mori Seiki Co Ltd 補正機能付きnc工作機械
JP3407972B2 (ja) * 1994-04-27 2003-05-19 ファナック株式会社 工作機械の熱変位補正方法
JP3648022B2 (ja) * 1997-07-09 2005-05-18 オークマ株式会社 マトリックスマガジンを備えた工作機械における工具搬送装置の自動位置決め方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010234501A (ja) 2010-10-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5506945B2 (ja) 工作機械の数値制御方法及び数値制御装置
JP5482639B2 (ja) 数値制御装置、制御プログラム及び記憶媒体
WO2012057235A1 (ja) 数値制御方法
WO2012057231A1 (ja) 送り軸反転時の補正方法
JP5206555B2 (ja) 数値制御式工作機械及びその熱変位補正方法
JP5397096B2 (ja) 数値制御式工作機械の熱変位補正方法及びその熱変位補正装置
JP5224177B2 (ja) 工作機械の熱変位補正方法及び熱変位補正装置
JP5387838B2 (ja) 数値制御式工作機械の熱変位補正方法及びその熱変位補正装置
JP2011161519A (ja) 工作機械の制御方法および制御装置
JP5136853B2 (ja) 数値制御式工作機械及び数値制御式工作機械の制御プログラム
JP5169946B2 (ja) 数値制御式工作機械及びその熱変位補正方法
JP5397095B2 (ja) 数値制御式工作機械の熱変位補正方法及びその熱変位補正装置
JP2009237929A (ja) 数値制御装置、数値制御装置用制御プログラム及び数値制御装置用記録媒体
JPH06170694A (ja) 加工機械
JP5786436B2 (ja) 数値制御装置および加工方法
JP2005202844A (ja) 数値制御装置
JP2010082724A (ja) 工作機械の熱変位補正装置及び熱変位補正方法
JP5687845B2 (ja) ドリル穴明け制御方法、プログラム及びドリル穴明機
JP7103136B2 (ja) 工作機械及び加工方法
JP2002001632A (ja) 自動旋盤の制御装置
JP6500602B2 (ja) 工作機械、演算方法及びコンピュータプログラム
JP2022117393A (ja) 制御装置、制御方法、制御プログラム、及び記憶媒体
JP2010099753A (ja) 工作機械のピッチ誤差補正方法及びピッチ誤差補正装置
JP5998575B2 (ja) 工作機械及び工作方法
US11553619B2 (en) Control device and control method

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110322

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120820

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120913

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121204

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121217

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5169946

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150