JP2010082724A - 工作機械の熱変位補正装置及び熱変位補正方法 - Google Patents

工作機械の熱変位補正装置及び熱変位補正方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010082724A
JP2010082724A JP2008252473A JP2008252473A JP2010082724A JP 2010082724 A JP2010082724 A JP 2010082724A JP 2008252473 A JP2008252473 A JP 2008252473A JP 2008252473 A JP2008252473 A JP 2008252473A JP 2010082724 A JP2010082724 A JP 2010082724A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ball screw
screw shaft
thermal displacement
amount
temperature distribution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008252473A
Other languages
English (en)
Inventor
Haruo Kobayashi
治夫 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Brother Industries Ltd
Original Assignee
Brother Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Brother Industries Ltd filed Critical Brother Industries Ltd
Priority to JP2008252473A priority Critical patent/JP2010082724A/ja
Publication of JP2010082724A publication Critical patent/JP2010082724A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】 補正量をボールねじシャフトの実際の伸び量に近似させることができる工作機械の熱変位補正装置及び熱変位補正方法を提供する。
【解決手段】 ボールねじシャフト81を長さ方向に全長に亙って有限個数の区間に分割する。50ms毎に、ナット部8aの現在位置、送り速度のデータを発熱量演算回路19に入力し、ナット部8aの発熱量を求める。6400ms経過後、温度分布演算回路21により合計熱量QTTL からナット部8aの存在確率を算出し、ナット部8aの発熱量を用いて分割区間に分配する。区間毎の発熱量を用いて各区間の温度分布を求めて、この温度分布により各区間の熱変位量を用いて算出する。基準位置からの熱変位量を算出して加工制御に用いる補正量を算出する。
【選択図】 図9

Description

本発明は、工作機械の熱変位補正装置及び熱変位補正方法に関し、特に工作機械の運転中に生じるボールねじ機構の熱変位による誤差を補正するように構成したものに関する。
ボールねじ機構は、位置決め機構として工作機械に広く使用されている。ボールねじ機構はボールねじシャフトとナット及び各軸受部との摩擦抵抗により温度上昇による熱膨張を起こし、熱変位を生じる。現在のNC工作機械ではセミクローズドループ型が一般的であるが、この方式のNC工作機械ではボールねじシャフトの熱変位が、そのまま位置決め誤差となって現れる。そのため、ボールねじシャフトに予張力を与え、熱膨張を吸収する方式が対策として使用されてきた。
ところが最近では、太いボールねじシャフトを使用する上に送り速度が非常に速くなっているので発熱量が増大し、予張力方式で対応しようとすると、非常に大きな引張力を加えなければならない。そのため、ボールねじ機構の構造体が変形したり、スラスト軸受に無理な力が加わって焼き付く等の問題があった。
そこで、ボールねじシャフトに無理な予張力を与えず、しかも、特別な測定装置を必要としないボールねじシャフトの熱変位補正方法が開示してある。例えば、特許文献1では、サーボモータの回転速度からボールねじシャフトの各区間の発熱量を算出し、ボールねじシャフトのうちのナット移動部を複数の区間に分割したモデルを使用して温度分布を求める。次に、ボールねじシャフトの熱変位量を時々刻々に予想し、この熱変位量をNC装置にピッチエラー補正として与えることにより、インプロセスで補正する方法である。この方法によれば、算出した補正量をボールねじシャフトの実際の伸びに近似させることができる。
特開平4−240045号公報
ボールねじシャフトのナット移動部において温度上昇すると、ボールねじシャフトのナット移動部から軸受部側に熱が伝わるため、精度の良い補正量を得るにはボールねじシャフトのうちのナット移動部だけでなく、ボールねじシャフト全域の温度分布を考慮することが望ましい。
しかし、特許文献1の方法では、温度分布を求める際ボールねじシャフトのうちのナット移動部のみを複数の区間に分割したモデルを使用している。したがって、特許文献1の方法では、ボールねじシャフトにおいて軸受部からナット移動部までの長さが長い場合、補正量とボールねじシャフトの実際の伸びとが近似できない可能性がある。
本発明の目的は、補正量をボールねじシャフトの実際の伸び量に近似させることができる工作機械の熱変位補正装置及び熱変位補正方法を提供することである。
請求項1の工作機械の熱変位補正装置は、両端を軸受部によって回転可能に支持したボールねじシャフトと、このボールねじシャフトを回転駆動するサーボモータと、このサーボモータの回転速度を加工データに基づき制御するための速度制御手段とを有する工作機械の熱変位補正装置であって、前記サーボモータの回転速度を検出する速度検出手段と、前記速度検出手段によって検出した前記サーボモータの回転速度に基づき前記ボールねじシャフトに発生する発熱量を演算する発熱量演算手段と、前記発熱量演算手段によって演算した発熱量に基づいて、前記ボールねじシャフトを長さ方向に全長に亙って複数分割した複数の区間の温度分布を演算する温度分布演算手段と、前記温度分布演算手段によって演算した前記温度分布に基づいて前記ボールねじシャフトの各区間の熱変位量を演算すると共に、この熱変位量に基づき加工データの補正量を演算する補正量演算手段とを備えたことを特徴としている。
この工作機械の熱変位量補正装置では、先ず、速度検出手段がサーボモータの回転速度を検出し、発熱量演算手段が、速度検出手段によって検出したサーボモータの回転速度に基づきボールねじシャフトに発生する発熱量を演算する。次に、温度分布演算手段が、発熱量演算手段によって演算した発熱量に基づいて、ボールねじシャフトを長さ方向に全長に亙って複数分割した複数の区間の温度分布を演算する。補正量演算手段が、温度分布演算手段によって演算した温度分布に基づいてボールねじシャフトの各区間の熱変位量を演算すると共に、この熱変位量に基づき加工データの補正量を演算する。
このように、ボールねじシャフトを長さ方向に全長に亙って分割した複数区間の温度分布を演算するので、ボールねじシャフトにおいて軸受部からナット移動部までの長さが長い場合にも、精度の良い補正量を得ることができる。
請求項2の工作機械の熱変位補正装置は、請求項1の発明において、前記発熱量演算手段は、前記ボールねじシャフトの前部軸受部及び後部軸受部、前記ボールねじシャフトに螺合したナットがボールねじシャフトに沿って移動するナット移動部毎に前記発熱量を演算することを特徴としている。
請求項3の工作機械の熱変位補正装置は、請求項2の発明において、前記前部軸受部と前記後部軸受部とは、前記ナットが移動不可能な区間であり、前記ボールねじシャフトの長さ方向の全長とは、前記ナット移動部と、前記前部軸受部と、前記後部軸受部の長さの合計であることを特徴としている。
請求項4の工作機械の熱変位補正方法は、両端を軸受部によって回転可能に支持したボールねじシャフトと、このボールねじシャフトを回転駆動するサーボモータと、このサーボモータの回転速度を加工データに基づき制御するための速度制御手段とを有する工作機械の熱変位補正方法であって、前記サーボモータの回転速度に基づき前記ボールねじシャフトに発生する発熱量を求める第1ステップと、前記発熱量に基づき前記ボールねじシャフトを長さ方向に全長に亙って分割した複数区間の温度分布を演算する第2ステップと、前記温度分布から前記ボールねじシャフトの各区間の熱変位量を演算する第3ステップと、前記熱変位量に基づき加工データの補正量を演算する第4ステップとを備えたことを特徴としている。
この工作機械の熱変位補正方法では、次の手順で加工データの補正量を求める。
先ず、サーボモータの回転速度に基づきボールねじシャフトに発生する発熱量を求める。
次に、発熱量に基づきボールねじシャフトを長さ方向に全長に亙って分割した複数区間の温度分布を演算し、温度分布からボールねじシャフトの各区間の熱変位量を演算する。この熱変位量に基づき加工データの補正量を演算する。これにより、請求項1と同様の作用を奏する。
請求項5の工作機械の熱変位補正方法は、請求項4の発明において、前記第1ステップにおいて、前記発熱量を、前記ボールねじシャフトの前部軸受部及び後部軸受部、前記ボールねじシャフトに螺合したナットがボールねじシャフトに沿って移動するナット移動部毎に求めることを特徴としている。
請求項1の発明によれば、速度検出手段と、発熱量演算手段と、温度分布演算手段と、補正量演算手段とを備えたので、ボールねじシャフトのうちのナット移動部だけでなくボールねじシャフト全域の温度分布を考慮した補正量を得ることができる。そのため、ボールねじシャフトにおいて軸受部からナット移動部までの長さが長い場合にも、ボールねじシャフトの実際の伸び量に近似させた精度の良い補正量を得ることができるので、高精度な加工を行うことができる。
請求項2の発明によれば、発熱量演算手段は、ボールねじシャフトの前部軸受部及び後部軸受部、ボールねじシャフトに螺合したナットがボールねじシャフトに沿って移動するナット移動部毎に発熱量を演算するので、ボールねじシャフトに対するナットと軸受部との摩擦抵抗により生じる発熱量を夫々求めることで精度の良い補正量を得ることができる。
請求項3の発明によれば、前部軸受部と後部軸受部とは、ナットが移動不可能な区間であり、ボールねじシャフトの長さ方向の全長とは、ナット移動部と、前部軸受部と、後部軸受部の長さの合計であるので、ナット移動部だけでなくナットが移動不可能な区間の熱変位量を考慮することで精度の良い補正量を得ることができる。
請求項4の発明によれば、サーボモータの回転速度に基づきボールねじシャフトに発生する発熱量を求め、発熱量に基づきボールねじシャフトを長さ方向に全長に亙って分割した複数区間の温度分布を演算し、温度分布からボールねじシャフトの各区間の熱変位量を演算し、熱変位量に基づき加工データの補正量を演算するので、請求項1と同様の効果を奏する。
請求項5の発明によれば、発熱量を、ボールねじシャフトの前部軸受部及び後部軸受部、ボールねじシャフトに螺合したナットがボールねじシャフトに沿って移動するナット移動部毎に求めるので、請求項2と同様の効果を奏する。
以下、本発明を実施する為の最良の形態について説明する。
図1〜図4に基づいて工作機械の構成について説明する。
工作機械は、ワークと工具とをXYZ直交座標系における各軸方向へ独立に相対移動させることによって、ワークに所望の機械加工(例えば、「中ぐり」、「フライス削り」、「穴空け」、「切削」等)を施すことができる。図1に示すように、工作機械は、鋳鉄製の基台であるベース1と、ベース1の上部に設けて、ワークの切削加工を行う機械本体2と、ベース1の上部に固定した、機械本体2とベース1の上部を覆う箱状の図示しないスプラッシュカバーとを主体に構成してある。
ベース1はY軸方向(図1において右下が工作機械の前方であり、Y軸方向は、工作機械の前後方向である)に長い略直方体状の鋳造品である。ベース1の下部の四隅には高さ調節が可能な脚部を夫々設け、工作機械は、これらの脚部を工場等の床面に設置することで設置してある。
次に、機械本体2について説明する。
機械本体2は、ベース1の後部上のコラム座部3の上面に固定され且つ鉛直上方に延びるコラム4と、このコラム4の前面に沿って昇降可能な主軸ヘッド5と、この主軸ヘッド5の内部に回転可能に支持した主軸5Aと、主軸ヘッド5の右側に設け且つ主軸5Aの先端に工具6の工具ホルダを取り付けて交換する工具交換装置(ATC)7と、ベース1の上部に設け且つワークを着脱可能に固定するテーブル8とを主体に構成してある。コラム4の背面側には、箱状の制御ボックス9を設け、この制御ボックス9の内側には、工作機械の動作を制御する制御装置50(図4参照)を設けてある。
次に、テーブル8をX軸方向とY軸方向に移動させる移動機構について説明する。
図1、図4に示すように、サーボモータからなるX軸モータ71及びY軸モータ72は、X軸方向(図1の機械本体2の左右方向)及びY軸方向(機械本体2の奥行き方向)にテーブル8を移動制御する。この移動機構は以下の構成からなる。まず、テーブル8の下側には直方体状の支持台10を設けてある。その支持台10にはX軸方向に沿って延びる1対のX軸送りガイドを設け、1対のX軸送りガイド上にテーブル8を移動可能に支持している。
図3に示すように、ボールねじ機構は、テーブル8の下面にナット部8aを配置して、このナット部8aはX軸モータ71から延設したX軸ボールねじシャフト81と螺合することでボールねじ機構を構成している。X軸ボールねじシャフト81のX軸モータ71側の端部81aは支持台10に固定した固定ベアリング91aに支持してあり、反対側の端部81bは可動ベアリング91bに支持してある。
ベース1の上側に支持台10を配置し、そのベース1の長手方向に沿って延びる1対のY軸送りガイド上に支持台10を移動可能に支持している。支持台10上に設けたX軸モータ71がX軸送りガイドに沿ってX軸方向にテーブル8を移動駆動し、ベース1上に設けたY軸モータ72がY軸送りガイドに沿ってY軸方向に支持台10を移動駆動する。
尚、Y軸の移動機構もX軸と同様にボールねじ機構となっている。
X軸送りガイドには、テレスコピック式に収縮するテレスコピックカバー11,12がテーブル8の左右両側に設けてある。Y軸送りガイドには、テレスコピックカバー13とY軸後カバーとが、支持台10の前後に夫々設けてある。これら複数のカバーによって、テーブル8がX軸方向とY軸方向の何れの方向に移動した場合でも、テレスコピックカバー11,12,13とY軸後カバーが、常にX軸送りガイドとY軸送りガイドを覆っている。つまり、加工領域から飛散する切粉や、クーラント液の飛沫等が各レール上に落下するのを防止できる。
次に、主軸ヘッド5の昇降機構について説明する。
図1,図2に示すように、主軸ヘッド5は、コラム4の前面側の上下方向に延びるZ軸ボールねじシャフトに螺合したナット部に支持されている。Z軸モータ73(図4参照)がZ軸ボールねじシャフトを正逆方向に回転駆動することで、主軸ヘッド5がZ軸方向(図1の機械本体2の上下方向)に昇降駆動する。従って、制御装置50のCPU51(図4参照)からの制御信号に基づいて、軸制御回路63aによりZ軸モータ73が主軸ヘッド5を昇降駆動するようになっている。
次に、制御装置50の電気的構成について説明する。
図4に示すように、制御装置50は、マイクロコンピュータを含んで構成してあり、入出力インタフェース54と、CPU51と、ROM52と、RAM53と、軸制御回路61a〜64a,75aと、サーボアンプ61〜64と、微分器71b〜74bなどを備えている。軸制御回路61a〜64aは、夫々サーボアンプ61〜64に接続している。サーボアンプ61〜64は、夫々X軸モータ71、Y軸モータ72、Z軸モータ73、主軸モータ74に接続している。軸制御回路75aはマガジンモータ75に接続している。
X軸モータ71、Y軸モータ72は、夫々、テーブル8をX軸方向、Y軸方向に移動させるものである。Z軸モータ73は、主軸ヘッド5をZ軸方向に昇降駆動させるものである。マガジンモータ75は工具マガジン14を回転移動させる為のものである。主軸モータ74は、前記主軸5Aを回転させる為のものである。尚、前記X軸モータ71、Y軸モータ72、Z軸モータ73、主軸モータ74は、夫々エンコーダ71a〜74aを備えている。
軸制御回路61a〜64aは、CPU51からの移動指令量を受けて、電流指令量(モータトルク指令値)をサーボアンプ61〜64に出力する。サーボアンプ61〜64は、この指令を受けてモータ71〜74に駆動電流を出力する。軸制御回路61a〜64aは、エンコーダ71a〜74aから位置フィードバック信号を受けて、位置のフィードバック制御を行う。微分器71b〜74bは、エンコーダ71a〜74aから入力した位置フィードバック信号を微分して速度フィードバック信号に変換し、軸制御回路61a〜64aに速度フィードバック信号を出力する。
軸制御回路61a〜64aは、微分器71b〜74bから速度フィードバック信号を受けて、速度フィードバックの制御を行う。電流検出器61b〜64bが、サーボアンプ61〜64からモータ71〜74に出力した駆動電流を検出する。電流検出器61b〜64bで検出した駆動電流を、軸制御回路61a〜64aにフィードバックする。軸制御回路61a〜64aはフィードバックされた駆動電流に基づいて電流(トルク)制御を行う。
一般的に、モータ71〜74に流れる駆動電流はモータ71〜74にかかる負荷トルクに比例するので、モータ71〜74に流れる駆動電流を検出する電流検出器61b〜64bによって、モータ71〜74にかかる負荷トルクを検出することができる。軸制御回路75aは、CPU51からの移動指令量を受けて、マガジンモータ75を駆動する。
熱変位補正装置60は、制御装置50、モータ71,72、エンコーダ71a,72aとを有する。その具体的な構成については、図7に基づいて後述する。
次に、本工作機械の数値制御で用いる熱変位量の算出方法について説明する。
本算出方法では、ボールねじシャフト81の前部軸受部81aと、ナット部8aの移動区間81c(ナット移動部に相当)と、ボールねじシャフト81の後部軸受部81bの3領域の発熱量を求める。この発熱量に基づいて、ボールねじシャフト81を長さ方向に全長に亙って分割した複数の区間に分割して区間毎の発熱量を求めている。前部軸受部81aと後部軸受部81bとは、ナット部8aが移動不可能な区間である。ボールねじシャフト81の長さ方向の全長とは、ナット部8aが移動する移動区間81cと、ナット部8aが移動不可能な前部軸受部81a、後部軸受部81bの長さの合計値である。
(合計熱量の算出)
図5に示すように、ボールねじシャフト81の前部軸受部81aから後部軸受部81bまで(長さをLで示す)の区間を、n分割する。一定時間(例えば、50ms)毎に、加工プログラムのX軸送りデータに基づいて、ナット部8aがどの区間に存在するかを判別し、X軸モータ71の実回転数から発生熱量を求め、後述する温度分布演算回路21(図7参照)のデータエリアに格納する。発生熱量を次式により求める。
[数1]
Q=K1 ×FT (1)
ここで、Q:発生熱量、F:テーブル8の送り速度、K1 ,T:所定の定数である。
図6に示すように、各区間でのナット部8aの移動による発熱量を、50ms毎に一定時間(例えば、6400ms)、すなわち128回算出する。これらの熱量を区間毎に合計し、この合計値を各区間1〜nに対応したデータエリアに格納する。6400msの間に発生した各区間1〜nの熱量1〜nの合計熱量QTTL 及び各区間1〜nでのX軸モータ71の回転数の合計回転数NTTL を夫々データエリアに格納する。
(合計熱量の分配)
以下に示す合計熱量QTTL の分配方法は、ボールねじシャフト81のナット部移動区間と前部軸受部81aと後部軸受部81bにおいて互いに他の部分への熱伝導が生じず、熱的には近似的に独立しているとみなすことができること、合計発熱量に対する各発熱部の比率は送り速度の如何に関わらずほぼ一定であるという知見に基づいている。
合計発熱量QTTL 、ナット部移動区間発熱量QN、固定ベアリング91aの回転により発熱した前部軸受部発熱量Q、可動ベアリング91bの回転により発熱した後部軸受部発熱量Qとすると、各発熱部の発熱量は、次式から算出する。
[数2]
N=ηN ×QTTL
=η×QTTL
=η×QTTL
ここで比率ηN ,η,ηは前記知見により一定であり、実機によりQN ,Q ,Qを測定し、比率ηN ,η,ηを予め求めておく。
(ナット部移動区間の各区間への熱量の分配)
次に、ナット部移動区間の各区間の熱量を求める。前記データエリアに格納されている熱量は50ms毎に算出した合計値であるため、区間毎に50ms毎の平均熱量を求めた後、平均熱量と合計熱量から各区間について、次式からナット部8aの存在確率X1 …Xi …Xn (1,i,nは、区間を示す)を求める。
[数3]
1 =区間1についての平均熱量/ QTTL

i =区間iについての平均熱量/ QTTL

n =区間nについての平均熱量/ QTTL
こうして、各区間についての存在確率X1 …Xi …Xn を求めてから、この存在確率と前記ナット部移動区間発熱量QN とから、次式により各区間についての分配熱量QN1…QNi…QNnを求める。
[数4]
N1=X1 ×QN

Ni=Xi ×QN

Nn=Xn ×QN
(温度分布の算出)
以上のようにして各発熱部の発熱量を求めてから、この熱量から温度分布を算出する。温度分布は次の非定常熱伝導方程式を、初期条件{θ}t=0 、d{θ}/ dtt=0の下に解けば求めることができる。
[数5]
[C]d{θ}/dt+[H]{θ}+{Q}=0 (2)
ここで、[C]:熱容量マトリックス、[H]:熱伝導マトリックス、{θ}:温度分布、{Q}:発熱量、t:時間である。
(熱変位量の算出)
ボールねじシャフト81の各発熱部の温度分布を求めてから、この温度分布から熱変位量、つまり、ボールねじシャフト81の各区間の熱変位量を算出する。各区間の熱変位量は、次式から求めることができる。
[数6]
ΔL=∫L 0 β×θ(L)dL (3)
ここで、ΔL:熱変位量、β:ボールねじシャフト材料の線膨張係数である。
Lは、区間の長さを示す。
次に、熱変位補正装置60の構成について、図7の機能ブロック図に基づいて説明する。
尚、便宜上X軸のボールねじ機構を例にして説明を行うが、Y軸についても基本的に同様の処理が行われる。補間制御回路16は、RAM53に格納されている加工データに基づきボールねじ機構の送り量を計算するための回路である。信号分配手段17はX軸のボールねじ機構の送り駆動量に応じた信号を各軸に分けて分配し、その信号を軸制御回路61aに与える。この信号をRAM53に格納される位置レジスタ18にも与えて、ナット部8aの位置データを格納する。X軸モータ71の回転速度はエンコーダ71aで常時検出し、検出信号を軸制御回路61a及び発熱量演算回路19に入力する。尚、軸制御回路61aが速度制御手段に相当し、エンコーダ71aが速度検出手段に相当する。
RAM53に設けたパラメータメモリ20は、ボールねじシャフト81の長さ、径等の機械構造に関するパラメータ、密度、比熱等の物理的性質に関するパラメータ及び前記熱分配係数(比率)ηN ,η ,η等を格納している。発熱量演算回路19はX軸モータ71の回転速度検出信号から式(1) に基づきボールねじシャフト81のナット部移動区間発熱量QN を50ms毎に算出し、6400ms後、合計発熱量から各発熱部の発熱量の分配計算を行う。発熱量演算回路19がナット部8aの存在確率を算出し、ボールねじシャフト81の各区間の発熱量を算出する。図5から、各部の温度、各区間に入力される熱量を図8のように表すことができる。
温度分布演算回路21は、これら発熱量とパラメータメモリ20に記憶される各種データとから式(2)を解き、各発熱部の温度分布を算出する。算出した温度分布から式(3)に基づき熱変位量ΔLを算出する
補正データ演算回路22は、温度分布演算回路21により算出した熱変位量ΔLに基づき補正量を算出する。補正信号発生手段23は、補正データ演算回路22により算出した補正量に応じた補正信号を軸制御回路61aに与える。
次に、制御装置50が実行する熱変位補正制御について、図9のフローチャートに基づいて説明する。尚、図中Si(i=1,2・・・)は各ステップを示す。
先ず、パラメータ等の設定データから、有限要素法による演算に必要なマトリックスを設定すると共に、図5に示すように、対象モデルとしてボールねじシャフト81を長さ方向に全長に亙って有限個数の区間に分割する。この区間の分割によって、熱分布モデルの領域を形成することになる(S1)。尚、各区間に対応して、初期位置、現在位置、変位量、線膨張係数、熱容量、熱伝達係数等を記憶したメモリ領域をRAM53に設けてある。
次に、S1で設定した熱分布領域モデルの各区間において、初期位置(基準位置)の測定を行い記憶しておく。50ms毎に、ナット部8aの現在位置、送り速度のデータを発熱量演算回路19に入力し、式(1)に基づきナット部8aの発熱量を求める(S3)。
一定時間(6400ms)経過すると、温度分布演算回路21により合計熱量QTTL からナット部8aの存在確率を算出し、S3で求めた発熱量を用いて分割区間に分配する(S4)。S3の処理を実行するCPU51が発熱量演算手段に相当する。
S4で求めた区間毎の発熱量を用いて各区間の温度分布を求める(S5)。S5で求めた温度分布により各区間の熱変位量を式(3)を用いて算出する(S6)。S2で記憶した基準位置からの熱変位量を算出して加工制御に用いる補正量を算出する(S7)。
補正信号発生手段23が、S7で求めた補正量に相当する信号を軸制御回路61aに送る(S8)。S1に戻り、制御装置50は定期的(例えば、50ms毎)にこの処理を実行する。S5を実行するCPU51が温度分布演算手段に相当する。S6〜S8を実行するCPU51が補正量演算手段に相当する。
次に、以上説明した工作機械の熱変位補正装置60の作用、効果について説明する。
この熱変位補正装置60では、先ず、X軸モータ71の回転速度に基づきボールねじシャフト81に発生する発熱量を求める。次に、発熱量に基づきボールねじシャフト81を長さ方向に全長に亙って分割した複数区間の温度分布を演算し、温度分布からボールねじシャフト81の各区間の熱変位量を演算する。この熱変位量に基づき加工データの補正量を演算する。
このように、ボールねじシャフト81に発生した発熱量に基づきボールねじシャフト81を長さ方向に全長に亙って分割した複数区間の温度分布を演算するので、ボールねじシャフト81のうちのナット移動部だけでなくボールねじシャフト81の全域の温度分布を考慮した補正量を得ることができる。そのため、ボールねじシャフト81において前部軸受部81aからナット移動部81cまでの長さや、後部軸受部81bからナット移動部81cまでの長さが長い場合にも、ボールねじシャフト81の実際の伸び量に近似させた精度の良い補正量を得ることができるので、高精度な加工を行うことができる。
発熱量を、ボールねじシャフト81の前部軸受部81a、後部軸受部81b、ナット移動部毎に求めるので、ボールねじシャフト81に対するナット部8aとベアリング91a,91bとの摩擦抵抗により生じる発熱量を夫々求めることで精度の良い補正量を得ることができる。前部軸受部81aと後部軸受部81bとは、ナット部8aが移動不可能な区間であり、ボールねじシャフト81の長さ方向の全長とは、ナット移動部81cと、前部軸受部81aと、後部軸受部81bの長さの合計であるので、ナット移動部81cだけでなくナット部8aが移動不可能な区間の熱変位量を考慮することで精度の良い補正量を得ることができる。
次に、前記実施例を部分的に変更した変更例について説明する。
1]前記実施例においては、本発明の熱変位補正装置及び熱変位補正方法をX軸とY軸のボールねじ機構の熱変位補正に適用した場合について説明したが、Z軸のボールねじ機構の熱変位補正に適用することも可能である。
本発明の実施例に係る工作機械の機械本体の全体斜視図である。 主軸ヘッド及び自動工具交換装置などの側面図である。 X軸ボールねじ機構の構成図である。 制御装置の電気的構成を示すブロック図である。 ボールねじシャフトを区分して熱量を求める場合の説明図である。 区間iの分配熱量を求める場合のメモリ説明図である。 熱変位補正装置の機能ブロック図である。 各部の温度と各区間に入力される熱量とを説明する説明図である。 熱変位補正制御プログラムのフローチャートである。
符号の説明
8a ナット部
50 制御装置
51 CPU
60 熱変位補正装置
71 X軸モータ
71a エンコーダ
81 ボールねじシャフト
81a 前部軸受部
81b 後部軸受部
81c ナット移動部
91a 固定ベアリング
91b 可動ベアリング

Claims (5)

  1. 両端を軸受部によって回転可能に支持したボールねじシャフトと、このボールねじシャフトを回転駆動するサーボモータと、このサーボモータの回転速度を加工データに基づき制御するための速度制御手段とを有する工作機械の熱変位補正装置であって、
    前記サーボモータの回転速度を検出する速度検出手段と、
    前記速度検出手段によって検出した前記サーボモータの回転速度に基づき前記ボールねじシャフトに発生する発熱量を演算する発熱量演算手段と、
    前記発熱量演算手段によって演算した発熱量に基づいて、前記ボールねじシャフトを長さ方向に全長に亙って複数分割した複数の区間の温度分布を演算する温度分布演算手段と、
    前記温度分布演算手段によって演算した前記温度分布に基づいて前記ボールねじシャフトの各区間の熱変位量を演算すると共に、この熱変位量に基づき加工データの補正量を演算する補正量演算手段とを備えたことを特徴とする工作機械の熱変位補正装置。
  2. 前記発熱量演算手段は、前記ボールねじシャフトの前部軸受部及び後部軸受部、前記ボールねじシャフトに螺合したナットがボールねじシャフトに沿って移動するナット移動部毎に前記発熱量を演算することを特徴とする請求項1に記載の工作機械の熱変位補正装置。
  3. 前記前部軸受部と前記後部軸受部とは、前記ナットが移動不可能な区間であり、
    前記ボールねじシャフトの長さ方向の全長とは、前記ナット移動部と、前記前部軸受部と、前記後部軸受部の長さの合計であることを特徴とする請求項2に記載の工作機械の熱変位補正装置。
  4. 両端を軸受部によって回転可能に支持したボールねじシャフトと、このボールねじシャフトを回転駆動するサーボモータと、このサーボモータの回転速度を加工データに基づき制御するための速度制御手段とを有する工作機械の熱変位補正方法であって、
    前記サーボモータの回転速度に基づき前記ボールねじシャフトに発生する発熱量を求める第1ステップと、
    前記発熱量に基づき前記ボールねじシャフトを長さ方向に全長に亙って分割した複数区間の温度分布を演算する第2ステップと、
    前記温度分布から前記ボールねじシャフトの各区間の熱変位量を演算する第3ステップと、
    前記熱変位量に基づき加工データの補正量を演算する第4ステップと、
    を備えたことを特徴とする工作機械の熱変位補正方法。
  5. 前記第1ステップにおいて、前記発熱量を、前記ボールねじシャフトの前部軸受部及び後部軸受部、前記ボールねじシャフトに螺合したナットがボールねじシャフトに沿って移動するナット移動部毎に求めることを特徴とする請求項4に記載の工作機械の熱変位補正方法。
JP2008252473A 2008-09-30 2008-09-30 工作機械の熱変位補正装置及び熱変位補正方法 Pending JP2010082724A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008252473A JP2010082724A (ja) 2008-09-30 2008-09-30 工作機械の熱変位補正装置及び熱変位補正方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008252473A JP2010082724A (ja) 2008-09-30 2008-09-30 工作機械の熱変位補正装置及び熱変位補正方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010082724A true JP2010082724A (ja) 2010-04-15

Family

ID=42247194

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008252473A Pending JP2010082724A (ja) 2008-09-30 2008-09-30 工作機械の熱変位補正装置及び熱変位補正方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010082724A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102011055036A1 (de) 2010-11-11 2012-05-16 Fanuc Corporation Verfahren und Vorrichtung zum Kompensieren einer thermischen Versetzung in einer Werkzeugmaschine
JP2013252589A (ja) * 2012-06-07 2013-12-19 Jtekt Corp 位置決め装置
KR101741769B1 (ko) 2010-12-06 2017-05-30 주식회사 탑 엔지니어링 다이 본딩 헤드 이동 제어장치
WO2020155229A1 (zh) * 2019-01-31 2020-08-06 大连理工大学 一种进给轴热误差自适应补偿方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04240045A (ja) * 1991-01-17 1992-08-27 Hitachi Seiki Co Ltd Nc工作機械におけるボールねじの熱変位補正方法
JPH07299701A (ja) * 1994-04-27 1995-11-14 Fanuc Ltd 工作機械の熱変位補正方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04240045A (ja) * 1991-01-17 1992-08-27 Hitachi Seiki Co Ltd Nc工作機械におけるボールねじの熱変位補正方法
JPH07299701A (ja) * 1994-04-27 1995-11-14 Fanuc Ltd 工作機械の熱変位補正方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102011055036A1 (de) 2010-11-11 2012-05-16 Fanuc Corporation Verfahren und Vorrichtung zum Kompensieren einer thermischen Versetzung in einer Werkzeugmaschine
DE102011055036B4 (de) * 2010-11-11 2013-12-12 Fanuc Corporation Verfahren und Vorrichtung zum Kompensieren des thermischen Versatzes bei einer Werkzeugmaschine
US8924003B2 (en) 2010-11-11 2014-12-30 Fanuc Corporation Thermal displacement compensation method and thermal displacement compensation device for machine tool
KR101741769B1 (ko) 2010-12-06 2017-05-30 주식회사 탑 엔지니어링 다이 본딩 헤드 이동 제어장치
JP2013252589A (ja) * 2012-06-07 2013-12-19 Jtekt Corp 位置決め装置
WO2020155229A1 (zh) * 2019-01-31 2020-08-06 大连理工大学 一种进给轴热误差自适应补偿方法
US11287795B2 (en) 2019-01-31 2022-03-29 Dalian University Of Technology Self-adaptive compensation method for feed axis thermal error

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101074206B1 (ko) 공작 기계의 열변위 보정 방법, 열변위 보정 장치 및 열변위 보정용 프로그램을 기억한 컴퓨터 판독 가능한 매체
JP5224177B2 (ja) 工作機械の熱変位補正方法及び熱変位補正装置
JP4559277B2 (ja) Nc工作機械の熱変位補正方法
WO2012053353A1 (ja) 工作機械の熱変位補正システム
JP2006272539A (ja) 工作機械及び工作機械の変位補正方法
JP5387838B2 (ja) 数値制御式工作機械の熱変位補正方法及びその熱変位補正装置
JP5397096B2 (ja) 数値制御式工作機械の熱変位補正方法及びその熱変位補正装置
JP2010082724A (ja) 工作機械の熱変位補正装置及び熱変位補正方法
JP5206555B2 (ja) 数値制御式工作機械及びその熱変位補正方法
JP5397095B2 (ja) 数値制御式工作機械の熱変位補正方法及びその熱変位補正装置
JP2009237929A (ja) 数値制御装置、数値制御装置用制御プログラム及び数値制御装置用記録媒体
JPH11338527A (ja) 工作機械の制御方法および装置
JP2006272538A (ja) 工作機械及び工作機械の変位補正方法
JP5786436B2 (ja) 数値制御装置および加工方法
JP2010099753A (ja) 工作機械のピッチ誤差補正方法及びピッチ誤差補正装置
JP6582522B2 (ja) 工作機械、演算方法及びコンピュータプログラム
CN106002429B (zh) 机床、运算方法
JP7238839B2 (ja) 補正係数の導出方法及び工作機械
JP5169946B2 (ja) 数値制御式工作機械及びその熱変位補正方法
JP2023110398A (ja) 加工装置及びその制御方法
JP2012024869A (ja) 工作機械の熱変位補正方法および熱変位補正装置
JP2005052917A (ja) 数値制御工作機械の熱変位補正方法及び装置
KR20000047076A (ko) 공작기계의 열변위 보정장치 및 그 제어방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110314

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120910

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20130122