JP5168766B2 - 歯列矯正ブラケット及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は高強度透光性セラミックスを用いた、美観と機能性に優れる歯列矯正ブラケットに関する。
従来、歯列矯正ブラケット材料として、ステンレス系金属、或いはポリカーボネート系プラスティックが用いられてきた。また、アルミナ、ジルコニアなどの酸化物セラミックスも用いられている。ステンレス系は強度、加工性に優れているものの金属光沢を示すために、ブラケットとして歯列に装着した際目立ち、美観を損なうという欠点があった。この欠点を改善するという観点から透明プラスティック製ブラケットが用いられる場合がある。しかし、プラスティックは耐久性に劣り変色し、剛性が低いため矯正効果を十分発揮しにくいという欠点があった。
金属より美観に優れ、プラスティックの耐久劣化を克服するものとして、アルミナセラミックスからなるブラケットが開発されている。例えば、特許文献1には85%wt以上のAlを含有するアルミナ質ブラケットが開示されており、アルミナ粉末を1575〜1675℃で焼結した、曲げ強度330MPaをもつセラミックスが例示されている。
特許文献2には、高純度アルミナブラケットが開示されており、結晶粒子径が2〜50μm、好ましくは10〜30μmであり、曲げ強度が280MPa以上のアルミナセラミックスからなることが記載されている。また、製法として水素雰囲気中1750〜2050℃で焼結する方法、及びその焼結体を温度1750〜2050℃、圧力100MPaでHIP処理する方法が開示されている。
また、特許文献3にはアルミナを99.9wt%以上含有する高純度アルミナブラケットが開示されており、実施例として、結晶粒子径が1.8〜3.0μmであり、曲げ強度が530〜640MPaを示すセラミックスが示されている。製法として、1300〜1400℃で常圧焼結し、次いで1400〜1550℃、圧力50MPa以上でHIP処理する方法が示されている。
更に、特許文献4には1.0μm以下の微細結晶粒からなるアルミナセラミックスブラケットが開示されており、曲げ強度620MPaのセラミックスが例示されている。その製法として1200〜1300℃で焼結し、次いで1200〜1300℃でHIP処理する方法が示されている。
米国特許第4219617号明細書(特許請求の範囲) 米国特許第4954080号明細書(特許請求の範囲) 特開平3−168140号公報(特許請求の範囲) 米国特許第6648638号明細書(特許請求の範囲、TABLE 1)
歯列矯正ブラケットに用いられるアルミナセラミックスには審美性を高めるため高い透光性が必要であり、さらに患者への違和感を軽減できるスリムな形状とするため高強度が必要とされる。特に近年、ブラケットの形状は複雑化しており、材料特性としてより高強度が必要とされている。しかしながら、従来のアルミナセラミックスブラケットは前述したように、曲げ強度700MPa未満のアルミナから構成されており、この要求に十分答えるものではなかった。
本発明は高い透光性を損なうことなく、曲げ強度700MPa以上の高強度アルミナセラミックスからなる歯列矯正ブラケットを提供することを目的とする。
本発明者等は歯列矯正ブラケットとして用いられるアルミナセラミックスの高強度化と透光性向上を同時に達成できる方法を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の歯列矯正ブラケットはアルミナ(Al)を99.5wt%以上含有するセラミックスであって波長550nmの可視光に対する吸収散乱係数が2.8mm−1以下、かつ曲げ強度が700MPa以上である透光性セラミックスからなることを特徴とする歯列矯正ブラケットである。なお、本発明の歯列矯正ブラケットでは、アルミナ(Al)を99.5wt%以上含有するアルミナセラミックスの曲げ強度が900MPa以上であることがさらに好ましい。また、これらの透光性セラミックスの波長550nmの可視光に対する分光立体角反射率は15%以下であることが好ましく、さらに、これらの透光性セラミックスは平均結晶粒径1.0〜1.7μmの結晶で構成されていることが好ましい。本発明の歯列矯正ブラケットを構成する透光性セラミックスは高強度であるため、歯列矯正ブラケットの形状をスリム化でき、アーチワイヤーを装着するスロット底面から歯と接着するベース面までの最短距離が0.6mm以下である形状を有する歯列矯正ブラケットが可能となる。すなわち、本発明の歯列矯正ブラケットは、波長550nmの可視光に対する吸収散乱係数が2.8mm−1以下であり、アルミナ(Al)を99.5wt%以上含有する透光性セラミックスからなり、歯に接着するためのベース面とアーチワイヤーを装着するスロットとを少なくとも有する歯列矯正ブラケットであって、前記アーチワイヤーを装着するスロット底面から前記歯に接着するためのベース面までの最短距離が0.6mm以下であることを特徴とする歯列矯正ブラケットである。なお、該透光性セラミックスの波長550nmの可視光に対する分光立体角反射率は15%以下であることが好ましく、また、該透光性セラミックスは平均結晶粒径1.0〜1.7μmの結晶で構成されていることが好ましい。
また、本発明の歯列矯正ブラケットの製造方法は、高純度アルミナ微粉末からなる成形体を1200〜1300℃で焼成し、相対密度96〜99.5%、平均結晶粒径1.0μm以下の結晶からなる焼結体とし、ついでこの焼結体を1200〜1350℃、圧力50MPa以上の条件下で熱間静水圧プレス(HIP)処理することを特徴とする。このHIP処理においては、1200〜1275℃の温度範囲で50MPa以上の圧力下に保持し、ついで1275〜1350℃でさらに加圧保持する2ステップパターンとすることがより好ましい。なお、該HIP処理において、1200〜1275℃の温度範囲で50MPa以上の圧力下に保持する第1ステップの保持時間は0.5時間以上であることが好ましい。また、1275〜1350℃で加圧保持する第2ステップにおいては、1200〜1275℃の第1ステップにおける圧力よりもさらに高い圧力下に加圧保持することが好ましい。
粉末成形体の製造方法としては、例えば、高純度アルミナ微粉末に熱可塑性有機樹脂を添加し、混練した後、インジェクションモールディングにより所望のブラケット形状とし、樹脂を加熱除去して粉末成形体とするセラミックス射出成形法によることが好ましい。また、使用する高純度アルミナ微粉末としては、純度99.9%以上、比表面積10〜20m/gの高純度アルミナ微粉末を用いることが好ましい。
本発明を以下詳細に説明する。
本発明の歯列矯正ブラケットのアルミナ含有率は99.5wt%以上であり、それを下回ると粒界に不純物が析出した構造のものとなり、それに基づく光散乱のために透光性が低下する。したがって、本発明の歯列矯正ブラケットを構成する透光性セラミックスは、アルミナ(Al)を99.9wt%以上含有するものであることが好ましく、99.96wt%以上含有するものであることがさらに好ましい。なお、透光性アルミナではMgO等添加物が異常粒成長を抑制する目的でしばしば添加されるが、本発明の透光性セラミックスにおいては、添加物は0.5wt%以下、好ましくは0〜0.1wt%、さらに好ましくは0.04wt%未満に抑えるとよい。
本発明の歯列矯正ブラケットの平均結晶粒径は1.0〜1.7μmの範囲であることが好ましい。平均結晶粒径が1.0μm未満では粒界散乱の増加による透光性の低下が起こり、吸収散乱係数2.8mm−1以下、並びに分光立体角反射率15%以下を維持することが困難となり、1.7μmを超えると粒径増大効果による強度低下のため、曲げ強度700MPa以上を維持することが困難となる。充分な透光性と強度を確保するために、燒結体の平均結晶粒径は、1.2〜1.7μmであることがさらに好ましい。
本発明の歯列矯正ブラケットは、例えば、高純度アルミナ微粉末からなる成形体をあらかじめ相対密度96〜99.5%になるまで焼結し、それをHIP処理する方法で製造することができる。相対密度96〜99.5%、平均結晶粒径1.0μm以下の結晶からなる焼結体は、高純度アルミナ微粉末からなる成形体を1200〜1300℃で焼結して得ることができる。1200〜1300℃で96%以上に緻密化させるには、原料である高純度アルミナ微粉末は純度99.9%以上、比表面積10〜20m/gをもつ粉末が好ましい。この高純度アルミナ微粉末は純度99.96%以上であることがさらに好ましい。
焼結の雰囲気としては、大気、酸素、真空、水素などいずれも適用できるが、大気中が最も簡便かつ工業的である。HIP処理は1200〜1350℃、50MPa以上で行う。1200℃未満では気孔消滅をもたらす圧力作用を十分なものとできず、所望の高強度の達成が困難となり、1350℃を超えると粒成長が起こりすぎ、強度低下が起こる。HIP圧力媒体としては通常用いられるアルゴンガスが適用でき、それ以外の窒素、酸素なども用いることができる。圧力50MPa未満では圧力不足で所望の高強度が得られない。圧力としては、100〜200MPaが適当であり、200MPaを超えても何ら弊害をもたらさないと予想されるが、通常の装置では実現できないので工業的ではない。
さらに好ましいHIP処理方法は第1ステップとして1250〜1275℃の温度範囲で50〜200MPaの圧力下に保持し、ついで第2ステップとして1275〜1350℃でさらに加圧保持する2ステップパターンとすることである。各ステップでの保持時間は0.5時間以上が好ましく、より好ましくは1〜2時間とするのがよい。本発明者等はHIP処理による強度向上が平均結晶粒径1.0μm未満の焼結体を粒成長させることなく、すなわち1250〜1275℃の温度範囲で処理したときのみ顕著に見られることを見出し、第1ステップを設定した。
平均結晶粒径が1.0μm未満の微細粒子は高圧下で超塑性流動を起こし、粒子が粒界すべりでスムーズに移動できるため、破壊源となる気孔が効率的に埋められ消滅するものと考えられる。一方、光透過性は結晶粒径が大きい程高くなる傾向を示し、少なくとも1.0μm以上にしなければ、所望の光透過性は得られない。これに基づき、1.0μm以上に粒成長させる第2ステップ、すなわち1275〜1350℃での保持を設定した。
2ステップパターンにより高強度と高い光透過性を同時に1回の処理で達成することができ、曲げ強度は、700MPa以上はもとより、750MPa以上、さらに適切な条件下では900MPa以上を確保することができる。
本発明の歯列矯正ブラケットに用いられる透光性セラミックスは波長550nmの可視光に対する吸収散乱係数が2.8mm−1以下の高い光透過性を有する。吸収散乱係数は通常測定される直線透過率から(1)式により求めた。
α・t=−ln(T/(1−R)) ・・・(1)
α:吸収散乱係数(mm−1)、t:試料厚さ(mm)、T:直線透過率
R:反射率(波長550nmの値として、0.0773を代入)
本発明の歯列矯正ブラケットに用いられる透光性セラミックスは、平均結晶粒径1.0〜1.7μmを有する。平均結晶粒径は焼結体の研磨エッチング面の走査電子顕微鏡観察から測定される値であり、具体的には、J.Am.Ceram.Soc.,52[8]443−6(1969)に記載されている方法に従い、(2)式により求めた。
D=1.56L ・・・(2)
D:平均結晶粒径(μm) L:任意の直線を横切る粒子の平均長さ(μm)
Lの値は100本以上の実測長さの平均値とした。
本発明の歯列矯正ブラケットに用いられる透光性セラミックスは分光立体角反射率15%以下であることが好ましい。分光立体角反射率は表面、並びに内部粒界、内部気孔などの散乱源による反射光が多いほど大きくなり、内部粒界の多い粒径が小さな透光性アルミナ、内部気孔の多い透過率の低い透光性アルミナでは高くなる。分光立体角反射率が15%以上になると、白濁、曇り等が認められるようになり、審美性に優れた透光性アルミナとはならない。
分光立体角反射率はJIS Z 8722に記載されている方法bに従い測定した。一光路の分光測光器を用い、まず常用標準白色面を測定し、つぎに試料と常用標準白色面を置き換えて測定し、試料の分光立体角反射率を(3)式から求めた。
R(λ)=Rw(λ)R' (λ)/Rw' (λ) ・・・(3)
R(λ):試料の分光立体角反射率
R' (λ):試料の各々の波長における出力目盛りの読み
Rw' (λ):常用標準白色面の各々の波長における出力目盛りの読み
Rw(λ):測定に用いる分光測光器と同形の装置によって目盛り定めをした常用標準白色面の分光立体角反射率
本発明の歯列矯正ブラケットに用いられる透光性セラミックスは曲げ強度700MPa以上を有し、適切な製造条件下では750MPa以上、さらに適切な条件下では900MPa以上を発現する。高強度アルミナを用いることにより歯列矯正ブラケットの形状をスリム化でき、アーチワイヤーを装着するスロット底面から歯と接着するベース面までの最短距離が0.6mm以下である歯列矯正ブラケットが可能となる。従来の透光性アルミナは曲げ強度350〜400MPaであり、スロット底面からベース面までの最短距離は通常1mm以上とする必要があった。その理由はスロットにアーチワイヤーを装着し、ねじり応力が作用した場合、スロット底面からベース面に向かって破壊するためである。本発明の薄型形状の歯列矯正ブラケットの一例(図1a)を通常形状の歯列矯正ブラケット(図1b)と比較して図1に示す。患者に違和感を与えない高さの低い形状が可能になっていることがわかる。
曲げ強度はJIS R 1601「ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法」に基づいて測定された10本の平均値である。
ブラケットの製品形状の一例を図1に示す。本発明のブラケットの成形には、インジェクションモールディング、スリップキャスティング、モールドプレス等が好適に適用できるが、インジェクションモールディングが本発明にかかるブラケットのような小型複雑形状の成形に特に適している。原料粉末と熱可塑性有機樹脂バインダーを混練したコンパウンドを加温したブラケット形状の金型に注入し、所望形状とした後、200〜1000℃で焼成しバインダーを除去した後焼結する。焼結は既述の方法に従う。インジェクションモールディングは機械加工を必要とせず、効率的であり、経済性に優れる。
本発明の歯列矯正ブラケットは、従来のものと比較して、2倍以上の曲げ強度を有しているため複雑形状としても破損することがなく、より金属製ブラケットの形状に近づいたスリムな形状とすることも可能となり、患者への違和感の軽減にも繋がる。高強度のみならず、透光性にも優れるため、審美性を与える。インジェクションモールディングにより、機械加工なしに複雑形状を実現でき、大量生産もできるため安価に製造できる。
以上の特長により、本発明によれば、従来の透光性アルミナブラケットでは実現できなかった審美性、機能性、経済性を兼備したブラケットを提供することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
実施例1
純度99.99%、比表面積14m/gの高純度アルミナ微粉末を金型プレスとラバープレスを用い、プレートに成形した。それを電気炉に入れ、大気中、所定温度で所定時間保持して一次焼結体を得た。その焼結体密度と平均結晶粒径を測定した。結果を表1に示す。
次いで得られた一次焼結体をHIP装置に入れ、アルゴンガスを導入し所定の温度、圧力で処理した。得られた試料について、焼結体密度、平均結晶粒径、平均曲げ強度、吸収散乱係数及び分光立体角反射率を測定した。結果を表2に示す。平均結晶粒径を求めた走査電顕写真(試料:表2のNo.)を図2に示す。なお、表2中の「一次焼結体」の欄は、表1に示す試料ナンバーの一次焼結体をHIP処理したものであることを示す。
Figure 0005168766
Figure 0005168766
比較例1
一次焼結温度および/またはHIP処理温度を変えた以外は、実施例1と同様にして試料
を作成し、一次焼結体密度およびこの焼結体の平均結晶粒径並びにHIP処理体密度、こ
の処理体の平均結晶粒径、平均曲げ強度、吸収散乱係数、及び分光立体角反射率を測定し
た。結果を表3、表4に示す。平均曲げ強度、吸収散乱係数の両方或いはいずれかが本発
明の実施例より劣っていた。平均結晶粒径を求めた走査電顕写真(試料:表4のNo.4
)を図3に示す。なお、表4中の「一次焼結体」の欄は、表3に示す試料ナンバーの一次
焼結体をHIP処理したものであることを示す。
Figure 0005168766
Figure 0005168766
実施例2
実施例1で用いた原料粉末500gにワックス系熱可塑性樹脂100gを添加し、加温した混練機で練り混ぜコンパウンドを調合した。コンパウンドを射出成形機により押し出し、プレート形状に成形した。成形体を900℃まで加熱し脱脂した後、大気中1250℃、5時間焼結した。焼結体をHIP装置に入れ、アルゴンガスを導入し、所定の温度、圧力を2段階保持として処理した。すなわち、表5の第1ステップに記載した温度・圧力・時間で第1ステップの処理を行った後、引き続き第2ステップに記載した温度・圧力・時間で第2ステップの処理を行った。得られた試料について、焼結体密度、平均結晶粒径、平均曲げ強度、吸収散乱係数及び分光立体角反射率を測定した。結果を表5に示す。また、焼結体の一部をICPにより化学分析した結果、不純物としてSi20ppm、Fe20ppm、Na10ppm、その他10ppmが検出されただけでアルミナ含有量は99.9wt%以上であった。
Figure 0005168766
実施例3
実施例1で用いた原料粉末500gにワックス系熱可塑性樹脂100gを添加し、加温した混練機で練り混ぜコンパウンドを調合した。コンパウンドを射出成形機により押し出し、図1に示す通常形状のブラケット形状に成形した。成形体を900℃まで加熱し脱脂した後、大気中1275℃、1時間焼結した。焼結体をHIP装置に入れ、アルゴンガスを導入し、所定の温度、圧力を2ステップスケジュールにして処理した。具体的には、表6に示すように、各々、表5の試料ナンバー3、4、5で用いたと同じHIP処理条件を用いて処理を行った。得られたブラケットは実施例2のサンプルと同様の透光性を示していた。このブラケットについて平均破壊モーメントを測定した。結果を表6に示す。
なお、破壊モーメントは固定されたブラケットのスロット部に超硬金属製バー(長さ7cm)を差し込み、片もち梁の状態とし曲げ荷重を印加したときの破壊荷重から計算し、10点の平均値を平均破壊モーメントとした。
Figure 0005168766
比較例2
実施例3と同様の方法でブラケット形状の脱脂成形体を作製し、大気中1400℃、1時間焼結した一次焼結体をアルゴンガス圧150MPa、温度1400〜1600℃で1時間HIP処理した。得られたブラケットの破壊モーメントを表7に示すが、実施例3より明らかに劣っていた。
Figure 0005168766
本発明によれば、より金属製ブラケットの形状に近いスリムな形状とすることが可能となり、患者の感じる違和感を軽減可能な歯列矯正ブラケットを提供することができる。また、高強度のみならず、透光性にも優れるため、審美性の高い歯列矯正ブラケットとして好適に用いることができる。さらに、インジェクションモールディングにより、機械加工なしに複雑形状を実現でき、大量生産もできるため安価に製造することができ、従来の透光性セラミックスブラケットでは実現できなかった審美性、機能性、経済性を兼備した歯列矯正ブラケットを提供することができる。
本発明の歯列矯正ブラケットの形状の一例を示す図である。(a)薄型形状の歯列矯正ブラケット、(b)通常形状の歯列矯正ブラケット 本発明の透光性セラミックスの結晶粒径の一例を示す走査電顕写真である。 比較例1で作製された透光性セラミックスの結晶粒径の一例を示す走査電顕写真である。
符号の説明
1:上面
2:側壁
3:スロット
4:ベース面

Claims (8)

  1. アルミナ(Al)を99.5wt%以上含有するセラミックスであって、波長550nmの可視光に対する吸収散乱係数が2.7mm−1以下、かつ平均曲げ強度が810MPa以上であり、平均結晶粒径1.1〜1.7μmの結晶で構成されている透光性セラミックスからなることを特徴とする歯列矯正ブラケット。
  2. 透光性セラミックスの波長550nmの可視光に対する分光立体角反射率が15%以下であることを特徴とする請求項1記載の歯列矯正ブラケット。
  3. 歯に接着するためのベース面とアーチワイヤーを装着するスロットとを少なくとも有する歯列矯正ブラケットであって、前記アーチワイヤーを装着するスロット底面から前記歯に接着するためのベース面までの最短距離が0.6mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の歯列矯正ブラケット。
  4. 高純度アルミナ微粉末からなる成形体を1200〜1300℃で焼成し、相対密度96〜99.5%、平均結晶粒径1.0μm以下の結晶からなる焼結体とし、ついでこの焼結体を1200〜1350℃、圧力50MPa以上の条件下で熱間静水圧プレス(HIP)処理することを特徴とする歯列矯正ブラケットの製造方法であって、当該熱間静水圧プレス(HIP)処理において、1200〜1275℃の温度範囲で50MPa以上の圧力下に保持し、ついで1275〜1350℃でさらに加圧保持することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の歯列矯正ブラケットの製造方法。
  5. 熱間静水圧プレス(HIP)処理において、1200〜1275℃の温度範囲で50MPa以上の圧力下での保持時間が0.5時間以上であることを特徴とする請求項記載の歯列矯正ブラケットの製造方法。
  6. 熱間静水圧プレス(HIP)処理において、1200〜1275℃の温度範囲で50MPa以上の圧力下に保持し、ついで1275〜1350℃で、前記1200〜1275℃での保持における圧力よりもさらに高い圧力下に加圧保持することを特徴とする請求項記載の歯列矯正ブラケットの製造方法。
  7. 純度99.9%以上、比表面積10〜20m/gの高純度アルミナ微粉末を用いることを特徴とする請求項記載の歯列矯正ブラケットの製造方法。
  8. 高純度アルミナ微粉末に熱可塑性有機樹脂を添加し、混練した後、インジェクションモールディングにより所望形状とし、樹脂を加熱除去して粉末成形体とすることを特徴とする請求項記載の歯列矯正ブラケットの製造方法。
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