JP5168470B2 - 圧電共振子 - Google Patents
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Description
本発明は、幅振動を利用した、矩形状の圧電振動部を有する圧電共振子に関するものである。
幅振動を利用した、矩形状の圧電振動部を有する圧電共振子は、圧電振動部の、主に振動する幅方向に沿う辺の中央部にノード点が存在することが分かっている。下記特許文献1には、このノード点近傍に矩形状の支持部を連結し、圧電振動部を支持した構造が開示されている。
図5は、特許文献1に記載の幅振動を利用した圧電共振子を説明するための模式的平面図である。圧電共振子21は、圧電薄膜とその両面に形成された電極とからなる圧電振動部23とを有している。この圧電振動部23は、そのノード点N近傍に連結された矩形状の支持部24を介して、基板22に対してギャップをもたせて浮かせた状態で基板22に固定されている。
このような圧電振動子21は、圧電振動部23の厚みに依存しにくく、或る程度良好な共振特性の得られるものである。
WO2007/088696号公報
前述した幅振動を利用し、矩形状の圧電振動部23をもつ圧電共振子21は、前記圧電振動部23が、そのノード点N近傍に設けられた矩形状の支持部24で支持されている。ここで前記支持部24の幅及び長さ寸法によっては、圧電振動部23から支持部24に伝わった振動に振動漏れが発生し、共振特性に劣化が生じることが分かった。
そこで本発明の目的は、幅振動を利用する圧電共振子において、矩形状の支持部の幅及び長さ寸法を規定し、振動漏れによる共振特性の劣化を低減することにある。
上記問題点を解決するために、本発明は以下のような構成をとる。
本発明に係る圧電共振子は、圧電体と前記圧電体を挟んで対向する電極を備える矩形状の圧電振動部が、基板との間にギャップをもたせながら前記圧電振動部の主に変位する幅方向に沿う辺のノード点近傍に連結された矩形状の支持部を介して、前記基板に固定されている幅振動を利用した圧電共振子において、前記支持部の幅寸法aと前記圧電振動部の幅寸法bは、0.015≦a/b≦0.200であり、前記圧電振動部の長さ寸法dと幅寸法bは、d=1.5bであり、前記支持部の長さ寸法cは、利用する振動の波長をλとすると、7×10-3λ≦c≦190×10-3λであることを特徴としている。
前記圧電体は、圧電薄膜で構成するのがよい。
本発明は、上記のような支持部寸法をとることにより、支持部からの振動漏れを低減し、共振特性の劣化を防ぐことができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1(a)は本発明の実施形態の構成を示す圧電共振子1の模式的平面図である。図1(b)は図1(a)におけるA−A線に沿う断面図である。
図2(a)及び(b)は、図1(a)におけるB−B線及びC−C線に沿う各断面図である。
圧電共振子1は、圧電振動部3において幅振動モードを利用して共振特性を得ている。
本実施形態では、基板2上において、平面形状が矩形状の圧電振動部3が構成されている。基板2を構成する材料としては、半導体もしくは絶縁体、例えばSi系半導体やガラスなどが用いられる。圧電振動部3は、圧電体4と、圧電体4の第1の主面としての下面に形成された第1の電極5と、圧電体4の第2の主面としての上面に形成された第2の電極6とを有しており、第1、第2の電極5、6が圧電体4を介して厚み方向に重なり合った部分である。圧電体4は、その分極軸方向が圧電体4の厚み方向とされている。
第1の電極5と、第2の電極6は、圧電体4に交流電圧を印加し、圧電体4を励振させるために設けられている。第1、第2の電極5、6を構成する材料は、例えばAlを用いるが、Alに特に限定されず、適宜の導電性材料を用いることができる。このような導電性材料としては、Cu、Au、Pt、Niもしくはこれらの合金、例えばエリンバーやインバーなどが用いられる。
圧電体4は、例えば窒化アルミニウム(AlN)が用いられている。このような圧電材料としては、窒化アルミニウム(AlN)以外に、酸化亜鉛(ZnO)、などの圧電薄膜が用いられる。また、圧電体4はチタン酸ジルコン酸鉛系セラミックス(PZT系圧電セラミックス)などの圧電セラミックス、またはニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、水晶などの圧電単結晶であってもよい。
圧電振動部3は、基板2に以下の態様で支持されている。圧電体4は、圧電振動部3を越えて、圧電振動部3のノード点N近傍から長さ方向外側に延ばされている。この圧電振動部3の外側に延ばされている圧電体部分を、支持部4a,4bとする。支持部4a,4bは、圧電振動部3と基板2との間にギャップDを持たせながら圧電振動部3を支持し、支持部4a,4bに連結された固定部4c,4dにおいて基板2に積層された付加膜7を介して基板2に固定されている。付加膜7が設けられていない場合には、固定部4c、4dを直接基板2に固定しても良い。
本実施形態の圧電共振子1は、付加膜が圧電体4の第1の主面または第2の主面の両面に形成されているが、圧電体4の第1の主面または第2の主面のどちらか一方に形成されていてもよい。また、付加膜を有していなくてもよい。
付加膜を構成する材料としてはSiO2やSiNなどの誘電体薄膜や、Al、Cu、エリンバー、インバーなどの導電性材料やZnO、AlNなどの圧電材料、Siなどの半導体材料であってもよい。
本実施形態の圧電共振子1は、基板2上に犠牲層、付加膜7、第1の電極5、圧電体4、第2の電極6、付加膜8を順に形成し、最後に犠牲層を除去しギャップDを形成して製造されている。
ここで、図3を用いて圧電振動部3の振動形態を説明する。圧電振動部3は短辺3a、長辺3bとを備えた矩形の平面形状を有しており、実線で示す当初の状態から短辺3aの中央部にあるノード点Nを中心に幅方向に沿って変位する。すなわち、破線で示すように幅方向に沿う寸法が大きくなった状態と実線で示すように幅方向に沿う寸法が小さくなった状態を繰り返す。
圧電振動部3及び支持部4a、4bの外形寸法は、図1(a)に示すように圧電振動部3の幅寸法をb、長さ寸法をd、支持部4a、4bの幅寸法をa、長さ寸法をc、利用する振動の波長をλとすると、0.015≦a/b≦0.200、d=1.5b、7×10-3λ≦c≦190×10-3λ、となるように構成されている。
図4は、支持部4a、4bの幅寸法aと圧電振動部3の幅寸法bが0.015≦a/b≦0.200、圧電振動部3の長さ寸法dがd=1.5bにおいて、支持部の長さ寸法cを変えた時の、帯域df/共振周波数frの変化をシミュレーションしたグラフである。
図4より明らかなように、支持部4a、4bの長さ寸法cが、190×10-3λ以下の時に、帯域df/共振周波数frが0.70%以上と良好な値を示す。支持部の長さ寸法cが190×10-3λを越えた時は、振動漏れの影響から帯域df/共振周波数frが0.70%を下回ってしまう。
また、支持部の長さ寸法cが7×10-3λより小さい場合は、本実施形態で示したような構造の圧電共振子を生産できないため、7×10-3λ以上とするのがよい。
1 圧電共振子
2 基板
3 圧電振動部
3a 圧電振動部短辺
3b 圧電振動部長辺
4 圧電体
4a、4b 支持部
4c、4d 固定部
5 第1の電極
6 第2の電極
7、8付加膜
9、10 端子電極
D ギャップ
N ノード点
a 支持部幅寸法
b 圧電振動部幅寸法
c 支持部長さ寸法
d 圧電振動部長さ寸法
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N ノード点
a 支持部幅寸法
b 圧電振動部幅寸法
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d 圧電振動部長さ寸法
Claims (2)
- 圧電体と前記圧電体を挟んで対向する電極を備える矩形状の圧電振動部が、前記圧電振動部の主に変位する幅方向に沿う辺のノード点近傍に連結された矩形状の支持部を介して、基板との間にギャップをもたせながら前記基板に固定されている、幅振動を利用した圧電共振子において、
前記支持部の幅寸法aと前記圧電振動部の幅寸法bは、0.015≦a/b≦0.200であり、前記圧電振動部の長さ寸法dと幅寸法bは、d=1.5bであり、前記支持部の長さ寸法cは、利用する振動の波長をλとすると、7×10-3λ≦c≦190×10-3λであることを特徴とする圧電共振子。 - 前記圧電体が圧電薄膜であることを特徴とする、請求項1に記載の圧電共振子。
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