JP5168312B2 - 多層プリント板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、絶縁シート、基材付き絶縁シート、及び多層プリント配線板に関するもので
ある。
近年、電子機器の高機能化等の要求に伴い、電子部品の高密度集積化、高密度実装化等が進んでいる。そのため、これらに使用される高密度実装対応のプリント配線板等は、従来にも増して、小型化かつ高密度化されている。このようなプリント配線板等の高密度化への対応として、ビルドアップ方式による多層配線板が多く採用されている。
一般的なビルドアップ多層配線板は、樹脂組成物で構成される100μm厚以下の絶縁樹脂層と、導体層とを交互に積層して、これを加熱加圧成形等行って接合することにより得られている。
ここで、絶縁樹脂層と導体層とを接合する方法としては、例えば、銅箔や有機フィルム等の基材に絶縁樹脂層を塗工した樹脂付き基材を、回路加工を施した内層回路基板上に積層し、これを加熱加圧成形する方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
この方法では、樹脂付き基材の絶縁樹脂層と内層回路基板とを接合した後、金属箔基材を使用している場合にはこの金属箔を所定のパターンに従ってエッチング処理することにより外層導体回路を形成するか、あるいは、金属箔や有機フィルムを全面除去した後、導体金属メッキを行うことにより、所定の外層導体回路を形成する方法が一般的である。
しかし、金属箔からエッチング処理により外層導体回路を形成する場合は、回路の微細化には限界があった。一方、メッキにより外層導体回路を形成する場合は、回路が形成される絶縁樹脂層表面に予め微細な凹凸を形成しておくことが必要であるが、従来の絶縁樹脂層では、薬液処理時に粗化できなかったり、粗化が表面全体に進行して大きく不均一な凹凸を形成したりすることがあり、微細な凹凸を均一に形成することが困難であった。
また、上記基材として片面粗化銅箔を用い、この粗化面のプロファイルを利用する方法もあるが、粗化面の凹凸が大きいため、特に形成する導体回路が微細である場合は導体回路の平滑性が低下し、導体回路の凹凸により導電損失が増大するという問題を生じていた。
そして、これらの方法では、外層導体回路と絶縁樹脂層との密着性(ピール強度)が不
充分であり、その部位によってバラツキも生じやすいという問題があった。
特開平06-260760号公報
本発明は、平滑性、及び、絶縁樹脂層への密着性に優れた微細な外層導体回路を形成することができる絶縁シート、基材付き絶縁シート、及び、この絶縁シートを用いた信頼性の高い多層プリント配線板を提供するものである。
このような目的は、下記の本発明(1)〜(10)により達成される。
(1)示差走査熱量分析において、第1の発熱ピークと、これより高い温度に位置する第2の発熱ピークとを有し、熱硬化性樹脂を含有する樹脂組成物からなる樹脂層を内層回路基板上に形成し、前記樹脂層を加熱して、前記樹脂層の硬化を進める工程と、前記樹脂層の硬化を進める前記工程で加熱された前記樹脂層の前記内層回路基板と反対側の表面上に、外層回路を形成する工程と、前記第2の発熱ピーク温度以下、前記第2の発熱ピーク温度−50℃の温度以上で、前記樹脂層の硬化を進める前記工程で加熱され、かつ、前記外層回路が形成された前記樹脂層をさらに加熱して、前記樹脂層の硬化を進める工程とを含む多層プリント板の製造方法。
(2)上記樹脂組成物は、熱硬化性樹脂として、上記第1の発熱ピークを発現する第1の硬化性樹脂と、上記第2の発熱ピークを発現する第2の硬化性樹脂とを含有するものである上記(1)に記載の多層プリント板の製造方法。
(3)上記第1の発熱ピークは、120〜200℃の範囲内にある上記(1)又は(2)のいずれかに記載の多層プリント板の製造方法。
(4)上記第2の発熱ピークは、150〜250℃の範囲内にある上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の多層プリント板の製造方法。
(5)上記第1の硬化性樹脂は、シアネート樹脂及び/又はそのプレポリマーを含有する上記(2)に記載の多層プリント板の製造方法。
(6)上記第2の硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を含有する上記(2)または(5)に記載の多層プリント板の製造方法。
(7)上記樹脂組成物は、硬化性樹脂成分として、さらに、フェノキシ樹脂を含有する上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の多層プリント板の製造方法。
(8)上記樹脂組成物は、無機充填材成分として球状シリカを含有する上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の多層プリント板の製造方法。
(9)前記樹脂組成物は、硬化触媒として、イミダゾール化合物を含む(1)ないし(8)のいずれかに記載の多層プリント板の製造方法
(10)前記第1の発熱ピークと前記第2の発熱ピークとの差が30〜50℃である(1)ないし(9)のいずれかに記載の多層プリント板の製造方法。


本発明により、平滑性、及び、絶縁樹脂層への密着性に優れた微細な外層導体回路を形成することができる絶縁シート、基材付き絶縁シート、及び、この絶縁シートを用いた信頼性の高い多層プリント配線板を提供することができる。
実施例1で得られた絶縁シートを分析した際のDSC曲線 比較例1で得られた絶縁シートを分析した際のDSC曲線
以下、本発明の絶縁シート、フィルム付き絶縁シート、及び、多層プリント配線板について説明する。
本発明の絶縁シートは、硬化性樹脂と無機充填材とを含有する樹脂組成物から形成される絶縁シートであって、この絶縁シートは、示差走査熱量分析において、第1の発熱ピークと、これより高い温度に位置する第2の発熱ピークとを有することを特徴とするものである。
また、本発明の基材付き絶縁シートは、上記本発明の絶縁シートと、これを担持する基材とから構成されることを特徴とするものである。
そして、本発明の多層プリント配線板は、上記本発明の絶縁シートを内層回路基板に接合してなることを特徴とするものである。
まず、本発明の絶縁シートについて説明する。
本発明の絶縁シートは、硬化性樹脂と無機充填材とを含有する樹脂組成物から形成される絶縁シートであり、示差走査熱量分析において、第1の発熱ピークと、これより高い温度に位置する第2の発熱ピークとを有する。
これにより、第1の発熱ピークを発現する硬化性樹脂の硬化反応によって、内層回路基板と絶縁シートとを強固に接合することができ、かつ、第2の発熱ピークを発現する硬化性樹脂の硬化反応によって、絶縁シートと外層導体回路(以下、単に「外層回路」という)との密着性を高めることができる。
本発明の絶縁シートの評価に用いられる示差走査熱量分析は、試料に熱を加え、所定の温度条件で昇温した際に、試料から発生した熱エネルギーの変化を定量的に検出する手法であり、例えば市販の示差走査熱量分析装置を用いて行うことができる。
ここで示差走査熱量分析を行う際の昇温条件としては特に限定されないが、5〜10℃/分で実施することが好ましい。これにより、再現性よく効率的に評価を行うことができる。
本発明の絶縁シートは、上記示差走査熱量分析において、第1の発熱ピークと、これより高い温度に位置する第2の発熱ピークとを有する。
具体的には、上記示差走査熱量分析によって得られた、温度上昇と発熱量との関係を図示したDSC曲線上に、異なる温度における2つの発熱ピークを有する。
ここで第1の発熱ピークとしては特に限定されないが、120〜200℃の範囲内にあることが好ましい。さらに好ましくは150〜200℃である。
また、第2の発熱ピークとしては特に限定されないが、150〜250℃の範囲内にあることが好ましい。さらに好ましくは180〜250℃である。
そして、上記第1の発熱ピークと第2の発熱ピークとは、特に限定されないが、30〜80℃の差を有することが好ましい。
まず、第1の発熱ピークを上記範囲内とすることにより、以下の効果を発現させることができる。絶縁シートを内層回路基板に接合する際の温度、すなわち、通常、多層回路基板を加熱加圧成形して製造する際の温度、あるいは、上記第1の発熱ピーク温度より0〜50℃低い温度で、この第1の硬化性樹脂の硬化反応を効率的に進めることができる。また、第2の硬化性樹脂の硬化反応が進行するのを実質的に抑制することができる。
また、第2の発熱ピークを上記範囲内とすることにより、以下の効果を発現させることができる。本発明の絶縁シートを内層回路基板に接合した後、外層回路を形成したものを上記第2の発熱ピーク温度より0〜50℃低い温度範囲内で熱処理することにより、第2の硬化性樹脂の硬化反応を効率的に進め、絶縁層と外層回路との密着性を確保することができる。また、導体金属のアニーリングを行うことができるので、導体金属メッキにより外層回路を形成した際の応力歪の開放を併せて行うことができる。
本発明の絶縁シートは、硬化性樹脂と無機充填材とを含有する樹脂組成物から形成されるものである。そして、この樹脂組成物は、上記第1の発熱ピークを発現する第1の硬化性樹脂と、上記第2の発熱ピークを発現する第2の硬化性樹脂とを含有することが好ましい。
本発明の絶縁シートに用いられる硬化性樹脂としては特に限定されないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂等のフェノール樹脂、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、ビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂等のシアネート樹脂等が挙げられる。
まず、第1の硬化性樹脂について説明する。
本発明の絶縁シートを形成する樹脂組成物においては、第1の硬化性樹脂として、シア
ネート樹脂及び/又はそのプレポリマーを含有することが好ましい。
シアネート樹脂及び/又はそのプレポリマーの入手方法としては特に限定されないが、例えば、ハロゲン化シアン化合物とフェノール類とを反応させ、必要に応じて加熱等の方法でプレポリマー化することにより得ることができる。また、このようにして調製された市販品を用いることもできる。
上記第1の硬化性樹脂として、シアネート樹脂及び/又はそのプレポリマーを用いることにより、絶縁シートの弾性率を向上させることができる。また、シアネート樹脂(特にノボラック型シアネート樹脂)は、剛直な化学構造を有するため、耐熱性に優れており、ガラス転移温度以上でも弾性率の低下が小さく、高温においても高弾性率を維持することができる。さらに、硬化反応によって水酸基などの分極率の大きな官能基が生じないため、誘電特性においても優れたものとすることができる。
上記シアネート樹脂の中でも、下記一般式(I)で表されるノボラック型シアネート樹脂を含有することが好ましい。これにより、上記効果に加えて、絶縁シートのガラス転移温度をさらに高くすることができるとともに、硬化後の絶縁シートの難燃性をより向上させることができる。
上記一般式(I)で表されるノボラック型シアネート樹脂の分子量としては特に限定されないが、GPC測定による重量平均分子量が500〜10,000であることが好ましく、さらに好ましくは700〜5,000である。重量平均分子量が上記下限値未満であると、機械的強度が低下する場合がある。また、上記上限値を超えると、硬化前の絶縁シートの弾性率が高くなり作業性が低下したり、溶融粘度が高くなり成形性が低下したりする場合がある。
ノボラック型シアネート樹脂の入手方法としては特に限定されないが、例えば、ノボラック型フェノール樹脂と、ハロゲン化シアン化合物等のシアネート化試薬とを反応させることにより得ることができる。また、このようにして調製された市販品を用いることもできる。
なお、上記シアネート樹脂としては、これをプレポリマー化したものも用いることができる。すなわち、シアネート樹脂を単独で用いてもよいし、重量平均分子量の異なるシアネート樹脂を併用したり、シアネート樹脂とそのプレポリマーとを併用したりすることもできる。
ここでプレポリマーとは、通常、上記シアネート樹脂を加熱反応などにより、例えば3量化することで得られるものであり、樹脂組成物の成形性、流動性を調整するために好ましく使用されるものである。
ここでプレポリマーとしては特に限定されないが、例えば、3量化率が20〜50重量%であるものを用いることができる。この3量化率は、例えば赤外分光分析装置を用いて求めることができる。
上記樹脂組成物中、第1の硬化性樹脂の含有量としては特に限定されないが、樹脂組成物全体に対して10〜50重量%であることが好ましく、さらに好ましくは10〜40重量%である。
これにより、内層回路基板と絶縁シートとを強固に接合することができる。
また、上記樹脂組成物中、第1の硬化性樹脂としてシアネート樹脂を用いる場合、その含有量としては特に限定されないが、樹脂組成物全体に対して10〜40重量%であることが好ましく、さらに好ましくは15〜35重量%である。
シアネート樹脂の含有量が上記下限値未満であると、絶縁シートに耐熱性や低熱膨張性を付与する場合には、その効果が充分でないことがある。また、上記上限値を超えると、シアネート樹脂による架橋密度が高くなり、自由体積が増加するため、絶縁シートとしての耐湿性が低下することがある。
次に、第2の硬化性樹脂について説明する。
本発明の絶縁シートを構成する樹脂組成物においては、第2の硬化性樹脂として、エポキシ樹脂を含有することが好ましい。これにより、絶縁シート製造時の製膜性や、内層回路基板への密着性を向上させることができる。
また、エポキシ樹脂としては、実質的にハロゲン原子を含まないエポキシ樹脂を含有することが好ましい。
このようなエポキシ樹脂としては特に限定されないが、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、アリールアルキレン型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、多層プリント配線板の吸湿半田耐熱性をさらに向上させることができる。また、上記効果に加えて、ハロゲン化合物を用いることなく絶縁シートに難燃性を付与することができる。
ここで、アリールアルキレン型エポキシ樹脂とは、繰り返し単位中に一つ以上のアリールアルキレン基を有するエポキシ樹脂を指し、例えば、キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、下記一般式(II)で表されるビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、ハロゲン化合物を用いることなく絶縁シートに高い難燃性を付与することができる。
上記一般式(II)で表されるビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂のnは、特に限定されないが、n=1〜10であることが好ましく、さらに好ましくはn=2〜5である。
これにより、示差走査熱量分析において、好適な温度範囲内で第2の発熱ピークを発現させることができる。
nの数が上記下限値より少ないとビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂は結晶化しやすくなり、汎用溶媒に対する溶解性が若干低下するため、絶縁シートの製造時に樹脂組成物ワニスを調製する際に、取り扱いが難しくなることがある。また、上記上限値より多いと、樹脂の流動性が低下するため、絶縁シートの製膜性に影響を与えることがある。
なお、ここで実質的にハロゲン原子を含まないエポキシ樹脂としては、例えば、エポキ
シ樹脂中のハロゲン原子の含有量が1重量%以下であるものを用いることができる。
上記樹脂組成物中、第2の硬化性樹脂の含有量としては特に限定されないが、樹脂組成物全体に対して10〜50重量%であることが好ましく、さらに好ましくは15〜45重量%である。
これにより、絶縁シートと外層回路との密着性を高めることができる。
また、上記樹脂組成物中、第2の硬化性樹脂として上記エポキシ樹脂を用いる場合の含有量としては特に限定されないが、樹脂組成物全体に対して10〜50重量%であることが好ましく、さらに好ましくは15〜35重量%である。
エポキシ樹脂の含有量が上記下限値未満であると、密着性、製膜性を向上する効果が低下することがある。また、上記上限値を超えると、第1の硬化性樹脂の硬化後、内層回路基板と絶縁シートとの密着性が不十分となったり、耐薬品性が低下したりする場合がある。
本発明の絶縁シートに用いる樹脂組成物には、硬化性樹脂として、好ましくは上記シアネート樹脂と上記エポキシ樹脂のほか、実質的にハロゲン原子を含まないフェノキシ樹脂を用いることが好ましい。これにより、絶縁シートを製造する際の製膜性をさらに向上させることができる。
このようなフェノキシ樹脂としては特に限定されないが、例えば、ビスフェノール骨格を有するフェノキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するフェノキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、ビフェニル型が好ましい。これにより、難燃性をより向上させることができる。
なお、ここで実質的にハロゲン原子を含まないフェノキシ樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂中のハロゲン原子の含有量が1重量%以下であるものを用いることができる。
上記フェノキシ樹脂の分子量としては特に限定されないが、GPC測定による重量平均
分子量が1,000〜100,000であるものを用いることが好ましい。さらに好ましくは3,000〜30,000である。
重量平均分子量が上記下限値未満であると、製膜性を向上する効果が充分でないことがあり、上記上限値を超えると、樹脂組成物ワニスを調製する際のフェノキシ樹脂の溶解性が低下することがある。
硬化性樹脂として上記フェノキシ樹脂を用いる場合の含有量としては特に限定されないが、樹脂組成物全体に対して3〜20重量%であることが好ましく、さらに好ましくは5〜15重量%である。
フェノキシ樹脂の含有量が上記下限値未満であると、製膜性を向上させる効果が低下することがある。また、上記上限値を超えると、絶縁シートの低熱膨張性が低下することがある。
本発明の絶縁シートに用いる樹脂組成物には、無機充填材が用いられる。
ここで用いられる無機充填材としては特に限定されないが、例えば、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素等の窒化物、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、シリカ、溶融シリカ等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩等を挙げることができる。
これらの中でも低熱膨張で絶縁信頼性の高いシリカが好ましい。さらには球状シリカが好ましく、球状溶融シリカが特に好ましい。これにより、樹脂組成物中における無機充填材の配合量を多くでき、絶縁シートを特に低熱膨張化させることができる。また、球状シリカを用いることにより樹脂組成物の溶融粘度を低く維持することができるので、多層プリント配線板を製造する際の内層回路基板の凹凸を埋める成形性を向上させることができる。
上記無機充填材の粒度としては特に限定されないが、平均粒径が0.01〜5μmであることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜2μmである。平均粒径が上記下限値未満であると、樹脂組成物ワニスの粘度が高くなり、また、上記上限値を超えると、樹脂組成物ワニス中で無機充填材の沈降等が起こりやすく、いずれの場合も作業性が低下する場合がある。
樹脂組成物中、上記無機充填材の含有量としては特に限定されないが、樹脂組成物全体の20〜70重量%であることが好ましく、さらに好ましくは35〜60重量%である。
含有量が上記下限値未満であると、高弾性化、低熱膨脹化する効果が充分でない場合がある。また、上記上限値を超えると、流動性の低下により、この絶縁シートを用いて多層プリント配線板を製造する際の成形性が低下することがある。
本発明で用いられる樹脂組成物では、特に限定されないが、さらにカップリング剤を含有することが好ましい。
カップリング剤は、硬化性樹脂と無機充填剤との界面の濡れ性を向上させ、絶縁シートを用いた多層プリント配線板の耐熱性、特に吸湿後の半田耐熱性を向上させることができるとともに、基材付き絶縁シートを製造する際に、基材に対して硬化性樹脂と充填剤とを均一に定着させることができる。
ここで用いられるカップリング剤としては、通常用いられるものであれば特に限定されないが、エポキシシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アミノシランカップリング剤及びシリコーンオイル型カップリング剤の中から選ばれる1種以上のカップリング剤を使用することが好ましい。これにより、無機充填剤の界面との濡れ性が良くなり、耐熱性をより向上させることができる。
カップリング剤の含有量は特に限定されないが、無機充填材100重量部に対して0.05〜3重量部であることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜2重量部である。含有量が上記下限値未満であると、無機充填材を充分に被覆できず、耐熱性を向上させる効果が低下する場合がある。一方、上記上限値を超えると、絶縁シートの曲げ強度が低下する場合がある。
本発明で用いられる樹脂組成物には、硬化性樹脂成分の硬化反応を促進させるため、硬化触媒を用いることができる。
硬化性樹脂としてシアネート樹脂を用いる場合の硬化触媒としては、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、キノリン、イソキノリン等の三級アミン類、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム等の四級アンモニウム塩、フェノール、ノニルフェノール、カテコール、ピロガール、ジヒドロキシナフタレンに代表される芳香族ヒドロキシ化合物、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、ビス(2-エチル-4-メチル-イミダゾール)、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-アミノエチル-2-メチルイミダゾール、1-(シアノエチルアミノエチル)-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニル-4,5-ビス(シアノエトキシメチルイミダゾール)あるいはトリアジン付加型イミダゾール等に代表されるイミダゾール類等がある。また、シアネート樹脂の硬化触媒としては、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルトオクチル酸錫、オクチル酸コバルト等に代表される有機金属塩、銅アセチルアセトナート、アルミニウムアセチルアセトナート、コバルトアセチルアセトナート等に代表される有機金属錯体等がある。これらは単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
また、硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合の硬化触媒としては、例えば、3級アミン化合物、イミダゾール化合物、ルイス酸などが挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
また、樹脂組成物にはこのほか、絶縁シート製造時に気泡の発生を防止するための消泡剤、難燃性を向上させるための液状又は粉末の難燃剤、靭性、密着性を向上させるための熱可塑性樹脂等を添加することもできる。
ここで用いられる熱可塑性樹脂としては特に限定されないが、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。
本発明の絶縁シートは、以上に説明した樹脂組成物から形成されるものである。
本発明の絶縁シートの厚みとしては特に限定されないが、15〜100μmとすることが好ましい。これにより、絶縁シートの取り扱いに必要な機械的強度を付与することができるとともに、これを用いて多層プリント配線板を製造する際、内層回路基板の凹凸を充填でき、必要かつ充分な絶縁層の厚みを確保することができる。
また、本発明の絶縁シートの表面形態は、表裏とも、凹凸が極力小さいものであることが好ましい。
次に、本発明の基材付き絶縁シートについて説明する。
本発明の基材付き絶縁シートは、上記本発明の絶縁シートと、これを担持する基材とから構成されているものである。
本発明の基材付き絶縁シートを製造する方法としては特に限定されないが、例えば、予め作製した絶縁シートと基材とを加熱加圧して接合する方法、基材に樹脂組成物ワニスを塗工した後、これを乾燥する方法等が挙げられる。これらの中でも、基材に樹脂組成物ワニスを塗工した後、これを乾燥する方法が好ましい。これにより、効率良く基材付き絶縁シートを製造することができる。
樹脂組成物ワニスを基材に塗工する方法の場合、まず、樹脂組成物を用いて樹脂組成物ワニスを調製する。樹脂組成物ワニスは、通常、樹脂組成物をアルコール類、エーテル類、アセタール類、ケトン類、エステル類、アルコールエステル類、ケトンアルコール類、エーテルアルコール類、ケトンエーテル類、ケトンエステル類やエステルエーテル類等の有機溶媒に溶解又は分散させて調製することができる。次いで、この樹脂組成物ワニスを基材上に所定量塗工した後、加温した乾燥装置などを用いて、樹脂組成物中に含有されている上記有機溶剤を実質的に除去して得ることができる。
本発明の基材付き絶縁シートに用いられる基材としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂のほか、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂などの耐熱性を有した熱可塑性樹脂フィルムを用いることができる。このほか、銅又は銅系合金、アルミ又はアルミ系合金等の金属箔を用いることもできる。
基材の厚みとしては特に限定されないが、5〜50μmのものを用いると、基材付き絶縁シートを製造する際の取り扱い性が良好であり好ましい。
なお、本発明の基材付き絶縁シートを製造するにあたっては、絶縁シートと接合される側の基材表面の凹凸は極力小さいものであることが好ましい。
次に、本発明の多層プリント配線板について説明する。
本発明の多層プリント配線板は、上記本発明の絶縁シートを内層回路基板に接合してなるものである。
本発明の絶縁シートを内層回路基板に接合して、本発明の多層プリント配線板を製造する方法としては特に限定されないが、例えば、下記の方法を適用することができる。
まず、内層回路基板の片面または両面に絶縁シートを積層し、平板プレス装置を用いて、これを好ましくは80〜180℃、0.5〜4MPa、0.5〜1.5時間で加熱加圧成形する方法、あるいは、内層回路基板と絶縁シートとを、真空ラミネーター装置を用いて、好ましくは70〜100℃のロールラミネーターで接着後、80〜180℃で0.5〜1時間熱処理する方法などにより、内層回路基板表面の凹凸を絶縁シートで充填して成形するとともに、上記第1の硬化性樹脂成分の硬化を行い、両者を接合する。
次いで、内層回路基板と接合された側と反対側の絶縁シート表面を過マンガン酸カリウム等で酸化処理(デスミア処理)して、絶縁シート表面に存在する上記第2の硬化性樹脂成分を除去することにより、絶縁シートの表面に微細な凹凸を高い均一性で形成することができる。
そして、この凹凸面に、導体金属をメッキ等により付着させて所定の導体回路を作製する。この後、好ましくは上記第2の発熱ピーク温度より0〜50℃低い温度にて、0.5〜3時間熱処理して、上記第2の硬化性樹脂成分の硬化を行うとともに、表層に形成された導体回路のアニーリングを行うことにより、本発明の多層プリント配線板を製造することができる。
なお、このようにして形成された表層の導体回路面に、再度本発明の絶縁シートを積層・接合し、同様の処理を繰り返してビルドアップして、さらに層を重ねて多層プリント配線板を製造することもできる。
本発明の絶縁シートを用いて、好ましくは上記方法により多層プリント配線板を製造することにより、信頼性の高い多層プリント配線板を製造することができる。この理由は、以下のように考えられる。
本発明の絶縁シートは、硬化性樹脂と無機充填材とを含有する樹脂組成物から形成される絶縁シートであり、示差走査熱量分析において、第1の発熱ピークと、これより高い温度に位置する第2の発熱ピークとを有する。
この絶縁シートを、予め導体回路が形成された内層回路基板の表面に積層して接合することにより、上記第1の硬化性樹脂の硬化反応を行い、絶縁シートと内層回路基板とを強固に接合することができる。
次に、この内層回路基板に接合された絶縁シートの外側表面に存在し、上記第2の硬化性樹脂成分をデスミア処理等により除去することにより、絶縁シートの表面側に微細な凹凸を高い均一性で形成することができる。
このようにして形成された凹凸形状は微小なものであり、大きな凹凸が実質的に存在しないため、この面に導体金属をメッキ等により付着させることにより、平滑性の高い外層回路を形成することができる。この外層回路の裏面側には、絶縁シート表面の微小な凹凸形状と同じプロファイルが形成されるため、アンカー効果により絶縁シートと外層回路との密着性を確保できるとともに、外層回路を形成する部位によらず、この密着強度を実質的に一定にすることができる。
そして、外層回路を形成後に熱処理を行うことにより、上記第2の硬化性樹脂の硬化反応を行うとともに、外層回路のアニーリング処理を行うことができる。これにより、外層回路と絶縁シートとの密着性を向上させることができるとともに、その後の熱履歴によってもこれを安定なものとすることができる。
このようにして、信頼性の高い多層プリント配線板を製造することができる。
以下、本発明を実施例および比較例により詳細に説明する。
実施例及び比較例において用いた原材料は以下の通りである。
(1)シアネート樹脂A/ノボラック型シアネート樹脂:ロンザ社製「プリマセットPT-30」、重量平均分子量700
(2)シアネート樹脂B/ノボラック型シアネート樹脂B:ロンザ社製・「プリマセットPT-60」、重量平均分子量2600
(3)エポキシ樹脂A/ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂:日本化薬社製・「NC-3000P」、エポキシ当量275
(4)エポキシ樹脂B/ビスフェノールF型エポキシ樹脂:日本化薬社製・「RE-404S」、エポキシ当量165
(5)フェノキシ樹脂/ビスフェノールF型フェノキシ樹脂:ジャパンエポキシレジン社製・「エピコート4010P」、数平均分子量6000
(6)硬化触媒/イミダゾール化合物:四国化成工業社製・「2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール」
(7)無機充填材/球状溶融シリカ:アドマテックス社製・「SO-25H」、平均粒径0.5μm
(8)カップリング剤/エポキシシランカップリング剤:日本ユニカー社製・「A-187」
<実施例1>
1.樹脂組成物ワニスの調製
第1の硬化性樹脂として、シアネート樹脂A14.5重量部と、シアネート樹脂B10重量部とを用いた。第2の硬化性樹脂として、エポキシ樹脂A35重量部を用いた。これに、硬化触媒0.5重量部を配合し、メチルエチルケトンに溶解、分散させた。
さらに、無機充填材39.8重量部、カップリング剤0.2重量部を添加して、高速攪拌装置を用いて10分間攪拌して、固形分60重量%の樹脂組成物ワニスを得た。
2.絶縁シートの製造
基材として、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、
コンマコーター装置にて、乾燥後の絶縁シート厚さが50μmとなるように上記樹脂組成物ワニスを塗工し、150℃で5分間乾燥して基材付き絶縁シートを得た。
3.多層プリント配線板の製造
下記(1)〜(5)の工程により、内層回路基板の両面側に上記で得られた絶縁シート
を積層し、4層の多層プリント配線板を得た。
(1)所定の内層回路が両面に形成された内層回路基板(銅箔厚み18μm、L/S=100/100μm、クリアランスホール1mmφ、3mmφ、スリット2mm)の表裏に、上記で得られた絶縁シートを真空ラミネーター(日立化成社製 HLM-V570)を用いて80℃でロールラミネートし、150℃に設定した乾燥機中で30分間加熱した。
(2)炭酸ガスレーザを用いて、100μmのビアホールを形成し、内外層の接続部を設けた後、基材付き絶縁シートから基材を剥離した。
(3)内層回路基板と接合された絶縁シート表面を下記の工程でデスミア処理して、絶縁シートの表面に微小な凹凸を形成した。
(ア)膨潤:80℃/10分間(シプレイ社製・「MLB-211」)
(イ)粗化:80℃/10分間(シプレイ社製・「プロモーター213A、213B」)
(ウ)中和:50℃/10分間(シプレイ社製・「ニュートライザー216」)
(4)上記(3)で形成した凹凸面に、銅メッキを行い、所定の外層回路(回路厚み20μm、L/S=50/50μm)を形成した。
(5)温度200℃で60分間熱処理し、所定の導体パターンを有する4層多層プリント配線板を作製した。
<実施例2>
第1の硬化性樹脂として、シアネート樹脂A15.5重量部を用いた。第2の硬化性樹脂として、エポキシ樹脂A24重量部を用いた。これに、硬化触媒0.5重量部を配合し、メチルエチルケトンに溶解、分散させた。
さらに、無機充填材59.7重量部、カップリング剤0.3重量部を添加して、高速攪拌装置を用いて10分間攪拌して、固形分60重量%の樹脂組成物ワニスを得た。
この樹脂組成物ワニスを用いて、実施例1と同様にして絶縁シート及び多層プリント配線板を得た。
<実施例3>
第1の硬化性樹脂として、シアネート樹脂A24.5重量部を用いた。第2の硬化性樹脂として、エポキシ樹脂A25重量部を用いた。このほか、硬化性樹脂としてフェノキシ樹脂10重量部を用いた。これに、硬化触媒0.5重量部を配合し、メチルエチルケトンに溶解、分散させた。
さらに、無機充填材39.8重量部、カップリング剤0.2重量部を添加して、高速攪拌装置を用いて10分間攪拌して、固形分60重量%の樹脂組成物ワニスを得た。
この樹脂組成物ワニスを用いて、実施例1と同様にして絶縁シート及び多層プリント配線板を得た。
<実施例4>
第1の硬化性樹脂として、シアネート樹脂A10重量部を用いた。第2の硬化性樹脂として、エポキシ樹脂A34.5重量部を用いた。これに、硬化触媒0.5重量部を配合し、メチルエチルケトンに溶解、分散させた。
さらに、無機充填材54.7重量部、カップリング剤0.3重量部を添加して、高速攪拌装置を用いて10分間攪拌して、固形分60重量%の樹脂組成物ワニスを得た。
この樹脂組成物ワニスを用いて、実施例1と同様にして絶縁シート及び多層プリント配線板を得た。
<実施例5>
第1の硬化性樹脂として、シアネート樹脂A19.5重量部と、シアネート樹脂B20重量部とを用いた。第2の硬化性樹脂として、エポキシ樹脂A20重量部を用いた。これに、硬化触媒0.5重量部を配合し、メチルエチルケトンに溶解、分散させた。
さらに、無機充填材39.8重量部、カップリング剤0.2重量部を添加して、高速攪拌装置を用いて10分間攪拌して、固形分60重量%の樹脂組成物ワニスを得た。
この樹脂組成物ワニスを用いて、実施例1と同様にして絶縁シート及び多層プリント配線板を得た。
<実施例6>
第1の硬化性樹脂として、シアネート樹脂A24.5重量部を用いた。第2の硬化性樹脂として、エポキシ樹脂A20重量部を用いた。これに、硬化触媒0.5重量部を配合し、メチルエチルケトンに溶解、分散させた。
さらに、無機充填材54.7重量部、カップリング剤0.3重量部を添加して、高速攪拌装置を用いて10分間攪拌して、固形分60重量%の樹脂組成物ワニスを得た。
この樹脂組成物ワニスを用いて、実施例1と同様にして絶縁シート及び多層プリント配線板を得た。
<実施例7>
第1の硬化性樹脂として、シアネート樹脂A19.5重量部を用いた。第2の硬化性樹脂として、エポキシ樹脂A45重量部を用いた。これに、硬化触媒0.5重量部を配合し、メチルエチルケトンに溶解、分散させた。
さらに、無機充填材34.8重量部、カップリング剤0.2重量部を添加して、高速攪拌装置を用いて10分間攪拌して、固形分60重量%の樹脂組成物ワニスを得た。
この樹脂組成物ワニスを用いて、実施例1と同様にして絶縁シート及び多層プリント配線板を得た。
<比較例1>
エポキシ樹脂B20重量部、フェノキシ樹脂48重量部、硬化触媒2重量部を配合し、メチルエチルケトンに溶解、分散させた。
さらに、無機充填材29.8重量部、カップリング剤0.2重量部を添加して、高速攪拌装置を用いて10分間攪拌して、樹脂組成物ワニスを得た。
この樹脂組成物ワニスを用いて、実施例1と同様にして絶縁シート及び多層プリント配線板を得た。
<比較例2>
エポキシ樹脂A25重量部、エポキシ樹脂B20重量部、フェノキシ樹脂23重量部、硬化触媒2重量部を配合し、メチルエチルケトンに溶解、分散させた。
さらに、無機充填材29.8重量部、カップリング剤0.2重量部を添加して、高速攪拌装置を用いて10分間攪拌して、樹脂組成物ワニスを得た。
この樹脂組成物ワニスを用いて、実施例1と同様にして絶縁シート及び多層プリント配線板を得た。
<比較例3>
シアネート樹脂A24.5重量部、シアネート樹脂B25重量部、フェノキシ樹脂10重量部、硬化触媒0.5重量部を配合し、メチルエチルケトンに溶解、分散させた。
さらに、無機充填材39.8重量部、カップリング剤0.2重量部を添加して、高速攪拌装置を用いて10分間攪拌して、樹脂組成物ワニスを得た。
この樹脂組成物ワニスを用いて、実施例1と同様にして絶縁シート及び多層プリント配線板を得た。
実施例及び、比較例で得られた絶縁シートと多層プリント配線板について、下記の評価を以下の方法で行った。得られた結果を表1に示す。
1.絶縁シートの評価方法
(1)示差走査熱量分析
示差走査熱量分析装置(TAインスツルメント社製)を用いて、昇温速度10℃/分で実施した。実施例1で得られた絶縁シートを分析した際のDSC曲線を図1に、比較例1で得られた絶縁シートを分析した際のDSC曲線を図2に示す。
DSC曲線から、実施例については第1及び第2の発熱ピークを示す温度を読み取った。比較例については発熱ピークが一つであったので、そのピークを示す温度を読み取った。
(2)熱時弾性率、ガラス転移温度
絶縁シート1枚の両面側に、18μm厚みの銅箔を積層して、真空プレス装置により、圧力2.5MPa、温度200℃で90分間加熱加圧成形を行った後、銅箔を両面全面エッチング除去して、絶縁シート硬化物を得た。
得られた絶縁シート硬化物から5×25mmの試料を作成した。これを用いて、DMA装置(TAインスツルメンツ社製)により、5℃/分で昇温して、200℃及び250℃での貯蔵弾性率をそれぞれ測定し、tanδのピーク位置をガラス転移温度とした。
(3)線膨張係数
上記(2)で得られた絶縁シート硬化物から4×20mmの試料を作成した。これを用いて、TMA装置(TAインスツルメンツ社製)により、10℃/分で昇温して、50〜150℃の熱膨張率を測定した。
(4)引張り強度
上記(2)で得られた絶縁シート硬化物から12.5×190mmの試料を作成した。これを用いて、JIS K 7161 に準拠して試験速度50mm/minで行った。
(5)誘電率、誘電正接
絶縁シートを、加熱加圧成形後の厚みが1mmとなるように積層し、その両面側に、18μm厚みの銅箔を積層して、真空プレス装置により、圧力2.5MPa、温度200℃で90分間加熱加圧成形を行った後、銅箔を両面全面エッチング除去して、絶縁シート硬化物を得た。
得られた絶縁シート硬化物から、97×25mm、53×25mm、37×25mmの試料を作成した。これを用いて、トリプレート線路共振法により測定した。
2.多層プリント配線板の評価
(1)表面粗さ(外層回路作製時)
内層回路基板に接合後の絶縁シートの表面に微小な凹凸を形成した後、この面の表面粗さを、JIS B 0601に準拠して、接触式表面粗さ計により測定し、基準長さ8mmにおけるRmax(最大高さ)と、Ra(平均粗さ)で表示した。
(2)成形性
多層プリント配線板を目視で観察し、成形ボイドの有無を確認した。
(3)外層回路の形状
多層プリント配線板に形成した外層回路を観察した。符号は下記の通りである。
○:50μm幅回路の剥離などがなく、良好。
×:50μm幅回路の一部剥離が発生。
(4)外層回路の引き剥がし強さ
多層プリント配線板の外層回路(10mm幅)の引き剥がし強さを、5箇所において、JIS K 6911 に準拠して測定し、平均値を算出した。
(5)吸湿半田耐熱性
多層プリント配線板より、50×50mmの試料を作製した。これを、125℃のプレッシャークッカーで2時間処理した後、260℃の半田層に180秒間浸漬して、ふくれ、はがれの有無を観察した。
実施例1〜7は、示差走査熱量分析において、第1の発熱ピークと、これより高い温度に位置する第2の発熱ピークとを有する本発明の絶縁シートと、これを用いた多層プリント配線板であり、外層回路形成面の表面平滑性に優れ、外層回路の引き剥がし強さも充分な水準を有し、安定したものであった。
一方、比較例はいずれも、示差走査熱量分析において1つの発熱ピークしか有さないものであるが、比較例1〜2は、絶縁シートのTgが低く、熱時弾性率は測定できなかった。
そして、外層回路形成面を粗化処理した際に、粗化が表面全体に進行して不均一で大きな凹凸しか形成できず、表面粗さが増大した。そして、形成した外層回路の引き剥がし強さが低下し、回路の一部には剥離が発生した。また、比較例3は、外層回路形成時に絶縁シートが実質的に完全に硬化していたため、粗化処理を行うことができず、外層回路を形成することもできなかった。
本発明の絶縁シートは、特に、高密度配線化に対応でき、信頼性の高い多層プリント配線板を製造するのに好適に用いることができるものである。
そして、本発明の多層プリント配線板は、このような高密度集積化、高密度実装化に対応できる多層プリント配線配線板を提供することができる。

Claims (10)

  1. 示差走査熱量分析において、第1の発熱ピークと、これより高い温度に位置する第2の発熱ピークとを有し、熱硬化性樹脂を含有する樹脂組成物からなる樹脂層を内層回路基板上に形成し、前記樹脂層を加熱して、前記樹脂層の硬化を進める工程と、
    前記樹脂層の硬化を進める前記工程で加熱された前記樹脂層の前記内層回路基板と反対側の表面上に、外層回路を形成する工程と、
    前記第2の発熱ピーク温度以下、前記第2の発熱ピーク温度−50℃の温度以上で、前記樹脂層の硬化を進める前記工程で加熱され、かつ、前記外層回路が形成された前記樹脂層をさらに加熱して、前記樹脂層の硬化を進める工程とを含む多層プリント板の製造方法。
  2. 前記樹脂組成物は、硬化性樹脂として、前記第1の発熱ピークを発現する第1の硬化性樹脂と、前記第2の発熱ピークを発現する第2の硬化性樹脂とを含有するものである請求項1に記載の多層プリント板の製造方法。
  3. 前記第1の発熱ピークは、120〜200℃の範囲内にある請求項1又は2のいずれかに記載の多層プリント板の製造方法。
  4. 前記第2の発熱ピークは、150〜250℃の範囲内にある請求項1ないし3のいずれかに記載の多層プリント板の製造方法。
  5. 前記第1の硬化性樹脂は、シアネート樹脂及び/又はそのプレポリマーを含有する請求項2に記載の多層プリント板の製造方法。
  6. 前記第2の硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を含有する請求項2または5に記載の多層プリント板の製造方法。
  7. 前記樹脂組成物は、硬化性樹脂成分として、さらに、フェノキシ樹脂を含有する請求項1ないし6のいずれかに記載の多層プリント板の製造方法。
  8. 前記樹脂組成物は、無機充填材成分として球状シリカを含有する請求項1ないし7のいずれかに記載の多層プリント板の製造方法。
  9. 前記樹脂組成物は、硬化触媒として、イミダゾール化合物を含む請求項1ないし8のいずれかに記載の多層プリント板の製造方法。
  10. 前記第1の発熱ピークと前記第2の発熱ピークとの差が30〜50℃である請求項1ないし9のいずれかに記載の多層プリント板の製造方法。
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