JP5168164B2 - 電波修正時計およびその制御方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、1Hzの矩形波パルスからなる日本の標準電波であるJJY(登録商標)を受信する際に、Hレベルの信号が0.5秒のパルス幅である「1」、0.8秒のパルス幅である「0」、0.2秒のパルス幅である「P(ポジションマーカ)」である特徴を考慮し、いずれの信号でも共通してHレベルとなる最初の0.2秒や、共通してLレベルとなる最後の0.2秒の時間を除いてサンプリングを行うことが開示されている。
この特許文献1では、各信号で信号レベルが相違する部分のみをサンプリングして判断するため、共通する部分にノイズなどが混入していてもその影響を排除することができる。
しかしながら、動作電流を増加すれば消費電流も増加し、特に電池容量が小さい腕時計においては持続時間が短くなってしまうという問題があった。
このため、特に、電池容量の小さな腕時計において、持続時間を長くでき、利便性を向上できる。
なお、標準電波のタイムコードと秒同期を確立するとは、受信処理を行う際に、標準電波の1秒毎のパルスに同期することを意味する。
本発明の制御部は、前回の受信時に誤りがあった時刻情報単位を受信する前記所定期間は、高感度受信モードに設定して受信処理を行うため、正しい時刻情報を受信することができるようになる。
すなわち、受信環境が悪いなどで実際に受信エラーがあった時刻情報単位を再度受信する場合に高感度受信モードを使用しているので、前回受信できなかった時刻情報単位のデータの受信に成功する確率を向上できる。また、受信エラーが生じていない時刻情報単位を受信する場合は通常受信モードで受信処理を行うため、消費電流が増大する高感度受信モードの使用を最小限に抑えることができる。従って、本発明では、受信性能を向上させながら、消費電流の増加も最小限に抑えることができる。
すなわち、パリティが設けられている時刻情報単位は、パリティを利用した誤り検出によって受信データに誤りがあるか否かを容易に判断できる。一方、パリティが設けられていない時刻情報単位は、受信データに誤りがあるか否かは、例えば、そのデータが実際には存在しないデータ(年初からの通算日が370等あり得ないデータ)であるのか否かで判断する必要がある。このため、取得した通算日が1日ずれていた場合等では誤りを検出できない可能性もある。このため、パリティが設けられていない時刻情報単位は、パリティが有る時刻情報単位に比べて、より正確なデータを受信する必要がある。そこで、1回の受信処理時に複数のタイムコードを受信する際、パリティが無い時刻情報単位は、1度でも受信に失敗したときには高感度受信モードにすることで、それ以降は正しいデータを受信できる確率を向上でき、誤ったデータを受信する可能性が低減するため、受信性能も向上できる。
従って、日本の標準電波を受信する場合で説明すれば、前記標準電波の各ビットのデータは1秒間隔で送信されており、各ビットのパルス幅に応じて予め設定された検出期間は、各ビットのデータパルスの立ち上がりを検出する期間と、データパルスの立ち下がりを検出する期間、具体的にはパルス立ち上がりから0.2秒経過時、0.5秒経過時、0.8秒経過時を基準に設定される期間とを意味する。そして、これらの検出期間が、前記標準電波のタイムコードに基づいて設定される所定期間となる。
本発明では、制御部は、前記パルスの立ち上がりや、立ち下がりが生じるタイミングに合わせて設定された期間のみ高感度受信モードとしているので、消費電流が増大する高感度受信モードの使用を最小限に抑えることができるともに、各パルスの変化を確実に検出して正しいデータを取得することができる。
また、予め設定されたパルス幅以下のパルスを受信する期間とは、例えばマーカーのように、予め決められたタイミングで受信するパルスが、前記パルス幅以下に設定されている場合には、そのマーカーが送信される期間である。さらに、ドイツの標準電波のように、「1」、「0」のデータを示すパルス幅が、0.2秒幅、0.1秒幅と狭い場合には、これらのデータを受信する期間が、予め設定されたパルス幅以下のパルスを受信する期間となる。従って、これらの各受信期間は、前記標準電波のタイムコードに基づいて設定される所定期間となる。
また、高感度受信モードに設定するのは、予めパルス幅の狭いパルスを受信することが分かっている期間のみであるため、消費電流の増加を抑えることができる。
本発明では、高感度受信モード時には、受信部の動作電圧を高くしているので、ダイナミックレンジを広くでき、受信部のS/N比を向上できる。また、既存の受信部に出力電圧を変更可能な電圧回路を組み込めばよいため、受信回路の大幅な変更を行う必要が無く、実現しやすい利点がある。
本発明においても、前記電波修正時計と同じ作用効果を奏することができる。
以下、本発明の第1の実施の形態に係る電波修正時計1を図面に基づいて説明する。
電波修正時計1は、図1に示すように、受信手段としてのアンテナ2と、受信回路部3と、制御回路部4と、表示部5と、外部操作部材6と、水晶振動子48とを備えている。
アンテナ2は、長波標準電波(以下、「標準電波」と称す)を受信し、受信した標準電波を受信回路部3に出力する。
受信回路部3は、アンテナ2にて受信した標準電波の受信信号を復調して、TCO(Time Code Out:タイムコード出力)として制御回路部4に出力する。なお、受信回路部3の詳細な説明は、後述する。
受信回路部3は、図1に示すように、同調回路31と、第1増幅回路32と、バンドパスフィルタ(Band-pass filter,以下、「BPF」と略す場合がある)33と、第2増幅回路34と、包絡線検波回路35と、AGC(Auto Gain Control)回路36と、二値化回路37と、デコード回路39とを備えて構成されている。この受信回路部3のうち、デコード回路39を除く、同調回路31から二値化回路37により、本発明の受信部3Aが構成されている。
すなわち、図2に示す日本の標準電波(JJY)のタイムコードフォーマットでは、1秒ごとに一つの信号が送信され、60秒で1レコードとして構成されている。つまり、1フレームが60ビットのデータである。また、データ項目として現時刻の分、時、現在年の1月1日からの通算日、年(西暦下2桁)、曜日および「うるう秒」が含まれている。各項目の値は、各秒毎に割り当てられた数値の組み合わせによって構成され、この組み合わせのON、OFFが信号の種類から判断される。なお、図2中「M」で示されるのは正分(毎分0秒)に対応するマーカーであり、「P1〜P5、P0」で示されるのはポジションマーカーであり、予めその位置が定められている信号である。また、パルス幅の狭いパルスであるM(マーカー)およびP(ポジションマーカー)は、0秒、9秒、19秒、29秒、39秒、49秒、59秒のタイミングで送信される。なお、マーカーを示す信号は、約0.2秒のパルス幅の信号であり、各項目においてON(2進の1)を表す信号は約0.5秒のパルス幅の信号、OFF(2進の0)を表す信号は約0.8秒のパルス幅の信号である。
なお、長波標準電波(JJY)は、日本では、40kHz(東日本)と60kHz(西日本)で送信が行われているが、各電波のタイムコードフォーマットは同じである。
さらに、図示を省略するが、イギリスの標準電波(MSF)のタイムコードフォーマットや中華人民共和国の標準電波「BPC」も、他の国のものと異なっており、受信した時刻情報(タイムコード)のフォーマット(データ)によりその標準電波がどの出力局のものかを判別することができる。
この第1増幅回路32としては、従来から知られている各種の増幅回路を利用できるが、本実施形態では、図3に示すような差動増幅回路を用いている。
第1増幅回路32は、3段の差動増幅回路320を備えている。各差動増幅回路320は、2つのトランジスタ321と、各トランジスタ321のエミッタに接続された定電流源322と、各トランジスタ321のコレクタに接続されたコレクタ抵抗323とを備える一般的な差動増幅回路である。
すなわち、第1増幅回路32において、動作電流を増加させると、トランジスタ321の熱雑音を減らすことができ、受信部3AのS/N比を改善することができるため、高感度受信モードに設定することができる。
AGC回路36は、包絡線検波回路35から入力した受信信号に基づいて、第1増幅回路32にて受信信号を増幅する際のゲインを決定する信号を出力する。
制御回路部4は、前述のように、受信回路部3の動作を制御するものであり、具体的に、受信回路部3のデコード回路39に対して、受信回路部3のパワーオン・オフ制御と、第1増幅回路32の受信モードの選択制御とを行う制御信号を出力する。また制御回路部4は、二値化回路37から入力するTCO信号をデコードして、デコードされて生成した時刻データに基づいて、時刻カウンタ43の時刻を設定する。さらには、制御回路部4は、時刻カウンタ43の時刻を表示部5に表示させる制御をする。
この制御回路部4は、図1に示すように、記憶部42と、時刻カウンタ43と、駆動回路部46と、制御部47とを備えて構成されている。なお、制御部47は、タイムコードデコード手段としてのTCOデコード部41を備え、かつ、前記水晶振動子48から出力されたクロック信号が入力されている。
具体的には、TCOデコード部41は、TCO信号の波形を認識し、所定のパルス幅(例えば1Hz)に対する受信パルスデューティを計測する。そして、この受信パルスデューティの違いによりTCO信号からTCを認識する。例えば、日本国内において用いられる標準電波(JJY)では、図4に示すように、1秒のパルス幅に対して、ハイレベル信号のパルス幅が0.5秒である場合(つまり、デューティが50%である場合)、「1」の信号(1信号)を認識する。また、1秒のパルス幅に対して、ハイレベル信号のパルス幅が0.8秒である場合(つまり、デューティが80%である場合)、「0」の信号(0信号)を認識する。1秒のパルス幅に対して、ハイレベル信号のパルス幅が0.2秒である場合(つまり、デューティが20%である場合)、「P」信号(P信号)を認識する。そして、TCOデコード部41は、これら認識した1信号、0信号、およびP信号の並びにより所定の時刻データを取り出す。
この電波データテーブルは、電波種類データと、電波種類毎のタイムコードフォーマットとが関連付けられて構成される電波データを1つのレコードとし、これらの電波データを複数記録するテーブル構造に構築されている。
ここで、電波種類データは、受信回路部3にて受信される標準電波の種類に関する情報であり、例えば、JJY、WWVB、DCF77、MSFなどが記録されている。
タイムコードフォーマットは、電波種類データにて特定される標準電波に含まれるTC(タイムコード)のフォーマット、つまり、年月日時分の各データがどのような順番やサイズで記憶されているかが記録されている。
なお、標準電波は1分毎で時刻データを送信しているため、最大7分の受信を行えば、7回分の時刻情報データ421を取得できる。この際、各時刻情報データ421は、1分ずつ異なる時刻データとなる。従って、各受信時刻情報データ421に1分を加算した時刻データが、次に受信した受信時刻情報データ421と一致すれば、正しい時刻データを受信できていると推定できる。
具体的には、各カウンタは、それぞれ、秒をカウントする秒カウンタ、分をカウントする分カウンタ、時をカウントする時カウンタを備えている。
秒カウンタは、例えば水晶振動子48から1Hzの基準信号が出力されている場合、その信号を60カウントつまり60秒でループするカウンタである。分カウンタは、1Hzの基準信号を60回計数したところで1カウントし、60カウント、すなわち60分でループするカウントである。時カウンタは、1Hzの基準信号を3600回計数したところで1カウントし、24カウント、すなわち24時間でループするカウントである。
なお、分カウンタは、秒カウンタが60カウントするごとに秒カウンタから分カウンタに信号を出力して分カウンタをカウントアップさせる構成としてもよい。同様に、時カウンタは、分カウンタが60カウントするごとに分カウンタから時カウンタに信号を出力され、時カウンタをカウントアップさせる構成としてもよい。
また、時計表示時刻データ用の時刻カウンタは、通常は内部時刻データ用の時刻カウンタと同じカウンタ値とされているが、利用者によって時差表示設定がされた場合には、利用者が設定した時差が加算される。例えば、日本から海外に移動する際に、日本において電波受信で電波修正時計1を修正した後、時差を設定して現地時刻を表示する場合には、前記カウンタは、時差分だけカウンタ値が相違することになる。
具体的には、制御部47は、予め設定された定時受信時刻になった場合や、外部操作部材6で手動受信が指示された場合には、受信部3Aをパワーオンする制御信号を送信して受信部3Aを作動し、受信処理を開始する。そして、制御部47は、後述するように、受信したタイムコードに基づいて設定される所定期間では、第1増幅回路32の受信モードを高感度受信モードに設定する。
ここで、制御部47と受信回路部3とのシリアル通信においては、制御部47と受信回路部3との間で双方向通信が可能な2線の同期式インターフェースを用いて、それぞれによる双方向のシリアル通信を行うようにしてもよい。このような場合、制御部47から受信回路部3に制御信号を出力した後、当該受信回路部3が、受信および認識した制御信号を制御部47に再度転送し、制御部47にて出力した制御信号と入力した制御信号とのデータの差異を確認することで、より信頼性の高いシリアル通信を行うことができる。
次に、上記のような電波修正時計1における、標準電波による受信動作について説明する。
図7,8は、電波修正時計1の受信動作を示すフローチャートであり、図9は受信制御状態を説明する説明図である。なお、図7,8に示す受信動作の処理は、外部操作部材6で手動受信処理の操作が行われた場合や、予め設定された自動受信時刻となった際に、制御部47によって実行される。
ここで、制御部47は、通常受信モードに設定する制御信号をデコード回路39に送信し、デコード回路39は第1増幅回路32に対して通常受信モードに設定する制御信号を出力する。第1増幅回路32は、通常受信モードに設定する制御信号が入力されると、差動増幅回路320の定電流源322を予め設定された通常受信モード用の電流値に設定する。定電流源322における通常受信モード用の電流値は、前述の通り、高感度受信モード用の電流値に比べて小さく設定されている。なお、通常受信モード時の具体的な電流値は、電波修正時計1の電池容量等を考慮し、通常受信モードにおいて許容できる消費電流に基づいて設定すればよい。
秒同期を確立してS3で「Yes」と判断されると、制御部47は、マーカーを取得して分同期を確立したか否かを判断する(S4)。例えば、日本の標準電波では、図2に示すように、P0およびMのマーカーが連続する部分がタイムコードの開始時点となり、この連続するマーカーを検出することで分同期を確立することができる。
本実施形態では、秒同期およびマーカー取得に成功しないと受信処理を終了してしまう。すなわち、タイムコードを取得する処理を行うには、秒同期およびマーカー取得に成功していることが必須であるため、高感度受信モードで取得処理を行うことは、これらの取得に成功する確率を向上でき、タイムコード取得処理および時刻修正処理を実施できる確率も向上できる効果がある。
このS7では、同調回路31にてアンテナ2を所望の標準電波の周波数に同調させ、アンテナ2にて受信された標準電波を受信信号に変換する。そして、第1増幅回路32、バンドパスフィルタ33、第2増幅回路34、包絡線検波回路35により、受信信号を所定レベルに増幅し、所望の周波数帯域の信号を抽出し、整流およびろ波して包絡線信号とする。さらに、この包絡線信号を二値化回路37により二値化してTCO信号とし、このTCO信号を制御回路部4に出力させる。
すなわち、例えば、図4,5に示すように、標準電波は1秒毎に「1」、「0」、「P」の信号を送信している。このため、制御部47は、入力されたTCO信号の立ち上がり(あるいは立ち下がり)エッジの検出を行い、各パルスの幅を判別できる否かで秒同期がOKであるか否かを判断している。そして、秒同期ができるようになっていれば、制御部47は、毎正分のマーカーを取得(認識)して、分同期を確立できたかを判断している。
そして、分同期を確立できていれば、制御部47は、1サイクル目つまり1分間の時刻データを受信してタイムコードを取得する(S7)。
なお、時刻情報単位のエラーチェック方法としては、他の方法を利用したり、複数の方法を組み合わせてもよい。例えば、パリティビットが存在するデータ(JJYでは分、時のデータ)は、パリティビット(JJYでは図2,8に示すように、通算日の後にパリティビットが設けられている)を用いて検証してもよい。
また、複数の時刻データを取得している場合には、他の時刻データと比較して整合しているか否かで判断してもよい。例えば、時刻データを数分間連続して取得している場合、分データは1分毎異なるが、他の時、通算日、年、曜の各データは通常一致する。従って、各時刻データにおける各時刻情報単位のデータ同士を比較することで、正しいデータであるか否かを判断してもよい。
制御部47は、この2サイクル目以降の受信処理においては、まず、各時刻情報単位の受信タイミングになったか否かを判断する(S11)。例えば、図2に示すJJYにおいては、まず、分の時刻データの受信タイミングとなり、その後、時、通算日、年、曜日の受信タイミングが設定されている。
具体的には、制御部47は、デコード回路39を介して第1増幅回路32に高感度受信モードへの移行を指示し、第1増幅回路32は、定電流源322の電流値を、通常受信モード用の電流値に比べて高く設定された高感度受信モード用の電流値に設定する。また、第1増幅回路32は、増幅率が大きく変動しないように、必要に応じて、コレクタ抵抗323の抵抗値も調整する。そして、この高感度受信モードで、前記時刻情報単位を受信する。
一方、制御部47は、S14において「No」と判断すると、つまり、現在受信しようとしている時刻情報単位が、パリティが無い時刻情報単位であり、かつ、過去の受信に誤りが無い場合と、パリティが有る時刻情報単位(JJYでは、分、時)であり、かつ、前回の受信に誤りが無い場合には、受信部3Aを通常受信モードに設定してその時刻情報単位のタイムコードを受信する(S15)。
従って、制御部47は、パリティが有る時刻情報単位を受信する場合には、その時刻情報単位の前回受信に誤りがあった場合のみ、高感度受信モードで受信し、それ以外は、通常受信モードで受信する。一方、制御部47は、パリティが無い時刻情報単位を受信する場合には、前回受信時を含む過去の受信に誤りがあった場合は、高感度受信モードで受信し、過去に一度も受信に誤りが無かった場合のみ、通常受信モードで受信する。
このように各時刻情報単位の受信が終了し、S16でNサイクル目の受信が終了したと判断されると、制御部47は、S8での処理と同様に、受信したタイムコードをチェックする(S17)。
S18で取得に成功したと判断すると、制御部47は、受信処理を終了し(S5)、取得したタイムコードに基づいて時刻を修正し(S19)、さらに、通常運針に戻り(S6)、タイムコードの取得処理を終了する。
そして、制御部47は、S20で「Yes」と判断すると、受信を終了し(S5)、通常運針に戻り(S6)、タイムコードの取得処理を終了する。
ここで、S20の判断処理を追加しているのは、タイムコードの取得に成功しない状態で長時間受信を継続すると、消費電力が増大するため、受信回数を制限するためである。
すなわち、S20の判断によって、受信回数(サイクル数)が最大M回(例えば7回)に設定され、タイムコードの取得に成功しない場合でもM回受信処理を行うと受信を終了することになる。このため、受信時間は最大でもM分(例えば7分)となり、受信時間がそれ以上長くなることを防止できる。
また、パリティがある「分」、「時」の時刻情報単位は、前回受信に成功(受信結果OK)すると、次の受信時には通常受信モードで受信されるため、消費電力を低減できる。
さらに、パリティがない「通算日」、「年」、「曜」の時刻情報単位は、過去受信に失敗した場合は、以降の受信時には高感度受信モードで受信される。例えば、図9において、「年」の時刻情報単位は、1サイクル目で受信に失敗しているので、2サイクル目以降では高感度受信モードで受信している。このため、2サイクル目では「年」の時刻情報単位の受信に成功しているが、3サイクル目においても高感度受信モードのままで受信している。
本実施形態の電波修正時計1では、受信する標準電波の秒同期および分同期を行った後、標準電波のタイムコードに基づいて設定される所定期間、具体的には、各時刻情報単位の受信期間において、前回受信に失敗した時刻情報単位の受信期間は、受信モードを高感度受信モードに設定している。
すなわち、制御部47は、タイムコードの1サイクル目の受信は通常受信モードで制御し、高感度受信モードは、タイムコードの2サイクル目以降の受信において、同じ時刻情報単位の前回の受信結果がエラー(NG)だった場合と、パリティを備えない時刻情報単位の受信において前回以前に受信結果がエラーだった場合に設定しているので、すべての受信を高感度受信モードで行う場合に比べて、消費電力を低減できる。また、前回、受信を失敗した時刻情報単位のデータ受信時に高感度受信モードにすることで、その時刻情報単位のデータの取得に成功する確率を向上でき、結果として、正しいタイムコードを取得して正しい時刻情報に修正することができる。
すなわち、本実施形態によれば、消費電力の増大を最小限に抑えることができ、かつ、時刻情報の受信に成功する確率を向上できて、実使用状況における受信性能を向上できる。
本実施形態では、パリティが無い時刻情報単位は、過去に受信に失敗した以降は高感度受信モードで受信して、高感度受信モードを多用しているので、誤りを検出できる確率を高めることができ、受信性能をより向上できる。
このため、デコード回路39が制御信号をデコードするので、制御回路部4から出力される制御信号を簡易な信号に設定することができ、通信される信号の信頼性を向上させることができる。
次に、本発明の第2実施形態について、図10,11のフローチャートおよび図12の動作説明図を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、前述した他の実施形態と同一または同様の構成については、同一符号を付し、説明を省略または簡略する。
第1実施形態では、標準電波の1サイクルつまり1分間(60秒)の受信期間において、時刻情報単位毎に、通常受信モードまたは高感度受信モードを選択していたが、第2実施形態では、1ビットの情報を受信する1秒の期間内において、通常受信モードまたは高感度受信モードを選択する点が相違する。なお、第2実施形態は、制御部47による受信モードの切替制御方式が前記第1実施形態と相違するだけであり、受信回路部3や制御回路部4の構成は前記第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
すなわち、パルス立ち上がり検出期間Aは、各パルスが立ち上がる基準タイミングに対して所定時間前に設定されたパルス立ち上がり検出開始タイミングT1から、前記基準タイミングに対して所定時間後に設定されたパルス立ち上がり検出終了タイミングT2までの期間とされている。ここで、例えば、検出開始タイミングT1は基準タイミングに対して−0.05秒に設定され、検出終了タイミングT2は基準タイミングに対して+0.05秒に設定され、前記検出期間Aは0.1秒間とされている。
制御部47は、S22でパルス立ち上がり検出開始タイミングT1になったと判断すると、デコード回路39を介して第1増幅回路32に制御信号を送り、第1増幅回路32の受信モードを高感度受信モードに移行する(S23)。
一方、制御部47は、S24でパルス立ち上がり検出終了タイミングT2になったと判断すると、デコード回路39を介して第1増幅回路32に制御信号を送り、第1増幅回路32の受信モードを通常受信モードに復帰する(S25)。
なお、S21で秒同期がOKであるため、通常は、S23で高感度受信モードに設定されたパルス立ち上がり検出期間A内にパルスの立ち上がりが検出される。このため、本実施形態では、パルス立ち上がり検出期間Aが終了すると、S25で通常受信モードに復帰し、その後、0.2秒幅パルス立ち下がり検出開始タイミングT3であるかを判断している。
但し、前記パルス立ち上がり検出期間Aでパルスの立ち上がりが検出できない場合を想定し、検出できなかった場合には、例えば、秒同期の確認処理S21に戻って制御したり、受信処理を中止してもよい。
制御部47は、S26で0.2秒幅パルス立ち下がり検出開始タイミングT3になったと判断すると、デコード回路39を介して第1増幅回路32に制御信号を送り、第1増幅回路32の受信モードを高感度受信モードに移行する(S27)。
一方、制御部47は、S28で0.2秒幅パルス立ち下がり検出終了タイミングT4になったと判断すると、デコード回路39を介して第1増幅回路32に制御信号を送り、第1増幅回路32の受信モードを通常受信モードに復帰する(S29)。
そして、制御部47は、S30で「No」と判断した場合は、0.2秒幅のパルスつまり「P」を示すビットではないと判断し、0.5秒幅のパルスであるかを判断する。
具体的には、制御部47は、S30で「No」と判断すると、図11に示すように、前記0.5秒幅パルス立ち下がり検出開始タイミングT5になったか否かを判断する(S31)。
制御部47は、S31で0.5秒幅パルス立ち下がり検出開始タイミングT5になったと判断すると、デコード回路39を介して第1増幅回路32に制御信号を送り、第1増幅回路32の受信モードを高感度受信モードに移行する(S32)。
一方、制御部47は、S33で0.5秒幅パルス立ち下がり検出終了タイミングT6になったと判断すると、デコード回路39を介して第1増幅回路32に制御信号を送り、第1増幅回路32の受信モードを通常受信モードに復帰する(S34)。
そして、制御部47は、S35で「No」と判断した場合は、0.5秒幅のパルスつまり「1」を示すビットでもないと判断し、0.8秒幅のパルスであるかを判断する。
具体的には、制御部47は、S35で「No」と判断すると、前記0.8秒幅パルス立ち下がり検出開始タイミングT7になったか否かを判断する(S36)。
制御部47は、S36で0.8秒幅パルス立ち下がり検出開始タイミングT7になったと判断すると、デコード回路39を介して第1増幅回路32に制御信号を送り、第1増幅回路32の受信モードを高感度受信モードに移行する(S37)。
一方、制御部47は、S38で0.8秒幅パルス立ち下がり検出終了タイミングT8になったと判断すると、デコード回路39を介して第1増幅回路32に制御信号を送り、第1増幅回路32の受信モードを通常受信モードに復帰する(S39)。
また、標準電波においてパルスが立ち下がるタイミングが、0.2秒、0.5秒、0.8秒のいずれかであるというタイムコードの特性を考慮し、前記検出期間A〜Dを前記立ち下がりタイミングに合わせて設定しているので、高感度受信モードに切り替える期間を必要最小限にすることができる。このため、高感度受信モードに切り替えた場合でも消費電流の増大を抑えることができる。例えば、各検出期間A〜Dがそれぞれ0.1秒であれば、高感度受信モードに切り替える期間は、1秒間のうち0.4秒間であり、僅かな時間にできるため、高感度受信モードを1秒間継続する場合に比べて、消費電流を半分以下に抑えることができる。
その上、検出期間B,Cでは、パルスの立ち下がりを検出した場合には、それ以降の検出期間における高感度受信モードへの切替処理を行わないため、無駄な高感度受信モードでの動作を無くすことができ、この点でも消費電流の増大を抑制できる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
第3実施形態は、図13に示すように、標準電波において、幅の狭いパルスを受信する場合に高感度受信モードを選択するものである。
すなわち、第1実施形態で説明したように、日本の標準電波では、0.2秒、0.5秒、0.8秒のパルス幅の信号によって、「P」、「1」、「0」のデータが表されている。ここで、図14に示すように、パルス幅が0.2秒と狭いパルス101は、0.5秒幅のパルス102や0.8秒幅のパルス103に比べて、信号の立ち上がりが緩やかだと振幅が小さくなりやすい。このため、特に、弱電界で信号の振幅が小さい場合には、パルス幅が狭い信号は二値化が難しくなる。すなわち、包絡線検波後の信号を所定のしきい値で二値化してTCOを取得した場合、特にパルス101は振幅が小さいため、出力されたTCOの対応パルス101Aは、パルス幅がより小さくなり、ノイズと判断される可能性がある。
また、高感度受信モードに設定されるのは、パルス101が送信されるタイミングのみであるため、常時、高感度受信モードで受信する場合に比べて消費電流を低減できる。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
第4実施形態は、高感度受信モードを実現する受信回路部3の構成を前記第1〜3実施形態と相違させたものである。従って、第4実施形態の構成は、高感度受信モードに移行するタイミングが異なる前記第1〜3実施形態のいずれの場合にも適用できる。
すなわち、前記第1〜3実施形態の高感度受信モードでは、第1増幅回路32に流れる動作電流のみを変更し、他の回路の動作電流は変更していない。
これに対し、第4実施形態の電波修正時計1では、出力電圧を少なくとも2段階に切替可能な定電圧回路51を設け、通常受信モードが選択された場合に比べて、高感度受信モードが選択された場合には、定電圧回路51の出力電圧を高く設定している。すなわち、制御部47は、受信部3Aの動作電圧自体を切り替えて受信モードを制御している。ここで、定電圧回路51は、二次電池53から電源供給されている。
さらに、第4実施形態では、定電圧回路51の出力電圧が2段階に切り替えられた際に、二値化回路37から出力されるTCO出力にも影響するため、レベルシフタ54を設けて出力レベルを調整し、制御部47に入力するようにしている。
すなわち、第1増幅回路32に出力電流を変更できる定電流源322が設けられていない場合でも、容易に実現することができ、既存の回路を利用できる。
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
第5実施形態も、高感度受信モードを実現するための構成を前記第1〜4実施形態と相違させたものである。従って、第5実施形態の構成も、高感度受信モードに移行するタイミングが異なる前記第1〜4実施形態のいずれの場合にも適用できる。
高速クロック用発振器61は、内蔵のCR発振器等を動作させることで、例えば1MHzのクロック信号を出力できるように構成されている。このため、制御回路部4の動作クロック周波数を、例えば、通常受信モード時には32Hzとし、高感度受信モード時には1MHzに設定することができる。
なお、本発明は、前記各実施形態に限らない。
例えば、各国の標準電波を受信可能な電波修正時計1において、ドイツの標準電波DCF77を受信可能な場合、DCF77を受信するモードに設定された場合には、高感度受信モードで受信するように設定してもよい。すなわち、DCF77は、図18にも示すように、0.1秒と0.2秒の幅のパルスを用いているため、前記第3実施形態と同様に、受信データの振幅が小さく、誤検出しやすい。このため、DCF77を受信する際に、高感度受信モードに移行すれば、各パルスを正しく受信できるようになり、受信性能を向上できる。
そして、各受信モードでの受信が完了すると、制御部47は、受信処理を終了する(S55)。
制御部47は、秒同期を確立し、かつ、マーカーを取得した場合は、所定タイミングTAになったか否かを判断する(S63)。所定タイミングTAは、図18に示すように、毎正秒のタイミングに対して所定時間前のタイミングであり、例えば、毎正秒のタイミングに対して50msec前のタイミングである。
高感度受信モードの具体的な処理は、前記各実施形態と同様に、第1増幅回路32の動作電流を増加したり、受信部3Aの駆動電圧を高くしたり、制御回路部4の動作クロックを高速にすればよい。
そして、制御部47は、所定タイミングTBになったか否かを判断し(S66)、所定タイミングTBになったと判定すると、通常受信モードに移行する(S67)。所定タイミングTBは、図18に示すように、毎正秒のタイミングに対して所定時間後のタイミングであり、例えば、毎正秒のタイミングに対して400msec後のタイミングである。
なお、毎正秒の50msec前のタイミングTAから高感度受信モードにしているのは、処理に余裕を持たせて毎正秒からの各パルスを確実に受信させるためである。すなわち、毎正秒よりも早めに高感度受信モードに移行すれば、電流や電圧を切り替えて高感度受信モードに移行した際に多少のタイムラグがあっても、毎正秒の時点では確実に高感度受信状態に移行することができるためである。
また、毎正秒の400msec後のタイミングTBまで高感度受信モードを継続しているのは、200msecのパルスを受信した際に、包絡線検波回路35の出力信号のパルス幅が200msecよりも長くなる場合があるからである。
一方、S68で「Yes」と判定されると、制御部47は、受信処理を終了する(S69)。
すなわち、本変形例では、通常受信モードに設定されている期間も受信動作を継続している。これは、通常受信モード時に受信動作を停止してしまうと、受信回路部3の立ち上がりには数秒程度の時間が掛かるため、毎正秒のタイミングに合わせて高感度受信モードに切り替えることができなくなるためである。ただし、タイミングTBからTAまでの通常受信モードは高感度受信モードに比べると受信性能が劣り、信号にノイズが含まれやすいので、TCOパルスの検出は行わず、TCOパルスに変化があっても無視することが好ましい。
なお、図20の処理フローにおいて、S61で秒同期が取れた後、マーカー取得の前にも高感度受信モードに移行してもよい。このようにすれば、マーカーの所得を高感度受信状態で行うことができ、マーカーを精度良く、短時間で取得できるため、消費電流を削減することもできる。
一方、S61,62や、S71で「No」と判定された場合は、制御部47は、内部時刻の書き換えを行わずに受信処理を終了する。
例えば、分および時のデータは、パリティビットが存在するため、受信データの信頼性が高い。このため、分や時の時刻情報単位を受信する場合には通常受信モードとし、パリティビットが存在しない他の時刻情報単位を受信する場合には高感度受信モードに設定してもよい。
さらに、前記第1実施形態と組み合わせて、分・時の時刻情報単位は、前回の受信時にエラーが生じても、次回以降の受信時も通常受信モードのままで処理し、他の時刻情報単位を受信する場合は、最初は通常受信モードとし、前回の受信でエラーが生じた場合のみ高感度受信モードに設定してもよい。
すなわち、標準電波を1分間隔で連続して受信した場合、通常は、分以外の時刻情報単位は変化せずに同じデータになる。例えば、午前2時0分から受信を開始し、7分間受信を行って7サイクル分の受信データを取得した場合、分のデータは0〜7分まで変化するが、他の「時」、「日」、「年」、「曜」などの時刻情報単位のデータは変化せず、同じデータのままである。従って、誤りがあった時刻情報単位のデータを高感度受信モードで受信することで、正しいデータに修正できるため、誤ったデータで時刻修正を行うことも確実に防止できる。
Claims (8)
- タイムコードが重畳された標準電波を受信して内部時刻データを修正する電波修正時計であって、
前記標準電波を受信する受信部と、
前記受信部を制御する制御部とを備え、
前記受信部は、
前記標準電波の受信信号を増幅する増幅回路と、
増幅した受信信号を二値化してタイムコードを得る二値化回路とを備え、
前記制御部は、
前記受信部の受信モードを、通常受信モード、および、前記通常受信モードよりも受信性能を向上させる高感度受信モードのいずれかに設定可能に構成され、
前記標準電波のタイムコードと少なくとも秒同期を確立した後において、
前記標準電波のタイムコードに基づいて設定される所定期間は、受信モードを高感度受信モードに設定し、
その他の期間は、受信モードを通常受信モードに設定する
ことを特徴とする電波修正時計。 - 請求項1に記載の電波修正時計において、
前記所定期間は、前記タイムコードの各時刻情報単位において、前回の受信時に誤りがあった時刻情報単位を受信する期間である
ことを特徴とする電波修正時計。 - 請求項1に記載の電波修正時計において、
前記所定期間は、前記標準電波の各ビットのパルス幅に応じて予め設定された検出期間である
ことを特徴とする電波修正時計。 - 請求項1に記載の電波修正時計において、
前記所定期間は、前記標準電波の各ビットのパルス幅が、予め設定されたパルス幅以下のパルスを受信する期間である
ことを特徴とする電波修正時計。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の電波修正時計において、
前記制御部は、受信モードが高感度受信モードに設定された場合に、前記受信部の動作電圧を、通常受信モードに設定された場合よりも高くして受信性能を向上させる
ことを特徴とする電波修正時計。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の電波修正時計において、
前記制御部は、受信モードが高感度受信モードに設定された場合に、前記受信部の動作電流を、通常受信モードに設定された場合よりも高くして受信性能を向上させる
ことを特徴とする電波修正時計。 - 請求項6に記載の電波修正時計において、
前記制御部は、受信モードが高感度受信モードに設定された場合に、前記受信部の増幅回路の動作電流のみを、通常受信モードに設定された場合よりも高くして受信性能を向上させる
ことを特徴とする電波修正時計。 - タイムコードが重畳された標準電波を受信して内部時刻データを修正する電波修正時計の制御方法であって、
前記標準電波を受信する受信部と、
前記受信部を制御する制御部とを備え、
前記受信部は、
前記標準電波の受信信号を増幅する増幅回路と、
増幅した受信信号を二値化してタイムコードを得る二値化回路とを備え、
前記標準電波のタイムコードと少なくとも秒同期を確立した後において、
前記標準電波のタイムコードに基づいて設定される所定期間は、前記受信部の受信モードを通常受信モードよりも受信性能を向上させる高感度受信モードに設定し、
その他の期間は、受信モードを通常受信モードに設定する
ことを特徴とする電波修正時計の制御方法。
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