JP5167038B2 - 電動機駆動装置およびその制御方法 - Google Patents

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Description

この発明は、電動機駆動装置およびその制御方法に関し、より特定的には、電機子巻線鎖交磁束量を調整可能な電動機を駆動するための電動機駆動装置およびその制御方法に関する。
最近、環境に配慮した自動車としてハイブリッド自動車(Hybrid Vehicle)および電気自動車(Electric Vehicle)が注目されている。ハイブリッド自動車は、従来のエンジンに加え、インバータを介して直流電源により駆動されるモータを動力源とする自動車である。つまり、エンジンを駆動することにより動力源を得るとともに、直流電源からの直流電圧をインバータによって交流電圧に変換し、その変換した交流電圧によりモータを回転することによって動力源を得るものである。
また、電気自動車は、直流電源とインバータとインバータによって駆動されるモータとを動力源とする自動車である。
このようなハイブリッド自動車や電気自動車の駆動用モータとしては、回転子(以下、ロータとも称する。)に永久磁石を備え、その永久磁石による磁極と、固定子(以下、ステータとも称する。)において発生する回転磁界との磁気作用によって回転する永久磁石型モータや、ロータに界磁コイルを備え、界磁コイルに界磁電流を流すことによってロータに発生する磁界の回転軸と垂直方向の成分と、ステータにおいて発生する回転磁界との磁気作用によって回転する界磁巻線型モータなどが検討されている。
さらに、ハイブリッド自動車または電気自動車においては、直流電源からの直流電圧を昇圧コンバータによって昇圧し、その昇圧した直流電圧をモータを駆動するインバータに供給することも検討されている。
たとえば、特開2005−143157号公報(特許文献1)は、車両に設けられて動力を発生する界磁巻線モータと、バッテリと、バッテリと界磁巻線モータとの間に設けられた昇降圧インバータと、車両の運転状態に応じて界磁制御および昇降圧制御を行なうコントローラとを備える車両用モータ制御装置を開示する。
これによれば、昇降圧インバータは、インバータ部、昇降圧部およびコンデンサで構成される。昇降圧インバータは、バッテリからエンジン始動用界磁巻線モータ(始動用モータ)への電力の供給、および昇降圧部から始動用モータおよび後輪駆動用界磁巻線モータ(後輪駆動用モータ)の界磁巻線への電力供給を行なう。この場合、界磁巻線への電力供給の制御は、コントローラが界磁制御回路をオン・オフすることによって行なう。
特開2005−143157号公報
しかしながら、上記の特許文献1に記載の車両用モータ制御装置によれば、界磁巻線への電力供給を制御するための界磁制御回路が必要となる。そのため、車両用モータ制御装置の体格が大きくなるという問題が生じる。これらは、車両の室内空間を確保する観点から高まりつつある装置体格の小型化の要求に反するものである。
それゆえ、この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、小型化と電動機の高出力化とを両立させた電動機駆動装置およびその制御方法を提供することである。
この発明のある局面に従えば、界磁巻線を含み、界磁巻線に界磁電流を流すことによって形成される界磁極を有する電動機の駆動装置は、電源と、電源からの直流電圧を電圧変換して、第1および第2の電源線間に出力するコンバータと、第1および第2の電源線間の電圧を受けて、電動機を駆動制御する電力に変換するインバータとを備える。コンバータは、界磁巻線および第2の電源線の間に電気的に接続される昇圧用スイッチング素子を含む。界磁巻線は、電源および第1の電源線の間の電流経路上に電気的に接続され、昇圧用スイッチング素子によってスイッチングされた電圧が両端に印加されるように構成される。電動機駆動装置は、界磁巻線に並列に接続される界磁用スイッチング素子と、昇圧用スイッチング素子および界磁用スイッチング素子をスイッチング制御する制御装置とをさらに備える。制御装置は、第1および第2の電源線間に出力される電圧を検出する電圧センサと、界磁巻線を流れる界磁電流を検出する電流センサと、電圧指令値と電圧センサからの検出電圧との偏差に応じて、コンバータから前記第1の電源線への入力電流の目標値を算出するとともに、電流指令値と電流センサからの検出電流との偏差に基づいて、界磁を強める方向に界磁巻線に供給される界磁増磁電流の目標値を算出する目標電流演算手段と、入力電流の目標値に、電動機の出力に応じて第1の電源線からインバータに供給される電動機出力電流を補償するフィードフォワード補償手段と、フィードフォワード補償された入力電流の目標値に、界磁増磁電流の目標値を加算することにより、電流指令値を生成する電流指令生成手段と、電流センサからの検出電流が電流指令値に一致するように、界磁用スイッチング素子および昇圧用スイッチング素子をスイッチング制御するスイッチング制御手段とを含む。
好ましくは、電流指令生成手段は、電動機の要求出力を電圧センサからの検出電圧で除算することにより、電動機出力電流を演算する補償量演算手段を含む。
好ましくは、補償量演算手段は、電動機の要求出力を、電動機のd軸電圧指令値およびq軸電圧指令値と、電動機を流れる実駆動電流とに基づいて算出する。
この発明の別の局面に従えば、界磁巻線を含み、界磁巻線に界磁電流を流すことによって形成される界磁極を有する電動機の駆動装置の制御方法であって、電動機駆動装置は、電源と、電源からの直流電圧を電圧変換して、第1および第2の電源線間に出力するコンバータと、第1および第2の電源線間の電圧を受けて、電動機を駆動制御する電力に変換するインバータとを含む。コンバータは、界磁巻線および第2の電源線の間に電気的に接続される昇圧用スイッチング素子を含み、界磁巻線は、電源および第1の電源線の間の電流経路上に電気的に接続され、昇圧用スイッチング素子によってスイッチングされた電圧が両端に印加されるように構成される。電動機駆動装置は、界磁巻線に並列に接続される界磁用スイッチング素子と、第1および第2の電源線間に出力される電圧を検出する電圧センサと、界磁巻線を流れる界磁電流を検出する電流センサとをさらに含む。制御方法は、電圧指令値と電圧センサからの検出電圧との偏差に応じて、コンバータから第1の電源線への入力電流の目標値を算出するとともに、電流指令値と電流センサからの検出電流との偏差に基づいて、界磁を強める方向に界磁巻線に供給される界磁増磁電流の目標値を算出するステップと、入力電流の目標値に、電動機の出力に応じて第1の電源線からインバータに供給される電動機出力電流を補償するステップと、補償された入力電流の目標値に、界磁増磁電流の目標値を加算することにより、電流指令値を生成するステップと、電流センサからの検出電流が電流指令値に一致するように、界磁用スイッチング素子および昇圧用スイッチング素子をスイッチング制御するステップとを備える。
好ましくは、電流指令値を生成するステップは、電動機の要求出力を電圧センサからの検出電圧で除算することにより、電動機出力電流を演算する。
好ましくは、電動機出力電流を演算するステップは、電動機の要求出力を、電動機のd軸電圧指令値およびq軸電圧指令値と、電動機を流れる実駆動電流とに基づいて算出する。
本発明によれば、電機子巻線鎖交磁束量の可変制御が可能な電動機を駆動する駆動装置において、駆動装置の小型化と電動機の高出力化とを両立させることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
[電動機の構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る電動機駆動装置に適用される電動機の側断面図であり、図2は、図1のII−II線における断面図である。
図1および図2を参照して、電動機10は、回転シャフト41と、回転シャフト41に固設されたロータ(回転子)40と、ステータ(固定子)30の外周に設けられた界磁ヨーク21と、界磁コイル50とを備える。
ロータ40とステータ30との間には、エアギャップGPが設けられており、僅かに径方向に離間するように配置されている。
ロータ40は、回転シャフト41に固設されたロータコア43と、ロータコア43の外表面に設けられた磁石44とを含む。
ロータコア43は、円筒状に形成された積層ロータコア43aと、積層ロータコア43aの内周に設けられた圧粉ロータコア43bとからなる。圧粉ロータコア43bは、一体の磁性材料から構成されており、具体的には粉末成形磁性体(SMC:Soft Magnetic Composites)から構成されている。
積層ロータコア43aは、複数の電磁鋼板を軸方向に積層して構成されており、該電磁鋼板間に生じる隙間によって、軸方向の磁気抵抗が、径方向および周方向の磁気抵抗よりも大きくなっている。そのため、積層ロータコア43aの内部においては、磁石からの磁力線は、軸方向に流れ難く、径方向および周方向に流れ易くなっている。
これに対して、圧粉ロータコア43bは、粉末成形磁性体から構成されているため、軸方向の磁気抵抗は、積層ロータコア43aの軸方向の磁気抵抗よりも小さくなる。そのため、圧粉ロータコア43bの内部では、磁力線は軸方向に流れ易くなっている。
そして図2に示すように、積層ロータコア43aの外表面には、等間隔に隔てて設けられ、かつ、径方向外方に向けて突出する複数のロータティース(第1突極部)45が形成されている。
隣り合うロータティース45の間には、磁石44が設けられる。ロータティース45の外表面と磁石44の外表面とは、いずれも、回転シャフト41の中心軸線を中心とする仮想の同一円周上に位置している。すなわち、磁石44は、ロータ40の周方向にロータティース45と隣り合うように設けられ、かつ、各外周面が面一となるように設けられている。
磁石44のN極(第1磁極)とS極(第2磁極)とは、ロータ40の径方向に並ぶように配置されている。なお、本実施の形態においては、磁石44のN極がロータコア43の径方向外方に向けて配置され、磁石44のS極がロータコア43の径方向内方に向けて配置されているが、逆となるように配置されてもよい。
ステータ30は、中空円筒状に形成されたステータコア22と、ステータコア22の内表面に形成され、ステータコア22の径方向内方に向けて突出する複数のステータティース(第2突極部)23と、ステータティース23に巻き付けられたコイル24とを含む。
ステータティース23は、周方向に等間隔を隔てて形成されている。コイル24の一部はU相コイルを構成し、残りの一部のコイル24はV相コイルを構成し、残りのコイル24はW相コイルを構成する。そして、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルは、一方端が端子とされて図示しないインバータの三相ケーブル(U相ケーブル、V相ケーブルおよびW相ケーブル)にそれぞれ接続される。さらに、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルは、他方端が1点に共通接続されて中性点とされる。
制御装置100(図1)は、電動機駆動装置の外部に設けられたECU(Electrical Control Unit)からトルク指令値を受けると、その受けたトルク指令値によって指定されたトルクを出力するように、電動機10の各相に流す電流(モータ電流)を制御する。制御されたモータ電流は、三相ケーブルを介してコイル24へ供給される。
ステータコア22は、磁性鋼板を複数積層して形成されるため、磁性鋼板間にはエアギャップが生じている。そのため、ステータコア22の径方向および周方向の磁気抵抗は、軸方向の磁気抵抗よりも小さくなっている。これにより、ステータコア22内に入り込んだ磁力線は、ステータコア22の周方向および径方向に流れ易く、軸方向に流れ難くなっている。
図1に示すように、界磁ヨーク21は、ステータ30およびロータ40の両端部から軸方向に離間した位置に配置された天板部21aと、この天板部21aの周縁部に形成された円筒状の側壁部21bと、天板部21aに形成された円筒状の突部21cとを備えている。
天板部21aの中央部には、貫通孔21dが形成されており、貫通孔21d内には軸受46を介して、回転シャフト41が挿入されている。側壁部21bは、ステータコア22の外表面に固設されている。
界磁ヨーク21は、一体の磁性材料から構成されており、具体的には、3次元完全等方材料である粉末成形磁性体(SMC)から構成されている。このため、界磁ヨーク21の軸方向の磁気抵抗は、ステータコア22の軸方向の磁気抵抗より小さくされている。
突部21cは、天板部21aの内表面に形成され、圧粉ロータコア43bの軸方向端部に向けて突出している。そして、突部21cの端部と圧粉ロータコア43bの端部との間で、磁力線が途切れない程度に、突部21cの端部と圧粉ロータコア43bの端部とが近接している。
このため、磁石44の表面からエアギャップGPおよびステータコア22を介して界磁ヨーク21に達し、界磁ヨーク21内を軸方向に流れ、突部21cから圧粉ロータコア43b内に入り込み、磁石44のS極に戻るという磁気回路(第1磁気回路)を形成することができる。
この磁気回路において、ステータコア22の径方向の磁気抵抗は小さく抑えられており、界磁ヨーク21内の磁気抵抗も小さく抑えられており、さらに、圧粉ロータコア43bの磁気抵抗も小さく抑えられているため、磁気エネルギーのロスを小さく抑えることができる。
なお、図1に示す例においては、円筒状の突部21cが界磁ヨーク21に形成されているが、圧粉ロータコア43bの端部に設けてもよい。
界磁コイル(巻線)50は、突部21cの外周面に巻き付けられている。この界磁コイル50に電流を流すことにより、突部21cの端部側にたとえば、N極の磁性を持たせるとともに、側壁部21bにS極の磁性を持たせることができる。あるいは、突部21cの端部側にS極の磁性を持たせるとともに、側壁部21bにN極の磁性を持たせることができる。なお、本実施の形態においては、界磁コイル50は、界磁ヨーク21の突部21cに設けられているが、この位置に限られず界磁ヨーク21に設けられておればよい。ここで、界磁コイル50が界磁ヨーク21に設けられているとは、界磁コイル50が界磁ヨーク21の表面に当接している場合に限られず、界磁ヨーク21内の磁力線の流れを制御可能な程度であれば、界磁ヨーク21の表面から離間している場合も含む。
上記のように構成された電動機10の動作について、図3および図4を用いて説明する。図3は、図1に示す界磁コイル50の電流が供給された状態における電動機10の側断面図であり、図4は、図3のIV−IV線における断面図である。
図3を参照して、界磁コイル50に電流を流すことにより、磁力線mt4を発生される。この磁力線mt4は、界磁ヨーク21の天板部21aを通り、側壁部21bからステータコア22内に入り込む。そして、磁力線mt4は、エアギャップGPを解して、ロータコア43内に入り込み、ロータコア43内を軸方向に進む。その後、磁力線mt4は、ロータコア43の軸方向端面から、突部21cの端面を介して、界磁ヨーク21内に入り込む。
このような磁気回路を発生させることにより、界磁ヨーク21の突部21cがS極の磁性を帯び、界磁ヨーク21の側壁部21bがN極の磁性を帯びることになる。
図4においては、磁石44の端部のうち、ロータ40の回転方向P前方側の端部側にステータティース23aが配置されており、磁石44の外主面の周方向の中央部は、ステータティース23aの端面の周方向の中央部に回転方向Pの後方側に位置している。このステータティース23aの内径側の端面がS極とされている。
このため、磁石44の外主面から出る磁力線mt1〜mt4は、径方向外方に向かうに従って、回転方向Pの前方側に向かうように傾斜し、ステータティース23aの端面に達する。このように、磁石44およびステータティース23a間の磁力線mt1〜mt3の磁気経路が傾斜し長くなっているので、磁気経路が最短となるようにロータ40に応力が加えられる。すなわち、磁石44は、ステータティース23aに向けて引っ張られることとなる。
ステータティース23aに対して、ロータ40の回転方向P後方側には、ステータティース23bが設けられており。このステータティース23bは、磁石44の中央部付近と対向している。ステータティース23bの内径側の端面は、N極とされており、磁石44と反発している。
このため、ステータティース23aからステータコア22内に入り込んだ磁力線mt1〜mt3は、ステータコア22内を周方向に流れる。このとき、上述したように、界磁コイル50に電流を流したことによって側壁部21bの内壁面がN極となっている。そのため、磁石44からの磁力線mt1〜mt3は、ステータティース23aの端面からステータコア22内に入り込むと、ステータコア22の周方向に沿って進む。すなわち、磁力線mt1〜mt3が、ステータティース23aに達した後、ステータコア22内を径方向に流れ、界磁ヨーク21に達するのが抑制されている。
そして、ステータティース23bに対して、ロータ40の回転方向P後方側には、ステータティース23cが設けられており、内径側の端面はN極とされている。このステータティース23cはロータティース45aと対向している。
ここで、ロータティース45aに隣接する磁石44の外表面はN極とされているため、ステータティース23cの端面からロータティース45aに向かう磁力線mt1〜mt3は、この磁石44のN極の影響を受けて、回転方向P後方に傾斜するようにロータティース45aに向けて流れる。そして、この経路長が最短となるように、ロータティース45aがステータティース23cに向けて良好に引き寄せられる。
このように、磁力線mt1〜mt3は、磁石44からエアギャップGPを介して、ステータティース23aに達してステータコア22内を周方向に通り、その後、ステータティース23cからエアギャップGPを介して積層ロータコア43a内に達し、再度磁石44に戻るという磁気回路K1を形成する。
一方、界磁コイル50に電流が供給されていない状態では、磁石44からの磁力線mt1〜mt3の一部(たとえば磁力線mt3)は、ステータティース23aに達した後、ステータコア22内を径方向に流れ、界磁ヨーク21に達する。そして、磁力線mt3は、界磁ヨーク21を軸方向に通り、突部21cから圧粉ロータコア43b内に入り込み、再度磁石44に戻るという磁気回路K2(図示せず)を形成する。
すなわち、界磁コイル50に電流を流すことによって、磁石44から発せられる磁力線mt1〜mt3が磁気回路K2を通ることを抑制し、磁力線mt1〜mt3が磁気回路K1を通るように制御することができる。これにより、磁石44から生じる一定の磁束量のうち、トルクの発生に大きく貢献する磁気回路K1を通る磁束量の割合を増加することができるため、大きなトルクを得ることができる。
さらに、界磁コイル50によって生じる磁力線mt4は、図4に示すように、磁気回路K1の一部であって、ステータティース23cからロータティース45aに達する経路を通り、その後、圧粉ロータコア43bに達する。このため、磁力線mt4もトルクの発生に寄与する。
以上に説明したように、界磁コイル50に電流を流すことによって、電動機10には「強め界磁制御」が施される。図5は、電動機10のトルクと回転数との関係を示す図である。なお、以下においては、界磁コイル50に供給される電流を「界磁電流」とも称し、かつ、該界磁電流を符号Iを用いて表記することとする。
図5において、曲線k1は、界磁コイル50に電流が供給されていない状態(界磁電流I=0)における電動機10の出力特性を示す。一方、曲線k2は、界磁コイル50に電流が供給された状態(界磁電流I≠0)における電動機10の出力特性を示す。
図5に示されるように、界磁コイル50に電流を流して電動機10に強め界磁制御を行なうことにより、低回転数から高回転数までの幅広い領域においてトルクが大きくなっていることが分かる。特に、回転数が低い領域において、大きなトルクが得られている。
なお、界磁コイル50に流す電流の向きを反転することにより電動機10に「弱め界磁制御」を施すこともできる。この場合、界磁コイル50に電流を流すことによって、磁気回路K1を通る磁束量の割合が減少する。
また、本実施の形態によれば、ロータ40の外周面のうち、磁石44の表面は、磁力線を発する領域として機能しており、ロータティース45は、発せられた磁力線を取り込む領域として機能している。そして、磁石44およびロータティース45は、ロータ40の軸方向に亘って延在しているため、ロータ40の外周面は、磁石44の表面とロータティース45の表面とから構成されている。そのため、ロータティース45の外周面の略全面を、磁力線の出力領域および磁力線の取入領域として機能させることが可能となるため、ロータ40の外周面の利用効率を向上することができる。その結果、小型のロータ40であっても所要の磁束量の出し入れを行なうことができるため、ロータ40自体をコンパクトに構成することができる。
[電動機駆動装置の構成]
上述したように、本実施の形態によれば、電動機10の界磁制御は、界磁コイル50を流れる界磁電流Iによって磁気回路K1を通る磁束量と磁気回路K2を通る磁束量を調整することにより、電機子巻線鎖交磁束量を調整することにより行なわれる。
しかしながら、かかる界磁制御を実現するためには、界磁コイル50に界磁電流Iを供給するための電源回路を新たに設置する必要が生じる。この電源回路の設置は、電動機駆動装置を大型化させる、および装置コストを増大させるといった不具合に繋がる。
そこで、本実施の形態による電動機駆動装置は、以下に述べるように、電源からの電圧を電動機10の駆動電圧に変換するための電力変換装置の構成要素であるリアクトルを、界磁コイル50として兼用する構成とする。
図6は、本発明の実施の形態に従う電動機駆動装置の概略ブロック図である。
図6を参照して、電動機駆動装置1000は、バッテリBと、スナバコンデンサC1と、昇圧コンバータ120と、インバータ140と、平滑コンデンサC2と、電圧センサ110,130と、電流センサ112,240とを備える。
電動機10は、図1および図2で示される構成からなる。すなわち、電動機10は、回転シャフトに固設されたロータと、ステータの外周に設けられた界磁ヨークと、界磁コイル50とを備えている。
本実施の形態において、電動機10は、ハイブリッド自動車または電気自動車の駆動輪を駆動するためのトルクを発生するための駆動モータである。また、電動機10は、エンジンにて駆動される発電機の機能を持つように、そして、エンジンに対して電動機として動作し、たとえばエンジン始動を行ない得るようなモータである。
バッテリBは、ニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池からなる。なお、本実施の形態では、二次電池で構成されたバッテリBを「直流電源」とする構成について説明するが、バッテリBに代えて、電気二重層キャパシタ等の蓄電装置を適用することも可能である。スナバコンデンサC1は、電源ライン106と接地ライン105との間に接続される。電圧センサ110は、バッテリBから出力される直流電圧(以下、バッテリ電圧とも称する)Eを検出し、検出したバッテリ電圧Eを制御装置100へ出力する。
昇圧コンバータ120は、リアクトルL1と、スイッチング制御される電力用半導体スイッチング素子(以下、単に「スイッチング素子」とも称する)Q1,Q2とを含む。
リアクトルL1は、一方端がバッテリBの電源ライン106に接続され、他方端がスイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2の接続ノードに接続される。なお、本実施の形態において、リアクトルL1は、電動機10の界磁ヨーク21(図1)に巻き付けられる。すなわち、リアクトルL1は、スイッチング素子Q1,Q2によってスイッチングされた電圧が印加されるとともに、電動機10における界磁コイル50を構成する。したがって、リアクトルL1を流れる電流(以下、リアクトル電流とも称する)Iは、上述した界磁コイル50に供給される界磁電流Iに相当する。電流センサ112は、リアクトル電流(界磁電流)Iを検出し、検出したリアクトル電流Iを制御装置100へ出力する。
スイッチング素子Q1,Q2は、電源ライン107と接地ライン105との間に直列に接続される。スイッチング素子Q1,Q2のオン・オフは、制御装置100からのスイッチング制御信号SE1,SE2によって制御される。
この発明の実施の形態において、スイッチング素子としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ、あるいは、電力用バイポーラトランジスタ等を用いることができる。スイッチング素子Q1,Q2に対しては、逆並列ダイオードD1,D2が配置されている。
平滑コンデンサC2は、電源ライン107および接地ライン105の間に接続される。電圧センサ130は、平滑コンデンサC2の両端の電圧VDC(昇圧コンバータ120の出力電圧に相当)を検出し、その検出した出力電圧VDCを制御装置100へ出力する。
インバータ140の直流電圧側は、電源ライン107および接地ライン105を介して昇圧コンバータ120と接続される。
インバータ140は、電源ライン107および接地ライン105の間に並列に設けられる、U相アーム150と、V相アーム160と、W相アーム170とから成る。各相アームは、電源ライン107および接地ライン105の間に直列接続されたスイッチング素子から構成される。たとえば、U相アーム150は、スイッチング素子Q5,Q6から成り、V相アーム160は、スイッチング素子Q7,Q8から成り、W相アーム170は、スイッチング素子Q9,Q10から成る。また、スイッチング素子Q5〜Q10に対して、逆並列ダイオードD5〜D10がそれぞれ接続されている。スイッチング素子Q5〜Q10のオン・オフは、制御装置100からのスイッチング制御信号PWMIによって制御される。
各相アームの中間点は、電動機10の各相コイルの各相端に接続されている。すなわち、電動機10は、3相同期モータであり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中点に共通に接続されて構成される。U相コイルの他端がスイッチング素子Q5,Q6の中間点に、V相コイルの他端がスイッチング素子Q7,Q8の中間点に、W相コイルの他端がスイッチング素子Q9,Q10の中間点にそれぞれ接続されている。インバータ140は、制御装置100からのスイッチング制御信号PWMIに応答したスイッチング素子Q5〜Q10のオン・オフ制御(スイッチング制御)により、昇圧コンバータ120と電動機10との間で双方向の電力変換を行なう。
具体的には、インバータ140は、制御装置100によるスイッチング制御に従って、電源ライン107から受ける直流電圧を3相交流電圧に変換し、その変換した3相交流電圧を電動機10へ出力することができる。これにより、電動機10は、指定されたトルクを発生するように駆動される。
また、インバータ140は、電動機駆動装置1000が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動時、電動機10が発電した3相交流電圧を制御装置100によるスイッチング制御に従って直流電圧に変換し、その変換した直流電圧を電源ライン107へ出力することができる。
なお、ここで言う回生制動とは、ハイブリッド自動車または電気自動車を運転するドライバーによるフットブレーキ操作があった場合との回生発電を伴なう制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車速を減速(または加速を中止)させることを含む。
電動機10には電流センサ240が設けられる。3相電流Iu,Iv,Iwの瞬時値の和は零であるので、図6に示すように電流センサ240は2相分のモータ電流(たとえば、U相電流IuおよびW相電流Iw)を検出するように配置すれば足りる。電流センサ240によって検出されたモータ電流Iu,Iwは制御装置100へ入力される。さらに、制御装置100は、上位のECU(図示せず)から、モータ指令としての、電動機10のトルク指令値TRおよびモータ回転数MRNの入力を受ける。
以上の構成からなる電動機駆動装置1000において、昇圧コンバータ120は、電源ライン106および107の間に形成される電流経路上に電気的に接続されるリアクトルL1を含むチョッパ型回路として構成される。リアクトルL1の両端には、スイッチング素子Q1,Q2のオン・オフによりスイッチングされた電圧が印加される。
さらに、リアクトルL1は、電動機10の界磁ヨーク21に巻き付けられることによって界磁コイル50(図1)を構成する。したがって、リアクトルL1に電流(界磁電流)が流れることにより、上述したような電動機10の界磁制御が行なわれることになる。
このように昇圧コンバータ120のリアクトルL1を電動機10の界磁コイル50として兼用する構成としたことによって、界磁コイル50には電源ライン106および107の間を流れる電流が供給されることになる。したがって、界磁コイル50に電流を供給するための電源回路を新たに設ける必要性がなくなるため、電動機駆動装置1000が大型化する、および装置コストが増大するのを防止することができる。
しかしながら、その一方で、本構成では、昇圧コンバータ120による昇圧動作を行なっているときには、界磁コイル50には常に電流が駆動されるため、必然的に電動機10の界磁制御が行なわれることになる。そして、このときの界磁電流Iは、昇圧コンバータ120における昇圧比に依存した大きさとなるため、上述した電機子鎖交磁束量の調整に必要な電流値に必ずしも一致したものとはなっていない。
すなわち、リアクトルL1を界磁コイル50として兼用した構成では、電動機10の界磁制御と昇圧動作の制御(昇圧制御)とを互いに独立して実行することができないという問題が生じる。その結果、車両の運転状態に応じて適宜変化する電動機10への要求出力に追随するように電動機10の駆動制御できない可能性がある。
そこで、本実施の形態による電動機駆動装置1000は、図6に示すように、リアクトルL1に対して並列接続されたスイッチング素子Q3およびダイオードD3をさらに備える構成とする。本構成においてスイッチング素子Q3をオンすることにより、リアクトルL1に蓄積された電力に応じて、直流電流がスイッチング素子Q3およびダイオードD3に流れるように電流経路が形成される。
図6の構成において、昇圧コンバータ120のスイッチング素子Q1が本発明での「昇圧用スイッチング素子」に対応し、スイッチング素子Q3が本発明での「界磁用スイッチング素子」に対応する。
本実施の形態では、制御装置100は、以下に述べるように、電動機10の力行動作時には、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング制御に併せて、スイッチング素子Q3のスイッチング制御を実行する。これにより、昇圧コンバータ120における昇圧制御と電動機10の界磁制御とを互いに独立に実行することができる。
[電動機駆動装置の制御構造]
電子制御ユニット(ECU)で構成される制御装置100は、マイクロコンピュータ、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)(ともに図示せず)を含んで構成される。制御装置100は、所定のプログラム処理に従って、上位の電子制御ユニット(ECU)から入力されたモータ指令に従って電動機10が動作するように、昇圧コンバータ120およびインバータ140のスイッチング制御のためのスイッチング制御信号SE1,SE2(昇圧コンバータ120)、およびPWMI(インバータ140)を生成する。すなわち、制御装置100は、昇圧コンバータ120およびインバータ140による電力変換動作を制御する。
さらに、制御装置100は、電動機10の界磁コイル50に界磁電流Iが供給されるように、リアクトルL1に並列接続されたスイッチング素子Q3のスイッチング制御のためのスイッチング制御信号SE3を生成する。すなわち、制御装置100は、電動機10の界磁制御を実行する。
図7は、制御装置100によるスイッチング素子Q1〜Q3のスイッチング制御を説明するための図である。当該スイッチング制御は、図中のパターン(i)からパターン(iii)までを制御の1周期として行なわれる。図8は、スイッチング制御の1周期におけるリアクトル電流(界磁電流)Iおよび昇圧電流Iboostのタイミングチャートである。
パターン(i)を参照して、最初に、スイッチング素子Q1がオンされ、スイッチング素子Q2,Q3がオフされることにより、直流電流は、図中に矢印で示されるように、バッテリB、リアクトルL1およびスイッチング素子Q1からなる回路をバッテリBからスイッチング素子Q1の方向へ流れる。この期間において、リアクトルL1には電力は蓄積される。そのため、図8に示されるように、当該期間(期間T1に相当)において、リアクトルL1を流れるリアクトル電流Iは増加する。このときのリアクトル電流Iは、電源ライン107からインバータ140に供給されるモータ出力電流IDCoutに対して、界磁を強める方向に界磁コイル50に供給される電流(以下、界磁増磁電流とも称する)IFrefおよび電源ライン107から平滑コンデンサC2に流れる電流(以下、昇圧電流とも称する)Iboostが加算された値まで増加する。
次に、パターン(ii)に示すように、スイッチング素子Q1がオフされることにより、スイッチング素子Q1〜Q3が全てオフされる。そうすると、リアクトルL1に蓄積された電力に応じて、入力電流IDCinがリアクトルL1から逆並列ダイオードD2を介して電源ライン107に入力される。このとき、平滑コンデンサC2には、電源ライン107および接地ライン105間への出力電圧と平滑コンデンサC2の両端の電圧VDCとの電圧差に応じて、界磁増磁電流IFrefおよび昇圧電流Iboostの合成電流が流れる。これにより、平滑コンデンサC2の両端の電圧(すなわち、昇圧コンバータ12の出力電圧)VDCは、バッテリBからの直流電圧(バッテリ電圧)Eよりも高い電圧に昇圧される。なお、平滑コンデンサC2を流れる昇圧電流Iboostは、図8の期間T2に示されるように、徐々に減少する。従って、リアクトル電流Iも徐々に減少する。
最後に、パターン(iii)に示すように、スイッチング素子Q3がオンされ、スイッチング素子Q1,Q2がオフされると、リアクトルL1、スイッチング素子Q3およびダイオードD3からなる閉回路をリアクトルL1からスイッチング素子Q3の方向へ界磁増磁電流IFrefが流れる。この場合、図8の期間T3に示されるように、リアクトル電流Iは、リアクトルL1に蓄積された残りの電力が減少にするのに従って、徐々に減少する。また、ダイオードD2は通電されず、昇圧電流Iboostは0Aに減少する。
このようなパターン(i)〜(iii)を繰返して、昇圧コンバータ120は昇圧動作を行なう。そして、昇圧コンバータ120から平滑コンデンサC2には、期間T1から期間T3までの昇圧電流Iboostを平均した電流(平均昇圧電流Iboostav)が流れる。すなわち、平均昇圧電流Iboostavは、期間T2における昇圧電流Iboostを1制御周期(=期間T1+期間T2+期間T3)で除算した値となる。
さらに、リアクトルL1においては、期間T1から期間T3までの各期間におけるリアクトル電流Iを平均した電流(平均リアクトル電流Ifav)が流れる。そして、この平均リアクトル電流Ifavに応じて電動機10の界磁制御が行なわれる。
すなわち、平均昇圧電流Iboostavおよび平均リアクトル電流Ifavは、1制御周期における期間T1、期間T2および期間T3の比率を変化させることによって、互いに独立に制御することができる。これによれば、昇圧コンバータ120のリアクトルL1を電動機10の界磁コイル50として兼用した構成において、電動機10への要求出力に応じて当該比率を可変させることによって、昇圧制御と電動機10の界磁制御とを互いに独立に制御することが可能となる。その結果、低回転域では強め界磁によって大きなトルクが得られ、かつ、高回転域では昇圧制御により高効率が実現されるため、電動機駆動装置1000の大型化およびコストの増大を抑えながら、電動機10の高出力化を実現することができる。
[スイッチング素子のスイッチング制御]
次に、図7および図8で述べたスイッチング素子Q1〜Q3のスイッチング制御を実現するための制御構造について詳細に説明する。
図9は、スイッチング素子Q1〜Q3のスイッチング制御により実現される電動機駆動装置1000の回路動作状態を説明するための回路図である。
昇圧コンバータ120の回路パラメータを図9のように定めた場合、図7で説明した3つのパターン(i)〜(iii)における回路動作状態はそれぞれ、以下のような回路方程式で表わすことができる。
具体的には、図7のパターン(i)、すなわち、スイッチング素子Q1〜Q3のうちのスイッチング素子Q1のみがオンしているときの回路動作状態は、次式で示される。
Figure 0005167038
次に、図7のパターン(ii)、すなわち、スイッチング素子Q1〜Q3が全てオフしているときの回路動作状態は、次式のように変化する。
Figure 0005167038
これにより、スイッチング素子Q1の端子間電圧Vは、0Vから昇圧コンバータ120の出力電圧VDCまで昇圧される。
最後に、図7のパターン(iii)、すなわち、スイッチング素子Q1〜Q3のうちのスイッチング素子Q3のみがオンしているときの回路動作状態は、次式で示される。
Figure 0005167038
この場合には、リアクトルL1およびスイッチング素子Q3を含む閉回路をリアクトル電流Iが流れるため、スイッチング素子Q1の端子間電圧Vは、バッテリ電圧Eまで降下する。
ここで、リアクトル電流Iおよび昇圧コンバータ120の出力電圧VDCについては、上述したように、1制御周期におけるスイッチング素子Q1,Q3のオン時間の比率、すなわち、スイッチング素子Q1,Q3のデューティー比を制御することにより、リアクトル電流指令I および電圧指令VDC にそれぞれ一致させることができる。
そして、このようなスイッチング素子Q1,Q3のデューティー比の制御は、一例として、昇圧コンバータ120の出力電圧VDCの昇圧制御を、図10に示すような制御構造で構成することによって実現することができる。
図10は、出力電圧VDCの昇圧制御の制御構造を説明するためのブロック図である。
図10を参照して、本実施の形態による電動機駆動装置1000では、昇圧コンバータ120における電圧変換において、出力電圧VDCの電圧指令VDC に対する電圧偏差ΔVDCを用いた電圧フィードバック制御が行なわれる。
具体的には、出力電圧VDCの電圧指令VDC に対する電圧偏差ΔVDCについて所定ゲインによる比例積分(PI)演算を行なって制御偏差を求め、この制御偏差に応じて、昇圧コンバータ120から電源ライン107に流れる入力電流IDCinの目標値(以下、目標入力電流とも称す)IDCin を生成する。
さらに、電流制御部は、リアクトル電流Iのリアクトル電流指令I に対する電流偏差ΔIについて所定ゲインによるPI演算を行なって制御偏差を求め、この制御偏差に応じて、界磁増磁電流IFrefの目標値(目標界磁増磁電流)IFref を生成する。
そして、目標入力電流IDCin および目標界磁増磁電流IFref が生成されると、電流制御部は、これらの目標値に基づいて電流制御を実行する。
具体的には、電流制御部は、目標昇圧電流Iboost および目標界磁増磁電流IFref を合成した電流(=Iboost +IFref )を、リアクトルL1を流れるリアクトル電流Iの目標値であるリアクトル電流指令I に設定する。そして、制御装置100は、電流センサ112からのリアクトル電流Iがリアクトル電流指令I に追従するように、リアクトル電流Iのフィードバック制御を実行する。これにより、昇圧制御と電動機10の界磁制御とを互いに独立に制御することが可能となる。
そして、電流制御部がリアクトル電流Iのフィードバック制御を行なうことにより、昇圧コンバータ120から電源ライン107には、入力電流IDCinが供給される。このとき、電源ライン107に供給された入力電流IDCinは、電動機10の出力に応じて、少なくとも一部がインバータ140(図6)に出力されるモータ出力電流IDCoutとなる。そして、入力電流IDCinからモータ出力電流IDCoutを差し引いた残りが平滑コンデンサC2に流れる昇圧電流Iboost(=IDCin−IDCout)となる。このとき、昇圧電流Iboostが零以上であれば、平滑コンデンサC2の両端の電圧である出力電圧VDCは、バッテリ電圧E以上の高い電圧に昇圧される。
すなわち、出力電圧VDCは、モータ出力電流IDCoutの大きさに応じてその電圧レベルが変動する。モータ出力電流IDCoutの大きさは、電動機10の出力に応じて変化することから、電動機10の出力が急激に増大した場合には、モータ出力電流IDCoutが上昇するため、出力電圧VDCには電圧降下が生じてしまう。このように出力電圧VDCは、電動機10の出力変動の干渉を受けてその電圧レベルが変動することとなる。
ここで、出力電圧VDCの電圧変動を抑制するためには、電動機10の出力変動に入力電流IDCinを追従させる必要がある。しかしながら、上述した電圧フィードバック制御では、出力電圧VDCの検出と電圧制御とに遅れがあるため、入力電流IDCinの制御に時間がかかってしまう(制御応答性の低下)。
なお、入力電流IDCinの制御応答性を高めるためには、電圧フィードバック制御の制御ゲインを高くしておくことが有効である。ところが、制御ゲインを高くすると、出力電圧VDCのオーバーシュート量の増加を招くため、平滑コンデンサC2の寿命劣化、ひいては、平滑コンデンサC2を損傷するおそれがある。このような平滑コンデンサC2の損傷は、平滑コンデンサC2の容量を大きくすることで防止することができるが、平滑コンデンサC2の体格が大きくなってしまうため、小型軽量化という本来の目的にそぐわない。また、コストの面からも望ましくない。
そこで、本実施の形態に従う電動機駆動装置1000では、電動機10の出力の急変にも応答性を高めて出力電圧VDCを一定に保つため、電流制御部に入力される目標入力電流IDCin に対して、フィードフォワード補償項として、モータ出力電流IDCoutを加算する構成とする。
これによれば、電流制御部は、電圧偏差ΔVDCにモータ出力電流IDCoutが補償された目標入力電流IDCin に従って、入力電流IDCinを制御することから、入力電流IDCinの制御応答性を確保でき、出力電圧VDCを電動機10の出力変化から非干渉化することができる。
次に、図10に示したフィードフォワード補償項を、出力電圧VDCの制御構造に実装するための具体的な構成について説明する。フィードフォワード補償項の実装は、一例として、制御装置100を図11に示す制御構造で構成することによって実現することができる。
図11は、図6の制御装置100の制御構造を説明するブロック図である。
図11を参照して、制御装置100は、減算器200,202と、加算器204,206と、PI演算部208,210と、出力電流演算部220と、ローパスフィルタ(LPF)222と、スイッチング制御部250とを含む。
減算器200は、電圧センサ130からの出力電圧VDCの電圧指令VDC に対する電圧偏差ΔVDCを演算してPI演算部208へ出力する。なお、電圧指令VDC*は、制御装置100の上位のECUから、モータ指令としての、電動機10のトルク指令値TRおよびモータ回転数MRNの入力を受けると、これらの入力に応じた電動機10の要求出力(トルク×回転数)に基づいて導出されたものである。
PI演算部208は、電圧偏差ΔVDCについて所定ゲインによるPI演算を行なって制御偏差を求め、この制御偏差に応じて、電源ライン107から平滑コンデンサC2に流れる昇圧電流Iboostの目標値(目標昇圧電流)Iboost を生成する。
減算器202は、電流センサ112からのリアクトル電流Iのリアクトル電流指令I に対する電流偏差ΔIを演算してPI演算部210へ出力する。PI演算部210は、電流偏差ΔIについて所定ゲインによるPI演算を行なって制御偏差を求め、この制御偏差に応じて、界磁増磁電流IFrefの目標値(目標界磁増磁電流)IFref を生成する。
出力電流演算部220は、後述する方法によって、モータ出力電流IDCoutを演算する。出力電流演算部220によって演算されたモータ出力電流IDCoutは、加算器204によって目標昇圧電流Iboost に加算され、その合計値が目標入力電流IDCin となる。すなわち、出力電流演算部220は、図10に示したフィードフォワード補償項を実現する。
出力電流演算部220は、電圧センサ130から出力電圧VDCを受け、電流センサ240からモータ電流(U相電流IuおよびW相電流Iw)を受ける。また、出力電流演算部220は、電動機10の回転軸に取り付けられたレゾルバ342から電動機10の回転子の回転角度θを受ける。そして、出力電流演算部220は、これらの入力に基づいて、モータ出力電流IDCoutを推定する。
このようにモータ電流の制御に用いられる電流センサ240およびレゾルバ342の検出値に基づいて、モータ出力電流IDCoutを推定する構成としたことにより、モータ出力電流IDCoutを検出するための電流センサを新たに設置することが不要となる。
上述したモータ出力電流IDCoutの推定において、モータ出力電流IDCoutは、電動機10の出力に比例した電流であり、電動機10の出力をPとすれば、電動機10の出力Pを出力電圧VDCで除した値として近似することができる。なお、近似の意味は、インバータ140で発生する損失を考慮していないことを指すが、非干渉化の対象とする電動機10の出力変化は極めて大きい変化を想定しているため、これに比してインバータ140の損失は十分に小さいものと考えることができる。
電動機10の出力Pは、d軸およびq軸に印加される電圧値Vd,Vqおよびd軸およびq軸に流れる電流値Id,Iqを用いて次式で表わされる。
Figure 0005167038
この式(1)において、電流値Id,Iqについては、電動機10の3相コイルの各相に流れるモータ電流Iu,Iv,Iwを、回転角度θを用いて三相二相変換することにより導出することができる。その一方で、電圧値Vd,Vqについては、インバータ140の制御回路において、モータ電流調整用の電圧指令値Vd,Vqが忠実に実現されていると仮定すれば、この電圧指令値Vd,Vqを代用することができる。
なお、電圧指令値Vd,Vqは、電動機10の要求出力および出力電圧VDCに基づいて、トルク指令値TRによって指定されたトルクを出力するための電流指令値Id,Iqが生成され、電流指令値Id,Iqと電流値Id,Iqとの偏差に対してPIゲインを用いて演算されたものである。
そして、電流値Id,Iq、電圧指令値Vd,Vqおよび電圧センサ130からの出力電圧VDCを式(1)に代入することにより、モータ出力電流IDCoutを推定することができる。
推定されたモータ出力電流(以下、モータ出力電流推定値とも称す)IDCoutは、ローパスフィルタ(LPF)222において、補償効果(出力推定応答速度)を失わない範囲でモータ電流および電圧の不必要な脈動成分が除去された後、加算器204へ入力される。
加算器204は、生成された目標昇圧電流Iboost に、フィードフォワード補償項としての電流推定値IDCoutを加算することにより、目標入力電流IDCin (=Iboost*+IDCout)を生成する。
加算器206は、目標入力電流IDCin に目標界磁増磁電流IFref を加算することにより、リアクトル電流Iの電流指令I (=IFref +IDCin )を生成する。生成されたリアクトル電流指令I が、スイッチング制御部250へ送出される。
スイッチング制御部250は、リアクトル電流指令I に基づいて、1制御周期におけるスイッチング素子Q1,Q3のオン時間TQ1,TQ3を導出する。そして、スイッチング制御部250は、その導出したオン時間TQ1,TQ3に従ってスイッチング素子Q1,Q3をそれぞれオンさせるように、スイッチング制御信号SE1,SE3を生成する。生成されたスイッチング制御信号SE1,SE3に従ってスイッチング素子Q1,Q3をスイッチング制御することにより、リアクトルL1には、リアクトル電流指令I に従ったリアクトル電流Iが流れる。また、電圧指令VDC に従った出力電圧VDCがインバータ140に印加される。
次に、図11の制御構造における具体的な制御処理について説明する。本実施の形態では、制御装置100が、ディジタル信号処理装置(DSP:Digital Signal Processor)を用いた制御処理を実行する場合について説明する。
図11において、昇圧コンバータ120の瞬時電圧方程式は、式(2)で表わされる。
Figure 0005167038
ここで、DSPを用いた制御処理を行なうにあたって、式(2)のうち、リアクトル電流I(t)、出力電圧VDC(t)およびスイッチング素子Q1の端子間電圧V(t)については、所定のサンプリング周期Tの下で、任意の制御サンプル点mとの間に図12のタイミングチャートで示すような関係が成り立つものとする。
そして、この関係において、バッテリ電圧E(t)、リアクトル電流I(t)、スイッチング素子Q1の端子間電圧V(t)および電流微分dI/dtは、以下のように近似する。
Figure 0005167038
すなわち、バッテリ電圧E(t)およびリアクトル電流I(t)は、それぞれ、サンプル点(m−1)でのバッテリ電圧E(m−1)およびリアクトル電流I(m−1)で近似される。また、スイッチング素子Q1の端子間電圧V(t)は、サンプル点mおよびサンプル点(m−1)の間の平均電圧V(m−1)で近似される。さらに、電流微分dI/dtについては、サンプル点mおよびサンプル点(m−1)の間の電流差分で近似される。
これらの近似を用いることにより、上記式(2)の瞬時電圧方程式は、式(3)のように書き換えることができる。
Figure 0005167038
ここで、上述したように、昇圧制御および電動機10の界磁制御は、ともに、リアクトル電流Iをリアクトル電流指令I に一致するように制御することによって行なうことができる。以下に、リアクトル電流指令I を生成するための制御処理について説明する。
図11で述べたように、リアクトル電流指令I は、目標入力電流IDCin および目標界磁増磁電流IFref を合成した電流である。目標入力電流IDCin および目標界磁増磁電流IFref は、それぞれ、以下の処理によって生成することができる。
詳細には、サンプル点mでの目標昇圧電流Iboost (m)は、サンプル点(m−2)での出力電圧VDCの電圧指令VDC に対する電圧偏差ΔVDC(m−2)
Figure 0005167038
に対して、式(5)に従って所定ゲインによるPI演算を行なうことにより生成することができる。
Figure 0005167038
ただし、KVPおよびKVIは、それぞれ比例ゲインおよび積分ゲインを示す。
そして、このサンプル点mでの目標昇圧電流Iboost (m)には、上述した方法によって演算された、サンプル点mでのモータ出力電流推定値IDCout(m)が、フィードフォワード補償項として加算される。
Figure 0005167038
また、サンプル点mでの目標界磁増磁電流IFref (m)は、サンプル点(m−2)でのリアクトル電流Iのリアクトル電流指令I に対する電流偏差ΔI(m)
Figure 0005167038
に対して、式(8)に従って所定ゲインによるPI演算を行なうことにより生成することができる。
Figure 0005167038
ただし、KIPおよびKIIは、それぞれ比例ゲインおよび積分ゲインを示す。
最後に、式(6)および式(8)によりそれぞれ演算された目標入力電流IDCin (m)および目標界磁増磁電流IFref (m)の和を求めることにより、サンプル点mでのリアクトル電流指令I を生成することができる。
Figure 0005167038
そして、以上に示した処理によってサンプル点mでのリアクトル電流指令I (m)が生成されると、サンプル点mでのリアクトル電流I(m)をリアクトル電流指令I (m)に一致させるための電流制御が行なわれる。
この電流制御では、リアクトル電流指令If*(m)に基づいて、サンプル点(m−1)でのスイッチング素子Q1の端子間電圧Vの電圧指令V*(m−1)が生成される。そして、スイッチング素子Q1の端子間に電圧指令V*(m−1)に一致した電圧が発生するように、スイッチング素子Q1のオン時間TQ1(m−1)およびスイッチング素子Q3のオン時間TQ3(m−1)をそれぞれ導出することによって、リアクトル電流I(m)をリアクトル電流指令I (m)に追従させることができる。
以上に述べたように、本実施の形態に従う電動機駆動装置を搭載した電動車両においては、昇圧コンバータ120のリアクトルL1を電動機10の界磁コイル50として兼用する構成において、昇圧制御と電動機10の界磁制御とを独立して行なうことができる。
さらに、昇圧制御では、出力電圧VDCの電圧指令VDC に対する電圧偏差ΔVDCを用いた電圧フィードバック制御において、目標入力電流IDCin に対して、フィードフォワード補償項として、モータ出力電流IDCoutを加算する構成とすることにより、入力電流IDCinの制御応答性を確保でき、電動機10の出力の急変から出力電圧VDCを非干渉化することができる。
以上の結果、本実施の形態に従う電動機駆動装置を搭載した電動車両は、低回転域(すなわち、低車速域)では大きなトルクが得られるとともに、高回転域(すなわち、高車速域)では高効率で電動機を駆動させることができる。これにより、駆動装置の小型化が図られるとともに、電動機の高出力化による車両の走行性能の向上を実現することができる。
なお、上述した電動機10においては、磁石をロータの外表面に設けているが、これに限らず、ロータ内に磁石を埋め込んでもよい。すなわち、本発明に係る電動機駆動装置は、SPM(Surface Permanent Magnet)のみならず、IPM(Interior Permanent Magnet)にも適用することができる。このように構成されたロータにおいては、マグネットトルク(永久磁石とコイルとの吸引反発力)およびリラクタンストルク(磁力線の曲がりを直線にする力=コイルが鉄を引きつける力)の両方を有効に利用することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明の実施の形態に係る電動機駆動装置に適用される電動機の側断面図である。 図1のII−II線における断面図である。 図1に示す界磁コイルの電流が供給された状態における電動機の側断面図である。 図3のIV−IV線における断面図である。 電動機のトルクと回転数との関係を示す図である。 本発明の実施の形態に従う電動機駆動装置の概略ブロック図である。 制御装置によるスイッチング素子Q1〜Q3のスイッチング制御を説明するための図である。 スイッチング制御の1周期におけるリアクトル電流(界磁電流)Iおよび昇圧電流Iboostのタイミングチャートである。 スイッチング素子Q1〜Q3のスイッチング制御により実現される電動機駆動装置の回路動作状態を説明するための回路図である。 出力電圧VDCの昇圧制御の制御構造を説明するためのブロック図である。 図6の制御装置の制御構造を説明するブロック図である。 図11の制御構造における具体的な制御処理を説明するための図である。
符号の説明
10 電動機、21 界磁ヨーク、21a 天板部、21b 側壁部、21c 突部、21d 貫通孔、22 ステータコア、23,23a〜23c ステータティース、24 コイル、30 ステータ、40 ロータ、41 回転シャフト、43 ロータコア、43b 圧粉ロータコア、43a 積層ロータコア、44 磁石、45,45a ロータティース、46 軸受、50 界磁コイル、100 制御装置、105 接地ライン、106,107 電源ライン、110,130 電圧センサ、112,240 電流センサ、120 昇圧コンバータ、140 インバータ、150 U相アーム、160 V相アーム、170 W相アーム、200,202 減算器、204,206 加算器、208,210 PI演算部、220 出力電流演算部、250 スイッチング制御部、342 レゾルバ、1000 電動機駆動装置、B バッテリ、C1 スナバコンデンサ、C2 平滑コンデンサ、D1〜D10 逆並列ダイオード、Q1〜Q10 スイッチング素子。

Claims (6)

  1. 界磁巻線を含み、前記界磁巻線に界磁電流を流すことによって形成される界磁極を有する電動機の駆動装置であって、
    電源と、
    前記電源からの直流電圧を電圧変換して、第1および第2の電源線間に出力するコンバータと、
    前記第1および第2の電源線間に接続されるコンデンサと
    前記第1および第2の電源線間の電圧を受けて、前記電動機を駆動制御する電力に変換するインバータとを備え、
    前記コンバータは、前記界磁巻線および前記第2の電源線の間に電気的に接続される昇圧用スイッチング素子を含み、
    前記界磁巻線は、前記電源および前記第1の電源線の間の電流経路上に電気的に接続され、前記昇圧用スイッチング素子によってスイッチングされた電圧が両端に印加されるように構成され、
    前記電動機駆動装置は、
    前記界磁巻線に並列に接続される界磁用スイッチング素子と、
    前記昇圧用スイッチング素子および前記界磁用スイッチング素子をスイッチング制御する制御装置とをさらに備え、
    前記制御装置は、
    前記第1および第2の電源線間に出力される電圧を検出する電圧センサと、
    前記界磁巻線を流れる界磁電流を検出する電流センサと、
    前記第1の電源線から前記コンデンサに流れる昇圧電流ついての所定のサンプル周期により定められる第1のサンプル点での目標値を、前記第1のサンプル点よりも前の第2のサンプル点での電圧指令値と前記第2のサンプル点での前記電圧センサの検出電圧との偏差に応じて算出するとともに、界磁を強める方向に前記界磁巻線に供給される界磁増磁電流についての前記第1のサンプル点での目標値を、前記第2のサンプル点での電流指令値と前記第2のサンプル点ので前記電流センサの検出電流との偏差に応じて算出する目標電流演算手段と、
    前記第1のサンプル点での昇圧電流の目標値に、前記電動機の出力に応じて前記第1の電源線から前記インバータに供給される電動機出力電流の前記第1のサンプル点での推定値を加算することにより、前記コンバータから前記第1の電源線への入力電流の前記第1のサンプル点での目標値を生成するフィードフォワード補償手段と、
    前記第1のサンプル点での入力電流の目標値に、前記第1のサンプル点での界磁増磁電流の目標値を加算することにより、前記第1のサンプル点での電流指令値を生成する電流指令生成手段と、
    前記第1のサンプル点での電流センサの検出電流が前記第1のサンプル点での電流指令値に一致するように、前記界磁用スイッチング素子および前記昇圧用スイッチング素子をスイッチング制御するスイッチング制御手段とを含む、電動機駆動装置。
  2. 前記電流指令生成手段は、前記電動機の要求出力を前記電圧センサからの検出電圧で除算することにより、前記電動機出力電流を演算する補償量演算手段を含む、請求項1に記載の電動機駆動装置。
  3. 前記補償量演算手段は、前記電動機の要求出力を、前記電動機のd軸電圧指令値およびq軸電圧指令値と、前記電動機を流れる実駆動電流とに基づいて算出する、請求項2に記載の電動機駆動装置。
  4. 界磁巻線を含み、前記界磁巻線に界磁電流を流すことによって形成される界磁極を有する電動機の駆動装置の制御方法であって、
    前記電動機駆動装置は、
    電源と、
    前記電源からの直流電圧を電圧変換して、第1および第2の電源線間に出力するコンバータと、
    前記第1および第2の電源線間の電圧を受けて、前記電動機を駆動制御する電力に変換するインバータとを含み、
    前記コンバータは、前記界磁巻線および前記第2の電源線の間に電気的に接続される昇圧用スイッチング素子を含み、
    前記界磁巻線は、前記電源および前記第1の電源線の間の電流経路上に電気的に接続され、前記昇圧用スイッチング素子によってスイッチングされた電圧が両端に印加されるように構成され、
    前記電動機駆動装置は、
    前記界磁巻線に並列に接続される界磁用スイッチング素子と、
    前記第1および第2の電源線間に出力される電圧を検出する電圧センサと、
    前記界磁巻線を流れる界磁電流を検出する電流センサとをさらに含み、
    前記制御方法は、
    前記第1の電源線からコンデンサに流れる昇圧電流ついての所定のサンプル周期により定められる第1のサンプル点での目標値を、前記第1のサンプル点よりも前の第2のサンプル点での電圧指令値と前記第2のサンプル点での前記電圧センサの検出電圧との偏差に応じて算出するとともに、界磁を強める方向に前記界磁巻線に供給される界磁増磁電流についての前記第1のサンプル点での目標値を、前記第2のサンプル点での電流指令値と前記第2のサンプル点ので前記電流センサの検出電流との偏差に応じて算出するステップと、
    前記第1のサンプル点での昇圧電流の目標値に、前記電動機の出力に応じて前記第1の電源線からインバータに供給される電動機出力電流の前記第1のサンプル点での推定値を加算することにより、前記コンバータから前記第1の電源線への入力電流の前記第1のサンプル点での目標値を生成するステップと、
    前記第1のサンプル点での入力電流の目標値に、前記第1のサンプル点での界磁増磁電流の目標値を加算することにより、前記第1のサンプル点での電流指令値を生成するステップと、
    前記第1のサンプル点での電流センサの検出電流が前記第1のサンプル点での電流指令値に一致するように、前記界磁用スイッチング素子および前記昇圧用スイッチング素子をスイッチング制御するステップとを備える、電動機駆動装置の制御方法。
  5. 前記電流指令値を生成するステップは、前記電動機の要求出力を前記電圧センサからの検出電圧で除算することにより、前記電動機出力電流を演算する、請求項4に記載の電動機駆動装置の制御方法。
  6. 前記電動機出力電流を演算するステップは、前記電動機の要求出力を、前記電動機のd軸電圧指令値およびq軸電圧指令値と、前記電動機を流れる実駆動電流とに基づいて算出する、請求項5に記載の電動機駆動装置の制御方法。
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