JP5164921B2 - 乗務員状態推定装置及び乗務員運用支援システム - Google Patents
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Description
図1は、この発明の実施の形態1に係る乗務員状態推定装置10の構成を示すブロック図である。乗務員状態推定装置10は、乗務員の位置を履歴として管理する乗務員情報管理部11と、運行中又は運行予定の各列車の走行パターンを作成する列車走行推定部12と、乗務員位置の履歴と走行パターンに基づいて乗務員が乗車している列車の候補を推定する乗車列車推定部13と、乗務員位置の履歴と乗車候補の列車に基づいて乗務員の状態を推定する乗務員状態推定部14とを備える。この乗務員状態推定装置10には、携帯端末20、GPS衛星30及び運行管理システム40から各種の情報が提供される。
また、乗務員情報管理部11は、端末位置情報(一般的に緯度及び経度を含む)を「キロ程」に変換して、乗務員位置の履歴に含めて記憶及び管理する。即ち、乗務員位置の履歴には、乗務員ID毎に、端末ID、端末位置情報、位置情報取得時刻、乗務員位置のキロ程、並びに後述する乗務員状態推定部14が出力する状態推定結果及び状態推定時刻が含まれる。
キロ程は、鉄道分野で多く利用されており、路線毎の、特定地点からの線路上の距離を表す。端末位置情報をキロ程に変換するために、乗務員情報管理部11は、対象となっている路線を緯度経度の折れ線で表現したデジタルマップデータを保持している。キロ程への変換方法は、カーナビゲーションシステム等で利用されている手法を用いればよく、端末位置をこの端末位置に最も近いデジタルマップ上の線分に射影し、線分を構成する両端点に記録されているキロ程情報から、比例配分することによってキロ程が求められる。
実施ダイヤは、当日走行予定の列車に関して、少なくとも列車番号、種別、始発駅から終着駅までの各駅の計画上の到着時刻及び出発時刻が記載されている。
また、運行実績は、少なくとも実施ダイヤと同じ項目を含み、計画上の到着時刻及び出発時刻の代わりに、駅への到着及び出発が発生する度に実績時刻が記載される形式となっている。
また、運転整理情報は、少なくとも列車の運休情報、臨時列車のダイヤ等を含む。
走行パターンは、実施ダイヤと同じ項目を含み、計画上の到着時刻及び出発時刻の代わりに、実績が発生した駅では実績時刻が記載され、未だ実績が発生していない駅では予測時刻が記載される。そのため、列車が定時運行している限りでは、実施ダイヤと走行パターンは同じ到着時刻及び出発時刻になる。
また、パターン予測パラメータは、少なくとも列車種別毎及び駅毎に、標準的な停車時分及び駅間の走行時分を定義している。
先ず、列車走行推定部12の動作を説明する。図2は、列車走行推定部12が運行管理システム40から得た運行実績を用いて作成した走行パターンを示す説明図である。図2に示す走行パターンは、横軸に時刻を示し、縦軸にA駅〜E駅の位置を示す。現在時刻13:27とすると、C駅出発が最新の着発イベント発生実績であり、運行管理システム40が管理する現在時刻までの運行実績を実線で示す。列車走行推定部12は、最新の着発イベントが発生したC駅からC駅〜D駅間の標準走行時分、D駅での標準停車時分、及びD駅〜E駅間の標準走行時分を順次加算することで、走行予測パターン(図2に破線で示す)を作成する。以下、図2の走行パターンを作成する例を用いて、列車走行推定処理を説明する。
列車状態が更新されていれば(ステップST2“Yes”)、続くステップST3で列車走行推定部12が、最新イベントが駅到着かどうかを判断する。駅到着ならば(ステップST3“s駅到着”)、列車走行推定部12は続くステップST4にて後方駅sにおける種別pの駅停車時分Ts(t、p、s)をパターン予測パラメータから取得して、最新イベントの駅到着実績時刻に加算することで、駅出発予測時刻Td(t、p、s)を計算する。
なお、運行管理システム40から運転整理情報が出力されて列車の運行計画に変更等が生じている場合には、列車走行推定部12は、運転整理情報の内容を反映して駅出発予測時刻及び先行駅到着予測時刻を計算する。
閾値を越えていれば(ステップST24“Yes”)、乗務員状態推定部14は、当該列車が駅を発車して走行中であると判断し、乗務員状態は引き続き当該列車に「乗車中」と推定して処理を終了する。
閾値を越えていなければ(ステップST24“No”)、乗務員状態推定部14は、当該列車が停車中であると判断し(ステップST25)、状態推定対象の乗務員位置の履歴から乗務員の位置及び移動速度を求めて停車中の当該列車に引き続き乗車しているか否かを判定する(ステップST26)。乗務員状態推定部14は、乗務員の位置及び移動速度が閾値を越えていれば「乗車中」と推定し(ステップST26“Yes”)、閾値を越えていなければ「下車」と推定して(ステップST26“No”)、処理を終了する。
閾値を越えていれば(ステップST28“Yes”)、乗務員状態推定部14は、乗務員が乗車候補列車に乗車しているのではないと判断し、続くステップST29にて、乗務員状態推定部14が保持する近傍の主要道路の地図情報(デジタルマップデータ)を用いて、乗務員位置が線路と近傍道路のどちらに近いか、自動車で移動していると推定可能な移動速度かどうか判断し、乗務員位置が線路より近傍道路に近く移動速度が閾値を越えていれば「車便乗中」と推定し(ステップST29“Yes”)、乗務員位置が近傍道路より線路に近く移動速度が閾値を越えていなければ駅近傍に留まっている(即ち「休憩」又は「待機」)と推定して(ステップST29“No”)、処理を終了する。
このため、実施ダイヤが乱れた場合でも、乗務員がどの列車に乗っているか、あるいはどの駅で下車しているかを推定することができる。また、地上装置である乗務員状態推定装置10によって各列車に乗車している乗務員の推定ができるため、乗務員状態把握のための対応設備を列車に設置する必要がない。
さらに、携帯端末20から乗務員位置情報の送信が遅れた場合でも、乗車列車推定部13が位置情報取得時刻における列車の走行パターンと乗務員位置とを比較して乗車候補列車を推定するので、古い乗務員位置情報に基づいて誤った列車を候補として推定することを防止できる。また、逆に、乗車候補列車の現在位置を走行パターンから算出すれば、乗務員の現在位置を推定することができる。
上記実施の形態1では、列車走行推定部12がパターン予測パラメータを用いて、走行パターンを駅毎の列車の着発で表現していた。しかし、実際には、列車が駅を出発する際は必ず速度0から加速し、駅に到着する前にはこれまでの速度から減速を開始して最終的に速度0になる。このような速度の変動は、運転曲線と呼ばれるデータによって予め標準的な変動パターンが規定されている。そこで、本実施の形態2では、この運転曲線情報を、任意の地点での通過時刻及び速度情報で表現するパターン予測パラメータとして列車走行推定部12が保持し、走行パターンのうち駅間を走行する区間に、運転曲線情報に基づく位置−時刻−速度情報を追加することで、実際の走行に近い精細化した走行パターンを得る。以降、この任意の地点での通過時刻及び速度情報を表現するパターン予測パラメータを、状態変化点とする。なお、実施の形態2の乗務員状態推定装置10は、図1に示す乗務員状態推定装置10と図面上の構成が同一であるので、以下では図1を援用して実施の形態2を説明する。
先ずステップST35では、最新実績取得位置よりも前方にある、最も近い状態変化点P(s、n)を取得し、最新実績取得位置からP(s、n)までの走行時分を計算する。以降、ステップST36〜ST37で、状態変化点が次駅s+1に到達するまで、走行時分の計算を進める。続くステップST38で、計算した全ての変化点間の走行時分を積算し、最新実績取得時分に加えることで、先行駅到着予測時刻Ta(t、p、s+1)を得る。
上記実施の形態2では、列車走行推定部12が運転曲線情報に基づいて精細化した走行パターンを作成したが、実際の列車の運行では遅延等が発生するため、運転曲線情報に基づく走行パターンであっても実際の列車の走行とのずれが大きくなる場合がある。例えば、先行する列車が何らかの原因で通常より遅延して走行すると、追突を防ぐために、信号システムが後続列車に通常よりも低速で走行させる信号又は停止信号を指示して後続列車を走行パターンより遅延して走行させるといった場合である。そこで、本実施の形態3では、実施ダイヤが乱れた場合の信号システムの挙動に対応するために、列車走行推定部12が信号システムの挙動を模擬して、先行列車の走行パターンから速度に応じた距離を確保して後続列車の走行パターンを作成する。
具体的には、図9に示すステップST35で、列車走行推定部12が、列車tの先行列車t−1の運転曲線情報を取得し、信号システムの挙動を模擬して列車tに指示する信号遷移情報を計算する。列車tの状態変化点P(s、n)に指定された速度と、当該地点における信号遷移情報が示す制限速度の下位速度を、当該状態変化点P(s、n)における速度と読みかえ、変化点間の走行時分を計算する。以下、ステップST36〜ST37を繰り返し、ステップST38にて先行駅到着予測時刻Ta(t、p、s+1)を得る。
上記実施の形態1〜3では乗務員状態推定装置10に関して説明してきたが、この乗務員状態推定装置10で得られる乗務員状態の推定結果は、乗務員運用を変更する際に必要な情報である。そこで、鉄道乗務員の運用計画の変更を支援する乗務員運用支援システムに、上記実施の形態1〜3の乗務員状態推定装置10を接続して、運用計画の変更の際に乗務員の状態推定結果を用い、運行ダイヤの乱れに応じて乗務員運用情報を変更するように構成してもよい。なお、乗務員運用支援システムは公知のシステムを用いればよく、ここでの詳細な説明は省略する。
Claims (8)
- 鉄道乗務員の状態を把握するための乗務員状態推定装置において、
乗務員が保持する携帯端末から送信される端末位置及び位置情報取得時刻の情報を用いて、端末位置が表す当該乗務員の位置を線路上の相対位置を示すキロ程に変換し、位置情報取得時刻におけるキロ程の情報を当該乗務員の履歴として管理する乗務員情報管理部と、
列車毎に、運行実績の情報を用いて現在時刻までの任意の時刻における列車の位置を示す実績走行パターンを作成すると共に、運行計画の情報を用いて現在時刻より先の任意の時刻における列車の位置を示す予測走行パターンを作成し、前記実績走行パターンと前記予測走行パターンを合わせて走行パターンとする列車走行推定部と、
前記乗務員情報管理部が管理する乗務員の履歴と、前記列車走行推定部が作成した各走行パターンから、前記乗務員の前記位置情報取得時刻における乗車候補列車を推定する乗車列車推定部と、
前記乗務員情報管理部が管理する乗務員の履歴と、前記乗車列車推定部が推定した乗車候補列車の走行パターンから、前記乗務員の状態を推定する乗務員状態推定部とを備えることを特徴とする乗務員状態推定装置。 - 列車走行推定部は、線路上の列車の速度変動を規定した運転曲線情報に基づいて、各列車の走行パターンを精細化し、
乗務員状態推定部は、前記列車走行推定部で精細化した走行パターンから任意の時刻における列車の速度を推定し、乗務員情報管理部が管理する乗務員の履歴から推定される当該乗務員の移動速度と比較して状態を推定することを特徴とする請求項1記載の乗務員状態推定装置。 - 列車走行推定部は、駅中間の列車在線位置の情報に基づいて、各列車の走行パターンを作成することを特徴とする請求項2記載の乗務員状態推定装置。
- 列車走行推定部は、先行列車の走行状態に応じて変化する信号システムからの信号状態を模擬し、後続列車の走行パターンを当該模擬した信号状態に基づいて作成することを特徴とする請求項2または請求項3記載の乗務員状態推定装置。
- 乗務員情報管理部は、乗務員の状態を当該乗務員の履歴と合わせて管理し、乗務員状態推定部が推定した乗務員の状態に更新することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の乗務員状態推定装置。
- 現在位置を取得し、端末位置及び位置情報取得時刻の情報として乗務員情報管理部に送信する携帯端末と、
各列車の運行計画の情報を保持すると共に当該各列車の運行実績を把握して、運行計画及び運行実績の情報として列車走行推定部に出力する運行管理システムとを備えることを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の乗務員状態推定装置。 - 請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の乗務員状態推定装置を適用した、鉄道乗務員の運用計画の変更を支援する乗務員運用支援システム。
- 乗務員状態推定装置で推定した乗務員の状態に基づき、実施ダイヤの乱れに応じて乗務員運用情報を変更することを特徴とする請求項7記載の乗務員運用支援システム。
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