JP5163266B2 - 4輪駆動車の駆動力配分制御装置 - Google Patents
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Description
また、特許文献2、3による駆動力配分制御装置の場合には、例えば相対的に摩擦係数の高い走行路(高μ路)を旋回加速すると、前輪側への伝達トルクが大きくなり過ぎてドリフトアウトの傾向になり走行が不安定となることが懸念される。
よって、特許文献1で開示する前後輪の回転数差に基づく駆動力制御の場合、また特許文献2、3で開示する予め所定の駆動力配分比に基づく駆動力制御の場合、いずれであっても上記のように解決すべき技術的な課題がある。
前輪と後輪との回転速度差に基づいて、前記前後輪へ配分すべきトルク配分を算出する差回転感応トルク算出手段と、
前記エンジンが発生させる駆動力に応じて、前記前後輪へ配分すべきトルク配分を算出する駆動力配分トルク算出手段と、
前記4輪駆動車が走行している走行路の摩擦係数を推定する摩擦係数推定手段と、
前記摩擦係数推定手段の推定結果に基づいて、前記差回転感応トルク算出手段が算出したトルク配分および前記駆動力配分トルク算出手段が算出したトルク配分のいずれを優先するかを決定するトルク決定手段とを備え、
前記トルク配分制御手段が、前記トルク決定手段が決定した前記トルク配分に基づいて前記クラッチ手段の締結力を制御する、ことにより特徴付けされるものである。
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1に係る4輪駆動車の駆動力配分制御装置について示した全体システム図である。1はエンジン、2は自動変速機、3はフロントディファレンシャル、4はリヤディファレンシャル、5は右前車輪、6は左前車輪、7は右後車輪、8は左後車輪である。そして、フロントディファレンシャル3とリヤディファレンシャル4とを接続してトルク伝達する駆動軸STが配設されている。この駆動軸STの中間位置には、エンジン1が発生させた駆動力(トルク)を前輪側5、6と後輪側7、8とに配分するクラッチ手段として4WDクラッチ9が配置してある。この4WDクラッチ9は、例えば摩擦クラッチであり、図示しない油圧系を制御することによってその締結力が増減される。
そして、車両に作用する上記横加速度(横G)は、走行路の摩擦状態を良く反映している出力信号でもあるので、横Gを流用して走行路の摩擦係数を推定することにも活用できる。よって、本実施例1では、コントローラ10が横Gセンサ17の出力に基づいて更に摩擦係数(後述する路面μ)も推定する場合を例示する。
図3は、コントローラ10が差回転感応トルクTDVを算出するルーチンを実行したときのフローチャートである。まず、コントローラ10は各車輪速センサ11、12、13、14から車輪速を読込み(ステップS101)、これに基づいて前輪5、6と後輪7、8との回転速度差ΔVWを算出する(ステップS102)。ここで、コントローラ10は更に横加速度(横G)センサ17から横Gを読込む(ステップS103)。この横Gは車両が走行している走行路の路面μが大きくなる程大きくなるため路面状態を良く反映するので、検出した前後輪の回転速度差ΔVWとそのときの横Gとにより、前後輪へ配分すべき好ましいトルク配分を特定できる。なお、ここで例示する処理では、コントローラ10がメモリ内に予め格納したゲイン算出マップに基づいて横Gに応じたゲインKHを算出するものである(ステップS104)。コントローラ10は、上記回転速度差ΔVW及びゲインKHにより、車両の前後速度差に適した差回転感応トルクTDVを算出する(ステップS105)。
コントローラ10がATコントローラを兼ねる場合、図4で例示すようにギアポジションGRPOSの算出(ステップS202)、ギア比NGEARの算出(ステップS203)を行って、これに基づいてミッション出力端トルクTOUTを算出する(ステップS204)。
図4のステップS206では、横Gにより前輪(フロント)側への配分比RATIOを算出する場合を例示している。前輪への配分比RATIO50%が最大値であり、このときに前輪:後輪=50:50となって、最も4輪駆動傾向となる場合である。ここで例示する処理では、予め準備したフロント配分比RATIO算出マップによりコントローラ10が前輪へのトルク配分比(HAIBUN=RATIO)を算出する。そして、上記ミッション出力端トルクTOUT及びHAIBUNによって、車両状態に適した駆動力配分トルクTENGを算出する(ステップS207)。
以上詳述したように、本実施例1の駆動力配分制御装置は、走行路の状態を摩擦係数に基づいて推定する摩擦係数推定手段の推定結果に基づいて、最適な前後輪配分値を特定してクラッチ手段の締結力を制御するので、制御ハンチングの発生を抑制すると共に、発進加速性や旋回走行時の車両安定性も担保した好ましい駆動力配分制御装置となる。
更に、図を参照して、本発明の実施例2に係る4輪駆動車の駆動力配分制御装置について説明する。図7は、実施例2に係る4輪駆動車の駆動力配分制御装置について示した全体システム図である。但し、この図7では実施例1に係る図1で示している部位については同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
以上のようにコントローラ10は、通常、走行路の摩擦係数に基づいて前後輪へのトルク配分を特定するが、推定した走行路の路面μが所定以下であった場合、すなわちスリップし易い走行路であった場合には、図10で示すフローチャートで示す処理に基づいて最終選択トルクTMETSを決定するようにしてもよい。
特に、コントローラ10がこのフローチャートに基づくルーチンを実行した場合には、旋回時に初期スリップを発生し易い走行路に対処する好適な駆動力制御とすることができる。
ここで、コントローラ10はステップS503で示すように、前後輪速度差ΔVWに関してスリップの発生を予測するための閾値(ΔVW閾値)を設定して、各車輪速センサ11〜14の出力信号から実際の前後輪速度差ΔVWを算出する(ステップS504)。そして、実前後輪速度差ΔVWとΔVW閾値とを比較する(ステップS505)。なお、上記のように比較に用いるΔVW閾値は、車速に応じたものを事前に準備し、コントローラ10内のメモリ部等に記憶しておき、適宜に読み出しできるようにしておくものである。
なお、上記ステップS505で実前後輪速度差ΔVWがΔVW閾値より小さい場合(NOの場合)はスリップする可能性が相対的に低いので最終選択トルクTMETSを基準とした駆動力配分トルクTENGとすればよい(ステップS507)。
2 自動変速機
5、6 前車輪
7、8 後車輪
9 4WDクラッチ(クラッチ手段)
10 コントローラ(トルク配分制御手段、差回転感応トルク算出手段、駆動力配分トルク算出手段、摩擦係数推定手段、トルク決定手段)
11、12 前輪車輪速センサ
13、14 後輪車輪速センサ
17 横Gセンサ
18 舵角センサ
ST 駆動軸
Claims (6)
- エンジンからの駆動力を前後輪へ分配するクラッチ手段と、前記クラッチ手段の締結力を増減して前記前後輪へ伝達するトルクの配分を制御するトルク配分制御手段とを備えている4輪駆動車の駆動力配分制御装置であって、
前輪と後輪との回転速度差に基づいて、前記前後輪へ配分すべきトルク配分を算出する差回転感応トルク算出手段と、
前記エンジンが発生させる駆動力に応じて、前記前後輪へ配分すべきトルク配分を算出する駆動力配分トルク算出手段と、
前記4輪駆動車が走行している走行路の摩擦係数を推定する摩擦係数推定手段と、
前記摩擦係数推定手段の推定結果に基づいて、前記差回転感応トルク算出手段が算出したトルク配分および前記駆動力配分トルク算出手段が算出したトルク配分のいずれを優先するかを決定するトルク決定手段とを備え、
前記トルク配分制御手段が、前記トルク決定手段が決定した前記トルク配分に基づいて前記クラッチ手段の締結力を制御する、ことを特徴とする4輪駆動車の駆動力配分制御装置。 - 前記トルク決定手段は、前記走行路の摩擦係数が高い傾向にあるほど前記差回転感応トルク算出手段が算出したトルク配分を優先し、前記摩擦係数が低い傾向にあるほど前記駆動力配分トルク算出手段が算出したトルク配分を優先する決定を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
- 前記トルク決定手段は、前記走行路の推定した推定摩擦係数に応じて予め定めた重み係数による重み付け処理をしてから上記決定をする、ことを特徴とする請求項2に記載の4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
- 前記トルク決定手段は、前記走行路の推定した摩擦係数が所定値より低い路面状態である場合は前記駆動力配分トルク算出手段が算出したトルク配分を優先して4輪駆動車傾向の駆動力を設定する、ことを特徴とする請求項1に記載の4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
- 前記摩擦係数推定手段は、前記4輪駆動車に作用する横加速度に基づいて前記走行路の摩擦係数を推定する手段及び前記4輪駆動車の舵角に基づいて前記走行路の摩擦係数を推定する手段を含む、ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
- 前記摩擦係数推定手段が推定した走行路の摩擦係数が所定値以下であったときに、
前記トルク決定手段は、前記駆動力配分トルク算出手段が算出したトルク配分を優先し、スリップが発生し易い状況となった以降については前記差回転感応トルク算出手段が算出したトルク配分を追加して補う決定をする、ことを特徴とする請求項1に記載の4輪駆動車の駆動力配分制御装置。
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